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(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 要求事項························································································································· 3
4.1 生体適合性 ··················································································································· 3
4.2 材料 ···························································································································· 3
4.3 有害元素 ······················································································································ 4
4.4 リスク分析 ··················································································································· 4
4.5 漏えい(洩)磁束密度 ···································································································· 4
4.6 維持力 ························································································································· 4
4.7 耐食性 ························································································································· 4
5 試料の作製 ······················································································································ 4
5.1 維持力 ························································································································· 4
5.2 静的浸せき試験 ············································································································· 4
5.3 アノード分極 ················································································································ 5
6 試験方法························································································································· 5
6.1 漏えい(洩)磁束密度 ···································································································· 5
6.2 維持力 ························································································································· 5
6.3 耐食性 ························································································································· 8
7 表示及び添付文書 ············································································································· 9
7.1 表示 ···························································································································· 9
7.2 添付文書 ····················································································································· 10
附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 11
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(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,日本歯科材料工業協同組合(JDMA)及び一
般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,
日本工業標準調査会の審議を経て,厚生労働大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。厚生労働大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本工業規格 JIS
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歯科用磁性アタッチメント
Dentistry-Magnetic attachments
序文
この規格は,2012年に第1版として発行されたISO 13017及びAmendment 1(2015)を基とし,生体適
合性の追加など技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。ただし,追補(amendment)につい
ては,編集し,一体とした。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一
覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,可撤性クラウン・ブリッジ,可撤性部分床義歯,オーバーデンチャ,歯科用インプラント
の上部構造及び矯正用装置又は顎顔面補てつ(綴)物(オブチュレータを含む。)を,維持し,支持し,か
つ,安定させる歯科用磁性アタッチメント(以下,磁性アタッチメントという。)について規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 13017:2012,Dentistry−Magnetic attachments及びAmendment 1:2015(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 2502 永久磁石材料
注記 対応国際規格:IEC 60404-8-1,Magnetic materials−Part 8-1: Specifications for individual
materials−Magnetically hard materials
JIS R 3802 ガラス製化学プラント用構成部品
注記 対応国際規格:ISO 3585,Borosilicate glass 3.3−Properties
JIS T 0307 医療機器−医療機器のラベル,ラベリング及び供給される情報に用いる図記号
注記 対応国際規格:ISO 15223-1,Medical devices−Symbols to be used with medical device labels,
labelling and information to be supplied−Part 1: General requirements
JIS T 0993-1 医療機器の生物学的評価−第1部:リスクマネジメントプロセスにおける評価及び試験
JIS T 6001 歯科用医療機器の生体適合性の評価
JIS T 6002 歯科用金属材料の腐食試験方法
注記 対応国際規格:ISO 10271,Dentistry−Corrosion test methods for metallic materials
2
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JIS T 7403-1 外科インプラント用鉄基合金−第1部:ステンレス鋼
注記 対応国際規格:ISO 5832-1,Implants for surgery−Metallic materials−Part 1: Wrought stainless
steel
JIS T 14971 医療機器−リスクマネジメントの医療機器への適用
注記 対応国際規格:ISO 14971,Medical devices−Application of risk management to medical devices
JIS Z 8802 pH測定方法
JIS Z 8805 pH測定用ガラス電極
ISO 1942,Dentistry−Vocabulary
ISO 14233,Dentistry−Polymer-based die materials
ISO 22674,Dentistry−Metallic materials for fixed and removable restorations and appliances
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,ISO 1942によるほか,次による。
3.1
磁性アタッチメント(magnetic attachment)
磁気吸引力を用いて補てつ(綴)物などを維持・支持する装置。
3.1.1
開磁路アタッチメント(open magnetic circuit attachment)
二つの磁石間の,又は磁石とキーパーとの間の開磁路を用いる磁性アタッチメント(図1参照)。
注記 磁石は,腐食を防ぐためにチタン,チタン合金,ステンレス鋼などの耐食性の金属又は合金製
のカバー中に封入されている。維持結合コンポーネントとして,二つの磁石間の吸引力,又は
磁石と強磁性合金キーパーとの間の吸引力を利用している。
a) 磁石とキーパーとの組合せ
b) 二つの磁石の組合せ
1
磁石
2
キーパー
3
マグネットコア
4
カバー
図1−開磁路アタッチメントの概略図
3.1.2
閉磁路アタッチメント(closed magnetic circuit attachment)
磁石構造体とキーパーとの間の閉磁路を用いる磁性アタッチメント。
注記
このアタッチメントは,磁石構造体とキーパーとの組合せからなっている。サンドイッチ型及び
カップヨーク型を例示する(図2参照)。
3
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a) サンドイッチ型
b) カップヨーク型
1
磁石構造体
2
キーパー
3
ヨーク
4
マグネットコア
5
スペーサ
6
カバー
図2−閉磁路アタッチメントの概略図
3.2
磁石構造体(magnetic assembly)
強磁性ヨーク及び非磁性スペーサで密封された小型磁石からなり,キーパーとともに閉磁路を形成する
構造体。
注記 この閉磁路は,強磁性材料で作製されたヨーク及びキーパーを通る磁束の完全な循環路である。
この回路は,維持力を高め,漏えい(洩)磁束を減衰させることができる。
3.3
キーパー(keeper)
補てつ(綴)物などを支台に固定するために用いる強磁性合金コンポーネント。
注記 キーパーは,磁石又は磁石構造体の磁極間に磁気回路を形成するように配置される。
3.4
ヨーク(yoke)
磁石に接し,磁束を集中させるために用いる強磁性合金コンポーネント。
3.5
破壊電位(breakdown potential)
それ以上の電位では,孔食若しくは隙間腐食,又は両方が始まり進行する電位。
4
要求事項
4.1
生体適合性
生体適合性については,JIS T 0993-1及びJIS T 6001によって生物学的安全性を評価する。
4.2
材料
4.2.1
マグネットコア
JIS C 2502に規定する分類の磁石を,マグネットコアとして用いる。
4.2.2
マグネットコア以外のコンポーネント
磁性アタッチメントのマグネットコア以外のコンポーネントに関しては,製造販売業者が化学組成を示
している材料を用いる。
4
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4.2.3
化学組成
マグネットコアについては,JIS C 2502による主要成分を示す[7.2 a) 参照]。
磁性アタッチメントのマグネットコア以外の材料については,質量分率1.0 %より多く存在する成分に
ついて,全ての成分元素名を示す添付文書に記載する[7.2 a) 参照]。使用者が要求する場合,製造販売業
者は,その製造番号又は製造記号の化学組成を提示する。
4.3
有害元素
4.3.1
認識されている有害元素
この規格でいう有害元素は,カドミウム,ベリリウム,鉛及びニッケルとする。
4.3.2
カドミウム,ベリリウム及び鉛の含有量
磁性アタッチメントの材料に含まれるカドミウム,ベリリウム及び鉛は,それぞれ質量分率0.02 %以下
でなければならない。
4.3.3
ニッケルの含有量
磁性アタッチメントのマグネットコア以外の材料が質量分率0.1 %より多いニッケルを含有する場合,
その含有量を少なくとも質量分率0.1 %まで,添付文書及び包装に記載しなければならない。また,含有
量は記載した値[7.1.2 c)及び7.2 f)]を超えてはならない。
4.4
リスク分析
JIS T 14971によってリスク分析を行い,結果を記録する。
4.5
漏えい(洩)磁束密度
6.1によって試験したとき,磁性アタッチメントの表面から5 mmにおける最大磁束密度の平均値が40
mTより大きい場合,その値を添付文書に記載する[7.2 b) 参照]。
4.6
維持力
磁性アタッチメントの維持力は,6.2によって試験したとき,添付文書に記載する値[7.2 d) 参照]の
85 %以上でなければならない。
4.7
耐食性
4.7.1
溶出イオン
磁石又は磁石構造体,及びキーパーから,規定された溶液(6.3.1.3参照)中へ溶出される金属イオン総
量は,6.3.1によって試験したとき,37±1 ℃で7日間±1時間で,ISO 22674に適合しており200 μg/cm2
を超えてはならない。
4.7.2
破壊電位
磁石又は磁石構造体,及びキーパーの破壊電位は,6.3.2によって試験したとき,JIS T 7403-1に相当す
るステンレス鋼の破壊電位以上でなければならない。
5
試料の作製
5.1
維持力
測定(6.2.4参照)の直前に,アセトン,エタノール又はメタノール中に浸した綿棒を用いて,磁石又は
磁石構造体,及びキーパーの吸着面を清浄にする。必要に応じて,油分及び水分を含まない圧縮空気で乾
燥する。
5.2
静的浸せき試験
総表面積が2 cm2以上となるように,十分な数(3個以上)の磁石,磁石構造体又はキーパーを用意する。
JIS T 6002によって磁石,磁石構造体又はキーパーを調製する。これらの磁石,磁石構造体又はキーパー
5
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を静的浸せき試験に用いる。
注記 JIS T 6002は,調製した試料の総表面積が10 cm2以上であることを要求している。しかし,そ
のようにすると,実際的でない数の試料が必要になる(例えば,25〜50個)。そのため,必要
とする表面積を2 cm2以上に減らしてある。この表面積であると,(“試料表面積1 cm2当たり
溶液1 mLの割合とするのに十分な溶液を,各容器に加える。”と規定されている。)JIS T 6002
の試験手順によるとき,試験溶液の最低量は2 mLとなる。この2 mLは,誘導結合プラズマ(ICP)
分析を行うのに十分な試験溶液量である。
5.3
アノード分極
JIS T 6002によって,磁石又は磁石構造体,キーパー及び作用電極を調製する。
6
試験方法
6.1
漏えい(洩)磁束密度
6.1.1
機器
6.1.1.1
ガウスメータ
校正されたホール素子を用いたもの。
6.1.2
試験手順
ホール素子を用いたガウスメータを使用し,使用状態で(例えば,キーパーが磁石構造体に取り付けら
れている状態で),磁性アタッチメントの表面から5 mmにおける最大磁束密度を測定する。5回測定して
平均値を記録する。
6.2
維持力
6.2.1
機器
6.2.1.1
引張試験機
維持力の少なくとも1 %まで読み取れるもので,クロスヘッド速度が5.0 mm/min以下で,試料を固定し,
位置調整できる調整装置付きのものを用いる。
6.2.1.2
低摩擦ボールベアリングスライダを用いた試料を垂直に固定し引っ張る装置(維持力測定用装
置)
引張試験機に取り付けられるものを用いる(図3参照)。
注記 試料を引っ張るときの軸を動かす抵抗力は0.02 N以下とするのが望ましい。試料(磁石,磁石
構造体,又はキーパー)を安定した方法で固定することを容易にするために,上下試料台は変
更することができる。
6
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a) 正面
b) 側面
1
ボールベアリングスライダのレール
2
軸
3
ボールベアリングスライダ
4
非磁性の上試料台
5
試料(磁石又は磁石構造体)
6
試料(磁石又はキーパー)
7
非磁性の下試料台
8
X-Yステージ
a
引張試験機へ固定
図3−低摩擦ボールベアリングスライダを用いた試料を垂直に固定し引っ張る装置(維持力測定用装置)
6.2.2
材料
6.2.2.1
両面テープ
軸合せをする間,試料と試料台とを接合するために用いる。テープを除去した後の接合面には粘着剤を
残さない。
6.2.2.2
シアノアクリレート接着剤
試料と上下試料台とを固定するために用いる。
6.2.2.3
常温重合型アクリル樹脂
非円盤状試料をリングに包埋するために用いる。ISO 14233に適合した特性をもつものとする。
7
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6.2.3
固定方法
6.2.3.1
試料の固定
試料の固定は,次による。
a) 上下試料台の軸を合わせるため,X-Yステージを用いた維持力測定用装置(6.2.1.2)によって下試料
台の位置を調整する。両面テープ(6.2.2.1)を用いて磁石(又は磁石構造体)の吸着面を下試料台の
中心に取り付ける。軸合せ工程が終了後,両面テープに取り付けた面は他の磁石(又はキーパー)に
吸着する面となる。
b) 下試料台に両面テープで取り付けた磁石(又は磁石構造体)の上に,シアノアクリレート接着剤
(6.2.2.2)を磁石(又は磁石構造体)側面に流れ落ちないように気を付けて1滴載せる。上試料台を
接着剤が塗られた磁石(又は磁石構造体)に接するまでゆっくり降下させる。必要に応じて,磁石(又
は磁石構造体)と上試料台間との接着部分を常温重合型アクリル樹脂(6.2.2.3)で補強する。磁石(又
は磁石構造体)と上試料台との接着が完了後,上試料台を上昇させ,磁石(又は磁石構造体)の吸着
面から軸合せに使用した両面テープを取り除く。
c) 磁石(又はキーパー)を上試料台に接着させた磁石(又は磁石構造体)に取り付ける。磁石(又はキ
ーパー)が上試料台に接着させた磁石(又は磁石構造体)と正しく軸合せができていることを確認す
る。下試料台の中央部にシアノアクリレート接着剤(6.2.2.2)を1滴載せる。上試料台を磁石(又は
キーパー)の下部が下試料台に塗布された接着剤に接触するまでゆっくり降下させる。必要に応じて,
磁石(又はキーパー)と下試料台間との接着部分を常温重合型アクリル樹脂(6.2.2.3)で補強する。
下試料台又は上試料台は,磁石(又はキーパー)と下試料台との接着が完了するまで動かさない。
d) 上試料台上の磁石(又は磁石構造体)と下試料台上の磁石(又はキーパー)との正確な軸を維持する
ため,接着が完了しても下試料台及び上試料台を維持力測定用装置(6.2.1.2)から取り外さない。
6.2.4
試験手順
試験手順は,次による。
a) 維持力測定用装置(6.2.1.2)を引張試験機(6.2.1.1)に取り付け,クロスヘッド速度5.0 mm/min以下
で,磁石(又は磁石構造体)が磁石(又はキーパー)から完全に離れるまで,試料に引張荷重を加え
る。
b) 各試料について,分離点における初期値(図4のA)及び無負荷荷重(図4のB:軸,ボールベアリ
ングスライダの可動部,上試料台,上試料台に接着された試料及び軸を引き上げるときの抵抗力の総
和からなる荷重)を測定する。分離点初期値(A)は無負荷荷重(B)と維持力(C)との和として得
られることから,移動域bの中央値を無負荷荷重(B)とする。次に分離点初期値(A)から無負荷荷
重(B)を差し引いた値を維持力(C)とする。各試料について,この手順を少なくとも5回繰り返し,
その中央値を維持力(C)として記録する。
c) 5個以上の試料から得られた中央値の平均として維持力(C)を求める。丸めの幅を0.1 Nとして記録
する。
8
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X 移動量
Y 引張力
A 分離点初期値(A)
B 無負荷荷重(B)
C 維持力(A−B)
a
分離点
b
移動域
図4−維持力曲線
6.3
耐食性
6.3.1
静的浸せき試験
6.3.1.1
試薬
試薬は,JIS T 6002による。
6.3.1.2
機器
6.3.1.2.1
pH計
JIS Z 8802及びJIS Z 8805に規定するもの。
6.3.1.2.2
試験管
誘導結合プラズマ(ICP)分析又は原子吸光分析(AAS)を行うための,JIS R 3802に適合するほうけい
酸ガラス製のもの,又はポリエチレン(PE)製若しくはポリプロピレン(PP)製のもの。
6.3.1.3
試験溶液
JIS T 6002によって,試験ごとに新しい溶液を調製する。
6.3.1.4
試験手順
試験手順は,次による。
a) pH計を用いて試験溶液のpHを測定する。
b) 保持のための線又は点接触以外には試料が試験管の内壁に接触しないように,各試料を個別の試験管
に入れる。
c) 試料表面積1 cm2当たり溶液1 mLの割合になる量の溶液を,各試験管に加える。このとき,試料全体
が溶液に浸っていなければならない。体積は0.1 mLの桁まで測定する。
d) 溶液の蒸発を防ぐために試験管を密閉し,37±1 ℃で7日間±1時間保つ。
9
T 6543:2017
e) 試料を取り出し,残留溶液のpHを測定する。
f)
対照溶液を入れる試験管をもう一つ用意し,試料の入った溶液と並行して維持する。対照溶液は,溶
液中の各元素の不純物量を確定するために用いる。
g) 対照溶液は,試料の入った溶液とほぼ同じ体積とし,0.1 mLの桁まで測定する。
h) 溶液の蒸発を防ぐために容器を密閉し,試料の入った溶液とともに37±1 ℃で7日間±1時間保つ。
6.3.1.5
分析
分析は,次による。
a) 試験管から試料を取り出した後,各試験管の溶液を全て合わせる。
b) 十分な感度の機器分析法(例えば,AAS,ICP-OESなど)を用いて,溶液を定性的及び定量的に分析
する。
c) 7.2 a) に記載した元素に重点を置く。7.2 a) に記載した元素が検出限界より高い濃度で検出された場
合は,そのイオンの元素名及び溶出量をμg/cm2/7dの単位で記録する。
d) 各元素について,対照溶液中の元素について得られた値を,試験溶液中で得られた値から差し引く。
検出限界の定義は,標準液の分析における標準偏差の10倍の濃度とする。
6.3.2
アノード分極
6.3.2.1
試薬
試薬は,JIS T 6002による。
6.3.2.2
機器
機器は,JIS T 6002による。
6.3.2.3
試験溶液
試験溶液は,JIS T 6002によって,試験ごとに新しい溶液を調製する。
6.3.2.4
試験手順
試験手順は,次による。
JIS T 6002によって,磁石又は磁石構造体及びキーパーのアノード分極曲線を得る。
6.3.2.5
分析
分析は,次による。
磁石又は磁石構造体及びキーパーのアノード分極曲線から破壊電位を求めて,その電位をJIS T 7403-1
に規定するステンレス鋼の電位と比較する。
7
表示及び添付文書
7.1
表示
7.1.1
製品への表示
磁性アタッチメントには,次の事項を表示しなければならない。
a) 製品名又は略号
b) 製品の寸法
c) 製造販売業者名
製品が小さ過ぎて,直接表示できない場合には,この要求事項は適用しない。その代わり,直接の包装
に,この事項を表示する。
7.1.2
包装への表示
磁性アタッチメントの包装には,次の事項を表示しなければならない。
10
T 6543:2017
a) 製品名
b) 数量
c) マグネットコア以外の,磁性アタッチメントの材料が質量分率0.1 %より多くニッケルを含有する場
合,その含有量及びJIS T 0307に規定する警告記号(中に感嘆符が入った三角形)。
d) 製造番号又は製造記号
e) 製造販売業者名及び所在地
f)
他の法定表示事項
7.2
添付文書
磁性アタッチメントには,次の事項を記載した添付文書を添付しなければならない。
a) 磁性アタッチメントに用いる材料の組成:マグネットコアについては,JIS C 2502による主要成分,
マグネットコア以外の材料については,質量分率1.0 %より多く含有する全ての成分元素名。
b) 使用状態における磁性アタッチメントの表面から5 mmにおける最大漏えい(洩)磁束密度を,5回
測定して平均値が40 mTより大きい場合,その最大漏えい(洩)磁束密度。
c) 許容最高加熱温度
d) 維持力
e) 補てつ(綴)物を維持する支台歯,インプラントアバットメント又はインプラント体への取付けに関
する指示。
f)
ニッケルを質量分率0.1 %より多く含有する場合,その含有量,副作用の危険性に関する十分に詳細
な情報,及び“この製品はニッケルを含有する”旨の記載。
g) 医療機器(例えば,MRI,心臓ペースメーカ)との干渉を含めて,磁性アタッチメントの使用に関す
る注意事項及び警告。
h) 他の法定記載事項
参考文献 WHO Environmental Health Criteria Monograph No.232, Static Fields, p.349-351
附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS T 6543:2017 歯科用磁性アタッチメント
ISO 13017:2012,Dentistry−Magnetic attachments及びAmendment 1:2015
(I)JISの規定
(II)国際
規格番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
1 適用範囲 可撤性クラウン・ブ
リッジ
1
−
追加
“可撤性”を追加した。
クラウン・ブリッジにも可撤性が
ある。
ISO規格改正時に提案する。
2 引用規格
3 用語及び
定義
3.1 磁性アタッチメ
ント
3.1
−
追加
“など”及び“・支持”を追加した。 補てつ(綴)物だけではない。ま
た,支持の場合もある。
ISO規格改正時に提案する。
3.1.1 開磁路アタッ
チメント
3.1.1
二つのコンポーネン
ト間の
変更
“磁石間の,又は磁石とキーパーと
の”に変更した。
“二つのコンポーネント”をより
分かりやすくした。
3.1.2 閉磁路アタッ
チメント
3.1.2
二つの装置コンポー
ネント間
変更
“磁石構造体とキーパーとの”に変
更した。
“二つの装置コンポーネント”を
より分かりやすくした。
3.3 キーパー
3.3
−
追加
“など”を追加した。
補てつ(綴)物だけではない。
ISO規格改正時に提案する。
3.5 破壊電位
−
−
追加
“破壊電位”を追加した。
“ブレークダウンポテンシャル”
の訳だが,定義が必要である。
ISO規格改正時に提案する。
4 要求事項 4.1 生体適合性
1
生物学的危険性は,
ISO 10993-1及び
ISO 7405によって
評価できる。
追加
生体適合性について規定に追加し
た。
他のJISに整合させた。
4.3.1 認識されてい
る有害元素
4.2.1
ニッケル,カドミウ
ム及びベリリウム
追加,変
更
“鉛”を追加し,並べ替えた。
以下同様。
他のJISに整合させた。
ISO規格改正時に提案する。
2
T
6
5
4
3
:
2
0
1
7
(I)JISの規定
(II)国際
規格番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
4 要求事項
(続き)
4.3.3 ニッケルの含
有量
4.2.3
質量分率0.1 %以上
の精度で
変更
“少なくとも質量分率0.1 %まで”
に変更した。
具体的に分かりやすい表現にし
た。
ISO規格改正時に提案する。
4.5 漏えい(洩)磁
束密度
4.4
漏えい(洩)磁束
追加,変
更
“密度”を追加した。
以下同様。
“密度”の記載が必要である。
ISO規格改正時に提案する。
5 試料の作
製
5.1 維持力
5.1
−
追加,変
更
“必要に応じて”を追加した。
圧縮空気で乾燥することは,常時
必要ではない。
6 試験方法
−
6.1
情報,説明書及び表
示
削除
ISO規格の規定を削除した。
目視検査として特に必要な事項で
はない。
6.1.1.1 ガウスメー
タ
6.2.1.1
ISO/IEC 17025によ
る。
削除
ISO規格の規定を削除した。
ISO/IEC 17025は,ガウスメータ
の規格ではない。
ISO規格改正時に提案する。
6.2.1.1引張試験機
6.3.1.1
1 %より高い精度を
もち
変更
“少なくとも1 %まで読み取れる
もので”に変更した。
具体的に分かりやすい表現にし
た。
ISO規格改正時に提案する。
6.2.1.2 低摩擦ボー
ルベアリングスラ
イダを用いた試料
を垂直に固定し引
っ張る装置(維持力
測定用装置)
6.3.1.2
低摩擦ボールベアリ
ングスライダを用い
た試料を垂直に固定
し引っ張る装置
変更
“(維持力測定用装置)”を追加し
た。
以下同様。
分かりやすい装置名を追加した。
6.3.1.2.1 pH計
6.4.1.2.1
ISO 10271に準拠す
るもの。
変更
pH計のJISを規定した。
pH計を規定するJISを引用した。
6.3.1.2.2試験管
6.4.1.2.2
AA分析
変更
“AAS”に変更した。
正確な表現にした。
ISO規格改正時に提案する。
6.3.1.4 c) 桁まで
6.4.1.4
精度で
変更
“桁まで”に変更した。
6.3.1.4 g) も同様。
具体的に分かりやすい表現にし
た。
ISO規格改正時に提案する。
2
T
6
5
4
3
:
2
0
1
7
(I)JISの規定
(II)国際
規格番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
7 表示及び
添付文書
7.1.2 b) 数量
8.2
−
追加
“数量”を追加した。
必要な表示事項である。
ISO規格改正時に提案する。
7.1.2 c)
8.2
−
追加,変
更
“その含有量”を追加した。
4.3.3の記載と整合させた。
ISO規格改正時に提案する。
7.1.2 f) 他の法定表
示事項
8.2
−
追加
“他の法定表示事項”を追加した。 医薬品医療機器法による。
7.2 e)
7 e)
−
追加,変
更
“支台歯”を追加した。
支台歯とインプラントアバットメ
ントとを明確にした。
ISO規格改正時に提案する。
7.2 f) その含有量
7 f)
−
追加,変
更
“その含有量”を追加した。
4.3.3の記載と整合させた。
ISO規格改正時に提案する。
7.2 h) 他の法定記載
事項
7
−
追加
“他の法定記載事項”を追加した。 医薬品医療機器法による。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:(ISO 13017:2012,Amd.1:2015,MOD)
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 削除 ················ 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ··············· 国際規格を修正している。
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