T 15004-2:2013 (ISO 15004-2:2007)
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義並びに記号 ···································································································· 2
3.1 用語及び定義 ················································································································ 2
3.2 記号 ···························································································································· 5
4 分類······························································································································· 5
5 要求事項························································································································· 6
5.1 概要 ···························································································································· 6
5.2 グループ1機器として分類するための要求事項 ···································································· 6
5.3 グループ2の機器に対する要求事項··················································································· 6
5.4 グループ1に分類されると判断するための放出限界値 ··························································· 7
5.5 グループ2機器に対する放出限界値及びガイドライン ·························································· 10
6 試験方法························································································································ 15
6.1 概要 ··························································································································· 15
6.2 機器をグループ1又はグループ2に分類するための測定 ······················································· 15
6.3 グループ2の機器:測定 ································································································ 15
6.4 面積の決定 ·················································································································· 15
6.5 グループ2機器:最大露光ガイドラインに達するまでの時間及びパルス数の決定 ······················ 16
7 製造業者が提供する情報 ··································································································· 16
附属書A(規定)分光重み付け関数 ························································································ 19
附属書B(参考)光ハザードの項目を含む眼光学機器についての個別規格 ······································ 24
附属書C(参考)測定機器 ···································································································· 25
附属書D(規定)放射輝度及び放射照度の測定方法 ··································································· 26
附属書E(参考)放射照度の直接測定に関するガイドライン ························································ 31
附属書F(参考)分類のためのフローチャート ·········································································· 33
附属書JA(参考)眼光学機器−眼光学機器規格における光ハザードに関する仕様の背景 ·················· 35
T 15004-2:2013 (ISO 15004-2:2007)
(2)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,日本医用光学機器工業会(JMOIA)及び一
般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,
日本工業標準調査会の審議を経て,厚生労働大臣が制定した日本工業規格である。これによって,JIS T
7332:2005は廃止され,その一部を分割して制定したこの規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。厚生労働大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS T 15004の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS T 15004-1 第1部:全ての眼光学機器に適用される一般的要求事項
JIS T 15004-2 第2部:光ハザードからの保護
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日本工業規格 JIS
T 15004-2:2013
(ISO 15004-2:2007)
眼光学機器−基本的要求事項及びその試験方法−
第2部:光ハザードからの保護
Ophthalmic instruments-Fundamental requirements and test methods-
Part 2: Light hazard protection
序文
この規格は,2007年に第1版として発行されたISO 15004-2を基に,技術的内容及び対応国際規格の構
成を変更することなく作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。
また,ISO 15004-2を解説した標準報告書であるISO/TR 20824が,2007年に第1版として発行されてい
るが,この規格では附属書JAとして一体とした。
この規格の本文中の太字はこの規格の箇条3で定義した用語である。
1
適用範囲
この規格は,眼光学機器の光放射の安全性の基本的要求事項について規定する。この規格は,眼内又は
眼に向けて光放射を行う全ての眼光学機器に適用するとともに,それぞれの個別規格において光ハザード
に対する特定の要求項目がある眼光学機器に適用する。さらに,眼内又は眼に向けて光放射を行う新規の
眼光学機器,すなわち,個別規格の存在しない全ての機器にも適用する。
なお,この規格と,それぞれの眼光学機器の個別規格における光ハザードの要求項目との間に差異が存
在する場合には,個別規格が優先する。
この規格は,この規格で規定する限界値を超えるもの,また,眼の治療のための放射には適用しない。
この規格では,眼光学機器を危険でない機器と潜在的に危険な機器とを区別するためにグループ1又は
グループ2のいずれかに分類する。
注記1 放出限界値は,光放射の人体への露光についての国際非電離放射線保護委員会(ICNIRP)ガ
イドラインに基づくものである(参考文献[1]を参照)。
注記2 現時点において光ハザードを規定した個別規格を附属書Bに記載する。
注記3 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 15004-2:2007,Ophthalmic instruments−Fundamental requirements and test methods−Part 2:
Light hazard protection(IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
2
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引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)
は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 6802:2005 レーザ製品の安全基準
注記 対応国際規格:IEC 60825-1:2001,Safety of laser products−Part 1: Equipment classification,
requirements and user's guide(IDT)
JIS Z 8120 光学用語
3
用語及び定義並びに記号
3.1
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS Z 8120によるほか,次による。
3.1.1
開口,開口絞り(aperture,aperture stop)
光放射量を平均として測定するために確定される領域。
注記 分光放射照度測定では,この開口は,通常,放射計又は分光放射計の入射スリットの前に配置
される小領域の開口である。
3.1.2
連続波光源,CW放射光源(continuous wave radiation source,CW radiation source)
0.25秒以上にわたる連続出力を伴って動作する光源(すなわち,非パルス光源)。
3.1.3
有効開口(effective aperture)
網膜に到達する総光量を制限する開口の部分。
注記 不明瞭な開口又は非円形開口の場合,有効開口は,明瞭な円形開口の面積に等価なものとする。
3.1.4
放出限界値(emission limit)
許容される光放射の最大出力値。
3.1.5
眼内照明装置(endoilluminator)
眼内に挿入し,眼の内部の任意の部分を照明するための機器で,光源と光源に付随する光ファイバーラ
イトガイドとからなる。
3.1.6
視野(field of view)
眼,又は放射計,分光放射計などの検出器が見込む立体角。検出器は,この範囲内の放射を受け取る。
注記 視野は,放射輝度を平均する(サンプリングする)ための角度を指すものであり,光源のサイ
ズを指す光源の視角αと混同しない。
3.1.7
グループ1機器(Group 1 instrument)
光ハザードが潜在的に存在せず,グループ1の要求事項に適合する眼光学機器。
3.1.8
グループ2機器(Group 2 instrument)
光ハザードが潜在的に存在し,グループ1の要求事項に適合しない眼光学機器。
3
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3.1.9
放射照度,E(irradiance)
(ある表面上の一点における)放射照度は,その点を含む面積要素に入射する放射束dΦを,この要素
の面積dAで除した商。すなわち,式(1)で示される。
Α
Φ
E
d
d
=
··················································································· (1)
注記 放射照度は,1 cm2当たりのワット数,W/cm2の単位で表す。
3.1.10
製造業者(manufacturer)
眼光学機器を市場に提供する個人又は法人。
3.1.11
最大強度(maximum intensity)
全ての条件下で機器が放出し得る最大光放射。
3.1.12
手術用顕微鏡(operation microscope)
手術その他の医療処置の観察に使用する双眼実体顕微鏡であって,照明系及び観察系からなり,観察系
は対物レンズ,可変又は固定倍率の光学系,観察鏡筒及び接眼レンズを含む。
3.1.13
光ハザード(optical radiation hazard)
光放射エネルギーにさらされることによって,眼が損傷する危険性。
3.1.14
光網膜症(photoretinitis)
網膜が極めて強い放射にさらされることに起因する光化学作用によって生じる網膜の損傷。
注記 光黄斑変性症という用語も,網膜の中心か(窩)−黄斑部における光網膜症を指す場合に用い
られる。
3.1.15
パルス光源(pulsed light source)
単一パルス又はパルス列の形態でエネルギーを供給する光源をいい,各パルスの持続時間が0.25秒未満
のものをいう。
注記1 連続パルス列又は変調された放射エネルギーを伴う光源であって,ピーク放射強度が最小放
射強度の10倍以上であるものは,パルス光源である。
注記2 パルス持続時間とは,パルスの瞬時値がそのパルスの大きさの特定の割合又は特定のしきい
値に達する最初の瞬間から最後の瞬間までの時間間隔である。
3.1.16
放射輝度,L(radiance)
(ある実平面又はある仮想平面上の所定の点における所定の方向の)放射輝度は,次の式(2)によって定
義される量。
Ω
Α
Φ
L
d
cos
d
d
×
×
=
θ
····································································· (2)
ここに,
dΦ: その所定の点を通過し,その所定の方向を含む立体角dΩで伝
4
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ぱ(播)する微小光束によって伝達される放射束。
dA: その光束の面積のうち,与えられた所定の点を含む断面の面
積。
θ: その断面の法線とその光束の方向とのなす角度。
注記1 Lに対するその放射束dΦを放射エネルギーdQに置き換えることで,時間積分放射輝度Liに
対しても同様に定義できる。
注記2 放射輝度は,1 sr,1 cm2当たりのワット数,W/(sr・cm2)の単位で表す。時間積分した放射輝
度は,1 sr,1 cm2当たりのジュール数,J/(sr・cm2)の単位で表す。
3.1.17
放射露光量,H(radiant exposure)
(所定の持続時間にわたる,ある表面の一点における)放射露光量は,その所定の持続時間にわたって,
その点を含む面積要素に入射する放射エネルギーdQを,上記要素の面積dAで除した商。すなわち,次の
式(3)で示される。
A
Q
H
d
d
=
··················································································· (3)
又は,放射露光量は,所定の点における放射照度Eを所定の持続時間tについて積分した値。すなわち,
次の式(4)で示される。
∫∆
×
=
t
t
E
H
d ············································································· (4)
注記 放射露光量は,1 cm2当たりのジュール数,J/cm2の単位で表す。
3.1.18
走査レーザ放射(scanning laser radiation)
基準とする静止基準系に対して伝ぱ(播)の方向,起点,又はパターンが時間的に変化するレーザ放射。
3.1.19
分光放射照度,Eλ(spectral irradiance)
ある面積要素に入射する放射束のうち波長間隔dλ内の分光放射dΦ(λ)を,その要素の面積dA及び上記
波長間隔dλで除した商。すなわち,次の式(5)で示される。
λ
λ
λ
d
d
)
(
d
×
=AΦ
E
············································································ (5)
注記 分光放射照度は,1 cm2,1 nm当たりのワット数,W/(cm2・nm)の単位で表す。
3.1.20
分光放射輝度,Lλ(spectral radiance)
(所定の点における所定の方向の波長間隔dλについての)分光放射輝度は,その点を通過しその所定の
方向を含む立体角dΩ内を伝ぱ(播)する波長間隔dλの分光放射束dΦ(λ)と,その波長間隔dλと,その所
定の点を含み伝ぱ(播)方向に直交する平面で切った前記光束の断面積(cosθ・dA),及びその立体角dΩ
の積との比。すなわち,次の式(6)で示される。
λ
θ
λ
λ
d
d
cos
d
)
(
d
×
×
×
=
Ω
A
Φ
L
······························································ (6)
注記 分光放射輝度は,1 sr,1 cm2,1 nm当たりのワット数,W/(sr・cm2・nm)の単位で表す。
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3.2
記号
この規格で用いる記号,物理量及び単位を表1に示す。
表1−記号,物理量及び単位
記号
物理量
単位
E
(ある表面上のある点における)放射照度
W/cm2
Eλ
分光放射照度
W/(cm2・nm)
L
(ある実平面又はある仮想平面の所定の点における所定の方向の)放射輝度
W/(sr・cm2)
Lλ
(所定の点における所定の方向の波長間隔dλについての)分光放射輝度
W/(sr・cm2・nm)
Li
時間積分した放射輝度
J/(sr・cm2)
H
(ある表面のある点における所定の持続時間にわたる)放射露光量
J/cm2
Hλ
分光放射露光量
J/(cm2・nm)
ES-CL
S(λ)で重み付けした角膜及び水晶体での紫外光による放射照度
W/cm2
EUV-CL
重み付けしていない角膜及び水晶体での紫外光による放射照度
W/cm2
EA-R
A(λ)で重み付けした網膜での放射照度
W/cm2
EIR-CL
重み付けしていない角膜及び水晶体での赤外光による放射照度
W/cm2
EVIR-AS
重み付けしていない前眼部での可視光及び赤外光による放射照度
W/cm2
EVIR-R
R(λ)で重み付けした網膜での可視光及び赤外光による熱放射照度
W/cm2
LA-R
A(λ)で重み付けした網膜での放射輝度
W/(sr・cm2)
Li,A-R
A(λ)で重み付けした網膜での時間積分した放射輝度
J/(sr・cm2)
Li,VIR-R
R(λ)で重み付けした網膜での可視光及び赤外光による時間積分熱放射輝度
J/(sr・cm2)
LVIR-R
R(λ)で重み付けした網膜での可視光及び赤外光による熱放射輝度
W/(sr・cm2)
HVIR-R
R(λ)で重み付けした網膜での可視光及び赤外光による熱放射露光量
J/cm2
HIR-CL
重み付けしていない角膜及び水晶体での赤外光による放射露光量
J/cm2
HVIR-AS
重み付けしていない前眼部での可視光及び赤外光による放射露光量
J/cm2
HS-CL
S(λ)で重み付けした角膜及び水晶体での紫外光による放射露光量
J/cm2
HUV-CL
重み付けしていない角膜及び水晶体での紫外光による放射露光量
J/cm2
HA-R
A(λ)で重み付けした網膜での放射露光量
J/cm2
S(λ)
紫外光によるハザードの重み付け関数(附属書A参照)
−
A(λ)
無水晶体眼に対する光化学性の光ハザードの重み付け関数(附属書A参照)
−
R(λ)
可視光及び赤外光による熱ハザードの重み付け関数(附属書A参照)
−
Δλ
分光加算区間(分光波長間隔)
nm
t
露光時間
パルス機器の場合:当該機器が生成する単一パルス及び任意のパルス群についての
露光時間
s
Δt
パルス幅(最大0.25秒)
s
Eλ・t
分光放射露光量
J/(cm2・nm)
(Eλ・Δt)
Δtにおける分光放射露光量
J/(cm2・nm)
4
分類
この規格では,眼光学機器を,潜在的な危険をもたらす可能性がある機器とそうでない機器とを区別す
るために,次の二つのグループに分類する。
a) グループ1機器
b) グループ2機器
注記 この分類手順については,参考として附属書Fにフローチャートを示す。
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5
要求事項
5.1
概要
眼光学機器は,その機器の意図する使用法を維持した上で,全ての波長のエネルギーができる限り減衰
するように設計しなければならない。
他の装置と眼光学機器とを組み合わせて使用する場合,接続されたシステムは,いずれの機器の光放射
についての安全性も損なってはならず,かつ,組み合わされたシステムの光ハザードが,この規格に規定
したレベルを超えてはならない。
走査型機器は,走査長が測定開口絞りの直径よりも長い場合には,パルス機器の基準を用いて評価する。
走査長が測定開口絞り以下の場合には,走査型機器は,連続波の基準を用いて評価する。
5.2
グループ1機器として分類するための要求事項
次の基準のいずれか又は全てが当てはまる場合に,眼光学機器をグループ1に分類する。
a) 当該機器の個別規格が存在するが,光ハザードに対する要求事項が個別規格に含まれていない。
b) 当該機器の構成要素,例えば,ランプ,発光ダイオード,固定式のフィルタ,レンズ,ファイバなど
によって,放射量がグループ1機器について規定された限界値を超えないようになっており,その証
明が存在する。このような機器は,更なる測定を必要とせず,当該構成要素自体の製造者による試験
証明書によって,グループ1に分類する。このような構成要素が,グループ1機器について規定した
放射量の全部ではなく一部を遮断する場合,遮断される波長については測定が不要であり,遮断され
ない波長についてだけ測定する。
c) 当該眼光学機器の唯一の光源が,JIS C 6802:2005の分類によるクラス1のレーザである。
d) 当該眼光学機器の放射量が,6.2によって試験したとき,5.4に規定する限界値以下である。
光ハザードに対する要求事項を含む既存の個別規格を参考として附属書Bに示す。グループ1に分類す
ると判断するための限界値は,機器のタイプを考慮した想定露光時間を基に決定する。5.4に規定するグル
ープ1の限界値の基になっている露光時間(基準露光時間)は,2時間である。これらの限界値を,手術
用顕微鏡,眼内照明装置又は連続露光(2時間以上)用に設計された機器を除く全ての眼光学機器に適用
する。手術用顕微鏡及び眼内照明装置については,(想定露光時間を4時間とし)グループ1の限界値を
更に係数2で除す。連続露光用に設計された機器に対しては,限界値は当該機器の意図された使用法にお
ける想定露光時間の1/2の係数(すなわち,想定露光時間/基準露光時間)で除す。
例 想定露光時間が6時間であった場合は,1/2の係数である3で除す。
5.3
グループ2の機器に対する要求事項
5.3.1
グループ2機器は,5.5に規定する放出限界値及びガイドラインによる。
5.3.2
適合しているかどうかの判断に用いる試験方法は,6.3及び6.4による。ただし,当該機器で使用
している構成要素,例えば,ランプ,発光ダイオード,固定式のフィルタ,レンズ,ファイバなどによっ
て,グループ2機器について規定した放射量の全部ではなく一部を遮断する場合であって,それぞれの構
成要素の試験証明書がある場合,遮断される波長については測定が不要であり,遮断されない波長につい
てだけ測定する。
5.3.3
グループ2機器では,光量を変化させる機器上の箇所に,最大強度及び最大強度との割合を示す表
示(インジケータ)を設ける。
5.3.4
グループ2機器では,箇条7で規定する情報を提供する。
7
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5.4
グループ1に分類されると判断するための放出限界値
5.4.1
連続波機器(連続波光源をもつ機器)
連続波機器の基準として直接適用される,角膜及び水晶体,若しくは網膜での最大放射照度,又は眼光
学機器の最大放射輝度についての放出限界値を表2に示す。それぞれの光ハザードの基準値に対する評価
は,それぞれの放射について表2に示す式を用いて行う。これらの式で用いる物理量の説明,及び関連す
る単位については表1による。
光源から250〜400 nmの波長の光が放出されないか,又はフィルタによって遮断されている場合,表2
の5.4.1.1及び5.4.1.2の測定は不要である。
表2−連続波機器に対するグループ1の限界値
パラメータ
波長
nm
式
限界値
5.4.1.1 重み付けした角膜及び水晶体で
の紫外光による放射照度(ES-CL)
250〜400
∑
∆
×
×
=
−
400
250
CL
S
)
(
λ
λ
λS
E
E
0.4 μW/cm2
角膜及び水晶体での紫外光による放射照度は,角膜面の直径1 mmの
円形領域(7.9×10−3 cm2)に入射する最大局所放射束を平均すること
によって値を求める。
5.4.1.2 重み付けしていない角膜及び水
晶体での紫外光による放射照度
(EUV-CL)
360〜400
∑
∆
×
=
−
400
360
CL
UV
λ
λ
E
E
1 mW/cm2
角膜及び水晶体での紫外光による放射照度は,角膜面の直径1 mmの
円形領域(7.9×10−3 cm2)に入射する最大局所放射束を平均すること
によって値を求める。
5.4.1.3 無水晶体眼の網膜に対する光化
学性の光ハザード
a)及びb)に規定する限界値は互い
に等価である。無水晶体眼の網膜
に対する光化学性の光ハザード
は,a)又はb)のどちらかで評価す
ればよい。
a)
重み付けした網膜での放射照度
(EA-R)
305〜700
∑
∆
×
×
=
−
700
305
R
A
)
(
λ
λ
λA
E
E
220 μW/cm2
網膜での放射照度は,角膜における直径7 mmの絞りを通して検出可
能な放射束とし,網膜上の直径0.18 mmの円形領域(2.54×10−4 cm2)
に入射する最大局所放射束を平均することによって求める。ただし,
固定された眼に対して使用する機器は,直径0.18 mmの開口絞りの代
わりに,直径0.03 mmの開口絞り(7.07×10−6 cm2)を用いる。
b)
重み付けした網膜での放射輝度
(LA-R)
305〜700
∑
∆
×
×
=
−
700
305
R
A
)
(
λ
λ
λA
L
L
2 mW/(sr・cm2)
放射輝度の測定値は,角膜における直径7 mmの絞りを通して検出可
能な放射束とし,0.011 radの直円すい(錐)視野にわたり平均するこ
とによって求める。ただし,固定された眼に対して使用する機器は,
0.011 radの視野の代わりに,0.001 75 radの視野を用いる。
5.4.1.4 重み付けしていない角膜及び水
晶体での赤外光による放射照度
(EIR-CL)
770〜2 500
∑
∆
×
=
−
500
2
770
CL
IR
λ
λ
E
E
20 mW/cm2
角膜での放射照度は,角膜面の直径1 mmの円形領域(7.9×10−3 cm2)
に入射する最大局所放射束を平均することによって求める。
8
T 15004-2:2013 (ISO 15004-2:2007)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表2−連続波機器に対するグループ1の限界値(続き)
パラメータ
波長
nm
式
限界値
5.4.1.5 重み付けしていない前眼部での
可視光及び赤外光による放射照
度(EVIR-AS)
(収束ビームの場合だけ)
380〜1 200
∑
∆
×
=
−
200
1
380
AS
VIR
λ
λ
E
E
4 W/cm2
前眼部での放射照度は,ビームウェスト位置における直径1 mmの円
形領域(7.9×10−3 cm2)に入射する最大局所放射束を平均することに
よって求める。
5.4.1.6 網膜での可視光及び赤外光によ
る熱ハザード
a)及びb)に規定する限界値は,互
いに等価である。網膜での可視光
及び赤外光による熱ハザードは,
a)又はb)のどちらかで評価すれば
よい。
a)
重み付けした網膜での可視光及
び赤外光による熱放射照度
(EVIR-R)
380〜1 400
∑
∆
×
×
=
−
400
1
380
R
VIR
)
(
λ
λ
λR
E
E
0.7 W/cm2
照射された網膜領域において放射照度が最大となる位置を特定する。
次いで,最大放射照度位置を中心とする0.03 mmの網膜円形領域に入
射する分光放射束(ΦVIR-R,単位:ワット)をこの円形の面積(7.07
×10−6 cm2)で除すことによって,重み付けした網膜での可視光及び
赤外光による放射照度EVIR-Rを計算する。この計算を行う手順につい
ては附属書Dによる。
b)
重み付けした網膜での可視光及
び赤外光による熱放射輝度
(LVIR-R)
380〜1 400
∑
∆
×
×
=
−
400
1
380
R
VIR
)
(
λ
λ
λR
L
L
6 W/(sr・cm2)
放射輝度の測定値は,角膜面の直径7 mmの絞りを通して検出可能な
放射束とし,0.001 75 radの直円すい(錐)視野にわたり平均すること
によって求める。
5.4.2
パルス機器(パルス光源をもつ機器)
連続モードで動作し得るグループ1のパルス機器の紫外放射限界値は,グループ1の連続波機器の値と
同じである。この場合,繰返しパルス機器からの露光量を時間平均することによって修正し,この時間平
均値に対し連続波機器の限界値を適用する。ここで時間平均値は,機器の意図する使用条件に基づく時間
内に放射可能な最大エネルギーを,その時間で除すことによって求める(例1及び例2参照)。
例1 重み付けした角膜及び水晶体での紫外光による放射照度(ES-CL)についての時間平均限界値に
対する有効放射照度は,1パルス当たり1 μJ/cm2のエネルギーのパルスを5秒間に10パルス放
出する機器の場合,10 μJ/cm2/5 s=2 μW/cm2である。したがって,この値はグループ1の限界
値である0.4 μW/cm2よりも大きいことになる。
例2 1パルス当たり1 μJ/cm2のエネルギーのパルスを10秒間に2パルス放出する機器についての時
間平均放射照度は,2 μJ/cm2/10 s=0.2 μW/cm2である。この値はグループ1の限界値である0.4
μW/cm2未満である。
パルス機器に適用する角膜,水晶体,前眼部又は網膜での赤外光による放射露光量に対する限界値を表
3に示す。これらの限界値は,単一パルス及び任意のパルス群のいずれにも適用する。それぞれの光ハザ
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ードの評価は,それぞれの放射について表3に示す式を用いて行う。これらの式で用いる物理量の説明及
び関連する単位は表1による。
パルス機器は,それらの最大強度出力で評価する。
パルス機器の評価における公称パルス継続時間(Δt)は,このパルスの半値幅に等しい時間間隔によっ
て決定する。エネルギー積分時間(t)は,個々のパルスについては全パルス幅の時間であり,複数のパル
スについては,個々のパルス及びパルスの組合せを含む時間である。
表3−パルス機器に対するグループ1の可視光及び赤外放射の限界値
パラメータ
波長
nm
式
限界値
5.4.2.1 重み付けした網膜での可視光及
び赤外光による熱ハザード
a)及びb)に規定する限界値は互い
に等価である。重み付けした網膜
での可視光及び赤外光による熱
ハザードは,a)又はb)のいずれか
で評価する。
a)
重み付けした網膜での可視光及
び赤外光による熱放射露光量
(HVIR-R)
380〜1 400
∑
∆
×
×
∆
×
=
−
400
1
380
R
VIR
)
(
)
(
λ
λ
λ
R
t
E
H
6 t3/4 J/cm2
(注記1及び注記
2を参照)
網膜での熱放射露光量は,角膜における直径7 mmの絞りを通して検
出される放射束とし,網膜上の直径0.03 mmの円形領域(7.07×10−6
cm2)に入射する最大局所放射エネルギーを平均することによって求め
る。この計算を行う手順は附属書Dによる。
b)
重み付けした網膜での可視光及
び赤外光による時間積分熱放射
輝度(Li,VIR-R)
380〜1 400
∑
∆
×
×
∆
×
=
−
400
1
380
R
VIR
,i
)
(
)
(
λ
λ
λ
R
t
L
L
50 t3/4 J/(sr・cm2)
網膜での時間積分熱放射輝度は,角膜における直径7 mmの絞りを通
して検出可能な放射エネルギーとし,0.001 75 radの直円すい(錐)視
野にわたり平均することによって求める。
5.4.2.2 重み付けしていない角膜及び水
晶体での赤外光による放射露光
量(HIR-CL)
770〜2 500
∑
∆
×
=
−
500
2
770
CL
IR
λ
λ
H
H
1.8 t1/4 J/cm2
角膜及び水晶体での放射露光量は,角膜面の直径1 mmの円形領域(7.9
×10−3 cm2)に入射する最大局所放射エネルギーを平均することによ
って求める。
5.4.2.3 重み付けしていない前眼部での
可視光及び赤外光による放射露
光量(HVIR-AS)
(収束ビームの場合)
380〜1 200
∑
∆
×
=
−
200
1
380
AS
VIR
λ
λ
H
H
25 t1/4 J/cm2
前眼部での放射露光量は,ビームウェスト位置における直径1 mmの
円形領域(7.9×10−3 cm2)に入射する最大局所放射露光量を平均する
ことによって求める。
注記1 パルス機器の場合,20秒以下の全ての時間範囲(t,単位:秒)について限界値を求める。20秒以上の露
光時間の場合,限界値は,表2の5.4.1.4,5.4.1.5及び5.4.1.6で規定したグループ1の連続波機器に対する
限界値と同じである。
注記2 繰返しパルスレーザの場合,5.4.2.1 a)及びb)の網膜に対する限界値は,補正係数N −1/4で小さくする。こ
こでNはパルス数である。例えば,20パルスを放出する機器の補正係数は,0.474である。したがって5.4.2.1
a)の場合,限界値は2.8 t3/4 J/cm2になり,5.4.2.1 b)では,限界値は23.7 t3/4 J/(sr・cm2)になる。
5.4.3
光源が複数ある機器に対する制限
複数の光源が眼内又は眼の同一部位を照射するように設計した機器からの光放射量は,単体の光源ごと
10
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に適用するそれぞれの限界値以下でなければならない。これら複数の光源を意図したとおりに順次又は同
時に使用する全ての場合について,眼の各表面(角膜,水晶体又は網膜)への放射量は,式(7)を満足しな
ければならない。
1
Limit
)
,
,
(
...
Limit
)
,
,
(
Limit
)
,
,
(
2
2
1
1
≦
i
i
L
H
E
L
H
E
L
H
E
+
+
+
··································· (7)
ここに,
E: 放射照度又は有効放射照度
H: 放射露光量又は有効放射露光量
L: 放射輝度又は積分放射輝度
Limit: 限界値
i: i番目の光源
( )内のコンマで区切られた各量は,式の表記を簡便にするためのもので,分
母の限界値によっていずれか一つを選択すればよい。
5.5
グループ2機器に対する放出限界値及びガイドライン
5.5.1
連続波機器
連続波機器に適用する角膜及び水晶体での放射露光量,網膜での放射露光量又は積分放射輝度,角膜及
び水晶体での放射照度,前眼部での放射照度,並びに網膜での放射照度又は放射輝度に対する限界値を表
4に示す。それぞれの光ハザードの評価は,それぞれの放射について表4に示す式を用いて行う。これら
の式で用いる物理量の説明及び関連する単位は表1による。
光源から250〜400 nmの光が放出されないか,又はフィルタによって遮断されている場合は,表4の
5.5.1.1及び5.5.1.2の測定は不要である。
表4−連続波機器に対するグループ2の限界値
パラメータ
波長
nm
式
限界値
5.5.1.1 重み付けした角膜及び水晶体で
の紫外光による放射露光量
(HS-CL)
250〜400
∑
∆
×
×
×
=
−
400
250
CL
S
)
(
)
(
λ
λ
λ
S
t
E
H
3 mJ/cm2
角膜での放射露光量は,角膜面の直径1 mmの円形領域(7.9×10−3 cm2)
に入射する最大局所放射エネルギーを平均することによって求める。
5.5.1.2 重み付けしていない角膜及び水
晶体での紫外光による放射露光
量(HUV-CL),又は放射照度(EUV-CL)
360〜400
∑
∆
×
×
=
−
400
360
CL
UV
)
(
λ
λt
E
H
∑
∆
×
=
−
400
360
CL
UV
λ
λ
E
E
t<1 000秒の場合
1 J/cm2
t≧1 000秒の場合
1 mW/cm2
角膜での放射露光量は,角膜面の直径1 mmの円形領域(7.9×10−3 cm2)
に入射する最大局所放射エネルギーを平均することによって求める。
5.5.1.3 重み付けしていない角膜及び水
晶体での赤外光による放射照度
(EIR-CL)
770〜2 500
∑
∆
×
=
−
500
2
770
CL
IR
λ
λ
E
E
100 mW/cm2
角膜での放射照度は,角膜面の直径1 mmの円形領域(7.9×10−3 cm2)
に入射する最大局所放射束を平均することによって求める。
5.5.1.4 重み付けしていない前眼部での
可視光及び赤外光による放射照
度(EVIR-AS)
(収束ビームの場合)
380〜1 200
∑
∆
×
=
−
200
1
380
AS
VIR
λ
λ
E
E
20 W/cm2
重み付けしていない前眼部での放射照度は,角膜面の直径0.5 mmの円
形領域(2.0×10−3 cm2)に入射する最大局所放射束を平均することに
よって求める。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表4−連続波機器に対するグループ2の限界値(続き)
パラメータ
波長
nm
式
限界値
5.5.1.5 網膜での可視光及び赤外光によ
る熱ハザード
a)及びb)に規定する限界値は互い
に等価である。網膜での可視光及
び赤外光による熱ハザードはa)又
はb)のいずれかで評価する。
a)
重み付けした網膜での可視光及
び赤外光による熱放射照度
(EVIR-R)
380〜1 400
()
λ
λ
λ
∆
×
×
=∑
−
400
1
380
R
VIR
R
E
E
r
2.1
d
W/cm2
限界値の式中に用いているミリメートルで表したdrは,通常の使用条
件下での標準的な眼における,光源の網膜像の最小直径である(drの
値を求める手順は附属書Dによる。)。ただし,求めたdrが1.7 mm以
上の場合,drには1.7 mmを用いる。また,求めたdrが0.03 mm以下
の場合,drには0.03 mmを用いる。
網膜での放射照度は,角膜における直径7 mmの絞りを通して検出可
能な放射束とし,網膜上の直径0.03 mmの円形領域(7.07×10−6 cm2)
に入射する最大局所放射束を平均することによって求める。この計算
を行う手順は附属書Dによる。
注記 0.03 mmをdrとして用いる場合,放射照度は,眼に入射する放
射束(ΦVIR-R,単位:ワット)を直径0.03 mmの円の面積(7.07
×10−6 cm2)で除すことによって,より簡単に得ることができ
る。
b)
重み付けした網膜での可視光及
び赤外光による熱放射輝度
(LVIR-R)
380〜1 400
()
λ
λ
λ
∆
×
×
=∑
−
400
1
380
R
VIR
R
L
L
r
10
d W/(sr・cm2)
限界値の式中に用いているミリメートルで表したdrは,通常の使用条
件下での標準的な眼における,光源の網膜像の最小直径である(drの
値を求める手順は附属書Dによる。)。ただし,求めたdrが1.7 mm以
上の場合,drには1.7 mmを用いる。また,求めたdrが0.03 mm以下
の場合,drには0.03 mmを用いる。
放射輝度は,角膜における直径7 mmの絞りを通して検出可能な放射
束とし,0.001 75 radの直円すい(錐)視野にわたり平均することによ
って求める。
注記 5.5.1.1及び5.5.1.2で規定した限界値は,7 200秒以下の全ての時間範囲(t,単位:秒)に対して適用する。
手術用顕微鏡,眼内照明装置及び連続露光用に設計した機器ではこれらの限界値を用いずに,5.2で規定した
ように限界値を更に小さくして用いる。
重み付けした網膜での放射露光量(無水晶体眼に対する光化学性の光ハザード)について表5に規定す
る値はガイドラインである。グループ2機器については,重み付けした網膜に対する光化学性の光ハザー
ドに対する限界値を設定しない。
12
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表5−連続波機器に対するグループ2のガイドライン
パラメータ
波長
nm
式
ガイドライン
5.5.1.6 網膜での放射露光量のガイドラ
イン(無水晶体眼に対する光化学
性の光ハザード)
a)及びb)に規定するガイドライン
は互いに等価である。網膜に対す
る光化学性の光ハザードはa)又は
b)のいずれかで評価する。
a)
重み付けした網膜での放射露光
量(HA-R)
305〜700
(
)
()
λ
λ
λ
∆
×
×
×
=∑
−
A
t
E
H
700
305
R
A
10 J/cm2
網膜での放射照度は,角膜における直径7 mmの絞りを通して検出可
能な放射束とし,網膜上の直径0.18 mmの円形領域(2.54×10−4 cm2)
に入射する最大局所放射束を平均することによって求める。ただし,
固定した眼に対して使用するように設計した機器の場合は,直径0.18
mmの開口絞りの代わりに,直径0.03 mmの開口絞り(7.07×10−6 cm2)
を用いる。
b)
重み付けした網膜での時間積分
放射輝度(Li,A-R)
305〜700
(
)
()
λ
λ
λ
∆
×
×
×
=∑
−
A
t
L
L
700
305
R
A
i,
100 J/(sr・cm2)
放射輝度は,角膜における直径7 mmの絞りを通して検出可能な放射
束とし,0.011 radの直円すい(錐)視野にわたり平均することによっ
て求める。ただし,固定した眼に対して使用するように設計した機器
の場合,0.011 radの視野の代わりに,0.001 75 radの視野を用いる。
注記 眼の病理診断には可視光が必要であり,そのため可視光は,直像鏡及び倒像鏡,スリットラン
プ顕微鏡,手術用顕微鏡,眼内照明装置などの機器で一般に使用される。病気の診断又は眼科
手術中の可視化に必要な可視放射に対して限界値を設定することは妥当ではない。術者は,長
時間の複雑な手術中に,危険と分かっている露光レベルを超えて使用しなければならないこと
がある。また,臨床医も,眼の病理診断を行うための長時間の眼の検査中に,危険と分かって
いる露光レベルを超えて使用しなければならないことがある。このことから,可視光について
は,限界値ではなく危険露光ガイドラインを設定する。これによって臨床医は,使用する機器
に関連して生じ得る潜在的な光ハザードを認識する。
5.5.2
パルス機器
パルス機器におけるグループ2の紫外放射限界値は,連続波機器のグループ2の限界値を使用して求め
る。この場合,繰返しパルス機器からの露光量を時間平均することによって修正し,この時間平均値に対
し連続波機器の限界値を適用する。ここで時間平均値は,機器の意図する使用条件に基づく時間内に放射
可能な最大エネルギーを,その時間で除すことによって求める(例1及び例2参照)。
例1 1パルス当たり1 mJ/cm2のエネルギーのパルスを5秒間に10回放出する機器における時間平均
放射照度は,(10 mJ/cm2)/5 s=2 mW/cm2である。そのため,5秒間の放射露光量は,5 s×2 mW/cm2
=10 mJ/cm2になる。したがって,この値は,グループ2の限界値である3 mJ/cm2よりも大き
いことになる。
例2 1パルス当たり1 mJ/cm2のエネルギーのパルスを10秒間に2回放出する機器における時間平均
放射照度は,(2 mJ/cm2)/10 s=0.2 mW/cm2である。そのため,10秒間の放射露光量は,10 s×0.2
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T 15004-2:2013 (ISO 15004-2:2007)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
mW/cm2=2 mJ/cm2になり,この値は3 mJ/cm2未満である。
パルス機器に適用する重み付けした網膜での可視光及び赤外光による熱放射露光量又は積分熱放射輝
度,重み付けしていない角膜及び水晶体での赤外放射露光量,並びに重み付けしていない前眼部での可視
光及び赤外光による放射露光量(収束ビームの場合)に対する限界値を表6に示す。それぞれの光ハザー
ドの評価は,それぞれの放射について表6に示す式を用いて行う。これらの式で用いる物理量の説明及び
関連する単位については表1による。
パルス機器は,それらの最大強度出力で評価する。
パルス機器の評価における公称パルス継続時間(Δt,単位:秒)は,このパルスの半値幅に等しい時間
間隔によって決定する。エネルギー積分時間(t,単位:秒)は,個々のパルスについては全パルス幅の時
間であり,複数のパルスについては,個々のパルス及びパルスの組合せを含む時間である。
表6−パルス機器に対するグループ2の可視光及び赤外放射限界値
パラメータ
波長
nm
式
限界値
5.5.2.1 網膜に対する可視光及び赤外光
による熱ハザード
a)及びb)に規定する限界値は互い
に等価である。網膜での可視光及
び赤外光による熱ハザードはa)又
はb)のいずれかで評価する。
a)
重み付けした網膜での可視光及
び赤外光による熱放射露光量
(HVIR-R)
380〜1 400
(
)
()
λ
λ
λ
∆
×
×
∆
×
=∑
−
R
t
E
H
400
1
380
R
VIR
4
/3
r
10t
d
J/cm2
限界値の式中に用いているミリメートルで表したdrは,通常使用条件
下での標準的な眼における,光源の網膜像の最小直径である(drの値
を求める手順は附属書Dによる。)。ただし,求めたdrが1.7 mm以上
の場合,drには1.7 mmを用いる。また,求めたdrが0.03 mm以下の
場合,drには0.03 mmを用いる。
網膜での放射露光量は,角膜における直径7 mmの絞りを通して検出
可能な放射エネルギーとし,網膜上の直径0.03 mmの円形領域(7.07
×10−6 cm2)に入射する最大局所放射エネルギーを平均することによ
って求める。この計算を行う手順は附属書Dによる。
b)
重み付けした可視光及び赤外光
による時間積分放射輝度(Li,VIR-R)
380〜1 400
(
)
()
λ
λ
λ
∆
×
×
∆
×
=∑
−
R
t
L
L
400
1
380
R
VIR
i,
r
4
/3
85
d
t
J/(sr・cm2)
限界値の式中に用いているミリメートルで表したdrは通常使用条件下
での標準的な眼における光源の網膜像の最小直径である(drの値を求
める手順は附属書Dによる。)。ただし,求めたdrが1.7 mm以上の場
合,drには1.7 mmを用いる。また,求めたdrが0.03 mm以下の場合,
drには0.03 mmを用いる。
放射輝度は,角膜における直径7 mmの絞りを通して検出可能な放射
束とし,0.001 75 radの直円すい(錘)視野にわたり平均することによ
って求める。
14
T 15004-2:2013 (ISO 15004-2:2007)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表6−パルス機器に対するグループ2の可視光及び赤外放射限界値(続き)
パラメータ
波長
nm
式
限界値
5.5.2.2 重み付けしていない角膜及び水
晶体での赤外光による放射露光
量(HIR-CL)
770〜2 500
∑
∆
×
=
−
500
2
770
CL
IR
λ
λ
H
H
1.8 t1/4 J/cm2
角膜での放射露光量は,角膜面の直径1 mmの円形領域(7.9×10−3 cm2)
に入射する最大局所放射エネルギーを平均することによって求めるも
のとする。
5.5.2.3 重み付けしていない前眼部での
可視光及び赤外光による放射露
光量(HVIR-AS)
(収束ビームの場合)
380〜1 200
∑
∆
×
=
−
200
1
380
AS
VIR
λ
λ
H
H
25 t1/4 J/cm2
前眼部での放射露光量は,ビームウェスト位置における直径0.5 mmの
円形領域(2×10−3 cm2)に入射する最大局所放射エネルギーを平均す
ることによって求める。
注記1 パルス機器の場合,20秒以下の全ての時間範囲(t,単位:秒)について限界値を求める。20秒以上の露
光時間の場合,限界値は,表4の5.5.1.3,5.5.1.4及び5.5.1.5で規定したグループ2の連続波機器に対する
限界値と同じである。
注記2 繰返しパルスレーザの場合,5.5.2.1 a)及びb)の網膜に対する限界値は,補正係数N−1/4によって小さくする。
ここでNはパルス数である。例えば,20パルスを放出する機器の補正係数は,0.474である。したがって
繰返しパルスレーザの場合,HVIR-Rについての限界値の式中の10は4.74になり,LVIR-Rについての限界値
の式中の係数85は40.5になる。
5.5.3
光源が複数ある機器
5.5.3.1
光源が複数ある機器に対する制限
複数の光源が眼内又は眼の同一部位を照射するように設計した機器からの光放射量は,単体の光源ごと
に適用するそれぞれの限界値以下でなければならない。意図したとおりに順次又は同時に使用する全ての
場合について,眼の各表面(角膜,水晶体又は網膜)への放射量は,式(8)を満足しなければならない。
(
)
(
)
(
)
1
Limit
,
,
...
Limit
,
,
Limit
,
,
2
2
1
1
≦
i
i
L
H
E
L
H
E
L
H
E
+
+
+
········································· (8)
ここに,
E: 放射照度又は有効放射照度
H: 放射露光量又は有効放射露光量
L: 放射輝度又は積分放射輝度
Limit: 限界値
i: i番目の光源
( )内のコンマで区切られた各量は,式の表記を簡便にするためのもので,分
母の限界値によっていずれか一つを選択すればよい。
5.5.3.2
光源が複数ある機器に対するガイドライン
複数の光源が網膜上の同一部位を照射するように設計した機器からの光放射量についてのガイドライン
は,これら複数の光源を1日のうちに意図したとおりに順次又は同時に使用する全ての場合について,式
(9)を満足しなければならない。
...
cm
J
10
,
cm
sr
J
100
,
cm
J
10
cm
J
10
,
cm
sr
J
100
,
cm
J
10
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
1
2
1
1
2
1
1
2
1
1
+
+
E
t
L
t
H
n
E
t
L
t
H
n
1
cm
J
10
,
cm
sr
J
100
,
cm
J
10
2
2
2
≦
i
i
i
i
i
i
i
E
t
L
t
H
n
+
·········································· (9)
15
T 15004-2:2013 (ISO 15004-2:2007)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
ここに,
E: 放射照度又は有効放射照度
H: 1パルス当たりの放射露光量又は有効放射露光量
L: 放射輝度又は積分放射輝度
i: i番目の光源
t1,t2及びti: 光源1,2及びiそれぞれについての最大パルス数と組
み合わせたときの最大想定露光時間
n1,n2及びni: 光源1,2及びiそれぞれについての予期された最大露
光時間と組み合わせたときの最大想定パルス数
( )内のコンマで区切られた各量は,式の表記を簡便にするためのもので,い
ずれか一つを選択すればよい。
6
試験方法
6.1
概要
全ての試験は形式試験である。全ての測定は,当該機器の意図した作動距離で行う。
6.2
機器をグループ1又はグループ2に分類するための測定
機器をグループ1又はグループ2に分類するための測定において,不確かさ(参考文献[2]を参照)の最
大値は,5.4で規定された放出限界値と測定値の差以下でなければならない(すなわち,測定値≦放出限
界値−不確かさ)。青色光ハザード,紫外光ハザード,及び網膜に対する熱ハザードを測定できるような
広帯域放射計を使用すれば十分な情報が得られる場合がある。光源の分光分布が分かっている場合には,
輝度計及び照度計も使用できる。広帯域計器を使用しない場合は,附属書Dに規定する測定方法を用いる。
また,放射照度を直接測定する方法を参考として附属書Eに記載する。
6.3
グループ2の機器:測定
この細分箇条は,分光放射照度,分光放射輝度,分光放射露光量,時間積分分光放射輝度,放射照度,
放射露光量,分光的に重み付けした放射照度,分光的に重み付けした放射輝度,分光的に重み付けした放
射露光量,及び分光的に重み付けした時間積分放射輝度の放射量に適用する。
5.5への適合性を評価するための測定において,分光放射照度,分光放射輝度,分光放射露光量,及び
時間積分分光放射輝度の値における不確かさは±30 %未満とする。
分光放射照度,分光放射輝度,分光放射露光量,及び時間積分分光放射輝度の測定は,附属書Aで用い
られている各波長を中心に設定し,推奨波長幅は,附属書Aに示すように5 nm又は10 nmとする。推奨
測定単位は,分光放射照度については,1 cm2当たりかつ1 nm当たりのミリワット数[mW/(cm2×nm)]で
あり,分光放射露光量については,1 cm2当たりかつ1 nm当たりのジュール数[J/(cm2・nm)]である。こ
れらの値は,波長幅を乗じた後で,分光放射照度については,その区間での1 cm2当たりのミリワット数
(mW/cm2)として記録し,分光放射露光量については,1 cm2当たりのジュール数(J/cm2)として記録す
る。スペクトル線が狭いランプを使用する場合は,測定の波長幅として5 nm未満を必要とする場合があ
る。
6.4
面積の決定
面積を求めるために用いる測定方法は,±30 %の精度で行う。
注記1 不規則な断面の場合,写真フィルムを露光し,ネガ上の露光された面積を測定する方法が適
切な場合がある。
注記2 不確かさは,測定値と真値との差を推定した値である(参考文献[2]及び[3]参照)。
16
T 15004-2:2013 (ISO 15004-2:2007)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
6.5
グループ2機器:最大露光ガイドラインに達するまでの時間及びパルス数の決定
6.5.1
無水晶体眼の網膜を露光する場合の最大露光ガイドラインに達するまでの時間の決定,tmax(連続
波機器の場合)
無水晶体眼の網膜への露光において,潜在的な光ハザードに達する時間を決定するために,次の式(10)
又は式(11)のいずれかを用いる。
放射照度については,
)
cm
/
W
(
)
cm
/J(
10
)
(
2
R
A
2
R
A
max
−
−
=E
E
t
························································ (10)
放射輝度については,
)
cm
(W/(sr
)
cm
sr
(
J/
(
100
)
(
2
R
A
2
R
A
max
=
−
−
L
L
t
······················································(11)
6.5.2
無水晶体眼の網膜を露光する場合の最大露光ガイドラインに達するまでに必要なパルス数の決定,
nmax(パルス機器の場合)
無水晶体眼の網膜への露光において,潜在的な光ハザードに達するのに必要なパルス数を決定するため
に,次の式(12)又は式(13)のいずれかを用いる。
放射露光量については,
(
)
pulse
)
(J/cm
)
(J/cm
10
2
R
A
2
R
A
max
−
−
=H
H
n
·················································· (12)
時間積分放射輝度については,
(
)
pulse
))
cm
(J/(sr
))
cm
(J/(sr
100
2
R
A
2
R
A
max
×
=
×
−
−
L
t
L
t
n
······························ (13)
7
製造業者が提供する情報
グループ2機器については,次に示す特別な情報が要求される。
a) 製造業者は,使用者からの要求に応じて,機器が最大光強度及び最大開口で動作している状態での305
〜1 100 nmの相対分光出力を示すグラフを提供しなければならない。分光出力は,機器から出射され
た後の光束について示す。
b) 製造業者は,次に示す情報及び注意書きを取扱説明書の目立つ場所に記載して使用者に提供する。
1) 連続波光源の場合:
製造業者は,6.5.1で求めた潜在的な光ハザードに達するまでの時間に関する情報を使用者に提供
する。
注意書き:
“注意−本機器から放出される光には潜在的な危険性があります。照射時間が長いほど,眼を損傷
するリスクは高くなります。本機器が最大光量で動作しているときに, (例えば,xx分)以上
照射すると安全のためのガイドラインを超えることになります。”
2) パルス光源の場合:
製造業者は,6.5.2で求めた潜在的な光ハザードに達するまでのパルス数に関する情報を使用者に
提供する。
注意書き:
“注意−本機器から放出される光には潜在的な危険性があります。照射パルス数が多いほど,眼を
損傷するリスクは高くなります。本機器が最大光量で動作しているときに, (例えば,xxパル
17
T 15004-2:2013 (ISO 15004-2:2007)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
ス)以上照射すると安全のためのガイドラインを超えることになります。”
3) 網膜上の同じ点を照明可能な連続波光源が複数ある機器の場合:
製造業者は,露光ガイドラインに達する時間を求める方法に関する情報を使用者に提供する。こ
れは,それぞれに強度が設定された光源を複数組合せた機器に適用する。
注意書き:
“注意−本機器から放出される光には潜在的な危険性があります。照射時間が長いほど,眼を損傷
するリスクは高くなります。本機器が最大光量で動作しているときに, (例えば,光源1につ
いてはxx分,光源2についてはyy分,...,光源nについてはnn分)以上照射すると安全のための
ガイドラインを超えることになります。”
注記1 どの光源からの露光も累積的であり加算的である。
注記2 いずれかの光源の強度が最大強度の50 %に下がった場合,その光源についての露光ガイ
ドラインに達する露光時間は倍になる。この線形性を利用して,それぞれに強度が設定
された複数光源の組合せについての露光ガイドラインに達する時間を求めることができ
る。
注記3 重み付けした網膜での放射露光量ガイドラインは10 J/cm2である。
4) 網膜上の同じ点を照明可能なパルス光源が複数ある機器の場合:
製造業者は,露光ガイドラインに達するパルス数を求める方法に関する情報を使用者に提供する。
これは,それぞれに強度が設定された光源を複数組合せた機器に適用する。
注意書き:
“注意−本機器から放出される光には潜在的な危険性があります。照射パルス数が多いほど,眼を
損傷するリスクは高くなります。本機器が最大光量で動作しているときに, (例えば,光源1
についてはxxパルス,光源2についてはyyパルス,...,光源nについてはnnパルス)以上照射す
ると安全のためのガイドラインを超えることになります。”
注記1 どの光源からの露光も累積的であり加算的である。
注記2 いずれかの光源の強度が最大強度の50 %に下がった場合,その光源についての露光ガイ
ドラインに達する照射パルス数は倍になる。この線形性を利用して,それぞれに強度が
設定された複数光源の組合せについての露光ガイドラインに達するパルス数を求めるこ
とができる。
注記3 重み付けした網膜での放射露光量ガイドラインは10 J/cm2である。
5) 網膜上の同じ点を照明可能な連続波光源及びパルス光源が複数ある機器の場合:
製造業者は,露光ガイドラインに達する時間と照射パルス数の組合せを求める方法に関する情報
を提供する。これは,それぞれに強度が設定された光源を複数組合せた機器に適用する。
18
T 15004-2:2013 (ISO 15004-2:2007)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
注意書き:
“注意−本機器から放出される光には潜在的な危険性があります。照射時間が長いほど,照射パル
ス数が多いほど,眼を損傷するリスクは高くなります。本機器が最大光量で動作しているときに,
(例えば,光源1についてはxx分,光源2についてはyyパルス,...,光源nについてはnn
分又はnnパルス)以上照射すると安全のためのガイドラインを超えることになります。”
注記1 どの光源からの露光時間及びパルス数も累積的であり加算的である。
注記2 いずれかの光源の強度が最大強度の50 %に下がった場合,その光源についての露光ガイ
ドラインに達する露光時間又は照射パルス数は倍になる。この線形性を利用して,それ
ぞれに強度が設定された複数光源の組合せについての露光ガイドラインに達する時間及
び照射パルス数を求めることができる。
注記3 重み付けした網膜での放射露光量ガイドラインは10 J/cm2である。
c) 製造業者は,光量を変化させる手段を備えている機器については,最大強度,及び最大強度との割合
を示す表示に関する情報を使用者に提供する。
19
T 15004-2:2013 (ISO 15004-2:2007)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書A
(規定)
分光重み付け関数
表A.1−網膜におけるハザードを解析するための分光重み付け関数
波長
(nm)
熱ハザードの重み付け関数
R(λ)
無水晶体眼に対する光化学
ハザードの重み付け関数
A(λ)
305〜335
−
6
340
−
5.88
345
−
5.71
350
−
5.46
355
−
5.22
360
−
4.62
365
−
4.29
370
−
3.75
375
−
3.56
380
0.006 25
3.19
385
0.012 5
2.31
390
0.025
1.88
395
0.05
1.58
400
0.1
1.43
405
0.2
1.3
410
0.4
1.25
415
0.8
1.2
420
0.9
1.15
425
0.95
1.11
430
0.98
1.07
435
1
1.03
440
1
1
445
1
0.97
450
1
0.94
455
1
0.9
460
1
0.8
465
1
0.7
470
1
0.62
475
1
0.55
480
1
0.45
485
1
0.4
490
1
0.22
495
1
0.16
500
1
0.1
505
1
0.079
510
1
0.06
515
1
0.05
520
1
0.039 8
525
1
0.031
20
T 15004-2:2013 (ISO 15004-2:2007)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表A.1−網膜におけるハザードを解析するための分光重み付け関数(続き)
波長
(nm)
熱ハザードの重み付け関数
R(λ)
無水晶体眼に対する光化学
ハザードの重み付け関数
A(λ)
530
1
0.025
535
1
0.019 9
540
1
0.015 8
545
1
0.012 6
550
1
0.01
555
1
0.007 9
560
1
0.006 3
565
1
0.005
570
1
0.004
575
1
0.003 1
580
1
0.002 5
585
1
0.002
590
1
0.001 6
595
1
0.001 3
600〜700
1
0.001
705
0.98
−
710
0.95
−
715
0.93
−
720
0.91
−
725
0.89
−
730
0.87
−
735
0.85
−
740
0.83
−
745
0.81
−
750
0.79
−
755
0.78
−
760
0.76
−
765
0.74
−
770
0.72
−
775
0.71
−
780
0.69
−
785
0.68
−
790
0.66
−
795
0.65
−
800
0.63
−
805
0.62
−
810
0.6
−
815
0.59
−
820
0.58
−
825
0.56
−
830
0.55
−
835
0.54
−
840
0.52
−
845
0.51
−
850
0.5
−
21
T 15004-2:2013 (ISO 15004-2:2007)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表A.1−網膜におけるハザードを解析するための分光重み付け関数(続き)
波長
(nm)
熱ハザードの重み付け関数
R(λ)
無水晶体眼に対する光化学
ハザードの重み付け関数
A(λ)
855
0.49
−
860
0.48
−
865
0.47
−
870
0.46
−
875
0.45
−
880
0.44
−
885
0.43
−
890
0.42
−
895
0.41
−
900
0.4
−
905
0.39
−
910
0.38
−
915
0.37
−
920
0.36
−
925
0.35
−
930
0.35
−
935
0.34
−
940
0.33
−
945
0.32
−
950
0.32
−
955
0.31
−
960
0.3
−
965
0.3
−
970
0.29
−
975
0.28
−
980
0.28
−
985
0.27
−
990
0.26
−
995
0.26
−
1000
0.25
−
1005
0.25
−
1010
0.24
−
1015
0.23
−
1020
0.23
−
1025
0.22
−
1030
0.22
−
1035
0.21
−
1040
0.21
−
1045
0.2
−
1 050〜1 400
0.2
−
22
T 15004-2:2013 (ISO 15004-2:2007)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表A.2−紫外光によるハザードを解析するための分光重み付け関数
波長
(nm)
紫外光によるハザードの重み付け関数
S(λ)
200
0.03
205
0.051
210
0.075
215
0.095
220
0.12
225
0.15
230
0.19
235
0.24
240
0.3
245
0.36
250
0.43
254
0.5
255
0.52
260
0.65
265
0.81
270
1
275
0.96
280
0.88
285
0.77
290
0.64
295
0.54
297
0.46
300
0.3
303
0.12
305
0.06
308
0.03
310
0.02
313
6.00×10−3
315
3.00×10−3
316
2.40×10−3
317
2.00×10−3
318
1.60×10−3
319
1.20×10−3
320
1.00×10−3
322
6.70×10−4
323
5.40×10−4
325
5.00×10−4
328
4.40×10−4
330
4.10×10−4
333
3.70×10−4
335
3.40×10−4
340
2.80×10−4
345
2.40×10−4
350
2.00×10−4
355
1.60×10−4
360
1.30×10−4
23
T 15004-2:2013 (ISO 15004-2:2007)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表A.2−紫外光によるハザードを解析するための分光重み付け関数(続き)
波長
(nm)
紫外光によるハザードの重み付け関数
S(λ)
365
1.10×10−4
370
9.30×10−5
375
7.70×10−5
380
6.40×10−5
385
5.30×10−5
390
4.40×10−5
395
3.60×10−5
400
3.00×10−5
24
T 15004-2:2013 (ISO 15004-2:2007)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書B
(参考)
光ハザードの項目を含む眼光学機器についての個別規格
ISO 10936-2:2010,Optics and photonics−Operation microscopes−Part 2: Light hazard from operation
microscopes used in ocular surgery
ISO 10939:2007,Ophthalmic instruments−Slit-lamp microscopes
ISO 10940:2009,Ophthalmic instruments−Fundus cameras
ISO 10942:2006,Ophthalmic instruments−Direct ophthalmoscopes
ISO 10943:2006,Ophthalmic instruments−Indirect ophthalmoscopes
ISO 15752:2010,Ophthalmic instruments−Endoilluminators−Fundamental requirements and test methods for
optical radiation safety
注記 この附属書は,この規格の発行時点での情報を提供するものである。その後,国際規格の改正
版,又はJIS T 15004-2が適用され,かつ,光ハザードの項目を含む眼光学機器についての,追
加の新規格が発行されていることがある。
25
T 15004-2:2013 (ISO 15004-2:2007)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書C
(参考)
測定機器
光放射の放出値が十分に低い場合,眼光学機器が,5.4(グループ1)で規定した放出限界値未満のもの
であるかどうかを判断するために,比較的簡単で安価な光放射測定機器を用いてもよい。分光的に重み付
けした,又は,重み付けしていない放射量の一つを測定する広帯域直読式の“セーフティーメータ”が市
販されており,光放射による潜在的な眼及び皮膚へのハザードを直接測定するために用いてもよい。
スポット型輝度計も全輝度測定のために利用可能である。一般的に,白色光源の輝度が1 cm2当たり1 cd
(1 cd/cm2)未満である場合,分光データは不要である。相対分光分布が分かっている場合には,照度計
によって照度を測定することで,分光放射照度を容易に求めることができる。ただし,これらの測定を実
施する際には,測定値は0.011 rad(11 mrad,すなわち0.63°)の視野にわたって平均することに注意する。
これは,当該機器の視野は,光源から50 cmの距離において,直径5.5 mmの円形領域に放出を制限しな
ければならないことを意味する。
26
T 15004-2:2013 (ISO 15004-2:2007)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書D
(規定)
放射輝度及び放射照度の測定方法
D.1 グループ1に属していることの判定,及びグループ2機器における放射輝度及び放射照度パラメー
タ値を求めるための測定
眼光学機器がグループ1に属していると判定するには,当該眼光学機器は,表2(連続波機器)又は表3
(パルス機器)に規定の限界値のいずれも超えてはならない。眼光学機器の限界値に対応するパラメータ
値を計算するために必要な分光放射照度又は分光放射束を求めるには,この附属書に規定する方法又はそ
れに等価な方法のいずれかを用いる。
眼光学機器がグループ2に属すると判定した場合,5.5の限界値を適用する。これらの限界値への適合性
を評価するためには,当該眼光学機器の放出レベルを求めなければならない。これには分光放射照度又は
分光放射束の測定が必要である。この測定は,この附属書に規定する方法又はそれに等価な方法のいずれ
かを用いて実施する。
D.2 ES-CL,EUV-CL,EIR-CL及びEVIR-ASを求める方法
ES-CL,EUV-CL,EIR-CL及びEVIR-ASを計算するために用いる角膜における分光放射照度Eλは,指定された
波長帯域にわたって分光放射照度又は分光放射束を測定し得る機器を使用して求める。この測定機器は,
評価される眼光学機器が通常使用時に角膜が置かれる面に放射する全ての放射束を測定できるものとする。
この放射測定は,評価される眼光学機器が通常使用時に角膜が置かれる面に放出する全ての放射を受光
できるように,測定機器のセンサを配置して行う。
測定機器の出力が分光放射束で表される場合,眼光学機器による分光放射照度は,測定した分光放射束
を,眼光学機器が角膜面に照射する面積で除したものである。
測定機器の出力が放射束又は放射照度で表される場合,追加の分光測定を行う必要がある。放射束又は
放射照度を,測定した分光分布で重み付けすることによって,分光放射束又は分光放射照度を求める。
D.3 EA-Rを求める方法
EA-Rを計算するために必要な網膜における分光放射照度Eλは,まず次の二つの方法のいずれかを用いて
眼光学機器の分光放射輝度を調べることによって求める。
a) 当該眼光学機器の設計値から射出瞳の面積Aexit及び角膜面から射出瞳までの距離Dpが得られる場合,
有効照明立体角Ωeは次の式(D.1)のようになる。
2
p
exit
e
D
A
Ω=
············································································· (D.1)
次いで,D.2の方法を用いて,角膜面における分光放射照度Eλ-cを求め,次の式(D.2)によって分光
放射輝度Lλを求める。
exit
2
p
c
e
c
A
D
E
Ω
E
L
−
−=
=
λ
λ
λ
································································ (D.2)
b) Ωeが未知である場合,次のように条件を設定して分光放射照度を測定する。面積Aの絞りを光束に挿
入する。ここで,絞りの挿入場所は眼光学機器と測定面の間とし,面積Aはこの場所における光束断
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T 15004-2:2013 (ISO 15004-2:2007)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
面積以下とする。D.2の方法を用いて分光放射照度を測定する。次いで,この分光放射照度Eλから,
次の式(D.3)によって分光放射輝度Lλを求める。
A
D
E
L
2
λ
λ=
············································································ (D.3)
ここに,
D: 面積Aの絞りから測定面までの距離
次いで,このようにして求めた分光放射輝度を用いて,次の方法で網膜における分光放射照度を計算す
る。まず,眼光学機器の通常使用時における瞳孔面上の光束断面積Apを求める。この値は,眼光学機器の
設計値及び使用方法が分かっている場合にはそれによって求めてよい。そうでない場合は,測定によって
求める。この値を測定によって求める必要がある場合,この測定は,写真フィルム又はCCDカメラセン
サなどの感光・受光素子を,眼光学機器の通常使用時における瞳孔面上に配置し,この感光・受光素子の
露光領域を記録することによって行う。次いで,この露光面積を測定し,その値をApとみなす。
次いで,瞳孔が網膜から17 mmの光学距離Doのところにあると仮定して,網膜における分光放射照度
を計算する。網膜における分光放射照度Eλは,次の式(D.4)によって求める。
289
p
2
o
p
A
L
D
A
L
E
λ
λ
λ
=
=
·································································· (D.4)
また,網膜上に均一な光束を形成する眼底カメラなどの機器においては,次の3番目の方法を用いても
よい。まず,D.2の場合と同様に,眼光学機器からの放射束を測定する。眼光学機器の光学特性から,瞳
孔面上の光束断面積を計算する。次いで,眼に入射する放射束を網膜上の照射面積で除すことによって,
網膜における放射照度を求める。附属書Eに,関連する計算の具体的な情報を記載する。
D.4 HS-CL,HUV-CL,HIR-CL及びHVIR-ASを求める方法
HS-CL,HUV-CL,HIR-CL及びHVIR-ASを計算するために用いる角膜における分光放射露光量Hλは,評価され
る眼光学機器が単一パルスの間に放射する全ての分光放射束を測定し得る測定機器を使用して求める。
この測定は,評価される眼光学機器が通常使用時に角膜が置かれる面に放出する全ての放射を受光でき
るように,測定機器のセンサを配置して行う。
分光放射露光量は,測定した分光放射束を,照射面積で除したものである。
測定機器の出力が放射束又は放射照度で表される場合,追加の分光測定を行う必要がある。放射束又は
放射照度を測定した分光分布で重み付けすることによって,分光放射束又は分光放射照度を求める。
D.5 HVIR-R及びHA-Rを求める方法
HVIR-R及びHA-Rを計算するために用いる網膜における分光放射露光量Hλは,まず次の二つの方法のいず
れかを用いて眼光学機器の分光放射輝度を調べることによって求める。
a) 当該眼光学機器の設計値から射出瞳の面積Aexit及び角膜面から射出瞳までの距離Dpが得られる場合,
有効照明立体角Ωeは次の式(D.5)のようになる。
2
p
exit
e
D
A
Ω=
············································································· (D.5)
次いで,D.4の方法を用いて,角膜面における分光放射露光量Hλ-cを求め,次の式(D.6)によって分
光放射輝度Lλを求める。
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T 15004-2:2013 (ISO 15004-2:2007)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
t
A
D
H
t
Ω
H
L
×
=
×
=
−
−
exit
2
p
c
e
c
λ
λ
λ
······························································ (D.6)
b) Ωeが未知である場合,次のように条件を設定して分光放射露光量を測定する。面積Aの絞りを光束に
挿入する。ここで,絞りの挿入場所は,眼光学機器と測定面の間とし,面積Aはこの場所における光
束断面積以下とする。D.4の方法を用いて分光放射露光量を測定する。次いで,この分光放射露光量
Hλから,次の式(D.7)によって分光放射輝度Lλを求める。
t
A
D
H
L
×
=
2
λ
λ
··········································································· (D.7)
次いで,このようにして求めた分光放射輝度を用いて,次の方法で網膜における分光放射露光量を計算
する。まず,眼光学機器の通常使用時における瞳孔面上の光束断面積Apを求める。この値は,眼光学機器
の設計値及び使用方法が分かっている場合には,それによって求めてよい。そうでない場合は,測定によ
って求める。この値を測定によって求める必要がある場合,この測定は,写真フィルム又はCCDカメラ
センサなどの感光・受光素子を,眼光学機器の通常使用時における瞳孔面上に配置し,この感光・受光素
子の露光領域を記録することによって行う。次いで,この露光面積を測定し,その値をApとみなす。
次いで,瞳孔が網膜から17 mmの光学距離Doのところにあると仮定して,網膜における分光放射露光
量を計算する。網膜における分光放射露光量Hλは,次の式(D.8)によって求める。
t
A
L
t
D
A
L
H
×
=
×
=
289
p
2
o
p
λ
λ
λ
······························································ (D.8)
また,網膜上に均一な光束を形成する眼底カメラなどの機器においては,次の3番目の方法を用いても
よい。まず,D.4の場合と同様に,眼光学機器からの放射束を測定する。眼光学機器の光学特性から,瞳
孔面上の光束断面積を計算する。次いで,眼に入射する放射束を網膜上の照射面積で除すことによって,
網膜における放射照度を求める。附属書Eに,関連する計算の具体的な情報を記載する。
D.6 drを計算する方法
連続波機器の限界値EVIR-R及びLVIR-R,並びにパルス機器のHVIR-R及びLVIR-Rを計算するために,網膜面
上での光源の直径(dr,単位:ミリメートル)を求める。眼光学機器と眼の位置を意図した通常の使用時
の距離に配置したときの,眼から見た光源の視角αが既知であるか,又は測定で分かっている場合は,次
の式を用いてdrを求める。
α
tan
17
r=
d
ここで,17 mmは標準眼の節点から網膜までの距離である。
また,drは,眼光学機器の意図した通常使用時における眼の位置と等価な場所に焦点距離17 mmのレン
ズを置き,光源の像を形成することによって実験的に得ることもできる。このレンズの像側主平面から17
mm離れた面に形成された光源の像の幅の測定値が,drとして用いる値である。
D.7 放射照度の測定値から放射輝度を求める例
中央に直径3 mmのホットスポットをもつ,直径が15 mmの拡散光源。
この例では,眼は拡散光源から20 cmの距離にあるとする。
a) 放射輝度の決定 放射輝度は,既知の距離zだけ離れた二つの絞りを通過した放射束を測定し,次の
式(D.9)によって求める。
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T 15004-2:2013 (ISO 15004-2:2007)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
a
A
z
Φ
L
×
×
=
2
············································································ (D.9)
ここに,
L: 放射輝度
Φ: 放射束
a: 第1絞りの面積
A: 第2絞りの面積
図D.1を参照。
11 mradの視野内の放射輝度だけを考慮する。
b) 視野を11 mradとするための絞りサイズの決定 この例では,眼の節点からz=20 cmの距離にある拡
散光源上に直接配置される第1絞りの直径dを,眼の瞳孔から見て11 mradの視野を使って求める。
したがって,0.011=zdであり,d=0.011×z=2.2 mmである。
c) 放射照度の決定 放射照度は,光源からz=20 cmの距離にある直径7 mmの第2絞りを通過した放射
束を測定することによって求める。ここで,放射照度は放射束を直径7 mmの絞りの面積で除したも
のに等しい。
注記 ここで,直径7 mmの絞りは,眼に入射する光放射の測定法の規定に従って使用したもので
ある。
A
Φ
E=
によって,
2
cm
384
.0
Φ
E=
······································································(D.10)
放射輝度の式は,
a
z
E
L
2
×
=
············································································ (D.11)
2
2
)1.1(
)
200
(
π
E
L=
になる。
以上のように,拡散光源のホットスポット上に2.2 mmの絞りを置いたときの光源の放射輝度を求
めるには,距離z=20 cmの場所で放射照度を測定するだけでよい。この方法では,11 mradの視野を
考慮している。
30
T 15004-2:2013 (ISO 15004-2:2007)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
Ω: 光源LSに対して張る立体角
A: 第2絞りの面積
z: 第1絞り(FS)と第2絞り(面積A)の距離
図D.1−光源に対して張る立体角Ω
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T 15004-2:2013 (ISO 15004-2:2007)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書E
(参考)
放射照度の直接測定に関するガイドライン
E.1
角膜面又は瞳孔面における放射照度の測定
眼の角膜又は瞳孔面における分光放射照度を求めるには,眼光学機器をその意図する使用位置に配置す
る。そのうえで,該当する測定面における直径1 mmの円形領域内で収集し得る最大の分光放射束又は分
光放射露光量を,使用する1 mm開口絞りの面積で除すことによって求める。
E.2
網膜における放射照度の測定
網膜面における分光放射照度を求めるには,眼光学機器をその意図する使用位置に配置する。網膜の光
化学性の光ハザードに関係する網膜での放射照度は,角膜における直径7 mmの絞りを通して検出可能な
放射束とし,網膜上の直径0.18 mmの円形領域(2.54×10−4 cm2)に入射する最大局所放射束を平均する
ことによって値を求める。ただし,固定した眼に対して使用する機器は,光化学ハザード,熱ハザードの
いずれについても,直径0.18 mmの開口絞りの代わりに,直径0.03 mmの開口絞り(7.07×10−6 cm2)を
用いる。
分光放射束を求めた後,網膜上の空間的なビームプロファイルを求める必要がある。網膜上の放射の空
間的なビームプロファイルは直接測定によって,又は測定と幾何光学を用いた計算との組合せによって求
めることができる。
眼の瞳孔面で円形のビームウェストをもち,マックスウェル視となる眼光学機器については,照明され
る網膜の領域を幾何光学によって求めることができる。このことは,網膜上に均質なビームプロファイル
を生成する機器に対して適用できる。この場合の円すい(錐)角は,瞳孔面から既知の距離lにおける光
束直径2x(ここでxは半径)を測定することによって求めることができる。このときの円すい(錐)の半
角Θは,式(E.1)によって求める。
()l
x
Θ
1
tan−
=
········································································· (E.1)
網膜上での光束の半径(r,単位:センチメートル)は,r=1.7×tanΘ=1.7(x/l)によって求める。この場
合,網膜上での面積はπr2によって求める。
眼の角膜に入射する光束がコリメートされている場合,使用すべき面積は,眼が固定されているときは
直径0.03 mm,眼が固定されていないときは直径0.18 mmである。
直像鏡からの光束のように,眼に対して光束が発散している場合,照明される網膜上の面積は,式(E.2)
によって求める。
()2
r
7.1
Ω
a=
············································································ (E.2)
ここに,
Ω: 光源の放射立体角(sr)
Ωは,眼光学機器の射出開口からの距離が異なる2か所において光束面積を測定することによって求め
ることができる。これらの距離が異なる2か所における光束面積を用いて円すい(錐)角を求め,この円
すい(錐)角から立体角を導き出せばよい。
この場合,立体角Ωは式(E.3)によって求める。
(
)
α
π
cos
1
2
−
=
Ω
····································································· (E.3)
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T 15004-2:2013 (ISO 15004-2:2007)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
ここに,
α: 円すい(錐)角
固定されていない眼に対する発散ビームの光化学ハザードを評価する場合,網膜上の分光放射照度は,
直径0.18 mmの円形網膜領域において収集し得る最大の分光放射束又は分光放射露光量を,使用する開口
絞りの面積で除すことによって求める。眼が固定されている場合,又は網膜の熱ハザードについては,0.03
mmの開口絞りを使用する。
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T 15004-2:2013 (ISO 15004-2:2007)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書F
(参考)
分類のためのフローチャート
スタート
機器は光の放射を眼の中
又は眼に向けているか?
JIS T 15004-2
を適用しない。
機器の個別規格
が存在するか?
機器は放出する
全ての放射を5.4の
限界値未満に減衰させる,証明
されたコンポーネントを
もっているか?
個別規格に光ハザードに
関する項が存在するか?
機器はグループ1
機器である。
機器に含まれる
証明されたコンポーネント
によって5.4の限界値を下回ること
を示せない放射について,それら
全ての測定値は5.4の
限界値未満か?
機器はグループ2機器であり,
5.3の要求事項に適合すること
を保証するために試験を行う。
はい
いいえ
はい
いいえ
はい
いいえ
はい
いいえ
はい
いいえ
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T 15004-2:2013 (ISO 15004-2:2007)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
注記 手術用顕微鏡,スリットランプ顕微鏡,倒像鏡,眼内照明装置などの機器がグループ1に属す
ることはまれである。このことは,これらの機器からの放出量が,グループ1に属する機器に
ついて規定された放出限界値のいずれか一つよりも大きいことを示すことによって確認するこ
とができる。又は,グループ2に属する機器についての要求事項に従ってなされる測定によっ
て,グループ1に属さない機器であることを確認することができる。
参考文献 [1] Adjustment of guidelines for exposure of the eye to optical radiation for ocular instruments:
statement from a task group of the International Commission on Non-Ionizing Radiation Protection
(ICNIRP), Applied Optics 44(11), 2005, pp.2162-2176
[2] ISO Guide for expression of uncertainty in measurement (GUM), BIPM, IEC, IFCC, ISO, IUPAC,
IUPAP, OIML, 1995
[3] IEC 62471:2006,Photobiological safety of lamps and lamp systems
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T 15004-2:2013 (ISO 15004-2:2007)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書JA
(参考)
眼光学機器−眼光学機器規格における光ハザードに関する仕様の背景
序文
この附属書JAは,JIS T 15004-2の対応国際規格であるISO 15004-2を解説したISO/TR 20824を翻訳し
たものである。
光による組織の損傷は,力学的,熱的又は化学的なものである。例えば,レーザによるような力学的な
傷害は,組織の破壊,断片化,気化などである。光熱的な傷害は,光エネルギーから熱への変換によるも
のである。光化学的な(化学線作用の)傷害では,光増感分子は直接,タイプ1の(遊離基)反応の形で
標的となった組織と反応するか,又は酸素分子と反応して一重項酸素又は活性酸素が生成され,これらの
生成物がタイプ2の(光力学)反応の形で標的となった組織と反応する。外因性光増感剤(光毒性)を伴
わない光化学性の網膜障害は,通常,短時間の露光なら許容できるレベルの光に長時間さら(曝)される
ことによって生じる。こうした作用機序は,排他的に生じるものではなく,同時に又は順次生じることが
ある。
急性の網膜光毒症には,少なくとも二つの基本的なタイプがある。第1のタイプは,青緑色光による急
性光毒症であり,Noellによって1966年に発見された。このタイプの損傷は,暗所視に介在するロドプシ
ンを介して起こる。ロドプシンの吸収は約507 nm(青緑色)で最大になるので,暗所視感度及びNoellの
光毒性は,スペクトルの青緑色光の部分で最大になる。第2のタイプは,紫外光−青色光による急性光毒
症であり,Hamによって1976年に発見された。この光毒症の重篤度は,波長が短くなるとともに大きく
なるので,紫外光は紫色光よりも潜在的に危険であり,紫色光は青色光よりも潜在的に危険である。1978
年にMainsterは,潜在的に危険な330 nm〜400 nmの紫外光が透明なPMMA眼内レンズを通過して網膜に
到達することを示した。1986年までにほとんどの眼内レンズは,装着者を保護するために紫外光遮蔽色素
を含むようになった。
太陽を見つめると紫外光−青色光による急性光毒症が生じることがあるが,手術用顕微鏡及び眼内照明
装置を20 000ルクス以上の極めて明るい照度で使用すると,急性の黄斑損傷を引き起こすことがある。現
状では加齢黄斑変性(AMD)を長年の露光と関連づける確定的な疫学的証拠はない。眼内レンズ装着者は,
手術中に手術用顕微鏡によって極めて強い照射を受けることと,白内障患者では,AMDの危険性が増す
という事実はあるが,白内障手術とAMDの進行との関連を示す証拠は明白となっていない。紫外光に加
えて紫色光及び青色光を遮蔽する眼内レンズが,最近になって開発された。これらを使用することには議
論の余地がある。なぜならばAMDの危険性を減らす臨床学的な証拠がなく,また,暗所視の低下した高
齢者にとって有用な青色光の一部を遮蔽してしまうからである。
光放射を眼内に向けている眼光学機器には様々なものがあり,様々な応用例で使用されている。“光放射”
という表現は,紫外光,可視光及び赤外光の放射が含まれるが,最も広い意味で使用する場合には,約100
nm〜1 mmの波長域が含まれる。光放射を放出する製品に適用可能な製品性能及び使用者のための規格が
数多く存在するが,それらは250 nm〜2.5 μmの波長域だけを対象としている。
眼光学機器は,眼の測定,監視及び観察に加えて診断及び処置にも使用されることがある。光放射を利
用する新型の眼光学機器の開発は途切れることがなく,多くの眼光学機器は,潜在的に危険な極めて強い
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T 15004-2:2013 (ISO 15004-2:2007)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
光放射を利用している。光放射の強度が十分に高い場合,眼に損傷を生じ得ることは周知の事実である。
太陽から放出される光放射だけでなく,眼の手術中に使用される手術用顕微鏡及び眼内照明装置並びにレ
ーザから放出される光放射による眼の損傷が数多く報告されている(附属書JA参考文献[1]〜[31]参照)。
手術用顕微鏡及び眼内照明装置による傷害の大多数では僅かな症状しか現れないが,一部の患者では,暗
点及び中心視力の永久喪失が生じている(附属書JA参考文献[11]参照)。
光化学性の損傷の場合には,臨床的な変化がすぐには現れない。露光後1日から2日では網膜浮腫及び
軽い色素変性の症状が典型的に見られ,1〜3週間たつと様々な程度の色素性の変性が,より視認できるよ
うになる(附属書JA参考文献[18]参照)。これらのことは,全ての光化学性の傷害において同様である。
光化学性の傷害は網膜への露光量が増えるにつれて網膜損傷の危険性が高くなるという,投入量と反応の
関係に従うことが示されていることにも留意しなければならない。手術用顕微鏡の場合,幾つかの研究で
20〜120分の露光時間で網膜障害が起こり得ることが示されているが,最近の研究から,より短い露光継
続時間で網膜障害が起こり得ることが示唆されている(附属書JA参考文献[49]参照)。深刻な障害の発生
率は分かっていないが,それほど頻繁ではないようである。しかし網膜傷害として気づかない,又は視認
できない程度の軽微な損傷を与えている場合がある。
最新の眼光学機器は,例えば,ハロゲンランプ,キセノンランプ並びにメタルハライドランプなど,ま
すます効率的な光源を使用するようになっていることに留意しなければならない。これらのランプからは,
従来型のタングステンフィラメントランプよりも色温度が高い光が放出され,かつ,より多くの青色光並
びに紫外光が放出される。旧型のランプと異なり,これら新型のランプから出力される光は,その強度が
長い寿命を通じてあまり減衰しない(附属書JA参考文献[1]参照)。さらに,これら新型のランプから放出
される光放射は,眼に対して実際に危険を与えることがあり得る。そのため眼の検査又は処置するために
使用される眼光学機器には,眼に物理的な損傷を及ぼす危険性が存在し得る。これに関連して,幾つかの
一般的な眼光学機器から放出される光放射は,比較的短い露光時間で安全ガイドラインを上回る場合があ
ることが複数の研究で示されている(附属書JA参考文献[19]及び[36]参照)。最も危険な対象は,高齢者
及び幼児,とりわけ眼疾患を患っている人々であろう。こうした危険性は,眼が光にさら(曝)される時
間が長くなるほど高くなる。皮肉にも,概して眼が健康でない患者が長時間の検査を必要としている。一
部の眼光学機器には,明らかに網膜損傷の危険性があり,それ以外のものにも潜在的には網膜損傷の危険
性があることから,幾つもの安全性能規格が策定されている。
ランプ及びランプシステムには光放射の安全性についての規格があり(CIE S-009E:2002[53],IEC
62471:2006[56]),レーザには性能及び安全な使用についての幾つもの規格がある(例えば,IEC 60825-1[54]
及びIEC 60601-2-22[55])。眼光学機器の一部についての性能規格には,これらの機器についての光放射安
全限界値が含まれている。さらに作業環境における光放射安全性についての規格がある。しかし,眼内又
は眼に向けて光を放射する眼光学機器全てに適用可能な包括的な規格は皆無である。
ISO 15004-2[52] は,この空白を埋めるために策定されたものである。この規格は,診断又は監視の目的
で眼内又は眼に向けて光を放射するように設計された全ての眼光学機器に適用可能である。その目的は,
このような特定用途の機器に対して一定の要求事項を設けることであり,こうした機器の製造業者及び使
用者の双方に有用な最低限の光放射安全性についての仕様及び要求事項を定めることを意図している。
ISO 15004-2[52]の適用範囲は,意図的に広く策定されている。この規格は,眼疾患の診断のための眼光
学機器,眼の監視機器,レーザ,連続波及びパルス光源を備えた機器並びに手術用顕微鏡及び眼内照明装
置を対象としている。さらに,現在開発中の眼科用の血糖計などの他の医療診断機器を対象とすることも
意図している。眼を処置するための光を放射する機器には適用可能ではないものがあるが,これらの機器
37
T 15004-2:2013 (ISO 15004-2:2007)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
は,眼に損傷を与え,また,眼を構造的に変化させるために設計されているからである。
JA.1 適用範囲
この附属書は,この規格の対応国際規格であるISO 15004-2の限界値及び要求事項の基となる理論的根
拠に関する詳細な情報を提供することを目的としている。ISO 15004-2の仕様は,ISO 15004:1997の仕様
から大きく改定されている。
JA.2 機器の分類
光ハザードの規格を作成する上で,現在の眼光学機器についての国際規格と整合させる過程において,
潜在的に危険な光放射を放出する眼光学機器と,そうでないものとを区別する必要があった。既存の国際
規格,すなわち,ISO 15004-2以前に発行されたものは,このような機器の区別をしていない。そのため,
既存の国際規格は,どの眼光学機器から放出される光放射も同じ方法でその特徴づけを行い,かつ,同じ
レベルの不確かさで測定することを求めている。潜在的に危険な機器の製造業者及び危険でない機器の製
造業者は,いずれも,±30 %未満の不確かさで分光測定を行って当該機器についての無水晶体眼に対する
放射輝度及び青色光の放射輝度を求め,この情報を使用者に報告する義務がある。危険でない機器の場合
には,こうした要求事項は過度の負担である。危険でない機器に関して製造業者に放射輝度の報告を求め
る正当な公衆衛生上の理由は何もない。ある機器が放出する光放射が危険でなければ,その製造業者は,
単にその眼光学機器から放出される光放射は危険ではないことを使用者に知らせれば十分である。
この新しい規格ISO 15004-2は,放出する光放射が危険でない機器に不必要な要求事項を課すべきでは
ないという前提に基づいている。この前提から,ISO 15004-2では,その機器が潜在的に危険であるか否
かによってグループ1及びグループ2の二つのグループに分類している。グループ1機器は危険ではなく,
その使用法も制限されない。このグループの眼光学機器についての唯一の要求事項は,その眼光学機器が
危険でないことを客観的に示すことである。グループ2機器は,潜在的に危険であり,そのために最小限
の要求事項が課せられている。
さらに,眼光学機器によっては,設計及び機能上いかなる測定も必要とせずにグループ1に属すること
を容易に文書で示し得る,低いレベルの光しか放出しないものがある。例として,このような機器には角
膜計及び視野計が含まれる。これらの機器についての国際規格の光放射の放出仕様値が証拠文書となる場
合がある。又は,当該機器がその意図する機能を発揮するために放出する白色光が10 000 cd/m2を超えな
いことを示してもよい。この場合には,当該眼光学機器から放出される光放射はグループ1機器について
の放出限界値未満である。
JA.3 連続波機器についての限界値の基礎となる時間
グループ1機器についての放出限界値とグループ2機器についての放出限界値は異なる。
グループ1機器の限界値は,グループ1機器からの光放射によって,既知の潜在的な光ハザードが現れ
ないレベルである。そのため,このような機器を臨床で使用する上での制約はない。
グループ1に属する大半の連続波機器の限界値について,その理論的根拠は,露光時間を2時間として
いることである。この理論的根拠は,1日の総露光時間が,数種類の異なる眼光学機器から同じような光
放射を受ける場合でも,検査の間に同じ機器から繰返し受ける場合でも,1時間程度であろうという考え
に基づいている。このような状況は医大附属病院で,特異な又はまれ(稀)な病状の患者を検査するとき
に起こりえる。眼疾患の患者は,正常眼の人よりも光放射による眼の損傷の危険性が高い場合がある。累
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積時間が1時間に及ぶ検査はあり得るが,合計露光時間が1日に2時間を超える検査はないと考えられる。
したがって,ここで提案された限界値は,2時間の露光に基づいている。
露光時間を2時間とすることが適切でない機器は,例えば,手術用顕微鏡,眼内照明装置及び患者監視
装置である。手術用顕微鏡及び眼内照明装置の場合,手術が複雑であれば総露光時間は数時間程度に及ぶ
ことが考えられる。これらの機器からの露光でも1日に4時間を超えることはまれであるため,これらの
機器について限界値の基となる露光時間を4時間とする。4時間を超えて連続露光するための機器の場合,
限界値は当該機器の使用法に伴う最長露光時間に基づくものとする。そのため,これらの機器の限界値は
ISO 15004-2:2007の表1に示す限界値を,当該機器の意図した使用法における連続露光時間(単位:時間)
の2分の1の係数で除した値に減ずるものとする。
JA.4 放出限界値
JA.4.1 概要
ISO 15004-2で規定する限界値は,人体への光放射の暴露についての国際非電離放射線防護委員会
(ICNIRP)のガイドラインから導き出されたものである(附属書JA参考文献[48]参照)。これらの限界値
は米国産業衛生専門家会議[33](ACGIH)が示す値とおおむね同じであり,以前の国際規格はこれらに基
づいている。しかしACGIHはそれらの限界値を眼光学機器に適用する方法に関して特定の指針を提供し
ていない。一方ICNIRPは,附属書JA参考文献[48]に列挙した文書を提供している。ICNIRP及びACGIH
のいずれの限界値も同じ生物学的データに基づいているが,視覚機器に関するICNIRPの文書は,眼光学
機器及び眼内又は眼に向けて光を放射するように設計された機器についての限界値を規定している。した
がって,ISO 15004-2ではICNIRPの限界値及びガイドラインを用いるのが適当である。
ICNIRPのガイドラインには,眼に対する連続波出力機器からの光ハザードについて,少なくとも六つ
の別々の種類があることに留意する。これらを次に示す。
a) 180 nm〜400 nmの波長域の光放射による角膜及び水晶体に対するUV光傷害(光による角膜炎及び白
内障)
b) 主に400 nm〜550 nm(無水晶体眼の場合は,305 nm〜550 nm)の波長域の光放射による網膜に対する
青色光光化学性傷害
c) 400 nm〜1 400 nmの波長域の光放射による網膜に対する熱傷害
d) 約800 nm〜3 000 nmの波長域の近赤外光放射による水晶体に対する熱ハザード
e) 400 nm〜1 200 nmの波長域の集束ビーム,細いビームによる角膜及び水晶体に対する熱ハザード
f)
約1 400 nm〜1 mmの波長域の光放射による角膜に対する熱傷害(やけど)
上述の生物学的作用の一部は,上記の波長範囲の中で波長依存性があることを理解することが重要であ
る。例えば,270 nmの紫外光は,320 nmの紫外光よりも光化学性の角膜傷害(光による角膜炎)をもた
らす影響が1 000倍以上大きい。青色光による網膜損傷もそうであり,435 nmの光は500 nmの放射より
も光化学性の傷害をもたらす影響が10倍以上大きい。こうした波長依存性は,作用スペクトルと呼ばれる
ものである。作用スペクトルは,生物学的に最終結果をもたらす放射の相対的効果を波長の関数として表
現したものである。一般的に作用スペクトルは,“生物学的な最終結果をもたらすのに最も効果のある波長
での照射量”に対する“特定の波長での照射量”の比を表の形で表す。
波長依存性の生物学的な最終影響についての機器に関連し得る潜在的なハザードは,通常いわゆる有効
放射照度又は有効放射露光量を計算することによって評価される。例として,紫外光についての有効放射
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照度は,次の式で与えられる。
()
λ
λ
λ
λ
λ
∆
×
×
=∑
2
1
eff
S
E
E
ここに, Eeff: 有効紫外光放射照度
Eλ: 分光放射照度
S(λ): 紫外光による光化学性角膜傷害(光による角膜炎)について
の波長λでの生物学的な重み付け関数
∆λ: 波長について総和演算を行う際の間隔
総和はλ1からλ2までの指定波長域にわたって行う。
上記以外の波長依存性の照射量,例えば,有効放射露光量,有効放射輝度,有効積分放射輝度などはい
ずれも類似の式を用いて値を求める。
ISO 15004-2の箇条5で規定する限界値及びガイドラインは,正常眼に関するデータに基づくものであ
ることに留意することも重要である。眼疾患者,幼児又は光増感処置を施された人は考慮に入れていない。
こうした人は,正常眼の人よりも眼の損傷を受けやすいことがある。
最後に,走査型レーザからの光放射など,走査型光放射について限界値を求める際に,放射を連続波と
して扱うかパルス光放射として扱うかは走査長によって決まることに留意することが重要である。走査長
が規定測定開口よりも大きい場合,放射はパルス放射とみなし,走査長が規定測定開口の中に完全に入る
場合,放射は連続波放射とみなす。ただし,円形測定開口を横切って走査される走査パターンの中には,
走査動作のある部分では走査長の一部は開口の中にあり,走査動作の他の部分では走査長の一部が開口の
ほかにあるものもある。このような場合,光放射は,可変パルス幅のパルス放射とみなさなければならな
いことがある。また,限界値は,この附属書で定めるように,各パルス及びパルスの全ての組合せについ
て値を求める。
JA.4.2 グループ1及びグループ2機器についての紫外放射の限界値
JA.4.1で記載したように,紫外光による光化学性の角膜傷害(光による角膜炎)は,波長依存性の傷害
である。光による一過性の急性角膜炎を引き起こす有効放射露光量のしきい値は,1日に4 mJ/cm2である。
(附属書JA参考文献[37]参照)。この場合,紫外光の作用は照射量に依存し累積的である。ICNIRPが推奨
する重み付けされた紫外光の角膜における放射露光量の限界値は,グループ2機器について1日に3 mJ/cm2
である。7 200秒と異なる時間tにおける限界値の評価が求められる品目別規格が存在する以外は,所定時
間(t=7 200秒)における限界値を評価しなければならない。
この限界値についての安全係数は極めて僅かであることに留意する。1日に4 mJ/cm2の露光レベルでの
光による角膜炎は,おそらくは一過性のものであり,恒久的な損傷には至らないため,このような小さな
安全係数は許容し得ると考えられている。露光時間を考慮すると,グループ1機器についてICNIRPが推
奨する限界値は0.4 μW/cm2である(上記の限界値の基となる時間を参照)。0.4 μW/cm2の有効放射照度の
レベルは,2時間で3 mJ/cm2の有効放射露光量に相当する。
グループ1の限界値とグループ2の限界値の差異についての理論的根拠は,幾つかの要因に基づいてい
る。これらの要因は,例えば,組織損傷の性質及び作用機序並びに組織損傷に対する限界値の安全係数で
ある。
角膜及び水晶体での250 nm〜400 nmの波長域にわたる重み付けされた紫外光放射照度についてのグル
ープ1の限界値は,手術用顕微鏡,眼内照明装置及び監視機器を除いて,0.4 μW/cm2である。グループ1
機器における露光時間の基となる2時間では,放射露光量は,グループ2の限界値である3 mJ/cm2まで許
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されている。
ただし,グループ1機器について基となる時間を選択する際に記載したように,1日の露光時間は1時
間と考えられており,どのような検査でも総露光時間が1日に2時間を超えることはないと考えられる。
したがって,グループ1機器からの放射露光量が,グループ2の限界値以上になることはおそらくないで
あろう。安全性要求事項を最小限に抑えることを念頭に置き,グループ1及びグループ2の限界値は,損
傷の一過性を考慮して導出されている。
熱性及び起こり得るが定かではない光化学性の損傷から水晶体を保護するために,考慮しなければなら
ない第二の紫外光放射基準が存在する。紫外光による急性白内障を引き起こすしきい値は,300 nm〜305
nmの波長において100 mJ/cm2程度であり,作用スペクトルは約290 nm〜325 nmの範囲である(附属書JA
参考文献[39]及び[40]参照)。急性白内障を引き起こすレベルは,同じ波長で光による角膜炎を引き起こす
レベルよりも高く,波長によって異なるが300 nm〜305 nmの波長では2倍から10倍である。しかし,急
性白内障を引き起こす作用スペクトルは極めて狭いことから,ICNIRPは,360 nm未満の紫外光放射を妥
当な範囲内で除去することを推奨している。前述の有効放射照度の限界値はこの基準に適合する。
さらに,359 nmでは眼の水晶体の損傷についてのしきい値は33 J/cm2である(附属書JA参考文献[41]
参照)。ICNIRPガイドラインでは,波長域360 nm〜400 nmの紫外光放射の場合,1 mW/cm2の放射照度の
レベルが極めて長い期間(8時間)にわたって容認できると記載されている。この限界値を支持する例と
して,戸外で眼はこのようなレベルに日常的にさら(曝)されていることがあげられる(附属書JA参考
文献[38]参照)。最後に,320 nmよりも長い全ての波長について,1 mW/cm2の放射照度は有効放射照度限
界値よりも小さい。こうした理由からICNIRPは,グループ1機器の場合,360 nm〜400 nmの波長域では
1 mW/cm2を限界値とすることを推奨している。また,ICNIRPは,グループ2機器の場合,1 000秒未満で
は1 J/cm2を限界値とし,1 000秒以上では1 mW/cm2を限界値とすることを推奨している。この場合,1 J/cm2
の放射露光量の限界値については,1 000秒までの全ての時間について放射露光量の限界値を評価するだ
けでよいことに留意する。一般的に用いられている光増感剤の一部はUV-A波長域(320 nm〜400 nm)の
光放射によって活性化されるということを考慮に入れてこの限界値が推奨されている。
以上の理由から,要求事項を最小限に抑えるという考えに基づき,グループ1機器及びグループ2機器
の場合,360 nm〜400 nmの波長域での放射照度のレベルは,1 mW/cm2の放射照度に設定することが適当
であると考えられる。さらに,グループ2機器について,1 000秒未満の露光継続時間にわたる放射露光
量を1 J/cm2と設定したのは,このグループの機器に対してより柔軟に運用し得るようにするためである。
したがって,この放射露光量の限界値は,より短い照射時間に対しより高い放射照度を許容している。
JA.4.3 グループ1機器についての可視光放射限界値
上記のように,青色光による光化学性の網膜傷害にも波長依存性がある。網膜傷害を引き起こす可視光
の網膜における放射露光量のしきい値は,440 nmでは22 J/cm2であり,320 nmでは3 J/cm2である(附属
書JA参考文献[42]参照)。グループ1の場合,ICNIRPが推奨する無水晶体眼に対する重み付けされた放射
輝度の限界値は2 mW/(cm2・sr)であり,これに等価な無水晶体眼に対する重み付けされた網膜における放射
照度は220 μW/cm2である。グループ1機器からのこの露光量は,2時間で可視光による網膜傷害を引き起
こすしきい値よりも小さい。可視光による網膜傷害が,440 nmで22 J/cm2の網膜に対する放射露光量によ
って引き起こされることから,220 μW/cm2の網膜露光量の限界値の安全係数は10よりも僅かに大きくな
る。
ここで留意すべきことは,ISO 15004-2[52]は,おって説明するように,グループ2機器では可視光放射
についての限界値を含んでいないことである。網膜ハザードに対する限界値の提示の仕方に,以前の国際
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規格と大きな違いがあることにも留意する。測定が柔軟に行われるように,グループ1機器及びグループ
2機器についての網膜ハザードに対する限界値は,等価な網膜放射照度又は放射露光量及び放射輝度又は
積分放射輝度で表されている。
グループ1機器を分類するのに用いる2時間の露光時間から,14.4 J/(cm2・sr)の時間積分放射輝度が得ら
れることに留意する。この時間積分放射輝度は,グループ2のガイドラインの1/7である。このように,
グループ1機器からの積分放射輝度がグループ2のガイドライン以上になることは考えられない。
JA.4.4 グループ1及びグループ2機器に対する赤外放射限界値
水晶体が吸収する赤外光の強度が十分に大きい場合,水晶体のたんぱく質が変性して傷害が引き起こさ
れる。角膜及び水晶体に対する重み付けしていない赤外放射照度限界値は,水晶体の白内障を引き起こす
ことが判明している放射照度レベルを基にしている。例えば,波長1.06 μmの連続波Nd:YAGレーザから
1 W/cm2の放射照度の光が角膜に60秒当たる場合を考える。これは,こう(虹)彩直後の温度を上げるの
に十分であり,それによって水晶体の前面で白内障が生じる(附属書JA参考文献[43]参照)。さらに,ガ
ラス産業及び鉄鋼産業の作業者は,10〜15年もの間絶えず80 mW/cm2〜400 mW/cm2の赤外放射照度レベ
ルの光にさら(曝)されており,こうした作業者は白内障を発症している(附属書JA参考文献[44]参照)。
グループ2機器の場合,ICNIRPが推奨している角膜及び水晶体に対する重み付けしていない赤外放射照
度の限界値は100 mW/cm2である。これは,この放射照度レベルなら前眼部の構造に急性傷害を引き起こ
すのに必要とされるレベルよりも十分低いからである。グループ1機器の場合,ICNIRPが推奨している
放射照度のレベルは10 mW/cm2である。このレベルは,慢性的な傷害を引き起こすことが分かっているレ
ベルよりも十分低い。
集光しており強度が十分に大きい可視光及び近赤外光は,水晶体を損傷することがある。前眼部に対す
る重み付けしていない可視光及び赤外の放射照度は,光束が角膜及び水晶体上で収束する機器にだけ適用
される。この場合の限界値は,レーザ波長が1.3 μm,スポットサイズが1.4 mm,露光時間が5秒では傷害
を引き起こす放射照度のしきい値が42 W/cm2であることに基づいている。これについては附属書JAの参
考文献[45]を参照。ICNIRPはこのデータに基づいて,前眼部に対する重み付けしていない可視光及び赤外
放射照度として,グループ2機器については20 W/cm2,グループ1機器については4 W/cm2を推奨してい
る。EIR-CL及びEVIR-ASについてのグループ1とグループ2との限界値の5倍の差は,熱による角膜及び水
晶体の損傷の性質並びに熱による損傷のしきい値を考慮すれば,グループ1機器とグループ2機器との差
異として許容される値と判断される。
最後に,光放射は網膜の熱傷害を引き起こすことがある。眼に入射する光がもたらす網膜に対するハザ
ードを評価する際の極めて重要な因子の一つは,網膜の照明領域での放射照度の値である。眼に入射する
光がコリメートされた光束であり,微小面積の光源から射出される場合,眼に入射する光の波面は平面波
とみなすことができ,こうして照明された網膜の面積は回折限界に近づくことがある。球面及び円柱度数
が良好に補正された実際の眼でも残存する高次収差のために,瞳孔径が2.5 mm〜3 mmよりも大きい場合
には回折限界の点像分布は形成されない。しかし,断面の直径が3 mmよりも大きい微小光源からのコリ
メートされた光束が眼に入射する場合,網膜上での点像分布は,そのサイズを3 mmの瞳についての回折
限界点像分布パターンのサイズと仮定することによって良好に近似されることがある。この像のサイズは
最小であり,そのため放射による網膜の損傷について最も危険な状態を表すとみなされる。
開口が円形の場合の回折限界パターンはエアリーディスクであり,その断面の光強度は,第1種ベッセ
ル関数の1次の関数値をこのパターンの中心からの半径方向距離で除したものの平方の形をとる。すなわ
ち,次に示すように表される。
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(
)
(
)
2
1
o2
)
(
=
f
kar
f
kar
J
I
r
I
ここに,
a: 瞳開口の半径
f: 瞳開口からパターンが形成される焦点面までの距離
k: k=2π/λ
このパターンは,まず中心からの距離r0のところで値が0になる。r0は,次の式(JA.1)のように表され
る。
na
f
r
λ
61
.0
0=
又は,直径では
na
f
d
λ
22
.1
0=
····································· (JA.1)
ここに,
n: パターンが形成される媒質の屈折率
λ: 光の波長
f: 瞳開口からパターンが形成される焦点面までの距離
この領域では,偶然ではあるがエアリーパターンは,1/e2半径が
2
0r
に等しいガウス分布と極めてよ
く一致する。したがって,計算を簡単にするために,エアリーパターンの代わりにガウス分布を使うもの
とする。よって,放射照度E(r)は式(JA.2)の形となる。
()
()
2
4
0
0
−
=
r
r
e
E
r
E
·································································· (JA.2)
回折限界像形成に伴う微小照明領域が網膜上で静止しているとすれば,眼に入射する総エネルギーをこ
の領域の面積で除すことによって放射照度が簡単に得られる。ここでは,この面積は直径d0の円板の面積
と定義する。しかし,衝動性眼球運動として知られているように,眼は細かく動くので決して静止せず,
そのため,この微小スポットは網膜表面上を絶えず走査していることになる。こうした動きを構成するの
は,素早い動きと,それらの間の継続時間1ミリ秒から最長でも約100ミリ秒の極めて短い静止期間であ
る。この運動のために,放射照度の有効照射面積は回折パターンよりも大きくなる。ハザード分析に活用
できるような有効面積を推定するために,衝動性眼球運動が行われた結果としての照射位置は,平均位置
から変位された照射パターン又は領域の中心の統計的確率値として表される。これは,位置の確率関数を
仮定することによって行う。この確率関数P(r)は正規分布,すなわち,標準偏差σのガウス分布をとると
仮定するのが妥当であり,式(JA.3)が得られる。
()
2
2
1
−
=
σ
r
e
r
P
········································································ (JA.3)
照射パターンに対するガウス分布と,このパターンの位置に対するガウス確率関数をこのように仮定す
れば,有効パターンは,これら二つのパターンの畳み込み積分として表される。この畳み込み積分は,確
率関数に従って統計的に動くガウス照射パターンによってエネルギーが伝達され,そのため網膜組織内で
危険な状態が高まることを示している。
よく知られているように,畳み込み積分のフーリエ変換は,畳み込み積分を形成する二つの関数のフー
リエ変換の積に等しく式(JA.4)のように表される。
Fo(E*P)=Fo(E)Fo(P) ······························································ (JA.4)
これもよく知られているように,ガウス関数のフーリエ変換は,式(JA.5)によって与えられる別のガウ
ス関数である。
()
a
w
ar
e
a
e
Fo
4
2
2
−
−
=π
································································· (JA.5)
したがって,式(JA.4)及び式(JA.5)を踏まえて,二つのガウス関数
2
ar
e−
と
2
br
e−
との畳み込み積分のフーリ
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エ変換は,次に示すようになる。
(
)
+
−
+
−
−
−
−
−
=
=
=
ab
b
a
w
b
a
w
b
w
a
w
br
ar
e
ab
e
ab
e
b
e
a
e
e
Fo
4
1
1
4
4
4
2
2
2
2
2
2*
π
π
π
π
ここで,量ab/(a+b)をcと定義すると,上式は次に示すように書き換えられる。
(
)
c
w
br
ar
e
c
ab
c
e
e
Fo
4
2
2
2*
−
−
−
=
π
π
ただし,この式の右辺は,次に示すガウス関数のフーリエ変換と考えられる。
b
a
abr
cr
e
b
a
e
ab
c
+
−
−
+
=
2
2
π
π
上式では,式(JA.5)及びcの定義を用いた。そのため,二つのガウス関数の畳み込み積分によって得られ
る関数は,それ自体が,ab/(a+b)を含む指数定数を有するガウス関数であることが分かる。
ここで,この結果を用いてガウス照射パターンと,衝動性眼球運動によるこの照射パターンの位置確率
関数との畳み込み積分によって得られる有効網膜放射照度分布の式を直接記載する。E及びPについての
式(JA.2)及び式(JA.3)から,指数定数a及びbの値は次のようになる。
2
0
4r
a=
2
2
1σ
=
b
そのため,この畳み込み積分の指数定数cは次の式(JA.6)のように表される。
(
)(
)
2
0
2
2
2
0
2
2
0
8
4
2
1
4
2
1
4
r
r
r
b
a
ab
c
+
=
+
=
+
=
σ
σ
σ
··········································· (JA.6)
ここで,この定数は有効像半径reの項で表され,すなわち,
2
e
2r
c=
になり,そのため,
2
4
2
0
2
2
e
r
r
+
=σ
又は
2
4
2
0
2
e
r
r
+
=
σ
になる。
有効径で表すと,この結果は,
2
4
2
2
0
2
e
r
d
+
=
σ
になる。
有効像イメージサイズに典型的な値を割り当てるために,λ=0.785 μmの近赤外光が3 mmの瞳孔を通し
て網膜上に回折限界パターンを形成することを例に取り上げ,位置データとしては,Steinman[47] が示す
標準偏差の最小値として11 μm(水平方向に頭が動かないように固定)を用いる。
r0に用いる値は,nを1.336,fを17 mmとして式(JA.1)から次のようになる。
μm
06
.4
)5.1(
336
.1
17
)
785
.0(
61
.0
61
.0
0
=
=
=
na
f
r
λ
したがって,照射面積の有効径は次のように求められる。
μm
4.
44
2
06
.4
)
11
(4
2
2
4
2
2
2
2
0
2
e
=
+
=
+
=
r
d
σ
波長を可視域中央λ=0.555 μmに変えるとr0=2.87 μmになり,deは44.2 μmになることが分かる。この
ように,回折限界の,又は極めて小さい網膜パターンについての有効照射面積の値を主に決めるのは,こ
うした眼の動きである。
一方,短時間の露光中に網膜上でスポットが動く原因として,眼振(極めて小さな高周波数の動き)と
称するタイプの衝動性眼球運動だけを考える場合,移動量は約7 μmとなる(附属書JA参考文献[44]参照)。
こうした動きの周波数は50 Hz〜100 Hzであり,そのためこうした動きは,不連続な場合には10 ms〜20 ms
ごとに生じる。この値は,Steinman [47] が示す継続時間22 msと一致する。動きについての下側の値を標
44
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
準偏差とみなすと,有効径の計算値は,波長555 nm及び785 nmについてそれぞれ28.3 μm及び28.6 μm
になる。この場合も有効径の値を決めるのは,用いられる波長ではなく,こうした動きであることを示し
ている。
上記の考察から,ハザード分析で用いる網膜放射照度を求めるのに用いる網膜照射面積の直径の妥当な
下限値は,0.030 mmであることが示される。
スポットサイズによっては,放射照度レベルが1 W/cm2〜1 000 W/cm2でも網膜損傷が生じ得る(附属書
JA参考文献[46]参照)。この傷害データに基づいて,グループ2機器について重み付けした網膜に対する
可視光及び赤外光による熱放射照度についてICNIRPが推奨する網膜放射照度の限界値は,1.2/dr W/cm2で
ある。記号drは,網膜像のサイズであり,単位はミリメートルである。これに対応する機器側の放射輝度
の限界値は,10/dr W/(cm2・sr)である。グループ1機器についてICNIRPが推奨する網膜放射照度の限界値
は,0.7 W/cm2であり,これに対応する機器側の放射輝度の限界値は,6 W/(cm2・sr)である。
パルスを出力する機器からの光ハザードには,更に次の三つのタイプがある。
a) 放出継続時間が10 μs〜0.25 sであり,400 nm〜1 400 nmの波長域の光放射からの,熱に関して重み付
けられた網膜に対する可視光及び赤外光による放射露光量
b) 770 nm〜2 500 nmの波長域にわたる光放射からの,重み付けしていない角膜及び水晶体に対する赤外
光による放射露光量
c) 400 nm〜1200 nmの波長域にわたる放射光束を角膜及び水晶体に収束させる機器からの,重み付けし
ていない角膜及び水晶体に対する赤外光による放射露光量
パルス機器についての露光量限界値は,400 nm〜1 400 nmの波長でのパルス光から角膜,水晶体及び網
膜を保護するために設けられた米国産業衛生専門家会議のThreshold Limit Values [33] に基づくものである。
dr=1.7でのグループ2の限界値は,連続波機器のLVIR-R及びEVIR-R,並びに,パルス機器のHVIR-R及び
LVIR-Rについては,グループ1の限界値と同じであることに留意する。ここで,グループ1の限界値は,最
大直径1.7 mmでの最悪のシナリオに相当するように選択されたものである。しかし,グループ2の限界
値は,要求事項を最小限に抑えるという考えに基づいて,スポットサイズが小さくなるにつれ変化するよ
うになされている。そのため,網膜上のスポットサイズが最大直径1.7 mm以下の場合には,限界値を高
くすることができる。
最後に,パルス機器のHIR-CL及びHVIR-ASについて,グループ1の限界値は,グループ2の限界値と同じ
になるように設定されている。これは,要求事項を最小限に抑えるという考えを保ちながら,角膜及び水
晶体に対するパルス放射に伴う赤外熱損傷の性質を考慮した結果である。重要なのはパルス光源について
の時間tを含む限界値は,20秒までの全ての時間について評価する必要があることである。ただし,品目
別規格が存在し,それが上記と異なる時間tまで限界値の評価を行うことを規定している場合には,その
限りではない。
JA.4.5 放射光源が複数ある機器に対する限界値
ここで,この附属書の要求事項の中には,眼の同一部位に光を照射するように設計された複数光源機器
について,光放射量は,単体の光源ごとに適用されるそれぞれの限界値以下とする項目があることに留意
する。さらに,この附属書の要求事項の中には,これら複数の光源を8時間の間に意図したとおりに順次,
又は同時に使用する全ての場合について,指定した波長域にわたって放出される光放射と,この指定した
波長域の光放射について適用される限界値との比の合計を1以下とする項目がある。この要求事項は,複
数の光源を使用する新しいタイプの機器の場合,及びそれ以外では,照明光源及びパルスフラッシュ光源
の両方を使用する眼底カメラなどの機器の場合,特に重要である。この要求事項は,単一の機器内の複数
45
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の光源から眼の同一組織を,順次又は同時に露光することによる複合的な潜在リスクを考慮に入れるため
のものである。
JA.4.6 グループ2機器に対する可視光露光量のガイドライン
眼の病理診断には,可視光が必要であり,そのため可視光は,直像鏡及び倒像鏡,スリットランプ,手
術用顕微鏡及び眼内照明装置などの機器で一般に使用される。病気の診断又は手術中の観察に必要な可視
光に対して,限界値を設定するのは妥当ではない。術者は長時間の複雑な手術中に,危険と分かっている
露光レベルを超えて使用しなければならないことがあり,臨床医は眼の病理診断を行うための長時間の検
査中に,危険と分かっている露光レベルを超えて使用しなければならないことがある。このことから,可
視光については限界値ではなく危険露光ガイドラインを設定する。これによって臨床医は,この機器の使
用に伴って生じ得る潜在的な光ハザードを認識する。グループ1機器は危険ではないので,この要求事項
はグループ2機器にだけ適用される。
先に述べたように,青色光による光化学性の網膜傷害は,波長依存性の傷害である。可視光による網膜
障害を引き起こす網膜での放射露光量が,440 nmで22 J/cm2,320 nmで3 J/cm2であるとされるしきい値
データに基づいて,ICNIRPが推奨する無水晶体眼に対する重み付けした網膜での放射露光量の危険レベ
ルは,グループ2機器については10 J/cm2である。そして,これに対応する時間積分放射輝度は100 J/(cm2・
sr)である。
JA.5 平均化開口絞り
網膜での放射露光量の限界値は,直径0.180 mm(固定された眼の場合には0.030 mm)の網膜面におけ
る円形領域に入射する最大局所放射エネルギーを平均することによって求める。こうした開口絞りは,サ
ンプリング用として用いるためのものである。こうした開口絞りを使用して網膜を走査し,それによって
直径0.180 mm(固定された眼の場合には0.030 mm)の円形内で測定し得る最大放射エネルギーを特定す
る。0.180 mmの平均化開口絞りは,測定機器の11 mradの視角と等価であることに留意する。これは,固
定されていない眼の動きを考慮に入れている。0.030 mmの開口絞りは,測定機器の1.75 mradの視角と等
価であり,これは固定された眼を対象としている。ISO 15004-2は,この開口絞りを通した実際の放射エ
ネルギーの測定を要求してはいない。網膜上で空間ビームプロファイルが均一な場合,例えば,直径0.180
mm(固定された眼の場合には0.030 mm)の円の面積内で測定し得る放射エネルギーをその面積で除すこ
とは,総放射エネルギーを照射された網膜の面積で除すことと等価である。0.030 mmのサンプリング開口
絞りは,網膜上でホットスポットが生じ得る機器に対して使用するためのものである。ただし,こうした
開口絞りを用いるには,0.030 mm程度のホットスポット内の放射エネルギーが特定されるように,網膜上
での空間ビームプロファイルの分布が十分に分かっていることが必要である。
ここで,網膜露光量を求めるための0.030 mmの平均化開口絞りは,意図的に網膜上に微小スポットを
収束する特殊な場合にだけ用いる必要があることに留意する。この状況は,十分にコリメートされたレー
ザービーム,点光源からの光が眼に向けられる場合,及びどんな衝動性眼球運動も抑制されるように眼が
固定されている場合に生じ得るものである。0.030 mmの平均化開口絞りの使用が必要とされる別の例は,
アイトラッカーを使用する機器が単一点に微小スポットを収束し得る場合である。アイトラッカーを使用
する機器の場合,眼の単一点にスポットが維持されるように眼の動きは追尾される。
角膜及び水晶体に対する潜在的なハザードを評価するための平均化開口絞りは,1 mmである。この平
均化開口絞りの大きさは,組織の各層内での熱の流れ及び拡散に関する考察によれば,角膜及び水晶体上
の微小スポットについての熱及び光化学性のリスクを評価するのに十分と思われる。同様に,熱の流れ及
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び拡散に関する考察によれば,熱による網膜での放射照度の限界値を求めるための平均化開口絞りは,
0.030 mmである。
最後に,放射輝度の測定については,測定開口絞りの代わりに機器の視角を指定して行うことに留意す
る。放射光源の放射輝度を求めるために指定される視角は,網膜での放射露光量を求めるために指定され
る平均化開口絞りと等価である。
JA.6 要求事項
JA.6.1 構成要素の測定要求事項及び試験証明書
グループ1及びグループ2に属する機器ともに測定に関する要求事項がある。ただし,これらの測定要
求事項について,ISO 15004-2では,測定値の代わりに構成要素の試験証明書を用いることができる。フ
ィルタの透過率,光源の分光放射曲線など,装置構成要素の光学特性の試験証明書を用いて,機器からの
放射量が規定された限界値未満であることを文書で示してよい。この目的は,このような試験証明書を用
いることである種の測定を不要にすること,場合によってはいかなる測定も不要にすることである。この
ように試験証明書を利用することは,要求事項を最小限に抑えるというISO規格の考え方と一致している。
測定が必要とされない例として,機器内の単一白色光源の輝度が100 000 cd/m2未満であることを試験証
明書が示す場合がある。光放射量がグループ1のどの限界値よりも小さいことを文書で示すには,このよ
うな試験証明書で十分であり,試験証明書に記載の光源が当該機器で使用される唯一の光源である場合に
は,いかなる測定も不要である。
別の例として,拡散発光面の直径が2 mmの白色LEDを使用し,かつ,放射強度が2.0 mW/srであるこ
とが証明されている固視灯を備える機器の場合を考える。射出開口絞りから眼までの距離は,通常の使用
状態で100 mmとする。このLEDは,2桁の減光率をもつことが証明されているNDフィルタの後ろに配
置されており,そのため光源から放出される放射強度は,0.02 mW/srになる。また,この白色LEDは,400
nm未満と700 nmよりも長い波長の放射がないことが証明されている。
この場合,放射輝度は,減衰した放射強度を直径2 mmの拡散放射面の面積で除すことによって与えら
れる。直径2 mmの面積は0.031 4 cm2なので,放射輝度は0.64 mW/(cm2・sr)になる。この値は,グループ1
機器の限界値である2 mW/(cm2・sr)の1/3未満である。この例では,ここで使用されている構成要素が証明
されていることによって,放射レベルがグループ1機器の限界値よりも十分に小さいことが明らかとなり,
いかなる測定も不要である。
また,この例の場合,輝度測定を行って放出される白色光がグループ1機器の限界値未満であることを
文書で示すこともできる。白色光放射量を測定する場合,この附属書によれば,機器の視角を11 mradと
してこれらの測定を行う必要がある。すなわち,輝度計の視野は,射出開口絞りから患者までの距離が100
mmなので光源の放射面上で直径1.1 mmに制限される。しかし,放出される光は放射面全体にわたって均
一なので,11 mradの視角を用いることはこの場合は必ずしも必要ではなく,輝度計の視野が放射面の直
径に制限されればよい。
ここでの考え方の説明を簡単にするために,白色の固視灯の代わりに緑色の固視灯の場合を考える。こ
の緑色の固視灯の輝度測定値が,0.44 cd/cm2又は0.44 lm/(cm2・sr)であったとする。最悪の場合の解析とし
て,全ての光が比視感度のピーク波長である553 nmで放出されると仮定する。553 nmでの1 Wは683 lm
になるという関係を利用して,最悪の場合の放射輝度の値が0.64 mW/(cm2・sr)と求められる。そのため,
輝度を測定した場合,その放射輝度は2 mW/(cm2・sr)の放射輝度限界値よりも十分に小さいことを示すこと
ができる。
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最後に,緑色の固視灯の放射量は,照度を測定することによってグループ1の限界値未満であると判断
することもできる。この例では,輝度は,既知の距離zだけ離れた二つの開口を透過する光束を測定し,
次の関係を用いることによって求めることができる。
a
A
z
Φ
L
×
×
=
2
v
v
ここに,
Lv: 輝度
Φv: 光束
a: 第1開口の面積
A: 第2開口の面積
照度計は,固視灯から100 mmの距離に配置する。この場合,視角を11 mradとするには,直径1.1 mm
の開口絞りを固視灯の放射面を覆って配置する必要がある。
光源からの距離がz=10 cmでの照度は,
A
Φ
E
v
v=
したがって,輝度についての式は,次のようになる。
2
2
v
2
v
v
)
055
.0(
)
10
(
π
E
a
z
E
L
=
×
=
2
2
v
v
)
055
.0(
)
10
(
π
E
L=
次いで,拡散光源を覆う1.1 mmの開口絞りを用いて,距離z=10 cmでの照度を測定して放射光源の輝
度を求めればよい。この方法は,11 mradの視角を考慮したものである。
この例では,照度の測定値EVは0.42×10−4 lm/cm2又は0.42 lxになる。上式を用いて,この照度から輝
度0.44 lm/(cm2・sr)が得られる。ここで,この場合の照度の測定値は,LEDの全照度の1/3.3であることに
注意する。これは,放射面積の一部が1.1 mmの開口絞りによってマスクされているからである。この均
一な光源の照度は,LEDの直径2 mmの放射領域の面積に対する放射光源を覆う直径1.1 mmの開口の面
積の比だけ小さくなっている。この緑色LEDの場合,LEDの放射輝度は,前記の計算の場合と同様に,
553 nmにおける683 lm/Wという関係から,輝度0.44 lm/(cm2・sr)の比を取ると,放射輝度0.64 mW/(cm2・sr)
が得られる。
広帯域光源の輝度を測定する場合,相対分光パワー分布が分かっているときには,分光放射輝度及び光
源の全放射輝度は,次の関係を用いて求めることができる。
()
()
()
λ
λ
λ
λ
λ
λ
λ
∆
×
×
×
=
×
=
∑
∫
V
f
L
V
L
L
770
380
peak
770
380
v
683
d
683
ここに,
Lv: 光源の輝度
Lλ: 距離zにおける光源の波長λでの分光放射輝度
V(λ): 比視感度
dλ: 微小波長区間
∆λ: 総和演算に用いる波長間隔
Lλpeak: 分光放射曲線のピークでの分光放射輝度で,これは定数であ
る
f(λ): 相対分光パワー分布でλpeakのときf(λ)が1
)
(
peak
λ
λ
λ
f
L
L
×
=
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
上式から,Lvを測定することができ,かつ,f(λ)が既知であるとき,Lλpeakを求めることができ,それを
用いてLλを求める。Lλが分かると,次の式を用いてL及びLAを求めることができる。
∑
∆
×
=700
380
λ
λ
L
L
及び
()
λ
λ
λ
∆
×
×
=∑
700
380
A
A
L
L
ここで重要なのは,例えば,発光ダイオード(LED)についての試験証明書が,可視波長域の光だけが
放出されることを示す場合,可視光放射だけの測定が必要となることである。紫外光又は赤外光の放射が
ないことを文書で示すにはこのような試験証明書で十分である。この場合,これが当該機器で使用される
唯一の光源である場合には,紫外光及び赤外光の放射の測定は不要である。
JA.6.2 グループ1機器に対する測定要求事項
ISO 15004-2におけるグループ1機器についての唯一の要求事項は,当該機器からの放射量が,連続波
機器及びパルス機器について規定された限界値(ISO 15004-2:2007の表2及び表3)以下であることを客
観的に示すことである。長時間にわたって動作させることがあるパルス機器の場合には,放射量が連続波
機器及びパルス機器の両方について,規定された限界値以下であることを示すことが必要になる。さらに,
この規格は放射量が限界値以下であることを製造業者が柔軟に文書化できるように意図されている。これ
は,ある機器がグループ1機器かどうかを判断する測定値の不確かさを柔軟に設定することで実現される。
この規格の要求事項は,測定値の不確かさは限界値と測定値の差以下でなければならないということを規
定している。そのため,桁の異なるほどの極めて大きな不確かさを認めている。この仕様が要求している
ことは単に,測定値と不確かさの和が限界値以下であることである。
上述のとおり,グループ1機器についての唯一の要求事項は,全ての放射量が,このグループの限界値
以下であることを客観的に証明することである。可能であれば,上述の簡単な放射測定値又は計算値ある
いはその両方,及び構成要素の試験証明書をそろ(揃)えることが推奨される。グループ1機器は,ISO
15004-2で規定された他の全ての要求事項が免除される。
最後に,ある機器がグループ1に属するかどうかを判断するために測定を注意深く行う必要があるのは,
その機器の放射量がグループ1について規定された限界値に近い場合だけである。放射量が限界値を大き
く下回る機器の製造業者は,当該機器が限界値未満であり,それゆえグループ1に属することを示すのに
広帯域測定機器を使用することが考えられる。場合によっては,ある機器がグループ1に属することを示
すのに照度計による測定だけでよいことがある。例えば,2 300 K程度の低い色温度で発光するワット数が
小さいタングステン電球を使用する機器の場合,全ての放射量がグループ1について規定された限界値以
下であることを文書で示すには,照度データに基づく計算値で十分なことがある。
一見しただけでは,ある機器がグループ1又はグループ2のいずれに属するかを示すのは難しいと思え
ることがある。ある機器がグループ1に属するかどうかを評価する最初のステップは,放射が最大と思わ
れる帯域の放射量の測定値を評価することであろう。その測定値が限界値以下であれば,手順として,残
りの帯域の放射量を系統的に求めることになる。全ての測定値又は計算値が規定された限界値以下であれ
ば,当該機器はグループ1に属することになる。光放射量がグループ1の限界値のどれか一つでも上回れ
ば,その機器はグループ2に属すると判断される。その場合,ISO 15004-2が製造業者に要求することは,
当該機器からの全て放射量が規定されたグループ2の限界値以下であることを客観的に証明することであ
る。
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T 15004-2:2013 (ISO 15004-2:2007)
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JA.6.3 グループ2機器に対する要求事項
JA.6.3.1 測定要求事項
グループ2機器の製造業者は,当該機器からの放射量のいずれもが,規定された全ての適用すべき放射
限界値以下であることを客観的に証明しなければならない。JA.6.1に規定しているように,ISO 15004-2
では,測定値の代わりに構成要素についての試験証明書を用いることができる。フィルタの透過率,分光
放射曲線など,装置内の構成要素についての光学特性の試験証明書を用いて,当該眼光学機器からの放射
量がグループ2機器について規定された限界値以下であることを文書で示してよい。このような試験証明
書によって,ある種の測定が不要になる。
ISO 15004-2では,測定が必要とされる場合には,それらの測定における不確かさは±30 %未満と規定
していることに注意する。
JA.6.3.2 潜在的な光ハザードに達するまでのパルスの露光時間若しくはパルス数又はそれらの両方
ISO 15004-2では製造業者に対して,グループ2機器について,無水晶体眼の網膜に対する有効な放射
露光量に関して,潜在的なハザードに達するまでのパルスの露光時間又はパルス数を求めることを要求し
ている。この要求事項は,潜在的なハザードを有する機器における潜在的なハザードに関する情報を使用
者は知るべきであるという考えに基づいている。この情報によって,使用者は,当該機器の使用に伴う危
険性を最小限に抑えるための適切な処置をとることができる。
JA.6.3.3 光量可変に関する要求事項
光量を変化させる手段が備わっている場合,全光量のどのくらいの割合が出力されているかを使用者に
知らせるために,最大強度及び最大強度との割合を示す表示を用意する。これによって,使用者は,光量
を落とした設定について安全な露光時間を決めることができる。
JA.7 特定の情報
ISO 15004-2には,グループ2機器に適用される情報提供の要求事項が含まれている。製造業者は,特
定の患者に対して当該機器を安全に使用するためには分光情報が必要であると考える使用者に対し,要求
に応じて,その分光情報を提供しなければならない。使用者は,この情報を用いて,当該装置の使用に伴
う潜在的な危険性を更に減ずるために光放射量を変更することができる。
又は使用者は,ある特定の状況で使用するのに,ある特定の分光パワー分布を有する機器を選択したい
場合がある。このことは,医学的な症状,合併症の管理において,及び医学的な研究において特に重要な
ことがある。同時に,使用者にとって必要でも有用でもない技術情報を,製造業者に提供するように要求
すべきではないとも考えられる。したがってISO 15004[50]と異なり,新しい規格であるISO 15004-2[52]
では,この種の情報を全ての使用者に提供するようには製造業者に要求していない。しかし,ISO 15004-2
では,使用者からの要求に応じて,最大強度及び最大開口での305 nm〜1 100 nmの範囲の相対分光出力の
グラフを提供することを要求している。
ISO 15004-2では,連続して可視光を出力する機器については,潜在的な光ハザード放射量に達するま
での時間に関する情報を,可視パルス光を出力する機器については,パルス数に関する情報を使用者に提
供することを製造業者に要求している。また,ISO 15004-2では,この安全に関する情報を取扱説明書の
安全性情報の項目に記載することを要求している。
JA.8 試験方法
機器がグループ1に属するかどうかを判断するための測定に伴う不確かさは,固定値ではない。この場
50
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
合,これらの測定における不確かさは,放射限界値と測定値の差以下でなければならない。先に述べたよ
うに,この測定の不確かさは極めて大きくなり得る。この要求事項は,オフサルモメータ,視野計などの
光放射量が極めて小さく,潜在的に危険でない機器を評価する場合において,複雑でコストがかかる測定
を軽減するように意図されたものである。この要求事項は,要求事項を最小限に抑えるという考え方に一
致している。
グループ2機器の場合,光放射の測定に要求される不確かさは±30 %である。眼内又は眼に向けて光放
射を行うように設計された機器からの潜在的に危険な光放射量は,可能な限り高い精度で示されるべきで
あると考えられる。この附属書で記載した値は,技術的に実現可能であり,限界値を導き出すために用い
られた生物学的データにおける不確かさ及び多様性を考慮に入れている。ISO 15004の第1版の場合と同
様に,面積を求める測定の不確かさは±30 %以下でなければならない。2006年発行の最新のIEC規格[56]
に記載の方法を用いて,光放射データにおける不確かさを推定すべきである。
JA.9 ISO 15004-2の附属書
JA.9.1 附属書Aは,規定となる附属書であり,光放射ハザードを評価するのに用いる分光重み付け関数
が含まれる。附属書Aに含まれるのは,熱ハザード,無水晶体眼の網膜に対するハザード,及び紫外光ハ
ザードについての重み付け関数である。これらの重み付け関数は,現在の眼光学機器規格におけるものと
同じである。
JA.9.2 附属書Bは,ISO 15004-2が対象とする眼光学機器についての個別規格を参照する参考の附属書で
ある。
JA.9.3 附属書Cは,簡単な広帯域放射測定用機器を使用して放射量を求めることを推奨する,参考の附
属書である。このような測定機器は光放射量が十分に低いときに使用し得ると考えられる。重要なことは,
極めて低いレベルの光放射を測定することを製造業者に要求するものではないということである。ここで
意図しているのは,低いレベルの光放射については,光放射量が測定機器の検出限界未満であり,測定機
器の検出限界が評価対象の限界値以下であることを証明できることである。そのため,限界値以下である
ことを証明するために,放射量が測定機器の検出限界未満であることと,測定機器の精度を特定すること
で十分な場合がある。
附属書Cは,分光的に重み付けした,又は重み付けしていない放射量の一つを測定する広帯域直読式の
“セーフティーメータ”が市販されており,光放射による潜在的な眼及び皮膚へのハザードを直接測定す
るために使用できることをISO 15004-2の使用者に知らせるためのものでもある。
JA.9.4 附属書Dは,機器の放射輝度に基づいて放射輝度及び放射照度を求める測定方法についての詳細
な考察を含む規定の附属書である。角膜及び前眼部での放射照度,網膜での放射照度,角膜での分光放射
露光量及び前眼部での放射露光量,並びに網膜での放射露光量を求める個々の方法が述べられている。網
膜での放射照度及び放射露光量に関しては,利用可能な情報に応じて二つの方法が述べられている。機器
のビーム特性が当該機器の設計から既知である場合について,簡略化された方法が記載されている。当該
機器の製造業者は,こうした情報をもっており,この簡略化された方法を利用し得ると考えられる。一方,
機器のビーム特性が未知である場合には,記載されている他の測定方法を用いることができる。
JA.9.5 附属書Eは,放射照度を直接求める測定方法の考察を含む参考の附属書である。三つの状態で放
射照度を求める記載がある。三つの状態とは,角膜上でビームがコリメートされ平行になっている場合,
角膜上でビームが発散している場合,及び前眼部上でビームが収束している場合である。附属書Eに記載
の手順では,附属書Dに述べられている放射光源の放射輝度又は積分放射輝度を求める必要はない。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JA9.6 附属書Fは,ISO 15004-2の使用を容易にすることを目的としたフローチャートを示している。
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