サイトトップへこのカテゴリの一覧へ

background image

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

T 8204-1986 

検知管式硫化水素測定器(測長形) 

Detector Tube Type Hydrogen Sulfide Measuring Instruments 

(Length-of-Stain Type) 

1. 適用範囲 この規格は,硫化水素の発生するおそれがあるピット,マンホール,浄化槽,暗きょ,地

下室,タンク,管,溝,槽,熱交換器,船倉などの内部における硫化水素濃度の測定に使用する測長形の

検知管式硫化水素測定器(以下,測定器という。)について規定する。 

引用規格: 

JIS B 7516 金属製直尺 

JIS K 0108 排ガス中の硫化水素分析方法 

2. 種類 

2.1 

ガス採取器の種類 ガス採取器の種類は,表1のとおりとする。 

表1 ガス採取器の種類 

種類 

適用 

備考 

シリンダ形 検知管を接続したガス採取器のシリンダ内部をピストンによ

って減圧状態にし,検知管を通して試料ガスを吸引する方式。 付図1 

蛇腹形 

ばねの応力などを利用して蛇腹の作動を行い,その内部を減
圧状態にし,検知管を通して試料ガスを吸引する方式。 

付図2 

2.2 

検知管の種類 検知管の種類は,表2のとおりとする。 

表2 検知管の種類 

種類 

適用 

備考 

直読式 

検知管の表面に印刷してある濃度用目盛を用いて,検知剤の
変色長さを直読して,硫化水素濃度を測定する方式。 

付図3 

濃度表式 

添付の濃度表(1)を用いて検知剤の変色長さを読み取って,硫
化水素濃度を測定する方式。 

付図4 
付図5 

注(1) ガラス管内径のばらつきに起因する変色長さのばらつきを補正するチャート

で,濃度用目盛が付けてあるもの。 

3. 性能 

3.1 

ガス採取器 

3.1.1 

内容積 7.4.1(1)に規定する試験を行ったとき,その誤差は,11.(1)(a)に規定する内容積の±5%以内

とする。 

3.1.2 

気密性 

(1) シリンダ形のガス採取器は,7.4.1(2)(a)に規定する試験を行ったとき,漏れ量は,3.1.1の規定によっ

background image

T 8204-1986  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

て測定した内容積の3%以内とする。 

(2) 蛇腹形のガス採取器は,7.4.1(2)(b)に規定する試験を行ったとき,毎分の漏れ量は,11.(1)(a)に規定す

る内容積の3%以内とする。 

3.1.3 

耐久性 7.4.1(3)に規定する試験を行ったとき,3.1.1及び3.1.2の規定を満足しなければならない。 

3.2 

検知管 

3.2.1 

目盛範囲 検知管の目盛範囲は,硫化水素濃度で0〜15ppmの範囲を含み,少なくとも1ppm当た

りの長さは,0.5mm以上とする。 

3.2.2 

指示精度 7.4.2(2)に規定する試験を行ったとき,各濃度レベルの試験用ガスに対して,個々の検

知管の指示値の誤差は,それぞれ±25%以内とし,かつ,各濃度レベルごとの検知管指示値の平均値の誤

差は,それぞれ±15%以内とする。 

3.2.3 

変色先端面のばらつき 7.4.2(3)に規定する試験を行ったとき,次の式を満足しなければならない

(図1参照)。 

20

.0

M

ΔL

ここに, ∆L=L2−L1 
 

2

2

1

L

L

M

+

=

L1: 最低指示濃度 

L2: 最高指示濃度 

図1 変色先端面のばらつき 

3.2.4 

温度による影響 7.4.2(4)に規定する試験を行ったとき,3.2.2に規定する性能を維持しなければな

らない。 

4. 構造 測定器は,ガス採取器及び検知管から成り,検知管をガス採取器に取り付け,一定量の試料ガ

スを通すことによって,検知剤を変色させ,直読式は検知管の濃度用目盛(付図3),濃度表式は添付の濃

度表(付図5)によって,試料ガス中の硫化水素濃度を測定する構造で,各部の構造は次のとおりとする。 

4.1 

ガス採取器 ガス採取器は,検知管取付口に検知管を差し込み,ガス採取器の内部を減圧状態にし

て,検知管内に一定量の試料ガスを通気する機能をもつ構造とする。 

4.2 

検知管 検知管は,内径及び全長が均一なガラス管などの透明な管に一定量の検知剤を詰め,かつ,

検知剤が緩まないように綿栓などを当てがい,更に,管の両端を密閉したもので,次に規定する事項に適

合しなければならない。 

(a) 検知剤の端面の垂直方向のずれの寸法(図2に示す∆l)は,JIS B 7516(金属製直尺)に規定する金

属製直尺を用いて測り,2mm以内であること。ただし,直読式検知管は,ガス入口側端面に限って

適用する。 

background image

T 8204-1986  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図2 検知剤端面の垂直方向のずれ 

(b) 直読式検知管の目盛は,容易に消えないものであること。 

5. 外観 外観は,7.2又は7.3の試験を行ったとき,次の事項に適合しなければならない。 

(1) ガス採取器 ガス採取器の外観は,検知管取付口のゴムのき裂,変形などがないこと。 

(2) 検知管 検知管の外観は,ピンホール,き裂,きずなどがないこと。 

6. 材料 

6.1 

ガス採取器 ガス採取器の金属部は,耐食性のもの又はさび止めを施したものとし,ゴム部又はプ

ラスチック部は,容易に摩耗・変質しないものとする。 

6.2 

検知管 検知管の材料は透明で,かつ,容易に変質及び変形を生じないものとする。 

6.3 

検知剤 検知剤は,シリカゲルなどの担体に硫化水素と反応して呈色する試薬を含浸させたもので,

容易に分解及び変質を起こさないものとする。 

7. 試験 

7.1 

試験場所の標準状態 試験場所の標準状態は,温度20±2℃,湿度65±20%及び気圧1000±50hPa(2)

とする。 

注(2) 1hPa=1mbar 

7.2 

構造試験 構造試験は,4.及び6.に規定する事項について調べる。 

7.3 

外観試験 外観試験は,5.及び10.に規定する事項について,目視及び手ざわりによって調べる。 

7.4 

性能試験 

7.4.1 

ガス採取器の試験 ガス採取器の試験は,次の事項について行う。 

(1) 内容積試験 ガス採取器の検知管取付口に,両端を開封した検知管を差し込み,検知管の他端にせっ

けん膜流量計又は目盛を校正したガラス注射筒を連結して,通気操作を行い,ガス採取器の内容積を

測定する。 

(2) 気密試験 

(a) シリンダ形のガス採取器は,ガス採取器の検知管取付口を密閉し,吸引操作を行い,11.(1)(b)で示

す時間後に,ハンドルのロックを外し,ピストンが戻った位置によって,気密性が3.1.2(1)の規定を

満足しているかどうかを調べる。 

(b) 蛇腹形のガス採取器は,ガス採取器の検知管取付口を密閉し,吸引操作を行い,11.1(b) で示す時間

後に,気密性が3.1.2(2)の規定を満足しているかどうかを調べる。 

(3) 耐久性試験 ガス採取器の検知管取付口に,両端を開封した検知管を差し込み,通気操作を100回繰

り返した後,(1)及び(2)に規定する試験を行う。 

background image

T 8204-1986  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

7.4.2 

検知管の試験 検知管の試験は,(1)に規定する試験用ガスを用い,4段階の濃度レベルについて,

次の各試験をそれぞれ行う。ただし,4段階の濃度レベルは,検知管の目盛範囲を3等分した3区間の各

中間濃度付近及び10ppm付近とする。 

(1) 試験用ガス 試験用ガスは,JIS K 0108(排ガス中の硫化水素分析方法)に規定する排ガス中の硫化

水素分析方法によって濃度を確認する。ただし,パーミエーションチューブを用いる方法で発生させ

た試験用ガスの濃度は,次の式によって濃度を算出して確認する。 

V

m

t

C

×

+

×

=

273

273

08

.

34

4.

22

ここに, C: 硫化水素濃度 (ppm) 
 

t: 試験ガスの温度 (℃) 

m: 単位時間当たりのチューブの減量 (μg/min) 

V: 希釈ガスの流量 (l/min) 

(2) 指示精度試験 11.の規定によって明示する操作方法によって,各濃度レベルごとに,検知管に試験用

ガスを通気し,検知管の指示濃度及びその平均値を求める。 

(3) 変色先端面のばらつき試験 11.の規定によって明示する操作方法によって,各濃度レベルごとに検知

管に試験用ガスを通気し,変色先端部の最低指示濃度 (L1) 及び最高指示濃度 (L2) を求める。 

(4) 温度による影響試験 温度0±2℃及び40±2℃において,(2)に規定する試験を行い,必要があれば温

度補正を施す。 

8. 検査 検査は,受渡検査とし,表3に示す検査項目に従って7.によって試験を行ったとき,3.,4.,5.,

6.及び10.に適合しなければならない。 

なお,受渡検査は,合理的な抜取検査方式による。 

表3 検査 

項目 

全数 

抜取り 

ガ 

ス 

採 

取 

器 

外観 

○ 

構造 

○ 

内容積 

○ 

気密性 

○ 

耐久性 

○ 

検 

知 

管 

外観 

○ 

構造 

○ 

指示精度 

○ 

変色先端面のばらつき 

○ 

温度による影響 

○ 

備考 表中の○印は,検査を行うものを示す。 

9. 製品の呼び方 製品の呼び方は,2.に規定した種類による。 

例1:シリンダ形ガス採取器 

例2:直読式検知管 

10. 表示 

10.1 ガス採取器及びガス採取器収納箱 ガス採取器には,容易に消えない方法で,次の事項を表示しな

ければならない。ただし,(1)については,ガス採取器の収納箱だけの表示でもよい。 

T 8204-1986  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(1) ガス採取器の名称又はその略号 

(2) 製造業者名又はその略号 

(3) 製造年月若しくはその略号又は製造番号 

10.2 直読式検知管,濃度表式検知管の濃度表及び検知管収納箱 容易に消えない方法で,直読式検知管

には(1)〜(3),濃度表式検知管の濃度表には(1)〜(3)及び検知管収納箱には(1),(3)〜(6)の事項を表示しなけ

ればならない。ただし,(6)については11.(2)(b)で代用してもよい。 

(1) 測定対象ガス名又はその化学式 

(2) 濃度用目盛 

(3) 製造業者名又はその略号 

(4) 製造番号 

(5) 有効期限 

(6) 使用温度範囲 

11. 取扱い上の注意事項 測定器には,操作方法を明示した取扱説明書を添付するほか,次の事項を記載

した取扱説明書を添付しなければならない。 

(1) ガス採取器 

(a) 内容積 

(b) 気密試験の方法及び必要な時間 

(c) 高気圧下及び低気圧下での測定方法 

(d) その他必要な事項 

(2) 検知管 

(a) 検知剤の色及び硫化水素による変色 

(b) 温度・湿度による影響及びその補正方法 

(c) 他のガスによる影響 

(d) ストローク数又は通気量及び通気時間 

(e) 保管方法 

(f) その他必要な事項 

background image

T 8204-1986  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

付図1 シリンダ形ガス採取器(図は一例を示す。) 

付図2 蛇腹形ガス採取器の断面図(図は一例を示す。) 

付図3 直読式検知管(図は一例を示す。) 

付図4 濃度表式検知管(図は一例を示す。) 

background image

T 8204-1986  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

付図5 濃度表(図は一例を示す。) 

T 8204-1986  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

医療安全用具部会 ガス濃度計専門委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員会長) 

房 村 信 雄 

早稲田大学理工学部 

山 口   裕 

昭和大学 

志 賀 四 郎 

社団法人日本保安用品協会 

平 野 隆 之 

工業技術院標準部 

久 賀 俊 正 

通商産業省立地公害局 

福 渡   靖 

労働省労働基準局 

磯 部 満 夫 

理研計器株式会社 

高 橋   昭 

電気化学計器株式会社 

毛 利 泰 規 

光明理化学工業株式会社 

渡 辺 伊 作 

株式会社ガステック 

菅 野 昭 雄 

新コスモス電機株式会社 

佐 藤   久 

エムエスエイジャパン株式会社 

伊 藤 正 治 

ミドリ安全株式会社 

西 島 茂 一 

中央労働災害防止協会 

皆 川 洋 二 

日本電信電話株式会社 

星 野 健一郎 

東京電力株式会社 

石 村 秀 一 

東京ガス株式会社 

石 津 邦 栄 

鉱業労働災害防止協会 

原 山 金 三 

東京消防庁消防科学研究所 

(事務局) 

中 谷 節 男 

工業技術院標準部電気・情報規格課 

釜 土 祐 一 

工業技術院標準部電気・情報規格課