T 3321:2008
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 1
4 構成······························································································································· 2
5 物理的要求事項 ················································································································ 4
5.1 材料 ···························································································································· 4
5.2 外観及び清浄度 ············································································································· 4
5.3 刃先 ···························································································································· 4
5.4 寸法の許容差 ················································································································ 4
5.5 針基のテーパの合致 ······································································································· 4
5.6 引抜強さ ······················································································································ 5
5.7 漏れ ···························································································································· 5
5.8 弾性 ···························································································································· 5
5.9 曲げ強さ ······················································································································ 6
5.10 処置針の通過性 ············································································································ 6
6 化学的要求事項 ················································································································ 6
6.1 試験液の調製 ················································································································ 6
6.2 抽出物の酸・アルカリの限度 ··························································································· 6
6.3 溶出金属の制限 ············································································································· 6
7 生物学的安全性 ················································································································ 7
8 無菌性の保証 ··················································································································· 7
9 エンドトキシン ················································································································ 7
10 製造販売業者が提供する情報 ···························································································· 7
11 包装 ····························································································································· 7
11.1 一次包装 ····················································································································· 7
11.2 二次包装 ····················································································································· 7
12 表示 ····························································································································· 7
12.1 一次包装 ····················································································································· 7
12.2 二次包装 ····················································································································· 7
12.3 記号の使用 ·················································································································· 8
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まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,日本医療器材工業会(JMED)及び財団法人日
本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調
査会の審議を経て,厚生労働大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。厚生労働大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は
もたない。
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日本工業規格 JIS
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誘導針
Guiding needles
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適用範囲
この規格は,製造販売業者が特定した,診断又は治療用の処置針を体内へ導入するときの補助に用いる
1回限りの使用で使い捨てるせん(穿)刺針(以下,誘導針という。)について規定する。ただし,誘導針
自身が,薬液注入及び排液に用いるもの,直接処置するもの及び骨組織をせん(穿)刺するものは除く。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)
には適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS G 4305:2005 冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯
JIS T 0307 医療機器−医療機器のラベル,ラベリング及び供給される情報に用いる図記号
JIS T 0993-1 医療機器の生物学的評価−第1部:評価及び試験
JIS T 3210:2005 滅菌済み注射筒
ISO 594-1:1986,Conical fittings with a 6 % (Luer) taper for syringes, needles and certain other medical
equipment−Part 1: General requirements
ISO 594-2:1998,Conical fittings with 6 % (Luer) taper for syringes, needles and certain other medical
equipment−Part 2: Lock fittings
ISO 9626:1991,Stainless steel needle tubing for the manufacture of medical devices
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1
外針
せん刺後,内くう(腔)を通して処置針を体内に導入できる単くう(腔)の針管。針管表面に目安とし
て目盛が付されているものもある。
3.2
内針
せん刺時に,外針内くうへの体組織侵入を防止することを目的として,あらかじめ外針内くうに挿入さ
れており,外針から簡単に引き抜くことができる器具。それ自体がせん刺性をもつ場合もある。主に,腹
くう(腔)内臓器など深部までのせん(穿)刺を意図するときは,外針に附属する。
2
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3.3
処置針
診断又は治療を行う針。外針内くうを通して体内に導入される。例えば,せき(脊)髄くも膜下麻酔針,
生体組織採取用生検針,腹くう及び臓器用せん刺針,胆管造影用針などをいう。
3.4
公称外径
誘導針の包装又は容器に表示した外針(針管)の外径。
3.5
公称長さ
誘導針の包装又は容器に表示した有効長。
3.6
有効長
身体に挿入できる器具の長さ。
3.7
精製水
日本薬局方の第二部医薬品に規定する精製水又はこれと同等以上の精製水。
3.8
エンドトキシン試験用水
日本薬局方の第二部医薬品に規定する注射用水又はその他の方法によって製造した水で,エンドトキシ
ン試験に用いるライセート(LAL)試薬の検出限界で反応を示さないもの(JIS T 3211参照)。
3.9
一次包装
誘導針を直接に覆う包装。誘導針の無菌性を保持するためのもので,更に,これが二次包装される場合
には,いわゆる“内袋”に該当する(JIS T 3211参照)。
3.10
二次包装
一次包装を直接に覆う包装。通常,複数の一次包装された誘導針,例えば,100本を入れた包装(JIS T
3211参照)。
4
構成
誘導針は,内針を附属しないもの(図1参照)と附属するもの(図2参照)とがある。主に,前者は皮
下まで,後者は腹くう内臓器など深部までのせん刺を目的とする。また,いずれも針さや(鞘)を附属す
る。針さやは,使用前後に術者が刃先を身体に誤刺しないように保護し,針基にかん(嵌)合する。
3
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有効長
1
外針(針管)
2
針基
図1−誘導針の構成及び各部の名称(内針を附属しない場合)
l1
有効長
1
外針(針管)
2
針基
3
内針
4
つまみ
図2−誘導針の構成及び各部の名称(内針を附属する場合)
4
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5
物理的要求事項
5.1
材料
5.1.1
金属材料
外針(針管)及び内針の材料は,JIS G 4305に規定するSUS304,SUS304L若しくはSUS321,又はISO
9626の材料に適合するステンレス鋼とする。
5.1.2
潤滑剤
外針(針管)及び内針の潤滑剤としてシリコーン油を用いる場合には,シリコーン油は,シリコーン油
基準(Ⅱ)又はこれと同等以上の基準に適合しなければならない。潤滑油の量は,外針(針管)及び内針
の表面に液滴を認めたり,内面にたまりを認める量であってはならない。
注記 シリコーン油基準(Ⅱ)は,平成7年12月20日薬機第327号厚生省薬務局医療機器開発課長
通知“注射針及び注射筒等に潤滑剤として用いるシリコーン油の基準について”による。
5.2
外観及び清浄度
外観及び清浄度は,次による。
a) 外針(針管),内針,針基及びつまみの外面は,目視で検査したとき,凹凸及びきずがなく,仕上げ面
が滑らかで,表面に微粒子又は異物の付着があってはならない。
b) 外針(針管)の内面には,目視で検査したとき,有害な酸化物,切り粉などの微粒子又は異物の付着
があってはならない。また,針基の内面には微粒子又は異物の付着があってはならない。
c) 外針(針管)は,目視で検査したとき,真っすぐで正常な切断面及び厚さでなければならない。また,
内針は真っすぐで正常な切断面でなければならない。
5.3
刃先
外針及び内針の刃先は,鋭利に研磨してあり,目視で分かるようなばりなどの欠点があってはならない。
5.4
寸法の許容差
寸法許容差は,次による。
a) 外針(針管)の外径の公称外径に対する許容差は,+8
−3 %とする。
b) 有効長の公称長さに対する許容差は,公称長さが10 mm未満のものは±20 %,10 mm以上20 mm未
満のものは±8 %,20 mm以上40 mm未満のものは±7 %,40 mm以上60 mm未満のものは±5 %,
及び60 mm以上のものは±3 %とする。
5.5
針基のテーパの合致
他の医療機器とテーパによって接合する場合には,図3に示すISO 594-1に規定するおす・ルアーテー
パ検査ゲージが使用できる構造の誘導針は,針基を5 Nの力でゲージに入れたとき,針基のめす・ルアー
テーパとゲージのテーパとは合致し,かつ,針基の先端は,ゲージの限度内とする。また,図3に示す検
査ゲージを使用できない構造(ロック接合)の誘導針は,ISO 594-2に適合しなければならない。
5
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単位 mm
図3−おす・ルアーテーパ検査ゲージ
5.6
引抜強さ
外針(針管)の公称外径に応じて,外針(針管)の中心軸方向に表1の力を加えたとき,外針(針管)
が針基から引き抜けてはならない。
表1−引抜強さ
外針(針管)の公称外径
mm
力
N
0.55未満
0.55以上
0.7未満
0.7以上
0.8未満
0.8以上
0.9未満
0.9以上
1.1未満
1.1以上
22
34
40
44
54
69
5.7
漏れ
他の医療機器とテーパによって接合する場合には,次のいずれかの方法によって試験を行ったとき,こ
れに適合しなければならない。
a) 第1法 必要に応じて,内針を取り外し,針基をJIS T 3210に適合した注射筒の筒先に27.5 Nの力で
はめ合わせる。このとき少しねじってもよい。吸子を5 mLの目盛に合わせ,外針(針管)の先端に
ゴム栓を刺し,刃先から空気が漏れないようにした後,刃先から針基までを水中に入れる。吸子を2 mL
の目盛まで押し,15秒間観察し,外針(針管)と針基との接合部,及び針基と試験用注射筒の筒先と
のはめ合せ部から連続した気泡の発生を認めない。
b) 第2法 必要に応じて,内針を取り外し,針基を水圧試験装置に取り付けられたテーパゲージに,27.5
Nの力ではめ合わせる。このとき少しねじってもよい。次に外針(針管)の先端にゴム栓を刺し,刃
先から水が漏れないようにした後,0.2 MPaのゲージ圧で水を送り込み,15秒間観察し,外針(針管)
と針基との接合部及び針基とルアーテーパゲージとのはめ合せ部から,水滴となって落ちるような水
漏れがあってはならない。
5.8
弾性
外針(針管)の公称外径(図4のD)が1.0 mm以下のものは,図4に示すように外針(針管)の先端
の一点Aから25D2離れた外針(針管)上の点Bを固定し,Aに力を加え,8度曲げて1分間保った後,
6
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放して目視したとき,外針(針管)は,元の位置に回復しなければならない。内針を附属するものは,外
針(針管)に内針を挿入した状態で行ってよい。
図4−弾性
5.9
曲げ強さ
外針(針管)の公称外径が1.0 mm以下で,公称長さが12 mm以上のものは,図5に示すように外針(針
管)を5 mmの曲率半径で90度曲げたとき,折れてはならない。内針を附属するものは,外針(針管)に
内針を挿入した状態で行ってよい。
図5−曲げ強さ
5.10 処置針の通過性
製造販売業者が特定した処置針のせん刺可能部は,誘導針外針内くうを通過可能でなければならない。
6
化学的要求事項
6.1
試験液の調製
25本の誘導針をほうけい酸ガラスでできた適切な容器を用いて,250 mLの精製水に浸せきする。針の
全表面を外針(針管)の内側を含めて,精製水に接触するようにする。37+3
−0 ℃で60±2分間保った後,針
を取り除き,針の内外面からすべての精製水を容器に戻し,これを試験液とする。針を入れないで前述と
同様に操作したものを対照溶液として調製する。
6.2
抽出物の酸・アルカリの限度
試験液のpHの値は,pH測定用電極を用い測定したとき,対照溶液のpHの値との差は1以内とする。
6.3
溶出金属の制限
試験液及び対照溶液を原子吸光光度法などの一般的に認められた微量分析法で分析したとき,対照溶液
の分析値を差し引き補正した試験液の鉛,亜鉛及び鉄の合計含量は5 mg/L以下とし,かつ,カドミウムの
含量は,0.1 mg/L以下とする。
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7
生物学的安全性
JIS T 0993-1に規定する生物学的安全性の評価を行う。
8
無菌性の保証
“滅菌済み”の旨を表示してあるものは,滅菌バリデーション基準又はこれと同等以上の基準に基づき,
無菌性の担保を行う。
注記 滅菌バリデーション基準は,“平成17年3月30日付け薬食監麻第0330001号:薬事法及び採血
及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律の施行に伴う医薬品,医療機器等の製造管理
及び品質管理(GMP/QMS)に係る省令及び告示の制定及び改廃について 第4章第4滅菌バ
リデーション基準”による。
9
エンドトキシン
誘導針及び処置針を血管系及び中枢神経系に用いる場合は,硬質ガラス容器に誘導針10本を入れ,これ
にエンドトキシン試験用水を30 mL加え,融封又は適切な栓で密封してよく振り混ぜた後,室温で1時間
放置する。この液を試験液とし,日本薬局方のエンドトキシン試験法によって試験をしたとき,エンドト
キシンは,0.5 EU/mL未満でなければならない。
注記 発熱性にかかわる試験方法としては,設計段階では,通常,JIS T 0993-1を採用する。
10 製造販売業者が提供する情報
5.10によって,特定した処置針を示す,又は特定した処置針と同一包装内に収納するなど,特定した処
置針を識別できるようにする。
11 包装
11.1 一次包装
一次包装は,使用前に容易に破れるおそれがなく,微生物の侵入を防止することができ,通常の取扱い,
輸送及び保管中に内容製品を適切に保護できなければならない。また,一度開封したら,包装は簡単に再
シールできず,開封されたことが明確に分からなければならない。
11.2 二次包装
二次包装は,通常の取扱い,輸送及び保管中に内容製品を保護できる強度をもたなければならない。
12 表示
12.1 一次包装
一次包装には,次の事項を表示する。
a) 外径(mm)及び有効長(mm又はcm)。ただし,外径はミリメートル(mm)で示すほか,ゲージを
参考に併記してもよい。有効長はミリメートル(mm)又はセンチメートル(cm)で示すほか,イン
チを参考に併記してもよい。
b) “滅菌済み”の旨
c) 製造番号又は製造記号
12.2 二次包装
二次包装には,次の事項を表示する。ただし,二次包装を用いないで,一次包装を最小販売単位の包装
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
として用いる場合には,次の事項を一次包装に表示する。
なお,製造番号又は製造記号が滅菌年月を表している場合には,改めて滅菌年月の表示をする必要はな
い。また,滅菌年月の代わりに使用期限を表示してもよい。
a) 製造販売業者の氏名又は名称,及び住所
b) 販売名
c) 認証又は承認番号
d) 外径(mm)及び有効長(mm又はcm)。ただし,外径はミリメートル(mm)で示すほか,ゲージを
参考に併記してもよい。有効長はミリメートル(mm)又はセンチメートル(cm)で示すほか,イン
チを参考に併記してもよい。
e) 製造番号又は製造記号
f)
“滅菌済み”の旨
g) “再使用禁止”の旨(“ディスポーザブル”の表現は使用しない。)
h) 数量(入り数)
i)
滅菌年月
12.3 記号の使用
12.1及び12.2の要件は,JIS T 0307に規定する適切な記号を使用することによってこれに替えてもよい。
注記 JIS T 0307に規定する主な記号の例を,表2に示す。
表2−JIS T 0307に規定する主な記号の例(参考)
滅菌済み
再使用禁止
製造番号又は製造記号
使用期限
参考文献 JIS T 3211 滅菌済み輸液セット