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T 0901:2011  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲 ························································································································· 1 

2 引用規格 ························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 1 

4 利用者端末 ······················································································································ 2 

4.1 機能 ···························································································································· 2 

4.2 構造及び形状 ················································································································ 3 

4.3 操作性 ························································································································· 3 

4.4 電磁両立性 ··················································································································· 3 

4.5 連続動作時間 ················································································································ 3 

5 情報提供方法 ··················································································································· 3 

5.1 注意情報 ······················································································································ 3 

5.2 誘導情報 ······················································································································ 4 

5.3 ランドマーク情報 ·········································································································· 4 

5.4 位置情報 ······················································································································ 4 

6 表示及び取扱説明書 ·········································································································· 4 

6.1 表示 ···························································································································· 4 

6.2 取扱説明書 ··················································································································· 4 

附属書A(参考)電子的情報提供機器の例 ················································································ 5 

附属書B(参考)電子的情報提供機器の追加的事項 ····································································· 8 

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(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,日本福祉用具・生

活支援用具協会(JASPA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本

工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。 

これによって,JIS T 0901:2005は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

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高齢者・障害者配慮設計指針−移動支援のための 

電子的情報提供機器の情報提供方法 

Guidelines for older persons and persons with disabilities- 

Information presentation using electronic guiding and wayfinding system 

序文 

この規格は,2005年に制定され,その後1回の改正を経て今日に至っている。その後の我が国の使用状

況に対応するため,今回実証実験を行い,改正した。 

なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。 

適用範囲 

この規格は,主として高齢者・障害者などの利用者(以下,利用者という。)が,電子的情報提供機器を

用いて移動するときの,利用者端末及び情報提供方法について規定する。 

この規格は,次のような形態の場合に適用する。 

a) 利用者端末又は設置機器からの誘導情報に従いながら目的地まで移動する形態(以下,誘導という。)

で,必要に応じて注意情報及び位置情報を利用する場合。 

b) 利用者端末又は設置機器からのランドマーク情報を参考にしながら目的地まで移動する形態(以下,

案内という。)で,必要に応じて注意情報及び位置情報を利用する場合。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS C 1806-1 計測,制御及び試験室用の電気装置−電磁両立性要求事項−第1部:一般要求事項 

JIS S 0011 高齢者・障害者配慮設計指針−消費生活製品の凸記号表示 

JIS S 0012 高齢者・障害者配慮設計指針−消費生活製品の操作性 

JIS S 0031 高齢者・障害者配慮設計指針−視覚表示物−年代別相対輝度の求め方及び光の評価方法 

JIS S 0032 高齢者・障害者配慮設計指針−視覚表示物−日本語文字の最小可読文字サイズ推定方法 

JIS S 0033 高齢者・障害者配慮設計指針−視覚表示物−年齢を考慮した基本色領域に基づく色の組合

せ方法 

JIS T 0102 福祉関連機器用語[支援機器部門] 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS T 0102によるほか,次による。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3.1 

電子的情報提供機器 

利用者端末及び設置機器によって構成され,両者間で情報通信を行う機器。 

なお,電子的情報提供機器の例を,附属書Aに示す。 

3.2 

利用者端末 

利用者が携行可能であり,設置機器との間の通信によって,利用者に対して音声,文字若しくは画像の

いずれか又は複数の組合せによって情報を提供する機器及び/又は利用者が設置機器に対して情報提供を

指示するための信号を送信する機器。 

3.3 

設置機器 

主に建物,道路などに設置し,利用者端末に情報を提供する,又は利用者端末からの要求によって利用

者に対して音声,文字若しくは画像のいずれか又は複数の組合せで情報を提供する機器でGPS衛星を含む。 

3.4 

注意情報 

利用者が移動をするときに,危険となる可能性がある場所において提供される,注意喚起を目的とした

情報。 

3.5 

誘導情報 

利用者が移動をするときに,移動方向の継続又は変化が必要となる場所において提供される,誘導を目

的とした情報。 

3.6 

ランドマーク情報 

利用者が移動をするときに,目標又は目的地を確認するために必要となる場所において提供される,案

内を目的とした情報。 

3.7 

位置情報 

利用者が現在地を知るための情報。 

利用者端末 

4.1 

機能 

利用者端末に必要な機能は,次による。 

なお,追加的事項を,附属書Bに示す。 

a) 情報提供の媒体 音声,文字若しくは画像のいずれか,又は複数の組合せによる。 

b) 情報提供の内容 分かりやすい表現を用いなければならない。ただし,できる限り冗長とならないよ

うに配慮する。 

c) 情報提供の速度 音声,文字及び画像による情報提供の速度は,提供する情報の内容を考慮し,利用

者が情報の内容を理解しやすい速度としなければならない。 

d) 情報提供の繰返し 情報を繰り返して提供できる機能をもっていなければならない。 

e) 音量の調節 音声による情報提供を行う利用者端末は,利用者にとって必要な音量を確保できるよう,

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音量の調節機能をもっていなければならない。 

f) 

合成音声の声の高さの調節 合成音声による情報提供を行う利用者端末は,利用者にとって必要な合

成音声の声の高さ(ピッチ)を確保できるよう,周波数の調節機能をもっていなければならない。 

g) 文字の大きさの調節 文字による情報提供を行う利用者端末は,JIS S 0032によって利用者にとって

必要な文字サイズを確保できるよう,文字サイズの調節機能をもっていなければならない。 

h) 画面の色の組合せの調節 画像による情報提供を行う利用者端末は,JIS S 0033によって利用者にと

って必要な色の組合せを設定できるよう,画面の色の調節機能をもっていることが望ましい。 

i) 

画面の輝度コントラストの調節 画像による情報提供を行う利用者端末は,JIS S 0031によって利用

者にとって必要な輝度コントラストを確保できるよう,輝度コントラストの調節機能をもっていなけ

ればならない。 

j) 

誘導ルートからの逸脱への対応 利用者端末が正しい誘導ルートを逸脱したことを検知した場合に

は,逸脱したことを示す情報を提供し,正しい誘導ルートまでの誘導又は新たな誘導ルートの情報を

提供できる機能をもっていなければならない。 

4.2 

構造及び形状 

利用者端末は,鋭い角又は縁がなく,滑りにくく保持しやすい形状とし,携帯するのに可能な小形で軽

量でなければならない。また,利用者端末を使用するときは,正しく保持していることを識別できなけれ

ばならない。 

4.3 

操作性 

操作性は,次による。 

a) 利用者端末は,JIS S 0012に基づき,利用者が単純かつ容易に操作できなければならない。また,利

用者がスイッチ類の状態を分かる仕組みでなければならない。 

b) スイッチ類は,点字,凸表示などによって識別が容易なものとする。また,凸表示で表す場合は,JIS 

S 0011による。 

4.4 

電磁両立性 

電磁両立性は,JIS C 1806-1による。 

4.5 

連続動作時間 

利用者端末は,実用上支障のない連続動作時間を確保しなければならない。また,利用者が電池残量を

容易に分かる仕組みを設けなければならない。 

情報提供方法 

提供する情報は,注意情報,誘導情報,ランドマーク情報及び位置情報とする。これらの情報は,利用

者の安全性を損なうものであってはならない。 

なお,利便性を向上させるために,付帯情報,例えば,施設の運用時間,階段の通過後の行先を含んで

もよい。 

5.1 

注意情報 

注意情報は,次による。 

a) 注意情報の提供場所は,“上り・下り階段”,“上り・下りエスカレータ”,“段差”,“横断歩道”及び“踏

切”とする。 

その他危険となる可能性がある場所についても,注意情報を提供しなければならない。 

b) 注意情報の提供位置は,提供場所の手前0.9 mとする。また,提供場所の手前5 m〜10 mにおいても,

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情報提供を行う。 

c) 注意情報は,提供場所の呼称とする。また,提供場所の方向も提供することが望ましい。 

例 “下りの階段があります”,“この先に踏切があります”。 

d) 横断歩道における歩行者信号灯器の点灯状態及び踏切における踏切遮断機の開閉状態の情報は,利用

者の待ち位置で提供する。 

5.2 

誘導情報 

誘導情報は,次による。 

a) 誘導情報の提供場所は,“分岐点”及び“直進が継続する場合の一定間隔の地点”とする。その他誘導

に効果のある場所についても,誘導情報を提供することが望ましい。 

例 “左に曲がってください”,“この先を右折です”,“このまま直進です”。 

b) 誘導情報の提供位置は,分岐点の場合は分岐点とする。また,分岐点の手前5 m〜10 mにおいても,

情報提供を行うことが望ましい。 

なお,直進が継続する場合には,注意情報の提供がない限り,10 m〜20 mの間隔で行う。 

5.3 

ランドマーク情報 

ランドマーク情報は,次による。 

a) ランドマーク情報の提供場所は,“目標”又は“目的地を確認するために必要となる場所”とする。 

b) ランドマーク情報の提供位置は,提供場所とする。また,提供場所の手前5 m〜10 mにおいても,情

報提供を行うことが望ましい。 

c) ランドマーク情報の内容は,提供場所の内容とする。 

例 “○○建物入口です”,“○○番のバス停です”,“○○会議室です”,“分岐点です”。 

5.4 

位置情報 

位置情報は,利用者端末が存在する場所及びその周辺の情報とする。 

例 “○○ビル前です”,“この周辺に○○駅があります”,“この付近にはランドマーク情報を提供

できる場所はありません”。 

表示及び取扱説明書 

6.1 

表示 

利用者端末には,見やすい箇所に容易に消えない方法で,次の事項を表示する。 

a) 製造業者名又はその略号 

b) 製造番号 

6.2 

取扱説明書 

利用者端末の取扱説明書には,印刷物及び電子データで,次の事項を記載する。 

a) 利用者端末仕様 

b) 使用環境 

c) 各部の名称 

d) 操作方法 

e) 安全上の注意 

f) 

故障時の措置 

g) 利用に関する留意事項 

h) 製造業者の連絡先 

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附属書A 

(参考) 

電子的情報提供機器の例 

A.1 概要 

この附属書は,障害者・高齢者の移動を支援する電子的情報提供機器の通信形態及び構成要素の区分に

ついて記述するもので,規定の一部ではない。 

A.2 用語及び定義 

この附属書で用いる用語及び定義は,次による。 

A.2.1 

設置機器信号送信通信形態 

設置機器から利用者端末に対して信号を送ることで,利用者端末が処理を行い,利用者端末から利用者

に情報を提供する通信形態とする。この形態は,GPSシステム又は赤外線音声情報案内(RIAS)方式を含

む。 

注記 RIASとは,ANSI A117.1に規定された方式をいう。 

A.2.2 

利用者端末信号送信通信形態 

利用者端末から設置機器に対して信号を送ることで,設置機器が処理を行い,設置機器から利用者に情

報を提供する通信形態とする。 

A.2.3 

利用者端末信号送信・設置機器返信通信形態 

利用者端末から設置機器に対して信号を送ることで,設置機器が処理を行い,相当する信号を再度利用

者端末に対して送ることで,利用者端末から利用者に情報を提供する通信形態とする。 

A.2.4 

設置機器信号送信・利用者端末返信通信形態 

設置機器から利用者端末に対して信号を送ることで,利用者端末が処理を行い,利用者端末から利用者

に情報を提供する。利用者は情報を受け取るとともに,相当する信号を再度設置機器に対して送ることで,

設置機器が処理を行い,設置機器から利用者に情報を提供する通信形態とする。 

A.3 電子的情報提供機器の構成要素 

電子的情報提供機器の構成要素は,次による(図A.1参照)。 

a) 利用者端末 

b) 設置機器 

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図A.1−電子的情報提供機器の構成要素 

A.4 電子的情報提供機器の通信形態の種類 

電子的情報提供機器の通信形態の種類は,次による。 

a) 設置機器信号送信通信形態 設置機器から常時情報が発信されている環境下において,利用者が利用

者端末を用いて設置機器からの信号又はコードを受けることによって,利用者端末側で情報処理を行

い,利用者端末から利用者に情報を音声,文字若しくは画像のいずれか又は複数の組合せによって提

供する通信形態とする。通信形態を図A.2に示す。 

図A.2−設置機器信号送信通信形態 

b) 利用者端末信号送信通信形態 利用者端末からスイッチを押下するなどで設置機器に対して信号を送

って情報の取得を指示することで,設置機器側でその指示に応じて情報処理を行い,設置機器から利

用者に情報を音声,文字若しくは画像のいずれか又は複数の組合せによって提供する通信形態とする。

通信形態を図A.3に示す。 

図A.3−利用者端末信号送信通信形態 

c) 利用者端末信号送信・設置機器返信通信形態 利用者端末からスイッチを押下するなどで設置機器に

対して信号を送って情報の取得を指示することで,設置機器側でその指示に応じて情報処理を行い,

その結果を再度利用者端末に対して送信することで,利用者端末から利用者に情報を音声,文字若し

くは画像のいずれか又は複数の組合せによって提供する通信形態とする。通信形態を図A.4に示す。 

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図A.4−利用者端末信号送信・設置機器返信通信形態 

d) 設置機器信号送信・利用者端末返信通信形態 設置機器から常時一定の範囲に信号を送信しており,

利用者端末がその範囲内に入ると,設置機器から利用者端末に対して信号が送られることで利用者端

末が処理を行い,利用者端末から利用者に,設置機器からの情報が獲得できる範囲内であることの情

報を音声,文字若しくは画像のいずれか又は複数の組合せによって提供する。さらに,利用者は,そ

の情報を受け取るとともに,スイッチを押下するなどで再度設置機器に対して信号を送ることで,設

置機器が処理を行い,設置機器から利用者が意図する情報を音声,文字若しくは画像のいずれか又は

複数の組合せによって提供する通信形態とする。通信形態を図A.5に示す。 

図A.5−設置機器信号送信・利用者端末返信通信形態 

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附属書B 

(参考) 

電子的情報提供機器の追加的事項 

B.1 

概要 

この附属書は,この規格で規定する電子的情報提供機器のうち,利用者端末の追加的事項を記載するも

のであって,規定の一部ではない。 

B.2 

利用者端末 

利用者端末に関する追加的事項は,次による。 

a) 各種電子的情報提供機器への対応 利用者端末は,各種電子的情報提供機器に対応できる。 

b) 提供される情報 利用者が取得する情報の必要又は不必要の選択ができる機能をもっている。 

c) 利用者端末の向いている方位の検知 利用者端末は,その利用者端末自体が向いている方位が音声,

文字若しくは画像のいずれか又は複数の組合せで分かる機能をもっている。 

d) 周辺のランドマーク情報の提供場所の方向の検知 周辺の案内情報の提供場所の方向を示す機能をも

っている。 

e) 情報提供の予告表現 情報提供を行う前に,音及び/又は振動を用いて利用者に情報提供を行うこと

を知らせる。 

f) 

音声情報の文字化 利用者端末は,出力されている音声情報を文字情報で情報提供する仕組みをもっ

ている。 

g) 情報提供の内容 画像を用いた情報提供を行う場合は,JIS Z 8210に規定する案内用図記号を用いる。 

h) 情報提供の速度 利用者端末から情報提供を行う場合の音声,文字及び画像による情報提供の速度は,

変更できる。 

i) 

音声出力の表示 利用者端末は,利用者端末及び/又は案内装置が音声で出力されているか否かを画

像,文字若しくは振動のいずれか又は複数の組合せで提供する仕組みをもっている。 

j) 

振動の調節 振動による情報提供を行う利用者端末は,振動の調節機能をもっている。 

参考文献 JIS Z 8210 案内用図記号 

ISO/IEC Guide 71,Guidelines for standards developers to address the needs of older persons and 

persons with disabilities 

ISO/IEC 19501:2005,Information technology−Open Distributed Processing−Unified Modeling 

Language (UML) Version 1.4.2 

ANSI A117.1,American National Standard for Accessible and Usable Buildings and Facilities