2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
T 7204-1989
医療用人工呼吸器
Lung Ventilators for Medical Use
1. 適用範囲 この規格は,医療用に使われる成人用,小児用又は新生児用の人工呼吸器(以下,人工呼
吸器という。)について規定する。この人工呼吸器の中には,麻酔専用のものも含む。
備考 この規格の中で{ }を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって規格
値である。
引用規格:
JIS T 1001 医用電気機器の安全通則
JIS T 1005 医用電気機器取扱説明書の様式
JIS T 7201 麻酔器
対応国際規格:
ISO 5369 Breathing machines for medical use−Lung ventilators
ISO 8185 Humidifiers for medical use−Safety requirements
関連法規:薬事法
2. 用語の意味 この規格で用いる主な用語の意味は,次のとおりとする。
なお,用語の括孤内は,記号を示す。
(1) 人工呼吸器 患者の気道に接続し,患者の換気を調節又は補助するように設計された自動的換気装置。
(2) 調節呼吸装置 患者の吸気努力とは関係なく,患者の肺を膨らませる装置。
(3) 補助呼吸装置 患者の吸気努力に同調し,患者の吸気を補助するように設計された装置。
(4) 補助・調節呼吸装置 補助呼吸装置又は調節呼吸装置のいずれでも機能するように設計され,患者の
吸気努力がなくなると自動的に調節呼吸装置として機能する装置。
(5) 換気数 (f) 毎分の呼吸回数。
(6) 1回換気量 (VT) 吸気相又は呼気相時に,患者又はテスト肺に出入りするガス量(mlで表す。)。
(7) 分時換気量 ( ・
VE) 患者が1分間に呼出するガス量(lで表す。)。
(8) 呼吸回路 呼吸ガスが呼吸圧で通る人工呼吸器のガス系の部分。
(9) 装置内部コンプライアンス 吸気相時間中に加圧されて呼吸回路内又は構成部分に入るガスの容量と
圧との変化の関係(ml/kPa {ml/cmH2O} で表す。)。
(10) 人工呼吸器内圧 (Pvent) 人工呼吸器の呼吸回路内の特定部位における圧力。
(11) 気道内圧 (Paw) 患者の気道内圧の特定部位における圧力。
(12) 肺胞内圧 (PA) 肺胞内の圧力。テスト肺の場合には,コンプライアンスモデルの内圧で表す。
(13) 陰圧 呼気相時間中に,人工呼吸器によって作り出される呼吸回路内の大気圧よりも低い圧力。
(14) 最高安全圧 (Ps, max) 安全機構によって制限される人工呼吸器の呼吸回路が達する最高の内圧。
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T 7204-1989
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(15) 最低安全圧 (Ps, min) 安全機構によって制限される人工呼吸器の呼吸回路が達する最大の陰圧。
(16) 最高作動圧 (Pw, max) 人工呼吸器が正常に作動しているとき,吸気相中に呼吸回路が到達することが
できる圧の最高数値。この値は,調整可能な人工呼吸器の機構によって,最高安全圧を超えない。
(17) 最低作動圧 (Pw, min) 人工呼吸器が正常に作動しているとき,呼気相中に呼吸回路が到達することの
できる陰圧の最大数値。この値は,調整可能な人工呼吸器の機構によって,最低安全圧を超えない。
(18) 吸気トリガ圧 (Ptr) 人工呼吸器が吸気相を開始するのに必要な患者によって発生される患者接続口
での気道内圧。
(19) 吸気トリガ流量 ( ・
Vtr) 人工呼吸器が吸気相を開始するのに必要な患者によって発生される患者接
続口でのガス流量。
(20) 吸気トリガ容量 (Vtr) 人工呼吸器が吸気相を開始するのに必要な患者によって発生される,患者接
続口でのガスの容量。
(21) 吸気トリガ応答時間 (Ttr) 吸気トリガ圧,吸気トリガ流量又は吸気トリガ容量の条件が満たされて
から,吸気流量が開始するまでの時間。
(22) 吸気レリーフ弁 患者が自発呼吸をしていて,人工呼吸器からの吸入ガス供給が不十分な場合,呼吸
回路に外気を導入するような構造の一方向弁。
(23) 吸気レリーフ弁抵抗 定流量(成人用では,30l/min)ガスが吸気レリーフを通して流れるときに発生
する圧力差。
(24) 吸気相時間 (TI) 吸気流の開始から呼気流の開始までの時間。
(25) 呼気相時間 (TE) 呼気流の開始から吸気流の開始までの時間。
(26) 吸気休止時間 (TIP) 吸気流の終末から呼気流の開始までの時間。
(27) 呼気休止時間 (TEP) 呼気流の終末から吸気流の開始までの時間。
(28) 吸気/呼気相時間比(I : E比) 吸気相時間と呼気相時間との比。
(29) ため息 (Sigh) 定間隔で1回又は数回,1回換気量又は肺内のガス量を人為的に増加させること。
(30) 仕事量 (W) 人工呼吸器が患者に対して行う仕事量[ジュール (J) で表す。]。
∫
×
=
•dt
V
P
W
aw
ただし,
dt
dV
V=
•
(31) パワー (P= ・
W) 人工呼吸器が患者に対して行う仕事率[ワット (W) で表す。]。
P= ・
W=Paw× ・
V
ただし,
dt
dV
V=
•
(32) 呼気抵抗 呼気が補助されない人工呼吸器で,患者接続口から人工呼吸器の呼気口を通って外気へ出
る気流に対する呼吸回路の総抵抗(慣習的にcmH2Oで表す。)。
(33) 時定数 指数減衰過程が約63%完成するまでの時間。
(34) PEEP(呼気終末陽圧) 呼気相において,その終末時まで陽圧を保持するときの圧。
(35) CPAP(持続陽圧呼吸) 自発呼吸下の呼気終末時に持続的陽圧を加える方法。
(36) IMV(間欠的強制換気) 自発呼吸の間に間欠的に人工呼吸器によって陽圧呼吸を行う方法。吸気に
同期するものをSIMV(同期式間欠的強制換気)という。
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(37) スパイロメータ(呼吸量計) 呼吸によって呼出又は吸入されるガスの容量を測定する装置。
(38) ネブライザ(噴霧給湿器) 吸気ガスに微粒子の形で薬液又は水を加える装置。
(39) 気化ヒューミディファイア(気化給湿器) 吸気ガスに蒸気の形で薬液又は水を加える装置。
(40) ヒューミディファイア(給湿器又は加湿器) ネブライザと気化ヒューミディファイアとの総称。
(41) テスト肺 人工呼吸器の患者接続端に接続し,人工呼吸器の性能試験,日常の機能チェックなどに使
用する模擬的肺。
3. 構造及び性能
3.1
動力源 人工呼吸器は,最高定格電圧の105%から最低定格電圧の90%まで,又は最高定格駆動ガス
圧の105%から最低定格駆動ガス圧の90%までの範囲で,いかなる調節設定下でも効果的に機能し続け,1
回換気量又は分時換気量の誤差及び変動は±10%でなければならない。
3.2
調節器,指示器及び圧レリーフ弁の精度
3.2.1
目盛付調節器及び指示器 公称入力で作動しているとき,すべての目盛付調節器及び指示器の精度
は,最大目盛の±10%でなければならない。
3.2.2
気道内圧 目盛付陽圧(呼気)調節弁,陰圧(吸気)調節弁及びレリーフ弁は,他の調節設定がど
のような場合でも,また,気道が完全に閉そく(塞)された場合でも,気道内圧を設定値の±0.49kPa {±
5cmH2O} 又は設定値の20%(どちらか大きい方)に制限しなければならない。呼吸回路内圧の急激な変
動に際しては,一時的にこの制御値を超えてもよいが,レリーフ弁はこの影響を最小限にとどめるように
機能しなければならない。
3.2.3
気道内圧計及び呼吸回路内圧計 気道内圧計及び呼吸回路内圧計は,次の条件に適合しなければな
らない。
(1) 目盛が少なくとも−0.98kPa {−10cmH2O} から+9.8kPa {+100cmH2O} の幅があること。
(2) 必要な場合には,ゼロ点調整ができること。
(3) 読み値が±(フルスケールの幅の2%と読取り値の4%との和)の誤差範囲内であること。
(4) 指示目盛は,正常視力(矯正済み)の人が人工呼吸器から1m離れた距離で,215lx(20フィートしょ
っ光)の照明の下で読み取ることができること。
備考 正常視力とは,裸眼又は裸眼で弱い場合はレンズによって適当に矯正した場合,両眼で視力1.0
以上のものをいう。
3.3
スパイロメータ スパイロメータは,次の条件に適合しなければならない。
(1) スパイロメータの精度は,規定の容量及び流量の範囲内で,読取り値の±10%であること。
また,毎分30lの定常流量時にスパイロメータ通過によって生じる低抗は,0.098kPa {1.0cmH2O} を
超えないこと。
(2) スパイロメータは,いかなる湿度条件下でも,また10〜37℃の範囲内でも(1)に規定する誤差範囲内で
その機能を維持できること。
スパイロメータ内のガス温度及び湿度と校正時の温度及び湿度との差異は考慮するものとする。患
者に接近して設置されるスパイロメータは,患者の分泌物によって閉そくされないような構造である
こと。
(3) スパイロメータは,使い捨ての場合を除いて消毒又は滅菌ができなければならない[7.(8)参照]。
備考 呼気ガスを測定するための装置が内蔵されていない人工呼吸器は,スパイロメータを接続でき
る構造にすることが望ましい。
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3.4
ガスの特性 患者に送り込まれるガスの特性は,次のとおりとする。
(1) 呼吸チューブの患者側端でのガス温度は,周囲温度よりも5℃以上低くならず,また,41℃を超えな
いように保たれること[3.8(13)参照]。
(2) 人工呼吸器に吸気ガス混合調節器が組み込まれている場合には,送り込まれる酸素濃度は,その人工
呼吸器の換気数及び1回換気量の設定範囲内において,設定値の±10%であること。
また,その酸素濃度は,±3vol%で安定していること。この条件が満たされない場合には,この人
工呼吸器は,患者に送り込まれる酸素濃度の正確な調整が不可能である旨を装置に表示しなければな
らない。
備考 吸気ガス混合調節器に二つ以上の種類の圧力ガスを導入する方式の場合は,それぞれガス入口
に逆流防止弁を備えることが望ましい。
3.5
呼気抵抗 呼気低抗器若しくは呼気終末陽圧装置がなく,又はそれを使用していないとき,製造業
者によって指定された呼吸附属品及びスパイロメータを使用する場合でも,患者接続口での圧力は,成人
用で毎秒0.5l,小児用で毎秒0.25l及び新生児用で毎秒0.83lの呼気流量で,0.49kPa {5cmH2O} を超えない
こと。
なお,これらの要求事項に従うために呼気補助が必要な場合には,この旨を取扱説明書に記載すること。
3.6
装置内部コンプライアンス 人工呼吸器の内部コンプライアンス(以下,内部コンプライアンスと
いう。)は,次の条件に適合しなければならない。
(1) ベローズ部に1回換気量目盛の付いた人工呼吸器は,内部コンプライアンスを次の二つの構成部分に
分けること(図1参照)。
(a) ガス取入れ口から吸気弁までの人工呼吸器内の呼吸回路部分(ベローズ部)。
(b) 吸気弁から呼気弁までの呼吸管内の部分(チュービング部)。
図1 内部コンプライアンス
(2) チュービング部には,必要な場合にはヒューミディファイアとウォータトラップを含めてもよい。製
造業者は,試験中にどの構成部分が呼吸回路に入っているか,また,製造上の許容差又はヒューミデ
ィファイアの水位の変動による内部コンプライアンスの予測変動幅をそれぞれ取扱説明書に記載する
こと。
(3) ベローズ部内で圧縮されたガスの一部が呼気中に呼気弁を通って外気に放出され,このガス量がチュ
ービング部内で測定されるガス量の一部をなす場合,呼出ガスが,呼出ガス量測定に誤差を生じるよ
うな持続的なネブライザ用気流によって増加する場合など,呼出ガス量測定に影響する事項は,取扱
説明書に記載すること。
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(4) ベローズ部及びチュービングの二つの構成部分の容量/圧力の関係が非直線的な場合は,内部コンプ
ライアンスが5.88kPa {60cmH2O} までの吸気終末圧又は人工呼吸器の最高安全圧のどちらか低い方
の範囲までを含む容量/圧曲線の図表を取扱説明書に記載すること。
備考1. 機械的換気中に,1回換気量の設定値と肺へ送り込まれるガス量及び呼気回路から排出される
ガス量との間に,差異が生じることがある。これらの差異は,吸気相中に回路に追加される
新鮮ガスや呼吸回路内でのガスの圧縮,ベローズ又は接続呼吸管の壁の弾性又は漏れなどに
よるものである。呼吸回路内で圧縮されるガス量は,吸気終末における呼吸回路内圧によっ
て変化するが,内部コンプライアンスによって決められる。
2. ベローズ部の内部コンプライアンスによって,人工呼吸器での1回換気量設定と吸気弁を通
るガス量との間に差異が生じる。多くの人工呼吸装置においてこのガス量は,人工呼吸器内
にとどまり,呼気口でスパイロメータによって測定されるガス量には関与しない。チュービ
ング部の内部コンプライアンスによって呼気口で記録されたガス量が肺に送り込まれたガス
量よりも大きいことになる。
3.7
警報システム 警報システムは,次の条件に適合しなければならない。
(1) 警報システムは,人工呼吸器の作動不良を警告するためのもので,吸入ガスの成分又は温度の異常な
変化,呼吸回路における漏れ又は閉そく(流量と圧の異常な変化),動力源の異常などによって作動す
ること。
(2) 警報システムは,人工呼吸器のすべての主機構から独立しても作動すること。
(3) 警報信号は,可聴及び可視警報とする。
また,警報システムに遠隔警報のための装置が設置できることが望ましい。この場合には,呼吸回
路外における故障が主な警報システムの本来の機能に影響しないこと。
(4) 警報システムには,簡単な試験方法を設けることとする。
(5) 警報システムが動力源又はガス供給源の故障によって作動する場合は,即時に作動し,故障が除かれ
ない限り少なくとも2分間は作動し続けなければならない。その他の原因によって作動する場合は,
30秒以内に必ず作動すること。
(6) 呼吸回路内に組み込まれた警報システムの部分は,消毒又は滅菌できると。
(7) 一時的に可聴警報の作動を停止させるために可聴警報停止スイッチを設ける場合には,2分間以内に
自動復帰すること。
(8) 可視警報信号として使用されるすべての指示器は,その機能が正常に作動している場合,明りょうに
見ることができ,また,機械的外力に対して適切に保護されていること。
(9) 警報システムが一般商用電源によって作動する場合は,電源故障を検知する独立した警報装置がある
こと。
(10) 警報システムが電池だけで作動する場合は,電池は容易に交換でき,長時間使用できるもので,電池
の電圧低下を点検する方法又は自動交換システムをもつこと。電池の容器は,酸やアルカリによって
侵される材料を使用してはならず,ガス及び液がたまらないものであること。
備考1. この警報装置は,搬送中,絶えず監視下で使用される小形の特殊な用途の人工呼吸器には省
くことができる。この場合,人工呼吸器の見やすい場所に,警報装置がない旨表示する。
2. 可視警報のためにフィラメント電球が使用されている場合は,人工呼吸器の最高定格電圧の
80%で作動することが望ましい。
3.8
ヒューミディファイア ヒューミディファイアは,次の条件に適合しなければならない。
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(1) ヒューミディファイアの構造は,患者,操作者及び周囲に絶対に危険のないものでなければならない。
機械的外力,加熱,冷却,麻酔ガス,湿気,滅菌及び消毒に対して安全性を損なうことなく,十分に
堅ろうで耐食性をもっていること。
(2) チェンバの内面及びガス通路は,容易に清しょく(拭)し,消毒できるような構造であること。
(3) 装置の安全な使用に必要なアクセスカバーは,繰返しの使用に耐えるように確実に固定していること。
(4) 使用中常に調節しなければならないものを除き,安全性に影響する装置の調節には工具を必要とする
こと。
(5) ヒューミディファイアの気流に対する低抗は,ヒューミディファイアが人工呼吸器の構成部分となっ
ている場合を除き,成人用では毎分30l,小児用では毎分10lの定常流の条件下で0.29kPa {3cmH2O} の
圧を超えないこと。
(6) 電気的構成部品は,水容器から水が漏れたりこぼれたりしても,短絡回路形成の可能性を最小限にで
きるような構造であること。
(7) 人工呼吸器は,その性能を低下することなく,凝結水分を取り除ける構造であること。
(8) 水容器は,人工呼吸器が水平位置からどの方向に20℃傾斜していても,呼吸回路部分に水容器からの
水が入らないような構造であること。
(9) 直接水位が見えない水容器は,水位指示計を備えること。
また,水容器には,最高及び最低水位を表示すること。
(10) 水容器は,使用位置で注水口から注水し過ぎることのないような構造で,注水口は明りょうに表示さ
れていること。
(11) ネブライザは,(12)に規定する分時換気量のすべての範囲にわたって,乾燥ガス1l当たり33mgから
43mgの水を送り込む能力をもち,かつ,44mg以上にならないような構造であること。水滴の大きさ
は,患者接続口で1μmから5μmまでの範囲内であること。
(12) 気化ヒューミディファイアは,製造業者によって提供されたか又は指定されたデリバリチュービング
をガスが通った場合,かつ,周囲温度が20℃,送入ガス相対湿度0で温度10℃のとき,成人用で毎分
5lから20lまで,小児用で毎分2lから10lまでの分時換気量の範囲にわたって,患者接続口で1l当た
り33mgを超える湿度(例えば,37℃で75%を超える相対湿度)をもつガスを送り込むことができる
こと。
(13) 吸気温度は,次の条件を満足すること。
(a) 患者に入る場所でのガス温度は,製造業者によって提供又は指定されたデリバリチュービングをガ
スが通った場合,かつ,分時換気量が表1で規定された条件で維持されている場合,32℃から39℃
までの範囲内にあること。吸引中に従圧式の人工呼吸器の一時的な取外しによって起こるような分
時換気量の大きい変動においても,患者に入る場所で41℃より高い温度にならないこと。
(b) 吸気温度は,41℃以上に上昇することができないように規制されていること。温度調節器の故障に
よってこの温度を超えるおそれがあるとき,非循環形の場合は別個の温度安全装置が,循環形の場
合は41℃に達した時点で可聴と可視の警報装置が作動すること。安全装置の作動を変えることがで
きる構造のものは,その調節は工具の使用によってだけ操作できるものであること。
正規の温度制限がサーモスタットのような調節装置と独立している場合は,可聴又は可視の警報
装置が最高安全温度に達したことを示すこと。
(14) ヒューミディファイアの電気装置は,JIS T 1001(医用電気機器の安全通則)による。
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4. 形状及び寸法
4.1
人工呼吸器,患者及びスパイロメータを接続する連結口 人工呼吸器,患者及びスパイロメータを
接続する連結口は,次の条件に適合しなければならない。
(1) 吸気及び呼気弁機能が人工呼吸器本体と一体化している場合,人工呼吸器から患者へ通じる呼吸回路
のすべての接続部は,呼び22mmサイズの円すい(錐)接合を使用すること。
また,患者への連結口は,22mm/15mgの同軸円すい接合であること。これらの接合部の構造及び順
序は,JIS T 7201(麻酔器)の規定による。
(2) 吸気及び呼気弁機構が人工呼吸器本体と一体化していない場合,人工呼吸器と患者接続口との間の呼
吸回路の接続部は,特別な場合を除いて(1)と同様にJIS T 7201の規定による。
備考 特別な場合とは,上記の規定と紛らわしくない特別な大きさの接合部を用い(乳幼児用など),
その部品の誤った接続及び組付けの危険が起こらないような構造の場合に限るものとする。
(3) 呼び22mmサイズの円すい接合部において,ガスの流通方向や連結順序がその装置の機能と患者の安
全を左右する箇所では,入口がめす,出口がおすの順序に従うこと。これ以外では,必ずしも特定の
連結順序に従う必要はない。
(4) 人工呼吸器に手動呼吸用の呼吸バッグを連結する接合部を設ける場合,その開口部は下向きであって,
患者への呼吸管用連結部分と混同しにくいようにすること。
また,呼吸バッグ連結には,凹溝付きの22mmのおす円すい接合を使用すること。その連結部に,
呼吸バッグを保護するケージ(かご)のような保護具を取り付けてもよい。
(5) 呼吸回路中(すなわち,吸気若しくは呼吸回路の中又は患者とYピースとの間)にスパイロメータを
挿入する場合,その連結は22mmの円すい接合によるものとする。ただし,スパイロメータの入口を
めす,出口をおすとする。
(6) 人工呼吸器又は呼吸管にスパイロメータ用のガス出口を別除設け,スパイロメータからのガスを外気
へ排出する場合,スパイロメータ用のガス出口は,JIS T 7201に規定している30mmおす円すい接合
であること。
(7) 人工呼吸器に外気の取入れ口を設ける場合,JIS T 7201に規定している円すい接合を用いないこと。
(8) スパイロメータ用のガス出口以外に呼出ガス出口を人工呼吸器に取り付ける場合は,22mm,15mm及
び30mmおすめす円すい接合並びに22mm内径の呼吸管のいずれも容易に接続できない構造であるこ
と。
4.2
ヒューミディファイアの接続 ヒューミディファイアの接続は,次の条件に適合しなければならな
い。
(1) 人工呼吸器の一部になっている方向性のあるヒューミディファイアの場合は,JIS T 7201に規定する
円すい接合を用い,人工呼吸器の構成部分になっていない方向性のあるヒューミディファイアの場合
は,JIS T 7201に規定する以外の円すい接合又はねじ接合を用いることとする。ただし,ヒューミデ
ィファイアの入口をめす,出口をおすとし,気流の方向は恒久的に表示すること。
(2) ヒューミディファイアの注水口,空気取入れ口,ヒータ取付け口などには,JIS T 7201に規定する円
すい接合及び22mm内径の呼吸管のいずれも直接接続できないような構造であること。
5. 試験方法
8
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5.1
テスト肺 テスト肺は,人工呼吸器の出力に対して生体のインピーダンスをシミユレートするため
に設計されたものとする。人工呼吸器の出力に対するインピーダンスは,肺の弾性抵抗と気流低抗による。
これらは,テスト肺において直列に接続されたコンプライアンスと抵抗によってシミュレートすることが
できる(図2参照)。この試験過程で用いられるコンプライアンスと抵抗の種々の組合せを表1に示す。
図2 テスト肺の概要図
表1 性能試験方法−波形(吸気/呼気相時間比をできるだけ1 : 2に近づける。)
成人用
試験番号
コンプラ
イアンス
C
抵抗R
1回換気
量 VT
(ml)
換気数f
(回/分)
(±5%)
時定数
Tc
(秒)
ピーク圧(1)
(Ppeak)
(kPa) {cmH2O}
①
C50
R5
500
20
0.25
1.22 {12.5}
2
C50
R20
500
20
1.0
1.96 {20.0}
3
C20
R5
500
20
0.1
2.69 {27.5}
4
C20
R20
500
20
0.4
3.43 {35.0}
小児用
試験番号
コンプラ
イアンス
C
抵抗R
1回換気
量 VT
(ml)
換気数f
(回/分)
(±5%)
時定数
Tc
(秒)
ピーク圧(1)
(Ppeak)
(kPa) {cmH2O}
①
C20
R20
300
20
0.4
2.05{21.0}
2
C20
R50
300
20
1.0
2.94{30.0}
3
C10
R20
300
20
0.2
3.53{36.0}
4
C10
R50
300
20
0.5
4.41{45.0}
⑤
C 3
R20
50
30
0.06
1.81{18.5}
6
C 3
R50
50
30
0.15
2.04{20.8}
7
C 3
R200
50
30
0.6
3.14{32.0}
9
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新生児用
試験番号
コンプラ
イアンス
C
抵抗R
1回換気
量 VT
(ml)
換気数f
(回/分)
±5%
時定数
Tc
(秒)
ピーク圧(1)
(Ppeak)
(kPa) {cmH2O}
①
C3
R50
30
30
0.15
1.21{12.3}
2
C3
R200
30
30
0.6
1.86{19.0}
3
C1
R50
30
30
0.05
3.17{32.3}
4
C1
R200
30
30
0.2
3.82{39.0}
5
C1
R500
30
30
0.5
5.15{52.5}
6
C1
R1000
30
30
1.0
7.35{75.0}
⑦
C1
R200
15
60
0.2
2.35{24.0}
注(1) ピーク圧 (Ppeak):持続流発生器に対するピーク気道内圧計算値。
備考 人工呼吸器の調節は,その後の試験を始める前に,適切な(○で囲った)標準条件に
合うようにリセットしなければならない。したがって,成人用で得られた記録の順序
は,試験①→試験2(調節を変えず)→試験2(必要なら調節して)→試験①の条件に
合うように調節をリセット→試験3(調節を変えず)→試験3(必要なら調節して)と
なる。
(1) 試験に必要なコンプライアンスは,表2のとおりとする。
表2 コンプライアンス
記号
ml/kPa {ml/cmH2O}
C50
4.9 ±0.245
{ 50±2.5 }
C20
1.96 ±0.098
{ 20±1.0 }
C10
0.98 ±0.049
{ 10±0.5 }
C3
0.294±0.015
{ 3±0.15 }
C1
0.098±0.005
{ 1±0.05 }
備考1. これらのコンプライアンスは,流量計,抵抗及び
患者接続口とコンプライアンスモデルとの間の
チューブのコンプライアンスを含む。
2. このコンプライアンスモデルの容量/圧力特性
は,大気圧と室温のもとで測定する。
また,成人用は−1.96kPa {−20cmH2O} から+
3.92kPa {+40cmH2O} まで,小児用は−1.96kPa
{−20cmH2O} から+4.9kPa {50cmH2O} まで,新
生児用は−1.96kPa {−20cmH2O} から+7.85kPa
{+80cmH2O} までのゲージ圧変化の範囲内及び
吸気相時間0.1秒から6.0秒までの範囲内で,上
記の値の±5%でなければならない。このコンプ
ライアンスを構成する適切な方法は,参考によ
る。
(2) 必要な低抗は,表3のとおりとする。
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表3 抵抗
記号
値 (±20%)
kPa/ (l/s) {cmH2O/ (l/s)}
流量範囲
l/s
R
5
0.49{ 5}
0〜2.0
R20
1.96{ 20}
0〜1.0
R50
4.9 { 50}
0〜0.5
R200
19.6 { 200}
0〜0.1
R500
49 { 500}
0〜0.075
R1000
98 {1 000}
0〜0.05
備考 上記の値は,気圧は大気圧,温度は20℃の乾燥空気に対する
ものである。それぞれの右に示す流量範囲で,抵抗の精度は
20%とする。これらの抵抗値は,流量測定装置の抵抗を含むも
のとし,適切な抵抗を構成する。試験方法は,参考による。
5.2
圧力,ガス流量及び換気量の測定 圧力,ガス流量及び換気量の測定は,図2に示す装置で行い,
読取り値の±2.5%と波形でのピーク読取り値の±2.5%の和の精度でなければならない。パワー及び仕事量
の測定は,読取り値の±5%と波形でのピーク読取り値の±5%の和の精度でなければならない。
また,この精度は10Hzまでの周波数で維持しなければならない。
圧力測定装置,接続チューブ,流量測定装置及び抵抗の全体のコンプライアンスは,コンプライアンス
モデルによる値の4%を超えてはならない。
5.3
形式試験 形式試験は,人工呼吸器の1台又はそれ以上のサンプルについて,製造業者によって実
施しなければならない。この試験の結果が,そのすべての人工呼吸器を代表するものとし,その内容は使
用者の要求に応じて提出されるものとする。
試験の順序は,耐久試験を行い,性能試験はその直後に行う。試験中に必要な保守は,これらの試験中
に行ってもよいが,試験中に行ったすべての保守の詳細を試験報告の中に含まなければならない。
(1) 耐久試験 耐久試験は,それぞれ成人用,小児用又は新生児用の条件について行うこと。吸気/呼気
相時間比は,できるだけ1 : 2に近づけることとし,人工呼吸器は,表4に示す条件に対して2000時
間運転することとする。
表4 耐久試験
種類
分時換気量
・
VE (l)
換気数
f(回/分)
コンプライアンス
C
抵抗
R
成人用
10
20
C50
R 20
小児用
4.5
30
C20
R 50
新生児用
0.8
40
C 3
R200
(2) 波形性能試験 人工呼吸器を表1に示される順序で,成人用,小児用及び新生児用の種類に応じたコ
ンプライアンスと抵抗の組合せのそれぞれに順次接続する。試験の開始に当たって人工呼吸器の調節
は,できるだけ吸気/呼気相時間比を1 : 2に近づけて望ましい換気数と1回換気量を得られるように
調節すること。これらの条件を得るために必要な人工呼吸器の設定及び新しい条件設定に合わせるた
め,調節をやり直す必要がある場合には,調節の前後にそれぞれこれを記録に書き留めておくこと。
人工呼吸器は,その後の各試験の前に,表1に示されるように与えられた1回換気量に適応する標
準条件に常に調節し直すこと。すべての試験は,大気圧から陰圧になることなく行われなければなら
ない(ただし,人工呼吸器本来の機能による場合を除く。)。
なお,試験方法は,参考によることが望ましい。
(2.1) すべての試験は,それぞれ人工呼吸器の呼吸管の患者側端での圧(図2のP1),肺胞内圧(コンプ
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ライアンスモデルの内圧,図2のP2),流量及び容量の記録をこの順序でとらなければならない。
(2.2) 目盛とその記録は,ピーク読取り値の±5%の変化が容易,かつ,明りょうに検出できること。すべ
ての記録には,時間を含む適切な単位及び試験方法の詳細が記入され,次のような事項を含むこと。
(a) 環境温度,気圧,吸入ガスの温度,成分及び湿度
(b) 人工呼吸器をテスト肺に接続する呼吸管の品質及び寸法並びに吸気中に加圧される回路部分のその
他の装置(例えば,ヒューミディファイア,スパイロメータ,ウォータトラップなど)の有無(2)。
注(2) このような装置を設ける場合,その形式と位置を明記すること。ヒューミディファイアを設け
る場合,ゼラチン又はその他の比較的圧縮性のない物質で,水位一杯満たすこと。これが難し
い場合,ヒューミディファイアは同等のコンプライアンスと抵抗で置き換えること。
(c) すべての設定条件は,できるだけ記録すること。
(d) その他(例えば,駆動ガス源と圧,特殊回路装置の使用,ヒューミディファイアの形式など。)。
(3) 換気量性能試験 人工呼吸器は,表5のとおりその種類に適合したコンプライアンス (C) 及び抵抗
(R) の組合せに対して試験すること。
表5 換気量性能試験
種類
コンプライアンス
C
抵抗R
換気数f(回/分)
成人用
C20
R 20
10, 15, 20, 30
小児用
C10
R 50
15, 20, 30, 40
C 3
R200
15, 20, 30, 40
新生児用
C 9
R200
20, 30, 40, 60
製造業者は,吸気/呼気相時間比ができるだけ1 : 2に近い換気数で,人工呼吸器がテスト肺に送り
込むことができる1回換気量の範囲を決定しなければならない。異なる換気数とコンプライアンス及
び抵抗の組合せでの測定も含めてよい。
すべての結果は,(例えば表6のように)図表の形式で表現すること。試験が実施されたときの条件
は,(2)の波形性能試験の場合と同様に記載すること。
なお,試験方法は,参考によることが望ましい。
表6
6. 表示 表示は,JIS T 1001の12.によるほか,次のとおりとする。
(1) 呼吸バッグ用連結口には,“バッグ”又は“BAG”という文字を明りょうに表示する。
(2) 人工呼吸器に外気の取入れ口がある場合は,“空気取入れ口”又は“AIR INLET”という文字を明りょ
うに表示する。
(3) 気流の方向によっては危険な呼吸回路構成部品には,正しい使用方向をすぐに操作者が見分けること
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ができる方法で表示する。
(4) 警報システムのケース又は人工呼吸器の本体には,主な警報システムの設定及び適切な取扱説明を表
示する。
(5) ヒューミディファイアには,水容器の注水口,気流の方向,最高及び最低水位,定格電圧又は電圧範
囲並びに定格入力を明りょうに表示する。
(6) ガス用連結部には,ガスの区別を表示する。
(7) その他,薬事法に基づく表示義務事項。
7. 取扱説明書 人工呼吸器の取扱説明書は,JIS T 1005(医用電気機器取扱説明書の様式)によるほか,
次の事項を記載しなければならない。
(1) 使用目的(例えば,成人用,小児用又は新生児用の別,及び麻酔専用,人工呼吸専用又は人工呼吸・
麻酔兼用の別)
(2) 1回換気量の範囲,分時換気量の範囲,圧調節の範囲又はその他の流量,時間などの作動設定範囲,
内部コンプライアンス
(3) 換気数(呼吸回数)範囲
(4) 酸素濃度調節の範囲及び精度などの吸気ガス混合比
(5) 吸気/呼気相時間比の範囲
(6) 気道内圧計又は呼吸回路内圧計(3.2.3参照)
(7) 動力源(例えば,ガス圧又は電力要求事項)
(8) 製造業者が勧める呼吸回路・スパイロメータの消毒又は滅菌方法及び全装置の消毒方法
(9) 寸法
(10) 質量
(11) 動力消費量
(12) 試験成績
(13) 作動原理又は回路系統図及び取扱説明書
(14) 使用上の注意事項
(15) 保守 点検要領
(16) 調節できる事項について,調節範囲か,ステップ可変か及びその調節が他から独立しているかどうか
(17) 点検・修理のための連絡先
(18) 各種警報の詳しい取扱説明,試験方法,適合する電池の種類と数,交換方法など
なお,機能の範囲(例えば,内部コンプライアンス,吸気トリガ圧,流量,容量,吸気トリガ応答
時間,最高安全圧,吸気抵抗,PEEP,IMV,ヒューミディファイア,スパイロメータの形式及び回路
内の位置,警報システム,除菌フィルタなど)を添えることが望ましい。
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参考 試験方法
1. 試験条件 すべての試験は,20±2℃で行うこと。
2. テスト肺
2.1
コンプライアンス コンプライアンスは,参考付表1に示された容積をもつ5種類の弾性のないチ
ャンバで作製する。
容器の端は,堅ろうさを確実なものにするため,逆八形に開いた凹んだ形にするか又は補強する。
ほぼ,等温圧縮になるように,銅製ウール又はそれに代わる表面積が大きくて高い比熱をもった他の材
質で満たす。
銅製ウールを使う場合には,その細線の直径は0.05mm以下とする。
備考1. これらの容積は,容器がたわむことなく,かつ,内部に容積比で約2%のワイヤウールを含み,
大気圧が101.3kPa {760mmHg} の標準値の場合に正しいコンプライアンスとなる。弾性のな
い容器のコンプライアンスは,大気圧に反比例するため,天候による気圧の変化 (+4〜−5%)
や標高による気圧の変化に対し,誤差を±5%に維持するように容積を調節する方法を必要と
する場合がある。
2. 容器は,銅又はそれに代わる高い比熱をもった他の材質で作製されていることが望ましい。
3. C50のコンプライアンスの等温条件を満たすには,約10kgの銅製ウールが必要である。この
量は体積の約2%を占める。
等温条件が満たされたことをチェックするために,本体表1に示された試験方法の中で供給される最大
の1回換気量を,強制的に吹き込んだときの圧反応を記録することによって,各コンプライアンスを試験
すること。この1回換気量は,大きなシリンジを手で圧縮することによって,できるだけ早く供給するこ
と。
参考付表2で設定するピーク圧とそれと平衡に達したときの実際の圧との差は,そのピーク圧の±5%で
あること。
2.2
抵抗(本体表3参照) 抵抗は,焼結ガラス又は他のフィルタ材料で作られていてもよい。フィル
タ材料の断面積は,スクリーンの間にある適当なサイズの小孔をもった二つの薄いマスクとフィルタ材料
によって決定され,この全体の構成は,二つの弾性をもつリングによって圧縮されていること。
成人用テスト肺中の抵抗用としては,フィルタ材料が容器内に取り付けられていてもよい。
また,その内部容積の影響が大きい小児用テスト肺では,抵抗の取付部は,より小さいものとなる。
2.3
接続 成人用人工呼吸器を試験する場合には,ニューモタコグラフ,抵抗及びコンプライアンスは,
内径22mmの弾性のない最小の長さをもったチューブで接合されていること。
また,小児用及び新生児用の人工呼吸器を試験する場合には,本体の5.2の規定に適合するように,よ
り細い弾性のないチューブを使うこと。
3. 適切な測定機器
3.1
流量 より大きい1回換気量を測定するために適したニューモタコグラフのヘッドは,フライシュ
(FLEI-SCH) No.2(直線性±5%,0〜250l/min)である。
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小児用及び新生児用の人工呼吸器を試験する場合には,ヘッドはフライシュNo.1又はNo.0に交換した
ほうが望ましい。
3.2
圧力 適切な感度をもったトランスデューサは,内径1〜3mmの弾性のない最小の長さのチューブ
で接合されることが望ましい。
3.3
容量 積分される流量信号の基線のドリフトは,1呼吸ごとのゼロ・リセット又は電圧を落とすこと
によってなくすることが望ましい。
容量を決定するもう一つの方法は,容量の変化に関して,圧力P2を校正することである。
3.4
パワーと仕事量 パワーと仕事量は,次の関係式からなる。
パワー (P= ・
W) =Paw× ・
V
仕事量 (W) =∫ (Paw× ・
V) dt
4. 装置内部コンプライアンスの測定方法
備考 本項のすべての測定方法は,インピーダンス0に対して出るガス容量と,既知のインピーダン
スにおいてテスト肺に入り人工呼吸器から出るガス容量を種々の吸気終末圧で測定したものと
の差を求める。
4.1
測定 測定は,次のとおりとする。
すべての測定で,吸気/呼気相時間比(I : E比)をできるだけ1 : 2に近づけ,換気数をできるだけ正確
に20回/分とする。圧の測定は,精度が±1.96kPa {2cmH2O} の適当な動的反応のある測定装置で行うこ
と。容量の測定は,読み値の±5%の精度をもつ校正済みのニューモタコグラフ,ガスメータ又はスパイロ
メータ(呼吸量計)で行うこと。流速パターンによって影響を受けるメータは,あらかじめ流速パターン
による影響を測定したうえで特別に校正したものでない限り,この容量の測定には精度が十分でない。
4.2
チュービング部
4.2.1
テスト肺を出るガス容量と人工呼吸器の呼気出口を出るガス容量との差と吸気終末圧との関係は,
4.2.2〜4.2.4によって決まる。
4.2.2
人工呼吸器をC20コンプライアンスに接続し,圧範囲が0〜5.9kPa {0〜60cmH2O} になるように調
節して,そのときの容量及び吸気終末圧の変化を記入する。人工呼吸器から出るガスの容量をスパイロメ
ータ,ガスメータ(少なくとも120秒間の収集時間があるもの)又はニューモタコグラフを使って測定す
る。テスト肺に入るガス容量は,テスト肺のコンプライアンスと吸気終末圧によって計算できる。
また,コンプライアンスチャンバ圧は,容量の条件によって直接校正できるし,テスト肺に入ってくる
ガス容量も,ニューモタコグラフで直接校正できる。
4.2.3
テスト肺は,収集弁(コレクト弁)によってチュービング部から隔離されてもよい。テスト肺に入
るガスを外気に捨て,一方でチュービング部からのガスを人工呼吸器の呼気出口を通して出しながら測定
する。
4.2.4
吸気弁,呼気弁に近い呼吸回路を閉そくして,大きなシリンジで一定のガス容量を人工呼吸器の患
者接続口から注入し,呼吸回路内の圧を側孔から取り出して記録することによって,静的圧とガス容量と
の比を求める。
4.3
ベローズ部
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4.3.1
最小のインピーダンスに対するガス容量と人工呼吸器の呼気出口を出るガス容量との差を,幾つか
の吸気終末圧について測定する。ベローズ部のコンプライアンス曲線を得るために,吸気終末圧に対する
容量の差を表にする。
4.3.2
ニューモタコグラフを患者接続口につなぎ,一定の容量が外気に出るように人工呼吸器を調節し,
最小のインピーダンスにおけるガス容量を測定する。そのガス容量をダグラスバッグに集めて,ガスメー
タ又はスパイロメータで測定してもよい。人工呼吸器を標準のコンプライアンスに接続し,4.3.1のように
人工呼吸器からの呼気容量を記録する。幾つかの1回換気量を設定し,この測定を繰り返すことによって,
異なる吸気終末圧での測定が可能になる。
4.3.3
1回換気量によって,ベローズの吸気終末圧位置が変われば,内部コンプライアンスも1回換気量
によって変わる。このようなタイプの人工呼吸器では,一連の代表的な1回換気量について内部コンプラ
イアンス曲線を作成できるように,それぞれの1回換気量において,幾つかの異なるコンプライアンスを
使用する必要がある。
備考 呼気相時に新鮮ガス流量がこのシステムに加わる場合には,テスト肺に運ばれるガス容量は,
新鮮ガス流量によって変わったり,人工呼吸器の設定されている1回換気量を超えるかもしれ
ない。そのような新鮮ガスによって,ベローズ部とチュービング部のコンプライアンスの測定
が不可能になる場合には,そのことを明示したほうがよい。
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参考付表1 弾性のないチャンバのコンプライアンス
とその容積
コンプライア
ンスの区分
ml/kPa {ml/cmH2O}
容積
l
C50
4.9
{50}
51.6
C20
1.96
{20}
20.6
C10
0.98
{10}
10.3
C 3
0.294 { 3}
3.09
C 1
0.098 { 1}
1.03
参考付表2 持続流発生器によって作られた最高気道内圧(本体の表1に規定された試験)
コンプラ
イアンス
C
抵抗
R
時定数
TC
秒
1回換気
量VT
ml
換気数
f
回/分
分時換気
量 ・
VE
l
流量(1)
・
V
l / 分
肺の弾性に
対抗する圧
PL
kPa {cmH2O}
気道抵抗に
対抗する圧
PR
kPa {cmH2O}
吸気末での
ピーク圧
Ppeak
kPa {cmH2O}
C 50
R
5
0.25
500
20
10
30
0.98{10}
0.245 { 2.5} 1.23 {12.5 }
C 50
R 20
1
500
20
10
30
0.98{10}
0.98 {10 } 1.96 {20 }
C 20
R
5
0.1
500
20
10
30
2.45{25}
0.245 { 2.5} 2.7 {27.5 }
C 20
R 20
0.4
500
20
10
30
2.45{25}
0.98 {10 } 3.43 {35 }
C 20
R 20
0.4
300
20
6
18
1.47{15}
0.588 { 6 } 2.06 {21 }
C 20
R 50
1
300
20
6
18
1.47{15}
1.47 {15 } 2.94 {30 }
C 10
R 20
0.2
300
20
6
18
2.94{30}
0.588 { 6 } 3.53 {36 }
C 10
R 50
0.5
300
20
6
18
2.94{30}
1.47 {15 } 4.41 {45 }
C 3
R 20
0.06
50
30
1.5
4.5
1.67{17}
0.147 {1.5 } 1.81 {18.5 }
C 3
R 50
0.15
50
30
1.5
4.5
1.67{17}
0.372 {3.8 } 2.04 {20.8 }
C 3
R 200
0.6
50
30
1.5
4.5
1.67{17}
1.47 {15 } 3.14 {32 }
C 3
R 50
0.15
30
30
0.9
2.7
0.98{10}
0.225 {2.3 } 1.21 {12.3 }
C 3
R 200
0.6
30
30
0.9
2.7
0.98{10}
0.882 { 9 } 1.86 {19 }
C 1
R 50
0.05
30
30
0.9
2.7
2.94{30}
0.245 {2.5 } 3.17 {32.3 }
C 1
R 200
0.2
30
30
0.9
2.7
2.94{30}
0.882 { 9 } 3.82 {39 }
C 1
R 500
0.5
30
30
0.9
2.7
2.94{30}
2.21 {22.5 } 5.14 {52.5 }
C 1
R1000
1
30
30
0.9
2.7
2.94{30}
4.41 {45 } 7.35 {75 }
C 1
R 200
0.2
60
60
0.9
2.7
1.47{15}
0.882 { 9 } 2.35 {24 }
注(1) 吸気/呼気相時間比(I : E比)が1 : 2のときの値である。
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(1) 日本医用機器工業会 技術委員会 医療用人工呼吸器規格委員会 構成表
氏名
所属
◎ 小 林 建 一
東京慈恵会医科大学
茅 稽 二
順天堂大学医学部
佐 藤 暢
鳥取大学医学部
瀬戸屋 健 三
北総白井病院
宗 行 万之助
三重大学医学部
山 田 満
国立大蔵病院
市 川 勇
アイ・エム・アイ株式会社
○ 市 河 鴻 一
株式会杜アイカ
佐 藤 誠 芳
アコマ医科工業株式会社
三 上 雄
株式会社東機貿
宮 田 昭一郎
利康商事株式会杜
渡 辺 肇
株式会社アムコ
福 島 昭 典
日本医用機器工業会
(2) 二本麻酔学会 麻酔機器規格委員会 構成表
氏名
所属
◎ 小 林 建 一
東京慈恵会医科大学
茅 稽 二
順天堂大学医学部
佐 藤 暢
鳥取大学医学部
瀬戸屋 健 三
東京厚生年金病院
田 中 亮
北里大学医学部
宗 行 万之助
三重大学医学部
山 田 満
国立大蔵病院
(3) 日本医科器械学会 標準部麻酔機器規格委員会 構成表
氏名
所属
○ 市 河 鴻 一
株式会杜アイカ
市 川 勇
アイ・エム・アイ株式会社
大 津 恵
株式会社東機貿
菰 田 重 夫
泉工医科工業株式会社
佐 藤 誠 芳
アコマ医科工業株式会社
中 島 太 郎
株式会社大和酸器
宮 田 昭一郎
利康商事株式会杜
村 田 治
五十嵐医科工業株式会社
渡 辺 肇
株式会社アムコ
◎印 委員長 ○印 幹事
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医療安全用具部会 麻酔器専門委員会 構成表
氏名
所属
(委員会長)
佐 藤 暢
鳥取大学医学部麻酔学科
前 田 勲 男
工業技術院標準部
渡 辺 徹
厚生省薬務局
小 林 建 一
東京慈恵会医科大学麻酔科
神 山 守 人
杏林大学医学部麻酔科
茅 稽 二
順天堂大学医学部麻酔科
宮 坂 勝 之
国立小児病院
山 田 満
国立大蔵病院麻酔科
渡 辺 敏
北里大学医学部麻酔科
市 河 鴻 一
株式会杜アイカ
佐 藤 誠 芳
アコマ医科工業株式会社
磯 部 満 夫
理研計器株式会社
小 池 英 二
アトム株式会杜
宮 田 昭一郎
利康商事株式会杜
久 枝 雄 三
泉工医科工業株式会杜
鈴 木 史 郎
オリジン医科工業株式会杜
新 田 好 広
日本ビーオーシー株式会杜
(事務局)
柾 谷 栄 吾
工業技術院標準部電気・情報規格課
根 上 雄 二
工業技術院標準部電気・情報規格課