T 7315:2020 (ISO 8980-2:2017)
(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 分類······························································································································· 2
5 要求事項························································································································· 2
5.1 基準温度 ······················································································································ 2
5.2 光学的要求事項 ············································································································· 2
5.3 寸法及び厚さの要求事項 ································································································· 4
5.4 偏光レンズの姿勢に関する要求事項··················································································· 4
6 測定方法························································································································· 4
6.1 一般的事項 ··················································································································· 4
6.2 後面頂点屈折力の測定方法 ······························································································ 4
6.3 乱視軸方向の測定方法 ···································································································· 4
6.4 プリズム屈折力の測定方法 ······························································································ 5
6.5 変化屈折力(加入屈折力を含む。)の測定方法 ····································································· 5
6.6 材料及び表面の品質の検査方法 ························································································ 5
7 表示······························································································································· 5
7.1 恒久的な表示 ················································································································ 5
7.2 一時的な表示 ················································································································ 5
8 識別及び情報 ··················································································································· 6
9 規格適合性の表示 ············································································································· 6
附属書A(参考)材料及び表面の品質 ······················································································ 7
参考文献 ····························································································································· 8
T 7315:2020 (ISO 8980-2:2017)
(2)
まえがき
この規格は,産業標準化法第16条において準用する同法第12条第1項の規定に基づき,日本医用光学
機器工業会(JMOIA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添えて日本産業規格
を改正すべきとの申出があり,日本産業標準調査会の審議を経て,厚生労働大臣が改正した日本産業規格
である。これによって,JIS T 7315:2006は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。厚生労働大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本産業規格 JIS
T 7315:2020
(ISO 8980-2:2017)
屈折補正用屈折力変化眼鏡レンズ
Ophthalmic optics-Uncut finished spectacle lenses-
Specifications forpower-variation lenses
序文
この規格は,2017年に第3版として発行されたISO 8980-2を基に,技術的内容及び構成を変更するこ
となく作成した日本産業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。
1
適用範囲
この規格は,玉形加工前の屈折力変化眼鏡レンズの光学的特性及び幾何学的特性に関する要求事項及び
測定方法について規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 8980-2:2017,Ophthalmic optics−Uncut finished spectacle lenses−Part 2: Specifications for
power-variation lenses(IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ
とを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 7090 光学及び光学機器−基準波長
注記 対応国際規格:ISO 7944,Optics and optical instruments−Reference wavelengths
JIS T 7330 眼鏡レンズの用語
注記 対応国際規格:ISO 13666,Ophthalmic optics−Spectacle lenses−Vocabulary
JIS T 7331 屈折補正用眼鏡レンズの基本的要求事項
注記 対応国際規格:ISO 14889,Ophthalmic optics−Spectacle lenses−Fundamental requirements for
uncut finished lenses
JIS T 7333 屈折補正用眼鏡レンズの透過率の仕様及び試験方法
注記 対応国際規格:ISO 8980-3,Ophthalmic optics−Uncut finished spectacle lenses−Part 3:
Transmittance specifications and test methods
JIS T 7337 屈折補正用枠入り眼鏡レンズ
注記 対応国際規格:ISO 21987,Ophthalmic optics−Mounted spectacle lenses
ISO 8429,Optics and optical instruments−Ophthalmology−Graduated dial scale
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T 7315:2020 (ISO 8980-2:2017)
ISO 8598-1,Optics and optical instruments−Focimeters−Part 1: General purpose instruments
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用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS T 7330及びJIS T 7337による。
注記 データベースの情報は,国内では不要なため削除した。
4
分類
玉形加工前の眼鏡レンズは,次のとおり分類する。
a) 単焦点眼鏡レンズ
b) 多焦点眼鏡レンズ
c) 屈折力変化眼鏡レンズ
5
要求事項
5.1
基準温度
この規格における温度及びその許容差は,23 ℃±5 ℃とする。
5.2
光学的要求事項
5.2.1
一般的事項
光学的特性は,ISO 8598-1の要求事項に適合したレンズメータを使用して測定する。
光学的許容差は,JIS B 7090に規定する基準波長の一つを使用して,レンズの参照基準点において適用
する。
製造業者が確認屈折力について記載する場合,表1〜表4の範囲と許容差とを適宜選択し,確認屈折力
に適用する。この場合,製造業者が包装容器又は添付書類に,確認屈折力について記載してもよい。
5.2.2
主参照基準点での屈折力変化レンズの後面頂点屈折力
5.2.1に従って測定する場合,6.2に規定した方法を用いて,眼鏡レンズはそれぞれの主経線の屈折力に
対する許容差(表1の第2列)及び乱視屈折力に対する許容差(表1の第3列〜第6列)に適合しなけれ
ばならない。
表1−屈折力変化レンズの後面頂点屈折力の許容差
単位 ディオプトリ(D)
後面頂点屈折力の絶対値が
大きい方の主経線屈折力
両主経線の後面頂点屈
折力の許容差
乱視屈折力の絶対値に対する許容差
0.00以上
0.75以下
0.75を超え
4.00以下
4.00を超え
6.00以下
6.00を超え
るもの
0.00以上
6.00以下
±0.12
±0.12
±0.18
±0.18
±0.25
6.00を超え
9.00以下
±0.18
±0.18
±0.18
±0.18
±0.25
9.00を超え 12.00以下
±0.18
±0.18
±0.18
±0.25
±0.25
12.00を超え 20.00以下
±0.25
±0.18
±0.25
±0.25
±0.25
20.00を超えるもの
±0.37
±0.25
±0.25
±0.37
±0.37
5.2.3
乱視軸方向
5.2.1に従って6.3に規定の方法を使用して測定する場合,乱視軸方向は,表2に記載の許容差に適合し
なければならない。乱視軸は,ISO 8429による。
3
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注記 乱視屈折力が0.12 Dよりも小さい場合,乱視軸方向に関する要求事項はない。
表2−乱視軸方向の許容差
乱視屈折力の絶対値
ディオプトリ(D)
0.12未満
0.12以上
0.25以下
0.25を超え
0.50以下
0.50を超え
0.75以下
0.75を超え
1.50以下
1.50を超え
るもの
乱視軸方向の許容差
角度(°)
要求事項なし
±14
±7
±5
±3
±2
5.2.4
変化屈折力(加入屈折力を含む。)
5.2.1に従って6.5に規定の方法を使用して測定する場合,変化屈折力(加入屈折力を含む。)は,表3
に記載の許容差に適合しなければならない。屈折力変化レンズの変化屈折力に対する許容差は,主参照基
準点及び副参照基準点をもつレンズにだけ適用する。
表3−変化屈折力(加入屈折力を含む。)の許容差
単位 ディオプトリ(D)
変化屈折力(加入屈折力を含む。)の値
4.00以下
4.00を超えるもの
許容差
±0.12
±0.18
5.2.5
プリズム屈折力
5.2.1に従って6.4に規定の方法を使用して測定する場合,全体のプリズム(発注されたプリズム及びプ
リズムシニングを含む。)は,表4の許容差に適合しなければならない。発注された処方プリズムがない
レンズも含める。
プリズム屈折力の許容差を決定するためには,次によって主経線の屈折力の絶対値が大きい方の値Sを
求める。
a) 斜方向プリズムとして発注された場合,発注されたプリズムを水平成分と垂直成分とに分解する。
b) 第2列を使用してプリズム全体の水平成分に基づき,表4の行から水平方向のプリズム許容差を決定
する。
c) 第3列を使用してプリズム全体の垂直成分に基づき,表4の行から垂直方向のプリズム許容差を決定
する。
表4−プリズム屈折力の許容差
単位 プリズムディオプトリ(⊿)
水平方向及び垂直方向のプリズ
ム屈折力のうちの大きい方の値
水平方向
垂直方向
0.00以上
2.00以下
±[0.25+(0.1×S)]
±[0.25+(0.05×S)]
2.00を超え 10.00以下
±[0.37+(0.1×S)]
±[0.37+(0.05×S)]
10.00を超えるもの
±[0.50+(0.1×S)]
±[0.50+(0.05×S)]
注記1 Sは,主経線屈折力の絶対値が大きい方の焦点屈折力である。
注記2 (0.1×S)は,偏位0.1 cm(1 mm)のプリズム作用に相当するのに対し,(0.05×S)は,
偏位0.05 cm(0.5 mm)のプリズム作用に相当する。
注記 プリズム屈折力が2.00⊿以下の累進屈折力レンズ指定で,遠用屈折力がSph+0.50,Cyl−2.50,
4
T 7315:2020 (ISO 8980-2:2017)
Ax20°のレンズに表4の許容差を適用する場合の具体例を,次に示す。
例 この指定の場合,両主経線の屈折力は+0.50 D及び−2.00 Dになるため,絶対値が大きい
方の屈折力は2.00 Dとなる。屈折力が2.00 Dの場合,水平方向の許容差は,±[0.25+(0.1
×2.00)]=±0.45⊿となる。垂直方向の許容差は,±[0.25+(0.05×2.00)]=±0.35⊿となる。
5.2.6
プリズム基底方向
プリズムの基底方向の許容差は,水平成分及び垂直成分が表4に適合することを確認して決定する。
5.3
寸法及び厚さの要求事項
レンズの寸法は,次のとおり分類する。
a) 公称寸法(dn):製造業者が定める寸法(mm)
b) 実寸法(de):レンズの実際の寸法(mm)
c) 使用可能寸法(du):光学的に使用可能な領域の寸法(mm)
指定されたレンズの寸法の表示値に対する許容差は,次による。
− 実寸法de:
dn−1 mm≦de≦dn+2 mm
− 使用可能寸法du:
du≧dn−2 mm
使用可能寸法の許容差は,レンチキュラーレンズなどのつばをもつレンズには適用しない。
レンズの厚さは,製造業者が指定するか又は発注者と供給者との合意で決めてもよい。
レンズの厚さは,前面のプリズム測定基準点においてその法線方向に厚さを測定する。公称値に対する
許容差は,±0.3 mmとする。
特別な形状及び寸法で機能させるレンズの寸法並びに厚さは,レンズをはめ込む眼鏡枠の要件が必ず適
用されるため,寸法及び厚さに対する許容差はこれらのレンズには適用しない。その場合の許容差は,発
注者と供給者との合意で決めてもよい。
5.4
偏光レンズの姿勢に関する要求事項
JIS T 7333の手法に従って測定する場合,太陽のまぶしい光を減衰させるための偏光レンズは,透過面
を90°±3°で恒久的アライメント基準マークに位置合わせする。
6
測定方法
6.1
一般的事項
箇条6の基準試験方法と同等な試験方法がある場合は,その測定方法でもよい。
注記 眼鏡レンズの屈折力の測定は,レンズメータの設計,焦点合わせ誤差及び特に機器に対するレ
ンズの位置決めといった種々のパラメータによって左右される。これらは特に,近用部加入屈
折力を決定する場合に該当する。詳細は,ISO/TR 28980を参照する。
6.2
後面頂点屈折力の測定方法
被検レンズの後面をレンズメータのレンズ当てに当ててレンズを測定する。レンズを適切な測定基準点
で中央に位置決めする。表1に従って,後面頂点屈折力を検査する。
6.3
乱視軸方向の測定方法
被検レンズの後面をレンズメータのレンズ当てに当ててレンズを測定する。乱視軸方向は,製造業者が
付加した恒久的アライメント基準マークによって決定する水平線を基準に測定する。表2に従って乱視軸
方向を検査する。
5
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6.4
プリズム屈折力の測定方法
被検レンズの後面をレンズメータのレンズ当てに当ててレンズを測定する。レンズをプリズム測定基準
点で中央に位置決めし,製造業者が付加した恒久的アライメント基準マークによって決定する水平線を基
準にプリズム屈折力の水平成分及び垂直成分を判定する。プリズム屈折力及び反対側のプリズム基底方向
に応じてプリズムコンペンセータを使用してもよい。表4に従ってプリズム屈折力を検査する。
6.5
変化屈折力(加入屈折力を含む。)の測定方法
6.5.1
一般的事項
加入屈折力又は屈折力は,表3に従って検査する。
加入屈折力又は変化屈折力の測定に関して,6.5においてだけ,屈折力変化がある側の面を測定基準面と
して選択して測定する。製造業者がレンズのいずれかの側の面を測定基準面として使用するかを指定して
もよい。
注記 プリズム屈折力がゼロでないレンズの位置で,異なるレンズメータを使用して測定すると,測
定値に差が生じることがある。これは,レンズメータ設計の差,レンズメータの非直線性誤差,
レンズの位置決め,又はレンズをレンズ当てに設置する際の傾きの量,及び主観的な焦点合わ
せ誤差といった測定における影響に起因するものである。
6.5.2
手順
基準面がレンズメータのレンズ当てに正対するようにレンズを配置する。レンズを副参照基準点に位置
決めし,この地点で屈折力を測定する。
基準面をレンズメータのレンズ当てに正対するようにレンズを配置した状態のまま,レンズを主参照基
準点に位置決めし,この地点で屈折力を測定する。
変化屈折力又は加入屈折力は,副参照基準点での屈折力と主参照基準点での屈折力との差として計算す
る。これらの屈折力は,垂直に近いターゲットのレンズを使用して測定した屈折力でも,等価球面度数で
もよい。
6.6
材料及び表面の品質の検査方法
附属書Aに記載する方法を用いて,材料及び表面の品質を評価することができる。
7
表示
7.1
恒久的な表示
レンズには,少なくとも次の事項について恒久的な表示をする。
a) フィッティングポイント又はプリズム測定基準点を通る垂直平面から等距離で,かつ,互いに34 mm
離れた二つの表示で構成される恒久的アライメント基準マーク
b) 次の情報:
1) 主参照基準点及び副参照基準点をもつ屈折力変化レンズについては,耳側のアライメント基準マー
クの下に加入屈折力又は変化屈折力をディオプトリ単位で表示
2) 複数の変化屈折力又は逆進屈折力がある場合,適切な表示を行う(副参照基準点のない逆進屈折力
レンズ及び屈折力変化レンズは,この要求事項から除外してもよい。)。
c) 製造業者,供給者,商標名又は登録商標
7.2
一時的な表示
該当する場合には,次の事項について一時的に表示するのがよい。
a) アライメント基準マーク
6
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b) 主参照基準点の表示
c) 副参照基準点の表示
d) フィッティングポイントの表示
e) プリズム測定基準点の表示
8
識別及び情報
製造業者が眼鏡レンズの包装容器上又は添付書類に提示する情報,及び要請に応じて入手可能となる情
報は,JIS T 7331に適合しなければならない。
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規格適合性の表示
製造業者又は供給者がこの規格に適合していることを主張する場合には,包装容器,提供可能な文書な
どにその旨を表示する。
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附属書A
(参考)
材料及び表面の品質
A.1 評価
各レンズは,その内部又は表面に視界を妨げるおそれのある欠陥が存在してはならない。これ以外につ
いては,軽微で孤立したものの場合は,材料及び表面の欠陥があっても容認される。
A.2 試験方法
明暗境界において,拡大鏡を用いずにレンズの検査を行う。推奨する目視検査システムを図A.1に示す。
周囲照度が約200 lxの室内でレンズを検査する。検査用照明として400 lm以上の光源を使用する。例えば,
15 Wの蛍光灯又は部分的にかさを付けた40 Wの透明白熱電球を使用することができる。
注記 この観察は主観的なものであり,ある程度の経験が必要とされる。
1 つや消し黒の背景(150 mm×360 mm)
2 400 lm以上の光源
3 調整可能な遮光部材
4 調整可能範囲
5 移動可能な状態の眼鏡レンズ
6 観察者の目が位置する平面
7 はっきり見える距離
注記 遮光部材は,光源から目を遮蔽し,かつ,レンズを照明するように調整するものである。
図A.1−レンズの欠陥を目視検査する推奨システム
約300 mm
8
T 7315:2020 (ISO 8980-2:2017)
参考文献
[1] ISO/TR 28980,Ophthalmic optics−Spectacle lenses−Parameters affecting lens power measurement