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T 9111-6 : 2000

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣及び厚生大臣

が制定した日本工業規格である。

JIS T 9111-6

には,次に示す附属書がある。

附属書 A(参考)  破裂容量及び破裂圧力測定用空気膨張装置:システム確認と校正の例

附属書 1(参考)  JIS と対応する国際規格との対比表

JIS T 9111

(ラテックス製コンドーム)には,次に示す部編成がある。

JIS T 9111-1

  ラテックス製コンドーム−第 1 部:要求事項

JIS T 9111-2

  ラテックス製コンドーム−第 2 部:長さの測定

JIS T 9111-3

  ラテックス製コンドーム−第 3 部:折幅の測定

JIS T 9111-5

  ラテックス製コンドーム−第 5 部:穴の検出−水漏れ試験

JIS T 9111-6

  ラテックス製コンドーム−第 6 部:破裂容量及び破裂圧力の測定

JIS T 9111-7

  ラテックス製コンドーム−第 7 部:加熱処理試験

JIS T 9111-9

  ラテックス製コンドーム−第 9 部:引張特性の測定

JIS T 9111-10

  ラテックス製コンドーム−第 10 部:包装及び表示


日本工業規格

JIS

 T 9111-6

: 2000

ラテックス製コンドーム−

第 6 部:破裂容量及び破裂圧力の測定

Rubber condoms

−Part 6 : Determination of

bursting volume and pressure

序文  この規格は,1996 年に第 3 版として発行された ISO 4074-6, Rubber condoms−Part 6 : Determination of

bursting volume and pressure

を元に技術的内容を一部変更して作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にはない事項である。

1.

適用範囲  この規格はラテックス製コンドーム(以下,コンドームという。)の破裂容量及び破裂圧力

の測定方法を規定する。

備考  この規格の対応国際規格を,次に示す。

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,IDT(一致している)

,MOD

(修正している)

,NEQ(同等でない)とする。

ISO 4074-6 : 1996

  Rubber condoms−Part 6 : Determination of bursting volume and pressure (MOD)

2.

原理  コンドームの規定の部分を空気で膨らまし,破裂容量及び破裂時の圧力を記録する。

備考  破裂容量は,破裂時までにコンドームに流入された空気の容量である。

3.

装置  装置は,規定の速度で油,又は水分を含まない清浄な空気でコンドームを膨らますのに適し,

容量及び圧力測定のための計器を備え,3.1

3.4 の性能をもつものとする。装置の例を図 に示す。

膨張キャビネットを用いる場合には,膨張中のコンドームを見ることができる窓があり,キャビネット

のどの部分にも接触せずに,コンドームを膨らませるのに十分な大きさのものであることが望ましい。

なお,膨張中のキャビネット内の圧力は,大気圧と等しくなるような構造とする。

3.1

圧力計  ±0.05kPa の正確さで測定できて,コンドームと圧力計の間に圧力差がないように構成され

ていなければならない。

3.2

破裂容量を記録する装置  コンドーム内に空気を供給するための高い圧力での空気容量を測定する

のではなく,コンドーム内の圧力における空気容量を測定又は計算できるように構成がされていなければ

ならない。容量測定にいずれの方法が用いられても,10dm

3

以上の容量に対して±3%までの精度とする。

3.3

支持棒  巻きほぐしたコンドームを規定の長さで装置に装着するため,先端に直径 25mm の滑らか

な球又は半球をもち,コンドームの膨張対象範囲が 125±2mm となるように支える棒。

3.4

締付具  内側締付具と外側締付具からなり,鋭利な縁及び突起があってはならない。外側締付具の

コンドームに接触する縁は滑らかで十分な R をとる。


2

T 9111-6 : 2000

外側締付具の内径は,コンドームの直径と比べて大きな差があってはならない。

内側締付具を膨張させたとき,外側締付具との接点と外側締付具の上端との差は約 3mm にする。内側

締付具は,コンドームがその周りを自由にかぶるような直径まで収縮しなければならない。

参考  図は一例であり,その他の形式の締付具も用いられる。

図 1  装置の一例

4.

手順

4.1

コンドームを取り扱う間,コンドームをきずつけないように適切な手袋を着用する。


3

T 9111-6 : 2000

4.2

個包装を破り,コンドームを取り出す。ただし,その場合,個包装内のコンドームをきずつけない

ように破ろうとする範囲から移動させる。個包装の開封にははさみ又は他の鋭利な道具を使ってはならな

い。

4.3

コンドームを,どの方向にも過度に引き伸ばさないよう注意しながら巻きほぐす。

備考  コンドームは直接,支持棒(3.3)の上で巻きほぐしてもよい。

4.4

コンドームを支持棒の上に掛け,取付具に固定する。0.4∼0.5dm

3

/s (24

∼30dm

3

/min)

の速度で空気を

注入する。コンドームが膨らむこと及び目視できる漏れがないことを確かめる。

膨張中に漏れが認められたならば,試験を中止しそのコンドームは不良とする。破裂容量と破裂圧力と

はゼロとして記録する。

4.5

漏れが認められなければ測定を継続し,破裂容量は 0.5dm

3

で丸めた値を,破裂圧力は 0.05kPa で丸

めた値を記録する。

5.

試験記録  試験記録には,少なくとも次の事項を記載する。

a)

試料のロット番号

b)

関連する試験パラメータ

c)

試験された各コンドームの破裂容量及び破裂圧力

d)

試験年月日


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T 9111-6 : 2000

附属書 A(参考)  破裂容量及び破裂圧力測定用空気膨張装置: 

システム確認と校正の例

A.1

システム確認の解析  異なった検査所で使われている装置は多様化しているため,すべての校正及び

検証手順を限定することはできない。

図 A.1 に掲げた段階的な手順は,多くのシステムの検証,監査及び校正についての適切なシステム確認

の一例である。この段階的な手順は個々の装置の形式に合わせて適用することが必要である。システムに

よっては,チーズ,仕切弁,及び手動コントロールスイッチといった附属装置を取り付けることでシステ

ム確認が容易になる場合がある。

社内校正は適切な期間で定期的に実施することが望ましい。また,計器の読みが疑わしい場合には,そ

の都度,校正を実施する。

A.2

締付具における滑り確認  この試験は,膨張中にコンドームの長さが著しく変わらないことを確実に

するため,外側締付具上部にできるだけ近い位置でコンドームに印を付け,破裂直前まで膨張させ,精液

だまり付近を針で刺し破裂させ,印を付けた位置のずれを見る。

A.3

膨張範囲の長さ確認  次の事項を確認する,

a)

コンドームを 125mm で膨張させるための支持棒の高さを測定する。

b)

支持棒を適切に固定する。

c)

コンドームが締付具によって引き伸ばされない。

d)

コンドームが締め付け前の位置より浮き上がらない。

A.4

内側締付具の漏れ確認  内側締付具に空気漏れがないことを確認する。特にコンドーム内への空気漏

れがないかを確認する。内側締付具と空気供給源とを分離することができる場合には,内側締付具に空気

を充てんし約 5 分間放置した後に空気漏れの有無を確認する。ただし,内側締付具と空気供給源とを完全

に遮断する。例えば,仕切弁を設け,かつ,その弁と空気供給源との間に大気開放弁を設けることが望ま

しい。

A.5

空気供給漏れ確認  空気供給システム及び圧力感知システムの漏れを確認し,測定容量における測定

誤差の原因とならないようにする。

A.6

圧力計の校正  圧力計と変換器 (transducers) は,並列に接続された標準器と照合することで定期的な

確認が可能である。簡便で正確な標準器としては,水管マノメータがあげられる。圧力計の校正は,試験

ヘッドに可変圧力器を設置するか,1 個又は 2 個重ねのコンドームを膨張させることで全使用範囲の圧力

を確認する。


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T 9111-6 : 2000

A.7

送気速度の計算及び補正  破裂容量を時間と送気速度との積で計算するシステムの場合には,送気速

度を正確に知る必要がある。しかし,全送気容量を測定するシステムの場合には,送気速度は規定された

範囲内にあればよい。周囲の条件変化を考慮して,送気速度は規定範囲の中央付近に設定するとよい。

送気速度の校正は,標準器で校正された,適切な範囲をもつ流量計 (rotameter) を使って行う。容量積算

計を使用することも可能である。

校正のための計器は,コンドームを取り付ける試験ヘッドに直接取り付ける。この際,適切なスタンド

及び接続ホース(圧力損失の非常に小さいもの)が必要である。また,計器がラインに組み込まれていな

い場合には,計器を取り付けた後に送気速度が大きく変わらないことを確かめることが重要である。

破裂までの時間の経過に依存するシステムの場合には,周囲の条件変化がわずかでも送気速度に影響を

与えることもあるので,送気速度を一日に 2 回確認し再計算する。天候が大きく変わったときには,その

都度,送気速度を確認し再計算を行う。

備考  容量及び圧力の読みを校正する前の先行条件として漏れをなくすことが欠かせないように,幾つかの項目は,

他のある項目の先行条件となっている。他方,タイマのチェック,膨張範囲の長さの確認,又は自動記録の検
証といった項目は,他の確認項目とは別に行うことができる。

附属書 図 A.1  定期的に行う確認リスト


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A.8

組み込まれた容量積算計又は流量計の校正  容量積算計(例えば,ダイヤフラムメータ又はタービン

メータ)がラインに組み込まれているシステムの場合には,計器の正確さは前述の流量計(又は他の標準

器)で確認することができる。この試験では,破裂容量はコンドームに送り込んだ空気の量で定義される

ので,試験ヘッドの所で測定を行うか,理想気体の法則を使って容量積算計の値を試験ヘッド内の容量に

補正する。容量積算計と試験ヘッド間との圧力損失は,容量積算計内の圧力を測定している圧力計で確認

する。

校正用流量計のような,流量計がラインに組み込まれている場合には,流量計の公式を適用する。流量

計が使用されている圧力及び温度の条件下で,組み込まれた計器と試験ヘッド間の容量の補正を行う。

A.9

タイマの確認  ストップウォッチ又は電子タイマは,電話時報又は放送時報などに照合して確認をす

る。

A.10

自動記録計の検証  圧力,容量又は時間の測定結果が自動的にコンピュータ又は他の装置で記録さ

れるシステムの場合には,記録された値が実際の破裂時の数値と同じであるかを確認する。この確認はシ

ステムの試験ヘッドごとに行う。試験ヘッドごとに 5 個のコンドームの破裂容量(又はシステムによって

は時間)及び破裂圧力を観察する。それらの結果を自動的に記録された値と比較する。

A.11

重要な方程式  ある気体が流動中に圧力の低下を起こした場合には,その気体は膨張していることに

なる。流動速度及び圧力は,理想気体の法則によって次の式で表す。

2

2

1

1

q

p

q

p

×

=

×

ここに,  p

1

と q

1

は,

システム中の位置 1 における圧力と流動速度を示す。

p

2

と q

2

は,位置 2 における圧力と容量である。

流量計上の読みは,そこを通る気体の圧力と温度とに依存している。流量計が圧力 p

0

,温度 T

0

で校正さ

れ,測定場所の条件を p

m

と T

m

とすると,真の流動速度 は示された流動速度 に対し,次の式で表す。

0

0

T

P

t

P

q

Q

m

m

×

=

備考  上記の式において,すべての圧力は絶対圧力である。


 

7

T

 91
1

1

-6 
: 20

00

附属書 1(参考)  JIS と対応する国際規格との対比表

JIS T 9111-6 : 2000

  ラテックス製コンドーム−第 6 部:破裂容量及び破裂圧力の測定 ISO 4074-6 : 1996  ゴム製コンドーム−第 6 部:破裂容量及び破裂圧力の測定

(I)

  JIS の規定 (III)  国際規格の規定 (IV)  JIS と国際規格との技術的差異

の項目ごとの評価及びその内容

表示箇所:本体,附属書 
表示方法:点線の下線

項目番号

内容

(II)

  国際規格

番号

項目
番号

内容

項目ごと

の評価

技術的差異の内容

(V)

  JIS と国際規格との技術的

差異の理由及び今後の対策

1.

適用範囲

破裂容量及び破裂圧力の測

定方法を規定

ISO 4074-6

1.

JIS

に同じ IDT

2.

原理

空気で膨らまし,破裂容量と

破裂圧力を記録

2.

JIS

に同じ IDT

3.1

  圧力計 3.1  JIS に同じ IDT

3.2

  破裂容量を記録する装

3.2

  JIS に同じ IDT

3.3

  支持棒

    長さ  125±2mm

3.3

  支持棒

長さ  150±3mm

MOD

/変更

測定範囲の変更

破裂試験の信頼性を増すためリ

スクの高い亀頭の方向に重点を
おく試験方法とした。

ISO/TC 157

へ提案済

3.

装置

3.4

  締付具

鋭 利な 縁 及 び突 起 がな

いこと 
外 側締 付 具 の縁 は 滑ら
かで十分な R をとる。

3.

3.4

  締付具

鋭利な縁及び突起がな

いこと

MOD

/追加

外側締付具の縁は滑らかで
十分な R をとる,を追加し

より正確な試験が実施できるよ
うにした。

4.

手順

手順

4.

JIS

に同じ IDT

5.

試験記録

試験記録事項

5.

JIS

に同じ IDT

附属書 A 
(参考)

測定用空気膨張装置のシス
テム確認と校正の例

A

JIS

に同じ IDT

JIS

と国際規格との対応の程度の全体評価:MOD


 

8

T

 91
1

1

-6 
: 20

00

備考1.  項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。

−IDT…………………技術的差異がない。 
−MOD/追加………国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。

−MOD/変更………国際規格の規定内容を変更している。

2.  JIS

と国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。

−MOD………………国際規格を修正している。