T 7334:2011 (ISO 8980-4:2006)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲 ························································································································· 1
2 引用規格 ························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 要求事項 ························································································································· 2
4.1 一般的要求事項 ············································································································· 2
4.2 視感反射率及び平均反射率······························································································· 2
4.3 コート膜が付いた部分の使用可能寸法 ················································································ 2
4.4 耐久性 ························································································································· 3
5 試験方法 ························································································································· 3
5.1 一般 ···························································································································· 3
5.2 反射率の測定方法 ·········································································································· 3
5.3 分光反射率の決定 ·········································································································· 3
5.4 視感反射率の決定 ·········································································································· 3
5.5 平均反射率の決定 ·········································································································· 4
5.6 耐久性 ························································································································· 4
6 要求に応じて提供可能とする事項 ························································································ 4
7 表示······························································································································· 5
附属書A(参考)反射防止膜付きレンズにおけるρV及びρMの重要性 ············································· 6
附属書B(規定)環境試験の手順····························································································· 7
附属書C(規定)反復摩擦試験の手順 ······················································································ 9
附属書D(規定)目視評価の条件 ··························································································· 11
附属書E(参考)目視評価に合格したレンズ及び不合格になったレンズの例 ··································· 12
附属書F(参考)環境試験の手順の例 ······················································································ 13
附属書G(参考)摩耗器具及び要素の例 ·················································································· 15
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,日本医用光学機器
工業会(JMOIA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正す
べきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,厚生労働大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS T 7334:2005は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。厚生労働大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格 JIS
T 7334:2011
(ISO 8980-4:2006)
屈折補正用眼鏡レンズの反射防止膜の
仕様及び試験方法
Ophthalmic optics-Uncut finished spectacle lenses-
Specifications and test methods for anti-reflective coatings
序文
この規格は,2006年に第2版として発行されたISO 8980-4を基に,技術的内容及び構成を変更するこ
となく作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。
1
適用範囲
この規格は,眼鏡レンズの反射防止膜に関する光学的及び耐久性を含む非光学的要求事項並びにその試
験方法について規定する。ただし,この規格は,次には適用しない。
− 透過率及び吸収率
− 反射光の色
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 8980-4:2006,Ophthalmic optics−Uncut finished spectacle lenses−Part 4: Specifications and test
methods for anti-reflective coatings(IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ
とを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 6253 加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−硬さの求め方
注記 対応国際規格:ISO 48,Rubber,vulcanized or thermoplastic−Determination of hardness (hardness
between 10 IRHD and 100 IRHD)(MOD)
JIS T 7313 屈折補正用単焦点眼鏡レンズ
注記 対応国際規格:ISO 8980-1,Ophthalmic optics−Uncut finished spectacle lenses−Part 1:
Specifications for single-vision and multifocal lenses(MOD)
JIS T 7314 屈折補正用多焦点眼鏡レンズ
注記 対応国際規格:ISO 8980-1,Ophthalmic optics−Uncut finished spectacle lenses−Part 1:
Specifications for single-vision and multifocal lenses(MOD)
JIS T 7315 屈折補正用累進屈折力眼鏡レンズ
2
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注記 対応国際規格:ISO 8980-2,Ophthalmic optics−Uncut finished spectacle lenses−Part 2:
Specifications for progressive power lenses(MOD)
JIS T 7330 眼鏡レンズの用語
注記 対応国際規格:ISO 13666,Ophthalmic optics−Spectacle lenses−Vocabulary(MOD)
JIS T 7331 屈折補正用眼鏡レンズの基本的要求事項
注記 対応国際規格:ISO 14889,Ophthalmic optics−Spectacle lenses−Fundamental requirements for
uncut finished lenses(IDT)
JIS T 7333 屈折補正用眼鏡レンズの透過率の仕様及び試験方法
注記 対応国際規格:ISO 8980-3,Ophthalmic optics−Uncut finished spectacle lenses−Part 3:
Transmittance specifications and test methods(IDT)
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS T 7330によるほか,次による。
3.1
耐久性(durability)
反射防止膜の通常使用において,反射特性の経時的劣化に耐える能力。
注記1 反射防止膜を劣化させる主な要因は,摩擦,熱,紫外線及び湿度である。
注記2 反射防止膜の耐久性に影響を及ぼす主な損傷の原因は,密着の低下である。したがって,こ
の規格の要求事項は,反射防止膜の密着と関連がある。
4
要求事項
4.1
一般的要求事項
反射防止膜付きのレンズは,次のフィニッシュト眼鏡レンズの仕様に関する一般的要求事項に適合しな
ければならない。
− JIS T 7313
− JIS T 7314
− JIS T 7315
− JIS T 7331
− JIS T 7333
注記1 反射防止膜の性質に関する追加情報については,附属書A参照。
注記2 反射防止膜の反射特性は,通常使用におけるコート膜の劣化によって大きく変化してはなら
ない。
4.2
視感反射率及び平均反射率
反射防止膜付きのレンズの視感反射率ρV及び平均反射率ρMは,5.2に規定する方法で測定する。
製造業者が視感反射率及び平均反射率の値を指定する場合,測定値は指定した値の20 %を超えてはなら
ない。
5.4に規定する方法で測定したとき,反射防止膜付きのレンズ表面の視感反射率ρVは,2.5 %未満とする。
4.3
コート膜が付いた部分の使用可能寸法
アンカットフィニッシュト眼鏡レンズのコート膜が付いた部分の使用可能寸法は,(dn−4) mm以上とす
る。ここで,dnは製造業者によって示されたミリメートル単位のレンズの公称寸法である。
3
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4.4
耐久性
5.6に規定する条件の下で連続して試験した5枚のレンズに,5.6.4に規定するような密着性の著しい低
下があってはならない。
試験した5枚のレンズ全てがこの基準を満たしている場合,製品はこの規格に規定する耐久性に適合し
ているものとする。
5
試験方法
5.1
一般
この規格は,眼鏡レンズの反射防止膜に対する形式試験である。コート付けの後,形式試験を実施する
前に少なくとも24時間は経過していなければならない。そのレンズは,20 ℃〜26 ℃の温度で保存する。
5.2
反射率の測定方法
5.2.1
装置
入射角が17°以下であって,380 nm〜780 nmの全ての波長λにおいて,反射率のずれが絶対値で0.1 %
未満(例えば,0.5 %の反射率と示された反射防止膜は,0.4 %〜0.6 %の反射率として測定できる。)の値の
十分な精度で反射率が測定できるデュアル又はシングルビームの分光光度計を使用する。測定波長の増加
量は,5 nmを超えてはならない。分光帯域幅(半値全幅:FWHM)は,5 nmを超えてはならない。
調整用試料と試験する眼鏡レンズとの面の曲率の違いは,0.50 D以下とする。試料の裏面は,測定を妨
げるような反射がないように設計しなければならない(例えば,つや消し処理をし,光沢のない黒色で塗
装する。)。調整用試料は,屈折率n(λ)(誤差,Δn<0.001)が既知で,コート膜のないものでなければなら
ない(表面の反射特性に影響を与える可能性があるため。)。表面は清浄でなければならない。
5.2.2
眼鏡レンズの準備
試験をする眼鏡レンズの表面は,80 mm以上の曲率半径でなければならない。レンズの裏面は,測定を
妨げるような反射がないように設計する(例えば,つや消し処理をし,光沢のない黒色で塗装する。)。表
面は,清浄でなければならない。
5.2.3
測定
調整用試料を挿入し,分光光度計が100 %の値を示すよう調整する。その後,眼鏡レンズを挿入する。
分光光度計は,調整用試料に対する眼鏡レンズの分光反射率の比の値RT(λ)をパーセント(%)で示す。こ
の技術を利用することによって,表面曲率による誤差が除去される。
少なくとも5 nmごとに,380 nm〜780 nmの範囲にわたって調整用試料に対する眼鏡レンズの反射率の
比を測定する。
5.3
分光反射率の決定
調整用試料の表面分光反射率RC (λ)の値は,次の式によって屈折率から理論的に計算する。
()
()
()
2
C
1
1
+
−
=
λ
λ
λ
n
n
R
注記 この計算式は,垂直入射の場合だけに適用する。
眼鏡レンズの表面分光反射率の値は,調整用試料の分光反射率の値と調整用試料に対する眼鏡レンズの
分光反射率との比を乗じることによって求める。
()
()
()
λ
λ
λ
ρ
T
C
R
R
×
=
5.4
視感反射率の決定
分光反射率の値ρ(λ)及びJIS T 7330に規定する計算式を利用して,視感反射率ρVを計算する。
4
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5.5
平均反射率の決定
分光反射率の値ρ(λ)及びJIS T 7330に規定する計算式を利用して,平均反射率ρMを計算する。
5.6
耐久性
5.6.1
装置及び消耗品
5.6.1.1
装置
附属書Bに規定する環境サイクルを作り出す能力をもつ装置。
5.6.1.2
摩耗器具
附属書Cに規定するもの。
5.6.1.3
検査施設
附属書Dに規定するもの。
5.6.2
試験片
この試験方法は,反射防止(AR)コートレンズ及びハードコート付き反射防止コートレンズに適用する。
レンズの曲率半径は,両面とも70 mm以上でなければならない。製品の評価を目的とする場合には,レン
ズを5枚試験しなければならない。
5.6.3
反復摩擦試験と組み合わせた繰返し環境試験
5.6.3.1
中性洗剤と水とを用いてレンズをきれいに洗う。水ですすぎ,柔らかい清浄な布で拭いて乾かす。
5.6.3.2
附属書Dの方法に従ってレンズを検査する。試験用レンズには,剝離,擦りきず,細かなひび割
れ,光の散乱などの欠陥があってはならない。
5.6.3.3
全てのレンズの凹面及び凸面の両方に対して,附属書Cに規定する反復摩擦試験を行う。摩擦試
験は,各レンズ表面の中心部で行わなければならない。
5.6.3.4
附属書Bに規定する1回16時間の環境試験の手順で,レンズをばく露する。
5.6.3.5
レンズを水洗いする。柔らかい清浄な布で水分を静かに拭い取り,レンズを室温に冷ますために
静置する。
5.6.3.6
全てのレンズの凹面及び凸面の両方に対して,1回目の反復摩擦試験と同じ領域で附属書Cに規
定する反復摩擦試験を行う。
5.6.3.7
5.6.3.4〜5.6.3.6と同じ手順を,2回繰り返す。
注記 この時点で,レンズは最初の反復摩擦試験を受けた後,3回の環境試験及び3回の反復摩擦試
験を経たことになる。
5.6.4
評価
各レンズの両面中央部の直径20 mmの領域について,附属書Dに規定する観察条件を用いて,密着性
の著しい低下の有無を検査する。密着性の著しい低下とは,いずれかの面から,コーティングが合計3 mm2
を超えて剝離することをいう(両面の剝離面積は合計しない。)。試験に合格したレンズ及び不合格になっ
たレンズの写真を,附属書Eに示す。
6
要求に応じて提供可能とする事項
製造業者又は製造販売業者は,80 mm以上の曲率半径をもつ典型的な表面についての視感反射率ρV及び
平均反射率ρMの値並びに分光反射率曲線を,要求に応じて提供する。
5
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7
表示
製造業者又は製造販売業者が,この規格に適合することを主張する場合には,包装容器又は利用可能な
文書に,規格番号としてJIS T 7334を記載する。
注記 包装容器上又は附属書類に明示する識別表記については,4.1に示すJIS T 7331参照。
6
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附属書A
(参考)
反射防止膜付きレンズにおけるρV及びρMの重要性
視感反射率ρVは,入射光束に対するレンズ表面で反射した光束の比を示す。ρVは,可視スペクトルの中
央付近(約550 nm)の分光反射率を強調し,スペクトルの青及び赤の端部の重要性を減少させる。
ある種の反射防止膜は,スペクトルの中央における分光反射率ρ(λ)が大変低いが,スペクトルの青及び
赤の端部の反射率が著しく増えるものもある。視感反射率ρVが低いにもかかわらず,反射光のはっきりと
した色合いは,全体の反射率がρVで示されたものよりも高いという主観的な印象を与える。
そのようなタイプのコート膜は,V(λ)で重み付けされていない平均反射率ρMが比較的高く,悪い値を示
す場合もある。しかし,スペクトルの中央が同じような分光反射率をもち,青及び赤の領域の反射率がよ
り低い(よりよい)反射防止膜は,同じようなρVをもつが,ρMは前述のような反射防止膜よりも低くな
る。
したがって,平均反射率ρMは,反射防止膜の光学的及び外観的な性質を表す追加情報を与える。
注記 ρMの値が悪いタイプの反射防止膜は,スペクトルの両端の反射率が増加することを示すので,
夜間運転中に,裏面の反射によってまぶ(眩)しさを感じる場合がある。この分野での生理学
的な研究が更に行われることが期待される。
例 ρV=0.70 % ρM=0.68 %
ρV=0.88 % ρM=3.27 %
図A.1−反射率の測定例
7
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附属書B
(規定)
環境試験の手順
B.1
一般的考察
B.2〜B.5に規定する環境試験の手順は,次の2種類のいずれかの装置を用いて実行することができる。
− 蛍光灯及び結露操作(ASTM D 4329-92参照)
− ISO 9022-9に規定するキセノン照射装置及びB.5に規定する水へのばく露の組合せ。
B.2
環境試験の条件
温度,光照射及び湿潤ばく露に基づくばく露サイクルで構成される各環境試験の手順について,レンズ
を16時間ばく露しなければならない。ばく露サイクルは,30分以上8時間以下に設定しなければならな
い。
B.3
照射
レンズは,凸面を放射光源に向け,レンズ中央部の直径50 mm以上の領域をばく露しなければならない。
ばく露期間の50 %以上は,レンズを表B.1に規定する紫外線〜可視スペクトル照射にばく露しなければな
らない。データには試験室内面で反射した放射を含めなければならないが,試験室の表面から放出される
赤外線を含めてはならない。
さらに,低波長ほど活性が高いので,320 nm〜350 nm領域における1回の試験手順当たりの線量は,0.5
MJ/m2以上0.7 MJ/m2以下でなければならない。結果として,照射光源が320 nm〜350 nm領域で10 W/m2
を超えるエネルギーを放出する場合は,紫外線〜可視スペクトル照射にばく露を連続して行わず,規定の
線量を満たす時間だけばく露するように調整しなければならない。
光源が異なれば,UVA(紫外線A領域)放射の分布も異なる。そのため,表B.1に規定するように,全
UVA範囲の放射の制御に加えて,350 nm未満のUVA放射及び350 nmを超えるUVA放射をそれぞれ制御
しなければならない。
ばく露中に発生するオゾンを試験室から取り除かなければならない。
表B.1−放射光源のスペクトルエネルギー分布
分光範囲
紫外線
可視光線
近赤外線
波長域
nm
〜320
320〜350
350〜380
380〜520
520〜640
640〜780
780〜3 000
放射照度
W/m2
−
30〜40 a)
−
−
−
−
<3
10〜22
14〜25
<250
<210
<200
<600
注a) 320 nm〜380 nmの積分放射照度
B.4
温度についての規定
レンズの表面温度は,全環境試験の手順中50 ℃未満に維持し,照射だけのときは35 ℃以上に達しなけ
ればならない。
8
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B.5
水へのばく露
環境試験の手順の15 %以上で,50 %以下の時間の範囲で,レンズを水又は水蒸気にばく露しなければな
らない。レンズを水又は水蒸気にばく露する場合には,イオン交換水(電気伝導率2 μs・cm−1未満)を用
い,水温を30 ℃未満に維持しなければならない。
注記 環境試験の手順の例を,附属書Fに示す。
9
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附属書C
(規定)
反復摩擦試験の手順
C.1 材料及び装置
C.1.1 摩耗器具
摩耗器具の使用は,マイクロファイバクロスで覆った消しゴムの試験面に対する上の位置決め及び移動
を制御することができる。摩耗器具は,5±1 Nの力を加えるように調整する。
注記 摩耗器具の例を,附属書Gに示す。
C.1.2 消しゴム
消しゴムの原料ゴムは,押出成形された均質なゴムでなければならない。消しゴムの組成物は,試験中
に消しゴムを擦りつけたときに,その後の擦りつけを潤滑にするような物質を,試験中の表面に残す可能
性のある成分を含有してはならない。消しゴムは,JIS K 6253に規定した国際ゴム硬度(IRHD)が,両端
で75±5でなければならない。消しゴムは,直径が6.5 mm〜7 mmでなければならない。消しゴムには,
その使用に有害な影響を及ぼすおそれのある過剰な穴,ひび割れ,亀裂又は異物が存在してはならない。
C.1.3 マイクロファイバクロス
十分な量のマイクロファイバクロス(例えば,1枚の大きさが30 mm×30 mmの布)。
注記1 使用する布は,眼鏡店が眼鏡クリーニング用に顧客に通常配布するような合成マイクロファ
イバクロスである。
この布は,ポリアミドの超極細繊維でできた高密度編地で,次の仕様を満たさなければならない。
− 最低繊維密度:10 000本/cm2
− 表面密度:約165 g/m2
− 厚さ:約0.4 mm
注記2 ケービーセイレン(KB Seiren)社製のマイクロファイバクロスMX100 1) は,この用途に適
した布の一例である。
注1) 附属書Cの要求事項に適合して製造されたマイクロファイバクロスは,次から入手可
能である。この情報は,この規格の使用者に便宜を図るために掲載したものであり,
この製品を推奨するものではない。同じ結果をもたらすことが証明できるならば,同
等の製品を用いることができる。
FACOL27, rue dʼléna
BP 60482
59060 Roubaix cedex 1
France
C.1.4 ビーカー
容量1.5 Lのビーカー1個(JIS R 3503参照)。
C.1.5 イオン交換水
イオン交換水0.5 L(JIS K 0557参照)。
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C.2 手順
C.2.1 摩擦用布の準備
各レンズについて,反復摩擦試験を行うたびに新しい布を用いなければならない。
使用前に,繊維に水を十分染み込ませるため,布をイオン交換水に2分以上浸せきしなければならない。
C.2.2 レンズ反復摩擦試験
C.2.2.1 手作業による試験は,結果のばらつきが大きくなるため,可能ならば,レンズを手作業で摩擦す
る代わりに機械を用いて,C.2.2.2〜C.2.2.9の反復摩擦試験を実施するのがよい。
C.2.2.2 布を水から取り出し,3枚重ねになるように布を折り,消しゴムとレンズとの間に置く。
C.2.2.3 レンズの中心から15 mmの位置に中心がくるように布を置く。布の中心に消しゴムが接触するよ
うに,消しゴム(C.1.2)を取り付けた摩耗器具(C.1.1)を布の上に置く。
C.2.2.4 C.2.2.4〜C.2.2.9に規定する条件を正確に守りながら,摩擦操作を25サイクル行う。
C.2.2.5 反復摩擦試験の全体を通して,5±1 N(C.1.1)の荷重を正確に制御し,摩擦軌道の長さを30±5
mmとし,レンズの中心から±3 mmの範囲で摩擦軌道を交差させる(図C.1参照)。
C.2.2.6 工具は,常に表面に対して±5度の許容差で垂直に保つ。
C.2.2.7 この反復摩擦試験を,約1サイクル/秒の速度で行う。
C.2.2.8 試験用レンズを90°回転し,反復摩擦試験を繰り返す。
C.2.2.9 反復摩擦試験の各段階では,最初の摩擦操作と同じ軌道を摩擦しなければならない。
図C.1−摩擦軌道
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附属書D
(規定)
目視評価の条件
D.1 材料及び装置
周辺光を調節可能な光源を用いて,検査室の照度を200 lxに設定する。
検査システムは,図D.1に示すシステムとする。検査用光束は,400 lm以上とする。例えば,観察者の
目には光源が直接は全く見えないように遮られている場所に,15 Wの蛍光灯又は40 Wの透明な白熱球を
設置する。
D.2 評価方法
次の手順に従って,レンズの各面をそれぞれ別個に評価する。
a) レンズを水洗いし,水分を拭き取って乾燥させる。
b) 約200 lxの照明が得られるように周辺光源を設定する。
c) 拡大鏡を用いずにレンズ検査を行う。
d) 図D.1のように,つや消し黒色を背景にして,光源から300 mm離れた位置に,約45度の角度でレン
ズ表面を観察できるようにレンズをセットする。
e) 角度を調節してレンズ表面の反射を観察する。
単位 mm
1
検査用光源
2
観察者の目
3
遮光板
4
観察者の視線
5
レンズ
6
つや消し黒色の背景
光が光源から直接目に入らず,レンズに直接光が当たるように,遮光板の位置を調節する。
図D.1−目視評価の推奨配置図
12
T 7334:2011 (ISO 8980-4:2006)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書E
(参考)
目視評価に合格したレンズ及び不合格になったレンズの例
レンズの合否を決定するための参考として,図E.1及び図E.2の写真を用いてもよい。
図E.1−不合格になったレンズの例
図E.2−合格したレンズの例
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T 7334:2011 (ISO 8980-4:2006)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書F
(参考)
環境試験の手順の例
F.1
一般
次の三つの順序は,附属書Bに規定した手順に適合する。
F.2
キューパネル(QPanel)社製QUV装置2) を用いる順序
16時間にわたって次の順序を繰り返さなければならない。
− 設定温度45 ℃で4時間にわたって結露させる。
− 設定温度45 ℃で波長340 nm,分光放射照度0.85 W/m2/nmの紫外線を4時間照射する。
警告 温度の行き過ぎを防止するため,結露は最初の段階で行わなければならない。
注記 レンズの温度を50 ℃未満に維持するために,適切な方法でレンズの裏面を冷却する必要があ
る。ドリルで孔を開けたプレートにレンズを取り付け,プレート背面の空気循環にレンズ裏面
がさらされるようにすることで,この状態が達成できる。
注2) キューパネル(QPanel)社の製品は,次から入手することができる。
この情報は,この規格の使用者に便宜を図るために掲載したもので,この製品を推奨するも
のではない。同じ結果をもたらすことが証明できるならば,同等の製品を用いることができる。
QPanel lab products
電話(+44)1204 86 16 16
Express Trading Estate
Fax (+44)1204 86 16 17
Stone Hill Road
info@q-panel.co.uk
Farnworth
Bolton BL4 9TP
England
http://www.q-panel.com
F.3
アトラス(ATLAS)社製サンテスタ(Suntester)3) を用いる順序
次を適用する。
a) キセノンランプを用いた16時間連続照射
− UVAの320 nm〜380 nmの範囲において,放射照度が30 W/m2〜40 W/m2となるように出力を設定す
る。
− UVフィルタ(カットオフ:290 nm,ATLAS参照番号56052371)及び赤外線フィルタ(ATLAS参
照番号56052388)を用いて,試料の温度上昇を制限する。
注3) アトラス(ATLAS)社の製品は,次から入手することができる。
この情報は,この規格の使用者に便宜を図るために掲載したもので,この製品を推奨するも
のではない。同じ結果をもたらすことが証明できるならば,同等の製品を用いることができる。
ATLAS Material Testing Technology LLC
電話(+1)773 327 4520
4114 North Ravenswood Avenue
Fax (+1)773 327 5787
Chicago
Illinois 60613
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T 7334:2011 (ISO 8980-4:2006)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
USA
http://www.atlas-mts.com
b) 30分ごとに,周辺温度と同じ温度のイオン交換水に5分間浸せきする。
注記 アトラス(ATLAS)社製 サンテスタ(Suntester)装置に関しては,300 nm〜800 nmの波長
範囲で放射照度が制御される。この規格と矛盾しないようにこれらの装置を設定するには,
UVA感受性のある検出器を用いてサンテスタ(Suntester)装置を調整する必要がある。適切
なUVA放射照度を得るためには,350 W/m2〜650 W/m2の範囲に設定する必要があることが
分かっている。
F.4
キューパネル(QPanel)社製QSun 2) を用いる順序
次を適用する。
a) キセノンランプを用いた16時間連続照射
− UVAの320 nm〜380 nmの範囲において,放射照度が30 W/m2〜40 W/m2となるように出力を設定す
る。
− “デイライトフィルタ”2)(カットオフ:290 nm)を用いる。
b) 30分ごとに,周辺温度と同じ温度のイオン交換水を5分間噴霧する。
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T 7334:2011 (ISO 8980-4:2006)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書G
(参考)
摩耗器具及び要素の例
G.1
摩耗器具4) の例
器具本体内部を長手方向に移動することができるプランジャは,消しゴムを保持するチャックのある側
の端部に取り付けられる。また,もう一方の端には,本体内部のプランジャの位置を表す目盛又はその他
の表示がある。本体を試験体表面に対して垂直に保持し,目盛の表示が所定の位置にあるとき,プランジ
ャには,ばねの作用で5±1 Nの力が加わる。
1
インジケータ棒
2
プランジャ
3
チャック
4
消しゴム
5
本体
6
キャップ
図G.1−摩耗器具の例
注4) C.1.1及び附属書Gの要求事項に適合して製造された摩耗器具及び消しゴムは,次から入手す
ることができる。
この情報は,この規格の使用者に便宜を図るために掲載したもので,この供給業者を奨励す
るものではない。同じ結果をもたらすことが証明できるならば,同等の製品を用いることがで
きる。
Summers Optical
電話(+01)215 646 1477
321 Morris Road
Fax (+01)215 646 8931
P.O. Box 162
e-mail sgkcck@aol.com
Fort Washington, PA 19034
http://www.emsdiasum.com
USA
G.2
機械化試験装置の例(オプション)
この試験は,本体では手動による試験を採用したが,機械化することによって再現性の高い結果を得る
ことができる。試験装置は,C.1.1に規定する印加圧力を維持しながら,C.2.2に規定する公差の範囲内で,
試験中にレンズサンプルを固定し,準備した機器工具をレンズ表面に対して垂直な状態を保ちながら動か
す手段を備えたものがよい。
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T 7334:2011 (ISO 8980-4:2006)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
1
摩耗器具
2
器具固定ジグ
3
旋回軸
4
試験レンズ固定ジグ
5
マイクロファイバクロス
図G.2−機械化された試験の例(凸面を摩擦する際の配置を示す)
参考文献 [1] JIS R 3503:2007 化学分析用ガラス器具
[2] JIS K 0557:1998 用水・排水の試験に用いる水
[3] ISO 9022-9:1994,Optics and optical instruments−Environmental test methods−Part 9: Solar
radiation
[4] ASTM D 4329-92,Standard Practice for Fluorescent UV Exposure of Plastics
[5] lEC 60068-2-9:1975,Environmental testing−Part 2: Tests. Guidance for solar radiation testing