T 6520:2019
(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 1
4 種類······························································································································· 2
4.1 材質 ···························································································································· 2
4.2 タイプ ························································································································· 2
5 要求事項························································································································· 2
5.1 生体適合性 ··················································································································· 2
5.2 24時間後のデュロメータA硬さ ······················································································· 2
5.3 30日後のデュロメータA硬さ ·························································································· 2
5.4 接着強さ ······················································································································ 2
5.5 吸水量 ························································································································· 3
5.6 溶解量 ························································································································· 3
6 サンプリング ··················································································································· 3
7 試験方法························································································································· 3
7.1 試験条件 ······················································································································ 3
7.2 デュロメータA硬さ ······································································································· 3
7.3 接着強さ ······················································································································ 4
7.4 吸水量及び溶解量 ·········································································································· 5
8 包装,表示及び添付文書 ···································································································· 8
8.1 包装 ···························································································································· 8
8.2 表示 ···························································································································· 9
8.3 添付文書 ······················································································································ 9
附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 10
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(2)
まえがき
この規格は,産業標準化法第16条において準用する同法第12条第1項の規定に基づき,日本歯科材料
工業協同組合(JDMA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添えて日本産業規格
を改正すべきとの申出があり,日本産業標準調査会の審議を経て,厚生労働大臣が改正した日本産業規格
である。これによって,JIS T 6520:2012は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,この規格の改正公示日から3年間までJIS T 6520:2012を適用することができる。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。厚生労働大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
注記 工業標準化法に基づき行われた申出,日本工業標準調査会の審議等の手続は,不正競争防止法
等の一部を改正する法律附則第9条により,産業標準化法第12条第1項の申出,日本産業標準
調査会の審議等の手続を経たものとみなされる。
日本産業規格 JIS
T 6520:2019
義歯床用長期弾性裏装材
Long-term soft lining materials for removable dentures
序文
この規格は,2016年に第3版として発行されたISO 10139-2を基とし,我が国の実情に合わせて要求事
項など技術的内容を変更して作成した日本産業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一
覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,義歯床の粘膜面に比較的長期間使用する義歯床用長期弾性裏装材(以下,裏装材という。)
について規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 10139-2:2016,Dentistry−Soft lining materials for removable dentures−Part 2: Materials for
long-term use(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 6253-3 加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−硬さの求め方−第3部:デュロメータ硬さ
JIS R 6010 研磨布紙用研磨材の粒度
JIS R 6253 耐水研磨紙
JIS T 0993-1 医療機器の生物学的評価−第1部:リスクマネジメントプロセスにおける評価及び試験
JIS T 6001 歯科用医療機器の生体適合性の評価
JIS T 6501 義歯床用レジン
注記 対応国際規格:ISO 20795-1,Dentistry−Base polymers−Part 1: Denture base polymers
ISO 1942,Dentistry−Vocabulary
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,ISO 1942によるほか,次による。
3.1
長期弾性裏装材
2
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支持組織に対する負担を軽減するために,義歯床の粘膜面に接して長期使用する弾性材料。
3.2
長期使用(long-term use)
30日を超える長い期間の使用。
3.3
直接容器(immediate container)
材料と直接接触する容器。
4
種類
4.1
材質
裏装材は,材質によって次のように分類する。
a) シリコーン系
b) アクリル系
4.2
タイプ
裏装材は,24時間後のデュロメータA硬さによって次のように分類する。
なお,デュロメータA硬さは,ショアA硬さと同じである。
a) タイプI:軟らかい
b) タイプII:特に軟らかい
5
要求事項
5.1
生体適合性
生体適合性については,JIS T 0993-1及びJIS T 6001によって生物学的安全性を評価する。
5.2
24時間後のデュロメータA硬さ
24時間後のデュロメータA硬さは,7.2によって試験したとき,表1による。
表1−24時間後のデュロメータA硬さ
タイプ
デュロメータA硬さ
I
25を超え55以下
II
25以下
5.3
30日後のデュロメータA硬さ
30日後のデュロメータA硬さは,7.2によって試験したとき,表2による。
表2−30日後のデュロメータA硬さ
タイプ
デュロメータA硬さ
I
65以下
II
35以下
5.4
接着強さ
接着強さは,7.3によって試験したとき,表3による。
3
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表3−接着強さ
タイプ
シリコーン系
MPa
アクリル系
MPa
I
1.0以上
0.6以上
II
0.5以上
0.3以上
5.5
吸水量
吸水量は,7.4によって試験したとき,シリコーン系の場合には,20 μg/mm3以下で,アクリル系の場合
には,40 μg/mm3以下でなければならない。
5.6
溶解量
溶解量は,7.4によって試験したとき,シリコーン系の場合には,3 μg/mm3以下で,アクリル系の場合
には,15 μg/mm3以下でなければならない。
6
サンプリング
試料は,同一ロットの製品であって,規定された試験を行うのに十分な量を採取しなければならない。
7
試験方法
7.1
試験条件
製造販売業者が特に指定していない場合には,23±2 ℃で試験する。測定装置は,校正した状態で使用
しなければならない。
7.2
デュロメータA硬さ
7.2.1
機器
7.2.1.1
デュロメータA硬さ計 JIS K 6253-3に規定するもの。
7.2.1.2
恒温水槽 精製水又は蒸留水が入っていて,37±1 ℃に保てるもの。
7.2.1.3
型 平滑な金属又はプラスチック製のリングで,直径35 mm以上,厚さ6 mm以上の試験片を作
製するのに適したもの。材料の付着を防ぐために,離型剤[例えば,ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)
スプレー]を用いてもよい。
7.2.1.4
タイマ 0.1秒単位で測定可能なもの。
7.2.2
試験片の作製
製造販売業者が指定する方法によって,型を用いて試験片を作製する。試験片を型から外して,37±1 ℃
に保った恒温水槽に24±1時間保存する。試験片は,3個作製する。
7.2.3
手順
7.2.3.1
一般
試験片を平らで安定した台の上に置き,デュロメータA硬さ計の押針を試験片の表面に触れるようにゆ
っくり下げる。試験片の表面とデュロメータA硬さ計の接触面とは,同一面でなければならない。押針は,
試験片の表面に垂直になるようにする。各試験片について5回測定する。荷重点は,試験片の表面に均等
に分散させ,試験片の縁から5 mm以上離さなければならない。
7.2.3.2
24時間後のデュロメータA硬さ試験
恒温水槽に24時間保存した試験片を取り出し,直ちに荷重5秒後のデュロメータA硬さを測定する。
恒温水槽から試験片を取り出した後,3分以内に全て測定する。測定後,試験片を恒温水槽に戻す。3個の
4
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試験片の各々5点のデュロメータA硬さの平均値を求める。
3個の試験片の平均値のうち,2個以上が表1に適合するとき,合格とする。
試験片を恒温水槽に戻して更に29日間保存する。恒温水槽の精製水又は蒸留水は,7日ごとに交換する。
7.2.3.3
30日後のデュロメータA硬さ試験
7.2.3.2の試験から29日後に,試験片を恒温水槽から取り出し,直ちに荷重5秒後のデュロメータA硬
さを測定する。恒温水槽から試験片を取り出した後,3分以内に全て測定する。荷重点は,前回の荷重点
から2 mm以上離れた所を用いる。3個の試験片の各々5点のデュロメータA硬さの平均値を求める。
3個の試験片の平均値のうち,2個以上が表2に適合するとき,合格とする。
7.3
接着強さ
7.3.1
材料及び装置
7.3.1.1
アクリル系義歯床用材料 JIS T 6501に適合するもの。
7.3.1.2
標準の金属組織研磨紙 JIS R 6010又はJIS R 6253に規定するP500のもの。
7.3.1.3
恒温水槽 精製水又は蒸留水が入っていて,37±1 ℃に保てるもの。
7.3.1.4
リング 材質がポリエチレン又は他の非接着材料(アクリルプレート,裏装材及び製造販売業者
が指定した接着材に接着しないもの)で,管から切り出され,内径が10±0.5 mmで高さが3±0.25 mmの
もの。
7.3.1.5
マイクロメータ又はダイヤルキャリパ 0.01 mm単位で測定可能な平行アンビル式のもの。
7.3.1.6
クランプ Gクランプ又は類似のもの。
7.3.1.7
引張試験機 垂直に設定されていて,クロスヘッド速度が10 mm/minのもの。
7.3.2
アクリルプレートの作製
アクリル系義歯床用材料を用い,製造販売業者が指定する方法で,アクリルプレートを十分な数だけ作
製する。プレートの寸法は,縦25±3 mm,横25±3 mm,厚さ3±0.5 mmとする。指定する重合法によっ
て,石こう(膏)型を用いて作製する。これらのプレートは個別に作製してもよいし,大きなプレート(最
大80 mm×80 mm)から切り出してもよい。
P500研磨紙を用いてプレートの表面と裏面とが平行平面で,かつ,上記の寸法になるよう表面を湿式研
磨する。研磨後は,接着面に触れないようにする。
プレートは,使用前に37±1 ℃の恒温水槽中に30±2日間保存する。
リングの内径をマイクロメータ又はダイヤルキャリパを用い0.05 mmの単位で測定し,接着面積A(mm2)
を算出する。
7.3.3
試験片の作製
製造販売業者の混合,塗布及び硬化の指示によって,提供される裏装材及び接着材を使用する。
恒温水槽からアクリルプレートを取り出し,直ちに製造販売業者の指定する方法又は7.4.4.2によって乾
燥し,製造販売業者が指定する方法によって,両方のアクリルプレートの接着する面に接着材を塗布する。
接着面には触れてはならない。
アクリルプレートの接着面のリング内に裏装材を少し過剰に盛り上げる(図1参照)。硬化中,プレート
をクランプで締め付ける。より高い温度での硬化が指示されていない限り,室温(23±2 ℃)に保つ。ア
クリルプレートに裏装材を接着させて1時間後に,接着した試験片を37±1 ℃の恒温水槽中に23±1時間
保存する。
少なくとも10個の試験片を作製する。
5
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7.3.4
引張試験
恒温水槽から試験片を取り出して,直ちに,引張試験機へ移す。試験片を引張試験機に垂直に固定する。
試験片にねじ(捩)り力が作用してないことを確認し,試験中,試験片を垂直に保つ。シアノアクリレー
ト接着材でアクリルプレートに接着したポリメタクリ酸メチル樹脂(PMMA)を用いると,垂直に保ちや
すくなる(図1参照)。PMMAの取付けは,試験の直前でも,接着させた直後でもよい。
1
試験材料(裏装材)
2
アクリルプレート
3
リング
4
PMMA
a
引張力の方向
図1−引張試験の構成
10 mm/minのクロスヘッド速度で引張試験を行う。接着破壊前の最大荷重(F)を記録する。
10個の試験片について試験を行い,次の式によって接着強さ(B)(MPa)を求める。
B=F/A
ここに,
F: 接着破壊前の最大荷重(N)
A: 接着面積(mm2)
10個の試験片のうち8個以上が表3に適合するとき,合格とする。
7.4
吸水量及び溶解量
7.4.1
材料
7.4.1.1
ポリエステルフィルムのシート 厚さが50±25 μmで型を覆うためのもの。
7.4.1.2
シリカゲル 使用前に130±5 ℃で300±10分間乾燥したもの。
7.4.1.3
水 精製水又は蒸留水
7.4.2
機器
7.4.2.1
型及びカバー 金属製又はプラスチック製の型及びカバーで,7.4.3に規定する試験片を作製する
もの(図2参照)。
6
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7.4.2.2
クランプ
7.4.2.3
マイクロメータ又はダイヤルキャリパ 0.01 mm単位で測定可能な平行アンビル式のもの。
7.4.2.4
ラック 試験片を平行に並べて分離して置くためのもの。
7.4.2.5
デシケータ 2個
7.4.2.6
恒温器 37±1 ℃に保てるもの。
7.4.2.7
ピンセット プラスチックで被覆したもの。
7.4.2.8
タオル 清浄で乾いたもの。
7.4.2.9
化学天びん(秤) 精度0.1 mg以上のもの。
7.4.3
試験片の作製
5個の試験片を別々の混和物から作製する。裏装材混和物を型に塡入し,金属型を用いる場合には,型
とカバーとの間にポリエステルフィルムのシートを敷くなどによって,型と試験片との付着を防ぎ,クラ
ンプで挟む。製造販売業者が指定する方法によって,混和物を重合する。
作製した各試験片は,マイクロメータ又はダイヤルキャリパを用いて,シリコーン系の場合には,直径
50±1 mm,厚さ0.5±0.1 mm,アクリル系の場合には,直径50±1 mm,厚さ1.0±0.2 mmで,上面及び下
面が平らであることを目視で確認する。
7
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単位 mm
1
型
2
カバー
a
試験片を作製する型の深さは,シリコーン系の場合には,0.5±0.05 mmで,アクリル系の場合には,1.0±0.05 mm
とする。
注記 指示がない箇所の寸法公差は,±0.2 mm。
図2−型及びカバーの例
7.4.4
手順
7.4.4.1
調製した試験片
調製した試験片は,次による。
a) 乾燥したシリカゲルが入っている2個のデシケータのうち,第1のデシケータの内部のラックに,試
験片を載せる。このデシケータを37±1 ℃の恒温器中に23±1時間保存した後,恒温器からデシケー
タを取り出す。
b) ラックに載せた試験片を,そのまま,23±2 ℃に保った第2のデシケータへ移す。デシケータ内に60
±10分間保存した後,試験片を取り出し,化学天びんを用いて,試験片を0.1 mgの精度でひょう量
する。試験片を出し入れするとき,デシケータを開けるのをできるだけ短時間で行い,それ以外は,
密閉しておく。
c) 全ての試験片をひょう量し終わった後,第1のデシケータ中のシリカゲルを,新しく乾燥したシリカ
8
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ゲルと入れ替え,試験片を載せたラックを第1のデシケータ中に入れて,恒温器中に置く。
d) このサイクルを,恒量(m1)に達するまで,すなわち,続けてひょう量する間で各試験片の質量減が
0.2 mg以下になるまで,繰り返す。この時点で,各試験片の直径及び厚さを,0.01 mmの精度で測定
する。
e) 3回の直径測定の平均値,及び5回の厚さ測定の平均値を用いて各試験片の体積(V)を求める。厚さ
の測定は,中心及び円周部の等間隔な4点で行う。
7.4.4.2
浸せき試験片
調製した試験片を37±1 ℃の水中に168時間(7日間)±2時間浸せきする。その後,ピンセットを用い
て水中から試験片を取り出し,目で見て水気がなくなるまでタオルで拭い,空気中で15±1秒間振り動か
す。ひょう量は,水中から試験片を取り出した60±10秒後に0.1 mgの精度で行う。この質量をm2とする。
7.4.4.3
再調製した試験片
このひょう量の後,再び7.4.4.1によって恒量とし,このときの試験片の質量をm3とする。
最初の乾燥プロセスと同じ条件を適用することが重要であって,同じ番号の試験片を用い,デシケータ
には新しく乾燥したシリカゲルを用いる。
7.4.5
計算
7.4.5.1
吸水量の計算
次の式を用いて,5個の試験片それぞれについて,吸水量(Wsp)(μg/mm3)を求める。
V
m
m
W
)
(
3
2
sp
−
=
ここに,
m2: 水中浸せき後の試験片の質量(μg)
m3: 再調製した試験片の質量(μg)
V: 試験片の体積(mm3)
吸水量の計算値は,1 μg / mm3に丸める。
5個の試験片のうち4個以上が5.5に適合するとき,合格とする。
7.4.5.2
溶解量の計算
次の式を用いて,5個の試験片それぞれについて,溶解量(Wsl)(μg/mm3)を求める。
V
m
m
W
)
(
3
1
sl
−
=
ここに,
m1: 調製した試験片の質量(μg)
m3: 再調製した試験片の質量(μg)
V: 試験片の体積(mm3)
溶解量の計算値は,0.1 μg/mm3に丸める。
5個の試験片のうち4個以上が5.6に適合するとき,合格とする。
8
包装,表示及び添付文書
8.1
包装
裏装材は,内容物を汚染しない,かつ,内容物に汚染されない密閉された直接容器で供給されなければ
ならない。直接容器は,輸送中及び保管中に損傷又は漏出を防ぐように包装しなければならない。外包装
は,直接容器を単位とするものでもよい。
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8.2
表示
裏装材の外包装,直接容器又は包装には,次の事項を表示しなければならない。直接容器又は包装が小
さく詳細を表示できない場合は,中の印刷物に追加情報を提供していることを外装に記載しなければなら
ない。
a) 製品名
b) 種類(タイプなど)
c) 質量又は内容量
d) 使用期限及び保管条件
e) 警告[毒性,危険性,可燃性,刺激性,液体の引火点(該当する場合)]
f)
製造番号又は製造記号
g) 製造販売業者名及び所在地
h) 他の法定表示事項
8.3
添付文書
裏装材には,次の事項を記載した文書を添付しなければならない。
a) 製品名
b) 種類(材質,タイプなど)
c) 用途
d) 質量又は内容量
e) 保管条件
f)
禁忌,副作用及び他の物質との相互作用(該当する場合)
g) 使用方法
例えば,次の事項を記載する。
1) 裏装される義歯床の表面の準備の指示
2) 成分の混合比,練和時間及び作業時間に関する情報を含む材料の練和又は準備の手順
3) 義歯床への適用及びフラスコ埋没の手順
4) 適用手順,硬化の手順,時間,温度,冷却,フラスコからの取り出し,特殊な機器の必要性の詳細
5) 仕上げ及び研磨の指示
6) 義歯床との接着を確実にするための手順又は方法(必要な場合)
h) 裏装した義歯の洗浄に関する注意事項
i)
裏装に推奨する義歯床材料の種類
j)
温度,湿度,環境光のような材料に悪影響を及ぼす可能性がある環境条件の情報,廃棄に関する情報
(必要な場合)
k) 他の法定記載事項
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附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS T 6520:2019 義歯床用長期弾性裏装材
ISO 10139-2:2016,Dentistry−Soft lining materials for removable dentures−Part 2:
Materials for long-term use
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
1 適用範囲
1
顎顔面補てつ(綴)にも
使用できる。
削除
適用範囲から顎顔面補てつ(綴)を
削除した。
旧JISと同様に,アクリル系を追
加しており,顎顔面補てつ(綴)
への適用が不明であるため。
3 用語及び
定義
3.1 長期弾性裏装材
3.1
義歯用軟質裏装材
変更
長期使用材料に限定した。
JIS名称の長期弾性裏装材の定義
が必要である。
4 種類
4.1 材質
4
分類
追加
材質による分類を追加した。
市場にアクリル系の製品が存在す
る。ISO規格改訂時に提案する。
4.2 タイプ
デュロメータA硬さ
4
ショアA硬さ
変更
ショアA硬さをデュロメータA硬
さに変更し,“デュロメータA硬さ
は,ショアA硬さと同じである。”
を追記した。
旧JISと同様に,ショアA硬さを
デュロメータA硬さに変更した。
5 要求事項 5.1 生体適合性
−
−
追加
ISO規格では,序文の中で推奨して
いる。
他のJISと同様に規定とした。
5.2 24時間後のデュロメ
ータA硬さ
5.1
ショアA硬さ
変更
ショアA硬さをデュロメータA硬
さに変更した。
旧JISと同様に,ショアA硬さを
デュロメータA硬さに変更した。
25を超え55以下
25を超え50以下
変更
上限“50”を“55”に変更した。
市販製品を調査した結果,臨床で
全く問題がなく使用できる製品が
あり変更が必要である。旧JISと
同様である。ISO規格改訂時に提
案する。
2
T
6
5
2
0
:
2
0
1
9
11
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(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
5 要求事項
(続き)
5.3 30日後のデュロメー
タA硬さ
65以下
5.2
55以下
変更
“55以下”を“65以下”に変更し
た。
市販製品を調査した結果,臨床で
全く問題がなく使用できる製品が
あり変更が必要である。旧JISと
同様である。ISO規格改訂時に提
案する。
5.4 接着強さ
5.3
−
追加
アクリル系について規定した。
市場にアクリル系の製品が存在す
る。旧JISと同様である。ISO規
格改訂時に提案する。
5.5 吸水量
5.4
−
追加
アクリル系について規定した。
市場にアクリル系の製品が存在す
る。旧JISと同様である。ISO規
格改訂時に提案する。
5.6 溶解量
5.5
−
追加
アクリル系について規定した。
市場にアクリル系の製品が存在す
る。ISO規格改訂時に提案する。
アクリル系を追加したため,ISO
規格の規格値を超えた場合の内容
は,不要と判断し,削除した。旧
JISと同様である。
7 試験方法 7.2.1.2 恒温水槽
精製水又は蒸留水
7.2.1.2
ISO 3696グレード2の
水
変更
“ISO 3696グレード2の水”を“精
製水又は蒸留水”に変更した。
国内で入手可能な水に変更した。
7.2.3.2 24時間後のデ
ュロメータA硬さ試験
3分以内
7.2.3.2
2±1分間
変更
“2±1分間”を“3分以内”に変更
した。
直ちに測定するため,3分以内に
変更した。
7.2.3.3 30日後のデュ
ロメータA硬さ試験
3分以内
7.2.3.3
2±1分間
変更
“2±1分間”を“3分以内”に変更
した。
直ちに測定するため,3分以内に
変更した。
−
7.2.4
結果の表現
削除
ISO規格の規定を削除した。
結果の表現を特定様式に規定する
必要はない。
7.3.1.2 標準の金属組織
研磨紙
7.3.1.2
−
追加
“JIS R 6253”を追加した。
旧JISで規定した研磨紙も使用可
能とした。
7.4.2.1 型及びカバー
7.4.2.1
ステンレス鋼製の円形
型及びカバー
追加
プラスチック製を追加した。
アクリル系の取扱いを考慮した。
2
T
6
5
2
0
:
2
0
1
9
12
T 6520:2019
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
7 試験方法
(続き)
7.4.2.2 クランプ
7.4.2.2
液圧プレス又は手動プ
レス,及びクランプ
削除
液圧プレス,手動プレスを削除し
た。
一般に使用する器具ではない。
7.4.3 試験片の作製
7.4.3
−
追加
アクリル系に関する事項を追加し
た。
市場にアクリル系の製品が存在す
る。ISO規格改訂時に提案する。
8 包装,表
示及び添付
文書
8.2 表示
8.2 c)
内容物の記述
削除
タイプ以外削除した。
特に必要としない内容である。
8.2 d) 使用期限
8.2 f)
ISO 8601の表記に従っ
た使用期限
変更
ISO規格の規定を削除した。
表記方法を制限する必要はない。
−
8.2 i)
薬理活性成分
削除
ISO規格の規定を削除した。
薬理活性成分が入ると高度管理医
療機器になり,認証基準に適合し
ない。
8.2 h) 他の法定表示事
項
−
−
追加
他の法定表示事項を追加した。
法定要求事項である。
8.3 k) 他の法定記載事
項
−
−
追加
他の法定表示事項を追加した。
法定要求事項である。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 10139-2:2016,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 削除 ················ 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ··············· 国際規格を修正している。
2
T
6
5
2
0
:
2
0
1
9