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(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 気管切開チューブ及び気管切開チューブ用コネクタの一般要求事項 ··········································· 4
5 材料······························································································································· 4
6 気管切開チューブ及び気管切開チューブ用コネクタの設計要求事項 ··········································· 4
7 滅菌済みで供給される気管切開チューブの要求事項 ································································ 8
8 製造業者又は製造販売業者によって提供される情報 ································································ 8
附属書A(参考)理論的根拠 ································································································· 11
附属書B(規定)気管切開チューブ用コネクタ及びネックプレートの気管切開チューブへの取付けの安全
性に関する試験方法 ······································································································· 13
附属書C(規定)カフ直径を測定する試験方法 ········································································· 14
附属書D(規定)カフのヘルニア化の試験方法 ········································································· 15
附属書E(規定)折れ曲がり耐性を決定する試験方法 ································································· 17
附属書F(参考)材料及び設計についての指針 ·········································································· 19
附属書G(参考)リスクアセスメントのためのハザードの特定 ···················································· 20
参考文献 ···························································································································· 22
附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 23
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(2)
まえがき
この規格は,産業標準化法第16条において準用する同法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人
日本医療機器工業会(JAMDI),一般社団法人日本医療機器テクノロジー協会(MTJAPAN)及び一般財団
法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添えて日本産業規格を改正すべきとの申出があり,日本
産業標準調査会の審議を経て,厚生労働大臣が改正した日本産業規格である。これによって,JIS T 7227:
2011は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,この規格の改正公示日から3年間までJIS T 7227:2011を適用することができる。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。厚生労働大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本産業規格 JIS
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気管切開チューブ及び気管切開チューブ用コネクタ
Anaesthetic and respiratory equipment-Tracheostomy tubes and
connectors
序文
この規格は,2016年に第1版として発行されたISO 5366を基とし,我が国の実情に合わせるため,一
部の技術的内容を変更して作成した日本産業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一
覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
箇条又は細分箇条の最初の文字に付したアスタリスク(*)は,対応する項目に関連する指針又は根拠が
附属書Aにあることを示している。
1
適用範囲
この規格は,プラスチック材料又はゴムで作られた気管切開チューブ及び気管切開チューブ用コネクタ
について規定する。ただし,特殊な気管切開チューブには適用しない。この規格の気管切開チューブは,
主に麻酔,人工呼吸器又はその他の呼吸補助を必要とする患者のために設計されたものである。
なお,気管切開チューブの可燃性については,この規格では規定していない。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 5366:2016,Anaesthetic and respiratory equipment−Tracheostomy tubes and connectors(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)
は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS T 0307 医療機器−医療機器のラベル,ラベリング及び供給される情報に用いる図記号
JIS T 0841-1 最終段階で滅菌される医療機器の包装−第1部:材料,無菌バリアシステム及び包装シ
ステムに関する要求事項
JIS T 0993-1 医療機器の生物学的評価−第1部:リスクマネジメントプロセスにおける評価及び試験
JIS T 7201-2-1 吸入麻酔システム−第2-1部:麻酔用及び呼吸用機器−円すい(錐)コネクタ−円す
い(錐)及びソケット
注記 対応国際規格:ISO 5356-1,Anaesthetic and respiratory equipment−Conical connectors−Part 1:
Cones and sockets
2
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JIS T 14971 医療機器−リスクマネジメントの医療機器への適用
ISO 7000,Graphical symbols for use on equipment−Registered symbols
ISO 18190:2016,Anaesthetic and respiratory equipment−General requirements for airways and related
equipment
ISO 80369-7,Small-bore connectors for liquids and gases in healthcare applications−Part 7: Connectors for
intravascular or hypodermic applications
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
注記 代表的な気管切開チューブ及び関連の名称を,図1に示す。
3.1
ベベル角度(angle of bevel)
気管切開チューブ(3.13)の長軸とベベル(3.2)の面とがなす角度。
3.2
べベル(bevel)
気管切開チューブ(3.13)の患者側端(3.12)の傾斜した部分。
3.3
カフ(cuff)
チューブと気管との密閉(シール)を得るために気管切開チューブ(3.13)の患者側端(3.12)付近に取
り付けられた可膨張性バルーン。
3.4
インフレーティングチューブ(inflating tube)
カフ(3.3)を膨らませるためのチューブ。
3.5
パイロットバルーン(pilot balloon)
カフの膨らみを示すためにインフレーティングチューブ(3.4)に取り付けた機器。
3.6
内筒(inner tube)
外筒(3.11)の内くう(腔)に密接したはめ込みチューブ又はカニューラ。
3.7
イントロデューサ,オブチュレータ(introducer,obturator)
気管への外筒(3.11)の挿入を容易にするスタイレット。
3.8
機器側端(machine end)
患者のけい(頸)部から突出する気管切開チューブ(3.13)の末端。
3.9
ネックプレート(neck-plate)
チューブを定位置に保つために使用する気管切開チューブ部分。
3.10
公称長さ(nominal length)
3
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ネックプレート(3.9)の患者側から患者側端(3.12)までの中心線に沿った距離。
3.11
外筒(outer tube)
通常,組織と接触する気管切開チューブ(3.13)部分。
3.12
患者側端(patient end)
気管切開チューブ(3.13)の,気管に挿入される側の末端。
3.13
気管切開チューブ(tracheostomy tube)
気管切開口を通して気管へ挿入するように設計されたチューブ。
a)
b)
1 インフレーティングチューブ
2 ネックプレート
3 カフ
4 患者側端
5 パイロットバルーン
6 気管切開チューブ用コネクタ
7 機器側端
8
外筒
9
パイロットバルーン
10 インフレーションバルブ又は施栓機構
11 先端部
12 べベル
β
ベベル角度(6.3.8参照)
l1
クランプ長(6.3.7.2参照)
図1−代表的な気管切開チューブ
4
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a)
b)
θ 気管切開チューブの機器側端の長軸と患者側端の長軸とで形成される角度
注記 a) での公称長さ=b+c+a,b) での公称長さ=c
図2−気管切開チューブの基本的な寸法の参考データ
4
*気管切開チューブ及び気管切開チューブ用コネクタの一般要求事項
4.1
気管切開チューブ及び気管切開チューブ用コネクタは,JIS T 14971に従ったリスクマネジメントプ
ロセスの実施によって適合を確認する。
注記 附属書Gでは,気管切開チューブのリスクアセスメントのハザードの特定を記載している。
適合性は,リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
4.2
製造業者又は製造販売業者は,同等の安全性を確保できる場合には,この規格で規定しているもの
とは異なる種類の試験を使用してもよい。代わりの試験方法は,この規格に規定した試験方法に照らして
検証していなければならない。
適合性は,製造業者又は製造販売業者の当該文書の調査によって確認する。
5
*材料
チューブ(カフ及び気管切開チューブ用コネクタを含む。)の材質は,JIS T 0993-1に規定する生物学的
安全性の評価を行わなければならない。
適合性は,設計ファイルの調査によって確認する。
注記 附属書Fを参照。
6
気管切開チューブ及び気管切開チューブ用コネクタの設計要求事項
6.1
一般的な設計要求事項
(この規格では,不採用とした。)
6.2
呼称サイズ及び寸法
6.2.1
*呼称サイズ
気管切開チューブの呼称サイズは,6.3.5 a) のインフレーティングチューブによる盛り上がりを除いて,
6.3.1.1に適合する気管切開チューブ用コネクタを含み,表1に規定している内径の許容値範囲内とする。
適合性は,機能試験によって確認する。
5
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表1−気管切開チューブの呼称サイズの公称内径及び許容値
単位 mm
呼称サイズ
公称内径
許容値
呼称サイズ
公称内径
許容値
2.0
2.5
3.0
3.5
4.0
2.0
2.5
3.0
3.5
4.0
+0.2
0.0
6.5
7.0
7.5
8.0
8.5
9.0
9.5
10.0
10.5
11.0
>11.0
6.5
7.0
7.5
8.0
8.5
9.0
9.5
10.0
10.5
11.0
>11.0
±0.2
4.5
5.0
5.5
6.0
4.5
5.0
5.5
6.0
+0.3
0.0
6.2.2
外径
図2のa及びbの実際の測定値は,(インフレーティングチューブ,吸引ラインなどによる突出部を除く。
カフがある場合は,カフの部分を除いて)全長にわたり横断面の最大幅を示す箇所のもので,±0.2 mmの
許容値をもつ表示外径とする。
c部の実際の外径は,±0.5 mmの許容値をもつ表示外径とする。
適合性は,機能試験によって確認する。
注記 外径は,気管壁内及び気管内くう(腔)に入ることを意図したチューブ部分に関連している。
6.2.3
公称長さ
公称長さ[図2のa) 及びb) 参照)]は,ネックプレートの患者側から(存在する場合には,べベルを
含む)患者側端までを測定したときに,呼称サイズ4.5 mm未満のチューブでは製造業者又は製造販売業
者が宣言する長さ[8.2.1 d) 参照]の±1.5 mm,呼称サイズ4.5 mm以上のチューブでは±2.0 mmとし,
ミリメートル(mm)で表示しなければならない。
適合性は,機能試験によって確認する。
6.3
設計
6.3.1
気管切開チューブ用コネクタ
6.3.1.1
回路と併用するために設計した気管切開チューブ又はその内筒の機器側端は,JIS T 7201-2-1に
適合する15 mmおす(雄)コネクタでなければならない。
気管切開チューブ用コネクタは,50 mm/分±5 mm/分の速度で離脱力をかけたときに,50 N未満の力
で気管切開チューブ又は内筒から外れてはならない。
適合性は,附属書Bに規定する試験方法によって確認する。
6.3.1.2
気管切開チューブ用コネクタの最小内径は,気管切開チューブの呼称サイズ以上とする。
適合性は,機能試験によって確認する。
6.3.1.3
内径の移行部には,器具(例えば,サクションカテーテル)が円滑に通るようなテーパを付けな
ければならない。
適合性は,検査によって確認する。
6.3.1.4
15 mm気管切開チューブ用コネクタの内径からISO 80369規格群の小口径コネクタまでの間の誤
接続に関するリスクの評価は,製造業者又は製造販売業者がリスクマネジメントプロセスにおいて対処し
6
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なければならない。
適合性は,リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
6.3.2
ネックプレート
6.3.2.1 非調節可能型ネックプレートは,50 mm/分±5 mm/分の速度で軸方向の離脱力をかけたときに,
50 N未満の力で気管切開チューブから外れてはならない。
適合性は,附属書Bに規定する試験方法によって確認する。
6.3.2.2
調節可能型ネックプレートは,定位置に固定されているとき,50 mm/分±5 mm/分の速度で軸
方向の離脱力をかけたときに,15 N未満の力で移動してはならない。
適合性は,附属書Bに規定する試験方法によって確認する。
6.3.2.3
調節可能型ネックプレートのロック機構は,気管切開チューブの内径の減少が10 %以上生じない
ものでなければならない。
適合性は,機能試験によって確認する。
6.3.2.4
ネックプレートは,患者への取付けが容易に行える手段を備えていなければならない。
6.3.3
内筒
6.3.3.1
内筒の長さは,外筒の患者側端から±1.0 mmとする。
適合性は,機能試験によって確認する。
6.3.3.2
内筒の機器側端は,6.3.1に適合するもの,又は気管切開チューブの外筒の気管切開チューブ用コ
ネクタと麻酔装置若しくは肺換気装置の回路とのこう(咬)合を妨げないものでなければならない。
適合性は,機能試験によって確認する。
6.3.3.3
*気管切開チューブが回路から外れずに気管内にあるとき,内筒が存在するかどうかを視覚的に
確認する手段があることが望ましい。
適合性は,機能試験によって確認する。
6.3.3.4
内筒の内径からISO 80369規格群の小口径コネクタまでの間の誤接続に関するリスクの評価は,
製造業者又は製造販売業者がリスクマネジメントプロセスにおいて対処しなければならない。
適合性は,リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
6.3.4
*カフ
6.3.4.1
カフ内圧が9.0 kPaに達するか又はカフ直径の1.5倍まで膨らませたときに,カフは10秒間は漏
れてはならない。
適合性は,カフを内圧9.0 kPa超,又はカフの直径の1.5倍超のいずれか早く到達するまで膨らませ,漏
れを確認する間10秒以上保持することによって,確認する。
6.3.4.2 カフは,膨らませたカフの一部がチューブの患者側端の開口部を越えた部分まで到達するような,
ヘルニア化をしてはならない(図D.1を参照)。
適合性は,附属書Dに規定する試験によって確認する。
6.3.4.3
カフを取り付ける気管切開チューブの外側面には,鋭利なエッジがあってはならない。
適合性は,リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
6.3.4.4
カフの静止直径は,2.0 kPa±0.1 kPaまで膨らませたとき,表示値の±15 %でなければならない。
適合性は,附属書Cに規定する試験によって確認する。
6.3.5
カフ用のインフレーティングチューブ
インフレーティングチューブは,次による。
a) 気管切開チューブの内くう(腔)を内径の10 %超まで狭めてはならない。
7
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b) 外径の10 %超まで気管切開チューブの外表面に突出してはならない。
適合性は,機能試験によって確認する。
6.3.6
パイロットバルーン
6.3.6.1
インフレーティングチューブは,カフが膨らんでいる又はしぼんでいるかどうかを示す手段をも
たなければならない。
例 インフレーションインジケータ,ベロー,及びカフ圧インジケータ
注記 このような器具は,カフ圧を表示又は制限する手段とすることもできる。
適合性は,目視検査によって確認する。
6.3.6.2
インフレーティングチューブ,膨らまし弁又はあらゆる施栓機構は,カフの意図的なガスの排出
を妨げてはならない。
6.3.7
*インフレーティングチューブ
6.3.7.1
インフレーティングチューブの自由端は,ISO 80369-7に適合するおす(雄)ルアーコネクタに
接続できなければならない。
適合性は,機能試験によって確認する。
6.3.7.2
インフレーションバルブ又は施栓機構が附属していない場合,クランプ長l1(図1参照)は,40 mm
以上でなければならない。
注記 これは,インフレーティングチューブをクランプできるようにするためである。
適合性は,機能試験によって確認する。
6.3.8
患者側端
6.3.8.1
ベベルがある場合,ベベル角度(β)[図1 b) 参照]は,50°以上でなければならない。
適合性は,機能試験によって確認する。
6.3.8.2
患者側端には,鋭利なエッジがあってはならない。
適合性は,リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
6.3.9
イントロデューサ(オブチュレータ)
6.3.9.1
挿入されているイントロデューサは,いかなる方向においても気管切開チューブ又はイントロデ
ューサが単独で保持されているときに,自身の質量によって気管切開チューブから抜け落ちてはならない。
適合性は,機能試験によって確認する。
6.3.9.2
イントロデューサは,使用時に自由に動かせることが望ましい。
6.3.9.3
イントロデューサを取り外さない限り,機器側端の回路への接続が可能であってはならない。
適合性は,機能試験によって確認する。
6.3.10
*エックス線不透過性マーカ
気管切開チューブは,X線による検出が可能でなければならない。
適合性は,ASTM F640に規定する方法を使用した気管切開チューブの調査によって確認する。
6.3.11
*折れ曲がり耐性
6.3.11.1
表示角度[θ,図2 a) 参照]から±15°まで曲げたとき,気管切開チューブは,呼称サイズの
75 %以上の直径をもつ鋼球が内くう(腔)を通過しないほどに折れ曲がってはならない。
適合性は,附属書Eに規定する試験方法によって確認する。
6.3.11.2
調節可能型ネックプレートのロック機構を含む機器について,気管切開チューブの調節可能範囲
の限界を試験する。
適合性は,附属書Fに記載する試験方法によって確認する。
8
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注記 硬質材料から成る気管切開チューブは,附属書Fに記載する試験装置による試験に適さない。
したがって,適合確認を免除する。
この設計は,正しく設置された場合,患者の体に過度の圧をかけないものであることが望ましい。
7
滅菌済みで供給される気管切開チューブの要求事項
7.1
滅菌保証
“滅菌済み”として供給し,かつ,その表示をもつ気管切開チューブは,滅菌バリデーション基準又は
これと同等以上の基準に基づき,無菌性の担保を行わなければならない。
注記 滅菌バリデーション基準には,厚生労働省が定めた滅菌バリデーション基準がある。
7.2
滅菌済みで供給される気管切開チューブの包装
7.2.1
滅菌済みで供給するチューブは,単品ごとに包装しなければならない。包装は,JIS T 0841-1に適
合し,微生物及び微粒子の浸透に対し,効果的に遮断しなければならない。包装は,内容物を無菌的に取
り出せるようになっていなければならない。また,開封済みであることが明確に確認できない状態で,再
密封できるようになっていてはならない。
7.2.2
次の情報が個包装の未開封状態での目視試験で確認できなければならない。
a) 気管切開チューブのサイズ及び形状
b) カフ附属の有無
c) 小児用気管切開チューブの場合,気管切開チューブ用コネクタ附属の有無
注記 例えば,個包装が透明で,チューブを視認できる,又は縮尺図(望ましくは実寸)を使用する
ことができる。
適合性は,目視検査によって確認する。
8
製造業者又は製造販売業者によって提供される情報
8.1
全般
8.1.1
製造業者又は製造販売業者から供給される個包装,内箱又は外箱,及び添付文書に記載する内容は,
ISO 18190に適合しなければならない。
注記 ISO 18190では,EN 1041を引用している。
8.1.2
(この規格では,不採用とした。)
8.1.3
取扱説明書は,過剰なカフ圧に関連するリスクを特定しなければならない。
適合性は,取扱説明書の目視検査によって確認する。
8.2
ネックプレートの表示
8.2.1
次の情報は,ネックプレート上に表示しなければならず,機器側端から視認できなければならない。
a) 製造業者名又は製造販売業者名及び/又は登録商標
b) 6.2.1に適合した呼称サイズ
c) 実行可能な場合,6.2.2に従い,ミリメートル(mm)で表示した外径
d) 実行可能な場合,6.2.3に従い,ミリメートル(mm)で表示した公称長さ(又は,調節可能型ネック
プレート付き気管切開チューブの長さの範囲)
適合性は,目視検査によって確認する。
9
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8.3
パイロットバルーン上の表示
8.3.1
パイロットバルーンは,実行可能な場合,呼称サイズを表示していなければならない。
適合性は,目視検査によって確認する。
8.3.2
カフ付きチューブは,実行可能な場合,カフの直径について,6.3.4.4に従って,有効数字2桁をミ
リメートル(mm)で表示しなければならない。
適合性は,附属書Cに規定する試験によって確認する。
8.4
気管切開チューブ用コネクタの表示
気管切開チューブ用コネクタは,気管切開チューブに接続されていない場合,最小内径をミリメートル
(mm)で表示しなければならない(6.3.1.2を参照)。
適合性は,目視検査によって確認する。
8.5
個包装への表示
個包装又は添付文書には,次の事項を明確に表示しなければならない。
JIS T 0307又はISO 7000に規定する適切な記号を使用することによって,これらに代えてもよい。
a) 内容物の記載
b) 6.2.1に適合した呼称サイズ
c) 実行可能な場合,6.2.2に従い,ミリメートル(mm)で表示した外径
d) 実行可能な場合,6.2.3に従い,ミリメートル(mm)で表示した公称長さ(又は,調節可能型ネック
プレート付き気管切開チューブの長さの範囲)
e) 気管切開チューブ用コネクタが附属されていない場合,その旨を個包装に表示しなければならない。
f)
該当する場合,図2にa〜d及びeとして示したミリメートル(mm)表示の寸法値。調節可能型ネッ
クプレート付き気管切開チューブについては,最大寸法b[図2 a) を参照]
g) 度で測定された角度θ(図2参照)
h) カフ付きチューブにおいて,(附属書Cに従った)カフの直径は,有効数字2桁をミリメートル(mm)
で表示する。
i)
気管切開チューブの個包装に内筒が含まれる場合,ミリメートル(mm)で表示した内筒の公称内径
j)
製造販売業者の氏名又は名称及び住所
k) ロット番号
l)
単回使用である旨を表示したチューブ以外は,洗浄,消毒又は滅菌方法
m) 適宜,滅菌済み(STERILE)又は未滅菌(NON-STERILE)の表示
n) 再使用不可の場合は,単回使用である旨の表示
o) 原材料に天然ゴムを使用している場合は,その旨の表示
p) コネクタ内側に内筒がある機器との接続に関する禁忌
使用期限の表示が望ましい。
適合性は,目視検査によって確認する。
8.6
内筒の個包装への表示
内筒の個包装には,次の事項を明確に表示しなければならない。
JIS T 0307又はISO 7000に規定する適切な記号を使用することによって,これらに代えてもよい。
a) 内容物の記載
b) 外筒に適合するよう設計された外筒の呼称サイズ
c) ミリメートル(mm)表示による内筒の公称内径
10
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d) 製造販売業者の氏名又は名称及び住所
e) ロット番号
f)
単回使用である旨を表示したチューブ以外は,洗浄,消毒又は滅菌方法
g) 適宜,滅菌済み(STERILE)又は未滅菌(NON-STERILE)の表示
h) 再使用不可の場合は,単回使用である旨の表示
i)
原材料に天然ゴムを使用している場合は,その旨の表示
使用期限の表示が望ましい。
適合性は,目視検査によって確認する。
8.7
気管切開チューブの添付文書での表示
(この規格では,不採用とした。)
11
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附属書A
(参考)
理論的根拠
この附属書は,この規格の重要な要求事項の根拠を簡潔に記載するものであり,この規格のテーマに精
通しているが,規格自体の開発には参加しなかった者による使用を想定している。主な要求事項の理由を
理解しておくことは,それを正しく適用する上で不可欠であると考えられる。さらに,臨床診療及び技術
の変化に伴い,これら要求事項の根拠は,こうした発展によって必要となるこの規格の改正を容易にする
と考えられる。
この附属書の箇条及び細分箇条は,参照するこの規格の箇条及び細分箇条に対応する番号が振られてい
る。したがって,番号は連続していない。
注記 この附属書で,箇条又は細分箇条番号に付した“†”印は,対応する要求事項に対する理論的根
拠であることを示し,かつ,要求事項の文章でないことを容易に識別できるようにしたもので
ある。
4† 気管切開チューブ及び気管切開チューブ用コネクタの一般要求事項
この箇条は,気道関連製品に不可欠な性能及びリスクマネジメントの原則を規定するために改正された。
JIS T 14971では,リスクマネジメントファイルの必要性について,医療機器の製造業者又は製造販売業者
が医療機器に関連するハザードを特定し,これらのハザードに伴うリスクを推定及び評価し,そのリスク
を管理し,その管理の有効性を監視するために用いる,十分に認識されたプロセスであると記載している。
現在受け入れられている医療行為の範囲を超える可能性がある意図する使用の安全性の例としては,次
が含まれる(ただし,これらに限るものではない。)。
− 意図する使用の患者集団に対する特別な推奨
− カフ圧を制限するのが望ましいとの要求事項
− 生体内(in vivo)でカフから完全に脱気しないほうがよいことの推奨
− 気管切開チューブが,早産児又は年齢に比べて未熟な乳幼児のような特定の患者集団における使用を
意図したものではないことの推奨
5† 材料
材料の生体適合性は,全ての気管チューブ及び他の気道管理製品で重要であるが,数週間気管内に留置
される気管切開チューブに関しては,特に重要であると考えられる。
6.2.1† 呼称サイズ
この規格で以前に使用した“径”という用語は,一部の気管切開チューブがだ(楕)円形であるため,
“サイズ”に変更している。表示サイズは,呼称サイズであり,チューブ内くう(腔)のうち最も狭い寸
法を示している。これによって,チューブ内に適合する内筒又は附属品の正しい選択が確実になる。また,
呼吸抵抗を生じる最も狭い部分の制約が特定できる。
6.3.3.3† 内筒
内筒が気管内にない場合,気管切開チューブが閉塞する大きなリスクがある。特に患者が人工呼吸に接
12
T 7227:2020
続されている場合は,患者の気管切開チューブについて非常に綿密かつ詳細な調査を実施することなく,
内筒が気管内にあるかどうかを見極めるのは困難である。
例えば,一定の距離から確認できるよう,内筒に明るく対照的な色を使用することによって医師及び看
護職員が視認しやすくすることは,この推奨に合致する一つの方法である。
6.3.4† カフ
カフと気管径との関係は,密閉(シール)に必要なカフ内圧に影響している。気管壁への過剰な圧は,
毛細管血流量を阻害することがある。そのため,カフの過剰な圧に関連するリスクの特定が含まれている。
気道を確保し,ガスの漏れを抑え,液体の誤えん(嚥)を抑制するというカフの重要な機能のために,
気管切開チューブカフの性能に対する要求事項を追加した。
気管切開チューブの性能に対する要求事項は,気管粘膜への損傷を抑えながら低換気及び誤えん(嚥)
のリスクを減らす,カフを用いた気管の密閉(シール)に対する必要性と関連している。要求事項及び試
験方法は,30年以上多くの研究者によって報告されているものと類似している。初期の研究者は,気管切
開チューブのサイズの限られた範囲だけの評価に適した,解剖学的スケールのD形気管モデルを採用して
きた。より複雑なモデルに伴う試験室間の変動を減らし,より幅広いサイズ範囲の円柱形気管モデルに対
する標準化を可能にするために,気管モデルとしてガラス又はプラスチック製シリンダを使用するのが望
ましい。
6.3.7† インフレーティングチューブ
全ての状況で(特にエアウェイの緊急性を要する場合),全ての術者が簡単に使用できる,カフを素早く
安全に膨らませる方法を提供する必要があることを,対応国際規格の原案作成委員会は理解している。世
界中の全ての医療関係者が容易に入手でき,かつ,安全域及び可用域が広いことから,ルアーコネクタを
もつ一般的な静脈内シリンジを選択した。誤接続の危険状態に伴うリスクの重要性を検討した結果,頻度
が低いことから,リスクは極めて低いと判断した。誤接続を防止できるよう設計されたユニークな小口径
コネクタの使用も検討したが,こうしたユニークなコネクタを使用できる特別なインフレーション機器が
必要となることに伴う残留リスクは,誤接続のリスクよりも高いと対応国際規格の原案作成委員会は判断
した。しかし,シリンジによって高圧に達する可能性が認識されており,これによって,過度のカフ膨ら
ましに関連するリスクを取扱説明書内で特定することが要求されている。
6.3.10† エックス線不透過性マーカ
広範囲にわたる議論の間,特に気道内で見失われた場合における気管切開チューブ検出の臨床価値が特
定された。
6.3.11† 折れ曲がり耐性
気管切開チューブは,非柔軟性(金属)のものから非常に柔軟性の高いものまでの,多様な材料によっ
て製造されていることが認識されている。より柔軟な材料によって製造されたものは,使用中に患者の呼
吸抵抗を増加させる折れ曲がりがないことが不可欠である。そのため,折れ曲がりに対する抵抗度合いを
検査する試験を考案した。
13
T 7227:2020
附属書B
(規定)
気管切開チューブ用コネクタ及びネックプレートの気管切開チューブへの
取付けの安全性に関する試験方法
B.1
概要
気管切開チューブ用コネクタ及びネックプレートの両方の気管切開チューブへの取付けの安全性は,ネ
ックプレートに軸方向の離脱力を加えることによって試験する。
B.2
装置
B.2.1 39 ℃±1 ℃及び相対湿度(RH)90 %〜100 %で24時間,気管切開チューブの調製をする手段
B.2.2 気管切開チューブ用コネクタ及び気管切開チューブの固定及び50 mm/分±5 mm/分の速度で50
N超の軸方向の離脱力を負荷する手段
B.2.3 ネックプレート及び気管切開チューブの固定及び50 mm/分±5 mm/分の速度で15 N〜50 Nの軸
方向の離脱力を負荷する手段
B.3
手順
B.3.1 気管切開チューブを39 ℃±1 ℃及び90 %〜100 %RHで24時間調製する。
B.3.2 気管切開チューブを調製チャンバから取り出して,気管切開チューブ用コネクタ及び気管切開チュ
ーブを固定する(B.2.2)。
内筒に気管切開チューブ用コネクタが固定されている気管切開チューブについては,製造業者又は製造
販売業者の取扱説明書に従い,気管切開チューブ用コネクタと気管切開チューブとを固定する前に,内筒
を外筒に固定する機構が最初にか(咬)み合うことが望ましい。
B.3.3 気管切開チューブを調製チャンバから取り出して1分以内に,50 mm/分±5 mm/分の速度で気
管切開チューブ用コネクタに対する気管切開チューブへの軸方向の離脱力を加える。
50 N未満の離脱力で気管切開チューブ用コネクタがチューブから外れないことを検証する。
B.3.4 ネックプレートと気管切開チューブとを固定する(B.2.3)。
B.3.5 調製チャンバから気管切開チューブを取り出して1分以内に,ネックプレートに対する軸方向の離
脱力を,次のように気管切開チューブに加える。
a) 調節可能型ネックプレート付き気管切開チューブについては,50 mm/分±5 mm/分の速度で,15 N
以上の軸方向の力を加える。
b) ネックプレートが15 N未満の力で移動していないことを検証する。
c) 非調節可能型ネックプレート付き気管切開チューブについては,50 mm/分±5 mm/分の速度で,50
N±5 Nの軸方向の力を加える。
d) ネックプレートが50 N未満の力で移動していないことを検証する。
14
T 7227:2020
附属書C
(規定)
カフ直径を測定する試験方法
C.1 概要
カフの直径を,カフ壁の張りが最小限でしわ(皺)がなくなる圧で膨らませた状態で測定する。
C.2 装置
C.2.1 カフを膨らます手段
C.2.2 カフ内の圧を測定する手段
C.3 手順
C.3.1 カフ内圧が2.0 kPa±0.1 kPaとなるように空気でカフを十分に膨らまし,39 ℃±1 ℃及び90 %〜
100 %RHで5分間その圧を維持する。
C.3.2 カフの径が最大となる平面をチューブの長軸に垂直になるよう配置する。その平面で,45°ごとに
カフ直径を測定する。
C.4 結果の記録
C.3.2で得られた測定値の平均を算出し,結果をミリメートル(mm)で記録する。
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T 7227:2020
附属書D
(規定)
カフのヘルニア化の試験方法
D.1 概要
患者側端を越えるカフのヘルニア化の傾向を,透明シリンダ内で膨らませたカフに軸方向の力を加える
ことによって試験する。
D.2 装置
D.2.1 おもり(呼称サイズごとのおもりの質量については,表D.1を参照)
D.2.2 ガラス製又は硬質プラスチック製の透明シリンダ 長さがカフ有効長の2倍以上あり,内径は,検
査する気管切開チューブのカフ直径とチューブ外径とを合わせた値の50 %(公差5 %)とする。
D.2.3 カフインフレーションデバイス
D.2.4 圧測定器具 読み値の10 %以内の精度をもつもの。
D.2.5 温度制御水槽 ±1 ℃の精度をもつもの。
D.2.6 タイマー 1分/24時間以内の精度をもつもの。
D.2.7 空気供給源 表D.2の圧で空気を供給できるもの。
D.3 手順
D.3.1 カフ有効長の全周が収まるように,気管切開チューブの患者側端を透明シリンダに入れる(D.2.2
参照)。
D.3.2 カフが透明シリンダの内面の全周に密着するまで,空気でカフを膨らませる。
D.3.3 気管切開チューブと透明シリンダとを39 ℃±1 ℃の水槽に浸す。
D.3.4 透明シリンダの内面との全周の密着を保つために,カフの空気量を調節する。
D.3.5 水槽につけてから30分後,透明シリンダの内面との全周の密着が維持できるように,カフの空気
量を調節し,膨らんだカフの内圧(基準膨らまし圧)を記録する(D.2.4参照)。表D.2に示す基準膨らま
し圧に対応する試験カフ圧を選択する。
D.3.6 透明シリンダ(D.2.2参照)に入れた気管切開チューブのカフを空気で試験圧まで膨らませるが(表
D.2参照),最低5.4 kPaとし,この圧力を39 ℃±1 ℃の水槽内で24時間以上維持する。
D.3.7 24時間経過した時点で,気管切開チューブ及び透明シリンダを水中から取り出す。カフ内圧を調
べ,必要に応じて調節する。
D.3.8 図D.1に示すとおり,回転を抑えるため,可能な限り試験シリンダの中心を通る縦軸の近くに位置
するように,気管切開チューブに適切なおもりを60秒間以上つり下げる(表D.1を参照)。
表D.1−気管切開チューブの呼称サイズごとの試験質量
呼称サイズ(mm)
質量(g)
2.0〜3.5
40
4.0〜5.0
65
5.5〜6.0
90
6.5以上
100
16
T 7227:2020
D.3.9 膨らませたカフの端が,患者側端に最も近い縁を越えるかどうか観察する。
D.3.10 次に,10秒以上かけてカフから空気を徐々に脱気し,その間カフの形状を連続的に観察する。
D.4 結果の記録
膨らませたカフの端が,患者側端を越えるかどうか記録する。
表D.2−試験膨らまし圧
基準膨らまし圧
試験膨らまし圧
≦16.6 kPa
基準膨らまし圧の2倍又は5.4 kPaのいずれか高い方
>16.6 kPaかつ≦33.3 kPa
33.3 kPa
>33.3 kPa
基準膨らまし圧
1
透明シリンダ
2
おもり
3
カフ
4
気管切開チューブ
図D.1−カフのヘルニア化の試験装置
17
T 7227:2020
附属書E
(規定)
折れ曲がり耐性を決定する試験方法
E.1
概要
気管切開チューブに,体温に近い温度で曲げ力をかけた後,気管切開チューブの内径の75 %の直径をも
つ鋼球をチューブ内に通すことによって,折れ曲がりを生じたかどうかを確認する試験を行う。
E.2
装置
E.2.1 試験リグ 硬質材料製の透明シリンダの領域をもつ装置(図E.1を参照)。透明シリンダの内径は,
試験する気管切開チューブを使用する予定の最大及び最小気管径と等しくしなければならない。
E.2.2 鋼球 試験する気管切開チューブの公称内径(表1参照)の75 %以上の直径をもつもの。
E.2.3 カフインフレーションデバイス
E.2.4 圧測定器具 読み値の10 %以内の精度をもつもの。
E.2.5 温度制御水槽 ±1 ℃の精度をもつもの。
E.2.6 タイマー 1分/24時間以内の精度をもつもの。
E.3
手順
E.3.1 試験リグ(E.2.1)内に試験するチューブを配置する。実際の器具の設計によって必要となる場合,
ネックプレートの下にスペーサを使用して,試験中にシリンダ内のチューブに必要な深さを得る。
E.3.2 ひも(紐)でネックプレートを固定する。
E.3.3 カフを試験圧(表D.2参照)まで膨らませる。
E.3.4 試験リグ全体(E.2.1)を39 ℃±1 ℃の水槽内に2時間配置する。
E.3.5 E.3.4終了時に鋼球(E.2.2)の通過を確認する。
E.3.6 この試験を,チューブに与えられる角度の範囲にわたって,新しいチューブで繰り返す。
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T 7227:2020
1
試験する気管切開チューブの外径の約1.5倍で,成人サイズの12.7 mmを超えないチューブ径
2
±15°の動きの中間点
θ
105°
図E.1−折れ曲がり耐性試験における試験リグの例
19
T 7227:2020
附属書F
(参考)
材料及び設計についての指針
F.1
材料
F.1.1
気管切開チューブの製造に使用する材料は,気管切開チューブの構造を可能な限り薄くし,かつ,
折れ曲がったりしないだけの強度を保持することができるよう,十分に堅いことが望ましい。固定時に,
ヒト組織に対する過度の圧を予防できる設計が望ましい。
F.1.2
単回使用である旨の表示がされていない場合は,気管切開チューブは,製造業者又は製造販売業者
が推奨する洗浄,消毒及び滅菌による劣化に十分耐えるものであることが望ましい。これらの条件を満た
すチューブは,一般に認められた蒸気滅菌法に耐えることが望ましい。
推奨する滅菌法は,気管切開チューブの生物学的安全性を損なうチューブ材料の変質を起こさないもの
が望ましい(箇条5参照)。
F.1.3
気管切開チューブは,通常使用の場合,臨床使用濃度の揮発性麻酔薬及び麻酔ガスによって劣化し
ないことが望ましい。
F.1.4
気管切開チューブは,X線によって容易に検出できることが望ましい。これは,材質の性状による
か,又はチューブの患者側端に付けられたマーカによって検出できることが望ましい。
F.1.5
気管切開チューブは,使用していないときは,製造業者又は製造販売業者の指示に従って貯蔵した
ときに,その意図した形状を維持することが望ましい。
F.2
設計
F.2.1
カフ及びネックプレートを含む気管切開チューブは,外面及び内面共に滑らかな表面をもつことが
望ましい。
F.2.2
気管切開チューブの患者側端は,鋭利なエッジがないことが望ましい。
F.2.3
ネックプレートはエッジを丸め,その形状は,患者のけい(頸)部輪郭に適合することが望ましい。
F.2.4
調節可能型ネックプレート付き気管切開チューブにおいて,ネックプレートを固定する機構の使用
が,チューブ内径の顕著な狭小を生じないことが望ましい。
F.2.5
円すい形コネクタによる接続の安全性を更に高めるために,保持装置又は掛け金を組み込んでもよ
い。しかし,そのような機器は,偶発的な抜管のような他のハザードを誘発する可能性がある。そのため,
可能な限り軽量かつ小型であることが望ましい。いかなる突出部(例えば,引っ掛け部,耳状突出部又は
止め金具)も,手術おい(覆)布又は他の器具に引っ掛かるリスクが最小限になるように設計することが
望ましい。
20
T 7227:2020
附属書G
(参考)
リスクアセスメントのためのハザードの特定
注記 このリストは,この規格の適用範囲内の全ての機器に対する包括的なリストではなく,リスク
アセスメントの指針を示すためのものである。全てのハザードが各種の気管切開チューブに当
てはまるとは限らない[4]。
G.1
気管切開チューブの留置,抜去及び使用に伴う潜在的ハザード
a) 次を生じる組織周辺の外傷
1) 軽度の擦過傷,浮腫及び炎症(気管及び気管支)
2) 出血及び血腫(気管及び気管支)
3) 感染[蜂巣炎,のう(膿)瘍,気管及び気管支]
4) 脳神経又は末しょう(梢)神経の,一時的又は永続的な神経症
5) 麻ひ(痺)又は神経障害に至るけい(頸)椎又はけい(頸)髄の損傷
6) 気管損傷[潰瘍,喉頭横隔膜症,え(壊)死,肉芽腫,はん(瘢)痕,線維化,びらん,やけど(火
傷),追加的なせん(穿)孔及び狭さく(窄)]
7) 血管ろう(瘻)の形成
b) 次による不適切な酸素投与及び/又は換気による低酸素及び/又は高炭酸ガス血症
1) 不十分な密閉(シール)による呼吸ガスの漏れ
2) 折れ曲がり,異物,又は分泌物による閉塞
3) 気管支けいれん,喉頭けいれん,ぜん(喘)鳴,しゃっくり,がいそう,又は息こらえ
4) 肺水腫[閉塞下の胸くう(腔)内陰圧による]
5) 過度の死くう(腔)による再呼吸
6) 呼吸仕事量の増加
7) 胸くう(腔)内圧の上昇
8) 気胸,又は気腫に至る気圧性外傷
c) 不適切なカフの密閉(シール)による誤えん(嚥)又は逆流
1) 分泌物の誤えん(嚥)又は腸の内容物の逆流
d) 毒性
1) アレルギー(天然ゴムラテックスアレルギーを含む。)
2) 組織過敏症:炎症,又はえ(壊)死
3) 有害物質の全身吸収
G.2
機器の潜在的ハザード
a) 次による気管密閉(シール)の不具合又は喪失
1) 誤留置又は移動
2) 頭部の位置異常
3) 患者の再配置
21
T 7227:2020
4) カフ密閉(シール)圧の喪失
5) 不適切なサイズ
6) 気管切開チューブ用コネクタの材料の不具合
7) 再使用時の不具合(再使用回数の超越)
8) カフ変質
9) 膨らまし弁の不具合
10) 気管切開チューブシャフト又はカフの,孔,裂け目又は割れ目
b) 次による開通性の喪失
1) 頭部の位置異常
2) 内くう(腔)中の残さ(渣),又は液体による閉塞
3) カフの過膨張によるチューブの狭さく(窄),又はカフのヘルニア化
4) 折れ曲がり
5) 気管切開チューブのシャフトの折れ
c) 次によるカフの過膨張
1) 過度の手動インフレーション
2) 気管切開チューブの配置不良
3) インフレーティングチューブ又は弁の不具合
4) カフインフレーションインジケータ・パイロットバルーンの圧縮による圧
d) 次によるカフの膨張不足
1) 未検出の漏れ
2) 密閉(シール)表面のねじれ又は折れ
3) インフレーティングチューブ又は弁の不具合
4) 過度の挿入時の抵抗
e) 次による特定の患者に対する不適切なサイズの使用
1) 製造業者又は製造販売業者によるサイズ要件の不十分な公開
2) 患者の個人差
3) 内筒の不適切な選択
4) 気管壁
5) チューブサイズの不適切な選択
22
T 7227:2020
参考文献
[1] JIS T 7221 気管チューブ及び気管チューブ用コネクタ
注記 対応国際規格では,ISO 5361,Tracheal tubes and connectorsを記載している。
[2] ISO/TR 11991,Guidance on airway management during laser surgery of upper airway
[3] ASTM F640,Standard Test Methods for Determining Radiopacity for Medical Use
[4] Engels P.T. Tracheostomy: from insertion to decannulation. Can. J. Surg. 2009 October, 52 (5) pp. 427-433
[5] EN 1041,Information supplied by the manufacturer of medical devices
23
T 7227:2020
附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS T 7227:2020 気管切開チューブ及び気管切開チューブ用コネクタ
ISO 5366:2016,Anaesthetic and respiratory equipment−Tracheostomy tubes and
connectors
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
1 適用範囲 “特殊な気管切開チ
ューブ”を除外
1
特殊な気管切開チューブ
(機器側端にコネクタのな
いもの,補強壁をもつチュ
ーブ,金属製のチューブ,
段差をもつチューブ,テー
パを付けたチューブ,吸引
及びモニタリング又は薬剤
及びその他のガスの送達に
関する規定をもつチュー
ブ)を含む。
変更
“特殊な気管切開チューブ”は,除
外した。
特殊な気管切開チューブには,別
の認証基準で制定されているもの
もあるため。
2 引用規格
2
3 用語及び
定義
この規格で用いる主
な用語及び定義は,次
による。
この規格で用いる主な用語
及び定義は,ISO 4135及び
次による。
−
技術的差異はない。
国内規格であり,ISO 4135を引用
する必要がないため。
3.5 パイロットバル
ーン
3.5
インフレーションインジケ
ータ,パイロットバルーン
変更
技術的差異はない。
一つの用語で統一した。
3.7 イントロデュー
サ,オブチュレータ
3.7
イントロデューサ
変更
技術的差異はない。
よく用いる用語を併記した。
2
T
7
2
2
7
:
2
0
2
0
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(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
4 気管切開
チューブ及
び気管切開
チューブ用
コネクタの
一般要求事
項
4.1 一般要求事項の
適合確認方法
JIS T 14971に従った
リスクマネジメント
プロセスの実施
4.1
ISO 18190に記載されたリ
スクマネジメント,ユーザ
ビリティ,臨床評価などの
要求事項を満たすことを規
定
変更
技術的差異はない。
ISO 18190におけるユーザビリテ
ィは,JIS T 14971に含まれている
こと,臨床評価は,クラス2では
不要なため。
5 材料
JIS T 0993-1への適合
5
ISO 18190の箇条5への適
合を規定
変更
ISO 18190では,ISO 10993-1を引
用しているので,その対応JISを引
用。技術的差異はない。
対応国際規格で引用しているISO
18190の規定ではISO 10993-1を
引用している。
6 気管切開
チューブ及
び気管切開
チューブ用
コネクタの
設計要求事
項
6.1 一般的な要求事
項(この規格では,不
採用とした。)
6.1
ISO 18190の要求事項(箇
条4)への適合を規定
削除
技術的差異はない。
記載された要求事項は,医療機器
の基本要件にて満たされるため。
また,ISO 18190は,気管切開チ
ューブに特化した内容ではないた
め。
7 滅菌済み
で供給され
る気管切開
チューブの
要求事項
7.1 滅菌保証
滅菌バリデーション
基準又は同等以上の
基準に従う。
7.1
滅菌保証は,ISO 18190の
要求事項への適合を規定
変更
技術的差異はない。
ISO 18190の要求事項と同等の国
内基準(滅菌バリデーション基準)
があるため,それに従う。
7.2.1 滅菌済みで供給
される気管切開チュ
ーブの包装は個装し,
包装は,JIS T 0841-1
に適合
7.2.1
滅菌済みで供給される気管
切開チューブの包装は,
ISO 18190の要求事項への
適合を規定
変更
技術的差異はない。
ISO 18190の要求事項は,全て規
定しているため。
2
T
7
2
2
7
:
2
0
2
0
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(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
8 製造業者
又は製造販
売業者によ
って提供さ
れる情報
8.1.1 供給される個包
装,内箱又は外箱,及
び添付文書に記載す
る内容は,ISO 18190
に適合しなければな
らない。ISO 18190が
EN 1041を引用して
いる旨を注記に記載
8.1.1
製造業者が提供する情報
は,ISO 18190の要求事項
への適合を規定
変更
技術的差異はない。対応国際規格で
引用しているISO 18190では,EN
1041を引用している。
ISO 18190では,EN 1041への適
合を要求事項としているため。
8.1.2 (この規格では,
不採用とした。)
8.1.2
MRI環境での使用に際し,
ASTM F2503及びASTM
F2052に適合した表示
削除
この規格では,不採用とした。
国内の取扱いを踏まえ,不採用と
した。次回以降の改正で検討する。
8.5 個包装への表示
JIS T 0307又はISO
7000を引用
8.5
個包装の表示は,ISO 18190
の要求事項への適合を規定
変更
技術的差異はない。対応国際規格で
引用しているISO 18190では,ISO
7000,ISO 15223-1,ISO 15223-2を
引用している。
ISO 15223-1及びISO 15223-2の各
記号は,JIS T 0307に含まれてい
る。次回の対応国際規格の改訂時
に変更を申し入れる。
a) 内容物の記載
−
8.5と同じ
追加
技術的差異はない。
ISO 18190の9.1にある表示事項
である。
j) 製造販売業者の氏
名又は名称及び住所
−
8.5と同じ
追加
技術的差異はない。
ISO 18190の9.1にある表示事項
である。
k) ロット番号
−
8.5と同じ
追加
技術的差異はない。
ISO 18190の9.1にある表示事項
である。
l) 単回使用である旨
を表示したチューブ
以外は,洗浄,消毒又
は滅菌方法
−
8.5と同じ
追加
技術的差異はない。
ISO 18190の9.1にある表示事項
である。
m) 適宜,滅菌済み
(STERILE)又は未滅
菌(NON-STERILE)
の表示
−
8.5と同じ
追加
技術的差異はない。
ISO 18190の9.1にある表示事項
である。
2
T
7
2
2
7
:
2
0
2
0
26
T 7227:2020
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
8 製造業者
又は製造販
売業者によ
って提供さ
れる情報
(続き)
n) 再使用不可の場合
は,単回使用である旨
の表示
−
8.5と同じ
追加
技術的差異はない。
ISO 18190の9.1にある表示事項
である。
o) 原材料に天然ゴム
を使用している場合
は,その旨の表示
−
8.5と同じ
追加
技術的差異はない。
ISO 18190の9.1にある表示事項
である。
p) コネクタ内側に内
筒がある機器との接
続に関する禁忌
−
−
追加
コネクタ内側に内筒がある機器と
の接続に関する禁忌を追加した。
国内の添付文書記載例にもあるた
め。
使用期限の表示が望
ましい
−
8.5と同じ
追加
技術的差異はない。
ISO 18190の9.1にある表示事項
である。
8.6 内筒の個包装へ
の表示
JIS T 0307又はISO
7000を引用
8.6
個包装の表示は,ISO 18190
の要求事項への適合を規定
変更
技術的差異はない。対応国際規格で
引用しているISO 18190では,ISO
7000,ISO 15223-1,ISO 15223-2を
引用している。
ISO 15223-1及びISO 15223-2の各
記号は,JIS T 0307に含まれてい
る。次回の対応国際規格の改訂時
に変更を申し入れる。
a) 内容物の記載
−
8.6と同じ
追加
技術的差異はない。
ISO 18190の9.1にある表示事項
である。
d) 製造販売業者の氏
名又は名称及び住所
−
8.6と同じ
追加
技術的差異はない。
ISO 18190の9.1にある表示事項
である。
e) ロット番号
−
8.6と同じ
追加
技術的差異はない。
ISO 18190の9.1にある表示事項
である。
f) 単回使用である旨
を表示したチューブ
以外は,洗浄,消毒又
は滅菌方法
−
8.6と同じ
追加
技術的差異はない。
ISO 18190の9.1にある表示事項
である。
g) 適宜,滅菌済み
(STERILE)又は未滅
菌(NON-STERILE)
の表示
−
8.6と同じ
追加
技術的差異はない。
ISO 18190の9.1にある表示事項
である。
2
T
7
2
2
7
:
2
0
2
0
27
T 7227:2020
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
8 製造業者
又は製造販
売業者によ
って提供さ
れる情報
(続き)
h) 再使用不可の場合
は,単回使用である旨
の表示
−
8.6と同じ
追加
技術的差異はない。
ISO 18190の9.1にある表示事項
である。
i) 原材料に天然ゴム
を使用している場合
は,その旨の表示
−
8.6と同じ
追加
技術的差異はない。
ISO 18190の9.1にある表示事項
である。
使用期限の表示が望
ましい
−
8.6と同じ
追加
技術的差異はない。
ISO 18190の9.1にある表示事項
である。
8.7 気管切開チュー
ブの添付文書での表
示(この規格では,不
採用とした。)
8.7
ISO 18190に従った情報に
加えて添付文書に記載する
事項を規定
削除
実質的な技術的差異はない。
我が国では,添付文書は,記載要
領通知に従い記載するため,削除
した。
附属書D
(規定)
カフのヘルニア化の
試験方法
D.2.7 空気供給源
−
−
追加
技術的差異はない。
対応国際規格では,空気供給源の
規定がないため記載した。
D.3.1〜D.3.5 基準膨
らまし圧を規定
−
−
追加
技術的差異はない。
対応国際規格では,基準膨らまし
圧の規定がないため設定した。
D.3.8 表D.1の気管切
開チューブの呼称サ
イズごとの試験質量
−
−
追加
技術的差異はない。
対応国際規格では,呼称サイズ2.0
及び7.0以上の試験において使用
するおもりの規定がないため設定
した。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 5366:2016,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 削除 ················ 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ··············· 国際規格を修正している。
2
T
7
2
2
7
:
2
0
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0