T 7316:2014 (ISO 10939:2007)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 1
4 要求事項························································································································· 2
4.1 一般 ···························································································································· 2
4.2 光学上の要求事項 ·········································································································· 2
4.3 構造及び機能 ················································································································ 4
4.4 細隙灯顕微鏡による光ハザード ························································································ 4
5 附属文書························································································································· 5
6 表示······························································································································· 5
参考文献 ····························································································································· 6
T 7316:2014 (ISO 10939:2007)
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,日本医用光学機器
工業会(JMOIA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改
正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,厚生労働大臣が改正した日本工業規格であ
る。これによって,JIS T 7316:1988は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。厚生労働大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
T 7316:2014
(ISO 10939:2007)
眼光学機器−細隙灯顕微鏡
Ophthalmic instruments-Slit-lamp microscopes
序文
この規格は,2007年に第2版として発行されたISO 10939を基に,技術的内容及び構成を変更すること
なく作成した日本工業規格である。
1
適用範囲
この規格は,JIS T 15004-1及びJIS T 15004-2とともに,スリット照明を使用して眼及びその附属器[ま
ぶた(瞼),まつげなど]を拡大下で観察する細隙灯顕微鏡の要求事項及び試験方法について規定する。
この規格は,顕微鏡の附属品には適用されない(例 撮影装置,レーザーなど)。
この規格は,JIS T 15004-1及びJIS T 15004-2と差異がある場合には,それらに優先して用いる。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 10939:2007,Ophthalmic instruments−Slit-lamp microscopes(IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ
とを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)は適用しない。
JIS T 0601-1:2012 医用電気機器−第1部:基礎安全及び基本性能に関する一般要求事項
注記 対応国際規格:IEC 60601-1:2005,Medical electrical equipment−Part 1: General requirements for
basic safety and essential performance(MOD)
JIS T 15004-1:2013 眼光学機器−基本的要求事項及びその試験方法−第1部:全ての眼光学機器に適
用される一般的要求事項
注記 対応国際規格:ISO 15004-1:2006,Ophthalmic instruments−Fundamental requirements and test
methods−Part 1: General requirements applicable to all ophthalmic instruments(IDT)
JIS T 15004-2:2013 眼光学機器−基本的要求事項及びその試験方法−第2部:光ハザードからの保護
注記 対応国際規格:ISO 15004-2:2007,Ophthalmic instruments−Fundamental requirements and test
methods−Part 2: Light hazard protection(IDT)
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
2
T 7316:2014 (ISO 10939:2007)
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3.1
細隙灯顕微鏡(slit-lamp microscope)
顕微鏡及びスリット像を提供する回転式照明システムをもつ機器。
3.2
倍率(magnification)
拡大システムを通じて像を無限遠で観察した被写体の視角と,250 mmの距離で裸眼観察した被写体の
視角との比率。
注記1 この倍率Γは,次に示す式を用いて求めることができる。
σ
σ'
Γ
tan
tan
=
ここに,
σ': 顕微鏡を通して被写体を見た視角
σ: 機器を用いず,250 mmの明視距離で同じ被写体を見た視角
注記2 この顕微鏡倍率は,このシステム自体の倍率を成す。
3.3
ハイアイポイント接眼レンズ(high eye point eyepiece)
射出瞳が接眼レンズから十分に離れており,眼鏡の使用が可能な接眼レンズ。
4
要求事項
4.1
一般
細隙灯顕微鏡は,JIS T 15004-1及びJIS T 15004-2に適合しなければならない。
細隙灯顕微鏡は,4.2,4.3及び4.4に適合しなければならない。
これらの要求事項への適合については,形式試験で確認する。
4.2
光学上の要求事項
細隙灯顕微鏡は,表1に示す要求事項に適合しなければならない。これらの要求事項は,その計測誤差
が最小計測値の10 %未満である計測機器で検証する。
試験結果は,統計学の一般原則に基づいて評価する。
注記 評価では,再現性及び検体のばらつきを考慮すること。
3
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表1−光学性能に関する要求事項
No.
項目
要求事項
1
顕微鏡倍率許容誤差(3.2を参照)
±5 %
2
左右観察システムの倍率差
≦3 %
3
左右光学システム
軸の角度差a)
垂直方向
60 mm≦瞳孔間距離≦66 mm
≦10′
55 mm≦瞳孔間距離<60 mm及び
66 mm<瞳孔間距離≦72 mm
≦15′
水平方向
内方b)
≦45′
外方
≦10′
4
変倍による像の移動
≦0.4 mm
5
機械回転軸に関して照明システムの焦点許容値c)
軸方向c)
Δa=±0.5 mm
横方向c)
(Δa)α=±0.35 mm
6
全位置での照明システム(スリット像)の焦点に関して全倍率を含む
左右観察システムの焦点面(ΔR,ΔL)許容値
ΔR,ΔL≦x・d d)
x=2 e)
7
左右観察システム間の焦点差
Δ(R,L)≦x・d d)
x=2 e)
8
接眼レンズ
視度目盛の校正誤差
視度目盛0で±0.25 D
瞳孔間距離調整範囲(最低限)
55 mm〜72 mm
視度調整範囲(最低限)
−5.00 D〜+5.00 D
ハイアイポイント接眼レンズ
−4.00 D〜+2.00 D
左右観察システム間の射出瞳位置の差
≦1.5 mm
9
スリット像
最小幅
≦0.2 mm
最大長
≧8.0 mm
両サイドの平行度(幅0.2 mm〜0.8 mmのスリット像)
≦0.5°
最大幅
スリット長と同じ
注a) 細隙灯顕微鏡用に設計された接眼レンズを使用。
b) この要求事項は,構造上接眼レンズの機械軸が互いに平行でない細隙灯顕微鏡には適用しない。
c) No. 5は,図1を参照。
d) 被写界深度はミリメートルで表示し,次の式によって求める。
N
Γ
N
d
+
=
−
7
1
10
2
6
2
λ
ここに,N:開口数
Γ:顕微鏡の総合倍率(3.2を参照)
λ:JIS B 7090に従った基準波長(nm)
式の第2項は,眼の分解能2′に基づいている。
e) xは,重み係数である。
4
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図記号の説明
(Δa)α=Δa・sin αで,回転角の範囲α=45°
OS :観察システム
IS :照明システム
RC :OSとISとの回転中心
∆a :軸方向の焦点許容誤差
図1−No.5の説明
4.3
構造及び機能
4.3.1
一般
一般要求事項は,次による。
a) スリット像は,最高倍率で観察したとき,平行なスリット端面が滑らかであり,かつ,使用上有害な
欠陥もあってはならない。
b) スリット像は,均一に照明しなければならない。
c) スリット像は,反射及び散乱光によって引き起こされるコントラストの低下があってはならない。
d) 左・右の光学システムの明るさ及び色調は,同一でなければならない。
e) 最高倍率での視野中央の分解能は,少なくとも1 800 Nでなければならない。
これらの要求事項への適合に関しては,観察によって確認する。
4.3.2
ハイアイポイント接眼レンズ
製造業者が,接眼レンズの表示をハイアイポイント接眼レンズとする場合は,観察システムの射出瞳と
接眼レンズの最も近い部分との距離は少なくとも17 mm以上でなければならない。
4.4
細隙灯顕微鏡による光ハザード
この細分箇条は,JIS T 0601-1:2012の10.4〜10.7に置き換える。
細隙灯顕微鏡は,JIS T 15004-2に定める光ハザードに関する要求事項に適合しなければならない。
最初に細隙灯顕微鏡をJIS T 15004-2:2013の箇条4に従い,グループ1又はグループ2の機器に分類す
る。さらに,分類されたクラスに応じて,次に示すJIS T 15004-2の箇条を適用する。
a) グループ1細隙灯顕微鏡
1) 要求事項は,JIS T 15004-2:2013の5.1,5.2及び5.4を適用する。
2) 試験方法は,JIS T 15004-2:2013の6.1,6.2,6.4及び6.5を適用する。
3) 明確にグループ1に分類できる場合,これ以上の要求事項はない。明確にグループ1に分類できな
い場合,b)に示す追加要求事項を適用する。
b) グループ2細隙灯顕微鏡
1) 要求事項は,JIS T 15004-2:2013の5.1,5.3及び5.5を適用する。
5
T 7316:2014 (ISO 10939:2007)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2) 試験方法は,JIS T 15004-2:2013の6.1〜6.5を適用する。
3) JIS T 15004-2:2013の箇条7も適用する。
細隙灯顕微鏡が90 D補助レンズの使用を意図している場合,90 Dレンズは,角膜及び水晶体の露光量
の測定に適した位置に配置しなければならない。
90 Dレンズは,最大照明野で細隙灯顕微鏡の焦点面の後方7 mmに配置する。露光量の測定器は,照明
野の大きさが最小となる90 Dレンズの後方7 mmの位置に配置する。
5
附属文書
細隙灯顕微鏡には,使用方法及び必要な注意事項について記載した文書を添付しなければならない。特
に,次の情報は記載しなければならない。
a) 製造業者の名称及び所在地
b) 出荷こん(梱)包状態の細隙灯顕微鏡が,JIS T 15004-1:2013の5.3に規定する輸送条件に適合する旨
(該当する場合)
c) JIS T 0601-1:2012の7.9に規定する文書
d) 製造業者又は製造販売業者がこの規格の適合を宣言する場合,この規格の規格番号(JIS T 7316:2014)
6
表示
細隙灯顕微鏡には,少なくとも次の情報を容易に消えない方法で表示しなければならない。
a) 製造業者又は製造販売業者の名称及び所在地
b) 細隙灯顕微鏡の名称及び形式
c) JIS T 0601-1:2012が要求するその他の表示項目
6
T 7316:2014 (ISO 10939:2007)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
参考文献
[1] JIS B 7090 光学及び光学機器−基準波長
注記 対応国際規格:ISO 7944,Optics and optical instruments−Reference wavelengths(MOD)