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T 11140-1:2013 (ISO 11140-1:2005) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲 ························································································································· 1 

2 引用規格 ························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 2 

4 クラス分類 ······················································································································ 3 

5 一般的要求事項 ················································································································ 4 

6 性能要求事項 ··················································································································· 5 

7 試験方法 ························································································································· 6 

8 (クラス1)プロセスインジケータに対する追加要求事項 ························································ 9 

9 (クラス3)シングルバリアブルインジケータに対する追加要求事項 ········································ 12 

10 (クラス4)マルチバリアブルインジケータに対する追加要求事項 ········································· 12 

11 (クラス5)蒸気滅菌用インテグレーティング・インジケータに対する追加要求事項 ·················· 12 

12 (クラス5)乾熱滅菌用インテグレーティング・インジケータに対する追加要求事項 ·················· 13 

13 (クラス5)エチレンオキサイド滅菌用インテグレーティング・インジケータに対する 

追加要求事項 ················································································································ 14 

14 (クラス6)エミュレーティング・インジケータに対する追加要求事項 ··································· 14 

附属書A(参考)製品の使用期限の評価方法 ············································································ 16 

附属書B(参考)インジケータ試験の事例 ················································································ 17 

附属書C(参考)インテグレーティング・インジケータへの要求事項についての理論的根拠 

並びにISO 11138で規定しているバイオロジカルインジケータ(BI)への 

要求事項及び微生物の殺滅効果との相関性 ········································································· 19 

附属書D(参考)蒸気−ホルムアルデヒド滅菌用インジケータの液相試験法の理論的根拠 ················· 25 

附属書E(参考)インジケータの構成要素 ················································································ 26 

参考文献 ···························································································································· 27 

T 11140-1:2013 (ISO 11140-1:2005) 

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本医療機器学会(JSMI)及

び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出が

あり,日本工業標準調査会の審議を経て,厚生労働大臣及び経済産業大臣が制定した日本工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。厚生労働大臣,経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の

特許出願及び実用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格 

      JIS 

T 11140-1:2013 

(ISO 11140-1:2005) 

ヘルスケア製品の滅菌−ケミカルインジケータ− 

第1部:一般的要求事項 

Sterilization of health care products-Chemical indicators- 

Part 1: General requirements 

序文 

この規格は,2005年に第2版として発行されたISO 11140-1を基に,技術的内容及び構成を変更するこ

となく作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。 

適用範囲 

1.1 

この規格は,物質の物理的及び/又は化学的変化によって滅菌プロセスにばく露されたことを示す

ケミカルインジケータ(以下,インジケータという。)のための一般的要求事項及び試験方法について規定

する。インジケータは,滅菌プロセスに要求される一つ以上の変数の達成を監視するために使用され,微

生物の有無には影響しない。 

1.2 

この規格の要求事項及び試験方法は,JIS T 11140の他の部(予定)で規定された全てのインジケー

タに適用する。 

インジケータに関わる要求事項がJIS T 11140の他の部(予定)で修正及び追加されている場合は,その

個別規格の要求事項を優先する。 

なお,関連する試験装置は,ISO 18472に規定している。 

注記1 微生物試験システムは,微生物の生存の立証解釈の試験方法とみなす。このタイプの試験シ

ステムは,バイオロジカルインジケータ(BIs)のISO 11138シリーズに記載している。 

注記2 特定の試験用インジケータ(クラス2)に対する追加要求事項は,ISO 11140-3,ISO 11140-4

及びISO 11140-5に規定している。 

注記3 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 11140-1:2005,Sterilization of health care products−Chemical indicators−Part 1: General 

requirements(IDT) 

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している” 

ことを示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS T 0841-1 最終段階で滅菌される医療機器の包装−第1部:材料,無菌バリアシステム及び包装シ

T 11140-1:2013 (ISO 11140-1:2005) 

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ステムに関する要求事項 

注記 対応国際規格:ISO 11607-1:2006,Packaging for terminally sterilized medical devices−Part 

1:Requirements for materials, sterile barrier systems and packaging systems(IDT) 

ISO 8601,Data elements and interchange formats−Information interchange−Representation of dates and 

times 

ISO 11138 (all parts),Sterilization of health care products−Biological indicators 

ISO 11140-3,Sterilization of health care products−Chemical indicators−Part 3: Class 2 indicator systems for 

use in the Bowie and Dick-type steam penetration test 

ISO 11140-4,Sterilization of health care products−Chemical indicators−Part 4: Class 2 indicators as an 

alternative to the Bowie and Dick-type test for detection of steam penetration 

ISO 11140-5,Sterilization of health care products−Chemical indicators−Part 5: Class 2 indicators for Bowie 

and Dick-type air removal tests 

ISO 18472,Sterilization of health care products−Biological and chemical indicators−Test equipment 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。 

3.1  

ブリード(bleed) 

インジケータ成分が,適用範囲を超えて側面から浸透すること。 

3.2  

重要変数(critical variable) 

滅菌プロセスに本質的に必要であり,かつ,監視が求められる変数。 

3.3  

終点(endpoint) 

インジケータが,規定値(3.12参照)でばく露された後,製造業者によって指定された変化が観察され

たポイント。 

3.4  

段階的反応(graduated response) 

一つ以上のプロセス変数でばく露される中で,到達水準を確認できる段階的な観察が可能な変化。 

3.5  

インジケータ(indicator) 

インジケータ成分とその支持体との組合せであって,使用するための最終形態にあるもの(附属書E参

照)。 

注記 特定の試験負荷を組み合わせたインジケータシステムも,インジケータに含まれる。 

3.6  

インジケータ成分/インジケータ試薬(indicator agent/indicator reagent) 

反応物質又は複数の物質の組合せ(附属書E参照)。 

3.7  

インジケータシステム(indicator system) 

ある特定の試験負荷と組み合わせて使用されるインジケータ成分と,その支持体との組合せ。 

T 11140-1:2013 (ISO 11140-1:2005) 

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3.8  

オフセット(off-set) 

インジケータ成分が,インジケータの表面に接触している物質に転移すること。 

3.9  

パラメータ(parameter) 

プロセス変数の値。 

3.10  

浸透(penetration) 

インジケータ成分の適用範囲で,支持体から反対側へインジケータ成分が溶出すること。 

3.11  

飽和蒸気(saturated steam) 

凝結と蒸発との間で平衡状態にある気化した水。 

3.12  

規定値,SV(stated value) 

製造業者が指定する終点に到達するように設計されたインジケータの単一又は複数の重要変数値。 

3.13  

支持体(substrate) 

インジケータに使用される担体又は支持物質(附属書E参照)。 

3.14  

変数(variable) 

殺菌効果をもたらす滅菌プロセス条件。 

3.15  

確認可能な変化(visible change) 

一つ以上のプロセスの重要変数にばく露された後,インジケータに見られる製造業者によって指定され

た変化。 

注記 確認可能な変化については,クラス1プロセスインジケータの反応に記載されている(6.2参 

照)。 

クラス分類 

4.1 

一般 

この規格においてインジケータは,用途によってクラス分類する。この規格で規定するインジケータは,

六つのグループに分類する。このクラス分類の中でインジケータは,使用される滅菌プロセスでより詳細

に分類する。 

クラス分類は,製造販売業者が指定するインジケータの特徴及び用途による。このクラス分類には,序

列的な意味合いはない。 

4.2 

クラス1:プロセスインジケータ 

プロセスインジケータは,個々の包装単位(例えば,パック,コンテナ)とともに使用するためのもの

で,その個々の包装単位が滅菌プロセスの作用を受けたことを検証し,処理済みのものと未処理のものと

を区別することを目的とする。プロセスインジケータは,一つ以上の重要プロセス変数に反応するように

設計したもの。 

T 11140-1:2013 (ISO 11140-1:2005) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4.3 

クラス2:特定の試験用インジケータ 

クラス2インジケータは,関連する滅菌器又は滅菌規格の中で規定される特定の試験手順で使用するた

めのもの。 

注記 特定の試験用インジケータ(クラス2インジケータ)の要求事項は,JIS T 11140の他の部(予

定)に規定している。 

4.4 

クラス3:シングルバリアブルインジケータ 

シングルバリアブルインジケータは,一つの重要変数に反応するように設計したもの(5.2参照)。指定

された変数の規定値で,滅菌プロセスにばく露されたことを表示する(5.7及び5.8参照)。 

4.5 

クラス4:マルチバリアブルインジケータ 

マルチバリアブルインジケータは,二つ以上の重要変数に反応するように設計したもの(5.2参照)。指

定された変数の規定値で,滅菌サイクルにばく露されたことを表示する(5.7及び5.8参照)。 

4.6 

クラス5:インテグレーティング・インジケータ 

インテグレーティング・インジケータは,全ての重要変数に反応するように設計したもの。その規定値

は,ISO 11138バイオロジカルインジケータ群で規定している要求性能と同等又はそれ以上とする(箇条

11〜箇条13参照)。 

4.7 

クラス6:エミュレーティング・インジケータ 

エミュレーティング・インジケータは,規定された滅菌サイクルの全ての重要変数に反応するよう設計

したサイクル検証用インジケータである。SVは,指定した滅菌プロセスの重要変数である。 

一般的要求事項 

5.1 

この規格の要求事項は,JIS T 11140の他の部(予定)において削除又は修正がない場合,全てのイ

ンジケータに適用する。 

5.2 

各滅菌プロセスにおいて,次の変数を重要変数として定義する。 

a) 蒸気滅菌           時間,温度及び水(供給される飽和蒸気) 

b) 乾熱滅菌           時間及び温度 

c) エチレンオキサイド滅菌    時間,温度,相対湿度及びエチレンオキサイド濃度(EO) 

d) 照射滅菌           総吸収線量 

e) 蒸気−ホルムアルデヒド滅菌  時間,温度,水(供給される飽和蒸気)及びホルムアルデヒド濃度 

f) 

過酸化水素ガス滅菌      時間,温度,過酸化水素濃度及び適用可能な場合はプラズマ 

5.3 

製造業者は,この規格が要求する全ての操作を対象として,品質システムを確立し,文書化し,維

持しなければならない。 

注記 JIS Q 9001及びJIS Q 13485は,設計,製造及び試験に対する品質システムの要求事項を規定

している。 

5.4 

各インジケータには,使用する滅菌プロセスの種類を明確に表示しなければならない(5.6及び 5.7

参照)。併せて,インジケータのクラス分類(箇条4参照)並びにクラス3,クラス4,クラス5及びクラ

ス6は,規定値を表示しなければならない。インジケータのサイズ又はフォーマットは,1 cm当たり6 文

字以下で表示できない場合は,その情報を取扱説明書及びラベルに記載する。 

5.5 

インジケータは,製造業者が指定した使用期限まで,この規格の要求事項に適合しなければならな

い(附属書A参照)。 

T 11140-1:2013 (ISO 11140-1:2005) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5.6 

滅菌プロセスの記号表示は,次の図記号を用いる。 

STEAM:全ての蒸気滅菌プロセス 

DRY:全ての乾熱滅菌プロセス 

EO:全てのエチレンオキサイド滅菌プロセス 

IRRAD:全てのイオン化した放射線滅菌プロセス 

FORM:全ての蒸気−ホルムアルデヒド滅菌プロセス 

VH2O2:全ての過酸化水素ガス滅菌プロセス 

これらの記号表示は図記号であり,言語ではない。 

5.7 

インジケータを特定の滅菌サイクルで使用されるように設計した場合は,その旨を表記するか,又

は次の例のようにインジケータの上に表示しなければならない。 

例 STEAM 

121 ℃ 15 min 

(3.12及び5.6参照) 

5.8 

インジケータの個包装又は包装に添付する技術情報には,次の情報を含まなければならない。 

a) 起こる可能性がある変化:変色を適切に説明できないインジケータについては,未変色から変色する

までの予想する色調範囲の色見本。 

b) インジケータが反応する重要変数及びそれらの規定値 

c) クラス(箇条4参照),滅菌プロセス(5.6参照)又は用途(5.7参照) 

d) 使用前及び使用後の保管条件 

e) ISO 8601によって表示する特定の保管条件下での使用期限,又は製造日及び製造後の有効期間 

f) 

追跡可能なユニークコード(例 ロットNo.) 

g) インジケータの適正な機能を確実にするために不可欠な使用指示 

h) インジケータの使用中に発生の可能性があり,インジケータの性能に悪影響を及ぼす可能性がある妨

害物質又は条件 

i) 

使用中及び/又は使用後に必要な安全予防策 

j) 

製造業者又は供給者の名称及び所在地 

k) 使用後に完全又は不完全に変化したインジケータを,製造業者の指示に従って保管したときに起こる

可能性がある変化の特徴 

5.9 

製造業者は,インジケータが設計した滅菌プロセスの前,中及び後に,健康への危害,又は滅菌す

る製品の特性に対する危害を引き起こすような毒性がある物質を出さない旨を記載した書面を,保管しな

ければならない。 

性能要求事項 

6.1 

一般 

6.1.1 

終点反応に必要な全ての変数を満たすか,又は特定水準以上の滅菌プロセスの作用を受けたインジ

ケータの確認可能な変化,段階的な変化又は終点は,製造業者が定めた条件下で保管したとき,使用日か

ら少なくとも6か月間は,その状態を維持しなければならない。 

6.1.2 

不完全に変色したインジケータは,保管時に劣化する可能性がある。その結果は,未変化の状態に

戻るか,又は指定した終点状態に徐々に変化するかのいずれかである。そのような劣化が発生し得る場合

は,製造業者が提供する技術情報の中に,この情報を記載しなければならない[5.8 k)参照]。 

T 11140-1:2013 (ISO 11140-1:2005) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6.2 

クラス1インジケータ(プロセスインジケータ) 

6.2.1 

インジケータがばく露後に起こす確認可能な変化は,明確に観察できなければならない。また,明

るさから暗さに(淡色から濃色)若しくは暗さから明るさに(濃色から淡色),又はある色調から明確に異

なる色調にならなければならない。 

6.2.2 

JIS T 0841-1に適合した単回使用包装材料に印刷された場合には,インジケータ成分は,インジケ

ータの性能に悪影響を及ぼす又は包装材料に使用したときに害を及ぼす程度までブリード又はオフセット

してはならない。インジケータ成分の浸透は,7.2よって試験したとき,滅菌プロセスの前,中及び後で発

生してはならない(5.9参照)。 

6.3 

クラス2インジケータ(特定の試験用インジケータ) 

クラス2インジケータの特定要求事項は,ISO 11140-3,ISO 11140-4及びISO 11140-5の規定による。 

6.4 

クラス3,クラス4,クラス5及びクラス6インジケータ 

6.4.1 

インジケータが重要変数の規定値でばく露後の終点は,明確に観察できなければならない。また,

明るさから暗さに(淡色から濃色)若しくは暗さから明るさに(濃色から淡色),又はある色調から明確に

異なる色調にならなければならない。 

6.4.2 

インジケータ成分は,7.2によって試験したとき,インジケータが設計した滅菌プロセスの前,中

及び後で接触する素材又は支持体にオフセット又は浸透してはならない(5.9参照)。 

試験方法 

7.1 

一般 

この規格の箇条6の要求事項及び箇条7〜箇条14に規定する試験並びにインジケータの適合性の審査は,

ISO 18472に適合した試験装置を用いて,インジケータを特定の条件にばく露することによって行わなけ

ればならない。 

照射滅菌用インジケータの特定の試験方法は規定していないが,性能要求事項は,8.5に規定する。 

注記 クラス2インジケータの試験装置及び方法は,ISO 11140-3,ISO 11140-4及びISO 11140-5に規

定している。 

7.2 

オフセット(転移) 

インジケータと同様の支持体を,インジケータ成分と密着するように重ねなければならない。インジケ

ータは,インジケータ製造業者が指定する滅菌プロセスで試験しなければならない。6.2.2 又は6.4.2に適

合しているかどうかを,処理前後においてインジケータ成分の支持体及び重ねた支持体を視覚的に検査し

なければならない。 

7.3 

手順−蒸気滅菌用インジケータ 

7.3.1 

インジケータを適切なサンプルホルダに装着する。このサンプルホルダは,インジケータ性能に影

響を及ぼしてはならない。 

サンプルホルダは,インジケータが製造業者の指定する方法で試験条件にばく露されるものが望ましい。

インジケータが異なれば,サンプルホルダの設計も異なる場合がある。インジケータ製造業者の取扱説明

書を参照する。 

7.3.2 

試験サイクルを始める前に,評価装置の缶体内表面を規定の温度(箇条8〜箇条14参照)まで加

温する。 

7.3.3 

評価装置にサンプルホルダを取り付けて,次の作業順序で実施する。 

T 11140-1:2013 (ISO 11140-1:2005) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

a) 評価装置を2分以内に4.5 kPa±0.5 kPaまで真空引きする。製造業者は,異なった真空到達度を指定す

る場合がある。その場合,この情報は,インジケータの個々の包装又は個々の包装に添付される技術

情報に記載しなければならない(5.8参照)。 

b) 評価装置への給蒸から規定の試験温度に達するまでに要する時間は,10秒以下でなければならない。 

c) 規定のばく露時間中は,その条件を保持する。 

d) ばく露時間終了時,評価装置を1分以内で10 kPa以下まで排気して,大気圧まで復圧させる。 

7.3.4 

インジケータは,直ちに評価装置から取り出し,この規格(箇条8〜箇条14)に適合しているかを

視覚的に検査する。検査結果は,記録する。 

インジケータは,規定の試験条件よりも長くばく露されることを避けるため,できるだけ素早く評価装

置から取り出さなければならない。 

7.4 

手順−乾熱滅菌用インジケータ 

7.4.1 

インジケータを適切なサンプルホルダに装着する。このサンプルホルダは,インジケータ性能に影

響を及ぼしてはならない。 

サンプルホルダは,インジケータが製造業者の指定する方法で試験条件にばく露されるものが望まし 

い。インジケータが異なればサンプルホルダの設計も異なる場合がある。インジケータ製造業者の取扱説

明書を参照する。 

7.4.2 

評価装置を規定の試験温度まで予備加熱する。 

7.4.3 

評価装置にサンプルホルダを置き,扉を閉じて処理サイクルを開始する。インジケータの表面が規

定の温度に達するまでに要する時間は,1分を超えてはならない。 

7.4.4 

規定のばく露時間中は,その条件を保持する。 

7.4.5 

ばく露時間終了時,評価装置からサンプルを直ちに取り出し,1分以内で100 ℃以下に冷却しなけ

ればならない。 

7.4.6 

インジケータは,直ちに評価装置から取り出し,この規格(箇条8〜箇条14)に適合しているかを

視覚的に検査する。検査結果は,記録する。 

インジケータは,規定の試験条件よりも長くばく露されることを避けるため,できるだけ素早く評価装

置から取り出さなければならない。 

7.5 

手順−エチレンオキサイド滅菌用インジケータ 

7.5.1 

インジケータを適切なサンプルホルダに装着する。このサンプルホルダは,インジケータ性能に影

響を及ぼしてはならない。 

サンプルホルダは,インジケータが製造業者の指定する方法で試験条件にばく露されるものが望まし 

い。インジケータが異なればサンプルホルダの設計も異なる場合がある。インジケータ製造業者の取扱説

明書を参照する。 

7.5.2 

試験サイクルを始める前に,サンプル,サンプルホルダ及び評価装置の缶体内表面を規定の温度(箇

条8〜箇条14参照)と同じ温度にする。 

7.5.3 

評価装置にサンプルホルダを取り付けて,次の作業順序で実施する。 

a) 評価装置を10 kPa±0.5 kPaまで真空引きする。製造業者は,異なった真空到達度を指定する場合があ 

る。その場合,この情報は,インジケータの個々の包装又は個々の包装に添付される技術情報に記載

しなければならない(5.8参照)。 

b) 評価装置の中の相対湿度が規定の水準まで上昇するように,十分な水蒸気を供給する。 

T 11140-1:2013 (ISO 11140-1:2005) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

c) 1分以内で規定のエチレンオキサイド濃度までエチレンオキサイドを供給する。エチレンオキサイド

が存在しない試験では(8.4及び13.5参照),エチレンオキサイドを含まないガスを供給しなければな

らない。可能な場合,希釈ガスだけで規定の圧力を達成しなければならない。この試験は,エチレン

オキサイドの残留している装置内では実行してはならない。 

d) 規定のばく露時間中は,その条件を保持する。  

e) ばく露時間終了時,インジケータ周囲のエチレンオキサイド濃度をインジケータに影響を与えない水

準まで,1.5分以内で減少させる。 

7.5.4 

インジケータは,直ちに評価装置から取り出し,この規格(箇条8〜箇条14)に適合しているかを

視覚的に検査する。検査結果は,記録する。 

インジケータは,規定の試験条件よりも長くばく露されることを避けるため,できるだけ素早く評価装

置から取り出さなければならない。 

7.6 

手順−蒸気−ホルムアルデヒド滅菌用インジケータ 

注記 附属書D参照 

7.6.1 

1 mol/L±0.01 mol/L濃度のホルムアルデヒド水溶液を準備する。この溶液のホルムアルデヒド濃度

は,バリデートされた分析方法を用いて調製されなければならない。 

7.6.2 

ホルムアルデヒド水溶液は,60 ℃±0.5 ℃で予備加温する。 

7.6.3 

インジケータを適切なサンプルホルダに装着する。このサンプルホルダは,インジケータ性能に影

響を及ぼしてはならない。 

サンプルホルダは,インジケータが製造業者の指定する方法で試験条件にばく露されるものが望まし 

い。インジケータが異なればサンプルホルダの設計も異なる場合がある。インジケータ製造業者の取扱説

明書を参照する。 

7.6.4 

サンプルホルダに取り付けたインジケータをホルムアルデヒド水溶液に浸す。 

インジケータが完全にホルムアルデヒド水溶液に浸され,水面に浮かんでいないことを確認する。 

7.6.5 

規定のばく露時間中は,その条件を保持する。 

7.6.6 

ばく露時間終了時,インジケータ周囲のホルムアルデヒド濃度をインジケータに影響を与えない水

準まで,1.5分以内で減少させる。この規格(箇条8〜箇条14)に適合しているかを視覚的に検査する。検

査結果は,記録する。 

7.7 

手順−過酸化水素ガス滅菌用インジケータ 

7.7.1 

インジケータを適切なサンプルホルダに装着する。このサンプルホルダは,インジケータ性能に影

響を及ぼしてはならない。 

サンプルホルダは,インジケータが製造業者の指定する方法で試験条件にばく露されるものが望ましい。

インジケータが異なればサンプルホルダの設計も異なる場合がある。インジケータ製造業者の取扱説明書

を参照する。 

7.7.2 

試験サイクルを始める前に,サンプル,サンプルホルダ及び評価装置の缶体内表面を規定の温度(箇

条8〜箇条14参照)と同じ温度にする。 

7.7.3 

評価装置にサンプルホルダを取り付けて,次の作業順序で実施する。 

a) 必要な場合,評価装置の中の相対湿度が規定の水準まで上昇するように,十分な水蒸気を供給する。 

b) 2秒以内に規定の試験条件濃度まで過酸化水素ガスを供給する。過酸化水素ガスが存在しない試験で

は(8.7参照),過酸化水素ガス及び希釈ガスは,供給しない。 

c) 規定のばく露時間中は,その条件を保持する。 

background image

T 11140-1:2013 (ISO 11140-1:2005) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

d) ばく露時間終了時,インジケータ周囲の過酸化水素濃度をインジケータに影響を与えない水準まで減

少させる。 

7.7.4 

インジケータは,直ちに評価装置から取り出し,この規格(箇条8〜箇条14)に適合しているかを

視覚的に検査する。検査結果は,記録する。 

インジケータは,規定の試験条件よりも長くばく露されることを避けるため,できるだけ素早く評価装

置から取り出さなければならない。 

(クラス1)プロセスインジケータに対する追加要求事項 

8.1 

包装材料に印刷又は貼付されるプロセスインジケータ 

プロセスインジケータは,包装材料に印刷されたもの,又は自己接着ラベル,パウチ,包装用テープ,

タグ,挿入ラベルなどの形状にしたものがある。 

8.2 

蒸気滅菌用プロセスインジケータ 

表1に示す特定の試験条件でばく露したとき,プロセスインジケータは,表1の性能を示さなければな

らない。 

表1−蒸気滅菌用クラス1プロセスインジケータの試験及び性能 

試験環境 

試験時間 

試験温度 

性能 

変化がない又は製造業者が

特定した確認可能な変化a)

とは著しく違う変化 

製造業者が特定した 

確認可能な変化a) 

飽和蒸気 

3.0 min±5 s 

121 ℃

3
0

+℃ 

あり 

なし 

飽和蒸気 

10.0 min±5 s 

121 ℃

3
0

+℃ 

なし 

あり 

飽和蒸気 

0.5 min±5 s 

134 ℃

3
0

+℃ 

あり 

なし 

飽和蒸気 

2 min±5 s 

134 ℃

3
0

+℃ 

なし 

あり 

乾熱 

30 min±1 min 

140 ℃

2
0

+℃ 

あり 

なし 

注記 乾熱試験は,蒸気の存在によって反応する蒸気滅菌用プロセスインジケータを保証するために設定する。 
注a) 3.15参照 

8.3 

乾熱滅菌用プロセスインジケータ 

表2に示す特定の試験条件でばく露したとき,プロセスインジケータは,表2の性能を示さなければな

らない。 

表2−乾熱滅菌用クラス1プロセスインジケータの試験及び性能 

試験環境 

試験時間 

試験温度 

性能 

変化がない又は製造業者が
特定した確認可能な変化と

は著しく違う変化 

製造業者が特定した 

確認可能な変化 

乾熱 

20 min±1 min 

160 ℃

5
0

+℃ 

あり 

なし 

乾熱 

40 min±1 min 

160 ℃

5
0

+℃ 

なし 

あり 

8.4 

エチレンオキサイド滅菌用プロセスインジケータ 

表3に示す特定の試験条件でばく露したとき,プロセスインジケータは,表3の性能を示さなければな

らない。 

background image

10 

T 11140-1:2013 (ISO 11140-1:2005) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

エチレンオキサイドガスを含まない試験は,残留エチレンオキサイドガスのない条件で実施しなければ

ならない。エチレンオキサイドの明白な存在がないにもかかわらず色変化が起こった場合は,エチレンオ

キサイドガスが完全に存在しないことを検証するのがよい。 

表3−エチレンオキサイド滅菌用クラス1プロセスインジケータの試験及び性能 

試験環境 

試験時間 

試験温度 

相対湿度 

ガス濃度 

性能 

変化がない又は製
造業者が特定した
確認可能な変化と
は著しく違う変化 

製造業者
が特定し
た確認可
能な変化 

エチレンオキ
サイドなし 

90 min±1 min 

60 ℃±2 ℃ 

≧85 %  

あり 

なし 

エチレンオキ
サイド 

5 min±15 s 

30 ℃±1 ℃ 

(60±10)%  

600 mg/L  

±30 mg/L 

あり 

なし 

2 min±15 s 

54 ℃±1 ℃ 

エチレンオキ
サイド 

30 min±15 s 

30 ℃±1 ℃ 

(60±10)%  

600 mg/L  

±30 mg/L 

なし 

あり 

20 min±15 s 

54 ℃±1 ℃ 

注記 エチレンオキサイドインジケータの反応は,炭酸ガス又は他のガスの存在で阻害されることもある。このよう

な現象が発生した場合には,二酸化炭素又は他のガスが80 %よりも少ないシステムでインジケータを試験する
(5.8参照)。 

8.5 

照射滅菌用プロセスインジケータ 

表4に示す特定の試験条件でばく露したとき,プロセスインジケータは,表4の性能を示さなければな

らない。 

表4−照射滅菌用クラス1プロセスインジケータの試験及び性能 

試験環境 

強度 

最大波長 

吸収線量 

試験時間 

性能 

変化がない又は製
造業者が特定した
確認可能な変化と
は著しく違う変化 

製造業者が特
定した確認可

能な変化 

紫外線照射 

≧3.3 W/m2 

254 nm 

− 

120 min±5 min 

あり 

なし 

電離放射線 

− 

− 

1 kGy±0.1 kGy 

− 

あり 

なし 

電離放射線 

− 

− 

10 kGy±1 kGy 

− 

なし 

あり 

注記1 紫外線照射試験は,不注意な太陽光ばく露のような非電離放射線にインジケータが反応しないという検証のた

めに設計されている。水銀蒸気ランプは,最適な最大波長を示す。 

注記2 電離放射線試験は,紫外線よりも波長の短いエックス線(X線)又はガンマ線(γ線)で検証する。 

8.6 

蒸気−ホルムアルデヒド滅菌用プロセスインジケータ 

8.6.1 

表5に示す特定の試験条件でばく露したとき,プロセスインジケータは,表5の性能を示さなけれ

ばならない。 

ホルムアルデヒドを含まない試験は,残留ホルムアルデヒドのない条件で実施しなければならない。ホ

ルムアルデヒドの明白な存在がないにもかかわらず色変化が起こった場合は,ホルムアルデヒドが完全に

存在しないことを検証するのがよい。 

background image

11 

T 11140-1:2013 (ISO 11140-1:2005) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表5−蒸気−ホルムアルデヒド滅菌用クラス1プロセスインジケータの試験及び性能 

試験環境 

試験時間 

試験温度 

ガス濃度 

性能 

変化がない又は
製造業者が特定
した確認可能な
変化とは著しく

違う変化 

製造業者が
特定した確

認可能な 

変化 

ホルムアルデ
ヒドなし 

90 min±1 min 

80 ℃±2 ℃ 

あり 

なし 

ホルムアルデ
ヒド 

20 s±5 s 

60 ℃±0.5 ℃ 

1.0 mol/L 

±0.01 mol/L 

あり 

なし 

ホルムアルデ
ヒド 

15 min±15 s   

70 ℃±2 ℃ 

1.0 mol/L 

±0.01 mol/L 

なし 

あり 

8.6.2 

55 ℃以下又は65 ℃以上の温度で運転する蒸気−ホルムアルデヒド滅菌サイクル用として設計し

たインジケータに対しては,製造業者が特定した最大温度及びホルムアルデヒド濃度において,表5に記

載した試験を行わなければならない。 

注記 製造業者は,特定の低温蒸気−ホルムアルデヒドプロセスでの適合証明のためには,追加の性

能試験を実施するのがよい。 

8.7 

過酸化水素ガス滅菌用プロセスインジケータ 

表6に示す特定の試験条件でばく露したとき,プロセスインジケータは,表6の性能を示さなければな

らない。 

過酸化水素ガスを含まない試験は,残留過酸化水素ガスのない条件で実施しなければならない。過酸化

水素ガスの明白な存在がないにもかかわらず色変化が起こった場合は,過酸化水素が完全に存在しないこ

とを検証するのがよい。 

表6−過酸化水素ガス滅菌用クラス1プロセスインジケータの試験及び性能 

試験環境 

試験時間 

試験温度 

ガス濃度 

性能 

変化がない又
は製造業者が
特定した確認
可能な変化と
は著しく違う

変化 

製造業者が
特定した確

認可能な 

変化 

過酸化水素ガスなし 

45 min±5 min 

50 ℃±0.5 ℃ 

あり 

なし 

45 min±5 min 

27 ℃±0.5 ℃ 

過酸化水素ガス 

7 s±1 s 

50 ℃±0.5 ℃ 

2.3 mg/L  

±0.4 mg/L 

あり 

なし 

10 s±1 s 

27 ℃±0.5 ℃ 

2.3 mg/L  

±0.4 mg/L 

過酸化水素ガス 

6 min±1 s 

50 ℃±0.5 ℃ 

2.3 mg/L  

±0.4 mg/L 

なし 

あり 

10 min±1 s 

27 ℃±0.5 ℃ 

2.3 mg/L 

±0.4 mg/L 

background image

12 

T 11140-1:2013 (ISO 11140-1:2005) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(クラス3)シングルバリアブルインジケータに対する追加要求事項 

9.1 

シングルバリアブルインジケータは,5.2で定義した重要変数のうち,一つの監視する重要変数に対

して設計しなければならない。 

9.2 

規定値(テストポイント1)で試験したシングルバリアブルインジケータは,終点に達しなければな

らない(表7参照)。 

9.3 

規定値から許容値を減じたテストポイント(テストポイント2)で試験したシングルバリアブルイン

ジケータは,終点に達してはならない(表7参照)。 

10 (クラス4)マルチバリアブルインジケータに対する追加要求事項 

10.1 マルチバリアブルインジケータは,5.2で定義した重要変数のうち,二つ以上の監視する重要変数に

対して設計しなければならない。 

10.2 規定値(テストポイント1)で試験したマルチバリアブルインジケータは,終点に達しなければなら

ない(表7参照)。 

10.3 規定値から許容値を減じたテストポイント(テストポイント2)で試験したマルチバリアブルインジ

ケータは,終点に達してはならない(表7参照)。 

10.4 蒸気滅菌用又は蒸気−ホルムアルデヒド滅菌用のマルチバリアブルインジケータは,乾熱の状態で,

時間及び温度を規定値のまま試験した場合,すなわち,湿度が存在せず,全ての他のパラメータは規定値

を満たしていたとしても,終点に達してはならない(表7参照)。 

注記 乾熱状態での試験は,蒸気滅菌用又は蒸気−ホルムアルデヒド滅菌用のマルチバリアブルイン

ジケータの反応に蒸気の存在が必要であることを保証するために行うためのものである。 

表7−クラス3及びクラス4インジケータの試験及び性能 

滅菌プロセス 

テストポイント 

試験時間 

試験温度 

滅菌剤濃度 

mg/L 

相対湿度 

蒸気滅菌 

SV  

SV  

− 

− 

SV−25 % 

SV−2 ℃ 

− 

− 

乾熱滅菌 

SV  

SV  

− 

− 

SV−25 % 

SV−5 ℃ 

− 

− 

エチレンオキサイ
ド滅菌 

SV  

SV  

SV  

>30 

SV−25 % 

SV−5 ℃ 

SV−25 % 

>30 

蒸気−ホルムアル
デヒド滅菌 

SV  

SV  

SV  

− 

SV−25 % 

SV−3 ℃ 

SV−20 % 

− 

注記 マルチバリアブルインジケータ(クラス4)の試験例は,附属書B参照。 

11 (クラス5)蒸気滅菌用インテグレーティング・インジケータに対する追加要求事項 

11.1 蒸気滅菌用インテグレーティング・インジケータは,適切な許容値内において11.2〜11.10に規定す

る変数での蒸気滅菌サイクルにばく露したことを終点に達することで示さなければならない。 

11.2 121 ℃における規定値は,特定しなければならない。時間は,16.5分以上でなければならない。 

11.3 121 ℃±0.5 ℃の飽和水蒸気に,121 ℃の規定値に相当する時間にばく露したとき,インテグレーテ

ィング・インジケータは,終点に達するか,又は終点を超えなければならない(合格条件)。 

13 

T 11140-1:2013 (ISO 11140-1:2005) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

11.4 121 ℃±0.5 ℃の飽和水蒸気に,121 ℃の規定値の63.6 %に相当する時間ばく露したとき,インテ

グレーティング・インジケータは,終点に達してはならない(不合格条件)。 

11.5 乾燥飽和水蒸気によって,135 ℃±0.5 ℃及び121 ℃〜135 ℃の範囲内から1点以上の等間隔の温

度テストポイントにおける終点を測定しなければならない。これらの温度における終点に達する時間は,

製造業者が測定した規定値であり,これを開示しなければならない(5.8参照)。 

11.6 インテグレーティング・インジケータの温度係数は,規定値及び/又は規定値(測定値)の対数を

温度に対してプロットして得た曲線の傾きから決定する。 

注記 これらの追加した温度の規定値は,インテグレーティング・インジケータの温度係数を決定す

るために用いる。 

11.7 インテグレーティング・インジケータの温度係数は,6 ℃以上,14 ℃以下でなければならない。ま

た,データの最小二乗法による線形回帰分析から求めた曲線の相関係数は,0.9以上とする。 

11.8 135 ℃±0.5 ℃の飽和水蒸気に,135 ℃の規定値(測定値)の63.6 %に相当する時間ばく露したと

き,インテグレーティング・インジケータは,終点に達してはならない(不合格条件)。 

11.9 11.5で規定した温度の飽和水蒸気に,その規定値(測定値)の63.6 %に相当する時間ばく露したと

き,インテグレーティング・インジケータは,終点に達してはならない(不合格条件)。 

11.10 137 ℃

1

0

+℃及び30

1

0

+分の乾熱にばく露したとき,終点に達してはならない。 

11.11 製造業者は,インジケータが検知しないような,又は重要変数に十分に達していても検知しないよ

うな滅菌プロセスにおいて悪影響を及ぼす全ての要因を,明記しなければならない[5.8 h)参照]。 

注記1 海外では,蒸気滅菌用インテグレーティング・インジケータの性能証明について,適切なバ

イオロジカルインジケータと並行して行うことを要求される場合がある。 

注記2 附属書C参照 

12 (クラス5)乾熱滅菌用インテグレーティング・インジケータに対する追加要求事項 

12.1 乾熱滅菌用インテグレーティング・インジケータは,適切な許容値内において12.2〜12.9に規定す

る変数での乾熱滅菌サイクルにばく露されたことを終点に達することで示さなければならない。 

12.2 160 ℃における規定値は,特定しなければならない。時間は,30分以上でなければならない。 

12.3 160 ℃±1.5 ℃の乾熱に,160 ℃の規定値に相当する時間ばく露したとき,インテグレーティング・

インジケータは,終点に達するか,又は終点を超えなければならない(合格条件)。 

12.4 160 ℃±1.5 ℃の乾熱に,160 ℃の規定値の63.6 %に相当する時間にばく露したとき,インテグレ

ーティング・インジケータは,終点に達してはならない(不合格条件)。 

12.5 180 ℃±1.5 ℃及び次の温度から一つ以上の乾熱における終点を測定しなければならない。 

− 140 ℃±1.5 ℃ 

− 170 ℃±1.5 ℃ 

これらの温度における終点に達する時間は,製造業者が測定した規定値であり,これを開示しなければ

ならない。 

12.6 インテグレーティング・インジケータの温度係数は,規定値及び/又は規定値(測定値)の対数を

温度に対してプロットして得た曲線の傾きから決定する。 

注記 これらの追加した温度の規定値は,インテグレーティング・インジケータの温度係数を決定す

るために用いる。 

14 

T 11140-1:2013 (ISO 11140-1:2005) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

12.7 インテグレーティング・インジケータの乾熱処理応答特性の温度係数は,20 ℃以上,40 ℃以下で

なければならない。また,データの最小二乗法による線形回帰分析から求めた曲線の相関係数は,0.9以上

とする。 

12.8 180 ℃±1.5 ℃の乾熱に,180 ℃の規定値(測定値)の63.6 %に相当する時間ばく露したとき,イ

ンテグレーティング・インジケータは,終点に達してはならない(不合格条件)。 

12.9 12.5に規定した140 ℃±1.5 ℃ 又は170 ℃±1.5 ℃の温度の乾熱に,その規定値(測定値)の63.6 %

に相当する時間ばく露したとき,インテグレーティング・インジケータは,終点に達してはならない(不

合格条件)。 

12.10 製造業者は,インジケータが検知しないような,又は重要変数に十分に達していても検知しないよ

うな滅菌プロセスにおいて悪影響を及ぼす全ての要因を,明記しなければならない[5.8 h)参照]。 

注記 海外では,乾熱滅菌用インテグレーティング・インジケータの性能証明について,適切なバイ

オロジカルインジケータと並行して行うことを要求される場合がある。 

13 (クラス5)エチレンオキサイド滅菌用インテグレーティング・インジケータに対する追加要求事項 

13.1 エチレンオキサイド滅菌用インテグレーティング・インジケータは,適切な許容差値において13.2

〜13.5に規定する変数でのエチレンオキサイド滅菌サイクルにばく露されたことを終点に達することで示

さなければならない。 

13.2 54 ℃±0.5 ℃,600 mg EO/L±30 mg EO/L 及び(60±10)% RHの規定値は,少なくとも30分以上

及び/又は37 ℃±0.5 ℃,600 mg EO/L±30 mg EO/L及び(60±10)% RHの規定値は,少なくとも90

分以上でなければならない(5.7及び5.8参照)。 

13.3 54 ℃±0.5 ℃,600 mg EO/L±30 mg EO/L及び(60±10)% RHのエチレンオキサイド滅菌工程で規

定値に相当する時間ばく露したとき,並びに37 ℃±0.5 ℃,600 mg EO/L±30 mg EO/L及び(60±10)% 

RHの規定値に相当する時間ばく露したとき,インテグレーティング・インジケータは,終点に達しなけ

ればならない(合格条件)。 

13.4 54 ℃±0.5 ℃,600 mg EO/L±30 mg EO/L及び(60±10)% RHのエチレンオキサイド滅菌工程で規

定値の66.7 %に相当する時間ばく露したとき,並びに37 ℃±0.5 ℃,600 mg EO/L±30 mg EO/L及び(60

±10)% RHのエチレンオキサイド滅菌工程で規定値の66.7 %に相当する時間ばく露したとき,インテグ

レーティング・インジケータは,終点に達してはならない(不合格条件)。 

13.5 エチレンオキサイドが存在しない54 ℃±0.5 ℃及び(60±10)% RHの規定値に相当する時間ばく

露したとき,並びにエチレンオキサイドが存在しない37 ℃±0.5 ℃及び(60±10)% RHの規定値に相当

する時間ばく露したとき,インテグレーティング・インジケータは,終点に達してはならない(不合格条

件)。 

注記 海外では,エチレンオキサイド滅菌用インテグレーティング・インジケータの性能証明につい

て,適切なバイオロジカルインジケータと並行して行うことを要求される場合がある。 

13.6 製造業者は,インジケータが検知しないような,又は重要変数に十分に達していても検知しないよ

うな滅菌プロセスにおいて悪影響を及ぼす全ての要因を,明記しなければならない[5.8 h)参照]。 

注記 附属書C参照 

14 (クラス6)エミュレーティング・インジケータに対する追加要求事項 

14.1 エミュレーティング・インジケータは,5.2に規定する工程に対する全ての重要変数に対して設計し

background image

15 

T 11140-1:2013 (ISO 11140-1:2005) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

なければならない。また,表8に示す滅菌サイクルにおける変数の許容値内でばく露されたことを終点に

達することで示さなければならない。 

14.2 エミュレーティング・インジケータは,規定値(テストポイント1)で試験したとき,終点に達しな

ければならない(合格条件)。 

14.3 エミュレーティング・インジケータは,規定値から許容値を減じたテストポイント(テストポイン

ト2)で試験したとき,終点に達してはならない(不合格条件)。 

14.4 蒸気滅菌用エミュレーティング・インジケータは,137 ℃

1

0

+℃及び 30

1

0

+分の乾熱にばく露したとき,

終点に達してはならない。 

注記 乾熱状態での試験は,蒸気滅菌用エミュレーティング・インジケータの反応に蒸気の存在が必

要であることを保証するために設計したものである。 

14.5 製造業者は,インジケータが検知しないような,又は重要変数に十分に達していても検知しないよ

うな滅菌プロセスにおいて悪影響を及ぼす全ての要因を,明記しなければならない[5.8 h)参照]。 

表8−クラス6インジケータの試験及び性能 

滅菌プロセス 

テストポイント 

試験時間 

試験温度 

ガス濃度 

mg/L 

相対湿度 

蒸気滅菌 

SV 

SV 

− 

− 

SV−6 % 

SV−1 ℃ 

− 

− 

乾熱滅菌 

SV 

SV 

− 

− 

SV−20 % 

SV−1 ℃ 

− 

− 

エチレンオキサイド滅菌 

SV 

SV 

SV 

>30 

SV−10 % 

SV−2 ℃ 

SV−15 % 

>30 

注記 エミュレーティング・インジケータ(クラス6)の試験例は,附属書B参照。 

16 

T 11140-1:2013 (ISO 11140-1:2005) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A 

(参考) 

製品の使用期限の評価方法 

A.1 使用期限を定める製品テストは,文書化した手順に従って行う。 

なお,その手順は,テスト実施前に設定し,サンプル数,サンプリング手法及びデータ評価の必要条件

を規定する。 

注記 JIS Q 9001及びJIS Q 13485は,設計,製造及び試験に対する品質システムの要求事項を規定

している。 

A.2 製品サンプルは,保管のために推奨する最大又はそれ以上の温度及び相対湿度の条件下で,通常の

包装状態で保管する。これらの状態は,管理及び監視する。 

A.3 全ての性能は,使用期限を通して継続的に維持する。  

A.4 使用期限の決定に関わる全ての試験結果は,試験完了後から使用期限に1年間分を加算した期間保

存する。当該期間以降においても,製品が市販されている限り,試験の要約を保存する。 

17 

T 11140-1:2013 (ISO 11140-1:2005) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B 

(参考) 

インジケータ試験の事例 

B.1 

乾熱滅菌用シングルバリアブルインジケータ(クラス3)試験の事例 

SV 160 ℃のインジケータ: 

製造業者は,160 ℃のSVを試験し,確認することによって,このインジケータの性能を表示すること

ができる(5.8参照)。この規格で規定した試験方法に基づき,160 ℃(SV,テストポイント1)で試験を

実施したとき,そのインジケータは,終点に達しなければならない。また,155 ℃(許容値を減じた値,

テストポイント2)(注記参照)で試験をしたとき,インジケータは,終点に達してはならない。テストポ

イント1とテストポイント2との間で試験する必要性はない。なぜなら,テストポイント1とテストポイ

ント2との間でインジケータを試験したときは,不明瞭な結果となることがある(すなわち,インジケー

タが終点まで達するか又は達しないこともある。)。 

注記 表7に示すとおり,クラス3のシングルバリアブルインジケータの試験温度の許容値は5 ℃で

ある。したがって,テストポイント2は,160 ℃−5 ℃=155 ℃となる。 

B.2 

蒸気滅菌用マルチバリアブルインジケータ(クラス4)試験の事例 

SV 121 ℃及び15分間のインジケータ: 

製造業者は,121 ℃及び15分間のSVを試験し,確認することによって,このインジケータの性能を表

示することができる(5.7及び5.8参照)。また,製造業者は,異なる温度及び時間におけるSVを追加し,

設定することもある。この規格で規定した試験方法に基づき,121 ℃及び15分間(SV,テストポイント

1)で試験をしたとき,そのインジケータは,終点に達しなければならない。119 ℃及び11分15秒間(SV

から温度及び時間の許容値を減じた値,テストポイント2)で試験をしたとき,インジケータは,終点に

達してはならない(注記参照)。テストポイント1とテストポイント2との間で試験する必要性はない。な

ぜなら,テストポイント1とテストポイント2との間でインジケータを試験したときは,不明瞭な結果と

なることがある(すなわち,インジケータが終点まで達するか又は達しないこともある。)。 

注記 表7に示すとおり,クラス4のマルチバリアブルインジケータの試験温度の許容値は2 ℃,試

験時間の許容値は25 %(15分間の25 %は3分45秒間)である。したがって,テストポイント

2は,121 ℃−2 ℃=119 ℃,15分間−3 分45秒間=11分15秒間となる。 

B.3 

インテグレーティング・インジケータ(クラス5)試験の事例 

インテグレーティング・インジケータのテスト手順及び背景は,附属書C参照。 

B.4 

蒸気滅菌用エミュレーティング・インジケータ(クラス6)試験の事例 

SV 134 ℃及び3.5分間のインジケータ: 

製造業者は,134 ℃及び3分30秒間のSVを試験し,確認することによって,このインジケータの性能

を表示することができる(5.7及び5.8参照)。また,製造業者は,異なる温度及び時間におけるSVを追

加し,設定することもある。この規格で規定した試験方法に基づき,134 ℃及び3分30秒間(SV,テス

トポイント1)で試験をしたとき,そのインジケータは,終点に達しなければならない。133 ℃及び3 分

18 

T 11140-1:2013 (ISO 11140-1:2005) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

17 秒間(SVから温度及び時間の許容値を減じた値,テストポイント2)で試験をしたとき,インジケー

タは,終点に達してはならない(注記参照)。テストポイント1とテストポイント2との間で試験する必要

性はない。なぜなら,テストポイント1とテストポイント2との間でインジケータを試験したときは,不

明瞭な結果となることがある(すなわち,インジケータが終点まで達するか又は達しないこともある。)。 

注記 表8に示すとおり,クラス6のエミュレーティングインジケータの試験温度の許容値は1 ℃,

試験時間の許容値は6 %である[3分30秒間の6 %は12.6秒間(小数点以下を繰り上げて13

秒)]。したがって,テストポイント2は,134 ℃−1 ℃=133 ℃,3分30秒間−13秒間=3分

17秒間となる。 

19 

T 11140-1:2013 (ISO 11140-1:2005) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書C 
(参考) 

インテグレーティング・インジケータへの要求事項についての理論的根拠 

並びにISO 11138で規定しているバイオロジカルインジケータ(BI)への 

要求事項及び微生物の殺滅効果との相関性 

C.1 蒸気滅菌  

C.1.1 一般 

インテグレーティング・インジケータは,滅菌プロセスの重要変数へばく露したときにバイオロジカル

インジケータ(BI)と同様な挙動を示すように設計する。この規格の目的として,インテグレーティング・

インジケータの性能は,ISO 11138-3で規定しているとおり,蒸気滅菌用BIの最小限の性能要求と関連付

ける。 

箇条11に規定したクラス5インテグレーティング・インジケータへの性能要求についての背景情報及び

詳細な理論的根拠は,次による。 

C.1.2 背景情報 

蒸気滅菌用BIのD121値が1.5分間未満でないこと,最小初発菌数が1.0×105であること及びz値が6以

上であることをISO 11138-3で規定している。多くの菌株のGeobacillus stearothermophilusのz値は,一般

的に約10である(ISO 14161参照)。蒸気滅菌のバリデーションに関連した理論的計算(例えば,F0)で

は,一般的にz値=10を採用する(Pflug 1999[18])。 

BIの性能は,生存死滅ウィンドウ(SKW)によっても定義できる。このSKWは,上記の最小限の性能

要求に基づいており,例えば,BIは,121 ℃及び4.5 分間のばく露では生存,121 ℃及び13.5 分間のば

く露では死滅する。SKWは,次の式から求めることができる。 

生存時間=(log P−2)×D121 

死滅時間=(log P+4)×D121 

ここに, 

log: 底を10とした対数 

P: 公称菌数 

D121: 121 ℃における対数減少時間(分) 

C.2 インテグレーティング・インジケータのSVとBI死滅との関連 

D121値が1.5分間で初発菌数が1.0×105のBIについて,少なくとも10−6までの菌数減少のためには,

121 ℃で16.5分間ばく露させる必要がある。 

この16.5分間は,(log 105−log 10−6)×1.5=16.5(分)から求めることができる。 

このことから,クラス5インテグレーティング・インジケータの121 ℃でのSVは,16.5分間を下回っ

てはならないことが要求される(最小SV)。この16.5分間という最小SVによって,インテグレーティン

グ・インジケータの終点と同等の性能をもつBIの十分な死滅水準(SAL10−6),すなわち,滅菌プロセス

の目的との直接的な関係が成立する。 

製造業者が121 ℃でのSVを16.5分間以上とすることによって,インテグレーティング・インジケータ

が終点に達した時間において,BIの死滅以上の水準(より以上の安全マージン)が達成されることとなる。

当然のことながら,インテグレーティング・インジケータがSVの時間の処理条件にばく露された場合に

20 

T 11140-1:2013 (ISO 11140-1:2005) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

は,終点に達する又は終点を超えなければならない。 

以上が,インテグレーティング・インジケータの合格条件についての説明である。 

ここからは,不合格条件について説明する。生残菌数が1未満まで減少するために十分な時間ばく露さ

れた場合は,理論上,一つのBIは,陰性を示すこととなる。しかし,生物学的システムに関連する個体差

が存在するため,実際に複数のBIを使用する場合には,(全てのBIを陰性にする場合)ばく露時間は,上

記の時間よりも長くしなければならない。一般的に50以上のBIを用いた場合,全てのBIを陰性にするた

めには,理論的な水準として生残菌数を10−2(1/100又は0.01)未満まで減少させるばく露時間が必要と

なる(ISO 14161参照)。SKWを求めることによって,あるBIに対して必要なばく露時間を知ることがで

きる。死滅時間については,(log P+4)×Dという計算式を用いることによって,ばく露時間を算出するこ

とができる。計算式において4を加えることによって,生残菌数が1の状態を超えて,更に4 logを減少

させて生残菌数が10−4の水準となる。生残菌数が10−2となる水準では,まだ幾つかのBIが陽性を示す懸

念が残るが,生残菌数が10−4となる水準では,陽性のBIは観察されなくなる。 

これらの基準を用い,初発菌数が1.0×105,D121値が1.5分間のBIの性能を参考にして,121 ℃でのイ

ンテグレーティング・インジケータの不合格条件を規定すると,生残菌数が10−2となる水準に達するには  

7 logの菌数減少が必要となるため,ばく露時間は10.5分間となる。 

(log P+2)×D=10.5分間 

したがって,インテグレーティング・インジケータは,121 ℃及び10.5分間の乾燥飽和蒸気にばく露し

たときには,終点に達してはならない。製造業者が表示するインテグレーティング・インジケータの121 ℃

でのSVは,16.5分間以上となる場合があるが,不合格となるばく露条件は,製造業者が表示するSVと

関連付いていなければならない。かつ,10.5分間以上でなければならない。基本的な基準として,不合格

条件は121 ℃及び10.5分間,合格条件は121 ℃及び16.5分間とみなすと, 

636

.0

5.

16

5.

10=

したがって,SVが16.5分間以上のあるインテグレーティング・インジケータの不合格条件のばく露時

間は,SVの63.6 %でなければならない。結論として,そのインテグレーティング・インジケータは,SV

の63.6 %の時間で121 ℃の乾燥飽和蒸気にばく露したときに不合格を示さなければならない。 

BIと比較した場合,インテグレーティング・インジケータのSVは,11 logの菌数減少の達成に要する

時間に関連しており,SVの63.6 %は,7 logの菌数減少の達成に要する時間に関連している。したがって,

ISO 11138-3に規定したBIのD値は,次の式のとおり,インテグレーティング・インジケータのSVに関

連している。 

(log P+6)×D=SV 

(5+6)×1.5=16.5 

ここに,11 logの菌数減少は,1.0×10−6の死滅水準の達成を意味する。 

したがって, 

11

SV

)6

(log

SV

+

P

D

BIについて,次のばく露時間(インテグレーティング・インジケータについての生存時間,ST)におい

て,BIは陽性を示す可能性がある。 

(log P+2)×D=ST 

21 

T 11140-1:2013 (ISO 11140-1:2005) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

Dを置き換えると, 

ST

11

SV

)2

(log

+×

P

ところで, 

log P+2=7 

したがって, 

ST

11

SV

7

×

ゆえに, 

ST

636

.0

SV

11

7

SV

×

×

したがって,インテグレーティング・インジケータについての生存時間(インテグレーティング・イン

ジケータの不合格時間)について,終点に達してはならないばく露時間は,以上のことからSVの時間の

63.6 %となる。 

C.3 ISO 11140-1:1995におけるインテグレーティング・インジケータへの性能要求との比較 

ISO 11140-1:1995では,温度についてSV−1 ℃及び時間についてSV−15 %の処理条件にばく露したと

きに不合格を示さなければならないことを要求していた。例えば,121 ℃及び16.5分間のSVをもつイン

テグレーティング・インジケータの場合,120 ℃及び14.025分間の処理条件にばく露したとき,不合格と

ならなければならない。このこと及びBIの反応に関連して,D121値が1.5分間及びz値が10 ℃とした場

合,D120値は,次の式によって求めることができる。 

D120=D121×10

/10)]

[(

ref

1T

T−

ここに, 

D120: 120 ℃でのD値 

D121: 121 ℃でのD値 

T1: 実際の温度(この場合は120 ℃) 

Tref: 参照温度(この場合は121 ℃) 

 D120=1.5×10−[(120−121)/10]=1.88分間 

BIの初発菌数が1.0×105とした場合,120 ℃及び14.025分間の処理条件にばく露したときの菌数のlog

減少は,次の式のとおり,7.427 logとなる。 

427

.7

88

.1

025

.

14

したがって,BIの生存水準の対数は, 

5−7.427=−2.427 

ゆえに,生残菌数は, 

1.0×10−2.427=3.7×10−3 

この計算結果は,この規格において規定した要求性能にとても近い。つまり,7 logの菌数減少が達成さ

れ,生残菌数が1.0×10−2まで減少するようなばく露時間のときには,インテグレーティング・インジケ

ータは,不合格を示さなければならない要求となる。 

したがって,上記で説明したとおり,この規格での新しい要求は,従来の要求とほぼ同等である。 

BIのz値が6 ℃とした場合,D120値は,次の式によって求める。 

background image

22 

T 11140-1:2013 (ISO 11140-1:2005) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

D120=1.5×10−[(120−121)/6]=2.2分間 

BIの初発菌数が1.0×105とした場合,120 ℃及び14.025分間の処理条件にばく露した場合の菌数のlog

減少は,次の式のとおり,6.375 logとなる。 

375

.6

2.2

025

.

14

したがって,BIの生存水準の対数は, 

5−6.375=−1.375=log (4.6×10−2)  

BIのz値が14 ℃とした場合, 

D120=1.5×10−[(120−121)/14]=1.768 1分間 

BIの初発菌数が1.0×105とした場合,120 ℃及び14.025 分間の処理条件にばく露したときの菌数のlog

減少は,次の式のとおり,7.93 logとなる。 

93

.7

1

768

.1

025

.

14

したがって,BIの生存水準の対数は, 

5−7.93=−2.9=log (1.25×10−3)  

上記のまとめを,表C.1に示す。 

表C.1−BI生存水準 

z=6 ℃ 

z=10 ℃ 

z=14 ℃ 

BI生存水準 

4.6×10−2 

3.7×10−3 

1.25×10−3 

最高温度における同じデータの検証: 

インテグレーティング・インジケータの135 ℃でのSVが0.66分間の場合,BIのD121値が1.5分間,初

発菌数が1.0×105及びz値が10 ℃のとき,D135値は,0.06分間となる。 

D135=1.5×10−[(135−121)/10]=0.06分間 

合格条件について,11 logの菌数減少は,0.66分間で達成される。 

11×0.06分間=0.66分間 

不合格条件について,7 logの菌数減少は,0.42分間で達成される。 

7×0.06分間=0.42分間 

要求性能として,インテグレーティング・インジケータは,SVの63.6 %で不合格を示さなければなら

ない。 

0.66×0.636=0.42分間 

不合格条件についてのISO 11140-1:1995の基準を用いると 

  温度SV−1 ℃,時間SV−15 %とした134 ℃及び0.56分間が不合格条件となる。 

BIについて,D134値は 

D134=1.5×10−[(134−121)/10]=0.075分間 

したがって,0.56分間のばく露によって達成される菌数の菌数減少は,7.47 logとなる。 

47

.7

075

.0

56

.0

このことから,BIの生存水準の対数は 

23 

T 11140-1:2013 (ISO 11140-1:2005) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5−7.47=−2.47=log (3.3×10−3)  

この値は,不合格条件(1.0×10−2)として許容される水準に近い。 

C.4 エチレンオキサイド 

ISO 11138-2は,EO滅菌用BIは,54 ℃,60 %RH及び600 mg EO/LにおけるD値が2.5分間を下回っ

てはならないこと,並びに初発菌数は少なくとも1.0×106であることを規定している。BIの性能は,SKW

によって決定されるともいえる。SKWは,上記の最低要求事項に基づいており,一般的に,54 ℃におい

て少なくとも10分間のばく露では,BIは生存し,25分間以上のばく露では,BIは死滅することが求めら

れる。SKWは,次の式によって求めることができる。 

生存時間=(log P−2)×D 

死滅時間=(log P+4)×D 

製品に滅菌済みと表示するには,微生物の最終的な生存確率を10−6となるように設定することが一般的

である。 

上記のとおり,10−6のBIの生存水準を達成するためには,D値が2.5分間,初発菌数が1.0×106のBI

を54 ℃,60 %RH及び600 mg EO/Lの条件で30分間ばく露することが求められる。30分間というばく露

時間は,次の式から求めることができる。 

(log 106−log 10−6)×2.5=30分間 

これらのことから,クラス5インテグレーティング・インジケータの終点に達する時間は,同等の性能

のBIの十分な死滅水準である30 分間を下回ってはならないことが要求される(最小SV)。 

54 ℃,60 %RH及び600 mg EO/LでのSVを30分間以上とすることによって,インテグレーティング・

インジケータが終点に達した時間において,BIの死滅以上の水準が達成されることとなる。当然,インテ

グレーティング・インジケータがSVの時間の処理条件にばく露されたときは,終点に達する又は終点を

超えなければならない。 

以上が,インテグレーティング・インジケータの合格条件についての説明である。 

生残菌数が1未満まで減少するために十分な時間にばく露された場合,理論上,一つのBIは,陰性を示

すこととなる。しかし,生物学的システムに関連する個体差が存在するため,実際に複数のBIを使用する

場合,(全てのBIを陰性にするためには)ばく露時間は,上記の時間よりも長くしなければならない。一

般的に50以上のBIを用いた場合,全てのBIを陰性にするためには,理論的な水準として生残菌数を10

−0未満まで減少させるばく露時間が必要となる。この考えは“(log P+4)×D”という死滅時間の算出方法

の規定に用いられており,生残菌数が1になってからの4 logの菌数減少(生残菌数1.0×10−4)を意味す

る。したがって,生残菌数が10−0の状態では,まだ幾つか陽性となるBIが現れるかもしれないが,生残

菌数が10−4の状態では,陽性となるBIは現れないことになる。これらの基準を用い,初発菌数1.0×106,

54 ℃,60 %RH及び600 mg EO/Lの条件において,D値が2.5分間のBIの性能を参考にして,インテグレ

ーティング・インジケータの不合格条件を規定すると,生残菌数が10−2となる水準に到達させるには,8 log

の菌数減少が必要となるため,ばく露時間は20分間となる。 

(log P+2)×D=20分間 

したがって,インテグレーティング・インジケータは,54 ℃,60 %RH及び600 mg EO/Lに20分間以

下ばく露した場合には,終点に達してはならない。製造業者の提示するインテグレーティング・インジケ

ータの54 ℃でのSVは30分間以上となる場合があるが,不合格となるばく露条件はSVと関連付いてい

24 

T 11140-1:2013 (ISO 11140-1:2005) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

なければならず,かつ,20分間以上でなければならない。基本的な基準として,不合格条件は20分間,

合格条件は30分間として考えると 

667

.0

30

20=

したがって,SVが30分間以上のインテグレーティング・インジケータの不合格条件のばく露時間は,

SVの66.7 %でなければならない。結論として,そのインテグレーティング・インジケータは,SVの66.7 %

の時間で54 ℃,60 %RH及び600 mg EO/Lにばく露した場合には不合格を示さなければならない。 

生物学的定義では,このSVは,12 logの菌数減少の達成に必要な時間と相関しており,66.7 %のSVは,

8 logの菌数減少に必要な時間と相関している。 

25 

T 11140-1:2013 (ISO 11140-1:2005) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書D 
(参考) 

蒸気−ホルムアルデヒド滅菌用インジケータの液相試験法の理論的根拠 

D.1 一般 

再現可能な方法でインジケータを試験するためには,特定の試験装置(評価装置)及び手法を用いる必

要がある。低温蒸気−ホルムアルデヒド滅菌プロセスについて,評価装置のチャンバに導入された一定量

のホルムアルデヒドガスは,チャンバに存在する水滴(凝縮水)のような少量の水にさえ溶解するため,

評価装置のチャンバにおいて安定したホルムアルデヒドガス濃度を得ることは非常に困難である。温度に

よって左右されるものの,凝縮水に溶解したホルムアルデヒド濃度は,気相の状態よりも1 000〜10 000

倍高い(Gömann他[9])。 

上記の理由によって,ホルムアルデヒド濃度が明確に規定でき,かつ,再現可能である液相試験法がISO 

11138-5では採用されている。 

注記 我が国では,蒸気−ホルムアルデヒド滅菌は,認められていない。 

D.2 低温蒸気−ホルムアルデヒド滅菌 

蒸気の状態及びホルムアルデヒドガス濃度が一定の状態を保っている場合でも,滅菌プロセスは,滅菌

器缶体の形状及び積載物の特徴によって,大きく左右される。低温蒸気−ホルムアルデヒドの滅菌プロセ

スを簡略化すると,次の二つからなる。 

a) 蒸気滅菌プロセスと同様,凝縮水の皮膜が積載物の表面に形成するが,この凝縮水は,極めて急速に

発生する。 

b) 平衡状態における気相と液相のホルムアルデヒド濃度とに大きな違いがあるため(1:1 000〜1:      

10 000),この平衡状態に達するまでの時間は,比較的長いとみなされる。実際には,10分間〜2時間

かかると推測できる。 

滅菌プロセスにおける致死性は,液相(例えば,表面凝縮水)におけるホルムアルデヒド濃度に極度に

依存するが,平衡状態に達するまでの絶対的な所要時間を求めることは,極めて困難である。 

D.3 インジケータ 

水溶性成分を含まないインジケータについては,上記の理由によって,同様の液相試験法の採用が望ま

しい。しかし,水溶性成分を含むインジケータについては,一つの参照(リファレンス)として,ISO 11138-5

に規定するBI及び低温蒸気−ホルムアルデヒド滅菌器を用いて,気相中で試験する。これは,クラス1

インジケータ以外のインジケータについても適用する。 

background image

26 

T 11140-1:2013 (ISO 11140-1:2005) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書E 

(参考) 

インジケータの構成要素 

 1 

インジケータ成分 

支持体 

インジケータ(クラス1,3,4,5,6) 

インジケータシステム 

特定の試験器具 

インジケータ(クラス2) 

図E.1−インジケータ構成要素の相関図 

27 

T 11140-1:2013 (ISO 11140-1:2005) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

参考文献 

[1] JIS Q 9001 品質マネジメントシステム−要求事項 

注記 ISO 9001:2008,Quality management systems−Requirements(IDT) 

[2] JIS Q 13485 医療機器−品質マネジメントシステム−規制目的のための要求事項 

注記 ISO 13485:2003,Medical devices−Quality management systems−Requirements for regulatory 

purposes(IDT) 

[3] JIS Q 17025:2005 試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項 

注記 ISO/IEC 17025:2005,General requirements for the competence of testing and calibration laboratories

(IDT) 

[4] EN 285,Sterilization−Steam sterilizers−Large sterilizers 

[5] EN 550,Sterilization of medical devices−Validation and routine control of ethylene oxide sterilization 

[6] EN 552,Sterilization of medical devices−Validation and routine control of sterilization by irradiation 

[7] EN 554,Sterilization of medical devices−Validation and routine control of sterilization by moist heat 

[8] EN 556-1,Sterilization of medical devices−Requirements for medical devices to be designated “STERILE” 

−Part 1: Requirements for terminally sterilized medical devices 

[9] EN 1422,Sterilizers for medical purposes−Ethylene oxide sterilizers−Requirements and test methods 

[10] EN 14180,Sterilizers for medical purposes−Low temperature steam and formaldehyde sterilizers−

Requirements and testing 

[11] EN 45014:1998,General criteria for supplier's declaration of conformity (ISO/ IEC Guide 22:1996) 

[12] GÖMANN, J., KAISER, U. and MENZEL, R., Reaction kinetics of the low-temperature-steam-formaldehyde  

(LTSF) sterilization process, Central Service, ZentrSteril, 8 (5) 2000, pp 290 to 296 

[13] ISO 11135:1994,Medical devices−Validation and routine control of ethylene oxide sterilization 

[14] ISO 11137:1995,Sterilization of health care products−Requirements for validation and routine control−

Radiation sterilization 

[15] ISO 14161,Sterilization of health care products−Biological indicators−Guidance for the selection, use and 

interpretation of results 

[16] ISO 15882,Sterilization of health care products−Chemical indicators−Guidance for selection, use and 

interpretation of results 

[17] ISO 17665,Sterilization of health care products−Moist heat−Development, validation and routine control of a 

sterilization process for medical devices 

注記 現在は,ISO 17665-1(JIS T 0816-1:2010)及びISO/TS 17665-2が発行されている。 

[18] PFLUG, I.J., Microbiology and engineering of sterilization processes, 10th Edition, Environmental Sterilization 

Laboratory, 1920 South First Street, Minneapolis, MN 55454, USA, 1999 

[19] RUSSELL, A.D., The destruction of bacterial spores, Academic Press, London, 1982