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T 8118 : 2001  

(1) 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日

本工業規格である。これによってJIS T 8118 : 1994は改正され,この規格に置き換えられる。 

今回の改正では,前回改正以来の技術進歩及び使用環境の変化を考慮して改正を行った。 

また,令和2年10月20日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標

準化法の用語に合わせ,規格中“日本工業規格”を“日本産業規格”に改めた。 

日本産業規格          JIS 

T 8118 : 2001 

静電気帯電防止作業服 

Working wears for preventing electrostatic hazards 

1. 適用範囲 この規格は,作業服の静電気帯電に起因して発生する災害・障害(1)を防止するため,生地

に帯電防止織編物を使用して縫製した静電気帯電防止作業服(上衣,ズボン,つなぎ服,防寒服など,以

下,帯電防止服という。)(2)について規定する。 

注(1) 災害・障害とは,爆発,火災,電撃のような事故及び災害,並びに電子素子の破損,製品の汚

れなどのような生産障害をいう。 

(2) 上衣にはジャンパ及びコート,ズボンにはスカートを含む。 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 6741 硬質塩化ビニル管 

JIS L 0217 繊維製品の取扱いに関する表示記号及びその表示方法 

JIS L 4204 ワーキングウェア 

JIS T 8103 静電気帯電防止靴 

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS L 0217によるほか,次による。 

a) 帯電防止織編物 生地に導電性繊維をほぼ等間隔又はほぼ均一に混入した織物若しくは編物。 

b) 導電性繊維 金属,カーボンなどの導電性材料でできた繊維,又はこれらを一部に使用してできた繊

維で,帯電防止性能をもつもの。 

c) 裏地付き帯電防止服 帯電防止の目的で帯電防止織編物を作業服の表地及び裏地に使用した服。 

d) 摩擦布 摩擦による帯電防止性能の試験に用いるナイロン布又はアクリル布(3)。 

注(3) 材料については,解説を参照。 

4. 性能 帯電防止服の性能は,6.によって試験したとき,1点(4)当たりの帯電電荷量が0.6μC以下でなけ

ればならない。 

注(4) 点とは,上衣,ズボン,つなぎ服,防寒服などの完成品の単位をいう。 

5. 構造及び材料 帯電防止服の構造及び材料は,次の規定を満足しなければならない。 

a) 帯電防止作業服の生地に使用する帯電防止織編物は,7.によって試験したとき,帯電電荷量が7μC/m2

以下のものでなければならない。 

b) 裏地なし帯電防止服の生地は,すべて帯電防止織編物とする。ただし,やむを得ず補強裏地,ポケッ

ト裏地などに帯電防止織編物でない生地を使用する場合には,その面積が帯電防止服の表面又は裏面

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露出面積それぞれの20%を超えてはならない。 

c) 裏地付き帯電防止服(わた入りの防寒服など)の生地は,表地及び裏地についても帯電防止織編物を

使用し,通常裏毛生地(ボア)は使用してはならない。やむを得ず,えり,そで口などに帯電防止織

編物でない生地を使用する場合は,その面積が帯電防止服の表面又は裏面露出面積それぞれの20%を

超えてはならない。 

d) 金属製附属品(ボタン,ファスナなど)は使用しないこと。ただし,やむを得ずこれを使用する場合

には着用状態(ボタン,ファスナを掛けた状態)において直接外側に露出しない構造にする。 

e) 上記以外の材料,寸法,縫製は,JIS L 4204の規定による。 

6. 試験 

6.1 

試料 試料は,上衣,ズボン,つなぎ服,防寒服などの完成品1点とする。 

6.2 

前処理 試料及び摩擦布の前処理は,次による。 

a) 洗濯 試料及び摩擦布の洗濯(5)は,JIS L 0217に規定する洗い方番号103に準じて,洗いからすすぎ

及び脱水までの洗濯を5回繰り返して行い,その後,20分間の注水すすぎを1回,数分間の脱水を行

う。 

注(5) 汚れ落ちを感知して洗濯する方法は,使用しない。 

b) 調湿 試料及び摩擦布の調湿は,洗濯処理を行った試料を乾燥し,その後試験条件で24時間以上調湿

を行い,直ちに(試料については着用状態で)ポリエチレン袋に封入する。 

6.3 

試験機器 性能試験機器は,次による。 

a) 摩擦装置 摩擦装置は,ドラム回転式で表1に示す仕様を満足するもの(6),又はこれと同等以上の性

能をもつものとする。 

注(6) 市販の家庭用タンブル乾燥機を原型にした回転式摩擦装置。 

表1 摩擦装置の主な仕様 

項目 

仕様 

項目 

仕様 

ドラム内径 cm 

65±5 

ドラムの羽根数 枚 

ドラム奥行 cm 

45±5 

風量 m3/min 

2以上 

取出口幅・高さ cm 

30以上 

吸気 

試験環境の空気取出
口周辺に金属部を露
出しない。 

ドラム回転数 min−1 

46以上 

その他 

ドラム内張の材質 

摩擦布 

備考 摩擦布は,毛羽立ちなどの外見上の変化,又は測定結果に異常が認められた場合には,交

換する。 

b) 帯電電荷量測定装置 帯電電荷量測定装置は,ファラデーケージ(7),コンデンサ及び電圧計が図1の

ように接続されたものとする。ただし,ファラデーケージは,試料が容易に入る表2に示す寸法のも

の,コンデンサは,損失の小さいもの,電圧計は,入力抵抗の高いもの(エレクトロメータ)とする。 

注(7) ファラデーケージの開口部から30cm以内に曲率半径5mm未満のエッジを設けてはならない。 

表2 ファラデーケージの仕様 

項目 

寸法cm 

備考 

60以上 

b−a≧10 

70以上 

75以上 

外容器・内容器の上端
の差5cm以上 

85以上 

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図1 帯電電荷量測定装置 

6.4 

試験条件 試験室の温湿度条件は,温度20±5℃,相対湿度 (40±5) %とする。 

6.5 

試験方法 試験方法は,次による。 

a) 裏地なし試料の試験 

1) 摩擦装置を空で運転し,ドラム内温度(8)が60±10℃となるようにする。 

注(8) 運転中に温度計(熱電対など)で確認する。 

2) ドラム内各部を自己放電式除電器などを用いて除電した後,試料を着用状態(9)で同様に除電し,そ

のまま摩擦装置の中へ広げて入れ,表3に示す条件で摩擦装置を運転する。 

注(9) 摩擦中にボタンなどが離れる場合には,その部分を縫いつけておく。 

表3 摩擦装置の運転条件 

項目 

条件 

項目 

条件 

運転時間 

15分間 

その他 

ドラム内の内張
は,清潔に保つ。 

ドラム内温度 

60±10℃ 

3) 帯電電荷量測定装置のコンデンサの両端を短絡した後,再び開放し,ポリエチレンフィルムのよう

な絶縁材料でできたフィルム製の手袋を着用し,運転終了後直ちに,試料をなるべく摩擦布と摩擦

しないように軽くまとめて両手で取り出し,手袋と摩擦しないようにファラデーケージに投入する。

このとき,試料は人体(10)からなるべく離すとともに,他のものには30cm以上近づかないようにす

る。 

注(10) 作業者は,帯電防止服を着用せず,また,帯電防止靴,帯電防止床などによって接地状態とす

る。 

4) 電圧計の指示値V (V) を読み,次の式によって帯電電荷量Q (C) を求める(11)。 

Q=CV 

ここに, C: コンデンサの静電容量 (F) =0.1×10−6 (F) 

注(11) Vは有効数字上位3けたまで読み取り,Qも有効数字上位3けたまで求める。 

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5) 2)〜4)操作を5回行う。ただし,明らかに操作ミス(12)があった場合には,これを除外し,その回数

だけ追加する。 

注(12) 操作ミスと判断した理由を記録に残す。 

6) 以上の操作を,異なる種類の摩擦布についても行う。 

b) 裏地付き試料の試験 

1) 試料を着用状態でa)と同じ方法で帯電電荷量を測定する。 

2) 次に,試料を裏返しにして,ボタン,ファスナなどをかけ,a)と同じ方法で裏返しにした状態の帯

電電荷量を測定する。 

6.6 

測定値の求め方 測定値の求め方は,次による。 

a) 裏地なし試料の測定値 2種類の摩擦布それぞれに対する5回の帯電電荷量の測定結果の平均値(13)を

求め,いずれか大きいほうの値を測定値とする。 

b) 裏地付き試料の測定値 着用状態で測定した2種類の摩擦布それぞれに対する5回の帯電電荷量の測

定結果の平均値(13)を求め,また,裏返しにして実施した同様の測定結果の平均値(13)を求め,それらの

四つの結果のうち最も大きい値を測定値とする。 

注(13) 平均値は,有効数字上位2けたまで求める。 

7. 帯電防止織編物の試験 

7.1 

試料及び摩擦布の採取 試料及び摩擦布は,通常織物及び編み物の両耳端から全幅の1/10以上,端

末から1m以上離れた部分から次のように採取する。 

a) 試料 300×400mmのものをたて糸方向及びよこ糸方向,又はウェール方向及びコース方向にしそれ

ぞれ3枚,計6枚採取する。 

b) 摩擦布 摩擦棒用 (500×440mm) 及び敷板用 (450×400mm) のものを,長辺をウェール方向にしてや

や大き目に採取する(14)。 

注(14) 試料及び摩擦布は,白手袋を着用するなど可能な限り汚さないように注意して採取する。 

備考 摩擦布は,1試験体(試験片数6枚)ごとに未使用のものを使用する。 

7.2 

試料及び摩擦布の前処理 

a) 洗濯 試料及び摩擦布の洗濯は,6.2 a)による。 

b) 試験片の作製 洗濯後乾燥した試料を250×350mmに裁断し,図2に示すように製品の表側を上にし,

長辺方向に260mm残し他端を折り返して両面テープ又はミシンで止める。 

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図2 試験片 

c) 調湿 試験片及び洗濯後乾燥した摩擦布は,試験条件で24時間以上調湿し,直ちにポリエチレン袋に

封入する。 

7.3 

装置及び材料 装置及び材料は,次による。 

a) 帯電電荷量測定装置 6.3 b)による。 

b) 摩擦装置 

1) 摩擦棒 長さ約400mmの硬質塩化ビニル管 (JIS K 6741, VP25) のしんに,摩擦棒用の摩擦布を,

ウェール方向を巻き付け方向,生地表を摩擦面として,一端をテープで止めて重ね巻きし,両側端

を引っ張って管の内側に折り返し,固定する。 

2) 敷板 敷板用の摩擦布を,図3のようにウェール方向を長辺として大きさ320×300mm,厚さ3mm

の金属板の両端(15)に粘着テープを用いて,生地表を表面として四方から巻き込むように固定する。 

注(15) 絶縁物でコロナ放電防止処理をする。 

図3 敷板 

3) 敷台 敷台は,図4に示すような木製のものとする。 

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図4 敷台 

4) 絶縁棒 絶縁棒は,直径約20mm,長さ約500mmのアクリル製のものとする。 

7.4 

試験条件 試験室の温湿度条件は,温度20±2℃,相対湿度 (30±3) %とする。 

7.5 

試験方法 試験方法は,次による。 

a) 試験片の袋部分に絶縁棒を差し込み,試験片,敷板及び摩擦棒を自己放電式除電器などを用いて除電

した後,試験片を敷板の上にしわにならないように置く。 

b) 摩擦棒の両端を素手で持ち,図5に示すように体重の一部が荷重として均一に加わるようにして,1

秒間に1回の速さで摩擦棒を回転させずに先方から手前に引く方法で,試験片を5回繰り返し摩擦(16)

する。摩擦終了後,帯電電荷量測定装置のコンデンサの両端を短絡した後,再び開放し,直ちに絶縁

棒の一端を持ち,図6に示すように試験片が敷板の上を滑らないようにして,絶縁棒を平行に上方に

持ち上げて試験片を約1秒間ではく離し,直ちに絶縁棒ごと試験片を帯電電荷量測定装置のファラデ

ーケージ中に投入する。このとき,試料は人体(17)からなるべく離すとともに,他のものには30cm以

上近づかないようにする。 

注(16) 摩擦1回ごとに摩擦棒を少し回して,摩擦位置をずらす。 

(17) 作業者は,帯電防止服を着用せず,また,帯電防止靴,帯電防止床などによって接地状態とす

る。 

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図5 試験片の摩擦 

図6 試験片のはく離 

c) 電圧計の指示値V (V) を読み,次の式によって単位面積当たりの帯電電荷量σ (C/m2) を求める(18)。 

σ=CV/A 

ここに, 

C: コンデンサの静電容量 (F) =0.1×10−6 (F) 

A: 試験片の摩擦面積 (m2) =0.25×0.25 (m2) 

注(18) Vは有効数字上位3けたまで読み取り,σも有効数字上位3けたまで求める。 

d) a)〜c)の操作を5回行う。 

e) 以上の操作を,6枚の試験片について行う。次に,異なる種類の摩擦布についても同様の操作を行う。 

7.6 

測定値の求め方 2種類の摩擦布それぞれに対して,6枚の試験片それぞれの5回の帯電電荷量の測

定結果の平均値(19)を求め,それらの12の結果のうち最も大きい値を測定値とする。 

注(19) 平均値は,有効数字上位2けたまで求める。 

8. 検査 検査は,合理的な抜取方式によって行い,4.及び5.の規定に適合しなければならない。 

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9. 表示 帯電防止服には,内側の見やすい箇所に容易に消えない方法によって,次の表示を行わなけれ

ばならない。 

a) 製品の名称 

b) 製造業者名及び製造業者の住所又は電話番号 

c) サイズ 

d) 組成及び取扱い絵表示(家庭用品品質表示法による。) 

10. 取扱い上の注意事項 帯電防止服には,次のような取扱い上の注意事項を示さなければならない。 

a) JIS T 8103に規定する静電気帯電防止靴及び帯電防止作業床を併用する。 

b) 帯電防止服は,正しく着用する。 

c) 可燃性物質のような危険物が存在する場所では,着脱しない。 

d) 金属バックルなどは,露出しない。 

e) 大きな損傷を受ける洗濯は,避ける。 

f) 

生地切れなどの損傷がある場合には,交換する。 

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JIS T 8118原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

村 田 雄 司 

東京理科大学 

児 玉   勉 

労働省産業安全研究所 

宮 崎 正 浩 

通商産業省工業技術院 

黒 木 勝 也 

財団法人日本規格協会 

尾 添   博 

労働省労働基準局 

蓮 地 正之介 

社団法人産業安全技術協会 

三 上 圭 二 

社団法人日本保安用品協会 

伊 藤 健 一 

中央労働災害防止協会 

野田澤 富 夫 

三菱石油株式会社 

松 原 経 明 

東京ガス株式会社 

荻 野 正 夫 

東京電力株式会社 

佐 藤 倭 敏 

日本化学繊維検査協会 

倉 橋 勝 彦 

株式会社アルトコーポレーション 

田 沢   寿 

東レ株式会社 

山 岸 正 弘 

東洋紡績株式会社 

米 山 雅 之 

株式会社クラレ 

松 村 不二夫 

ミドリ安全株式会社 

利 岡 信 和 

株式会社シモン 

(事務局) 

秋 山 宣 暉 

社団法人日本保安用品協会