2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
T 7202-1989
酸素テント
Oxygen Tents
1. 適用範囲 この規格は,医療用の電動温度調節式酸素テント(以下,酸素テントという。)について規
定する。
備考 この規格の中で { } を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって規格
値である。
引用規格:
JIS A 1406 屋内換気量測定方法(炭酸ガス方法)
JIS B 7411 ガラス製棒状温度計(全浸没)
JIS T 1001 医用電気機器の安全通則
JIS T 1002 医用電気機器の安全性試験方法通測
JIS T 1003 医用電気機器の電気的安全性試験方法
JIS T 1004 医用電気機器の機械的安全性試験方法
JIS T 1005 医用電気機器取扱説明書の様式
JIS T 8202 携帯用熱式風速計
JIS Z 8806 湿度測定方法
関連規格:JIS T 7203 医療用酸素濃度計
JIS Z 8203 国際単位系 (SI) 及びその使い方
2. 用語の意味 この規格で用いる主な用語の意味は,JIS T 1001(医用電気機器の安全通則)の用語の
意味によるほか,次のとおりとする。
(1) テントフード 外気と隔離するために患者の回りを覆う透明な幕。
(2) 本体 テントフード及びフード架を除いた部分。
(3) 器内循環エアフィルタ テントフード内空気の温度調節用熱交換器の保護フィルタ。
(4) フード内中心点 テントフードを使用状態に装着したとき,幅,奥行き及び高さの中心面が交差する
点。
(5) 酸素フラッシュ 酸素流量計を通らずに,比較的多量の酸素ガスをテントフード内へ供給する手で操
作する弁機構。
(6) 送気口 本体から酸素濃度,温度などを調節した空気をテントフード内へ送出する通路の開口部。
3. 安全 安全に関する事項は,JIS T 1001による。電撃に対する保護の形式及び程度は,それぞれJIS T
1001の4.に規定した次の分類に適合しなければならない。
2
T 7202-1989
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(1) 電撃に対する保護の形式による分類 クラスI機器
(2) 電撃に対する保護の程度による分類 B形機器
4. 性能
4.1
温度調節能力 6.4(1)によって試験を行ったとき,フード内中心点の温度が周囲温度より8℃以上高
い温度及び8℃以上低い温度に調節できなければならない。この場合,温度調節後の上限温度は35℃,下
限温度は15℃とする。ただし,冷房専用の場合は,フード内中心点の温度を周囲温度より8℃以上低い温
度に調節できなければならない。この場合,温度調節後の下限温度は15℃とする。
4.2
温度調節精度 6.4(2)によって試験を行ったとき,設定温度とフード内中心点との温度差は±2℃で
なければならない。
4.3
温度計の精度 6.4(3)によって試験を行ったとき,誤差は±2℃でなければならない。
4.4
酸素流量計の精度 6.4(4)によって試験を行ったとき,誤差は指示値の±15%でなければならない。
4.5
酸素配管の漏れ 6.4(5)によって試験を行ったとき,圧力計指示値の差が零でなければならない。
4.6
騒音 6.4(6)によって測定したとき,A特性で65dB以下でなければならない。ただし,酸素フラッ
シュを開いた状態は除く。
4.7
酸素濃度 6.4(7)の(a)及び(b)によって試験を行ったとき,送気口の30cm前方で酸素濃度を30%以上
に保つことができなければならない。
4.8
炭酸ガス濃度 6.4(8)によって試験を行ったとき,送気口の30cm前方で炭酸ガス濃度は,0.1%以下
でなければならない。
4.9
風速 6.4(9)によって試験を行ったとき,フード内中心点の風速は,0.2m/s以下でなければならない。
4.10 湿度 6.4(10)によって試験を行ったとき,フード内中心点の湿度を80%以上に保つことができなけ
ればならない。
5. 構成及び構造
5.1
構成 酸素テントは,温度調節機構,酸素供給機構,湿度供給機構,テントフード及びエアフィル
タで構成する。
5.2
構造 構造は,次のとおりとする。
(1) 温度調節機構 温度計及び温度調節装置を備え,テントフード内の温度を調節する機構であること。
温度設定範囲は,少なくとも15〜35℃であること。
温度計は,少なくとも15〜35℃の目盛があり,最小目盛幅は2℃以下であること。
(2) 酸素供給機構 酸素流量計又は酸素濃度計及び酸素流量調節装置を備え,テントフード内に設定流量
の酸素を供給する機構であること。ただし,酸素フラッシュを付けたときは,流量計を通さなくても
よい。
酸素流量計は,最大目盛は15l/min以上とし,5l/min以上では最小目盛幅は1l/min以下であること。
酸素フラッシュは,酸素ガスの供給圧力が294.2kPa {3kgf/cm2} の場合,大気圧下へ最低35l/min,
最高75l/minの流量で供給されること。
なお,酸素フラッシュは,自動的に閉まる機構を備えなければならない。もし“開”の位置で止ま
るような機構をも備える場合には,明りょうな動作によってだけ止まり,自動的に閉まる機構へ容易
に戻せるような構造とし,その機構のあることを明示しなければならない。
(3) 湿度供給機構 湿度発生装置を備え,テントフード内の空気を加湿する機構であること。
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(4) テントフード 透明,軟質,難帯電性であり,幅50cm以上,奥行き80cm以上,高さ140cm以上で
あること。
(5) エアフィルタ 本体には,器内循環エアフィルタ及び外部熱交換器保護用のエアフィルタを備えるこ
と。
6. 試験
6.1
試験条件 試験の条件は,JIS T 1002(医用電気機器の安全性試験方法通則)の4.による。
6.2
試験項目 試験項目は,次のとおりとする。
(1) 安全に関する試験
(2) 性能試験
(a) 温度調節能力試験
(b) 温度調節精度試験
(c) 温度計精度試験
(d) 酸素流量計精度試験
(e) 酸素配管漏れ試験
(f) 騒音試験
(g) 酸素濃度試験
(h) 炭酸ガス濃度試験
(i) 風速試験
(j) 湿度試験
6.3
安全に関する試験 安全に関する試験は,JIS T 1002, JIS T 1003(医用電気機器の電気的安全性試験
方法)及びJIS T 1004(医用電気機器の機械的安全性試験方法)による。
6.4
性能試験 性能試験は,次のとおりとする。
なお,テントフードは,大きさが幅50cm,奥行き80cm,高さ100cmで,使用状態にして,ファスナな
どを実装したもので行わなければならない。
(1) 温度調節能力試験 周囲温度25℃において,この温度に対して8℃以上高い設定温度及び8℃以上低
い設定温度で酸素テントを運転し,周囲温度とフード内中心点との温度差を測定する。
(2) 温度調節精度試験 設定温度25℃において,酸素テントを運転し,安定状態になったとき,フード内
中心点の温度を測定する。
(3) 温度計精度試験 JIS B 7411[ガラス製棒状温度計(全浸没)]に規定する100度温度計又は150度温
度計と比較する。
(4) 酸素流量計精度試験 5l/min, 10l/min及び15l/minの3点で基準流量計と比較試験を行い,次の式によ
って誤差を算出する。
100
×
−
=
S
S
F
E
ここに, E: 被試験流量計の誤差 (%)
F: 被試験流量計の指示値 (l/min)
S: 基準流量計の指示値 (l/min)
(5) 酸素配管漏れ試験 一次側の酸素配管に500±50kPa {5.1±0.5kgf/cm2} の酸素を加えて密封状態にし,
そのときの圧力計の指示値と,1分後の圧力計の指示値を比較する。
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T 7202-1989
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(6) 騒音試験 JIS T 1004の8.による。
(7) 酸素濃度試験
(a) 酸素ガス10l/minを15分間供給したとき,送気口の30cm前方での酸素濃度を測定する。
(b) 酸素フラッシュを用いて酸素ガスをテントフード内に3分間供給したとき,送気口の30cm前方で
の酸素濃度を測定する。
(8) 炭酸ガス濃度試験 10l/minの酸素ガスを供給しながら,200ml/minの炭酸ガスをフード内中心点に15
分間供給したとき,送気口の30cm前方での炭酸ガス濃度をJIS A 1406[屋内換気量測定方法(炭酸
ガス法)]の規定によって測定する。
(9) 風速試験 器内循環用ファンでテントフード内空気を循環させたとき,フード内中心点の風速をJIS T
8202(携帯用熱式風速計)に規定する風速計によって測定する。
(10) 湿度試験 湿度供給を最大にし,温度調節装置を25℃に設定したとき,フード内中心点の湿度をJIS Z
8806(湿度測定方法)の規定によって測定する。
7. 表示
7.1
銘板表示 酸素テントには,見やすいところに次の事項を表示しなければならない。
(1) 名称及び型名
(2) 製造業者名及び所在地
(3) 製造番号又は製造年月
(4) 定格電源周波数 (Hz) 及び定格電源電圧 (V)
(5) 電源入力(A, VA又はW)
(6) 電撃に対する保護の形式及び程度
7.2
その他の表示 テントフードの見やすいところに“火気厳禁”を赤字で表示するなど,使用者の注
意を喚起する要領で表示しなければならない。
8. 附属文書 酸素テントには,次の文書を附属しなければならない。
(1) 性能に関する事項
(2) 取扱説明書 取扱説明書は,JIS T 1005(医用電気機器取扱説明書の様式)による。
9. 使用条件
9.1
使用環境 使用環境は,JIS T 1001の3.(1)による。ただし,周囲温度は15〜35℃とする。
9.2
保管環境 保管環境は,JIS T 1001の3.(2)による。ただし,周囲温度は−10〜50℃とする。
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T 7202-1989
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
医療安全用具部会 麻酔器専門委員会 構成表
氏名
所属
(委員会長)
佐 藤 暢
鳥取大学医学部麻酔学科
前 田 勲 男
工業技術院標準部
渡 辺 徹
厚生省薬務局
小 林 建 一
東京慈恵会医科大学麻酔学科
神 山 守 人
杏林大学医学部麻酔学科
茅 稽 二
順天堂大学医学部麻酔学科
宮 坂 勝 之
国立小児病院
山 田 満
国立大蔵病院麻酔学科
渡 辺 敏
北里大学医学部麻酔学科
市 河 鴻 一
株式会社アイカ
佐 藤 誠 芳
アコマ医科工業株式会社
磯 部 満 夫
理研計器株式会社
小 池 英 二
アトム株式会社
宮 田 昭一郎
利康商事株式会社
久 枝 雄 三
泉工医科工業株式会社
鈴 木 史 郎
オリジン医科工業株式会社
新 田 好 広
日本ビーオーシー株式会社
(事務局)
柾 谷 栄 吾
工業技術院標準部電気・情報規格課
根 上 雄 二
工業技術院標準部電気・情報規格課