T 5752-2
:2012
(1)
目 次
ページ
序文
1
1
適用範囲
1
2
引用規格
1
3
用語及び定義
2
4
分類
2
5
要求事項
2
5.1
一般
2
5.2
放射発散度
2
5.3
安全性
2
6
サンプリング
2
7
試験方法
3
7.1
一般
3
7.2
放射発散度
3
8
製造販売業者が提供する情報
5
8.1
取扱説明書
5
8.2
技術解説書
5
9
機器又は直接の容器若しくは直接の被包への表示
5
10
包装
5
附属書 JA(参考)JIS と対応国際規格との対比表
6
T 5752-2
:2012
(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,日本歯科器械工業協同組合(JDMMA)
,社
団法人日本歯科医師会(JDA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規
格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,厚生労働大臣が制定した日本工業規
格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。厚生労働大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS T 5752
の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS
T
5752-1
第 1 部:ハロゲンランプ
JIS
T
5752-2
第 2 部:発光ダイオード(LED)
日本工業規格
JIS
T
5752-2
:2012
歯科−重合用光照射器−
第 2 部:発光ダイオード(LED)
Dentistry-Powered polymerization activators-
Part 2: Light-emitting diode (LED) lamps
序文
この規格は,2007 年に第 1 版として発行された ISO 10650-2 を基とし,より安全性の向上など,我が国
の使用実態を反映させるため,技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一
覧表にその説明を付けて,
附属書 JA に示す。
1
適用範囲
この規格は,歯科用レジン系修復材料を重合させるために使用する,青色波長領域の発光ダイオード
(LED)重合用光照射器(以下,重合用光照射器という。
)に対する要求事項及びその試験方法について規
定する。この規格は,電源(商用)を用いる重合用光照射器及び充電式電池を用いる重合用光照射器に適
用する。
この規格は,間接修復物,ベニア,義歯又は他の口くう(腔)内歯科装置の技工製作に使用される重合
用光照射器には適用しない。また,この規格に規定する要求事項は,JIS T 0601-1 に優先する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 10650-2:2007
,Dentistry−Powered polymerization activators−Part 2: Light-emitting diode (LED)
lamps(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,
“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。
)
は適用しない。
JIS T 0601-1:1999
医用電気機器−第 1 部:安全に関する一般的要求事項
注記 対応国際規格:IEC 60601-1:1988,Medical electrical equipment−Part 1: General requirements for
safety,Amendment 1(1991)及び Amendment 2(1995)(MOD)
JIS T 5752-1:2011
歯科−重合用光照射器−第 1 部:ハロゲンランプ
注記 対応国際規格:ISO 10650-1:2004,Dentistry−Powered polymerization activators−Part 1: Quartz
tungsten halogen lamps(MOD)
2
T 5752-2
:2012
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS T 0601-1 の 2.(定義)によるほか,次による。
3.1
発光ダイオード(LED)[light-emitting diode(LED)lamps]
半導体系の発光源。
3.2
満充電された電池(fully charged battery)
初期性能における完全充電の 80∼100 %分が,あらかじめ充電されている電池。
4
分類
重合用光照射器の分類は,JIS T 5752-1 の箇条 4(分類)による。
5
要求事項
5.1
一般
この規格の一般事項は,JIS T 5752-1 の 5.1(一般)による。
各要求事項については,製造販売業者が示す,放射発散度が異なる各照射モードを適用する。
5.2
放射発散度
5.2.1 400
∼515 nm(青色)波長領域の放射発散度
この規格は,400∼515 nm の(青色)波長領域における放射発散度の要求値は規定しない。放射発散度
は,製造販売業者が指定するが,製造販売業者は,7.2 によって測定したこの波長領域の放射発散度につい
ての情報を提供しなければならない。タイプ 1 の重合用光照射器については,電源定格電圧において,7.2
によって試験したとき,この波長領域の放射発散度は,製造販売業者が規定した重合用光照射器の出力値
の範囲内でなければならない。タイプ 2 の重合用光照射器については,満充電された重合用光照射器がこ
の要求事項に適合するかどうかを試験しなければならない。放射発散度の単位は,mW/cm
2
又は W/m
2
とす
る。
5.2.2 200
∼385 nm 波長領域の放射発散度
タイプ 1 の重合用光照射器については,電源定格電圧において,7.2 によって試験したとき,200∼385 nm
の波長領域の放射発散度は,200 mW/cm
2
(2 000 W/m
2
)以下でなければならない。タイプ 2 の重合用光照
射器については,最初に満充電された重合用光照射器がこの要求事項に適合するかどうかを試験しなけれ
ばならない。
5.2.3 515
nm
より長い波長の波長領域における放射発散度
タイプ 1 の重合用光照射器については,電源定格電圧において,7.2 によって試験したとき,515 nm よ
り長い波長の波長領域における放射発散度は,100 mW/cm
2
(1 000 W/m
2
)以下でなければならない。タイ
プ 2 の重合用光照射器については,満充電された重合用光照射器がこの要求事項に適合するかどうかを試
験しなければならない。
5.3
安全性
安全性は,JIS T 5752-1 の 5.3(安全性)による。
6
サンプリング
サンプリングは,JIS T 5752-1 の箇条 6(サンプリング)による。
3
T 5752-2
:2012
7
試験方法
7.1
一般
7.1.1
試験についての一般的要求事項
試験についての一般的要求事項は,JIS T 5752-1 の 7.1(一般)による。
試験は,製造販売業者が指定する放射発散度が異なる各照射モードごとに行う。
7.2
放射発散度
7.2.1
機器
機器は,JIS T 5752-1 の 7.2.1(機器)による。
7.2.2
手順
7.2.2.1
照射チップ又は照射部の照射断面積
照射断面積を算出する手順は,JIS T 5752-1 の 7.2.2.1(照射チップ又は照射部の照射断面積を測定する
手順)による。
7.2.2.2
放射量を測定する手順
7.2.2.2.1
一般
タイプ 1 の重合用光照射器は,電源定格電圧の 100 %で,タイプ 2 の重合用光照射器は,満充電で測定
する。
7.2.2.2.2
パワーメータによる測定
操作電圧を同じにして,各ステップでフィルタを変える方法を用いる。測定は,
表 1 による。
7.2.2.2.3
分光放射照度計による測定
操作電圧を同じにして,
各ステップで分光放射照度計の波長領域設定を変更する方法を用いる。
測定は,
表 1 による。
4
T 5752-2
:2012
表 1−100 %電圧(タイプ 1)又は満充電された電池(タイプ 2)における測定順序
ステップ
フィルタ
nm
時間
秒
操作
0
電圧を確認し,照射を開始する。
10
電圧を確認し,表示値 A を記録する。
20
消灯する。ユニットに冷却ファンがあれば,動かし続ける。
20∼60
フィルタを交換する。
1
200
(石英)
60
ステップ 2 を開始する。
0
電圧を確認し,照射を開始する。
10
電圧を確認し,表示値 D を記録する。
20
消灯する。ユニットに冷却ファンがあれば,動かし続ける。
20∼60
フィルタを交換する。
2 385
60
ステップ 3 を開始する。
0
電圧を確認し,照射を開始する。
10
電圧を確認し,表示値 G を記録する。
20
消灯する。ユニットに冷却ファンがあれば,動かし続ける。
20∼60
フィルタを交換する。
3 400
60
ステップ 4 を開始する。
0
電圧を確認し,照射を開始する。
10
電圧を確認し,表示値 J を記録する。
20
消灯する。ユニットに冷却ファンがあれば,動かし続ける。
20∼60
フィルタを交換する。
4 515
60
5 セットの表示値(A,D,G,J)が得られるまで,次の表示値セットを求
めるためにステップ 1 を繰り返す。
注記 時間は,各操作における測定作業の経過時間を示す。例えば,10 は,“照射開始 10 秒後に電圧を確認し,
表示値を記録する”ことを示す。
7.2.3
結果の処理
7.2.3.1
一般
試験結果の処理は,5 個の値を用いて A の平均値(M
A
)を算出する。同様に,D の平均値(M
D
)
,G の
平均値(M
G
)及び J の平均値(M
J
)を算出する。
7.2.3.2
放射発散度の計算
放射発散度の計算は,JIS T 5752-1 の 7.2.3.2(電源定格電圧における放射発散度の計算)による。
7.2.3.3
結果のまとめ
算出した値を
表 2 によって記載する。
重合用光照射器が 5.2 の要求事項に適合することを確認する。
表 2−結果のまとめ
波長領域
nm
放射発散度
200∼385
試験データを記入
400∼515
試験データを記入
>515
試験データを記入
5
T 5752-2
:2012
8
製造販売業者が提供する情報
8.1
取扱説明書
取扱説明書は,JIS T 0601-1 の 6.8.2 a)(一般的情報)及び d)(患者と接触する部分の清掃,消毒及び滅
菌)による。
重合用光照射器には,操作法,操作者による保守,安全対策及びサービスについての情報を記載した取
扱説明書を添付しなければならない。
この取扱説明書には,次の事項を記載しなければならない。
a)
製造販売業者の名称及び/又は商標,及び住所
b)
製品の名称
c)
電源の定格電圧及び定格周波数
d)
操作モード
1)
,分類及び環境条件
e)
発光ダイオード(LED)の交換方法(該当する場合)
f)
重合用光照射器の性能を確認する方法
g)
青色波長光,紫外線及び熱放射についての注意事項
h)
照射光からの保護のための推奨事項(保護フィルタ眼鏡の有効使用など)
i)
患者に接触する部分の清掃方法及び消毒方法
j)
滅菌方法(該当する場合)
k)
重合用光照射器の現場での修理方法
l)
照射チップの交換方法
m)
重合用光照射器の出力値[各照射チップ及び各照射モードの最低放射発散度(400∼515 nm)
]
n)
“電圧低下”の表示についての情報(タイプ 2 の重合用光照射器の場合)
o)
電池交換についての情報(タイプ 2 の重合用光照射器の場合)
p)
照射断面積(単位:cm
2
)の値。照射断面積が円形の場合は,断面積の直径を示してもよい。
q) EMC
適合表示
r)
附属品及び工具(該当する場合)
s)
連続照射による過熱への注意事項
注
1)
操作モードは,操作者が重合させる歯科用レジン系修復材料ごとに設定する,重合用光照射
器の製造販売業者が指定する放射発散度,照射時間など。
8.2
技術解説書
技術解説書は,JIS T 5752-1 の 8.2(技術解説書)による。
9
機器又は直接の容器若しくは直接の被包への表示
表示は,JIS T 5752-1 の箇条 9(機器又は直接の容器若しくは直接の被包への表示)による。
10
包装
包装は,JIS T 5752-1 の箇条 10(包装)による。
附属書 JA
(参考)
JIS
と対応国際規格との対比表
JIS T 5752-2:2011
歯科−重合用光照射器−第 2 部:発光ダイオード(LED)
ISO 10650-2:2007
Dentistry―Powered polymerization activators−Part 2:
Light-emitting diode (LED) lamps
(I)JIS の規定
(III)国際規格の規定
(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
箇 条 番 号
及び題名
内容
(II)
国際規格
番号
箇条番号
内容
箇 条 ご と
の評価
技術的差異の内容
(V)JIS と国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
1 適 用 範
囲
この規格は,歯科用
レ ジ ン 系 修 復 材 料
を 重 合 さ せ る た め
に 使 用 す る 要 求 事
項 及 び そ の 試 験 方
法について規定。
1 JIS とほぼ同じ。
変更
ISO
規格の“歯科用ポリマー系
材料”を,JIS では“歯科用レ
ジン系修復材料”に変更した。
歯科で使用する一般的な材料名
への変更。技術的差異はない。
2 引 用 規
格
5 要 求 事
項
5.2.1 400 ∼ 515 nm
(青色)波長領域の
放射発散度
5.2.2 200 ∼ 385 nm
波 長 領 域 の 放 射 発
散度
5.2.1
5.2.2
190 nm
追加
変更
放射発散度の単位に,mW/cm
2
と W/m
2
を追加した。
JIS
では,190 nm を 200 nm に
変更した。
単位の明確化のため。技術的差異
はない。
200 nm 未満は特殊な波長領域の
ため,実際の測定条件に合致した
波長に変更したが,実質的な技術
的差異はない。
7 試 験 方
法
7.2.2.1 照 射 チ ッ プ
又 は 照 射 部 の 照 射
断面積
7.2.2.1
照射チップの照射断面積
製造販売業者が 8.1 p)に
記載した照射断面積を,Z
(単位:cm
2
)として用い
る。
追加
削除
照射部を追記した。
製造販売業者が 8.1 p)に記載し
た照射断面積を,Z(単位:cm
2
)
として用いる,を削除した。
照射チップのない照射器がある
ためで,技術的差異はない。
製造販売業者は,照射断面積を算
出して取扱説明書に記載するも
ので,8.1(取扱説明書)の記載事
項を用いるのではないため。技術
的差異はない。
6
T
57
52
-2
:
20
1
1
(I)JIS の規定
(III)国際規格の規定
(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
箇 条 番 号
及び題名
内容
(II)
国際規格
番号
箇条番号
内容
箇 条 ご と
の評価
技術的差異の内容
(V)JIS と国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
7 試 験 方
法(続き)
7.2.2.2 放 射 量 を 測
定する手順
7.2.2.2
追加
追加
7.2.2.2.1 として,一般の細分箇
条を追加した。
7.2.2.2.2 として,パワーメータ
による測定の細分箇条を追加
した。
測定手順の明確化のため。技術的
差異はない。
測定方法を明確化した。技術的差
異はない。
7
追加
7.2.2.2.3 として,分光放射照度
計による測定の細分箇条を追
加した。
測定方法を明確化した。技術的差
異はない。
表 1
表 1 190
nm
変更
表 1 で,JIS では,190 nm を
200 nm に変更した。
200 nm 未満は特殊な波長領域の
ため,実際の測定条件に合致した
波長に変更したが,実質的な技術
的差異はない。
追加
表 1 で,注記を追記した。各操
作における経過時間の明確化。
表 2
表 2 190
nm
変更
表 2 の波長領域で,JIS では,
190 nm を 200 nm に変更した。
200 nm 未満は特殊な波長領域の
ため,実際の測定条件に合致した
波長に変更したが,実質的な技術
的差異はない。
8 製 造 販
売 業 者 が
提 供 す る
情報
製 造 販 売 業 者 が 提
供する情報
8.1 取扱説明書
8
8.1
製造業者が提供する情報
追加
追加
法定表示方法による表示に変
更した。
JIS T 0601-1
の 6.8.2 a)(一般的
情報)及び d)(患者と接触す
る部分の清掃,消毒及び滅菌)
による,とした。
技術的差異はない。
技術的差異はない。
追加
操作モードの説明に,注
1)
を追
加した。
操作モードの明文化。技術的差異
はない。
追加 q)
EMC 適合表示を追加した。
法定表示事項であり,技術的差異
はない。
7
T
57
52
-2
:
20
1
1
(I)JIS の規定
(III)国際規格の規定
(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
箇 条 番 号
及び題名
内容
(II)
国際規格
番号
箇条番号
内容
箇 条 ご と
の評価
技術的差異の内容
(V)JIS と国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
8 製 造 販
売 業 者 が
提 供 す る
情報
(続き)
追加
“s) 連続照射による過熱への
注意事項”を追加した。
記載すべき事項を追加。技術的差
異はない。
10 包装
包装への表示事項
−
−
追加
JIS T 5752-1:2011
を引用した
が,輸送する場合の包装への注
意事項,輸送取扱い操作上の注
意及び禁止の表示事項を追加
した。
技術的差異はない。
JIS
と国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 10650-2:2007,MOD
注記 1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 削除……………… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。
注記 2 JIS と国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD…………… 国際規格を修正している。
8
T
57
52
-2
:
20
1
1