2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
T 1190-1987
重心動揺計
Stabilometers
1. 適用範囲 この規格は,患者の直立姿勢時における足底圧の垂直作用力を変換器で検出し,足圧中心
動揺を電気信号変化として出力する重心動揺計について規定する。
引用規格:
JIS T 1001 医用電気機器の安全通則
JIS T 1002 医用電気機器の安全性試験方法通則
JIS T 1003 医用電気機器の電気的安全性試験方法
JIS T 1004 医用電気機器の機械的安全性試験方法
JIS T 1005 医用電気機器取扱説明書の様式
2. 用語の意味 この規格で用いる主な用語の意味は,JIS T 1001(医用電気機器の安全通則)の用語の
意味によるほか,次による。
(1) 足圧中心 患者の直立姿勢時における足底圧の垂直作用力中心位置。
(2) 足圧検出装置 足底に接する板が変換器によって水平に支えられ,患者の直立姿勢時における足底圧
の垂直作用力を検出する装置。
(3) X軸・Y軸 水平面内の足圧中心を表す座標軸で,直立姿勢時における患者の左右方向がX軸,前後
方向がY軸。
(4) 規定重心位置 足圧検出装置の足底に接する板の中心位置を原点とし,その原点を中心とした半径
50mmの円周を3等分した各点。
3. 使用条件 使用条件は,JIS T 1001の3.によるほか,次による。
足圧検出装置の設置 使用時における足圧検出装置の設置場所は,水平な硬い床面の上とする。
4. 安全 安全に関する事項は,JIS T 1001によるほか,次による。
(1) 電撃に対する保護の形式及び程度は,それぞれJIS T 1001に規定された次の分類に適合すること。
(a) 電撃に対する保護の形式による分類 クラスI機器
(b) 電撃に対する保護の程度による分類 B形機器
(2) 重心動揺計の耐電圧は,JIS T 1001の表2中の (A-a), (A-f) 及び (B-a) 間とする。ただし,(B-a)に
ついては,電源一次回路と足底に接する板との間とする。
5. 性能
5.1
測定可能体量 測定可能体重は,10〜150kgとする。
2
T 1190-1987
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5.2
重心位置特性 7.4.1によって試験を行ったとき,規定重心位置からのずれは,±1mm以内とする。
5.3
自由振動周波数特性 7.4.2によって試験を行ったとき,自由振動周波数は,20Hz以上とする。
5.4
ドリフト特性 7.4.3によって試験を行ったときの30分後及び60分後のドリフトは,±3mm以内と
する。
6. 構成及び構造
6.1
構成 重心動揺計は,本体及び足圧検出装置で構成する。
図に構成例を示す。
図 重心動揺計の構成例
6.2
構造
6.2.1
構造一般 重心動揺計は,安全で取扱いが容易であり,その特性が温度,湿度,振動,衝撃,電気
的及び化学的影響を受けにくい構造とする。
6.2.2
本体の構造 本体の構造は,次による。
(1) 足圧中心動揺出力端子(X軸出力及びY軸出力)を備えること。
(2) 足圧中心動揺出力は,足圧検出装置の中心位置を原点とし,患者からみてX軸右方を+X,左方を−
X,Y軸前方を+Y,後方を−Yと出力される構造とする。
6.2.3
足圧検出装置の構造 足圧検出装置の構造は,次による。
(1) 足圧検出装置の足圧中心計測が可能な領域は,原点を中心として直径250mm以上とする。
(2) 足圧検出装置の足底に接する板の大きさは350×350mm以上とする。
(3) 足圧検出装置の床面からの高さは75mm以下とする。
(4) 足圧検出装置は,足圧中心計測可能範囲において1 960200
+N (200200
+kg) の荷重に耐え,かつ,性能が
変化しない構造であること。
(5) 足圧検出装置の足底に接する板は,測定可能範囲の荷重に対し測定に影響するようなたわみを生じな
い構造であること。
7. 試験
7.1
試験条件 試験条件は,JIS T 1002(医用電気機器の安全性試験方法通則)の4.(1)による。
7.2
試験項目 試験項目は,次のとおりとする。
(1) 安全に関する試験
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T 1190-1987
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(2) 性能試験
(a) 重心位置特性
(b) 自由振動周波数特性
(c) ドリフト特性
7.3
安全に関する試験 安全に関する試験は,JIS T 1002,JIS T 1003(医用電気機器の電気的安全性試
験方法)及びJIS T 1004(医用電気機器の機械的安全性試験方法)による。
7.4
性能試験
7.4.1
重心位置特性 まず試験用重りを足圧検出装置のほぼ中心に置き,出力信号が原点位置に対応する
値となるよう電気回路を調整する。次に各規定重心位置ごとに試験用重りの荷重中心点を設置し,出力信
号を計測する。この計測値から重心位置を換算し,規定重心位置からのずれを求める。試験用重りは,10
±0.1kg,50±0.5kg及び100±1kgの3種類とし,それぞれについて上記の計測を行う。また試験用重りは,
足圧検出装置上での重りの荷重中心位置が確認できる構造とする。
7.4.2
自由振動周波数 足圧検出装置の中心位置に試験用重り20±0.2kgを置き,垂直方向にハンマなど
で軽く衝撃を加える。このときの荷重変換器出力信号をオシロスコープなどで観測し,その振動波形から
重心動揺計の自由振動周波数を計測する。
7.4.3
ドリフト特性 試験用重り50±0.5kgを足圧検出装置の中心位置に置き,60分間放置する。放置前
及び30分後,60分後の出力から重心位置を換算し,放置前とその各差をドリフトとする。
8. 表示 機器の見やすいところにJIS T 1001の12.の表示のほか,次の事項の表示をしなければならな
い。
(1) 足圧検出装置の足底に接する板のX軸方向及びY軸方向。
(2) 足圧検出装置の足底に接する板の中心位置。
9. 附属文書 重心動揺計には,取扱説明書及び検査合格書又はこれに準じるものを添付しなければなら
ない。取扱説明書は,JIS T 1005(医用電気機器取扱説明書の様式)によるほか,次の事項を記載する。
(1) 構成,性能,仕様,使用条件などに関する事項。
(2) 機器の安全な使用に関する事項。
(a) 操作方法
(b) 電撃に対する安全性を維持するための注意事項及び使用法の詳細な説明。
(c) 足圧検出装置の足底に接する板の消毒方法。
(d) 足圧検出装置を衝撃荷重から保護するための方法。
(3) 使用者が行う保守点検に関する事項。
4
T 1190-1987
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解説表 重心動揺計原案作成委員会 構成表
氏名
所属
時 田 喬
岐阜大学医学部耳鼻咽喉科
戸 川 達 男
東京医科歯科大学医用器材研究所
小松崎 篤
東邦大学医学部耳鼻咽喉科
徳 増 厚 二
北里大学医学部耳鼻咽喉科
田 口 喜一郎
信州大学医学部耳鼻咽喉科
上 村 卓 也
九州大学医学部耳鼻咽喉科
三 好 豊 二
国立療養所南京都病院
松 永 享
大阪大学医学部耳鼻咽喉科
大久保 仁
東京医科歯科大学医学部耳鼻咽喉科
松 岡 出
京都大学医学部耳鼻咽喉科
猪 飼 康 雄
株式会社三陽電機製作所
植 松 利 行
日本電気三栄株式会社
中 村 洋 平
日本電気三栄株式会社
今 岡 薫
アニマ株式会社
椿 本 博 久
アニマ株式会社
電子部会 ME機器専門委員会 構成表
氏名
所属
(委員会長)
斎 藤 正 男
東京大学
井 出 正 男
武蔵工業大学
小 川 絜以知
東京都立工業技術センター
越 智 秀 夫
財団法人機械電子検査検定協会
兵 頭 洋
通商産業省機械情報産業局
小 宮 宏 宣
厚生省薬務局
太 田 健一郎
工業技術院標準部
柄 川 順
国立ガンセンター病院
小 野 哲 章
三井記念病院
菊 地 眞
防衛医科大学校
須 磨 幸 藏
東京女子医科大学附属第二病院
都 築 正 和
東京大学附属病院
古 幡 博
東京慈恵会医科大学
市 河 鴻 一
株式会社アイカ
大 内 清 吾
日本光電工業株式会社
太 田 善 久
日本電気三栄株式会社
繁 村 直
株式会社東芝
楡 木 武 久
社団法人日本電子工業振興協会
村 山 博 一
社団法人日本電子機械工業会
山 根 巌
日立メディコ株式会社
(関係者)
今 岡 薫
アニマ株式会社
(事務局)
潮 田 成 一
工業技術院標準部電気・情報規格課
福 井 正 弘
工業技術院標準部電気・情報規格課
後 藤 博 幸
工業技術院標準部電気・情報規格課