2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
T 6509-1993
歯冠用常温重合レジン
Dental self-curing acrylic resin for crown
1. 適用範囲 この規格は,メタクリル酸エステルの単量体及び重合体を主成分とする歯冠用の常温重合
レジン(以下,レジンという。)について規定する。
備考 この規格の引用規格を,次に示す。
JIS R 6253 耐水研摩紙
JIS Z 8801 標準ふるい
JIS Z 8902 キセノン標準白色光源
2. 品質
2.1
一般的性質 レジンは,製造業者が指定する方法で使用したとき,容易に歯冠を修復できなければ
ならない。
2.2
為害作用 レジンは,製造業者が指定する方法で使用したとき,接触した正常な口くう(腔)関連
組織に長期にわたり為害作用があってはならない。
2.3
硬化時間 硬化時間は,5.5によって試験したとき,5分以内でなければならない。
2.4
硬さ 硬さは,5.6によって試験したとき,HB15以上でなければならない。
2.5
吸水量 吸水量は,5.7によって試験したとき,0.7mg/cm2以下でなければならない。
2.6
変色 レジンは,5.8によって試験したとき,容易に認められるような変色があってはならない。
3. 外観及び色調
3.1
外観 成形したレジンのよく研磨した面は,光沢があり滑らかでなければならない。
3.2
色調 成形したレジンの色調は,製造業者の色調見本に合致しなければならない。
4. 材料 材料は,次のとおりとする。
(1) レジンは,粉末及び液から成り,粉末は天然歯の色調に応じた色調別の種類をもつものとする。
(2) 粉末は,メタクリル酸エステルの重合体を主成分とし,JIS Z 8801に規定する180μmの標準網ふるい
を通過する細粉から成り,質が均一できょう(夾)雑物を含んでいてはならない。
(3) 液は,メタクリル酸エステルの単量体を主成分とし,透明な液体であって,沈殿物を含んでいてはな
らない。
5. 試験
5.1
試験条件 試験条件は,次のとおりとする。
(1) 試験は,特に指定がない限り,温度23±2℃,相対湿度 (50±10) %の均一な環境で行う。
2
T 6509-1993
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(2) 試験に用いる水は,特に指定がない限り,蒸留水又はこれと同等以上の純度の水を用いる。
(3) レジンの成形条件は,製造業者の指定する方法による。
5.2
試験片の作製 試験片の作製は,硬化時間試験の場合を除き,製造業者が指定する粉末と液との比
率及び方法によって混合した混合物を型に入れ,37±2℃の恒温器中に保持し,24時間後型から取り出す。
5.3
色調の共通試験方法 レジンの色調の比較は,正常色覚をもった人が目視によって比較判定する。
光源は,北の空の明るい散乱光を使用するか,又はJIS Z 8902に規定するキセノン標準白色光源を用いて,
著しい色反射がない場所で行う。照度は1 000lx以上とし,背景はフェルト又はベルベットのようなつや
消しの黒色とする。検査は3名で行い,それぞれの判定結果の多数決とし,観察開始から5秒以内に行う。
5.4
試験項目 試験項目は,次のとおりとする。
(1) 硬化時間試験
(2) 硬さ試験
(3) 吸水量試験
(4) 変色試験
5.5
硬化時聞試験 硬化時間試験は,次のとおりとする。
(1) 粉末及び液を製造業者が指定する比率で混合する。指定がないときは,温度23±2℃に保持した室内
で,ガラス製容器に液を入れ,これに振動しながら液の体積より少し多めの粉末を一度にまとめて加
え,1分後液に湿潤しない粉末を取り除き混合する。
(2) 混和したレジンをガラス板上に置いた図1に示すクロムめっきをした金属製の型に満たし,表面を平
らにし,混和を開始したときから2分を経過した後,温度37±2℃,相対湿度95〜100%の恒温器中に
移す。
図1 硬化時間試験用金型
(3) 次に質量300g,針の断面積1mm2のビカー針を試験片の面に静かに落とし,針跡がつくかどうかを調
べる。
(4) (3)の操作を繰り返し行い,混和を開始したときから試験片に針跡がつかなくなるまでの時間を測定し,
これを硬化時間とする。
5.6
硬さ試験
5.6.1
試験機 試験機は,ミクロブリネル硬さ試験機又はこれと同等の硬さ試験機とする。
5.6.2
試験方法 試験条件は,表1のA又はBとする。ただし,試料の厚さは,3mm以上とする。
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表1 試験条件
試験条件の種類
A
B
鋼球の直径 mm
1.5
2.5
荷重 N
245
490
加圧時間 s
30
測定温度 ℃
23±2
硬さは,くぼみの深さから,次の式によって求める。
DT
.
P
H
π
8
9
=
ここに,
H: ブリネル硬さ (HB)
P: 荷重 (N)
D: 鋼球の直径 (mm)
T: くぼみの深さ (mm)
5.7
吸水量試験 5.2の方法で2個の試験片を別々に作製し,表面を平らに仕上げ,JIS R 6253に規定す
る600番の耐水研摩紙で研磨して,縦15±0.1mm,横20±0.1mm,厚さ3±0.1mmの試験片を作る。
試験片を無水塩化カルシウム又は乾燥シリカゲルを入れたデシケータの中に入れ,37±2℃に保ち24時
間経過した後,直ちに23±2℃に保ったデシケータに移す。1時間経過した後デシケータから取り出し,質
量 (mg) を有効数字が小数点以下1けたの精度で測定する。この操作を質量変化が24時間につき0.5mg
以下になるまで繰り返して行い,このときの質量をm1とする。
次に,試験片を37±2℃の蒸留水中に24時間浸した後ピンセットで取り出し,30秒間乾燥した清潔なガ
ーゼでふき,次に15秒間空気中で振った後天びん皿の上に置く。ピンセットで水から取り出してから1
分後の質量 (mg) を有効数字が小数点以下1けたの精度で測定し,このときの質量をm2とする。試験片の
吸水量 (mg/cm2) は,次の式によって求める。2個の試験片について測定した結果の平均値を四捨五入し
て吸水量とする。
S
m
m
WSP
1
2−
=
ここに,
WSP: 吸水量 (mg/cm2)
m1: 乾燥した試験片の質量 (mg)
m2: 吸水した試験片の質量 (mg)
S: 試験片の表面積 (cm2)
5.8
変色試験 5.2の方法で5.7の試験に用いたものとほぼ同寸法の試験片を作成し,その約21に当たる
部分を金属はく(箔)で覆っておき,直射日光に延べ10時間さらした後,金属はくに覆われた部分に対す
る露出部分の色調の変化を,5.3の方法で目視によって比較する。
6. 製品の呼び方 製品の呼び方は,規格の名称による。
例 歯冠用常温重合レジン
7. 表示 レジンの包装には,次の事項を表示しなければならない。
(1) 規格の名称
(2) 粉末及び液の別
(3) 内容量
(4) 製造番号又は製造記号
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T 6509-1993
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(5) 製造業者名及び所在地
(6) 他の法定表示事項
8. 説明書 レジンには,次の事項を記載した説明書を添付しなければならない。
(1) 粉末と液の混合比
(2) 成形条件
(3) 使用上の注意事項
関連規格 ISO 7491 : 1985 Dental materials−Determination of colour stability of dental polymeric materials
医療安全用具部会 歯科材料専門委員会 構成表
氏名
所属
(委員会長)
長谷川 二 郎
愛知学院大学
石 川 達 也
東京歯科大学
斉 藤 毅
日本大学
高 橋 重 雄
松本歯科大学
溝 上 隆 男
東京歯科大学
村 井 正 大
日本大学
稲 葉 裕 俊
工業技術院標準部
澤 宏 紀
厚生省薬務局
庵 原 靖 之
日本歯科医師会
梅 田 昭 夫
日本歯科医師会
岡 英 男
日本歯科医師会
梶 山 進
日本歯科医師会
杉 山 勉
日本歯科医師会
住 井 俊 夫
日本歯科医師会
加 藤 勇
三金工業株式会社
田 中 文 夫
昭和薬品化工株式会社
中 村 悦 三
株式会社松風
宮 崎 平 八
株式会社日本橋徳力
渡 辺 一 弘
株式会社ジーシー
富 岡 健太郎
日本歯科材料工業協同組合
(事務局)
柾 谷 栄 吾
工業技術院標準部電気規格課
金 地 隆 志
工業技術院標準部電気規格課