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T 60601-2-47:2018  

(1) 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

201.1 適用範囲,目的及び関連規格 ························································································ 1 

201.2 引用規格 ··················································································································· 3 

201.3 用語及び定義 ············································································································· 3 

201.4 一般要求事項 ············································································································· 5 

201.5 ME機器の試験に対する一般要求事項 ············································································· 6 

201.6 ME機器及びMEシステムの分類 ··················································································· 6 

201.7 ME機器の標識,表示及び文書 ······················································································ 6 

201.8 ME機器の電気的ハザードに関する保護 ·········································································· 7 

201.9 ME機器及びMEシステムの機械的ハザードに関する保護 ·················································· 8 

201.10 不要又は過度の放射のハザードに関する保護 ·································································· 8 

201.11 過度の温度及び他のハザードに関する保護 ····································································· 8 

201.12 制御及び計器の精度並びに危険な出力に対する保護 ························································· 8 

201.13 ME機器の危険状態及び故障状態 ················································································ 31 

201.14 プログラマブル電気医用システム(PEMS) ·································································· 31 

201.15 ME機器の構造 ········································································································ 31 

201.16 MEシステム ··········································································································· 32 

201.17 *ME機器及びMEシステムの電磁両立性 ······································································ 32 

202 電磁両立性−要求及び試験 ····························································································· 32 

附属書AA(参考)指針及び根拠 ···························································································· 35 

参考文献 ···························································································································· 53 

附属書JAA(参考)この規格における定義済み用語の索引 ·························································· 54 

附属書JBB(参考)JISと対応国際規格との対比表 ···································································· 56 

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(2) 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)

から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経

て,厚生労働大臣及び経済産業大臣が制定した日本工業規格である。 

これによって,JIS T 1117:1988は廃止され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。厚生労働大臣,経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の

特許出願及び実用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

日本工業規格          JIS 

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医用電気機器− 

第2-47部:ホルタ心電図システムの基礎安全及び 

基本性能に関する個別要求事項 

Medical electrical equipment- 

Part 2-47: Particular requirements for the basic safety and  

essential performance of ambulatory electrocardiographic systems 

序文 

この個別規格は,2012年に第2版として発行されたIEC 60601-2-47を基とし,我が国の事情などを考慮

するため,技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。 

なお,この個別規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更

の一覧表にその説明を付けて,附属書JBBに示す。また,附属書JAAは対応国際規格にはない事項であ

る。 

この個別規格は,JIS T 0601-1:2017(医用電気機器−第1部:基礎安全及び基本性能に関する一般要求

事項)(以下,通則という。)を修正及び/又は補足するものである。また,この個別規格でアスタリスク

(*)印がある箇所は,根拠についての説明を附属書AAに記載している。 

この個別規格の要求事項は,通則及び副通則の要求事項に優先する。 

文中の太字の用語は,通則,関連する副通則及び201.3で規定している用語を示す。 

201.1 

適用範囲,目的及び関連規格 

次の変更を加えて,通則の箇条1を適用する。 

201.1.1 

適用範囲 

置換え 

この個別規格は,ホルタ心電図システムの基礎安全及び基本性能に適用する。 

箇条又は細分箇条が特にホルタ心電計だけ又はホルタ心電図システムだけへの適応を意図している場

合には,箇条又は細分箇条のタイトル及び本文にそのことを規定する。特にその規定がない場合,その箇

条又は細分箇条は,ホルタ心電計及びホルタ心電図システムの両方に適用する。 

この規格の適用範囲のホルタ心電計又はホルタ心電図システムで意図した生理的機能に内在するハザ

ードは,通則の7.2.13及び8.4.1を除き,この規格では扱わない。 

注記1 通則の4.2参照 

この規格の適用範囲は,次の形式によるシステムとする。 

a) 基本的に同様の結果を出す完全な再解析を可能とする,心電図の連続記録及び連続解析を提供するシ

ステム。このシステムは,心電図を最初に記録及び保存し,後で別のホルタ心電図システムで解析し

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てもよい。また,心電図を同時に記録及び解析してもよい。保存媒体のタイプは,この規格では取り

扱わない。 

b) 連続的な解析及び部分的又は限られた記録を提供するシステム。この場合は,心電図の完全な再解析

は行わない。 

この規格の安全性は,上記の形式のいずれかに分類できる全てのシステムに適用する。 

ホルタ心電図システムが自動心電図解析を提供する場合は,計測機能及び解析機能について提供してい

る最小限の要求性能を適用する。JIS T 0601-2-25及びIEC 60601-2-27の適用を受けるME機器は,この規

格の適用範囲から除外する。 

この規格は,連続的に心電図の記録及び解析を行わないシステムには,適用しない(例えば,イベント

レコーダ)。 

注記2 この個別規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

IEC 60601-2-47:2012,Medical electrical equipment−Part 2-47: Particular requirements for the basic 

safety and essential performance of ambulatory electrocardiographic systems(MOD) 

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”

ことを示す。 

201.1.2 

目的 

置換え 

この個別規格の目的は,ホルタ心電図システムの基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項を規定す

ることである。 

201.1.3 

副通則 

追加 

この個別規格は,通則の箇条2及びこの個別規格の201.2に記載した該当する副通則を参照する。 

IEC 60601-1-2:2007は,箇条202のように修正して適用する。JIS T 0601-1-3,JIS T 60601-1-8及びIEC 

60601-1-10は,適用しない。JIS T 0601-1規格群における他の全ての副通則は,発行と同時に適用する。 

201.1.4 

個別規格 

置換え 

JIS T 0601-1規格群では,考慮中の個別のME機器に対応した個別規格の規定に従い,通則及び副通則

に含まれる要求事項を,修正,置換え又は削除してもよい。また,その他の基礎安全及び基本性能に関す

る要求事項を加えてもよい。 

個別規格の要求事項は,通則に優先する。 

JIS T 0601-1は,この個別規格の中で通則として引用する。副通則は,その規格番号によって引用する。 

この個別規格の箇条,細分箇条などは,通則の箇条番号又は細分箇条番号の前に“201”を付けて対応し

ている(例えば,この個別規格の箇条201.1は,通則の箇条1の内容を規定している。)。また,該当する

副通則に対しては,その副通則の規格番号の末尾“x”を用いて“20x”を付けて対応している(例えば,

この個別規格の箇条202.6は,副通則IEC 60601-1-2:2007の箇条6の内容を規定している。)。 

“置換え”は,通則又は適用可能な副通則の箇条又は細分箇条を,この個別規格の規定によって完全に

置き換えることを意味する。 

“追加”は,通則又は適用可能な副通則の要求事項に,この個別規格の規定を追加することを意味する。 

“修正”は,通則又は適用可能な副通則の箇条又は細分箇条を,この個別規格の規定で示すように修正

することを意味する。 

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通則に追加する細分箇条,図又は表は,201.101で始まる番号を付ける。しかし,通則の定義が3.1〜3.147

であるため,この個別規格の追加の定義は,201.3.201を最初とする番号を付ける。追加の附属書は,AA,

BBなど,追加項目は,aa),bb)などで表す。 

副通則に追加する箇条,図又は表は,20xで始まる番号(“x”は副通則の番号であり,例えばIEC 

60601-1-2:2007の場合は202になる。)を付ける。 

“この規格”という表現は,この個別規格とともに通則及び該当する副通則を合わせて適用する場合に

用いる。 

この個別規格の中に該当する箇条,細分箇条などがない場合,通則又は該当する副通則のそれらを修正

することなく適用する。通則又は該当する副通則のいずれかの部分を適用しないことを意図する場合は,

その旨の説明をこの個別規格に示す。 

201.2 

引用規格 

次の変更を加えて,通則の箇条2を適用する。 

追加 

JIS T 0601-1:2017 医用電気機器−第1部:基礎安全及び基本性能に関する一般要求事項 

修正 

IEC 60601-1-2:2007,Medical electrical equipment−Part 1-2: General requirements for basic safety and 

essential performance−Collateral standard: Electromagnetic compatibility−Requirements and tests 

注記 IEC 60601-1-2:2004に対応したJIS T 0601-1-2:2012(医用電気機器−第1-2部:安全に関する

一般的要求事項−電磁両立性−要求事項及び試験)がある。 

201.3 

用語及び定義 

次を除き,通則の箇条3を適用する。 

注記 定義した用語の索引を,附属書JAAに示す。 

追加 

201.3.201 

心房細動,心房粗動,AF(ATRIAL FIBRILLATION, ATRIAL FLUTTER, AF) 

P波がなくRR間隔が不規則(心房細動)又は高い周波数の粗動波があり,RR間隔が不規則(心房粗動)

な心電図調律。 

201.3.202 

ホルタ心電図システム(AMBULATORY ELECTROCARDIOGRAPHIC SYSTEM) 

他のME機器又は非ME機器及びホルタ心電計並びに再生装置からなるホルタ心電図システムで,それ

らのいずれかに解析機能をもつ。 

注記 このME機器は,ノーマンホルタ博士によって開発され,ホルタ心電計といわれている。 

201.3.203 

ホルタ心電計(AMBULATORY RECORDER) 

心臓活動電位を記録するための電極及びケーブルを含む,患者が装着又は持ち運び記録する機能をもっ

ているME機器。 

注記 ホルタ心電計は,心臓活動電位を解析することもある。重要なイベントを発見した部分を選択

的に又は連続的に記録する機能をもっている。 

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201.3.204 

連続記録器(CONTINUOUS RECORDER) 

心電図を連続して記録するME機器。 

201.3.205 

データベース,DB(DATABASE, DB) 

(臨床的な)記述情報を含む一つ以上のチャネルで収集した心電図又は人工的に作成した波形。 

201.3.206 

心電図,ECG(ELECTROCARDIOGRAM, ECG) 

時間で変化する一つ以上の誘導のグラフィカルな表現。 

201.3.207 

電極(ELECTRODE) 

身体の指定部位に取り付け,電気的活動を検出するために使用するセンサ。 

201.3.208 

感度(GAIN) 

ホルタ心電計の入力信号の振幅に対する(通常は再生装置の)出力信号の振幅の比率。 

注記 感度は,mm/mVで表記する。 

201.3.209 

心拍変動,HRV(HEART RATE VARIABILITY, HRV) 

連続したRR間隔から計算した統計的な結果。 

201.3.210 

誘導(LEAD) 

電極間の電圧。 

201.3.211 

電極コード(LEAD WIRE) 

電極と誘導コード又はME機器との間を接続するケーブル。 

201.3.212 

中性電極(NEUTRAL ELECTRODE) 

いかなる誘導にも使用しない差動増幅器及び/又は妨害抑制回路の基準点。 

201.3.213 

誘導コード(PATIENT CABLE) 

電極をホルタ心電計に接続するための多芯ケーブル及びそれに付随するコネクタ。 

201.3.214 

ポーズ(PAUSE) 

長時間の心臓活動電位の欠如。 

201.3.215 

再生装置(PLAYBACK EQUIPMENT) 

ホルタ心電計から心電図及び計測値を受け取り,モニタリング及び文書化する装置。 

注記 再生装置は,通常,据置きの一般的なコンピュータを使っている。 

201.3.216 

QRS複合,QRS(QRS COMPLEX, QRS) 

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心室が脱分極する間の心電図波形。 

201.3.217 

平均平方根,RMS(ROOT-MEAN SQUARED, RMS) 

元の値の二乗平均平方根。 

201.3.218 

RR間隔変動率,RRV(RR INTERVAL VARIABILITY, RRV) 

連続的なRR間隔から計算する統計的な結果。 

201.3.219 

解析除外区間(SHUTDOWN) 

検出又は分類機能を実行していない期間。 

201.3.220 

ST部分(ST SEGMENT) 

QRSの終わりとT波の間との心電図の部分。 

201.3.221 

上室異所性心拍,SVEB(SUPRAVENTRICULAR ECTOPIC BEAT, SVEB) 

正常心拍と類似した形をした,早期の又は補充(遅延)収縮。 

201.3.222 

上室頻拍,SVTA(SUPRAVENTRICULAR TACHYCARDIA, SVTA) 

連続した上室性異所性心拍の持続する連鎖,又は持続しない連鎖。 

201.3.223 

心室異所性心拍,VEB(VENTRICULAR ECTOPIC BEAT, VEB) 

正常心拍よりも幅広い形をした,早期の又は補充(遅延)収縮。 

201.3.224 

心室細動,心室粗動,VF(VENTRICULAR FIBRILLATION, VENTRICULAR FLUTTER, VF) 

波形の形及びその繰返し波形が不規則なリズムを呈し,生命を脅かす心臓の状態を示す心電図。 

201.4 

一般要求事項 

次の変更を加えて,通則の箇条4を適用する。 

201.4.3 

基本性能 

追加 

201.4.101 

追加の基本性能の要求事項 

追加の基本性能の要求事項は,表201.101による。 

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表201.101−追加の基本性能の要求事項 

要求事項 

細分箇条 

心拍数 

201.12.1.101.3.1 

上室性異所性 

201.12.1.101.3.2 

心室異所性 

201.12.1.101.3.3 

徐脈データ 

201.12.1.101.3.4 

ポーズ 

201.12.1.101.3.5 

ST部分の変化 

201.12.1.101.3.6 

心電図の記録 

201.12.1.101.3.7 

201.5 

ME機器の試験に対する一般要求事項 

次の変更を加えて,通則の箇条5を適用する。 

201.5.3 

周囲温度,湿度及び気圧 

a)に追加 

ホルタ心電計は,次の環境条件で,この規格の要求事項に適合する。 

− 周囲温度範囲 10 ℃〜45 ℃ 

− 相対湿度範囲 10 %〜95 %(結露状態を除く。) 

201.6 

ME機器及びMEシステムの分類 

次の変更を加えて,通則の箇条6を適用する。 

201.6.2 

電撃に対する保護 

置換え 

装着部は,BF形装着部又はCF形装着部(通則の7.2.10及び8.3参照)とする。 

201.6.6 

作動モード 

置換え 

ホルタ心電計は,連続作動(運転)とする。. 

201.7 

ME機器の標識,表示及び文書 

次の変更を加えて,通則の箇条7を適用する。 

201.7.2 

ME機器,又はME機器の部分の外側の表示 

追加 

201.7.2.101 

電極コードの識別 

電極コードは,各々の電極を接続する側でどの電極に接続するか直接識別できるように恒久的に表示す

る。また,ホルタ心電計の誤った電極位置に接続しないような構造とするか,又は表示する。 

個別双極誘導を使用する場合は,チャネル配列をホルタ心電計に明瞭に表示する。また,表201.102の

カラーコード体系の一つに従って,電極コードの識別をカラーコード化する。 

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表201.102−電極コードのカラーコード 

電極 

コード1 a) 

コード2 b) 

コード3 c) 

チャネル1 

陽極 
陰極 

緑 
赤 

赤 
白 

黄色 
赤 

チャネル2 

陽極 
陰極 

白 
黄色 

茶色 
黒 

青 
オレンジ色 

チャネル3 

陽極 
陰極 

オレンジ色 
青 

オレンジ色 
青 

茶色 
白 

中性電極 

黒 

緑 

黒 

注a) コード1は,ヨーロッパ及び国際的に使用しなければならない。 

b) コード2は,北米で使用しなければならない(1985年AHAガイドライン参照)。 

c) コード3は,日本で使用しなければならない。 

201.7.9.2 

取扱説明書 

追加 

201.7.9.2.101 

*追加の取扱説明書 

a) 次の説明を記載する。 

1) 等電位化導線への接続を含め,ホルタ心電計が安全な接続になるための,電源設備の形式説明 

注記 ホルタ心電計は,一般に内部電源機器であり,等電位化導線への接続は行わない。 

2) BF形装着部又はCF形装着部である電極及び結合されたコネクタ導電部分は,中性電極を含め,大

地を含む他の導電部分に接触しないことが望ましいことの説明 

b) この規格の要求事項を満たすために,特定の電池又は充電方法を利用する場合は,明瞭な説明を記載

する。 

c) 多湿な環境での記録器の使用について明瞭な説明を記載する。 

d) ホルタ心電計の外側の表示に,体重10 kg未満の小児への使用を意図しているか又は意図していない

かを明瞭に示す。 

注記 ホルタ心電計の外側に表示できない場合,取扱説明書に記載することが望ましい。 

e) 心拍数を計算する方法を記載する。 

f) 

ポーズを決定する方法を記載する。 

g) ST部分の変化を検出及び/又は計測する目的で設計したホルタ心電計の場合は,次の内容を取扱説明

書又は医師向けのガイド(physicianʼs guide)に記載する。 

− 全ての誘導又は一部の誘導だけのいずれでST部分解析を実行しているか。 

− 操作者が選択可能なST部分の変化に対する検出基準(変位,傾斜など)の有無 

− ST部分の変化を臨床報告書にまとめる集計時間の単位(例 1時間単位)。エピソードの数,エピソ

ードの種類(上昇又は下降)及びエピソードの持続時間の記録の有無又は臨床報告書にエピソードご

との前記情報の表示の有無 

− 各エピソードの心拍数の範囲,変化の範囲及び/又は傾斜値の表示の有無 

201.8 

ME機器の電気的ハザードに関する保護 

通則の箇条8を適用する。 

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201.9 

ME機器及びMEシステムの機械的ハザードに関する保護 

通則の箇条9を適用する。 

201.10 不要又は過度の放射のハザードに関する保護 

通則の箇条10を適用する。 

201.11 過度の温度及び他のハザードに関する保護 

通則の箇条11を適用する。 

201.12 制御及び計器の精度並びに危険な出力に対する保護 

次の変更を加えて,通則の箇条12を適用する。 

201.12.1 制御及び計器の精度 

追加 

201.12.1.101 *心電図解析の試験 

201.12.1.101.1 一般 

この201.12.1.101は,心電図解析の完全な試験の構成について説明する。この細分箇条で要求している

“試験報告書”とは,この細分箇条で評価手順を説明しているものであり,医師が受け取る臨床報告書で

はない。 

201.12.1.101.1.1 *データベース 

201.12.1.101.1.1.1 利用可能なデータベースの一般的な説明 

この対応国際規格の原案が作成された時点で,心臓不整脈及びSTに関する心電図解析の評価に対して,

次の5件のデータベースが利用可能であった。 

− AHA: 

心室不整脈検出の評価に関する米国心臓病協会データベース(80記録,各35分) 

− MIT-BIH: マサチューセッツ工科大学−ベス・イスラエル病院の不整脈データベース(48記録,各30

分) 

− ESC: 

欧州心臓学会のST-Tデータベース(90記録,各2時間) 

− NST: 

雑音負荷試験データベース(12心電図記録,各30分に加え,雑音だけの3記録がMIT-BIH

データベースによって提供) 

− CU: 

クレイトン大学の持続性心室不整脈データベース(35記録,各8分。不完全な注釈付きで

MIT-BIHのデータベースによって提供) 

これらのデータベースの供給元を次に示す。 

− ECRI,5200 Butler Pike, Plymouth Meeting, PA 19462, USA(AHAデータベース) 

− MIT-BIHデータベース配布,MIT Room E25-505A, Cambridge, MA 02139, USA(MIT-BIH,NST,CU

のデータベース及び北アメリカ内でのESCのデータベース。インターネットサイトは,

http://ecg.mit.edu) 

− CNR臨床生理学研究所コンピュータ研究室,Institute of Clinical Physiology, Computer Laboratory,via 

Trieste, 4156100 Pisa, Italy(北アメリカ以外のESCデータベース) 

これらのデータベースのうちの最初の四つ(AHA,MIT-BIH,ESC及びNST)は,各心拍のラベル付き

で,2チャネルのホルタ記録をデジタル化した抜粋である。各心拍のラベルは,熟練した循環器専門医が

確認しており,このアノテーションファイルのセットを,“基準”としている。CUデータベースは,リズ

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ムの変化にラベルを付け,デジタル化した1チャネルのECG記録である。 

データベースは,テープ及び記録で構成されている。この規格で“テープ”とは,心電図を記録した物

理的なテープだけに適用する。データベースの要素は,“記録した物”である。 

この標準データベースのリストは,今後利用可能となるその他のものを排除することを意図していない。

しかし,これらがこの個別規格の公開時点に適切かつ利用可能なリストである。 

データベースは,次の全ての条件を満たしていることが望ましい。 

− 完全に記載されている(標準的なデジタルフォーマットとする。)。 

− 名称,版,日付などによって明確に識別できる。 

− 有用性及び使用方法が付与されている。 

201.12.1.101.1.5の要求事項を実現するために,所定のデータベースからのいずれかの記録を使用する場

合は,201.12.1.101.1.1.2によって除外している場合を除き,そのデータベースからの全ての記録に対して,

記録ごとに性能を試験し,報告する。各々の記録の最初の5分間は,学習期間として設けている。各記録

の残りは,試験期間である。各記録の試験期間中だけの性能を測定する。201.12.1.101.1.1.2に規定してい

る場合を除き,この目的に対しては,試験期間全体を使用する。 

201.12.1.101.1.1.2 *試験で除外する記録 

AHAデータベースの利用可能な80記録のうち,2記録はペースメーカ患者からの記録である。MIT-BIH

データベースの48記録のうち,4記録はペースメーカ患者からの記録である。これらのデータベースでは,

ペースメーカ心拍を含む記録は,生波形を利用し,ペースメーカスパイクを検出又は増強するシステムが

信頼性のある処理のために十分な信号品質を保持していない。このようなシステムは,ペースメーカ心拍

を含むこれらの6記録を報告の要求事項から除外する。ペースメーカスパイク検出又は増強なしでペース

メーカのアナログ心電図記録を解析することを意図しているホルタ心電計に対しては,これらの記録につ

いての性能を報告するが,総合的性能の統計値では,全ての場合において,これらの記録を除外する。ペ

ースメーカ心拍を含む記録は,不整脈の解析だけでなくST部分の測定に対しても除外する。 

NSTデータベースは,標準試験での使用を意図していない雑音だけの3記録(BW,EM及びMA)が含

まれている。残りの12記録は,性能を試験して報告する。 

心室粗動(VF)又は心室細動(VF)が存在するデータセグメントは,心拍ごとの比較(QRS及びVEB

検出)からだけ除外する。心拍ごとの比較のために必要な明確に定義されているQRS群は,これらのセ

グメントには存在しない。これらのセグメントは,データベースアノテーションファイルにリズムラベル

でマーキングされている。しかし,連続的なVEB検出及びVF検出の試験においては,これらのセグメン

トを含む。これらの記録のその他のセグメント(すなわち,ラベルが付けられている心拍を含むもの)は,

心拍ごとの比較に含めなければならない。 

201.12.1.101.1.2 *試験の要求事項 

201.12.1.101.1.2.1 

QRS検出の精度は,少なくともAHAデータベース,MIT-BIHデータベース及びNSTデータベースを使

用して試験する。 

201.12.1.101.1.2.2 

心拍数測定の精度は,AHAデータベース,MIT-BIHデータベース及びNSTデータベースを使用して試

験する。 

201.12.1.101.1.2.3 

VEB検出の精度は,少なくともAHAデータベース,MIT-BIHデータベース及びNSTデータベースを使

10 

T 60601-2-47:2018  

用して試験する。 

201.12.1.101.1.2.4 

ホルタ心電計が心室粗動(VF)又は心室細動(VF)の検出機能を備えている場合は,少なくともCU

データベース,AHAデータベース及びMIT-BIHデータベースを使用して,その能力を試験する。 

201.12.1.101.1.2.5 

ホルタ心電計が上室異所性心拍(SVEB),又は心房細動(若しくは心房粗動)(AF)の検出機能を備え

ている場合は,少なくともMIT-BIHデータベース及びNSTデータベースを使用してその能力を試験する。

ホルタ心電計がST部分変位の測定,又はST部分変化の検出機能を備えている場合は,データベースの特

性が被試験心電図解析と矛盾しない限り,少なくともESCデータベースを使用してその能力を試験する。 

201.12.1.101.1.3 *試験環境 

標準化されたデジタルデータベースを使用した心電図解析試験は,本質的に完全な臨床現場のホルタ心

電計の背景とは異なっている。しかし,心電図解析性能及び機器の実臨床性能の相関を試験結果として意

味あるものにする。 

ホルタ心電計(通常,レコーダという。)に実装している心電図解析の能力を正確に反映した評価を行

うためには,ホルタ心電計と同等のハードウェアを使用して試験を行うことが望ましい。しかし,心電図

解析の試験プロセスの性質から,ハードウェア又はソフトウェアの変更を必要とする場合がある。さらに,

臨床現場で使用される方法と同等な方法で信号を心電図解析に提供することが望ましい。心電図解析の試

験を実行するために使用するコンピュータ環境は,開示する。 

実際の臨床現場でホルタ心電計が直面するものとは大きく異なる状態又は制約下で心電図解析の評価

を実施する場合には,心電図解析の結果がホルタ心電計の真の性能を示さないことがある。実際のホルタ

心電計では,プロセッサの速度,計算精度,フィルタなどが制限されていることがある。試験又は解析は,

実際のホルタ心電計における心電図解析の性能を模擬した試験環境における性能との相関性があること

を合理的に示して実行する。この検証は,開示する。 

201.12.1.101.1.4 複数誘導での解析 

同時に解析できるよりも多くの誘導をもつデータベースに対しては,使用したチャネルの実際の組合せ

を開示する。データベースで利用できるチャネルよりも多くのチャネルを解析することができるシステム

に対しては,どのようにしてデータを入力したかを開示物で言及する。全データベースの処理中は,使用

する誘導の組合せを操作者は変更しない。結果は,記録ごとに試験報告書に報告する。 

201.12.1.101.1.5 *評価報告書の要求事項 

201.12.1.101.1.5.1 *必要な統計 

各記録に対して,次の統計を201.12.1.101.1.5.2及び201.12.1.101.1.5.3で要求しているように試験報告書

に報告する。各記録の報告に基づく総合的な統計は,使用するデータベースごとに被試験心電図解析性能

を要約して要求事項に従って試験報告書に報告する。正確な統計の定義は,附属書に記載してある。 

次の記号及び略語は,次の表中で使用する。 

− R:このデータベースからのこの統計の報告を要求している。 

− O:このデータベースからのこの統計の報告は,オプションである。 

− −:このデータベースからのこの統計の報告は,要求していない。 

− V:総合的な統計を要求している。 

201.12.1.101.1.5.2 *全ての不整脈解析に対する要求事項 

全ての心電図解析に対する要求事項を表201.103に示す。 

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11 

T 60601-2-47:2018  

表201.103−全ての不整脈解析に対する要求事項 

各記録に要求される記録ごとの 

統計値 

附属書AAでの 

記載箇所 

統計の

総計 

統計の
平均値 

AHA 

DB 

MIT- 

BIH 

DB 

NST 

DB 

CU 
DB 

ESC 

DB 

QRS感度 

201.12.1.101.1.5.2 

− 

QRS陽性一致率 

201.12.1.101.1.5.2 

− 

VEB感度 

201.12.1.101.1.5.2 

− 

VEB陽性一致率 

201.12.1.101.1.5.2 

− 

VEB偽陽性率 

201.12.1.101.1.5.2 

− 

心拍数誤差の二乗平均平方根 

201.12.1.101.1.5.3 

− 

心室二連発の感度 

201.12.1.101.1.5.3 

− 

− 

− 

心室二連発の陽性一致率 

201.12.1.101.1.5.3 

− 

− 

− 

心室ショートランの感度 

201.12.1.101.1.5.3 

− 

− 

− 

心室ショートランの陽性一致率 

201.12.1.101.1.5.3 

− 

− 

− 

心室ロングランの感度 

201.12.1.101.1.5.3 

− 

− 

− 

心室ロングランの陽性一致率 

201.12.1.101.1.5.3 

− 

− 

− 

解析除外区間中の全心拍未検出% 

201.12.1.101.1.5.2 

− 

解析除外区間中のN心拍未検出% 

201.12.1.101.1.5.2 

− 

解析除外区間中のV心拍未検出% 

201.12.1.101.1.5.2 

− 

解析除外区間中のF心拍未検出% 

201.12.1.101.1.5.2 

− 

総解析除外区間時間 

201.12.1.101.1.5.2 

− 

201.12.1.101.1.5.3 *オプション機能を備えた心電図解析の要求事項 

オプション機能をもつ心電図解析に対する要求事項を表201.104に示す。 

表201.104−オプション機能を備えた心電図解析の要求事項 

各記録に要求される記録ごとの 

統計値 

附属書AAでの 

記載箇所 

統計の

総計 

統計の
平均値 

AHA 

DB 

MIT- 

BIH 

DB 

NST 

DB 

CU 
DB 

HRV又はRRVの結果 

201.12.1.101.1.5.3 

− 

− 

− 

− 

− 

VFの感度 

201.12.1.101.1.5.3 

− 

VF陽性一致率 

201.12.1.101.1.5.3 

− 

VF区間の感度 

201.12.1.101.1.5.3 

− 

VF区間陽性一致率 

201.12.1.101.1.5.3 

− 

VF偽陽性レポート 

201.12.1.101.1.5.3 

− 

− 

− 

VFを検出した時間 

201.12.1.101.1.5.3 

− 

− 

SVEBの感度 

201.12.1.101.1.5.2 

− 

− 

− 

SVEB陽性一致率 

201.12.1.101.1.5.2 

− 

− 

− 

SVEB偽陽性率 

201.12.1.101.1.5.2 

− 

− 

上室二連発の感度 

201.12.1.101.1.5.3 

− 

− 

− 

上室二連発陽性一致率 

201.12.1.101.1.5.3 

− 

− 

− 

上室ショートランの感度 

201.12.1.101.1.5.3 

− 

− 

− 

上室ショートランの陽性一致率 

201.12.1.101.1.5.3 

− 

− 

− 

上室ロングランの感度 

201.12.1.101.1.5.3 

− 

− 

− 

上室ロングラン陽性一致率 

201.12.1.101.1.5.3 

− 

− 

− 

AFの感度 

201.12.1.101.1.5.3 

− 

− 

− 

AF陽性一致率 

201.12.1.101.1.5.3 

− 

− 

− 

AF区間の感度 

201.12.1.101.1.5.3 

− 

− 

− 

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12 

T 60601-2-47:2018  

表201.104−オプション機能を備えた心電図解析の要求事項(続き) 

各記録に要求される記録ごとの 

統計値 

附属書AAでの 

記載箇所 

統計の

総計 

統計の
平均値 

AHA 

DB 

MIT- 

BIH 

DB 

NST 

DB 

CU 
DB 

AF区間陽性一致率 

201.12.1.101.1.5.3 

− 

− 

− 

AF偽陽性レポート 

201.12.1.101.1.5.3 

− 

− 

− 

− 

AFを検出した時間 

201.12.1.101.1.5.3 

− 

− 

− 

− 

RMS測定エラー及び平均基準測定値は,被試験器が出力する各タイプの心拍数測定ごとに試験報告書に

報告する。 

結果は,被試験機が出力する各タイプのHRV及び/又はRRV測定ごとに試験報告書に報告する。各イ

ンデックス及び単位(すなわち,ms,ms2又はµV)の定義を試験報告書に開示する。 

ST部分測定能力を備えているホルタ心電図システムでは,ST部分の振幅及び/又は傾斜計測の時間及び

電圧分解能,解析する誘導数,使用するフィルタ,ST部分解析による異所性及びノイズの多い拍の取扱い
は,試験報告書に開示する。 

201.12.1.101.1.6 疑似試験パターン 

心電図解析性能の幾つかの性質は,簡単な決定論的試験パターンで評価できる。これらのパターンを用

いることで,適切な心電図解析結果を予測することができる。これは,ESC/NASPEスペシャルレポート

で推奨された1)。 

注1) Heart Rate Variability, Standards of Measurement, Physiological Interpretation, and Clinical Use, by the 

European Society of Cardiology and the North American Society of Pacing and Electrophysiology, 

Circulation, 1996; 93:1043-1065. See especially page 1061. 

ホルタ心電図システムが,心拍変動(HRV)又はRR間隔変動率(RRV)の測定機能を備える場合,そ

の能力は,予測可能なばらつきで特別に模擬したECGパターンを用いて試験する。一つのパターン(試

験パターン1。201.12.1.101.2.3.3.2を参照)は,雑音レベル測定を確立し,システムが非常に変動の少ない

患者にどのような感度をもつかを示す。他のパターン(試験パターン2〜5。201.12.1.101.2.3.3.2を参照)

は,計算の精度及び高い変動の患者で最小限の上限を確立する。 

201.12.1.101.2 *自動解析 

人の介入なしに評価が再現可能であることを示さなければならない。自動解析モードを変更する全ての

ユーザ機能を無効化する。 

201.12.1.101.2.1 標準データベースの使用 

各記録は,初めから最後まで連続的に心電図解析に供給する(すなわち,巻戻し又は早送りをしない。)。

この要求事項は,評価者が心電図サンプルを被試験器に提供する方法だけに当てはまり,ホルタ心電図シ

ステムの解析方法に対する制限として解釈するものではない。 

データベース記録からデジタル化した心電図信号を被試験器へ入力する際に前処理する場合は,第三者

が追試験をすることができるように,その前処理を十分詳細に開示する。前処理は,次を含むが,これに

限定するものではない。 

− サンプリングレートの変換(すなわち,標準データベースファイルで使用するものとは異なるサンプ

リングレートへの変換) 

− フォーマットの変換(すなわち,バイト順序,サンプル精度又は数値コーディングの変換) 

− 倍率変更(信号振幅の変更,すなわち,感度の変更) 

− 被試験器で,通常の操作の方法では使用しないソフトウェア又はハードウェアによるフィルタリング 

− デジタルからアナログ信号への変換 

13 

T 60601-2-47:2018  

被試験器の評価をアナログ形式に変換した信号を用いて実行し,ホルタ心電計の通常アナログ入力に供

給する場合は,ホルタ心電計の自動感度制御(AGC)で感度の自動調整をしてもよい。デジタルデータを

用いて評価を実行し,AGCがデジタルではなく,ホルタ心電計のアナログフロントエンド部分である場合

は,ホルタ心電計が代替方法としてAGCの性能を模擬してもよい。この代替方式は,患者の記録ごとに

心電図解析を実行する前に“感度調整”をするために“試験アノテーション”を作成する“試験状態”を

許す。この試験状態では,評価者は一つ又は全ての誘導の心電図感度を調節する。その後,評価者は,プ

ログラムの指示に基づき,“xform”2)(又は等しい)プログラムで心電図感度を調節する。もし別のプログ

ラムを使う場合,公表し,利用できる状態にする。“感度変更なし”となるまでこの過程を繰り返し行い,

その後自動的に心電図解析を進める。 

注2) “xform”とは,MIT-BIHデータベースCD-ROMで供給されるユーティリティプログラムをい

う。これは,データベースレコードのサンプルレート及び振幅を変換するのに使用する(この

プログラムは,http://ecg.mit.eduから自由にダウンロードできる。)。 

心拍ごとの比較は,201.12.1.101.2.3で規定したプロトコルに従って,次の値を算出する。 

− QRS感度(QRS Se) 

− QRS陽性一致率(QRS+P) 

− VEB感度(VEB Se) 

− VEB陽性一致率(VEB+P) 

− VEB偽陽性率(VEB FPR) 

− 上室異所性心拍の偽陽性率(SVEB FPR) 

該当する場合は,次の値も算出する。 

− 上室異所性心拍の感度(SVEB Se) 

− 上室異所性心拍陽性一致率(SVEB+P) 

ランごとの比較は,201.12.1.101.2.4で規定した手順に従って,次の値を算出する。 

− 心室二連発の感度(VE couplet Se) 

− 心室二連発の陽性一致率(VE couplet+P) 

− 心室ショートランの感度(VE short run Se) 

− 心室ショートランの陽性一致率(VE short run+P) 

− 心室ロングランの感度(VE long run Se) 

− 心室ロングランの陽性一致率(VE long run+P) 

該当する場合は,次の値も算出する。 

− 上室二連発の感度(SVE couplet Se) 

− 上室二連発の陽性一致率(SVE couplet+P) 

− 上室ショートランの感度(SVE short run Se) 

− 上室ショートランの陽性一致率(SVE short run+P) 

− 上室ロングランの感度(SVE long run Se) 

− 上室ロングランの陽性一致率(SVE long run+P) 

201.12.1.101.2.5で規定したプロトコルが該当する場合は,次の値を算出する。 

− VFの感度(VF episode Se) 

− VFの陽性一致率(VF episode+P) 

− AFの感度(AF episode Se) 

14 

T 60601-2-47:2018  

− AFの陽性一致率(AF episode+P) 

− VF区間の感度(VF duration Se) 

− VF区間の陽性一致率(VF duration+P) 

− AF区間の感度(AF duration Se) 

− AF区間の陽性一致率(AF duration+P) 

201.12.1.101.2.2 *アノテーションファイルの使用 

201.12.1.101.2.3から201.12.1.101.2.5までで規定した手順は,それぞれの記録で,その記録の基準アノテ

ーションファイルと同じフォーマットでアノテーションファイル(試験アノテーションファイル)を記録

した試験報告書を要求する。ホルタ心電図システムは,直接このファイルを生成する必要はない。自動処

理は,その方法を開示する限り容認する。201.12.1.101.2.3から201.12.1.101.2.5までで規定した基準アノテ

ーションファイルと試験アノテーションファイルとを比較するのに,プログラム“bxb”,“rxr”,“epic”,

及び“mxm”3)(MIT-BIH Arrhythmia Database CD-ROMで供給されるバージョン,又はMITによってリリ

ースされる新しいバージョン),又は同等品を使用することが望ましい。データベースとともに配布し,

プログラムが使用する基準アノテーションファイルは,変更しない。しかし,データベース供給先が提供

する訂正済みの基準アノテーションファイルは,最初に配布したデータベースの代替としてもよい(適用

できる場合)。これに対する例外は,その位置データが“xform”プログラムによって,再サンプリングさ

れた場合である。そのアノテーションの元を開示する。 

注3) プログラム“bxb”,“rxr”,“epic”及び“mxm”,並びにその使用方法は,MIT-BIHデータベー

スの説明書に記載されている(このプログラムは,次のサイトから自由にダウンロードできる。

http://ecg.mit.edu)。 

アノテーションファイル,拍ラベル(N,S,V,F及びQ),リズムラベル(],[)及び他のラベル(U,

X及びO)は,次のとおりに定義する。 

− N: 次に記載するS,V,F又はQカテゴリに分類されない全ての心拍(ノーマル心拍又は脚ブロッ

クの心拍) 

− S: 上室異所性心拍(SVEB):心房性・結節(接合部)性の早期若しくは補充収縮,又は異所性心房

性期外収縮 

− V: 心室異所性心拍(VEB):心室期外収縮,RonT心室期外収縮,又は心室補充収縮 

− F: 心室拍とノーマル拍との融合心拍 

− Q: ペーシングされた心拍,ペーシングとノーマルとの融合心拍,又は分類できない心拍 

その他のラベルは,201.12.1.101.2.3で定める心拍ごとの比較プロセスを容易にするために必要である。 

− U: 判読不能データの部分を示すラベル 

Uラベルは,過度の雑音又は信号損失のため,心拍を認識できないデータベースの部分で出現する。

MIT-BIH及びESCデータベースにおいて,一対のUラベルは,各々の判読不能部分の始めと終わりとを

示す。AHAデータベースにおいて,一つのUラベルは,各々の判読不能部分の(おおよその)中心をマ

ークする。そして,前の拍ラベルの150 ms後から始まり,次の拍ラベルの150 ms前で終わる。過度の雑

音,又は信号損失又は他の理由でホルタ心電図システムの解析を停止(中断)する範囲をマークするため

にUラベルが発生してもよい。心拍ごと比較の間,Uラベルとは組み合わせない。 

余分の拍がときどき検出され(偽陽性QRSs),そして,真の心拍がときどき見落とされる(偽陰性QRSs)。

心拍ごとの比較を行うために,疑似心拍ラベルを基準及び試験アノテーションファイルに追加し,拍ラベ

ル間の対応関係を維持する。それらは,拍ラベルの欠如を表し,二つのタイプがある。 

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15 

T 60601-2-47:2018  

− X: 判読不能とマークされた部分で生じた,疑似心拍ラベル 

− O: 他の全ての時間で生じた,疑似心拍ラベル 

心拍ごとの比較において,全ての拍ラベルが対になる。基準又は試験アノテーションファイルが他のフ

ァイルと一致しない余分な拍ラベルを含む場合は,適切なO又はXラベルは余分のラベルと対になる。こ

れは,QRS検出エラーと一致する。QRS検出エラーとは誤検出(余分なラベルが試験アノテーションフ

ァイルにある場合)又は見逃された拍(基準アノテーションファイルにある場合)を意味する。全ての拍

ラベルの対は,O又はXラベルのものを含めて数える。O及びXラベルは,ランごとの比較(201.12.1.101.2.4

を参照),又はVF,AF若しくはST部分の比較(201.12.1.101.2.5及び201.12.1.101.3.6を参照)では,使

用せず,この比較において個々の拍ラベルを対にするのは不要である。 

AHA及びMIT-BIHデータベースでは,心室粗動(VF)又は心室細動(VF)の部分をリズムラベルで示

す。 

− [: VFの開始 

− ]: VFの終了 

拍ラベル付けは,“[”及び“]”のラベル間で停止する。VF部分は,心拍ごとの比較は行わない。追加

のリズムラベルは,MIT-BIH及びESCデータベースで,リズムの変化を記録する。心房細動(又は心房粗

動)の部分をマークしたもの(AF。各データベースに添付している説明書を参照する。)は,AF検出の評

価に使用し,ほかでは使用しない。拍ラベルは,リズムラベルと対にはならない。 

201.12.1.101.2.3 心拍ごとの比較 

201.12.1.101.2.3.1 一般的な説明 

心拍ごとの比較の場合は,基準の拍ラベル及びホルタ心電図システムの拍ラベルは,対となる。適合性

を考え,心拍出現時間のホルタ心電図システムによる推定値,及び基準アノテーションファイルに記載し

ている拍ラベルの記録時間の違いの絶対値は,150 msを超えてはならない。この範囲で適合する心拍がな

い場合は,候補の心拍が見逃されている,又は余分な検出であるとする。心拍ごとの比較の最終結果は,

表形式で,各要素が適切なタイプの拍ラベルと対になる数を正確に表す。 

表201.105−各心拍の分類 

試験心拍ラベル 





Nn 

Ns 

Nv 

Nf 

Nq 

No 

Nx 

Sn 

Ss 

Sv 

Sf 

Sq 

So 

Sx 

Vn 

Vs 

Vv 

Vf 

Vq 

Vo 

Vx 

Fn 

Fs 

Fv 

Ff 

Fq 

Fo 

Fx 

Qn 

Qs 

Qv 

Qf 

Qq 

Qo 

Qx 

On 

Os 

Ov 

Of 

Oq 

− 

− 

Xn 

Xs 

Xv 

Xf 

Xq 

− 

− 

201.12.1.101.2.3.2 各心拍の比較方法 

各心拍の比較は,次の方法に従って行う。 

a) 学習区間終了後の最初の基準心拍ラベルの時間を変数Tに設定し,学習区間終了後の最初の試験心拍

ラベルの時間を変数tに設定する。表の全ての要素をゼロに設定する。 

Tが比較試験区間の開始点から150 ms以内の場合,一致する試験心拍ラベルは,比較試験区間の開

始点の前の可能性がある。この場合は,一致として計算する[ステップb)へ進む前に,tを一致した

16 

T 60601-2-47:2018  

試験心拍ラベルの時間に設定する。]。一方,tが比較試験区間の開始点から150 ms以内で,かつ,一

致する基準心拍ラベルが比較試験区間の開始点の後にない場合は,tにおける試験アノテーションは,

計算しない[ステップb)へ進む前に,tを次の試験心拍ラベルの時間に設定する。]。 

b) 次のいずれか一つを適用する。 

1) tがTの前に来る場合は,t'を次の試験心拍ラベルの時間に設定する(後に試験心拍ラベルがない場

合は,最終記録を超えた時間に設定する。)。ここで次の二つの場合がある。 

i) 

Tがt'よりtに近く,かつ,tがTの150 ms(比較範囲)以内にある場合は,Tの心拍ラベル及び

tの心拍ラベルを対とする。変数Tは,次の基準心拍ラベルの時間に再設定する。 

ii) i)でない場合は,tの試験心拍ラベルは,余分な検出である。その余分なラベルは,擬似心拍ラベ

ルO又はXと対とする。変数tは,t'の値に再設定する。 

2) tがTの前に来ない場合は,T'を次の基準心拍ラベルの時間に設定する(以降に基準心拍ラベルがな

い場合は,最終記録を超えた時間に設定する。)。ここで次の二つの場合がある。 

i) 

tがT'よりTに近く,かつ,tがTの150 ms以内にある場合は,Tの心拍ラベル及びtの心拍ラベ

ルを対とする。変数tは,次の試験心拍ラベルの時間に再設定する。 

ii) i)でない場合は,そのホルタ心電図システムは,Tの心拍を見逃している。その余分な基準心拍ラ

ベルは,擬似心拍ラベルO又はXと対とする。変数Tは,T'の値に再設定する。 

c) ステップb)で生じた心拍ラベルの対に一致する表の要素に1を加算する。 

d) ステップb)及びc)は,t及びTの両方が最終記録を超えた時間に設定できるまで繰り返す。 

表の集計の場合に,基準又は心電図解析のアノテーションファイルのいずれかに判読不能又はVFとマ

ークされた部分の履歴を残す。判読不能部分の擬似心拍ラベルは,Xとし,それ以外の場合の擬似心拍ラ

ベルは,Oとする。真のVF部分に生じた試験心拍ラベルは,計算に入れない。ホルタ心電図システムが

VF部分を示すマークを付けた区間の基準心拍ラベルは,擬似心拍ラベルOと対となり,他の読み落とし

た心拍と同様に集計する。一般に,判読不能部分又はVF部分は,学習区間から始まってもよく,心拍ご

との比較を行うソフトウェアは,この可能性を考慮する。 

注記 心拍の基準定義の表現は,基準心拍ラベルを大文字で,試験心拍ラベルを小文字で表している

(例 N基準心拍ラベル,n試験心拍ラベル)(表201.105参照)。 

201.12.1.101.2.3.3 心拍数及び心拍変動又はRR間隔変動 

201.12.1.101.2.3.3.1 *心拍数計測 

心拍数測定の精度を評価するために,評価者は,基準アノテーションファイル(から計算する基準心拍

数)を用いて心拍数を得る手段を実装して開示する。一般的に可能な限り近いものであれば被試験機が使

用する方法と完全に同じでなくてもよい。この方法が全く同じでない場合は,別の方法を使用する理由を

開示する。ホルタ心電図システムが心拍数を連続的に出力する場合(個別の心拍数ではなく),その信号

は,評価のために定期的に2 Hzより多く,又はそれぞれの拍の個別の心拍数を出力する。基準心拍数の各

計測値は被試験機が測定した(各時間で)対応する心拍数と比較する。各計測結果の比較は,計測エラー

として基準心拍数の百分率で表現する。被試験機が心拍数計測を複数供給する場合,この細分箇条は,個々

に適用する。 

201.12.1.101.2.3.3.2 *心拍変動又はRR間隔変動計測の試験パターン 

結果が一意に決まる公知の値をもつデータセットに基づき心電図解析の精度を評価することが重要であ

る。心電図解析の評価は,人工的に作成したアナログ波形及び出力が指定できる心電図解析で提示可能な

基準試験パターンで達成できる。 

17 

T 60601-2-47:2018  

アナログ試験パターンである試験パターン1は,ホルタ心電図システムの信号経路を全て通過すること

を意図している。言い換えると,アナログ心電図信号は,QRS検出器で数値化及び処理し,記録する。し

たがって,雑音レベル測定は,サンプリングの影響,位相ロックループ(PLL),演算精度及びその他の影

響を明らかにする。 

a) HRVの雑音レベルを測定するために,信号発生器を適切にホルタ心電図システムの心電図入力に接続

する。基線における幅が100 msで1 mVの三角波となるように信号発生器を調整する。1分間に55

回〜75回のパルスの繰返しに調整する。パルスの繰返し精度は,24時間にわたり0.01 %以内で安定

していなければならない。 

b) 各HRVを3回計算するのに十分な長さを取得する。一つのHRVが5分周期の全区間の標準偏差であ

る場合,その指標を3回個別に計算するためには,15分以上のデータを取得する。幾つかのHRVの

計算は,24時間の区間として定義してある。3回の計算を得るためには,3回の1日分のデータ取得

が必要である。 

c) 被試験機で各HRV指標を3回分析する。各分析が取得したシミュレーション波形の異なる部分であ

ることを確認する。 

d) 各HRV指標は3回の試験で最悪(ばらつきが最大)の計測値を記録する。この最悪の場合の計測値

が雑音レベルである。 

次のリストは,表201.106のHRV指標を定義する。 

時間領域指標は,次による。 

− 平均(Mean):全てのパルス間隔の平均。単位はms 

− SDNN: 全てのパルス間隔の標準偏差。単位はms 

− SDANN: 5分間の平均パルス間隔の標準偏差。単位はms 

− ASDNN: 5分間の標準偏差の平均。単位はms 

− NN50: 

隣接するパルス間隔が50 msを超える数 

− pNN50: 全パルス間隔でNN50が出現する割合(パーセント) 

− RMSSD: 隣接するパルス間隔の差の二乗平均。単位はms 

− TINN: 

三角指標間隔は,パルス間隔分布を近似する三角形の基準として測定分布のベースライン

幅である(最小二乗差を,三角形を検索するために使用する。)。 

周波数領域指標は,次による。 

− VLF: 

超低周波パワー(0.003 33 Hz〜0.040 Hz)。単位はms2 

− LF: 

低周波パワー(0.040 Hz〜0.150 Hz)。単位はms2 

− HF: 

高周波パワー(0.150 Hz〜0.400 Hz)。単位はms2 

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表201.106−雑音レベル計算結果例 

HRV指標 

試験1 

試験2 

試験3 

雑音レベル 

SDNN 

4.7 ms 

4.8 ms 

4.1 ms 

4.8 ms 

ASDNN 

4.1 ms 

3.9 ms 

4.0 ms 

4.1 ms 

SDANN 

0.2 ms 

0.4 ms 

0.5 ms 

0.5 ms 

RMSSD 

5.6 ms 

6.1 ms 

5.7 ms 

6.1 ms 

pNN50 

0 % 

0 % 

0 % 

0 % 

TINN 

24 ms 

24 ms 

16 ms 

24 ms 

VLF 

0.04 ms2 

0.04 ms2 

0.04 ms2 

0.04 ms2 

LF 

0.13 ms2 

0.13 ms2 

0.13 ms2 

0.13 ms2 

HF 

1.30 ms2 

1.30 ms2 

1.25 ms2 

1.30 ms2 

デジタル試験パターンである試験パターン2〜5は,QRS検出器及び分類器の後にデジタル領域で適用

することを考えている。これは,ほかで効果の特定がされていない演算の妥当性を試験し,複雑なアナロ

グ波形シミュレータの構築を回避する。 

e) 次の規則に従うNN間隔のシーケンスとして正弦波試験パターンを定義する。rravg,rrdev及びhrvfreq

は,異なる試験パターンに異なる値を前提とする。 

rravg :平均RR間隔。単位は秒 

rrdev :RR間隔変動の大きさ。単位は秒 

hrvfreq :周波数変動。単位はHz 

T() :QRS時間 

T(0)=0.0 

rr(k)=rravg+rrdev×sin[2×π×hrvfreq×T(k)] 

T(k+1)=T(k)+rr(k) 

十分な精度を確保するためrr()及びT()は,単位を秒とし,倍精度浮動小数点(64 bit)とする。 

試験結果例を表201.107に示す。 

表201.107−HRV試験結果例 

試験パターン 

rravg 

rrdev 

hrvfreq 

hrvperiod 

0.800秒 

0.035秒 

0.25 Hz 

4秒 

1.000秒 

0.070秒 

0.10 Hz 

10秒 

3.000秒 

0.280秒 

0.033 333 Hz 30秒 

1.500秒 

0.140秒 

0.000 278 Hz 1時間 

f) 

間隔の数値化。QRS時間シーケンスは,数値化する。丸め誤差の蓄積を避けるために間隔シーケンス

は,数値化した時間から再計算する。 

サンプル間隔:被試験心電図解析が許容できる間隔。単位は秒 

Tq(k)=サンプル間隔×整数化[[T(k)/サンプル間隔]+0.5] 

rrq(k+1)=Tq(k+1)−Tq(k) 

g) RR間隔に基づく分類を無効とし,全ての拍を正常洞調律,Nと定義する。算術的なオーバフローを

回避するために上限が必要な場合は,その制限を開示する。試験パターン間隔は,0.765秒〜3.28秒で

ある。 

h) 各HRV指標の要件を満たすために,次の各試験パターンに十分な時間で構築する。計算可能な最大

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19 

T 60601-2-47:2018  

時間で試験する。試験下のHRV指標が60分程度では試験できない場合は,試験パターン5は,必要

としない。 

i) 

各試験パターンは,各HRV指標の期待値を予測する(201.12.1.101.1.5.3参照)。 

j) 

各HRV指標のために数値化した間隔の各リストを処理する。各HRV指標と各試験パターンの期待値

とを比較する(201.12.1.101.1.5.3参照)。 

201.12.1.101.2.4 ランごとの比較 

201.12.1.101.2.4.1 一般的説明 

ラン(連発)ごとの比較は,連続する異所性拍の連発を検出するホルタ心電図システムの能力を計測す

るために使用する。異所性拍の各種類(VEB及びSVEB)それぞれに感度及び陽性一致率の2種類のラン

ごとの比較を必要とする。ランごとの比較の最終成果物は,各要素が適切なタイプの連発の数で対になっ

ている数の行列である。試験結果例を,表201.108及び表201.109に示す。 

表201.108−ラン感度概要表 

基準 

連発数 

検出連発(ラン)数 

>5 

S01 

S02 

S03 

S04 

S05 

S06 

S10 

S11 

S12 

S13 

S14 

S15 

S16 

S20 

S21 

S22 

S23 

S24 

S25 

S26 

S30 

S31 

S32 

S33 

S34 

S35 

S36 

S40 

S41 

S42 

S43 

S44 

S45 

S46 

S50 

S51 

S52 

S53 

S54 

S55 

S56 

>5 

S60 

S61 

S62 

S63 

S64 

S65 

S66 

表201.109−ランの陽性一致率予測概要表 

基準 

連発数 

検出連発(ラン)数 

>5 

P01 

P02 

P03 

P04 

P05 

P06 

P10 

P11 

P12 

P13 

P14 

P15 

P16 

P20 

P21 

P22 

P23 

P24 

P25 

P26 

P30 

P31 

P32 

P33 

P34 

P35 

P36 

P40 

P41 

P42 

P43 

P44 

P45 

P46 

P50 

P51 

P52 

P53 

P54 

P55 

P56 

>5 

P60 

P61 

P62 

P63 

P64 

P65 

P66 

注記 それぞれの登録は,基準連発(ラン)数及び検出連発(ラン)数の組合せに対応している。5

を超える全ての基準連発(ラン)数は,最後の列及び行にまとめている。各々の要素は,基準

連発(ラン)数及び検出連発(ラン)数に対応する(S又はP),及びそれに続く二つの添え字

の数字の属する表に従って名付けている。 

201.12.1.101.2.4.2 用語及び記号 

この細分箇条の残りでは,一般的な用語である“ラン(連発)”は,V又はF以外のラベルで区切られ

た連続したV又はF(順不同)を意味する。ラベルO及びXの擬似的な心拍は,心拍ごとの比較だけで使

用しているために区切りとしては使用しない。それらは,ランごとの比較で完全に無視し,ランの拍とは

みなさない。 

20 

T 60601-2-47:2018  

注記 V又はF以外のラベルとは,N,S,Q,試験期間,又は読めない部分の開始若しくは終了を意

味する。 

次の用語及び略語は,特定の長さのランを示す。 

− カプレット(C):2拍の連続したV又はFのラン 

− ショートラン(S):3,4又は5拍の連続したV又はFのラン 

− ロングラン(L):6拍以上の連続したV又はFのラン 

ラベル“[”及び“]”で囲んだ心室細動又は心室粗動は,この細分箇条の目的としてVEロングランと

等しいと考え,隣接するラベルV又はFを同じランとみなす。同様に,リズムラベルで囲んだ心房細動又

は心房粗動は,SVEロングランと等しいとみなし,隣接するラベルSは,同じランの一部であると考える。 

201.12.1.101.2.4.3 ラン感度概要表 

この細分箇条は,VEBランのラン感度概要表をどのように導き出すかについて規定する。 

a) 基準アノテーションファイルは,全てのランの位置を定義する。各基準ランに対して,区間は,基準

ランの最初の心拍ラベルの時間の前150 msを開始,及び基準ランの最後の心拍ラベルの時間の後150 

msを終了と定義している。 

b) 各基準ランに対して,基準ランの長さは,一致する区間内で連続したV又はFの基準心拍の数である。 

c) 各基準ランに対して,試験ランの長さは,一致する区間内で連続したV又はFの試験心拍の数である。 

もし一つの基準ランの間に一つ以上のランを検出した場合,試験ランの長さは,一致する区間内で

検出した最も長いランによって決定する。もし基準ランの間にV又はFがない場合,試験ランの長さ

は,ゼロである。 

d) 基準ランの長さ及び試験ランの長さのそれぞれの可能性のある組合せは,ラン感度概要表のセルに相

当する。それぞれの基準ランに対して,相当する要素のカウントを増加する。 

上記の各“V”又は“F”を“S”と置き換え,同じ手順に従うことでSVEラン連発感度概要表を導く。 

201.12.1.101.2.4.4 ランの陽性一致率予測概要表 

この細分箇条は,VEBラン陽性一致率予測概要表をどのように導き出すかを規定する。 

a) 試験アノテーションファイルは,全てのランの位置を定義する。各試験ランに対して,一致する区間

は,試験ランの最初の心拍ラベルの時間の前150 msを開始,及び試験ランの最後の心拍ラベルの時間

の後150 msを終了と定義する。 

b) 各試験ランに対して,試験ランの長さは,一致する区間内で連続したV又はFの試験心拍の数である。 

c) 各試験ランに対して,基準ランの長さは,一致する区間内で連続したV又はFの基準心拍の数である。

一つの試験ランの間に一つ以上のランを検出した場合,基準ランの長さは,一致する区間内で検出し

た最も長いランによって決定する。試験ランの間にV又はFがない場合,基準ランの長さは,ゼロで

ある。 

d) 基準ランの長さ及び試験ランの長さのそれぞれの可能性のある組合せは,ランの陽性一致率予測概要

表のセルに相当する。各基準ランに対して,適切なセルのカウントを増加する。 

上記の各“V”又は“F”を“S”と置き換え,同じ手順に従うことで,SVEラン陽性一致率予測概要表

を導く。 

201.12.1.101.2.5 VF及びAFの比較 

VFの検出機能をもつホルタ心電図システムは,VFを比較する。この試験は,ホルタ心電図システムの

出力に基づいてアノテーションファイルを作成する。それには,ホルタ心電図システムがVFエピソード

の始まり,終わり及び決定した時間(最低限)を含める。基準とホルタ心電図システムの心電図解析との

21 

T 60601-2-47:2018  

両方の注釈がVF継続中を示している区間は,全て一致とする。一致が生じている区間の基準の各エピソ

ードは,VFエピソードの感度を決定するために真陽性として計算する。 

VFエピソード感度及び陽性一致の計測は,注釈が一致する各基準VFエピソードは,VFエピソード感

度を決定する目的のために真陽性としてカウントし,注釈が一致しない基準VFエピソードは,偽陰性と

してカウントする。同様に,注釈が一致する心電図解析が囲んだ各VFエピソードは,VFエピソード陽性

一致を決定する目的のために真陽性としてカウントし,心電図解析が囲んだ注釈が一致しないVFエピソ

ードは,偽陽性としてカウントする。 

VF区間の感度及び陽性一致の計測は,基準及び心電図解析が囲んだVFのそれぞれの合計時間,及び上

で定義したように注釈が一致した区間の合計時間の決定を必要とする。 

追加として,次の情報を各記録のために開示する。 

a) 試験に使用した記録の細分箇条 

b) アラームが試験記録で発生したかどうか。 

c) アラームが発生した場合,どのようなアラームがあったか(例えば,心停止,心室頻拍,又は心室細

動)。 

d) 該当する場合は,アラームの程度 

e) アラームが発生した場合,不整脈の開始に対してアラームが動作するまでの時間(この最後の要件は,

リアルタイムの監視を行うホルタ心電図システムに適用する。) 

これに加えて,心室細動又は心室粗動を検出する心電図解析については,データベースのどの記録につ

いても発生する偽陽性は,試験報告書に報告する。 

AFを検出するホルタ心電図システムについては,AF比較を実施する。この試験は,上記の“VF”を

“AF”で置換し,VFの比較と同じ方法で行う。 

201.12.1.101.3 *医師用報告書−最小限の要求事項 

検出機能をもつホルタ心電図システムは,次に示す項目を報告書に含める。報告書には,更に操作者が

選択したパラメータを全て明示する。報告書には,製造業者が定義した通常の時間間隔で各項目を要約す

る。 

201.12.1.101.3.1 心拍数 

最低心拍数,平均心拍数及び最高心拍数を試験報告書に報告する。サマリ情報に検出した総拍数を試験

報告書に報告する。 

201.12.1.101.3.2 上室異所性 

SVEBsの総計,単一のSVEBs,二連発のSVEBs,連続SVT及び連続SVT区間(総拍数又は持続時間)

を報告する。サマリ情報は,各イベントの総数を含む。報告書は,各項目を少なくとも毎時間に一回,及

び総数を報告する。 

201.12.1.101.3.3 心室異所性 

心室異所性心拍(VEBs)の総数,単一のVEBs,二連発のVEBs,3連発以上のVEBs(RUN)及びRUN

の区間(総拍数又は持続時間)を報告する。心室頻拍のエピソードに対して,各エピソードの心拍数及び

区間(総拍数又は持続時間)を報告する。各誘導で解析した分単位の時間(状況に応じて秒単位の時間)

を報告する(解析しない時間を代用してもよい。)。 

201.12.1.101.3.4 徐脈データ 

徐脈エピソードの1時間ごとの表示は,心拍数及び持続時間が必要である。徐脈エピソード(15秒で心

拍数が50/分以下,製造業者選択のパラメータ又はユーザ定義のパラメータ)を報告する。 

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22 

T 60601-2-47:2018  

201.12.1.101.3.5 ポーズ 

ポーズの総数は,操作者が選択できる絶対いき(閾)値又は製造業者が選択するパラメータで報告する。

最長ポーズの位置及び継続時間を報告する。 

201.12.1.101.3.6 *ST部分の変化 

ホルタ心電図システムは,ST部分変化の検出,及び測定が可能な場合は,パラメータを含む適切な結果

を報告し,附属文書に含めなければならない。 

201.12.1.101.3.7 心電図の記録 

操作者が選択可能な25 mm/sの複数誘導の心電図記録を,全ての有意義な臨床結果を立証するのに必要

十分な量を報告できなければならない。各チャネルに対して誘導設定は,各心電図記録又は設定情報の一

部のいずれかを備える。心電図記録は,最低限,次のラベル付けを含む。 

− 時刻 

− 心拍数 

− 各心電図記録のアノテーション 

加えて,心電図記録の各“ページ”には,患者の識別表示を含めなければならない。この“ページ”は,

心電図記録器から単一の心電図記録,又はA4サイズ若しくは“レター”サイズの用紙で成る幾つかの記

録でもよい。各チャネルの校正信号は,ST部分解析を実行する各心電図記録に存在する。 

201.12.4 危険な出力に対する保護 

201.12.4.4 誤った出力 

図201.101−201.12.4.4用の一般的な試験回路 

追加 

201.12.4.4.101 *直線性及びダイナミックレンジ 

アナログのホルタ心電計(5 mm/mV感度で設定)は,±300 mVのDCオフセット電圧の状態で,125 mV/ 

sの割合で変化する6 mV p-vの差動電圧の振幅に応答し,かつ,表示する。出力信号振幅の時間変化の表

示は,入力を基準として10 %又は50 μV以上のいずれか大きいほうよりも変化が小さくならなければなら

ない。 

(試験) 

適合性は,次のa)〜e)の試験によって確認する。 

ホルタ 
心電計 

23 

T 60601-2-47:2018  

a) 感度を5 mm/mVに設定する。スイッチS1及びS2を閉じた図201.101の試験回路でP3及びP4の間

に0.5 mV,1 mV,2 mV及び6 mV p-vの振幅で10.4 Hzの三角波(図201.102)を供給し,S3の位置

をAとして,各チャネルの陽性側の患者電極への接続部をP1に接続する。 

b) P2を介し,各チャネルの陰性側の患者電極への接続部を51 kΩ抵抗器及び47 nFコンデンサを並列結

合した中性電極の電極コードに接続する。そして三角波を記録する。 

c) スイッチS3をBの位置にセットし,スイッチS4でオフセット電圧300 mVを加える。30秒待ち,記

録を繰り返す。 

d) スイッチS3をBの位置にセットし,スイッチS4でオフセット電圧−300 mVを加える。30秒待ち,

記録を繰り返す。 

e) 再生信号において,三角波の入力振幅の差が10 %又は50 μV未満のいずれか大きいほうよりも小さい

ことを確認する。 

注記 対応国際規格(IEC 60601-2-47:2012)では,この試験の基準を“10 %又は50 μV未満のいず

れか小さいほうよりも小さい”となっているが,本文の要求事項と異なることから,本文の

規定に合わせ“10 %又は50 μV未満のいずれか大きいほうよりも小さい”とした。 

代替方法は,次による。 

上記のように同じ振幅の連続的な4 Hzの正弦波,又は1秒に1回の独立した周期の繰返しで試験する。 

デジタルのホルタ心電計(5 mm/mV感度で設定)は,±300 mVのDCオフセット電圧の状態で,125 mV/s

の割合で変化する10 mV p-vの入力の振幅に応答し,表示する。出力信号振幅の時間変化の表示は,入力

を基準とし10 %,又は50 μV以上のいずれか大きいほうよりも変化が小さくならなければならない。 

(試験) 

適合性は,次のf)〜j)の試験によって確認する。 

f) 

感度を5 mm/mVに設定する。スイッチS1及びS2を閉じた図201.101のP4及びP3間の試験回路に,

0.5 mV,1 mV,2 mV及び10 mV p-v振幅で6.25 Hzの三角波(図201.102)を入力し,S3の位置をA

として,各チャネルの陽性側の患者電極への接続部をP1に接続する。 

g) P2を介した各チャネルの陰性側の患者電極への接続部を51 kΩ抵抗器及び47 nFコンデンサを並列結

合した中性電極の電極コードに接続する。そして三角波を記録する。 

h) スイッチS3をBの位置にセットし,スイッチS4でオフセット電圧300 mVを加える。30秒待ち,記

録を繰り返す。 

i) 

スイッチS3をBの位置にセットし,スイッチS4でオフセット電圧−300 mVを加える。30秒待ち,

記録を繰り返す。 

j) 

再生信号において,三角波の入力振幅の差が10 %又は50 μV未満のいずれか大きいほうよりも小さい

ことを確認する。 

注記 対応国際規格(IEC 60601-2-47:2012)では,この試験の基準を“10 %又は50 μV未満のいず

れか小さいほうよりも小さい”となっているが,本文の要求事項と異なることから,本文の

規定に合わせ“10 %又は50 μV未満のいずれか大きいほうよりも小さい”とした。 

代替方法は,次による。 

上記のように同じ振幅の連続的な4 Hzの正弦波,又は1秒に1回の独立した周期の繰返しで試験する。 

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24 

T 60601-2-47:2018  

アナログ 160 ms,デジタル 96 ms 

図201.102−201.12.4.4.101用入力ダイナミックレンジの試験信号 

201.12.4.4.102 *入力インピーダンス 

入力インピーダンスは,試験で定めている周波数,及び全ての入力チャネルに対して10 MΩを超えるも

のとする。要求する全DCオフセット範囲にわたってこの要求事項に適合する。 

(試験) 

適合性は,次の試験によって確認する。 

a) 図201.101の試験回路を参照。 

b) スイッチS1及びS2を閉じ,S3をAにする。P3及びP4の間に5 mVp-v振幅の10 Hz正弦波を入力す

る。 

c) 最初の誘導の患者電極への接続部をP1及びP2それぞれに接続する。他の患者電極への接続部を全て

P6に接続する。 

d) S1を開き,出力振幅の変化を測定する。安定状態の出力振幅は,6 %を超えて減少してはならない。 

e) 試験を300 mV及び−300 mVのオフセット電圧でそれぞれ繰り返し行う。 

f) 

他の心電図チャネルの試験を全て繰り返し行う。 

g) 製造業者の再生装置で出力振幅を測定する。 

201.12.4.4.103 *同相信号の抑制 

同相信号の抑制は,電源(商用)周波数の正弦波に対して少なくとも60 dBとし,電源(商用)周波数

の2倍に対して少なくとも45 dBとする。その同相信号の抑制の性能を,心電図の入力チャネルに現れる

信号のp-v値に対する妨害電源周波数p-v値の比として定義する。 

(試験) 

適合性は,次の試験によって確認する。 

図201.103の試験回路を参照。 

a) 製造業者が推奨する誘導コード又は同等品を次の試験を行う場合に使用する。被試験器を導電性金属

はく(箔)で覆い,これを接地する。誘導コードの入力部を除き,この金属はく(箔)で被試験器の

輪郭から3 mm以内(の範囲)を完全に覆う。擬似電源(商用)周波数発生器で駆動されるシールド

に接続した同様の金属はく(箔)で完全に誘導コードを覆う。同じ駆動されるシールドで抵抗及びコ

ンデンサネットワーク,DCオフセット電源,及びスイッチを覆う。さらに,接地したシールドでこ

の全試験装置を覆う。外装シールド内は,次のようにする。校正の変化を最小限にするように設備を

構成した後,適切に制御及び制限可能な状態に駆動シールド内の部品を配置する。最初に,この妨害

アナログ 
0.5 mV,1 mV, 
2 mV,6 mV 
 
デジタル 
0.5 mV,1 mV, 
2 mV,10 mV 

25 

T 60601-2-47:2018  

信号を電源(商用)周波数に設定する。操作者が電源周波数のノッチフィルタをソフトウェアで切る

という仕様がなくても,この試験の間,被試験器の電源(商用)周波数のノッチフィルタは,全て切

る。 

b) 51 kΩの抵抗,47 nFのコンデンサ及びスイッチで構成した並列回路を直列に介した各患者電極リード

を,共通交点に全て接続する。ほかに基準又は参照電極がある場合は,51 kΩの抵抗及び47 nFのコ

ンデンサで構成された並列回路を介して同様の共通交点に接続する。100 pFのコンデンサを介して共

通交点に妨害試験信号を印加する。発生器の低圧側をアースに接続する。スイッチS1〜Snを全て開

き,スイッチSaをBにする。Ctに生じる試験電圧を信号発生器の電圧の半分になるようにCtを調整

する。この調整は,被試験器が試験装置から完全に外れている間に行う。校正後,被試験器を試験装

置に再び接続する場合は,誘導コード,誘導コードを覆う金属はく(箔)及び試験用冶具は,全て接

地した外装シールドの中の適切な位置に置く。外装シールドは,実際の試験中に使用する位置で閉め

なければならない。外装シールドを開けて被試験器を接続し,外装シールドを閉める。最悪の場合の

妨害測定をするために,予想できる全てのエイリアシング(折り返し雑音)及び再生装置の操作者が

選択することができる最大再生速度を考慮に入れて,十分な信号を記録する。 

c) SaをAの位置にし,Sbのそれぞれの位置で試験することによって,300 mV及び−300 mVのDCオ

フセット及び不均衡なインピーダンスで,順番に試験を繰り返す。また,各入力のオフセットで順番

に試験を繰り返す。 

d) 始めにスイッチS1〜Snを全て閉じる。次にスイッチS1〜Snを順番に開き試験を繰り返す。電源周波

数を2倍にして試験を繰り返す。 

測定した出力は,各試験において電源周波数で8 Vp-vの信号電圧にした場合は,4 mVp-vを超えてはな

らない。電源周波数の2倍で測定した出力は,1.422 Vp-vの信号電圧で4 mVp-vを超えてはならない。 

background image

26 

T 60601-2-47:2018  

構成 
① 

信号発生器。出力インピーダンスは,1 kΩ±1 %以下 

② 

駆動シールド 

③ 

基準シールドで試験回路部全体を覆う。 

④ 

金属はく(箔)でホルタ心電計を覆う。 

駆動シールドはこの点で接続する。 

R1,2 

分圧器 

Sa 

オフセット電圧の接続又は未接続を行うスイッチ 

Sb 

オフセット電圧の極性を変更するスイッチ 

S1,Sn C及びRの不均衡な回路を調整するスイッチ 

47 nF 

51 kΩ 

図201.103−201.12.4.4.103用同相信号の抑制の試験回路 

201.12.4.4.104 *感度の精度 

設定可能な全ての感度設定での出力は,入力を基準とした試験信号に比較して最大±10 %以内の振幅誤

差で再生できなければならない。 

27 

T 60601-2-47:2018  

(試験) 

適合性は,次の試験によって確認する。 

5 Hz,2 mV p-v正弦波を全ての心電図の入力チャネルに適用する。出力は,設定可能な各感度設定で上

記の要求事項に適合する。 

201.12.4.4.105 *感度の安定性 

ホルタ心電計に電源を投入した後1分後から,感度変化は,24時間で3 %を超えてはならない(安定し

た環境条件で行う。)。 

(試験) 

適合性は,次の試験によって確認する。 

5 Hz,2 mV p-v正弦波を全ての心電図の入力チャネルに24時間印加する。それぞれ可能な感度設定で,

出力振幅が要求事項の範囲内にあることを最初の1時間確認し(又は1分,2分,5分,10分,20分,30

分,45分,及び60分で試験),24時間まで毎時間1回の確認を行う。 

201.12.4.4.106 *内部雑音 

51 kΩの抵抗器及び47 nFのコンデンサで構成した並列回路に各患者電極への接続部の全入力を直列に

接続したとき,入力を基準に内部雑音は,10秒で50 μV p-vを超えてはならない。電源(商用)周波数ノ

ッチフィルタがホルタ心電計に装備されている場合は,この試験中適切な電源(商用)周波数で作動させ

る。 

(試験) 

適合性は,次の試験によって確認する。 

51 kΩの抵抗器及び47 nFのコンデンサで構成された並列回路に各患者電極への接続部を直列に図

201.103のように接続し,中性電極への接続も含む全ての患者電極への接続部を一緒に接続する。この試

験では,入力信号源及び100 pFのコンデンサを接続してはならない。可能な最大感度で2分間記録する。

記録の最初及び最後の10秒は,無視する。残りの100秒を各10秒の10間隔に分ける。p-vノイズレベル

は,少なくとも9/10間隔は基準内とする。 

201.12.4.4.107 *チャネル間干渉 

ホルタ心電計のチャネル間の干渉は,全ての誘導の出力で,入力を基準として5 %を超えてはならない。 

(試験) 

適合性は,次の試験によって確認する。 

a) ホルタ心電計を図201.101の試験回路に接続して,スイッチS1及びS2を閉じ,S3をAの位置にする。

各誘導の陽性側の患者電極への接続部をP1に接続する。 

b) P2に接続した各誘導の陰性側の患者電極への接続部を,51 kΩの抵抗器及び47 nFのコンデンサで構

成された並列回路を介して中性電極電極コードに接続する。 

c) 信号発生器を調節してP1-P2間に4 mV p-v振幅,10 Hz周波数の正弦波を作る。少なくとも10秒間,

信号を記録する。 

d) P1から一つを残し,他の全ての陽性側の患者電極への接続部を取り外しP2へ再接続する。少なくと

も10秒間,信号を記録する。 

e) 記録が可能なできる限り多くの誘導に対して繰り返し行う。1回に一つの陽性側の患者電極への接続

部だけをP1に接続する。 

P2と接続した陽性側の患者電極への接続部の誘導出力は,入力を基準として5 %を超えてはならない。 

28 

T 60601-2-47:2018  

201.12.4.4.108 *周波数特性 

ホルタ心電計は,次のa)及びb)又はc)に適合する。 

a) 3 mV,100 msの方形パルスに対するホルタ心電計の特性は,パルスの前の基線と比較してパルスの後

の基線が0.1 mVを超えて変動してはならない。パルス域外の傾斜は,0.3 mV/秒未満とする。立上が

りオーバーシュートは,10 %未満とする。 

b) 周波数範囲が0.67 Hz〜40 Hzの正弦波信号に対する振幅は,5 Hzの応答の140 %〜70 %(+3 dB〜−

3 dB)でなければならない。 

ST部分を計測できるホルタ心電計の場合は,一番低い一次ハイパスフィルタの遮断周波数が0.05 

Hz又は同等の機能でなければならない。 

体重10 kg未満の小児に対して心電図を記録できるホルタ心電計の場合は,高域側の遮断周波数は,

少なくとも55 Hzとする。 

c) 狭いR波を模擬する1.5 mV,40 msの三角波パルスの振幅は,1.5 mV,200 msの三角波パルスの最大

振幅と比較し70 %〜110 %以内とする。 

体重10 kg未満の小児に対して心電図を記録できるホルタ心電計の場合は,1.5 mV,40 msの三角波

パルスの振幅は,1.5 mV,200 msの最大振幅と比較し80 %〜110 %以内とする。 

(試験) 

適合性は,次の試験によって確認する。 

システムの入力は,患者電極への接続部からとし,出力は,システムの心電図記録の印刷で計測する。 

a) 少なくとも20秒の基線(0 V)を記録した後,3 mV,100 msの単発方形波パルスを記録する。この後

も最低20秒,基線の記録を続ける。 

b) 図201.101の試験設定で少なくとも5秒間,0.67 Hzで2 mV p-vの正弦波形を記録する。同じように,

1 Hz,2 Hz,5 Hz,10 Hz,20 Hz及び40 Hzで記録する。 

ST部分を計測できるホルタ心電計の場合は,上記の試験で,0.67 Hzの最低周波数を0.05 Hzに置

き換える。 

体重10 kg未満の小児に対して心電図を記録できるホルタ心電計の場合は,上記の試験で40 Hzの

最高周波数を55 Hzに置き換える。 

c) 1.5 mV,基部200 ms幅の三角波パルス列を少なくとも5秒間,1回/秒の繰返し率で記録する。三角

波パルス基部の幅を40 msに調整し,少なくとも5秒間記録する。 

上記の記録を印刷し,次の事項を確認する。 

a) 3 mVの方形波パルスによる出力の基線の変化は,パルスの前後で基線から0.1 mV以内とする。パル

ス域外の傾斜は,0.3 mV/秒未満とする。 

b) 0.67 Hz,1 Hz,2 Hz,10 Hz,20 Hz及び40 Hzの周波数に対してのp-v振幅は,5 Hzの応答に対して

70 %〜140 %とする。 

ST部分を計測できるホルタ心電計の場合は,0.67 Hzの最低周波数を0.05 Hz又は機能が同等なも

のに置き換える。 

体重10 kg未満の小児に対して心電図を記録できるホルタ心電計の場合は,40 Hzの最高周波数を

55 Hzに置き換える。 

c) 振幅1.5 mV,基部40 ms幅の三角波パルスの最も低い振幅は,振幅1.5 mV,基部200 ms幅の三角波

パルスの最大振幅の70 %〜110 %とする。 

体重10 kg未満の小児に対して心電図を記録できるホルタ心電計の場合は,振幅1.5 mV,基部40 ms

29 

T 60601-2-47:2018  

幅の三角波パルスの最も低い振幅は,振幅1.5 mV,基部200 ms幅の三角波パルスの最大振幅の80 %

〜110 %とする。 

注記 対応国際規格(IEC 60601-2-47:2012)では,この試験の基準が60 %以上(10 kg未満の小児

に対しては80 %以上)となっているが,本文の要求事項の値[細別c)]と異なることから,

本文の規定値に合わせた。 

201.12.4.4.109 *ペースメーカパルスに対する機能 

ホルタ心電計が植込み式ペースメーカパルスのある心電図信号を記録できる場合は,ホルタ心電計の機

能は,植込み式ペースメーカの作動によって悪影響を受けてはならない。 

(試験) 

適合性は,次の試験によって確認する。 

a) 図201.104のようにホルタ心電計と回路とを接続し,各誘導の陽性側の患者電極の接続部をP1に,各

誘導の陰性側の患者電極及び基準電極の接続部をP2に接続する。 

b) 10 Hz,(2.0±0.2)mV p-vの正弦波が111 Ωの抵抗器両端に発生するように,正弦波発生器を調整す

る。パルス発生器で,持続時間1.0 ms±0.1 ms,立上がり時間100 μs以下,繰返し率100回/分の200 

mV±25 mVのパルスを付け加える。 

c) 30秒以上記録する。 

d) a)の陽性側と陰性側の患者電極への接続部を入れ替えて記録を繰り返す。 

e) 再生した全てのパルスにおいて,パルス直前の正弦波のピーク高さとパルス後の正弦波のピーク高さ

との差が0.2 mV以下であることを確認する。 

ホルタ心電計が植込み式ペースメーカパルスを記録できる場合は,振幅2 mV〜200 mV,持続時間0.1 ms

〜2.0 ms,及び立上がり時間100 μs未満のペースメーカパルスを可視的に表示できなければならない。 

(試験) 

適合性は,次の試験によって確認する。 

立上がり時間100 μs未満の4種類のパルスによって試験を実施する。 

− 振幅2 mV,持続時間2.0 msのパルス 

− 振幅200 mV,持続時間2.0 msのパルス 

− 振幅20 mV,持続時間0.1 msのパルス 

− 振幅2 mV,持続時間0.1 msのパルス 

正弦波発生器の設定を,上記のb)及びパルスの繰返し率を100回/分として30秒以上記録し,全ての

パルスに対して高さ2 mm以上のマークが,ホルタ心電計に入力したパルスと同一周波数,同一パルス間

隔で記録紙に記録されることを確認する。 

background image

30 

T 60601-2-47:2018  

2.0 V p-v 
10 Hz 

100 kΩ 

1 kΩ 

0.02 V-2.0 V 
100 ppm 

111 Ω 

P1 

P2 

基準電極 

記録器 

 ppm=pulse per minute(パルス/分) 

図201.104−201.12.4.4.109に従った,ペースメーカパルス許容値の試験回路 

201.12.4.4.110 *時間の精度 

総合誤差は,24時間で30秒を超えてはならない。 

(試験) 

適合性は,次の試験によって確認する。 

24時間の間,心電図シミュレータからの信号を記録又は校正モードで動作するようにホルタ心電計の準

備を行う。試験は,1時間±1秒,8時間±1秒及び23時間±1秒にイベントキーを押してイベント記録を

行う。これは,正確な時間を刻む電波時計を用いてイベント記録を行うことで実現可能である。全記録を

解析し,各イベントの実時間が1時間目,8時間目及び23時間目の30秒以内であることを確認する。 

201.12.4.4.111 *感度設定及び切替え 

使用した感度を印刷する。アナログシステムの場合は,校正パルスを印刷する。少なくとも10 mm/mV

及び5 mm/mVの感度を備えなければならない。もし,追加の感度がある場合は,20 mm/mVの感度を備え

なければならない。 

(試験) 

適合性は,印刷を検査することによって確認する。 

201.12.4.4.112 *時間位置調整 

全てのチャネルの増幅器を同じ周波数特性に設定する場合は,次の場合を除いて,チャネル間の時相ず

れは,±20 ms又は±0.5 mm(25 mm/秒の時間軸の場合)以内でなければならない。これは,システム

全体及び構成部品全てに適用する(ホルタ心電計,再生装置など)。 

時相ずれが上記の制限を超える場合は,適切な注意文を記録に含め,チャネル間の時間比較を行わない

ように知らせる。 

(試験) 

適合性は,次の試験によって確認する。 

a) ホルタ心電計を図201.101の試験回路に接続する。スイッチS1及びS2を閉じ,S3をAの位置にする。

全ての陽性側の患者電極の接続部をP1に,及び全ての陰性側の患者電極の接続部をP2に接続する。

信号源を調整し,P1及びP2の間に振幅1.0 mV±0.05 mV,持続時間200 ms,立上がり及び立下がり

時間1.0 ms未満,並びに繰返し率1回/秒の方形波を加える。 

b) ホルタ心電計又は再生装置に切替え可能な増幅器フィルタがある場合は,全チャネルが同じ周波数特

性になるように設定する。 

31 

T 60601-2-47:2018  

c) ホルタ心電計の全チャネルでパルスを最低1時間以上記録する。各チャネル及び一度に少なくとも2

チャネルを25 mm/秒,10 mm/mVの解像度で印刷する(又は表示する。)。チャネル間の立上がり及

び立下がりエッジの時相ずれが20 ms(0.5 mm)未満であることを確認する。1時間の記録の中で,チ

ャネルごとにはっきりと識別できる3か所で測定を行う。再生装置で利用可能な全ての再生速度につ

いて,この試験を繰り返す。 

d) 測定された時相ずれが20 ms(0.5 mm)を超える場合は,再生装置が注意文を印刷又は表示すること

を確認する。 

201.13 ME機器の危険状態及び故障状態 

通則の箇条13を適用する。 

201.14 プログラマブル電気医用システム(PEMS) 

通則の箇条14を適用する。 

201.15 ME機器の構造 

次の変更を加えて,通則の箇条15を適用する。 

201.15.3 機械的強度 

201.15.3.4.1 手持形ME機器 

ホルタ心電計は,手持形ME機器とはみなさず,通則の15.3.4.1は適用しない。 

201.15.3.4.2 携帯形ME機器 

置換え 

ホルタ心電計が作動中に衝撃を受けた場合は,データ収集が中断してもよいが,衝撃前に得たデータは,

影響を受けてはならない。また,正常なデータ収集が次の試験完了後60秒以内に再開できなければならな

い。 

注記 “衝撃前に得たデータ”には,その瞬間に処理していたブロックは含まない。 

(試験) 

適合性は,次の試験によって確認する。 

コンクリート床のような硬い土台の上に平らに置き,更にしっかりと固定した厚さ50 mmの堅い木の板

(例えば,600 kg/m3を超える堅い木)に,ホルタ心電計を5 cmの高さから全ての面,端及び角で一度だ

け自由落下させる。したがって,被試験器が直方体の場合は,六つの面,12の端及び八つの角で各1回で

合計26回自由落下させる。ホルタ心電計は,落下前に信号源に接続し,落下後に再接続するか,又は接

続したままでもよい。ホルタ心電計を携帯袋に入れて使用するのが標準の場合は,試験に同種の携帯袋を

使用してもよい。ホルタ心電計は,影響を受けてはならず,衝撃後60秒以内に正常なデータ収集を再開

する。許可された60秒間を除き,落下前後に収集したデータが破損なく使用可能であること確認する。 

ホルタ心電計は,輸送,保管又は作動していない状態で,任意の面,端又は角で,硬い面上に0.8 mか

らの落下衝撃によって損傷を受けてはならない(上記と同様に携帯袋を使用してもよい。)。 

ホルタ心電計は,この試験の結果,目立った損傷を受けず,かつ,この規格の要求事項を満たさなけれ

ばならない。 

(試験) 

適合性は,次の試験によって確認する。 

32 

T 60601-2-47:2018  

ホルタ心電計は,コンクリート床のような硬い土台の上に平らに置いた50 mmの堅い木の板(例えば,

600 kg/m3を超える堅い木)上の高さ0.8 mから,三つの異なる開始位置から各1回自由落下させる。ホル

タ心電計を携帯袋に入れて使用するのが標準の場合は,試験に同種の携帯袋を使用してもよい。落下後に

明らかな損傷があった場合は,影響を受けている可能性があるので,この個別規格の要件に適合している

ことを試験する。 

201.15.4 ME機器の部品及び組立一般 

201.15.4.3 電池 

次の細分箇条を追加する。 

201.15.4.3.101 モニタ時間及びデータの保持 

201.15.4.3.101.1 *モニタ時間 

ホルタ心電計は,製造業者が指定する完全に充電した内部電源で,少なくとも24時間又は取扱説明書

に指定した時間の連続記録が可能でなければならない。 

(試験) 

適合性は,計測によって確認する。 

201.15.4.3.101.2 *データの保持 

揮発性メモリを使用しているホルタ心電計は,記録終了後,外部電源なしで少なくとも72時間記憶した

情報を保持できなければならない。 

(試験) 

適合性は,次によって確認する。 

a) 試験は,201.15.4.3.101.1によって行う。 

b) 記録後,気温25 ℃及び湿度70 %の環境にホルタ心電計を少なくとも72時間放置する。 

終了時に記録を読み取り,データに変化がないことを確認する。 

201.16 MEシステム 

次の変更を加えて,通則の箇条16を適用する。 

201.16.5 分離装置 

追加 

ホルタ心電計が再生装置と患者とを同時に接続可能である場合,分離装置を備えなければならない。 

201.17 *ME機器及びMEシステムの電磁両立性 

通則の箇条17を適用する。 

202 

電磁両立性−要求及び試験 

次を除き,IEC 60601-1-2:2007を適用する。 

202.6.1.1 

無線通信の保護 

202.6.1.1.1 

要求事項 

第一段落を次に置換え 

ホルタ心電図システム(MEシステム)は,IEC 60601-1-2:2007の6.1.1.1のa)からc)までに規定した場

合を除き,附属書Dの指針を使用し,製造業者が指定する使用目的によってCISPR 11のグループ1及び

クラスBに分類する。 

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33 

T 60601-2-47:2018  

ホルタ心電計及びホルタ心電図システムは,IEC 60601-1-2:2007の6.1.1.1のd),e)及びf)で指定する例

外及び明確化の分類に基づき,CISPRの該当する要求事項に適合する。 

202.6.1.1.2 

試験 

a)を次に置換え 

a) 患者に接続するホルタ心電計及び/又はホルタ心電図システムは,患者ケーブル,トランスジューサ,

誘導及び電極はホルタ心電計に接続し,患者を模擬する抵抗で終端する(図202.101参照)。信号入出

力ケーブルは,(該当する場合)試験の間,ホルタ心電計に接続する。 

  

1 m(患者ケーブル部) 

0.5 m 

0.3 m 

0.05 m 

0.3 m 

被試験器 

1 m 

>1 m 

Ch 

Rh 

電源コード 

信号ケーブル 

絶縁素材で作ったテーブル 

被試験下ME機器(ホルタ心電計) 

患者ケーブル 

患者を模擬した回路(51 kΩの抵抗器と47 nFとのコンデンサの並列回路) 

金属板 

Ch=220 pF 
Rh=510 Ω(Chと直列に接続するRhは,手をシミュレートする。) 
注記1 Ch及びRhは,202.6.1.1.2の伝導性放射試験だけに接続する。 
注記2 患者ケーブルが短く2.5回の折り返しできない場合は,2.5回より少なくてもよい。 

図202.101−202.6.1.1.2の伝導性放射試験,202.6.1.1.2及び202.6.2.3.2の放射妨害波 

及び放射イミュニティ試験のための試験設置方法 

34 

T 60601-2-47:2018  

202.6.2 

イミュニティ 

202.6.2.3 

*放射RF電磁界 

追加 

ホルタ心電計は,保存したデータを失うことなく信号の記録を続けなければならない。 

(試験) 

適合性は,次の試験によって確認する。 

a) ホルタ心電計を作動させる。 

b) 試験後にホルタ心電計で保存したデータが再生できることを確認する。 

注記 ひずみ試験では,データが破損する可能性がある。 

202.6.2.3.2 

試験 

a)を修正 

ホルタ心電計のケーブルは,誘導しないように長さを1 m折り返してまとめなければならない。信号ケ

ーブル(該当する場合)及び電源コード(該当する場合)は,図202.101に従い,ホルタ心電計から垂直,

水平に配置する。 

附属書 

通則の附属書も参照。 

35 

T 60601-2-47:2018  

附属書AA 

(参考) 

指針及び根拠 

AA.1 

概説 

この附属書では,この規格の重要な要求事項に対する簡潔な理論的根拠を解説する。これは,規格の主

題については,よく知っているが,その原案作成に参加しなかった人々を意図している。規格を正しく適

用するためには,主要な要求事項に対する理由を理解することが不可欠である。さらに,診療上の慣習及

び技術が変化した場合は,現在の要求事項に対する理論的根拠は,これらの発展のために必要な今後の規

格改正を容易にすることになる。 

AA.2 

個別の箇条及び細分箇条に関する根拠 

次からの記載事項は,この規格の箇条及び細分箇条の根拠であり,箇条及び細分箇条の該当する番号と

一致している。 

注記 次の箇条又は細分箇条に付した“†”(タガーマーク)は,対応する要求事項に対する根拠であ

ることを示し,かつ,要求事項の文章でないことを容易に識別できるようにしたものである。 

201.7.9.2.101† 追加の取扱説明書 

ホルタ心電図システムは,取扱説明書だけか,又は追加の医師用のガイドと一緒に同こん(梱)されて

いるものもある。医師用のガイドが利用可能な場合,g)に記載している情報は,通常,医師用のガイドに

記載されている。 

201.12.1.101† 心電図解析の試験 

信頼性のある評価は,再現可能であることが求められている。この理由から,ホルタ心電図システムの

評価は,人の介入なしで行われる必要がある。すなわち,正確に再現可能な“手動作動不要”評価が要求

される(人が介入する場合は,原則的には,全時間記録の出力ができるホルタ心電図システムにおいて完

全な結果を実現可能である。人が介入する場合の評価は,操作者の粘り強さ及び技能を測るだけで,ホル

タ心電図システムの性能を評価するには,価値がないため,このような評価方法は,要求も推奨もしない。)。 

アノテーションファイル生成手順の完全な公開は,独立(第三者)評価者がこの手順を使うことを可能

にし,その結果,同じ試験データを使用した場合の試験結果の検証が可能となる。また,評価者が,有効

なデータとして選択した追加試験データの使用が可能となる。 

自動解析(201.12.1.101.2)の評価方法は,ホルタ心電図システムとインタフェースとの連結を必要とす

る。ホルタ心電図システムの出力を処理するインタフェースに重要な分析要素を盛り込むと,見掛け上の

性能は“向上”する。手順を完全に開示することで,インタフェースが標準のアノテーションファイルに,

ホルタ心電図システムの通常の出力を単純に変換する以外の処理を行うことを妨げる。 

201.12.1.101.1.1† データベース 

解析結果が個別の心電図の特性に大きく依存することから,評価は,ホルタ心電図システム間又は性能

基準との比較のための値をもつ標準の記録を使用する必要がある。 

ほとんどのホルタ心電図システムは,基礎となるリズムを学ぶために一定の時間を必要とする。このた

めに,5分間の学習期間は,各記録の先頭に割り当てられ,計算した性能統計から除外する。AHA DBの

長いバージョン(30分間の試験期間に先行するアノテーションのない信号の2.5時間を含む。)を使用する

background image

36 

T 60601-2-47:2018  

場合,各記録の最後の35分(標準バージョンに相当)だけ被試験器に入力することができる。 

201.12.1.101.1.1.2† 試験で除外する記録 

ペースメーカ心電図の記録の除外は,ペースメーカパルスの記録が“なまっている”アナログの心電図

記録からペースメーカパルスの検出,又は強調することを解析するように設計されていないホルタ心電図

システムにだけ,許可している。なぜならば,元々のアナログテープは,“生の”信号に存在するパルス

を一般的な技術で認識するのに,満足できる信頼性をもってペースメーカのパルスを再生できないからで

ある。試験に使用する記録を,表AA.1に示す。 

表AA.1−完全な試験に使う記録 

データベース 

記録ID 

説明 

記録数 

AHAデータベース 
(試験に使う記録ID番号) 

1201‒1210 
2201,2203‒2210 
3201‒3210 
4201‒4210 
5201‒5210 
6201‒6210 
7201‒7210 
8201‒8204,8206‒8210 
AHAデータベース 

VEBsなし。 
単形性単発VEBs 
多形性単発VEBs 
二段脈 
R-on-T VEBs 
心室二連発 
心室頻拍 
心室細動 

10 

10 
10 
10 
10 
10 

78 

(試験に使わない記録ID番号) 2202,8205 

ペースメーカ心電図 

MIT-BIHデータベース 
(試験に使う記録ID番号) 

100,101,103,105,106,108,109,
111‒119,121‒124 

不整脈がないか,一般的な不
整脈を含む記録 

20 

200‒203,205,207‒210,212‒215,
219‒223,228,230‒234 

一般的ではないが,臨床的に
重要な不整脈を含む記録 

24 

MIT-BIHデータベース 

44 

(試験に使わない記録ID番号) 102,104,107,217 

ペースメーカ心電図 

NSTデータベース 
(試験に使う記録ID番号) 

118e00,119e00,118e06,119e06,
118e12,119e12,118e18,119e18,
118e24,119e24,118e̲6,119e̲6 

雑音負荷試験データベース 

12 

CUデータベース 
(試験に使う記録ID番号) 

cu01-cu35 

心室頻拍データベース 

35 

注記 指定したAHAの記録ID番号は,AHAデータベースの35分版を示す。ID番号の左から2桁目は,3時間と

同じ記録の(“2”ではなく)“0”である。3時間の記録を使用する場合,3時間の記録の最後の35分間(35
分の記録に相当)は,完全な試験の一部として心電図解析に提示してもよい。 

201.12.1.101.1.2† 試験の要求事項 

ESC DBの90件の不整脈及び異所性心拍の,発生率及び種類では,QRS波の検出及び分類の性能を評

価する目的のために,AHA及びMIT-BIHデータベースの代替として機能するには不十分である。しかし,

ESC DBの90件を使用した同じ心拍ごとの比較及びランごとの比較プロトコルによる評価は,必要なAHA

及びMIT-BIHデータベースの評価を補完することができる。この試験は,ST部分及びT波の変化を伴う

QRS波の検出及び分類の性能の安定性を評価するために特に有用である。 

AHA,MIT-BIH,NST,CU及びESCデータベースは,基準となる心拍変動(HRV)の値を伴わない。

HRV計算の精度は,最高に正確な基準HRVパラメータを予測できるように制御した入力で評価する。デ

ータベースは,HRV解析のための一般的で,現実的で,簡単に利用できる標準の入力シーケンスとして使

用することができる時間及びラベルを定義したQRS波のセットを提供する。異なる二つのHRV解析があ

る場合には,HRVの結果の等価性を比較する。不一致が観察される場合には,解析の実装又はラベルの定

37 

T 60601-2-47:2018  

義の違いについて検討することが望ましい。HRVの全て明確に定義したインデックスに対して正しい結果

の合意できるセットを時間をかけて進化させることが望ましい。 

この推奨する方法は,この文書の発行時点で,使用中又は将来的に発明されるかもしれないHRVの全

ての計算値に対応することはできない。しかし,ここに記載した試験方法及び報告要件は,他の指標の測

定値を評価するには十分であると考えられる。 

HRV解析の診断ユーティリティは,まだ決定していない。HRV解析についての推奨案の要件は,診断

上有用な測定のための基準の定義として解釈しないことが望ましい。これらの要件の唯一の目的は,特定

のホルタ心電図システムの出力における数値の正確性を評価するための標準的な方法論を確立すること

であり,これらの出力に任意の診断値を定めることではない。診断値は,この推奨案の適応範囲外であり,

臨床研究に基づいてだけ定義することが望ましい。 

AHA及びMIT-BIHデータベースにおけるVFの発生率及び種類では,201.12.1.101.2.5の目的のために

CU DBの代替とするには不十分である。CU DBは,VFの誤検出を招くような十分なサンプルを含んでい

ないので,AHA DBの80件及びMIT-BIH DBの48件を使用したVF検出の評価で,CU DBの評価を補完

することが望ましい。 

201.12.1.101.1.3† 試験環境 

この試験環境では,デジタル又はアナログの心電図のデータベースを使用する。MIT-BIH DB及びAHA 

DBは,60時間以上の心電図があり,追加のデータベースで更に時間が増加する。外部からの様々な雑音

の影響によって,分析を妨害する可能性があるため,ホルタ心電計にアナログ心電図を供給することは,

時間がかかり,エラーが発生しやすくなる。 

デジタルの心電図データベースで心電図解析を試験することには,幾つかの利点がある。利点は,周囲

の外乱の影響を受けないことによる,短い試験時間(場合によっては数秒)及び再現性である。

201.12.4.4.101から201.12.4.4.112までは,ホルタ心電計のアナログ部分の特性を保証している。別々に行

った心電図解析試験とアナログ部分の試験とを合わせると,ホルタ心電計にアナログ心電図を入力した全

体的な試験に相当する。 

201.12.1.101.1.5† 評価報告書の要求事項 

検出器がイベント又はイベントなしのいずれかを提示した実験で四つの結果が考えられる。 

− 真陽性(TP) 正しく検出したイベント 

− 偽陰性(FN) 誤ってイベントとしなかった部分 

− 偽陽性(FP) イベントのない部分を誤検出したイベント 

− 真陰性(TN) 正しくイベントをなしとした部分 

多くの問題があり,イベントのない部分を数えることはできず,真陰性の数を定義することもできない。

このような問題では,一般的に検出器の性能を測定するには,感度(Se。全イベントから正しく検出した

割合)及び陽性一致率(+P。検出した全体に含まれる正しいイベントの割合)を使用する。 

FP

TP

TP

P

FN

TP

TP

Se

+

=

+

+

=

201.12.1.101.1.5.1† 必要な統計 

総じてデータベース全体に対して検出器の性能を記載するために総統計を定義することは,イベントの

合計数が少ない場合に特に有用である。総統計の二つのタイプを一般的に使用する。合計統計は,各イベ

ント又は検出に等しい重みを与え,平均統計は,各記録(被検者)に等しい重みを与える。イベント及び

検出の発生率が,全ての記録で同等であった場合は,これらの統計は,同等となる。 

38 

T 60601-2-47:2018  

(例えば,細動,ST変位のエピソードなど)持続性のイベントの検出統計を考慮する場合は,検出した

事象の全持続時間だけでなく検出するエピソードの数を知ることは重要である。イベントの統計は,長さ

に関係なく,各エピソードに等しい重みを与える。時間の統計は,その持続時間に比例して,各イベント

又は検出に重みを与える。このように,持続性のイベントのためのイベントの統計は,個別のイベントの

平均統計とほぼ類似しており,時間の統計は,合計統計と同様に類似している。 

MIT-BIH DBは1980年から,及びAHA DBは1982年から利用されてきたが,心電図解析の性能の最小

許容レベルを決定することは,困難な課題のままである。操作者は,これらのホルタ心電図システムの診

断出力が無批判に受け入れることができないことを明確に理解しておく必要がある。どんな場合でもレビ

ューが必要であるとすると,操作者がホルタ心電図システムの出力の正確さの評価にどの程度努力するか

によって“許容できる”性能の範囲が決まってくる(操作者に要求される労力は,言い換えれば,ホルタ

心電図システムが提供するレビュー及び編集機能の性能に依存する。)。 

性能は,多くの場合,多くの記録をまとめたホルタ心電図システムの性能の便利な要約を提供する総統

計,という点で特徴付けられる。データベース開発者による選択基準は,臨床現場での対象集団とは異な

るので,実際の性能を総統計から推定することは難しい。平均統計(各々の記録を等しく重み付けする。)

が合計統計より良い現実の性能を占うものであると予想されるかもしれない。各々の記録のイベント数が

少ない場合は,平均統計の各記録の統計は,しばしば信頼できない。その結果,平均統計は,単一の誤差

に非常に敏感で,イベントの大きな数値に基づいている総統計よりも通常は性能の強固でない推定となる。

このため,報告要件のほとんどは,合計統計として指定しており,このような平均VEB陽性一致率など

の統計のための報告要件は,意図的に省略した。 

各DBの記録ごとの解析結果を検討した内容は,臨床現場をある程度反映し現実の性能を予測するため

の幾分良好な根拠となる。より確かな内容が判明している限られた対象を試験した結果のほうが,ただ数

多くの対象を試験した結果よりも,試験していない対象の結果をより良く予測できることは明らかである。

しかし,これらの分布は,正規(ガウス)分布とはいえず,古典的なパラメトリックモデル(例えば,標

本分散などの対策)は,それらを特徴付ける又は比較するには,不適切である。ブートストラップ推定は,

この問題に適用された性能上の信頼限界を決定するためのノンパラメトリック手法である。異なる統計の

堅ろう(牢)性を比較する際にも有用である。 

幾つかの問題は,既存の試験方法では,適切に対処することができない。P波の自動検出は望ましいが,

体表面誘導による心電図解析の最先端技術を超えている。MIT-BIH DBは,心室への伝導のないP波のア

ノテーションのついた五つの記録がある。他のP波のアノテーションは,利用可能なデータベースのいず

れにも存在しない。同様に,T波のアノテーションは,ESC DB内のT波形態の極端な変化を示すアノテ

ーションだけである。MIT-BIH DBの9件及びEuropeanST-T DBの2件には,伝導障害があり,アノテー

ションが付けられているが,これだけで伝導障害の分析精度を測定することができるかは明らかではない。

接合部調律(MIT-BIH DBの3件にアノテーションあり。)及び上室頻拍(SVTA。MIT-BIH DBの7件及び

ESC DBの3件にアノテーションあり。)についても同様の懸念がある。ペースメーカ心拍を含む記録にお

ける不整脈検出機能の評価は問題であり,当然,ペースメーカ作動解析及びペースメーカ誤作動解析の評

価も問題である。現代のデータベースはこのような問題に対処するために,ペースメーカ誤作動例を含む

高い再現精度をもつペースメーカ心電図記録が必要である。 

201.12.1.101.1.5.2† 全ての不整脈解析に対する要求事項 

QRS感度及びQRS陽性一致率は,心拍ごとの比較を用い,201.12.1.101.2.3で定義している表形式を使

用して,QRS感度及びQRS陽性一致率を次から導く。計算に使用するパラメータを,表AA.4に示す。 

39 

T 60601-2-47:2018  

QTP= 

Nn+Ns+Nv+Nf+Nq+ 

QFN= 

No+Nx+ 

Sn+Ss+Sv+Sf+Sq+ 

So+Sx+ 

Vn+Vs+Vv+Vf+Vq+ 

Vo+Vx+ 

Fn+Fs+Fv+Ff+Fq+ 

Fo+Fx+ 

Qn+Qs+Qv+Qf+Qq 

Qo+Qx 

QFP= 

On+Os+Ov+Of+Oq+ 

Xn+Xs+Xv+Xf+Xq 

QFP

QTP

QTP

QRS

QFN

QTP

QTP

感度

QRS

+

=

+

=

陽性一致率

VEB感度,SVEB感度,陽性一致率及び偽陽性率は,心拍ごとの比較を用い,201.12.1.101.2.3で定義し

ている表形式を使用して,VEB感度及びVEB陽性一致率を次から導く。計算に使用するパラメータを,

表AA.4に示す。 

VTP= 

Vv 

VFN= 

Vn+Vs+Vf+Vg+Vo+Vx 

VFP= 

Nv+Sv+Ov+Xv 

VTN= 

Nn+Nf+Ng+Ns+ 

Sn+Sf+Sg+Ss+ 

Fn+Ff+Fg+Fs+ 

Qn+Qf+Qq+Qs+ 

On+Of+Oq+Os+ 

Xn+Xf+Xg+Xs 

VFP

VTN

VFP

VEB

VFP

VTP

VTP

VEB

VFN

VTP

VTP

感度

VEB

+

=

+

=

+

=

偽陽性率

陽性一致率

VTP及びVFPは,Fv又はQvが含まれていないことに注意する。このように検出器は,心室拍の融合心

拍及び分類できない心拍の判定には,何の影響も受けない。 

次の例(表AA.2参照)は,この細分箇条で必要とする情報を提示する一つの方法を仮のデータに基づ

いて示している。評価レポートの書式の詳細は,試験者の裁量による。 

SVEB感度及び陽性一致率は,同じように定義する。計算に使用するパラメータを,表AA.4に示す。 

SVTP= 

Ss 

SVFN= 

Sn+Sv+Sf+Sq+So+Sx 

SVFP= 

Ns+Vs+Fs+Os+Xs 

SVTN= 

Nn+Nv+Nf+Nq+ 

Vn+Vv+Vf+Vg+ 

Fn+Fv+Ff+Fg+ 

Qn+Qv+Qf+Qg+ 

On+Ov+Of+Og+ 

Xn+Xv+Xf+Xg 

background image

40 

T 60601-2-47:2018  

SVFP

SVTN

SVFP

SVEB

SVP

SVTP

SVTP

SVEB

SVFN

SVTP

SVTP

感度

SVEB

+

=

+

=

+

=

陽性一致率

QSは,SVTP及びSVFPから除外することに注意する。分類できない心拍の検出処理は,計測したSVEB

検出性能に影響しない。 

表AA.2−心拍ごとの性能レポートの行書式例 

記録 Nn' Vn' 

Fn' On' 

Nv 

Vv 

Fv' 

Ov'  No' 

Vo' 

Fo' 

QSe 

Q+P 

VSe 

V+P VFPR 

100 

1 900

0 100.000 100 000 100 000 50 000 0.053 

101 

1 521

0 100.000 100 000 

− 

− 

0.000 

103 

1 723

35 

99.77 

98.01 

− 

0.00 2.102 

105 

2 036

78 

27 

39 

99.68 

98.04 

93.10 

18.75 5.422 

106 

1 235

452 

99.59 

99.70 

98.26 

98.97 

− 

計 

73 235250 

450 4 104 200 5 605 37 

95 4 018 45 

136 

全体成績 

95.00 

95.00 

95.00 

95.00 0.378 

平均 

95.00 

95.00 

95.00 

95.00 0.500 

MIT-BIHデータベースの心拍要約統計 

− QRS群の合計=83 976 
− VEBsの合計=5 900 
− 44記録の結果概要 

パラメータ定義については,表AA.3を参照。 

表AA.3−11要素を含む要約した心拍ごとのマトリックス 

心電図解析 

N+f+q 

O+x 

基準 

Nn' 

Nv 

No' 

Vn' 

Vv 

Vo' 

F+Q 

Fn' 

Fv' 

Fo' 

O+X 

On' 

Ov' 

− 

注記 線形性能(表AA.2)は,このマトリックスに基づいている。 

表AA.4−心拍ごとの比較の要約表(マトリックス形式) 

心電図解析 

基準 

Nn 

Nv 

Nf 

Nq 

No 

Nx 

Vn 

Vv 

Vf 

Vq 

Vo 

Vx 

Fn 

Fv 

Ff 

Fq 

Fo 

Fx 

(基準) 

Qn 

Qv 

Qf 

Qq 

Qo 

Qx 

Sn 

Sv 

Sf 

Sq 

So 

Sx 

On 

Ov 

Of 

Oq 

Oo 

Ox 

Xn 

Xv 

Xf 

Xq 

Xo 

Xx 

解析除外区間統計では,解析除外区間は,心電図解析が検出機能及び分類機能を実行していない期間と

定義する。解析除外区間統計は,201.12.1.101.2.3の心拍ごとの比較マトリックスの定義によって次のよう

background image

41 

T 60601-2-47:2018  

に求める。 

QFN

QTP

Sx

Qx

Fx

Vx

Nx

%

+

+

+

+

+

=

拍未検出

解析除外区間中の全心

Sq

Sf

Sv

Sn

Sx

So

Nx

No

Nq

Nf

Nv

Nn

Sx

Nx

%

S

N

+

+

+

+

+

+

+

+

+

+

+

+

=

心拍未検出

及び

解析除外区間中の

Vx

Vo

Vq

Vf

Vv

Vn

Vx

%

V

+

+

+

+

+

=

心拍未検出

解析除外区間中の

Fx

Fo

Fq

Ff

Fv

Fn

Fx

%

F

+

+

+

+

+

=

心拍未検出

解析除外区間中の

解析除外区間時間の合計は,心電図解析が検出又は分類を実行していない期間とする。それぞれの記録

について,分及び秒は,MM:SSの形式で表す。 

解析除外区間の行書式レポートとは次の例のように,この細分箇条で必要な情報を提示する一つの方法

を,仮のデータに基づいて示している。このレポートの書式は,試験者の裁量による。行書式レポートの

例を,表AA.5に示す。 

表AA.5−解析除外区間レポートの行書式例 

記録 

Nx+Sx 

Vx 

Fx 

Qx 

%全心拍 

未検出 

% N及び 

Sの未検出 

% Vの 

未検出 

% Fの 

未検出 

解析除外区間

の合計 

AH8006 

0.26 

0.32 

0.00 

− 

16 s 

AH8007 

0.00 

0.00 

0.00 

0.00 

6 s 

AH8008 

0.00 

0.00 

0.00 

− 

4 s 

AH8009 

0.00 

0.00 

0.00 

− 

0 s 

AH8010 

0.00 

0.00 

− 

− 

1 s 

合計 

129 

− 

− 

− 

− 

136 s 

全体統計 

平均 

78記録の結果概要 

201.12.1.101.1.5.3† オプション機能を備えた心電図解析の要求事項 

心拍数誤差の二乗平均平方根は,201.12.1.101.2.3.3.1の方法による。心拍数及びHRV計測は,RR間隔

計測によるが,これらの計測を含む心電図解析は,RR間隔計測エラーの影響を受けやすいものと受けに

くいものとがある。心拍数及びHRV計測に対する試験の目的は,RR間隔による計測が確実である場合,

少なくとも被試験器による特定のエラーがあっても,結果を確立することである。 

模擬したアナログ心電図データに基づくHRV計測試験の目的は,これらの計測のために雑音レベルを

確立することである。すなわち,計測エラーは,アナログの影響とサンプリングノイズとの合計による。

201.12.1.101.2.3.3.2で特定する模擬(デジタル化)RR間隔に基づくHRV計測の試験目的は,これらの計

測結果が,測定定義に基づく既知のシミュレーションによる予測結果と統計的特性について許容できる範

囲とを示すことである。したがって,この試験は,計測の実装が正確であるかどうかを間接的に立証する。 

VF及びAFの検出は,201.12.1.101.2.5の方法による真陽性,偽陰性及び偽陽性の数からVF及びAFの

感度及び陽性一致率を通常の方法で導く。 

VF区間の感度及び陽性一致率の計算は,次による。 

background image

42 

T 60601-2-47:2018  

VF

感度

VF

基準区間−注釈付

一致区間

区間の

=

VF

VF

釈付

アルゴリズム区間−注

一致区間

区間の陽性一致率=

AF区間の感度及び陽性一致率は,同じ方法で計算する。 

行書式レポートは,次の例のように,この細分箇条で必要な情報を提示する一つの方法を,仮のデータ

に基づいて示している。このレポートの書式の詳細は,試験者の裁量による。例を,表AA.6に示す。 

表AA.6−行書式レポートの例 

記録 

TPs 

FN 

TPp 

FP 

ESe 

E+P 

DSe 

D+P 

基準の時間 

試験結果の 

時間 

231 

− 

− 

− 

− 

0:00.000 

0:00.000 

232 

− 

− 

− 

− 

0:00.000 

0:00.000 

233 

− 

− 

− 

− 

0:00.000 

0:00.000 

234 

− 

− 

− 

− 

0:00.000 

0:00.000 

合計 

1:37.900 

1:01.000 

全体統計 

100 

67 

47 

75 

平均 

100 

50 

47 

45 

44記録の結果概要 

心室細動又は心室粗動を検出する心電図解析では,データベースのどのような記録でも発生した全ての

偽陽性検出を報告する必要がある。 

VF陽性パフォーマンスレポート及び偽陽性VF検出レポートとは,次の例で示すように,この細分箇条

で必要な情報を提示する一つの方法を,仮のデータに基づいて示している。このレポートの書式の詳細は,

試験者の裁量による。例を,表AA.7及び表AA.8に示す。 

表AA.7−VF陽性パフォーマンスレポートの例 

記録 

基準の心室細動セグメント 

心電図解析の拍ラベル 

発生したアラーム 

ID 

開始 

終了 

時間 

種類 

207 

00:40.73 

00:50.97 

15 

00:48.39 

ラン 

207 

00:54.76 

01:00.36 

16 

00:55.10 

心室細動 

207 

04:02.14 

04:06.43 

04:02.42 

ラン 

207 

04:07.89 

04:21.45 

04:12.11 

ラン 

207 

04:29.46 

04:40.90 

04:29.82 

心室細動 

04:35.87 

ラン 

04:38.70 

ラン 

表AA.8−VF偽陽性パフォーマンスレポートの例 

記録 

偽陽性の心室細動セグメント 

基準のラベル 

ID 

開始 

終了 

8002 

32:18.25 

32:31.25 

35 

8002 

32.36.25 

32.40.62 

13 

二連発及びランの感度及び陽性一致率では,ランごとの比較の結果(201.12.1.101.2.4)は,VE二連発及

びランの感度及び陽性一致率を求めるのに用いることができる。 

background image

43 

T 60601-2-47:2018  

CTPs= 

S22+S23+S24+S25+S26 

CFN= 

S20+S21 

CTPp= 

P22+P32+P42+P52+P62 

CFP= 

P02+P12 

CFP

CTPp

CTPp

VE

CFN

CTPs

CTPs

感度

VE

+

=

+

=

二連発の陽性一致率

二連発の

STPs= 

S33+S34+S35+S36+ 

SFN= 

S30+S31+S32+ 

S43+S44+S45+S46+ 

S40+S41+S42+ 

S53+S54+S55+S56 

S50+S51+S52 

STPp= 

P33+P43+P53+P63+ 

SFP= 

P03+P13+P23+ 

P34+P44+P54+P64+ 

P04+P14+P24+ 

P35+P45+P55+P65 

P05+P15+P25 

SFP

STPp

STPp

VE

SFN

STPs

STPs

感度

VE

+

=

+

=

致率

ショートランの陽性一

ショートランの

LTPs= 

S66 

LFN= 

S60+S61+S62+S63+S64+S65 

LTPp= 

P66 

LFP= 

P06+P16+P26+P36+P46+P56 

LFP

LTPp

LTPp

VE

LFN

LTPs

LTPs

感度

VE

+

=

+

=

ロングランの陽性一致

ロングランの

行書式の二連発及びランのパフォーマンスレポートとは,次の例で示すように,この細分箇条で必要な

情報を提示する一つの方法を,仮のデータに基づいて示している。このレポートの書式の詳細は,試験者

の裁量による。例を,表AA.9に示す。 

表AA.9−行書式の二連発及びランのパフォーマンスレポートの例 

記録 

CTs CFN CTp CFP STs SFN STp SFP LTs LFN LTp LFP CSe C+P SSe S+P LSe L+P 

AH8004 

1 32 

2 32 

0 21 

− 

AH8006 

5 50 

10 

67 25 

50 29 

AH8007 

41 

8 60 

2 66 16 91 

5 33 17 35 

3 84 

97 

80 95 

66 92 

AH8008 

33 

− 50 

− 

AH8009 

0 50 

100 

100 100 

88 100 

AH8010 

− 

− 

− 

− 

− 

− 

合計 

956 54 968 126 400 41 457 101 53 24 61 81  

全体統計  

96 

82 

71 22 

79 72 

平均 

75 

67 

91 53 

76 68 

全二連発=999 
全ショートラン=464 
全ロングラン=79 
78記録からの結果概要 

SVEB二連発及びランの統計も,同様に定義できる。 

201.12.1.101.2† 自動解析 

ほとんどのホルタ心電図システムは,記録したデータ解析に,操作者の操作が可能である。試験目的に

おけるそのような操作は,許されない。 

background image

44 

T 60601-2-47:2018  

201.12.1.101.2.2† アノテーションファイルの使用 

N,S,V又はF及び分類不能な心拍には,Qのラベルが付いている。これは,QRS感度及び陽性一致

率,VEB及びSVEBの感度,陽性一致率及び偽陽性率の計算には,十分である。 

201.12.1.101.2.3.3.1† 心拍数計測 

心拍数について多くの定義が存在するが,一般に受け入れられたものはない。定義の違いは,例えば,

使用するRR間隔の数とそのRR間隔とをどのように心拍数計算に用いるかである。RR間隔の重ね合わせ

処理によく用いる一つの方法は,移動平均である。他の方法も考えられるし,利点をもつ可能性もある。 

201.12.1.101.2.3.3.2† 心拍変動又はRR間隔変動計測の試験パターン 

201.12.1.101.2.3.3.2の試験方法に従って,結果をHRV(RRV)測定ごとに報告する必要がある。試験パ

ターンの例を表AA.10に,結果の例を表AA.11に,組合せの例を表AA.12に示す。 

表AA.10−ホルタ心電図システム測定の総合的な試験パターンの例 

HRV指標 

雑音レベル 

35 ms 

70 ms 

280 ms 

140 ms 

SDNN 

4.8 ms 

25 

49 

197 

99 

SDANN 

0.5 ms 

98 

ASDNN 

4.1 ms 

25 

49 

197 

14 

RMSSD 

6.1 ms 

29 

31 

123 

pNN50 

0 % 

79.9 

TINN 

24 ms 

55 ms 

89 ms 

300 ms 

155 ms 

VLF 

0.04 ms2 

39 106.82 

4.64 

LF 

0.13 ms2 

2 438.36 

7.86 

HF 

0.30 ms2 

579.45 

0.17 

0.29 

注記 表201.106の定義を参照 

表AA.11−総合的な試験パターンで予測される理想的な結果の例 

HRV指標 

雑音レベル 

35 ms 

70 ms 

280 ms 

140 ms 

SDNN 

0 ms 

24.75 

49.50 

197.99 

98.99 

SDANN 

0 ms 

0.00 

0.00 

0.00 

97.87 

ASDNN 

0 ms 

24.75 

49.50 

197.99 

14.00 

RMSSD 

0 ms 

29.77 

31.25 

125.87 

0.28 

pNN50 

0 % 

0.0 

0.0 

87.0 

0.0 

VLF 

0 ms2 

0.0 

0.0 

39 200.0 

0.0 

LF 

0 ms2 

0.0 

2 450.0 

0.0 

0.0 

HF 

0 ms2 

612.5 

0.0 

0.0 

0.0 

注記 表201.106の定義を参照 

表AA.12−試験パターン組合せ(選択)例 

試験パターン 

変化の大きさ(ms) 

35 

70 

280 

140 

変化の周期 

N/A 

4秒 

10秒 

30秒 

1時間 

変化の周波数(Hz) 

N/A 

0.25 

0.1 

0.033 333 

0.000 278 

対応する周波数帯 

N/A 

HF 

LF 

VLF 

VLF 

RR間隔の平均(s) 

0.800 

1.00 

3.000 

1.500 

1分間の心拍数 

60 

75 

60 

20 

40 

45 

T 60601-2-47:2018  

試験パターンの大きさは,実際の値の有用な範囲に相当するように選択した。0 msの大きさは,雑音レ

ベルを示すために選択した。臨床的ないき(閾)値として一般的に選ぶSDNN値が50 msと予測されるの

で,70 msを選択した。陽性,陰性の正しい試験結果は,いき(閾)値の近くで特に正確さに依存する。

35 msの大きさは,70 ms以下の範囲の小さい値として選択した。 

140 ms及び280 msの大きさは,HRVの大きな値を表す。しかし,HRV指標の合理的な予測を行うため

に,間隔の変動が間隔自体に比べて小さいことが必要である。平均値からの大きな偏差があることが原因

で,短いRR間隔の半サイクルでは長いRR間隔の半サイクルに比べて心拍が多くなり変動の各正弦波の

周期のサンプリングがより非対称となる。平均間隔が,ばらつきよりも少なくとも10倍長くなるように選

択した。これは280 msの変動の大きさのために,平均間隔はほぼ3秒(20/分)でなければならないこと

を意味する。より非現実的な低い平均心拍数を回避するために,変動の大きい大きさは試験しない。平均

間隔は,毎分繰り返す試験パターンを生成するために僅かに切り上げた。 

最も大きい変化は,試験パターン5の代わりに試験パターン4に適用した。なぜならば,試験パターン

5のような低周波(1時間周期)を試験するために必要なデータは,多くの心電図解析には適用できない

場合があるためである。全ての心電図解析が,パターン4の最大試験強度によって評価されることが望ま

しい。 

試験パターン1は,ホルタ心電図システムの完全な信号経路を介して適用することを目的とする。言い

換えると,試験パターン1は,アナログECG波形[201.12.1.101.2.3.3.2のa)〜d)を参照]として供給され,

記録され,デジタル化されて,QRS検出器で処理する。雑音レベル測定は,サンプリング効果,PLL,計

算精度及びその他の処理による影響を明らかにする。 

試験パターン2〜5は,QRS検出及び分類後にデジタル領域で適用する[201.12.1.101.2.3.3.2のe)〜j)参

照]。これは,ほかで効果が特定されていない演算の妥当性を試験し,複雑なアナログ波形シミュレータの

構築を回避する。 

試験パターン2及び3の心拍変動の周波数は,多くの人に見られるHRVである4秒及び10秒の周期に

一致するようにESC/NASPE特別報告書4)の1 047ページにあるHF及びLFの周波数帯域となるように選

択した。試験パターン4の周波数は,VLF帯を用いるが,ほとんどの短期的なHRV解析に有用である十

分に短い期間のものでなければならない。試験パターン5は,5分(例えば,SDANN)よりもはるかに長

い期間にわたっての変化を感知するHRV指標を用いるように設計した。 

注4) Heart Rate Variability, Standards of Measurement, Physiological Interpretation, and Clinical Use, by the 

European Society of Cardiology and the North American Society of Pacing and Electrophysiology, 

Circulation, 1996; 93:1043-1065. 

合成試験パターンQRSシーケンスのための幾つかの予測HRV指標では,次の説明の全体を通して“間

隔”とは,試験のために選択されただけの間隔を意味する。合成試験パターンでは,全ての区間は心電図

解析が使用し,全ての心拍が“ノーマル”のラベルをもっており,間隔の関係に基づいて,全ての除外ル

ールは無効とする。RRDEVは,間隔変動のゼロからピークの大きさを参照し,試験パターンにおいて0 ms,

35 ms,70 ms,140 ms及び280 msの値をとる。 

幾つかのHRV指標は,他の指標との強い関係をもっている。二つの簡単な近似値は,ここで注目に値

する。分散は,標準偏差の二乗であり,パーセバルの定理は,分散の累乗に関係する。この二つの関係は

目安だが,現実のチェックとしてうまく機能する。HRVプログラムのユーザは,この点に注意する必要が

ある。 

以上のことから,分散分析(ANOVA)との類似性は,次のようにいえる。 

46 

T 60601-2-47:2018  

SDNN2≒SDANN2+ASDNN2 

ここに, 

SDNN2: 全ての間隔の分散 

SDANN2: 群間分散 

ASDNN2: 近似郡内分散 

ANOVAは分散の平均であり,一方ASDNNの定義は,標準偏差の平均値であるため,上記の関係はた

だの目安である。 

それは,パーセバルの定理によって,我々は,周波数領域において計算されたパワーに時間領域で計算

されたパワーを関連付けることができる。パワーが0 Hzまでの全ての周波数にわたって周波数領域で計算

が可能である場合,そのパワーは,SDNN2と比較することができる。0.003 33 Hz(5分区切りのため)以

上の周波数だけで計算が可能な場合,ASDNN2は,VLF,LF及びHFパワーの和と比較することができる。

ASDNNは,時間領域では5分間のデータで計算できる。 

ASDNN2≒VLF+LF+HF 

ASDNNの定義にはトレンド除去を含まず,HFの定義が存在する可能性が最も高い周波数(<0.40 Hz)

未満に制限されているため,上記の関係は,目安である。 

SDNNは,全ての間隔(サブグループなし)の標準偏差である。標準偏差の計算は,平均値を除去した

二乗平均平方根(RMS)と同じである。正弦波のためのRMS値は,2の平方根で除した正弦波のゼロか

らピークの値である。 

2

RRDEV

SDNN=

SDANN:5分間の平均間隔の標準偏差(5分間のサブグループ間変動)。試験パターン(パターン1,2,

3及び4)を毎分繰り返すとき,各5分間の平均間隔は同じである必要がある。一定の数の一連の標準偏差

は,ゼロである。試験パターン5は,SDANNがゼロ以外となる唯一のパターンである。試験パターン5

は,60分の周期で正弦波の間隔の変動を生成する。12の異なる5分平均がある。その予測は,5分間の平

均く(矩)形インパルス応答にローパスフィルタを適用する以外はSDNN予測に類似している。このよう

なフィルタの振幅応答は,sin(x)/xとなる。変動の周期はインパルス応答よりも12倍長いので,振幅応答

は,0.988 6=sin(π/12)/(π/12)である。 

の場合

試験パターン4,3,2,1

0

SDANN=

の場合

試験パターン5

2

PRDEV

6

988

.0

SDANN =

ASDNN:間隔の5分間標準偏差の平均(5分サブグループ内の変動):各5分が他の全ての5分と同じ

である場合,この結果は,試験パターンのRMSと同様にSDNNと等しい。試験パターン5の場合は,ASDNN

は容易に予測できない。試験パターンは,1時間ごとに繰り返されるので,12個の5分のグループが存在

する。12の正弦波サイクルの各標準偏差を予測することは容易ではない。しかし,RRDEV/10.1は,12の

正弦波周期セクションの標準偏差の平均値であることは,数値的に決定している。 

の場合

試験パターン4,3,2,1

2

PRDEV

ASDNN=

の場合

試験パターン5

1.

10

PRDEV

ASDNN=

RMSSD:間隔の連続した差異の二乗平均平方根:正弦波の最大変化は,基線又は平均値を通過する点で

ある。なぜならば試験パターンの定義によって,最大変化は,正弦波,sin(p)の下降行程となる。変動関数

background image

47 

T 60601-2-47:2018  

が平均間隔を通過する直前及び直後のRR間隔を検出する必要がある。試験パターン4を考えてみる。平

均間隔が3 000 msである場合,最初の近似は,RR間隔がsin(P)の前1 500 ms及び後1 500 msで計算され

る。変動関数から計算されるRR間隔で1 500 msの前は3 086.525 msであり,最初の予測より少し長い。4

回の繰返しの後,予測は非常に近くなる。 

262

.

543

1

2

525

.

086

3

525

.

86

000

3

000

30

n

2

500

1

sin

280

000

3

1

rr

=

=

+

=

+

=

934

.

88

000

3

000

30

n

2

262

.

543

1

sin

280

000

3

1

rr

+

=

+

=

001

.

89

000

3

000

30

n

2

467

.

544

1

sin

280

000

3

1

rr

+

=

+

=

003

.

89

000

3

000

30

n

2

501

.

544

1

sin

280

000

3

1

rr

+

=

+

=

rr2=3 000−89.003 

連続する最大の差 2×89.003=178.0 ms 

正弦波の微分も,正弦曲線である。連続した差のシーケンスは,微分に類似しており,変動関数の区間

ごとに十分な数の間隔がある場合,ほぼ正弦曲線となる。この仮定は,試験パターン2では,変動周期当

たり僅か5心拍の平均となり最も弱い。正弦波の連続する差の性質を知り,最大の連続した差を知るなら

ば,全ての連続した差の二乗平均平方根を推定できる。最大の連続した差を2の平方根で除した値となる。

例を,表AA.13に示す。 

2

̲

max

RMSSD

(最大の連続した差)

diff

̲scsv

=

表AA.13−間隔の差の二乗平均平方根の例 

試験パターン 

変化の大きさ(ms) 

35 

70 

280 

140 

最大の連続した差(ms) 

42.1 

44.2 

178.0 

0.4 

RMSSD(ms) 

0.00 

29.77 

31.25 

125.87 

0.28 

pNN50[連続する間隔の差が50 ms(増加,減少にかかわらず。)を超える割合]は,パターン4を除く

全ての試験パターンで予測することは容易である。最大の連続する差が50 ms未満であるとき,pNN50は,

ゼロである。連続する差の配列が178 msの最大値をもつとき,50 msを超えるのがシーケンスのどの部分

であるのかを知る必要がある。0 msから178 msまでの正弦波の1/4サイクルを考える。 

ラジアン

7

284

.0

178

50

sin

Arc

=

1/4サイクルの中にπ/2ラジアンがある。各1/4サイクル中で,50 msを下回る時間は0.2847/ (π/2)であり,

81.87 %の時間が50 ms以上である。全ての1/4サイクルは,対称的である。 

− pNN50=0.0 試験パターン1,2,3及び5の場合 

background image

48 

T 60601-2-47:2018  

− pNN50=81.87 試験パターン4の場合 

− VLF:0.003 Hz〜0.04 Hz間の周波数成分のパワー積算 

− LF:0.04 Hz〜0.15 Hz間の周波数成分のパワー積算 

− HF:0.15 Hz〜0.40 Hz間の周波数成分のパワー積算 

パーセバルの定理によってパワースペクトル密度曲線下の総パワーは,時間領域信号の分散に等しくな

るので,全ての試験パターンで予想されるパワーを計算することは非常に容易である。変動の幾つかのサ

イクルを見る際に,信号を十分に観察することができない場合,複雑化させる要因は,スペクトル推定技

術である。心拍変動の一周期の完了に1時間を必要とする試験パターン5にある心電図解析を使用する場

合,簡単に試験することができる。1時間より短いデータセグメントからパワーを推定する心電図解析を

使用する場合のトレンド除去方法に応じて,試験パターン5では様々な結果を出力する可能性が高い。実

際,試験パターン5に対する低域応答は,良好なトレンド除去方法の証拠とみなされる可能性がある。例

を,表AA.14に示す。 

2

RRDEV

HF

,

LF

,

VLF

2

=

パワー

表AA.14−周波数成分概要の例 

パターン1 

パターン2 

パターン3 

パターン4 

パターン5 

0 ms 

35 ms 

70 ms 

280 ms 

140 ms 

HRV指標 

0 Hz 

0.25 Hz 

0.10 Hz 

0.033 333 Hz 0.000 278 Hz 

VLFパワー(ms2) 

0.0 

0.0 

39200.0 

0.0 

LFパワー(ms2) 

0.0 

2450.0 

0.0 

0.0 

HFパワー(ms2) 

612.5 

0.0 

0.0 

0.0 

201.12.1.101.3† 医師用報告書−最小限の要求事項 

頻脈,徐脈,期外収縮及びST部分の変化のフラグは重要であり,医師はこれらに注意し,患者をみ(看)

ることが考えられる。 

長距離運動(長距離走,水泳,自転車など)選手は,多くの場合,安静時の心拍数が50/分以下である

ので,このような場合に誤って診断しないように,操作者がパラメータを選択できることが重要である。

操作者がパラメータを選択する機能は,ST部分の分析のためにも有用である。 

201.12.1.101.3.6† ST部分の変化 

拍ごとにST部分を測定したデータは,現時点では十分に利用できないと認識されているため,試験す

る目的のための適切な参照のための注釈を生成する方法を決定することが試験者に残されており,その後,

選択した方法を開示する。測定の心電図解析は,必ずしも拍ごとに報告しない場合がある。比較を容易に

するために,参照のための注釈及び試験データの生成は,ほぼ同時であることが望ましい。 

相関係数又はRMS誤差のような要約統計は,ST部分偏差の測定の精度を記載するには不適切である。

それらは,外れ値に非常に敏感であり,かつ,(低いノイズ耐性又は信頼性のない測定技術から生じる)非

系統誤差と(バイアス又は非線形性から生じる)系統誤差とを区別しない。より良い統計は,外れ値の存

在下で,その堅ろう(牢)性のため,対象範囲において,全信号範囲で信頼限界の推定値である。信頼限

界は,標準偏差に基づいているので,試験者は,両方の形式で,散布プロット上の標準偏差を提供する必

要がある。ブランド・アルトマンのような他の多くの統計的方法は,提供されたデータから生成すること

ができる。 

49 

T 60601-2-47:2018  

(心電図解析に適用する全信号範囲と同様に)参照ST部分振幅及び傾斜の範囲の平均誤差及び標準偏

差を測定する目的は,重要な臨床判断が行われる,ST部分の偏差及び傾斜解析の精度を決定することであ

り,同様に解析の全体的な精度を決定することができる。 

ST部分の測定及びST部分のエラーの散布図を生成する目的は,どのような体系的な測定の偏り,非線

形性,又はST部分偏差測定によって示す信頼性の低い性能の領域でも迅速で視覚的に評価する方法で,

全ての個々の測定の結果を要約することである。さらに,不一致の任意の定義については,パーセンテー

ジ不一致の迅速で視覚的な推定が実施できる。 

STのエピソード及び持続時間の検知は,201.12.1.101.2.5の方法によって導いた真陽性,偽陰性及び偽陽

性の計算から,STのエピソード感度及び陽性一致率は,通常の方法で導く。 

201.12.4.4.101† 直線性及びダイナミックレンジ 

心電図の解釈には,通常,形態学的な詳細に従ったQRSの解析はしておらず,そのため,±3 mVの入

力ダイナミックレンジ及び125 mV/sの立上がり性能は,全く十分である。320 mV/s未満のスルーレート

は,解析心電計及び心電図モニタ用に指定したものであり,このホルタ心電計の要求事項は1985年のAHA

報告書[シェフィールド(Sheffield)ほか]で推奨した75 mV/sを満たしている。 

ホルタ心電計は,大きなオフセット電圧の存在する状況で,適切に動作することは不可欠である。この

要求事項は,本来,大きな分極電圧に対応する必要から生じたものである。±300 mVのオフセットの特性

は,発生した分極電圧に対して十分である。 

201.12.4.4.102† 入力インピーダンス 

入力インピーダンスは,主に心電図信号の周波数範囲にわたって有効な皮膚−電極間のインピーダンス

レベルによって決まる。従来の心電図電極を使用する場合,測定システムは,実質的に全ての患者が重大

なエラーなしで測定できる十分に高い入力インピーダンスをもつことが望ましい。 

技術的には,容易にこれらの要件を満たすことができる。あらかじめゲル化した電極の継続的な開発が,

更に低い平均インピーダンスレベルをもたらしたものの,前述の研究は古いスタイルの電極が存続するよ

うな,最悪の場合の制限に対していまだに適切である。現代の低インピーダンスの電極を使用することで,

過剰な電極−皮膚インピーダンスが引き起こす測定誤差は減少する。 

周波数が上がるとともに,及び電極貼付後の時間とともに,皮膚への電極のインピーダンスは減少する。

試験方法は,0.62 MΩの抵抗と並列に接続した4.7 nFのコンデンサによるインピーダンスの周波数に依存

した減衰を模擬する。10 Hzにおける,この組合せのインピーダンスは,約610 kΩである。したがって,

その10 Hzのシングルエンドの入力インピーダンスが9.55 MΩか又はそれ以上のホルタ心電計が,この試

験に合格する。 

201.12.4.4.103† 同相信号の抑制 

この規格で選択した同相信号の抑制(CMR)を指定し,計測する特別な手段が,ホルタ心電計及び患者

との静電容量の関係で,大地との静電容量の通常の構成よりも悪くしている。電源周波数における60 dB

のCMRの要求は,かなり保守的である。実際に使用する上で,主要な静電容量というのは,ホルタ心電

計及び患者との間にあり,かなり高いCMRを期待している。SCR制御器及びコンデンサ入力フィルタを

もつ電子機器用電源のような不連続な負荷が原因で生じる電源波形のひずみのせいで,電源周波数の高調

波を含んでいる。 

ホルタ心電計は,ホルタ心電計と大地との容量を定義し,安定させるために大地と接続したはく(箔)

で密封している。入力試験構成部品及び誘導コードは,この構成部品と大地との浮遊容量の影響を取り除

くドライブしたシールドで保護している。さらに,試験装置全体は,浮遊容量Cxを安定させるための基

50 

T 60601-2-47:2018  

準の大地のシールドで覆っている。 

残っている変数で唯一試験に影響するものは,個別のホルタ心電計の物理的なデザインであり,それは

ホルタ心電計の大きさ,内部の回路基板と包んでいる金属はく(箔)の隙間[つまり,絶縁した外きょう

(筐)の厚さ]である。包んだ金属はく(箔)及びホルタ心電計に生じた容量が高ければ高いほど,この

個別の試験方法で規定する要求事項を満たすことの難しさも大きい。その一方で,入力試験構成部品及び

誘導コードを防御することが,この性能仕様を満足する困難さを少なくする。 

ホルタ心電計の回路の同相信号の抑制を検査するには,どのような電源(商用)周波数のノッチフィル

タも無効にする必要がある。そうでなければ,この試験のほとんどの検査はノッチフィルタの(差動モー

ド)除去を検査している。電源(商用)以外の周波数でも,良い同相信号の抑制を達成することが望まし

い。 

201.12.4.4.104† 感度の精度 

10 mm/ mVの基準の感度設定は,十分に確立した慣習[AHAの勧告,シェフィールド(Sheffield),1985]

を反映している。その他の設定は,安全性及び有効性を保証するためには必要としない。しかし,利用可

能な全ての感度設定におけるシステムの出力は,理想的なシステムにかなり近いことを保証する。 

201.12.4.4.105† 感度の安定性 

一貫した解釈を保証するために,感度の安定は,一般的な検査時間が24時間以上の長時間生体情報モニ

タ装置において特に重要である。生理的又は病態生理学的な変化からは生じない心電図信号の変化を最小

にする必要がある。ここで指定した範囲は,実際に確立した達成可能なレベルに関する合意を示している。 

201.12.4.4.106† 内部雑音 

心電図記録の雑音は,きれいで診断可能な信号への最も持続的な弊害の一つである。しかし,この問題

は,一般的に外部干渉(EMI),患者の動き(筋電図信号)又は電極の装着若しくはケーブルの引き回しに

おける貧弱な技術に端を発している。ほとんどの製造業者は,ECGを測定する際に正しい技術のためのガ

イドラインを提供している。シールドしたケーブルと同様に,高入力インピーダンス及び同相信号の除去

は,雑音の問題の幾つかを低減させることが必要である。電極において感知した信号から同相信号の雑音

を除去するのに役立つ右足の帰還は,更に雑音を低減させることが必要である。 

201.12.4.4.107† チャネル間干渉 

干渉の最大レベルは,正確な診断の要求事項と雑音抑制のコストの増分とによって決定することができ

る。この仕様は,IECの心電計規格案に基づいている。指定したレベルは,診断目的に十分で,実際に経

済的に実現可能である。 

201.12.4.4.108† 周波数特性 

周波数応答の完全な仕様では,低周波数応答について最も重要である位相ひずみについて対処すること

が望ましい。インパルス応答の要求事項は,比較的簡単に適用できる手順でこの機能の試験が必要である。

25 Hz以上の周波数の位相のずれの測定は,よくて25 mm/秒の時間基準では困難であるため,より高い

周波数での試験は提案していない。40 Hzにおける精密な計測には,400 mm/秒の時間基準が必要である。 

歴史的には,0.05 Hzの1次ハイパスフィルタの位相応答は許容できると考えられている。インパルスに

よって許容される基線の偏位は,0.05 Hzのフィルタから予想されるような低下として現れる。0.30 mV/

秒の傾斜の要求は,標準感度及び速度で,100 msのST部分で0.3 mmの変化に相当し,特に(0.3 mV×秒

に比較して)0.1 mV×秒に近いインパルスの値の一般的なQRSでは臨床的に問題ではない。 

40 Hzという高周波応答は,二つの考察に基づいている。1番目に,ホルタ心電図の主な目的(リズムの

識別及び虚血性エピソードを識別するために必要なST部分の変位を明らかにする。)は,更なる高周波応

51 

T 60601-2-47:2018  

答なしで十分に達成できる。2番目に,電源周波数及び筋電図による高周波雑音の問題は,40 Hzの帯域幅

で低減できる。 

この規格は,正弦波による周波数応答又はR波を模擬するECGのような三角波を用いてホルタ心電計

の能力を評価するための試験方法を提案している。三角波入力信号のピーク値の40 %の減衰を許容すると

いうことは,一つの24時間のチャンネルを少なくとも1 440万サンプル保存するデジタルサンプリングシ

ステムに起因すると予想した減衰と一致する。インパルス応答試験は,R波を模擬するとともに,ホルタ

心電図システムがインパルスの後に実際の心電図信号のST部分で人工的な変位となり,虚血が存在する

という虚偽の解釈につながるおそれのある基線の変化が生じているかどうかを簡単に観察するのに使われ

ている。 

0.67 Hzの低周波応答は,Simonsonの研究5)に基づいている。これらの研究は,44/分で126 ms未満の

個々のRR間隔変動の成人の心拍数の99 %以上を含むことを示す。このように,40/分(0.67 Hz)の下限

が,当時の成人90 %の99 %に存在する。Baileyらは,1990年のAHAの勧告の0.67 Hzの低周波の限度に

そろえるために,このデータを使用した。 

注5) SIMONSON, E. Differentiation between normal and abnormal in electrocardiography. St. Louis:C.V. 

Mosby Co.,1961, p.158. 

SIMONSON, E. et al. Variability of the electrocardiogram in normal young men. Am Heart, 1949, vol. 

38, p.407. 

アナログテープ式ホルタ心電計の約0.2 Hz〜0.3 Hzの周波数応答に増幅がある。この増幅で周波数応答

の精度の上限として+3 dBの選択が可能である。 

201.12.4.4.109† ペースメーカパルスに対する機能 

診断目的でホルタ心電計を付けている患者の体表面で大きなペースメーカパルスを観察することはよ

くある。この理由から,そのような患者に使用するのに適しているとしているホルタ心電計で記録した心

電図は,ペースメーカパルスで過度にひずんではならない。 

製造業者が,そのホルタ心電計がペースメーカパルスを記録するのに適しているとしているのであれば,

体表面心電図上で可能性のあるペースメーカパルスの範囲をカバーするために,四つの異なったパルスの

試験が必要である。 

201.12.4.4.110† 時間の精度 

外部イベント(例えば,薬剤の投与,症状の存在,身体的活動など)及び患者のイベントの心電図の発

生時刻との相関は臨床的に解釈する上で必須である。記録した心電図は過去に遡って見るので,記録する

ホルタ心電計及びホルタ心電図システムは,画面及び印刷物の両方に,心電図とともに実際の発生時刻を

正確に示す仕組みの提供が必要である。 

24時間で±30秒の累積精度の要求は,実際の発生時刻と記録した発生時刻との差が診療するうえで心電

図イベントと外部イベントとの関連で解釈するのに十分許容できる。 

201.12.4.4.111† 感度設定及び切替え 

患者の心電図の振幅の変化(生理的要因又は選択した誘導に起因する。)によって異なる倍率を選択する

ことが必要である。10 mm/mVの標準感度を伝統的に使用してきた。5 mm/mV及び20 mm/mVの追加の感

度設定は,IEC及びAHAの勧告に合致している。他の感度設定(例えば,40 mm/mV及び2.5 mm/mV)

は,製造業者の選択肢として提供してよい。連続的な感度の制御は,一般的に望ましくない。 

表示画面に心電図の校正波を含めることは,操作者に再生した心電図の振幅を確認する手段を提供して

いる。 

52 

T 60601-2-47:2018  

201.12.4.4.112† 時間位置調整 

記録した心電図の臨床的な評価には,別の方向(チャネル)からの観察が必要である。例えば,ペース

メーカパルスの特徴として,1チャネルだけではときどき認められないことがある。二つ以上の心電図チ

ャネルの同時解析は,チャネル間のずれが,心電図の臨床的な解釈に影響を与えないくらい十分に小さい

ことが必要である。±0.5 mmのずれは,±20 msの最大の時間的なずれに相当する(25 mm/秒の場合)。

この許容誤差は,実際の計測値の誤差及びテープのトラッキング及び/又はアナログからデジタルへの変

換のずれに起因する磁気記録ヘッドの調整による記録及び再生装置における変動を含んでいる。 

201.15.4.3.101.1† モニタ時間 

ホルタ心電図記録の最小時間は,検査に対する適応に応じて変化する。頻繁に発生するイベントは短い

記録時間で検出できるのに対して,まれに発生する又は滅多に発生しないものは,長時間の記録が必要な

場合がある。ほとんどの診療用途に対して,最小24時間の記録時間を推奨している。この時間は,心臓の

活動に内在している日内変動を考慮している。この期間は,周波数の時間的な変動を認識することで,目

覚め及び睡眠中の間欠的な不整脈のほとんどのエピソードの検出を可能としている。 

201.15.4.3.101.2† データの保持 

72時間のデータ保持という要求は,実際に発生している一般的な事例で,少なくとも週末の間は保存し

た記録を維持することが望ましいという前提に基づいている。 

201.17† ME機器及びMEシステムの電磁両立性 

ホルタ心電計及びホルタ心電図システムの電磁両立性は,関心が高まっている。副通則IEC 60601-1-2

は,このことを反映し,EMCの要求事項を規定している。 

202.6.2.3† 放射RF電磁界 

一部の患者は,異常に高い電磁環境にさらされる可能性がある。このような患者には不適切な記録を避

けるために,ホルタ心電計を高い電磁環境にさらさないよう医師が助言する必要がある。さらに,心電図

の記録に最初に失敗した場合に,繰り返し検査することができる選択的な手順があったほうがよい。 

53 

T 60601-2-47:2018  

参考文献 

JIS T 0601-2-25 医用電気機器−第2-25部:心電計の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項 

注記 対応国際規格:IEC 60601-2-25,Medical electrical equipment−Part 2-25: Particular requirements 

for the basic safety and essential performance of electrocardiographs 

IEC 60601-2-27,Medical electrical equipment−Part 2-27: Particular requirements for the basic safety and 

essential performance of electrocardiographic monitoring equipment 

CISPR 11,Industrial, scientific and medical equipment−Radio-frequency disturbance characteristics−Limits 

and methods of measurement 

background image

54 

T 60601-2-47:2018  

附属書JAA 

(参考) 

この規格における定義済み用語の索引 

五十
音順 

この規格での定義用語 

定義している規格番号 

又はこの規格の細分箇条 

あ 

RR間隔変動率,RRV(RR INTERVAL VARIABILITY,RRV) 

201.3.218 

え 

ST部分(ST SEGMENT) 
ME機器(ME EQUIPMENT) 
MEシステム(ME SYSTEM) 

201.3.220 
JIS T 0601-1:2017,3.63 
JIS T 0601-1:2017,3.64 

か 

解析除外区間(SHUTDOWN) 
患者(PATIENT) 
感度(GAIN) 

201.3.219 
JIS T 0601-1:2017,3.76 
201.3.208 

き 

危険状態(HAZARDOUS SITUATION) 
基礎安全(BASIC SAFETY) 
基本性能(ESSENTIAL PERFORMANCE) 
QRS複合,QRS(QRS COMPLEX,QRS) 

JIS T 0601-1:2017,3.40 
JIS T 0601-1:2017,3.10 
JIS T 0601-1:2017,3.27 
201.3.216 

け 

携帯形(PORTABLE) 

JIS T 0601-1:2017,3.85 

さ 

再生装置(PLAYBACK EQUIPMENT) 

201.3.215 

し 

CF形装着部(TYPE CF APPLIED PART) 
上室異所性心拍,SVEB(SUPRAVENTRICULAR ECTOPIC BEAT,SVEB) 
上室頻拍,SVTA(SUPRAVENTRICULAR TACHYCARDIA,SVTA) 
心室細動,心室粗動,VF(VENTRICULAR FIBRILLATION,VENTRICULAR 
FLUTTER,VF) 
心室異所性心拍,VEB(VENTRICULAR ECTOPIC BEAT,VEB) 
心電図,ECG(ELECTROCARDIOGRAM,ECG) 
心拍変動,HRV(HEART RATE VARIABILITY,HRV) 
心房細動,心房粗動,AF(ATRIAL FIBRILLATION,ATRIALFLUTTER,AF) 

JIS T 0601-1:2017,3.134 
201.3.221 
201.3.222 
201.3.224 
 
201.3.223 
201.3.206 
201.3.209 
201.3.201 

せ 

製造業者(MANUFACTURER) 

JIS T 0601-1:2017,3.55 

そ 

操作者(OPERATOR) 
装着部(APPLIED PART) 

JIS T 0601-1:2017,3.73 
JIS T 0601-1:2017,3.8 

ち 

中性電極(NEUTRAL ELECTRODE) 

201.3.212 

て 

手持形(HAND-HELD) 
データベース,DB(DATABASE,DB) 
電極(ELECTRODE) 
電極コード(LEAD WIRE) 
電源(商用)(SUPPLY MAINS) 
電源コード(POWER SUPPLY CORD) 

JIS T 0601-1:2017,3.37 
201.3.205 
201.3.207 
201.3.211 
JIS T 0601-1:2017,3.120 
JIS T 0601-1:2017,3.87 

と 

等電位化導線(POTENTIAL EQUALIZATION CONDUCTOR) 

JIS T 0601-1:2017,3.86 

な 

内部電源(INTERNAL ELECTRICAL POWER SOURCE) 

JIS T 0601-1:2017,3.45 

は 

ハザード(HAZARD) 

JIS T 0601-1:2017,3.39 

ひ 

BF形装着部(TYPE BF APPLIED PART) 

JIS T 0601-1:2017,3.133 

ふ 

附属文書(ACCOMPANYING DOCUMENT) 
プログラマブル電気医用システム,PEMS(PROGRAMMABLE ELECTRICAL 
MEDICAL SYSTEM,PEMS) 
分離装置(SEPARATION DEVICE) 

JIS T 0601-1:2017,3.4 
JIS T 0601-1:2017,3.90 
 
JIS T 0601-1:2017,3.112 

へ 

平均平方根,RMS(ROOT-MEAN SQUARED,RMS) 

201.3.217 

background image

55 

T 60601-2-47:2018  

五十
音順 

この規格での定義用語 

定義している規格番号 

又はこの規格の細分箇条 

ほ 

ポーズ(PAUSE) 
ホルタ心電計(AMBULATORY RECORDER) 
ホルタ心電図システム(AMBULATORY ELECTROCARDIOGRAPHIC SYSTEM) 

201.3.214 
201.3.203 
201.3.202 

も 

漏れ電流(LEAKAGE CURRENT) 

JIS T 0601-1:2017,3.47 

ゆ 

誘導(LEAD) 
誘導コード(PATIENT CABLE) 

201.3.210 
201.3.213 

れ 

連続記録器(CONTINUOUS RECORDER) 
連続作動(運転)(CONTINUOUS OPERATION) 

201.3.204 
JIS T 0601-1:2017,3.18 

background image

56 

T 60601-2-47:2018  

附属書JBB 

(参考) 

JISと対応国際規格との対比表 

JIS T 60601-2-47:2018 医用電気機器−第2-47部:ホルタ心電図システムの基礎
安全及び基本性能に関する個別要求事項 

IEC 60601-2-47:2012,Medical electrical equipment−Part 2-47: Particular requirements 
for the basic safety and essential performance of ambulatory electrocardiographic systems 

(I)JISの規定 

(II) 
国際 
規格 
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

201.2 引用
規格 

追加 
JIS T 0601-1:2017 

201.2 

− 

追加 

技術的差異はなし。 

この個別規格内で,通則として引
用しているが,引用規格として記
載がないことから,追加した。 

201.7 

ME

機器の標
識,表示及
び文書 

201.7.2.101(電極コード
の識別) 
表201.102に,電極コー
ドのカラーコードとし
て,コード3を追加 

201.7.
2.101 

Table 201.102 
コード1) ヨーロッパ
及び各国, 
コード2) アメリカ 

追加 

我が国で使われているカラーコー
ドを追加した。 

JISであるため,我が国の実情を
追加した。 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:IEC 60601-2-47:2012,MOD 

注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 

− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 

注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 

− MOD ··············· 国際規格を修正している。 

2

T

 6

0

6

0

1

-2

-4

7

2

0

1

8