T 8032-1:2015
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目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲 ························································································································· 1
2 引用規格 ························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 原理······························································································································· 3
5 試験装置など ··················································································································· 3
5.1 圧縮空気源 ··················································································································· 3
5.2 圧力計 ························································································································· 3
5.3 排気装置閉塞部品 ·········································································································· 3
5.4 ストップウォッチ又は適切な時間計測器 ············································································· 3
6 試験手順 ························································································································· 3
6.1 一般 ···························································································································· 3
6.2 A法 ···························································································································· 4
6.3 B法····························································································································· 4
7 試験報告書 ······················································································································ 4
附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································· 6
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まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,公益社団法人日本保安用品協会(JSAA)及
び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出が
あり,日本工業標準調査会の審議を経て,厚生労働大臣及び経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
また,令和2年10月26日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標
準化法の用語に合わせ,規格中“日本工業規格”を“日本産業規格”に改めた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。厚生労働大臣,経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の
特許出願及び実用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS T 8032の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS T 8032-1 第1部:ガス気密性の求め方(内部圧力試験)
JIS T 8032-2 第2部:エアロゾル及び気体の漏れ率の求め方(内部への漏れ率試験)
JIS T 8032-3 第3部:液体ジェットに対する耐浸透性の求め方(ジェット試験)
JIS T 8032-4 第4部:液体スプレーに対する耐浸透性の求め方(スプレー試験)
JIS T 8032-5 第5部:液体スプレーに対する耐浸透性の求め方(マネキン試験)
日本産業規格 JIS
T 8032-1:2015
化学防護服完成品の試験方法−
第1部:ガス気密性の求め方(内部圧力試験)
Protective clothing-Test methods for clothing providing protection against
chemicals-Part 1: Determination of resistance to outward leakage of gases
(internal pressure test)
序文
この規格は,2012年に第1版として発行されたISO 17491-1を基とし,使用上の利便性を考慮するため
技術的内容を変更して作成した日本産業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一
覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,化学防護服のうち気密服(以下,防護服という。)のガス気密性を求める内部圧力試験につ
いて規定する。
防護服の性能は,防護服の服内部から外部への空気の漏れの度合いによって評価する。空気の漏れは,
開口部,留め具,縫合部,接合部,微細孔,その他の不完全部分などを介して生じる。評価のための試験
手順には,A法及びB法がある。
注記1 この試験は,防護服を気体で膨張させ,しわを伸ばした状態での気体の服内部から外部への
漏れを評価するものであり,穴,裂け目,ほころびなどの非常に小さな欠陥を発見すること
ができる。
注記2 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 17491-1:2012,Protective clothing−Test methods for clothing providing protection against
chemicals−Part 1: Determination of resistance to outward leakage of gases (internal pressure
test)(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用
規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS T 8115 化学防護服
2
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3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS T 8115によるほか,次による。
3.1
化学防護服(chemical protective clothing)
皮膚が化学物質に暴露又は接触することを防止するために着用する防護服(JIS T 8115の3.1参照)。
3.2
全身化学防護服(whole body chemical protective clothing)
身体の全部又は大部分を防護する化学防護服(JIS T 8115の3.2参照)。
注記1 身体への防護を行うために複数のガーメントを組み合わせたものが,1着の全身化学防護服
となる場合もある。
注記2 全身化学防護服には,フード,ヘルメット,フットウエア,手袋などの様々なその他の保護
具が取り付けられている場合もある。
3.3
ガーメント(garment)
服の1品目。ガーメントは,一層又は多層で構成される。
3.4
気密服(gas-tight suit)
手,足及び頭部を含め全身を防護する化学防護服で,服内部を気密に保つ構造の全身化学防護服(JIS T
8115の4.2参照)。
3.5
防護服材料(protective clothing material)
防護服本体に使用する材料又は材料の組合せ。
注記 防護服材料には,着用者の主防護層(primary barrier)となる材料を含む。同時に使用するバイ
ザー(アイピースともいう。),手袋及びフットウエアの構成に使用される材料は,防護服材料
には含まない。
3.6
縫合部(seam)
縫合,溶着又はその他の方法で作られた,防護服材料間の恒久的な接合部分(JIS T 8115の3.6参照)。
3.7
結合部(assemblage)
化学防護服と,フード,手袋,フットウエアなどの附属品との間の恒久的な接合部分,又はガーメント
間の恒久的な接合部分(JIS T 8115の3.7参照)。
3.8
連結部(joint)
化学防護服と,フード,手袋,フットウエアなどの附属品との間の非恒久的な接合部分,又はガーメン
ト間の非恒久的な接合部分(JIS T 8115の3.8参照)。
3.9
接合部(connection)
縫合部,結合部及び連結部の総称(JIS T 8115の3.10参照)。
3
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4
原理
防護服を規定圧力まで膨らませた後,引き続いて生じる空気漏れの程度を,規定時間後の圧力を記録す
ることによって評価する。二つの異なる試験圧力を規定する。
A法では,1 250 Paの膨張圧力及び1 000 Paの試験圧力を使用する。
B法では,1 750 Paの膨張圧力及び1 650 Paの試験圧力を使用する。
5
試験装置など
5.1
圧縮空気源
20±5 ℃の空気を,950 Pa〜1 800 Paの圧力で供給できるものとする。
5.2
圧力計
1 750±50 Paの圧力を測定できる圧力計とする。
5.3
排気装置閉塞部品
プラグ又はその他の器具で,製造業者が試験目的で供給しているものとする。
5.4
ストップウォッチ又は適切な時間計測器
1秒まで測定できるストップウォッチ又は適切な時間計測器とする。
6
試験手順
6.1
一般
a) 防護服(同時に使用する手袋,フットウエア及び全面マスクを含む。)を適切な平面に広げ,表面を清
潔にして,熱,空気などの流れの原因となるものを取り除く。
b) 直射日光,開放されたドア,隙間風及び空調装置の影響のない試験実施場所を選択する。
c) 防護服を目視検査する。
1) 縫合部の目視検査及び縫合部を軽く引っ張ることによって,縫合部をチェックする。
2) 続いて,空気供給管,取付部品,バイザー又は面体シール,ジッパー及び弁の全てが確実に取り付
けられており,劣化の兆候がないことを確認する。
d) 防護服のしわ及び折り目を可能な限り除去する。
e) 防護服を試験環境温度±3 ℃の温度で少なくとも1時間放置する。
f)
膨張用具の接合部(例えば,エアライン接合部)及び圧力計の接合部(例えば,排気装置,取り外し
可能な手袋)の部位例を図1に示す。圧力計(5.2)を防護服又は服内圧力を計測できる位置(例えば,
排気装置,取り外し可能な手袋の部位)に取り付ける。
g) 防護服上のバルブ及び他の開口部を,製造業者によって提供された適切な閉鎖手段で注意深く閉じる。
h) A法又はB法のいずれかを選択する。
4
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1
エアライン接合部
2
排気装置部
3
取り外し可能な手袋部
4
面体シール(face-plate seal)部
図1−全身防護服における膨張用具接合部及び圧力計接合部の標準的な部位例
6.2
A法
a) 圧縮空気を用いて,1 250±50 Paの膨張圧力まで防護服を注意深く膨らませる。
b) 必要に応じて空気を追加することによって,少なくとも1分間,服内圧力を1 250±50 Paに維持する。
ひだ又は折り目が除去され,防護服が適切に伸張していることを確認する。
c) 1分以上経過した後に,服内の圧力を1 000±50 Paの試験圧力に調整し,空気源を遮断する。
d) さらに4分経過した後に,服内の最終圧力をパスカル単位で記録する。
6.3
B法
a) 圧縮空気を用いて,1 750±50 Paの膨張圧力まで防護服を注意深く膨らませる。
b) 必要に応じて空気を追加することによって,10分間,服内圧力を1 750±50 Paに維持する。ひだ又は
折り目が除去され,防護服が適切に伸張していることを確認する。
c) 10分経過した後に,服内の圧力を1 650±50 Paの試験圧力に調整し,空気源を遮断する。
d) さらに6分経過した後に,服内の最終圧力をパスカル単位で記録する。
7
試験報告書
試験報告書には,次の事項を記載する。
a) この規格(JIS T 8032-1)の番号及び西暦年
b) 用いた試験方法,すなわち,A法又はB法
c) 製造業者名及び/又は供給者名,又はその略号
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d) 6.2 d) 又は6.3 d) で記録された圧力,及び試験環境温度
e) 特記事項及び観察結果
6
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附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS T 8032-1:2015 化学防護服完成品の試験方法−第1部:ガス気密性の求め方(内
部圧力試験)
ISO 17491-1:2012,Protective clothing−Test methods for clothing providing
protection against chemicals−Part 1: Determination of resistance to outward leakage
of gases (internal pressure test)
(I)JISの規定
(II)
国際規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的
差異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
1 適用範囲
ガス気密性測定方
法(内部圧力試験)
について規定
試験手順には,A法
及びB法がある。
1
JISとほぼ同じ
試験手順には,試験方法1
及び試験方法2がある。
変更
変更
ISO規格の第2段落の内容は解
説的なものであることから,JIS
では注記とした。
呼称を統一した。
次回ISOに提案する。
2 引用規格
JIS T 8115を引用
−
追加
3 用語及び
定義
3.6 縫合部
−
追加
3.9で定義に追加しているため,
縫合部を追加。
次回ISOに提案する。
3.9 接合部
2.4
接合部
追加
縫合部も接合部の一つとして定
義することが論理的であるた
め。
次回ISOに提案する。
−
2.9
浸透
削除
本文中に使われていないため。
−
2.10
透過
削除
同上
5 試験装置
など
5.1 圧縮空気源を
規定
4.1
JISとほぼ同じ
追加
利用者の利便性向上のため圧力
の範囲を具体的に規定した。
次回ISOに提案する。
−
5.2及び
5.3のd)
の第2文
から最後
まで
試験終了後の注意点及び
試験が不合格であった場
合の欠陥箇所の確認方法
削除
解説的内容であり,規定とする
必要はない。
次回ISOに提案する。
6
T
8
0
3
2
-1
:
2
0
1
5
7
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JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 17491-1:2012,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 削除……………… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD…………… 国際規格を修正している。
7
T
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:
2
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1
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