2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
T 7205-1989
用手そ(蘇)生器
Manual (Operator-powered) Resuscitators
1. 適用範囲 この規格は,主に緊急事態で人命を助けるために用いる用手そ(蘇)生器(以下,そ生器
という。)について規定する。
備考 この規格の中で{ }を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって規格
値である。
引用規格:
JIS T 7201 麻酔器
対応国際規格:
ISO 5356-1 Anaesthetic and respiratory equipment−Conical connectors−Part 1 : Cones and sockets
ISO 8382 Resuscitators intended for use with humans
関連規格:JIS Z 8203 国際単位系 (SI) 及びその使い方
2. 用語の意味 この規格で用いる主な用語の意味は,次のとおりとする。
(1) 用手そ生器 呼吸不全状態の人に人工呼吸を行うために用い,バッグ(圧縮部)を操作者が主に手を
用いて圧縮することによって,肺の換気を行うことのできる携帯用の装置。
(2) 吸気 肺にガスが入ること。
(3) 呼気 肺からガスが出ること。
(4) 換気周期 吸気相と呼気相との和。
(5) 1回換気量 (VT) 吸気相又は呼気相時に,肺に出入りするガス量 (ml)。
(6) 分時換気量 (V&) 1分間に肺に出入りするガス量 (l)。
(7) 1回送気量 吸気相中に,そ生器から患者接続口へ送り込むことができるガス量。
(8) コンプライアンス(静的)(C) 一定容器内のガス圧の単位変化によって充てん(填)されるガス量の
変化(大気圧及び室温を基準にしてml/kPa {ml/cmH2O} で表す。)。
(9) 抵抗 (R) 一定の気流によるガス圧の低下率 [kPa/ (l/s) {cmH2O/ (l/s)}]。
(10) 気道 肺に入り,また肺から出るガスの通路。
(11) 乳児 体重10kg以下又は1歳未満の人。
(12) バッグ入口弁 バッグを,外気で再び膨らますように,そ生器のバッグの中の陰圧によって作動する
弁。
(13) バッグ再充いつ(溢)弁 圧縮ガス源から,バッグを再び膨らますように,そ生器のバッグ内の陰圧
によって自動的に作動する弁。
(14) 患者呼吸弁(そ生弁) 吸気相中にガスを肺へ送り,また,呼気相中にガスを肺から外気に導く弁。
2
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(15) 患者接続部 直接マスク又は適切な気道連結具へ接続するそ生器の部分。
(16) 患者接続口 患者接続部にある開口部。
(17) 呼気排出口 患者から呼出されたガスが外気へ出る開口部。
(18) バッグ(圧縮部) 操作者の手によって圧縮され,ガスを肺へ送り込むことができるそ生器の部分(ベ
ローズを含む。)。
(19) 送り込まれる吸気の酸素濃度 そ生器から患者に送り込まれるガス中の酸素の平均濃度。
(20) 機械的死くう(腔) [VD (app)] 呼気の終わりに装置内に残っている呼気ガスの一部で,次の吸気相
にそ生器から送り込まれるガス量 (ml)。
(21) 前方漏れ 吸気時にそ生器によって送り出されるガス量のうち,患者接続口を通らないで外気へ出し
てしまうガス量。
(22) 最大送り込み圧 そ生器が正常に機能している場合に,患者接続口で得られる最高ゲージ圧 (kPa
{cmH2O})。
(23) 換気数 (f) 毎分の呼吸回数(回/分)。
(24) 加圧限定システム 最大送り込み圧を制限するための機構。
(25) 吸気・呼気相時間比(I:E比) 吸気相時間と呼気相時間との比。
(26) オーバーライド機構 他の機能よりも優位性を確保するように切り換える機構。優位性を解除して元
の優位性に戻す機構も含まれる。
3. 性能
3.1
酸素供給及び送り込まれる吸気の酸素濃度 毎分15l以下で供給される酸素源に接続された場合,そ
生器は,6.2に規定する試験を行ったとき,40%以上の酸素濃度の吸気を送り込むことができなければなら
ない。
また,必要に応じて製造業者が指定する器具を取り付けた場合には,85%以上の酸素濃度の吸気を送り
込むことができなければならない。
3.2
呼気抵抗 呼気抵抗を変えるために,特別の装置が取り付けられる場合を除き,呼気への抵抗は,
6.3に規定する試験を行ったとき,0.49kPa {5cmH2O} 以上であってはならない。
3.3
吸気抵抗 患者接続口でのガス圧は,6.4に規定する試験を行ったとき,大気圧から0.49kPa
{5cmH2O} を超えて低下してはならない。
3.4
患者呼吸弁の機能不全 患者呼吸弁は,6.5に規定する試験を行ったとき,機能不全を起こしてはな
らない。
3.5
機械的死くう そ生器の機械的死くうは,6.6に規定する試験を行ったとき,3.6に規定された1回
換気量の10%+5mlを超えてはならない。
3.6
換気性能 換気性能は,次のとおりとする。
(1) 1回換気量 乳児用及び小児用のそ生器の1回換気量は,適合する患者の体重1kgについて15mlの1
回換気量として求めた値以上でなければならない。新生児用のそ生器の1回換気量は20ml以上でな
ければならない。600ml以上を送り込むことができるそ生器は,成人用と指定されなければならない。
なお,1回換気量は,加圧限定システムにあるオーバーライド機構を使用することなく,6.7.1に規
定する試験を行ったとき,表1に示す作動条件で送り込まれなければならない。
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表1 作動条件
用途
コンプライアンス (C)
ml/kPa {ml/cmH2O}
抵抗 (R)
kPa (l/s)
{cmH2O/ (l/s)}
I:E比
±20%
換気数 (f)
回/分
±10%
1回換気量 (VT)
ml
新生児用
(体重5kg以下)
10.2 { 1}
39.2 { 400}
1:1
60
20〜50
乳児用(体重5kgを
超え,10kg以下)
102
{ 10}
1.96 { 20}
1:2
25
15×B*
小児用(体重10kgを
超え,40kg以下)
204
{ 20}
20
成人用(体重40kgを
超えるもの)
600以上
注*
Bは,取扱説明書に記載される指定体重 (kg) を示す。
(2) 加圧限定システム 加圧限定システムは,6.7.2に規定する試験を行ったとき,新生児用及び乳児用の
そ生器に設置されたものについては,最大送り込み圧が4.41kPa {45cmH2O} を超えてはならない。
また,小児用及び成人用のそ生器に設置されたものについては,最大送り込み圧が5.88kPa
{60cmH2O} を超えてはならない。
3.7
吐物での汚染後の患者呼吸弁機能 患者呼吸弁は,6.8に規定する試験を行ったとき,3.2,3.4及び
3.6の規定に適合するように20秒以内に復元しなければならない。
3.8
機械的衝撃に対する耐性 そ生器は,6.9に規定する試験を行ったとき,3.2,3.4及び3.6の規定に
適合しなければならない。
3.9
水漫しに対する耐性 そ生器は,6.10に規定する試験を行ったとき,3.2,3.4及び3.6の規定に適合
しなければならない。
3.10 使用環境及び保管環境での性能 そ生器は,6.11に規定する試験を行ったとき,正常で,かつ,安
全に使用できなければならない。
4. 構造
4.1
マスク マスクは,マスク本体,クッション及び患者接続部を受け入れることができるコネクタか
ら構成する。マスクが,単体構造でなく一部品以上で構成されている場合には,その部品類は組み立てや
すく,使用上安全なように,ばらばらにならないよう堅固なものでなければならない。マスク本体は,透
明であることが望ましい。
また,クッションは,使用時に,ガス漏れを最小限にするよう適切なものでなければならない。
4.2
接続 接続は,次のとおりとする。
(1) そ生器の患者接続部は,JIS T 7201(麻酔器)に規定する22mm雄と15mm雌の同軸円すい(錐)接
合でなければならない。
(2) 呼気排出口にテーパ付きのコネクタを備えている場合には,JIS T 7201に規定する19mm雄又は30mm
雄の円すい接合でなければならない。
また,接合部の内くうにはり(梁)[けた(桁)]を設け,JIS T 7201に規定する22mm雄円すい接
合を受け入れられなくすることが望ましい。ただし,この場合には,接合部を通る気流の抵抗が著し
く増してはならない。
(3) マスクは,JIS T 7201に規定する22mm雄円すい接合部に十分に接合する雌ソケットをもっていなけ
ればならない。ただし,新生児用や乳児用では15mm雄円すい接合にしてもよい。
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(4) 酸素供給へのバッグ再充いつ弁接続部は,JIS T 7201に規定するプッシュ式又はねじ山式接合でなけ
ればならない。
(5) バッグ入口弁は,JIS T 7201に規定するいかなる円すい接合とも合ってはならない。
4.3
操作性 そ生器は,一人だけの操作で有効な換気が得られるような構造でなければならない。
4.4
分解及び再組立て 清しょく(拭),消毒又は滅菌のために使用者によって分解できる構造のそ生器
では,部品を組み合わせる場合,誤った再組立てが行えないような構造でなければならない。
4.5
患者呼吸弁のハウジング 患者呼吸弁のハウジングは,機能する弁機構が操作者に容易に見えるよ
うに作られていなければならない。
4.6
バッグ再充いつ弁 そ生器に用いる再充いつ弁は,自動的に作動し,手で操作できてはならない。
4.7
加圧限定システム 加圧限定システムは,次のとおりとする。
(1) 加圧限定システムには,オーバーライド機構を備えること。ただし,新生児用及び乳児用のそ生器に
ついては,加圧限定システムにオーバーライド機構を備えなくてもよい。
(2) オーバーライド機構にロック機構が付いている場合には,オーバーライド機構の作動モード(例えば,
ON又はOFF)が,使用者に容易に見えること。
(3) 小児用及び成人用のそ生器には,加圧限定システムを備えなくてもよい。
(4) 加圧限定システムは,作動するときに,可聴又は可視の警報で使用者に知らせることができる構造が
望ましい。
5. 構成部品
5.1
酸素に対する耐性 高圧の酸素に直接接触する構成部品は,発火に対して適切な耐性がなければな
らない。
5.2
腐食と劣化への耐性 そ生器の構成部品は,長期保管と塩水環境での使用に対して,十分に耐えな
ければならない。
5.3
清しょく,消毒又は滅菌 使用時に汚染を受ける構成部品は,製造業者が指定した清しょく,消毒
又は滅菌の方法に対して十分に耐えなければならない。ただし,使用が1回限り(使い捨て)の部品は,
この限りではない。
6. 試験
6.1
試験条件 試験条件は特に規定がない限り,温度20〜25℃,相対湿度45〜75%とする。
6.2
酸素供給及び送り込まれる吸気の酸素濃度 そ生器を,コンプライアンス (C) 204ml/kPa
{20ml/cmH2O} と抵抗 (R) 1.96kPa/ (l/s) {20cm H2O/} (l/s)} の特性をもつテスト肺に接続し,また,酸素分
析計(±1%酸素の精度,90%以上10秒の応答速度)を患者接続口からできるだけ遠くのコンプライアン
スチャンバ(テスト肺)内の部位に接続する。テスト肺を毎分12回の呼吸数と600mlの1回換気量で換
気させ,毎分15l以下の酸素流量を導入する。酸素濃度の安定値が得られるまで,この測定を続ける。バ
ッグ(圧縮部)を圧迫するのには,片方の手(男性成人の平均的な大きさの手)だけを使わなければなら
ない(付図1参照)。
6.3
呼気抵抗 そ生器の患者接続口に,新生児用及び乳児用のそ生器では毎分5l,その他のそ生器では
毎分50lの定常空気流を導入し,患者接続口で生じた圧力(呼気圧)を記録する。
6.4
吸気抵抗 そ生器の患者接続口を,新生児用及び乳児用のそ生器では毎分5l,その他のそ生器では
毎分50lの定常空気流吸引源に接続し,患者接続口で生じた圧力(吸気圧)を測定する。
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6.5
患者呼吸弁の機能不全 そ生器をコンプライアンス (C) 204ml/kPa {20ml/cmH2O} と抵抗 (R)
1.96kPa/ (l/s) {20cmH2O/ (l/s)} の特性をもつテスト肺に接続し,換気数毎分12回,1回換気量600mlで換
気しながら,酸素を指定された方法で補充し,毎分30lの酸素流量で,患者呼吸弁が吸気位置でロックし
ないことを確認する。
6.6
機械的死くう トレーサ(追跡)ガスとして100% (v/v) 酸素を用いて,そ生器によってガラス瓶の
中のバルーンからなるリザーバを換気する。そ生器の機械的死くうは,換気量とバルーン内の吸入ガスの
酸素濃度の変化から計算する。機械的死くうの測定は次の順序で行い,その試験装置は,付図2に示すよ
うな構成とする。
(1) 試験準備 酸素分析計への通路をタップで閉じ,次いでボール弁を開く。そ生器を22mm雌ソケット
に接続して換気を行うが,バルーンが瓶を一杯にして,内壁を押すまで空気で満たす。次いで,ボー
ル弁を閉じ,酸素分析計へのタップを開き,酸素21%を示すことを確認する。
そこで酸素流量計を開き,瓶を100% (v/v) 酸素で満たしてバルーンを圧縮する。圧力計の読みが約
1kPa {10cmH2O} になったとき,酸素流量計を閉じる。
(2) 試験装置の内部死くうの測定 22mm雌ソケットに22mm/15mm同軸の試験用コネクタを接続し,サ
イドニップル(側孔)から適切な流量(表2参照)の空気を供給する。
酸素分析計への通路をタップで閉じ,ボール弁を開き,それによって呼出流通路(内部死くう)を
100% (v/v) 酸素でフラッシュする。指を用いてコネクタ上の直径10mmの穴を押さえたり,開いたり
してバルーンに送気するが,レスピロメータ◯
Vと圧力計◯
Pによって測りながら,1回換気量VT (ml) を
一定に保つ。試験サイクル数などは表2参照のこと。
ボール弁を閉じ,酸素分析計へのタップを開く。100% (v/v) 酸素の流量を毎分約5lに調整し,バル
ーン内の酸素濃度FO2(バルーン) (v/v%) を酸素分析計で測定する。圧力計の読みが約1kPa {10cmH2O}
になったとき,酸素流量を止める。
該当する試験用パラメータ(表2参照)の組合せについて,試験装置の内部死くうVD (system) を測
定する。
試験装置の内部死くうVD (system) は,次の式による。
(
)()
(
)(
)(
)
T
V
v
v
FO
×
−
=
79
21
%
ml
system
V
2
D
試験接続
バルーン
ここに,
t
V: ◯
Vで測定した試験サイクルfの1回送気量の平均値(総送気
量/f)
(3) そ生器の機械的死くうの測定 そ生器を22mm雌ソケットにつないでから,酸素分析計への通路をダ
ップで閉じ,ボール弁を開き,(2)と同じ試験を行い,バルーン内酸素濃度,総送気量及び試験サイク
ル数を記録する。
そ生器の機械的死くうVD (app) は,次の式による。
(
)()
(
)(
)
(
)
system
79
21
%
ml
app
V
2
D
D
TV
V
v
v
FO
−
×
−
=
バルーン
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表2 試験用パラメータ
1回換気量
(VT)
ml
コンプライアンス
(C)
ml/kPa {ml/cmH2O}
呼気抵抗
kPa/ (l/s) {cmH2O/ (l/s)}
試験装置の死くう測定
に使用する空気流量
l/min
試験サイクル
(換気数)(f)
600
200 {20}
0.5 { 5}
30
>15
100
100 {10}
2
{ 20}
5
>50
備考1. 1回換気量の600mlは,成人用及び小児用のそ生器に適用する。
また,100mlは,乳児用及び新生児用のそ生器に適用する。
2. 各バルブは,ボトルへ及びボトルからのフローパターンが実際に使われている場合に予測されるフローパ
ターンと適度に近似するように,一連の抵抗を取り付ける。
6.7
換気性能
6.7.1
1回換気量 そ生器を,表1の特性をもつ適切なテスト肺に接続する(表3〜5及び付図1参照)。
例えば,シミュレートされた標準テスト肺の抵抗とコンプライアンスとの間に接続されたニューモタコグ
ラフによって,バッグの圧迫から生じる流量を記録し,その記録された流量を積分することによって,換
気量を測定する。
バッグを圧迫するのには,男性成人の平均的な大きさの片方の手だけが使われなければならない。これ
らの試験は,4.7のオーバーライド機構を使わずに実施しなければならない。
表3 必要なコンプライアンス
分類**
値
ml/kPa {ml/cmH2O}
C 20
204
{ 20}
C 10
102
{ 10}
C 1
10.2 { 1}
注** 付図1を参照。
表4 必要な抵抗
分類**
抵抗
気流の範囲
l/s
kPa/ (l/s) {cmH2O/(l/s)}
直線的抵抗
放物線的抵抗
R
20
2 { 20}
0.56 {5.6}
0−1.0
R
400
40 {400}
0.14 {1.4}
0−0.075
備考 気流の範囲の許容値は,直接的抵抗については±
20%,放物線的抵抗については±10%とする。
表5 性能試験についての手順
コンプライアンス
抵抗
C 20
R 20
C 10
R 20
C 1
R 400
6.7.2
加圧限定システム 新生児用及び乳児用のそ生器については,加圧限定システムを通る気流を毎分
15lとして,患者接続口を閉じ,そこでの圧力を測定する。
また,小児用及び成人用のそ生器については,加圧限定システムを通る気流を毎分60lとして,患者接
続口を閉じ,そこでの圧力を測定する。
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6.8
吐物での汚染後の患者呼吸弁機能 吐物の類似物としてトマトケチャップ1及び五分がゆ(粥)1
の割合の混合物を利用する。この混合物を37±3℃に温めて,175mlをそ生器の患者接続口へ注ぎ,成人
用のそ生器は,毎分12回の割合で,乳児用のそ生器は,毎分30回の割合でテスト肺を30秒間換気しなけ
ればならない。吐物の除去について製造業者の指定した方法に従って清しょく後,性能を確認する。
6.9
機械的衝撃に対する耐性 そ生器は,マスクなどを付けた使用状態で,少なくとも1mの高さから,
コンクリート床上へ最悪と思われる条件で落下させた後,性能を確認する。
6.10 水浸し試験 そ生器を使用状態で1mの高さから水槽内に落とし,10秒間水に浸してから取り出し,
水を20秒以内に振り切って,直ちに性能を確認する。
6.11 使用環境及び保管環境に対する試験 使用環境及び保管環境に対する試験は,次の手順によって行
う。
(1) 使用状態のそ生器を,50℃で少なくとも95%の相対湿度のチャンバ内に7日間以上置いた後,3.1〜3.6
の規定を満たしていることを確認すること。
(2) (1)の終了後5分以内に,18℃から22℃まで,40%から70%までの相対湿度での周囲環境に移し,7日
間以上放置した後,3.1〜3.6の規定を満たしていることを確認する。
(3) そ生器を,少なくとも4時間又は条件が安定するまでの間,−40℃の冷たいチャンバ内に置く。
(4) (3)の終了後5分以内に,そ生器を18℃から22℃までの周囲温度のところに移し,少なくとも4時間
安定させた後,3.1〜3.6の規定を満たしていることを確認する。
(5) そ生器を,60℃,40%から70%までの相対湿度のチャンバ内に4時間以上置く。
(6) (5)の終了後5分以内に,そ生器を18℃から22℃まで及び40%から70%までの相対湿度の周囲環境に
戻した後,4時間後にそ生器を作動させ,3.1〜3.6の規定を満たしていることを確認する。
(7) そ生器を−18℃のチャンバ内に4時間置く。
(8) (7)の終了時点で,そ生器を18℃から22℃までの周囲環境に放置した後,5分以内に作動させ,3.1〜
3.6の規定を満たしていることを確認する。
7. 表示 そ生器又はその携帯用容器には,容易に消えない方法で加圧限定システムの一定の加圧限界な
ど簡単な取扱説明を表示しなければならない。
8. 取扱説明書 そ生器には,次の事項を記載した取扱説明書を添付しなければならない。
なお,取扱説明書の大きさと形状は,それがそ生器の容器内に納められるか,又は容器に取り付けられ
るようなものでなければならない。
(1) そ生器は,適切な訓練を受けてきた人だけが使用すること。
(2) そ生器の作動モードの説明(どのようにして使用可能となるか。)
(3) 仕様
(a) 指定体重(表1参照)による用途。
(b) 換気回数の範囲。
(c) 送り込み圧の範囲。
(d) 使用環境の限界が周囲温度−18〜+50℃,相対湿度40〜95%であること。
(e) 保管環境の限界が周囲温度−40〜+60℃,相対湿度40〜95%であること。
(f) いろいろな条件下で送り込まれる酸素濃度,種々の流量で酸素を追加したときに得られる酸素の%
及び酸素濃度を上げるために用いる指定の補助具の使い方とそれで得られる酸素濃度(3.1参照)。
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(g) ガス入口接続の特性及び寸法。
(h) 1回換気量の範囲。
(i) 機械的死くう(逆戻り漏れと前方漏れをそ生器の特長とする場合には,その旨を記載すること。)。
(j) 呼気抵抗及び吸気抵抗並びに指定の呼気抵抗を負荷するための特殊な接合部。
(k) 正常使用で,0.20kPa {2cmH2O} 以上の呼気終末圧を生じさせる場合にはその値。
(l) 加圧限定システム及びそのオーバーライド機構。
(4) 清しょく及び滅菌のための構成部品の分解及び再組立てに関する取扱説明(適用できる場合)。これに
はそれらの関連部品の図示を含む。
(5) そ生器及びその構成部品の清しょく,消毒又は滅菌の方法。使用が1回限り(使い捨て)の部品はそ
の旨を表示すること。
(6) 作動についての機能試験法の方法。
(7) 操作者が交換できる部品のリスト。
(8) 工場でのサービス。
備考 サービスが不要の場合には,その旨記述されていなければならない。
(9) その他関連の危険又は警告。
(10) 汚染・有毒な環境では,それが除かれない限り,そ生器の使用が危険なことがある旨の記述。適用で
きる場合には,このような吸入を防ぐ方法の記述。
(11) 高濃度の酸素がある場合に,喫煙又は裸火からの危険があること,及び酸素には油を絶対に使用して
はならない旨の記述。
(12) テスト肺を組み立てるのに必要な抵抗とコンプライアンス(付図1参照)。
9. 使用条件 使用条件は,次のとおりとする。
(1) 使用環境 使用環境は,周囲温度−18〜+50℃,相対湿度40〜95%とする。
(2) 保管環境 保管環境は,周囲温度−40〜+60℃,相対湿度40〜95%とする。
この場合,こん(梱)包状態で保管してもよい。
9
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付図1 テスト肺(受動形)
備考1. 流量計の出力は,容量も出るように流量の積分ができること。
2. コンプライアンスモデルの出力をコンプライアンスごとにそれぞれ校正したとき,容量も得られること。
10
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付図2 機械的死くう測定用の試験装置
備考
試験装置は,VD (system) が20ml以下になるように設計されることが望ましい。酸素分析計は,大気で21%
の読みになるように校正され,±1% (v/v) 酸素の精度であることが望ましい。
11
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医療安全用具部会 麻酔器専門委員会 構成表
氏名
所属
(委員会長)
佐 藤 暢
鳥取大学医学部
鈴 木 紀 男
工業技術院標準部
渡 辺 徹
厚生省薬務局
小 林 建 一
東京慈恵会医科大学
神 山 守 人
杏林大学医学部
茅 稽 二
順天堂大学医学部
宮 坂 勝 之
国立小児病院
山 田 満
国立大蔵病院
渡 辺 敏
北里大学医学部
市 河 鴻 一
株式会社アイカ
佐 藤 誠 芳
アコマ医科工業株式会社
磯 部 満 夫
理研計器株式会社
久 枝 雄 三
泉工医科工業株式会社
鈴 木 史 郎
オリジン医科工業株式会社
小 池 英 二
アトム株式会社
宮 田 昭一郎
日本ドレーゲル株式会社
新 田 好 広
日本ビーオーシー株式会社
(事務局)
柾 谷 栄 吾
工業技術院標準都電気規格課
米 山 弘 光
工業技術院標準部電気規格課