T 7402-2:2005
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,日本バイオマテリアル学会(JSB)/財団法人
日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準
調査会の審議を経て,厚生労働大臣及び経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日
本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 5832-12:1996,Implants for surgery
―Metallic materials―Part 12: Wrought cobalt-chromium-molybdenum alloyを基礎として用いた。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。厚生労働大臣,経済産業大臣及び日本
工業標準調査会は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願
公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
JIS T 7402-2には,次に示す附属書がある。
附属書(参考)JISと対応する国際規格との対比表
JIS T 7402の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS T 7402-1 第1部:コバルト-クロム-モリブデン合金鋳造材
JIS T 7402-2 第2部:コバルト-クロム-モリブデン合金展伸材
JIS T 7402-3 第3部:コバルト-クロム-タングステン-ニッケル合金展伸材
JIS T 7402-4 第4部:コバルト-クロム-ニッケル-モリブデン-鉄合金展伸材
T 7402-2:2005
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 用語の定義 ····················································································································· 2
4. 品質 ······························································································································ 2
4.1 化学成分 ······················································································································ 2
4.2 金属組織 ······················································································································ 2
4.3 機械的性質 ··················································································································· 2
5. 試験 ······························································································································ 3
5.1 化学分析試験 ················································································································ 3
5.2 引張試験 ······················································································································ 3
6. 検査 ······························································································································ 3
7. 報告 ······························································································································ 3
附属書(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ····································································· 4
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日本工業規格 JIS
T 7402-2:2005
外科インプラント用コバルト基合金―
第2部:コバルト-クロム-モリブデン合金展伸材
Cobalt based alloys for surgical implant applications―
Part 2: Wrought cobalt-chromium-molybdenum alloy
序文 この規格は,1996年に第1版として発行されたISO 5832-12,Implants for surgery―Metallic materials
―Part 12: Wrought cobalt-chromium-molybdenum alloyを元に,対応する部分については対応国際規格を翻訳
し,技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格であるが,具体化のため,対応国際規格には規
定されていない項目を追加している。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にはない事項である。変更の一覧表をそ
の説明を付けて,附属書(参考)に示す。
1. 適用範囲 この規格は,外科インプラントを製造するために使用されるコバルト-クロム-モリブデン
合金展伸材(以下,Co-Cr-Mo合金展伸材という。)の特性及び対応する試験方法について規定する。
備考1. このCo-Cr-Mo合金展伸材を用いて製造された最終製品から採取した試験片の機械的性質は,
必ずしもこの規格を満足しなくてもよい。
2. この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD
(修正している),NEQ(同等でない)とする。
ISO 5832-12:1996,Implants for surgery―Metallic materials―Part 12:Wrought cobalt-chromium
-molybdenum alloy (MOD)
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS G 0551 鋼のオーステナイト結晶粒度試験方法
備考 ISO 643:1983 Steels−Micrographic determination of the ferritic or austenitic grain sizeからの引
用事項は,この規格の該当事項と同等である。
JIS G 0552 鋼のフェライト結晶粒度試験方法
備考 ISO 643:1983 Steels−Micrographic determination of the ferrirtic or austenitic grain sizeからの引
用事項は,この規格の該当事項と同等である。
JIS G 0553 鋼のマクロ組織試験方法
JIS G 1256 鉄及び鋼−蛍光X線分析方法
JIS G 1258 鉄及び鋼−誘導結合プラズマ発光分光分析方法
JIS H 1273 ニッケル及びニッケル合金中の鉄定量方法
2
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JIS H 1275 ニッケル及びニッケル合金中の炭素定量方法
JIS H 1276 ニッケル及びニッケル合金中のけい素定量方法
JIS Z 2201 金属材料引張試験片
備考 ISO 6892:1984 Metallic materials−Tensile testingからの引用事項は,この規格の該当事項と
同等である。
JIS Z 2241 金属材料引張試験方法
備考 ISO 6892:1984 Metallic materials−Tensile testingからの引用事項は,この規格の該当事項と
同等である。
ASTM E 354 Standard test methods for chemical analysis of high-temperature,electrical,magnetic, and other
similar iron, nickel, and cobalt alloys
3. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。
a) 焼きなまし 材料の拡散が十分に起こる温度で保持し,材料内部の成分偏析及び結晶格子内の内部応
力又は欠陥を熱的に除去する処理。
4. 品質
4.1
化学成分 化学成分は,5.1によって試験を行ったとき,表1による。
表 1 化学成分
化学成分 %
Cr
Mo
Ni
Fe
C
N
Mn
Si
Co
26.0〜30.0
5.0〜7.0
1.0以下
0.75以下
0.35以下
0.25以下
1.0以下
1.0以下
残部
参考 ASTM F 1537では,炭素量が低い(0.14 %以下)合金と高い(0.15〜0.35 %)合金の2タイプに分類されて
いる。ISOでもASTM F 1537に準拠し,2タイプに分類する動きがある。
4.2
金属組織 合金の金属組織は,均一でなければならない。結晶粒径は,JIS G 0552又はJIS G 0551
のどちらかの付図1に示す標準図と比較して,結晶粒度番号が5より細かくなければならない。腐食方法
に関しては,JIS G 0553を参考に行ってもよい。
4.3
機械的性質 機械的性質(引張強さ,耐力及び破断伸び)は,4.2によって試験を行ったとき,表2の
とおりとする。
3
T 7402-2:2005
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表 2 機械的性質
仕上げ方法
引張試験
引張強さ
MPa
耐力
MPa
破断伸び(1)
%
焼きなまし
750以上
550以上
16以上
熱間加工
1 000以上
700以上
12以上
冷間加工(2)
1 172以上
827以上
12以上
注(1) 標点間距離は,5.65
o
A若しくは50 mm。Aoは,試験前の平行部の断面積(mm2)。
(2) 受渡当事者間の協定によって,冷間引抜き材では,高強度で伸びの低い材料を使用できる。
参考1. 焼きなましで破断伸び16 %以上は,ISOでもASTM F 1537に準拠し,20 %以上に改定され
る動きがある。
2. 冷間加工は,ISOでもASTM F 1537に準拠し,Warm-worked(温間加工)に改定される動きが
ある。
3. 冷間加工で引張強さ1 172 MPa以上は,ISOでもASTM F 1537に準拠し,1 192 MPa以上に改
定される動きがある。
4. ASTM F 1537では,焼きなまし条件:熱間圧延後の焼きなまし,熱間加工条件:熱間圧延のま
ま,及び温間加工条件:ひずみ硬化をもたらす加工熱処理と記載されている。また,絞りが,
それぞれの仕上げ方法に対して,破断伸びと同じ値になっている。
5. 試験
5.1
化学分析試験 化学分析試験は,JIS G 1256,JIS G 1258,JIS H 1273,JIS H 1275,JIS H 1276,ASTM
E 354などに準じ最適な方法で行う。
5.2
引張試験
5.2.1
試験片 試験片は,JIS Z 2201による。試験片の本数は,同一ロッド(製造プロセス及び熱処理が
同一)で少なくとも2本以上とする。
5.2.2
試験方法 引張試験は,JIS Z 2241による。
6. 検査 検査は,5.によって試験を行い,4.の規定に適合しなければならない。4.3の規定に適合しなか
った場合及び標点間以外で破断した場合には,同一ロッドから不適合本数の2倍の試験片を追加し,すべ
て4.3を満足した場合だけ適合したとみなす。
7. 報告 製造業者は,必要に応じて材料名,製造方法,寸法,質量,製造年月日,製造業者名,製造番
号,試験の成績などを記載した明細書を注文者に提出する。
関連規格 ASTM F 1537 Standard specification for wrought cobalt-28chromium - 6Molybdenum alloys for
surgical implants
4
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附属書(参考)JISと対応する国際規格との対比表
JIS T 7402-2:2005外科インプラント用コバルト基合金−第
2部:コバルト-クロム-モリブデン合金展伸材
ISO 5832-12:1996,外科用インプラント−金属材料−第
12部:コバルト-クロム-モリブデン合金
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ)
国際規
格番号
(Ⅲ) 国際規格の
規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的
差異の項目ごとの評価及びその
内容
表示箇所:本体
表示方法:点線の下線
(Ⅴ) JISと国際規格
との技術的差異の理
由及び今後の対策
項目番号
内容
項
目
番
号
内容
項目ごと
の評価
技術的差異の内容
1.適用範
囲
Co-Cr-Mo合金
展伸材の特性
及び対応する
試験方法につ
いて規定。
ISO
5832-12
1
JISに同じ
IDT
2.引用規
格
JIS G 0551
JIS G 0552
JIS G 0553
JIS G 1256
JIS G 1258
JIS H 1273
JIS H 1275
JIS H 1276
JIS Z 2201
JIS Z 2241
ASTM E 354
2
ISO 643
ISO 643
―
―
―
―
―
―
ISO 6892
ISO 6892
―
IDT
IDT
MOD/追加
MOD/追加
MOD/追加
MOD/追加
MOD/追加
MOD/追加
IDT
IDT
MOD/追加
JISのあるものに
ついてはJISを追
加し,より具体的
にするためASTM
を引用した。
実質的な差異はな
い。
3.用語の
定義
―
―
MOD/追加
内容がより明確に
なるように用語を
定義した。
実質的な差異はな
い。
4.品質
4.1化学
成分
4.2 金属
組織
4.3機械
的性質
Cr, Mo, Ni, Fe,
C, N, Mn, Si, Co
の化学成分を
規定。
金属組織の結
晶粒度を規定。
引張強さ,耐
力,破断伸びを
規定。
3
4
5
JISに同じ
JISに同じ
JISに同じ
IDT
MOD/追加
IDT
腐食方法について
追加記載した。
5.試験
5.1化学
分析試験
5.2引張
試験
化学分析試験
を規定。
引張試験を規
定。
6
6
JISに同じ
JISに同じ
MOD/追加
MOD/追加
具体的にJIS及び
ASTMの試験方法
規格を明示。
ISO規格には,認可
された分析方法に準
じるとの記述があ
り,実質的な差異は
ない。
JIS T 7401に準じ,試
験片の本数を追加。
5
T 7402-2:2005
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ)
国際
規格
番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的
差異の項目ごとの評価及びそ
の内容
表示箇所:本体
表示方法:点線の下線
(Ⅴ) JISと国際規
格との技術的差異
の理由及び今後の
対策
項目番
号
内容
項目
番号
内容
項目ごと
の評価
技術的差異の内
容
6.検査
検査方法を規定。
―
―
MOD/追加
再試験を追加。
JIS T 7401に準じ,
再試験を追加。
7.報告
製造業者は,必要
に応じて報告の
明細書を注文者
に提出すること
を規定。
―
―
MOD/追加
商取引において
必要なものであ
り,追加した。
JIS T 7401に準じ,
追加。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:MOD
備考1. 項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
― IDT……………… 技術的差異がない。
― MOD/追加……… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
2.
JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
― MOD…………… 国際規格を修正している。