T 6108:2005
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,日本歯科材料工業
協同組合(JDMA)/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきと
の申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,厚生労働大臣が改正した日本工業規格である。これに
よって,JIS T 6108:1994は改正され,この規格に置き換えられる。
今回の改正では,この規格が日本独自の歯科鋳造用銀合金を規定するものではあるが,試験項目,試験
方法などについて国際規格を参考にすることとして,ISO 8891:1998,Dental casting alloys with noble metal
content of at least 25 % but less than 75 %とできうる限り整合させた。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。厚生労働大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
T 6108:2005
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 種類 ······························································································································ 1
4. 品質 ······························································································································ 1
4.1 外観 ···························································································································· 1
4.2 生体適合性 ··················································································································· 1
4.3 化学成分 ······················································································································ 1
4.4 特性 ···························································································································· 1
4.5 液相点 ························································································································· 2
4.6 変色 ···························································································································· 2
5. 試験 ······························································································································ 2
5.1 外観試験 ······················································································································ 2
5.2 引張試験 ······················································································································ 2
5.3 硬さ試験 ······················································································································ 3
5.4 液相点試験 ··················································································································· 3
5.5 変色試験 ······················································································································ 3
6. 表示 ······························································································································ 3
7. 説明書 ··························································································································· 3
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
T 6108:2005
歯科鋳造用銀合金
Dental casting silver alloys
1. 適用範囲 この規格は,歯科で用いる金を含まない鋳造用銀合金(以下,銀合金という。)について規
定する。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS R 6253 耐水研磨紙
JIS T 0993-1 医療機器の生物学的評価−第1部:評価及び試験
JIS T 6001 歯科用医療機器の生体適合性の前臨床評価−歯科材料の試験方法
JIS Z 2241 金属材料引張試験方法
JIS Z 2243 ブリネル硬さ試験−試験方法
JIS Z 2244 ビッカース硬さ試験−試験方法
JIS Z 8721 色の表示方法−三属性による表示
3. 種類 種類は,化学成分によって分類し,表1とする。
表 1 種類
種類
化学成分
第1種
インジウム含有量5 %未満で白金族元素を含まないもの。
第2種
インジウム含有量5 %以上で白金族元素10 %以下のもの。
4. 品質
4.1
外観 外観は,5.1によって試験したとき,均質であって金属光沢をもち,表面は異種物質で覆われ
ていてはならない。
4.2
生体適合性 生体適合性については,JIS T 0993-1及びJIS T 6001によって生物学的安全性を評価す
る。
4.3
化学成分 主な化学成分は,銀の含有量が60 %以上でなければならない。
なお,白金族元素を含有しているものでは,その含有量が6.c)に示す表示量を下回ってはならない。銀
合金に適切な白金族元素とは,白金,パラジウム,イリジウム,ルテニウム及びロジウムとする。
4.4
特性 特性は,5.2及び5.3によって試験したとき,表2とする。
2
T 6108:2005
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表 2 特性
種類
硬さ(1)
引張強さ(2)
MPa
伸び
%
ビッカース
HV
ブリネル
HB
第1種
90以上
75以上
−
−
第2種
90以上
75以上
295以上
3以上
注(1) 硬さ試験は,ビッカース硬さ試験又はブリネル硬さ試験を行う。
(2) 引張強さ試験及び伸び試験は,第2種について行う。
4.5
液相点 液相点は,5.4によって試験したとき,1 000 ℃以下であって,6.d) の表示の±20 ℃でな
ければならない。
4.6
変色 銀合金は,5.5によって試験したとき,変色しないか,又は変色することがあってもJIS Z 8721
に規定する標準色票の色相は10 YRで,明度は7以上,かつ,彩度は6以下でなければならない。
5. 試験
5.1
外観試験 外観試験は,目視によって行う。
5.2
引張試験
5.2.1
試験片 試験片は,製造業者が指定する方法で鋳造したものを使用し,直径を2±0.1 mm,標点距
離を20±0.1 mm,又は直径を3±0.1 mm,標点距離を15±0.1 mmとし,試験片の形状は,図1のa) 又は
b) とする。試験片は6本用意し,使用する。
なお,a) のつかみ部は,直線でもよい。
単位 mm
a) 直径2 mmの試験片
b) 直径3 mmの試験片
図 1 つかみ部円柱状試験片
5.2.2
試験方法 試験は,JIS Z 2241に規定する方法又はクロスヘッドスピード (1.5±0.5 mm/min) で,
引張強さ及び伸びについて行う。試験結果は,表2に適合するものの4本以上の平均値で表す。
なお,適合するものが3本以内の場合には,再度試験を行う。再試験は1回限りとする。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
5.3
硬さ試験
5.3.1
試験片 試験片は,縦横10 mm以上及び厚さ1 mm以上の板状であって,製造業者が指定する方
法で鋳造したものを用意する。
5.3.2
試験方法 試験は,JIS Z 2243又はJIS Z 2244によって行う。
5.4
液相点試験
5.4.1
試験方法 試験は,銀合金をるつぼ内で溶融し,温度計を使用して,放冷時における温度変化を測
定し,これによって冷却曲線を描き,液相点を求める。又は同等以上の精度で測定できる装置を使用し,
液相点を求める。ただし,試験には未使用の銀合金を用いる。
5.5
変色試験
5.5.1
試験片 試験片は,製造業者が指定する方法で鋳造し,幅15 mm,長さ20 mm及び厚さ1 mmと
し,JIS R 6253に規定する800番の耐水研磨紙で研磨したものを使用する。
5.5.2
試験方法 試験は,試験片を37±2 ℃で0.1 %硫化ナトリウム水溶液50 mL中に72時間浸せきし
た後,変色の状態を調べる。
6. 表示 銀合金の包装には,次の事項を表示しなければならない。
a) 製品名
b) 種類
c) 成分分量 (%)
d) 液相点
e) 質量
f)
製造業者名及び所在地
g) 製造番号又は製造記号
h) 他の法定表示事項
7. 説明書 銀合金には,次の事項を記載した説明書を添付しなければならない。
a) 鋳造方法
b) ビッカース硬さ又はブリネル硬さ
c) 引張強さ(第2種だけ)
d) 伸び(第2種だけ)
e) 使用上の注意事項