T 8125-2:2009
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲 ························································································································· 1
2 引用規格 ························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 タイプ···························································································································· 3
4.1 脚部防護服のタイプ ······································································································· 3
4.2 タイプA ······················································································································ 3
4.3 タイプB ······················································································································· 4
4.4 タイプC ······················································································································ 5
5 一般構造 ························································································································· 6
6 性能······························································································································· 7
6.1 寸法変化 ······················································································································ 7
6.2 防護範囲 ······················································································································ 7
6.3 チェーンソーによる切断に対する抵抗性 ············································································· 7
6.4 防護材料の取付部の要求事項···························································································· 7
7 試料······························································································································· 7
7.1 試料の数 ······················································································································ 7
7.2 試料のサイズ ················································································································ 8
8 前処理···························································································································· 8
9 試験方法 ························································································································· 8
9.1 寸法変化の測定 ············································································································· 8
9.2 防護範囲の確認 ············································································································· 9
9.3 切断に対する抵抗性の試験······························································································· 9
9.4 取付部の強さの試験 ······································································································ 11
9.5 試験報告書 ·················································································································· 12
10 構造の変更 ··················································································································· 12
11 表示 ···························································································································· 12
12 取扱説明書 ··················································································································· 13
附属書A(参考)タイプA,タイプB又はタイプCの選択·························································· 14
附属書JA(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ································································ 15
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(2)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本保安用品協会(JSAA)及び財団
法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業
標準調査会の審議を経て,厚生労働大臣及び経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。厚生労働大臣,経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,
このような特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確
認について,責任はもたない。
JIS T 8125の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS T 8125-1 第1部:チェーンソーでの切断抵抗性試験に用いるフライホイール駆動式試験装置
JIS T 8125-2 第2部:脚部防護服の試験方法及び要求性能
JIS T 8125-3 第3部:履物試験方法
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日本工業規格 JIS
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手持ちチェーンソー使用者のための防護服−
第2部:脚部防護服の試験方法及び要求性能
Protective clothing for users of hand-held chain-saws−
Part 2: Test methods and performance requirements for leg protectors
序文
この規格は,1999年に第1版として発行されたISO 11393-2を基に,我が国での使用状況の多様性及び
品質向上に対応するため,技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一
覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
この規格は,手持ちチェーンソーの使用によるリスクから身を守るように設計する個人用防護装備に関
連する規格である。
個人用防護装備は,手持ちチェーンソーによる切断を完全には防護できないが,経験からある程度の防
護機能を満たす個人用防護装備の設計が可能である。
これらの機能は,次による。多くの場合,これらを併用する。
a) チェーンスリッピング:ソーチェーンが防護材料の表面を滑って人体を切断しないことによる防護効
果。
b) クロッギング:繊維,糸,その他の材料などがソーチェーンによってソーユニットに引き込まれ,ソ
ーチェーンの動きを停止させる効果。
c) チェーンブレーキング:繊維,その他の材料などがソーチェーンの速度を大幅に低下させてその前進
を阻む効果。
1
適用範囲
この規格は,個人用防護装備の識別,表示及び使用者のための情報についての要求事項を含み,手持ち
チェーンソーによる切断を防護する脚部防護服のタイプ,性能及びその試験方法について規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 11393-2:1999,Protective clothing for users of hand-held chain-saws−Part 2: Test methods and
performance requirements for leg protectors (MOD)
なお,対応の程度を表す記号(MOD)は,ISO/IEC Guide 21に基づき,修正していることを示
す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)は適用しない。
2
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JIS L 1018:1999 ニット生地試験方法
注記 対応国際規格:ISO 3175-1:1998,Textiles−Dry cleaning and finishing−Part 1: Method for
assessing the cleanability of textiles and garments,ISO 3175-2:1998,Textiles−Dry cleaning and
finishing−Part 2: Procedures for tetrachloroethene及びISO 6330:1984,Textiles−Domestic
washing and drying procedures for textile testing(全体評価:MOD)
JIS L 1096:1999 一般織物試験方法
注記 対応国際規格:ISO 5082:1982,Textiles−Woven fabrics−Determination of breaking strength−
Grab method (MOD)
JIS L 1909:2005 繊維製品の寸法変化測定方法
注記 対応国際規格:ISO 3759:1994,Textiles−Preparation, marking and measuring of fabric specimens
and garments in tests for determination of dimensional change及びISO 5077:1984,Textiles−
Determination of dimensional change in washing and drying (MOD)
JIS T 8005:2005 防護服の一般要求事項
注記 対応国際規格:ISO 13688:1998,Protective clothing−General requirements (MOD)
JIS T 8125-1:2008 手持ちチェーンソー使用者のための防護服−第1部:チェーンソーでの切断抵抗
性試験に用いるフライホイール駆動式試験装置
注記 対応国際規格:ISO 11393-1:1998,Protective clothing for users of hand-held chain-saws−Part 1:
Test rig driven by a flywheel for testing resistance to cutting by a chain-saw (MOD)
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1
脚部防護服 (leg protectors)
この規格で規定する脚の防護領域を防護する性能要求を満たす防護服。例えば,ズボン,レギンスなど。
3.2
防護材料 (protective material)
手持ちチェーンソーの切断作用に対し,着用者を防護するように設計された材料。
注記 この防護材料には,生地が含まれていてもよい。
3.3
防護範囲 (protective coverage)
防護材料で覆う衣服の範囲。
注記 3.4の防護領域と一致しているか又はそれより広い範囲を含む。
3.4
防護領域 (specified protective area)
防護服のタイプで必要とされる特定の防護範囲。
3.5
前面(脚部防護服の)[front (of a leg protector)]
服の周囲の前半分。
3.6
後面(脚部防護服の)[rear (of a leg protector)]
3
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服の周囲の後半分。
注記 脚部防護服の前面と後面とを判別することが困難な場合があるが,前処理及び試験の前にそれ
を判別することが非常に重要である。
3.7
カットスルー (cut through)
防護材料の切断試験において,最も身体側に近い防護材料面において,切断長さが10 mmを超えること。
注記 試料が単層又は複数層からなる素材で,それが例えば防護ズボンなどの最終製品を構成したと
き,動いているソーチェーンを着用者の身体から見て外側になる試料の面に当てる。ソーチェ
ーンが試料の層を切りながら減速して止まったときに,ソーチェーンを当てた面と反対側にな
る面に,10 mmを超える切断が生じることを意味する(JIS T 8125-1参照)。
4
タイプ
4.1
脚部防護服のタイプ
脚部防護服のタイプをタイプA,タイプB及びタイプCとし,それぞれのタイプの防護領域を4.2,4.3
及び4.4に規定する。
4.2
タイプA
4.2.1
タイプAの防護領域
タイプAの防護領域は,次のa),b)及びc)とし,図1に示す。
a) 前面 防護領域は脚の外側で,すその上方50 mmからまた(股)の上方200 mmまでの防護服の前面
すべてとする。ただし,前あき部分は除外してもよい。
b) 左脚後面 防護領域は脚の外側で,すその上方50 mmのところからまた(股)の下200 mmまで延び
ている50 mm幅の細長い部分,及びそこからまた(股)の上方200 mmの高さで幅ゼロとなるように
次第に細くなっている部分とする。
c) 右脚後面 防護領域は脚の内側で,すその上方50 mmのところからまた(股)の下50 mmのところ
までの50 mm幅の細長い部分とする。
4.2.2
タイプAのその他の設計要求事項
脚部防護服には,4.2.1の防護領域がなければならない。また,それらは,また(股)の下50 mmから
すそまでが筒状になっており,すそは,着用者が履いている履物と防護材料とを容易に重ね合わせるよう
にしなければならない。
4
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単位 mm
1
渡り線(また上とまた下との境界線)
図1−防護領域,タイプA
4.3
タイプB
4.3.1
タイプBの防護領域
タイプBの防護領域は,次のa),b)及びc)とし,図2に示す。
a) 前面 防護領域は脚の外側で,すその上方50 mmからまた(股)の上方200 mmまでの防護服の前面
すべてとする。ただし,前あき部分は除外してもよい。
b) 左脚後面 脚の内側の防護領域は,すその上方50 mmからまた(股)の下50 mmまでの50 mm幅の
細長い部分とする。脚の外側の防護領域は,すその上方50 mmのところからまた(股)の下200 mm
まで延びている50 mm幅の細長い部分,及びそこからまた(股)の上方200 mmの高さで幅ゼロとな
るように次第に細くなっている部分とする。
c) 右脚後面 防護領域は脚の内側で,すその上方50 mmのところからまた(股)の下50 mmのところ
までの50 mm幅の細長い部分とする。
4.3.2
タイプBのその他の設計要求事項
脚部防護服は,4.3.1に規定する防護領域がなければならない。また,それらは,また(股)の下50 mm
からすそまでが筒状になっており,すそは,着用者が履いている履物と防護材料とを容易に重ね合わせる
5
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ようにしなければならない。
単位 mm
1
渡り線
図2−防護領域,タイプB
4.4
タイプC
4.4.1
タイプCの防護領域
タイプCの防護領域は,次のa)及びb)とし,図3に示す。
a) 前面 防護領域は脚の外側で,すその上方50 mmからまた(股)の上方200 mmまでの防護服の前面
すべてとする。ただし,前あき部分は除外してもよい。
b) 後面 防護領域は,各脚の内側で,すその上方50 mmからまた(股)の下50 mmまでとし,各脚の
外側で,また(股)のレベルまで(図3に示した領域)とする。
防護材料の縫合部は,2か所までとする。
縫合部のすき間の幅は,4 mm未満とする。また,縫合部は,体側に沿うものとする。
4.4.2
タイプCのその他の設計要求事項
防護服のすそは,着用者が履いている履物と防護材料とを容易に重ね合わせられるようにしなければな
らない。
6
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単位 mm
1
渡り線
図3−防護領域,タイプC
5
一般構造
一般構造は,次による。
a) 防護服は,できる限り軽量とする。
b) また(股)と前あきとの開口部は,30 mmまでとする。ただし,この開口部はできるだけ小さく保つ
ことが望ましい。
c) 機械又は雑草木に絡まる可能性がある附属品がないものとする。
d) 留め具の幅は,最低30 mmであるものとする。
e) ひざ(膝)の周りの構造は,ひざの曲げが容易にできるものでなければならない。
f)
脚部防護服がレギンスである場合は,前あきに確実に結合できなければならない。ファスナ,ボタン
などの開口部は,30 mmまでとする。
注記 レギンスの製品には,次のa)〜c)の形体例がある。
a) ズボンと同じ形状で,ズボンの上から着用する。着脱を容易にするために脚部の後中心を
ファスナで開閉することができるようにしているものもある。
b) ズボンのパンツ部分の前合わせ及びしり(尻)合わせを省略した筒状の覆いで,腰ベルト
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又はズボンの腰帯又はベルトにつり下げて着用するようにした部分的な脚覆いの構造のも
の。
c) 脚部を包む覆いで,脚の後でベルト又はファスナによって閉じる構造のもの。
6
性能
6.1
寸法変化
寸法変化は,9.1によって測定したとき,6 %未満でなければならない。
6.2
防護範囲
防護範囲は,9.2によって測定したときタイプA,タイプB及びタイプCは,それぞれ4.2,4.3及び4.4
の規定を満たさなければならない。
6.3
チェーンソーによる切断に対する抵抗性
6.3.1
チェーン速度による分類
切断試験に用いるチェーン速度に応じて,切断抵抗性を次の四つのクラスに区分する。ただし,クラス
1は,チェーンソー防護服として要求される最低限の性能に対応する速度である。
− クラス1:20 m/秒
− クラス2:24 m/秒
− クラス3:28 m/秒
− クラス4:32 m/秒
6.3.2
切断抵抗性の要求事項
試験片は,9.3によって試験をしたとき,カットスルーが生じてはならない。
6.4
防護材料の取付部の要求事項
防護材料は,容易にはく(剥)離したり脱落したりしないように防護服に取り付けるものとする。タイ
プA及びタイプBについては,防護材料の端が脚に沿っていなければならない。また,9.4によって試験
したとき,少なくとも200 Nの荷重に耐えることが望ましい。
7
試料
7.1
試料の数
各タイプの必要とする脚部防護服の試料総数は,次による。
a) タイプA及びタイプB
1) 洗濯による洗浄だけの場合 :4着
2) ドライクリーニングによる洗浄だけの場合 :4着
3) 洗濯及びドライクリーニングの両方による洗浄の場合:8着
構造及び前処理によって,更に多くの試料が必要となる場合がある。
b) タイプC
1) 洗濯による洗浄だけの場合 :5着
2) ドライクリーニングによる洗浄だけの場合 :5着
3) 洗濯及びドライクリーニングの両方による洗浄の場合:10着
構造及び前処理によって,更に多くの試料が必要となる場合がある。また,寸法変化試験に使用し
た試料を切断試験に使用してもよい。
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7.2
試料のサイズ
ズボンのサイズは,JIS T 8005の表1(身体寸法における身長,胸囲及び胴囲寸法の範囲)の胴囲が84
〜88のものとする。また,その他の脚部防護服については,胴囲が85に相当するサイズを選択しなけれ
ばならない。
8
前処理
試験を行う前にすべての試料は,5回の洗濯及び乾燥を実施する。
この洗濯は,JIS L 1018附属書6(繊維製品−繊維製品試験用家庭洗濯及び乾燥方法)の付表1(前面投
入水平ドラム形A1による洗濯操作)の操作2Aによる。また,乾燥は,70 ℃を超えない温度で回転式乾
燥によるものとする。
上記以外の場合は,次のいずれかによる。
a) 脚部防護服の洗濯は,不適切であるがドライクリーニングには適していると表示されている場合 試
料は,試験の前に5回ドライクリーニングしなければならない。通常,ドライクリーニングは,JIS L
1018の附属書3(繊維製品−機械ドライクリーニングに対する安定性の測定)の9.1(普通の繊維製品
のための操作)の規定によって行う。
すなわち,試料を,界面活性剤及び懸濁水を添加したパークロロエチレンで15分間洗い,無添加の
パークロロエチレンで5分間すすぎ脱液する。次に,排気温度が60 ℃以下にした乾燥機で乾燥する。
乾燥後は,アイロンがけなどを行わず,そのまま試験する。
b) 試料が洗濯及びドライクリーニングの両方に適していると表示されている場合 洗濯済み試料及びド
ライクリーニング済み試料(2組の試料)の両方について試験を行う。
警告 a)及びb)の利用者は,通常の実験室での作業に精通しているとしても,安全及び健康に対す
る適切な処置を取らなければならない。パークロロエチレンは,吸引などによって,人体に
悪影響を及ぼすおそれがあるので注意して扱う必要がある。
c) 試料が乾燥機を用いた乾燥に適していないと表示されている場合 試料は,上記の方法で洗濯し,そ
の後自然乾燥[JIS L 1018の附属書6の6.1(操作A−ライン乾燥)による。]する。
9
試験方法
9.1
寸法変化の測定
試料の数は,各前処理について一つの試料とする。
洗濯及び乾燥における寸法の安定性は,JIS L 1018の8.58.4(編地の寸法変化)に規定する試験手順に
従い,クリーニングについては,製造業者の取扱説明書による。
試料は,箇条8による。
脚部防護服は,各洗濯後にアイロンではなく手で形を整えなければならない。
ズボンを試料として使用する場合の寸法変化の測定は,JIS L 1909の7.2.2(マーキング及び処理前測定
方法)による。また,洗濯については,JIS L 1909の規定による。ただし,ドライクリーニングについて
は,JIS L 1018の附属書3によって寸法変化を測定する。測定は,防護材料が取り付けられている箇所と
する。
長さ (L) 及び幅 (W) の寸法を測定するときは,脚部防護服に,20 Nの荷重をかけて伸ばす。長さ方向
は,例えば,懸垂式荷重によって,幅方向は,例えば,伸長器具を用いて行ってもよい。長さ及び幅は,
±5 mmの精度で測定しなければならない。また,20 Nの伸長荷重は,脚部防護服のウエストとしり(尻)
9
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との間に荷重をかけなければならない。伸長荷重は,各端で少なくとも三つのクランプによってかけなけ
ればならない。それによって伸長荷重は,一部に偏ることなく分散していきわたるようになる。
伸長器具は,20 Nの荷重を500 mm以上の間隔にわたってかけなければならない。
9.2
防護範囲の確認
前処理済みの試料の防護範囲を測定する。また,ズボンについては,次の手順で行うのがよい。
ズボンの前面及び後面を判別する。テーブルの上にズボンを,前あきと小またとが中央にくるようにズ
ボンを広げ,脚に沿って内部と外部とのラインの印を付ける。前面の中央にある前のライン及び後面の中
央にある後のラインの印も付ける。
ズボンを,裏返しにする。
防護材料で覆われている領域を測定し,4.2,4.3及び4.4を満たしていることを確認する。
注記 ズボンの広げ方は,規定した方法によって,防護範囲を確認できる場合が最も多い。しかし,
ズボンのデザインによっては,異なった位置にズボンを置き防護範囲を確認することで容易に
なることがある。その場合は,試験報告書にその旨を記載することが望ましい。
裏返しにできないものなど,他のタイプの脚部防護服については,その製品に適した方法を用いて要求
事項に適合していることを確認しなければならない。
9.3
切断に対する抵抗性の試験
9.3.1
試験の目的
この試験の目的は,脚部防護服がチェーンソーの動いているチェーンに接触したときに,防護服の脚部
が巻き込まれることのない状態で,チェーンソーによる切断に対する抵抗性を評価する。
9.3.2
試料
各タイプに必要な試料の数は,タイプA及びタイプBについては,3着の防護服とし,タイプCについ
ては,4着の防護服とする。すべての防護服は,箇条8によって前処理を行わなければならない。洗濯及
びドライクリーニングの両方を行う場合は,試料の数は,2倍とする。
9.3.3
試験装置
試験装置は,JIS T 8125-1の5.1(試験装置)に規定する。ソーユニットの詳細は,JIS T 8125-1の5.3
(ソーユニット)の装置及び寸法とする。また,JIS T 8125-1の5.5(キャリブレーション用パッド取付具)
のキャリブレーション用パッド台及びキャリブレーション用パッド取付具を使用しなければならない。
9.3.4
試験片の取付け
試料は,チェーンソーとの接点が前面の左右の足の中央のライン又は後面の左右の足の中央のライン上
になるようにキャリブレーション用パッド台上に取り付ける。
試験片は,キャリブレーション用パッド取付具を用いて取り付ける。試験片固定ピンがない接点の各面
上約60 mmを除いて試験片固定ピンが防護材料を貫通していることを確認する。試験中の防護服の内側に
50 N/mの伸長荷重をかける。
9.3.5
試験手順
9.3.5.1
位置
切断は,脚の前面又は脚の後面の防護範囲内のいずれかで行う。切断はすべて,試験片が取り付けられ
たキャリブレーション用パッド台に対して45°の角度で,渡り線から250〜500 mmまでの距離をおいて
行い,切断方向は,図4に示すとおりである。防護材料を折りたたむ位置では切断を行ってはならない。
タイプCの脚部防護服に縫合部がある場合は,次による。
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a) 縫合部がタイプBのような脚部防護服の防護領域に相当する範囲内にある場合は,それぞれの縫合部
を横切る切断試験を行う。
b) 縫合部がタイプBのような脚部防護服の防護領域に相当する範囲外で,タイプCの通常の試験点上に
ない場合には,縫合部を横切る切断試験は必要としない。
切断試験は,各試験片ごとに1回だけとする。
単位 mm
1
渡り線
注記 矢印は,切断方向(チェーンソーの回転方向)
図4−切断位置及びその角度
9.3.5.2
切断の数
9.3.5.2.1
タイプA及びタイプB
タイプA及びタイプBの試料に対して,左右の前面の切断を3着すべてに実施する(合計6回)。
9.3.5.2.2
タイプC
タイプCの試料に対して,左右の前面及び後面の切断を4着すべてに実施する(合計16回)。
9.3.5.3
チェーン速度
チェーン速度は,箇条11 h)に表示する6.3.1に規定した速度のうちの一つでなければならない。チェー
ンソー防護服に要求する最高の性能に対応する速度である32 m/秒(クラス4)とする。
11
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9.4
取付部の強さの試験
9.4.1
一般
この試験は,防護材料が適切に防護服に固定されていることを確認することである。外部生地に防護材
料が付いていてチェーンソーを防護する場合は,ズボン又は類似の脚部防護服だけに適用する。防護材料
の縫合部強さは,ズボンの脚部の全長に対しJIS L 1096の8.12.1 b)のB法(グラブ法)の条件で試験する。
9.4.2
試験片
前処理は,1着のズボンを使用する。脚部防護服は,試験の対象となる縫合部から少なくとも100 mm
離して縫合部と平行に切り開いておく。9.3によって既に切断試験に供された防護服は,取付部が損傷又は
変形していないときに限って使用してもよい。
9.4.3
器具
JIS L 1096に規定する引張試験機及びグラブ装置(図5参照)を使用する。
単位 mm
1
固定具
2
つかみ具
3
試料
4
縫い目
5
防護材料
6
荷重
図5−グラブ装置
9.4.4
試験手順
切り開いておいた防護材料の自由端と防護服の反対側の自由端とを,それぞれのつかみ具に固定する。
縫合部(図5の4)から各つかみ具先端までの距離は,25±1 mmとし,つかみ具の端から防護材料の端部,
又は隅までは100 mm離れていなければならない。試験片の付いたつかみ具を引張試験機に取り付けて,
1.5±1 mm/秒の速度で引っ張り,200 N以上であることを確認する。
12
T 8125-2:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
引張試験機が利用できない場合は,5秒ごとに1 kgの質量を試験片が破断するまで下部のつかみ具にか
けることによって行ってもよい。
9.5
試験報告書
試験報告書には,次の事項を記載する。
a) 試料の特定,例えば,製造業者,形,デザイン,サイズなど
b) 前処理方法
c) 寸法変化
d) 防護範囲(タイプA〜C)
e) 防護材料取付部の強さ試験の結果
f)
チェーン速度
g) 切断に対する抵抗性の試験結果,カットスルーの有無及びチェーン停止に作用した停止機能
10 構造の変更
製造業者は,そのタイプを再試験することなくウエストのレベルより上部の構造を変更することができ
る。
11 表示
手持ちチェーンソーの使用者用防護服(脚部防護服)は,少なくとも次の情報を,容易に消えない方法
で表示しなければならない。
a) この規格番号又は名称
b) 製造業者名又はその略号若しくは商標
c) 形番などの識別(形式の会社の特定)
d) 箇条4によるタイプ
e) シリアル番号又はバッチ番号
f)
製造年月又はその略号
g) サイズ
h) チェーン速度による分類:この情報は図6に示す図記号の枠の外側,望ましくは枠の外の下部に示さ
なければならない。
i)
“防護材料が損傷している場合,防護服は廃棄しなければならない。”という文章,又は類似の文章
j)
不適切な処理に対する警告を含む洗濯又はクリーニング指示事項
この規格の要求事項を満たす防護服は,図6に示す図記号(ISO 7000-2416参照)を用いて視認できる
箇所に表示しなければならない。また,その寸法は,30 mm×30 mm以上でなければならない。
図6−図記号:チェーンソーの防護(ISO 7000-2416参照)
30 mm
30 mm
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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T 8125-2:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
12 取扱説明書
手持ちチェーンソーの使用者用防護服には,少なくとも次の事項についての取扱説明書を添付しなけれ
ばならない。
a) 箇条11による表示の説明
b) 製造業者又は輸入業者の名称,所在地及び電話番号
c) 洗濯方法
d) 適正な使用方法
e) 身体にフィットさせるために変更できる許容範囲
f)
防護服の修理方法,特に防護材料を修理してはならないことの明記
g) 防護領域及び防護材料を変更してはならないこと,及び防護材料に切れ込みが入った防護服は,廃棄
することが望ましい旨の指示
h) 防護服を廃棄する基準
i)
“すべてのリスクに対する防護を提供するわけではない”という文章又は類似した文章
j)
タイプ及びサイズごとの100 g単位の概数で表した防護服の質量
参考文献 ISO 7000:1989,Graphical symbols for use on equipment−Index and synopsis
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T 8125-2:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書A
(参考)
タイプA,タイプB又はタイプCの選択
序文
この附属書はタイプA,タイプB又はタイプCの選択について記載するものであって,規定の一部では
ない。
A.1 タイプA及びタイプB
タイプA及びBは,熟練者による使用を想定している。
A.2 タイプB
タイプBは,タイプAと類似しているが,その防護範囲は左脚の内側で50 mm延長されている。この
延長の背景は,脚の動脈がこの部分を通っていることである。事故でこの動脈が損傷を受けると,出血の
ために致命傷となる可能性がある。タイプAは,タイプBよりも快適であると想定される。
A.3 タイプC
タイプCは,例えば,非熟練者による使用又は例外的な状況(樹木に囲まれた作業など)での使用を想
定している。
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T 8125-2:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書JA
(参考)
JISと対応する国際規格との対比表
JIS T 8125-2:2009 手持ちチェーンソー使用者のための防護服−第2部:脚部
防護服の試験方法及び要求性能
ISO 11393-2:1999,Protective clothing for users of hand-held chain-saws−Part 2: Test
methods and performance requirements for leg protectors
(Ⅰ)JISの規定
(Ⅱ)
国際規
格番号
(Ⅲ)国際規格の規定
(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(Ⅴ)JISと国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策
箇条番号
及び名称
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
3用語及び
定義
ISO
11393-2
3
追加
3.7にカットスルーを追加
規定内容を明確にする。
5一般構造
5
追加
レギンスに関する注記を追加
実質上の差異はない。
6性能
6.3.1チェーン速度
による分類
6.3.1
追加
最低速度を明記
クラス4:32 m/秒を追加
実質上の差異はない。
ISO 17249との整合性を図った。
定期見直し時にISOに提案する。
7試料
7.2試料のサイズ
7.2
変更
一回り小さいサイズに変更
日本人の体格に合わせた。
8前処理
8
追加
パークロロエチレンに対する警告を
追加
JISで表示されているパークロロ
エチレンに対する警告を追加した。
9試験方法
9.3.5試験手順
9.3.5
変更
9.3.5.3のチェーン速度の指定がない
場合の試験速度をクラス4に変更
規定内容を明確にする。
技術的な差異はない。
附属書A
(参考)
タイプA,タイプB
又はタイプCの選択
Annex A
(informative)
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 11393-2:1999,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ··············· 国際規格を修正している。
2
T
8
1
2
5
-2
:
2
0
0
9
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。