T 0841-2:2019 (ISO 11607-2:2006,Amd.1:2014)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 一般要求事項 ··················································································································· 4
4.1 品質システム ················································································································ 4
4.2 サンプリング ················································································································ 4
4.3 試験方法 ······················································································································ 4
4.4 文書化 ························································································································· 4
5 包装プロセスのバリデーション ··························································································· 5
5.1 一般 ···························································································································· 5
5.2 据付適格性の確認(IQ) ································································································· 5
5.3 運転適格性の確認(OQ) ································································································ 6
5.4 稼働性能適格性の確認(PQ) ·························································································· 6
5.5 プロセスバリデーションの正式承認··················································································· 7
5.6 プロセス管理及び監視 ···································································································· 7
5.7 プロセスの変更及び再バリデーション················································································ 7
6 包装システムの組立 ·········································································································· 8
7 再使用可能無菌バリアシステムの使用 ·················································································· 8
8 無菌流体経路包装 ············································································································· 8
附属書A(参考)プロセス開発 ······························································································· 9
参考文献 ···························································································································· 10
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(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
医療機器学会(JSMI)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業
標準調査会の審議を経て,厚生労働大臣及び経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS T 0841-2:2009は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。厚生労働大臣,経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の
特許出願及び実用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS T 0841の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS T 0841-1 第1部:材料,無菌バリアシステム及び包装システムに関する要求事項
JIS T 0841-2 第2部:成形,シール及び組立プロセスのバリデーション
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日本工業規格 JIS
T 0841-2:2019
(ISO 11607-2:2006,Amd.1:2014)
最終段階で滅菌される医療機器の包装−
第2部:成形,シール及び組立プロセスの
バリデーション
Packaging for terminally sterilized medical devices-Part 2: Validation
requirements for forming, sealing and assembly processes
序文
この規格は,2006年に第1版として発行されたISO 11607-2及びAmendment 1(2014)を基に,技術的
内容及び構成を変更することなく作成した日本工業規格である。ただし,追補(amendment)については,
編集し,一体とした。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格にはない事項である。
1
適用範囲
この規格は,最終段階で滅菌される医療機器を包装するためのプロセス開発及びバリデーションについ
て規定する。この規格のプロセスには,成形前無菌バリアシステム,無菌バリアシステム及び包装システ
ムの成形,シール及び組立を含む。
この規格は,製造業(例えば,包装材料製造業),ヘルスケア施設及び医療機器を包装して滅菌するあら
ゆるところに適用できる。
この規格は,無菌的に製造する医療機器の包装システムについての全ての要求事項を対象とはしていな
い。医薬品と医療機器との組合せには,追加要求事項が必要なこともある。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 11607-2:2006,Packaging for terminally sterilized medical devices−Part 2: Validation requirements
for forming, sealing and assembly processes及びAmendment 1:2014(IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ
とを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用
規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS T 0841-1 最終段階で滅菌される医療機器の包装−第1部:材料,無菌バリアシステム及び包装シ
ステムに関する要求事項
注記 対応国際規格:ISO 11607-1:2006,Packaging for terminally sterilized medical devices−Part 1:
Requirements for materials, sterile barrier systems and packaging systems及びAmendment 1:2014
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(IDT)
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1
使用期限(expiry date)
その日までに製品を使用しなければならない日付の表示で,少なくとも年及び月で表したもの。
3.2
据付適格性の確認(installation qualification)(IQ)
装置がその要求仕様を満たして提供され,据え付けられたことの証拠を取得して文書化するプロセス
(ISO/TS 11139:2006参照)。
3.3
ラベル表示(labelling)
医療機器若しくはその包装システムに貼付されるか又は医療機器に添付される手書き,印刷,電子式又
は図式のもの。
注記 ラベル表示は,医療機器の識別,技術的な記載及び使用と関連するが,出荷に関する文書は除
外する。
3.4
運転適格性の確認(operational qualification)(OQ)
据え付けた装置をその操作手順によって用いたとき,あらかじめ定めた限度内で作動する証拠を取得し
文書化するプロセス(ISO/TS 11139:2006参照)。
3.5
包装システム(packaging system)
無菌バリアシステムと保護的包装との組合せ(ISO/TS 11139:2006参照)。
3.6
稼働性能適格性の確認(performance qualification)(PQ)
操作手順に従って据え付けられ,運転されている製造装置が,あらかじめ定めた評価基準を恒常的に満
たして稼働し,かつ,それによって仕様を満たした製品を製造している証拠を取得し,文書化するプロセ
ス(ISO/TS 11139:2006参照)。
3.7
成形前無菌バリアシステム(preformed sterile barrier system)
充塡及び最終クロージャ又はシールのために部分的に組み立てて提供される,3.14に定義する無菌バリ
アシステム(ISO/TS 11139:2006参照)。
例 パウチ,バッグ及び開放形再使用可能コンテナ
3.8
プロセス開発(process development)
重要なプロセスパラメータの公称値及び限界を確立すること。
3.9
製品(product)
プロセスの結果(JIS Q 9000:2006参照)。
3
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注記 滅菌規格では,製品は有形のものであり,原料,中間品,半組立品及びヘルスケア製品をいう
(ISO/TS 11139:2006参照)。
3.10
保護的包装(protective packaging)
組立時から使用時点まで,無菌バリアシステム及びその内容物への損傷を防止するために設計した材料
構成(ISO/TS 11139:2006参照)。
3.11
繰返し性(repeatability)
同一の測定条件下で行われた,同一の測定量の繰返し測定結果の間の一致の度合い。
注記1 これらの測定条件を繰返し性条件という。
注記2 繰返し性の測定条件には,次のものを含むことができる。
a) 同一の測定手順
b) 同一の測定者
c) 同一の条件下で使用する同一の測定機器
d) 同一の場所
e) 短期間での繰返し
注記3 繰返し性は,結果の分散特性を定量的に表してもよい。
注記4 “国際計量基本用語集”による。
3.12
再現性(reproducibility)
測定条件を変更して行われた,同一の測定量の測定結果の間の一致の度合い。
注記1 再現性の報告が有効であるためには,変更した条件の明示が必要である。
注記2 変更した測定条件には,次のものを含むことができる。
a) 測定の原理
b) 測定の方法
c) 測定者
d) 測定機器
e) 参照標準
f)
場所
g) 使用条件
h) 時間
注記3 再現性は,結果の分散特性を定量的に表してもよい。
注記4 “国際計量基本用語集”参照。
3.13
再使用可能なコンテナ(reusable container)
繰返し使用するように設計された硬質の無菌バリアシステム。
3.14
無菌バリアシステム(sterile barrier system)
微生物の侵入を防止し,かつ,使用時点での製品の無菌提供を可能にする最低限の包装(ISO/TS
11139:2006参照)。
4
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3.15
無菌流体経路包装(sterile fluid-path packaging)
流体との接触を意図した医療機器の一部分の無菌性を確実にするように設計した,保護ポートカバー及
び/又は包装システム。
注記 無菌流体経路包装の例には,静脈注射液の投与のためのチューブの内部がある。
3.16
バリデーション(validation)
あらかじめ定めた仕様に適合する製品を恒常的に産出することができるプロセスを確立するために,要
求される結果を得て,記録し,解釈するための文書化した手順(ISO/TS 11139:2006参照)。
4
一般要求事項
4.1
品質システム
4.1.1
この規格で規定する要求事項は,品質システムの一環として実施しなければならない。
注記 JIS Q 9001及びJIS Q 13485には,適切な品質システムに関する要求事項が含まれている。
4.1.2
この規格の要件を満たすために,品質システムの第三者認証を得る必要はない。
注記 医療機器によっては,個別製品で第三者認証を要求される場合がある。
4.1.3
ヘルスケア施設は,国又は都道府県が要求する品質システムを用いることを検討しなければならな
い。
4.2
サンプリング
サンプリング計画は,包装システムの選定及び試験に用いられなければならない。そのサンプリング計
画は,統計的に有効な根拠に基づかなければならない。
注記 適切なサンプリング計画の例は,JIS Z 9015-1又はJIS P 8110がある。
4.3
試験方法
4.3.1
この規格への適合を示すために用いる全ての試験方法は,バリデーションを実施し,文書化しなけ
ればならない。
注記 JIS T 0841-1の附属書B(要求事項への適合を実証するために使用できる標準試験方法及び手
順)に適切な試験方法のリストが示されている。
4.3.2
試験方法のバリデーションには,使用した方法の妥当性を実証しなければならない。このとき,次
の項目を含めなければならない。
a) 包装システムに適した試験の選定根拠の確立
b) 合否判定基準の確立
注記 合格又は不合格が,判定基準の一つである。
c) 試験方法の繰返し性の決定
d) 試験方法の再現性の決定
e) 完全性試験に関する試験方法の検出限界の確立
4.3.3
試験方法に特に規定がない限り,試験試料は,温度23±1 ℃及び相対湿度(50±2) %の雰囲気中
で24時間以上前処理しなければならない。
4.4
文書化
4.4.1
この規格の要求事項に適合していることの実証を,文書化しなければならない。
4.4.2
全ての文書は,あらかじめ定めた期間保管しなければならない。保管期間は,医療機器又は無菌バ
5
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リアシステムの要求事項,使用期限,トレーサビリティなどの要素を考慮しなければならない。
4.4.3
要求事項への適合の文書は,性能データ,仕様,バリデーションされた試験方法による試験結果及
びプロトコル,並びにIQ,OQ及びPQの結果を含んでもよいが,これらに限らない。
4.4.4
バリデーション,プロセス管理又はその他の品質の意思決定プロセスに関係する電子記録,電子署
名及び電子記録に署名された手書きの署名は,信頼できるものでなければならない。
5
包装プロセスのバリデーション
5.1
一般
5.1.1
成形前無菌バリアシステム及び無菌バリアシステム製造プロセスは,バリデーションしなければな
らない。
これらのプロセスには,次のものを含めるが,これらには限らない。
a) 硬質及び軟質ブリスタ成形
b) パウチ,ロール又はバッグの成形及びシール
c) 成形,充塡及びシール(FFS:Form Fill Seal)の自動化プロセス
d) キットの組立及びラッピング
e) 無菌流体経路製品の組立
f)
トレイ,蓋(リッド)のシール
g) 再使用可能なコンテナの充塡及び密封
h) ラップの折畳み方法及びラッピング方法
注記 CSR(中央材料室)ラップ,綿布,滅菌紙などが相当する。
5.1.2
プロセスバリデーションには,少なくともIQ,OQ及びPQを,この順序で含めなければならない。
5.1.3
プロセス開発は,プロセスバリデーションの一環ではないが,成形及びシールの不可欠な部分とし
て考慮することが望ましい(附属書A参照)。
5.1.4
既存の製品のバリデーションは,過去のIQ及びOQのデータに基づいてもよい。このデータは,
重要なパラメータの許容差の決定に用いることができる。
5.1.5
類似の成形前無菌バリアシステム及び無菌バリアシステム製造プロセスをバリデーションすると
きは,類似性(プロダクト・ファミリ)を確定し,限界条件の場合の構成を特定する根拠を文書化しなけ
ればならない。少なくともワーストケースの場合の構成をバリデーションして,この規格への適合性を決
定しなければならない。
注記 例えば,類似性は,異なるサイズの成形前無菌バリアシステムで確立できる。
5.2
据付適格性の確認(IQ)
5.2.1
IQを実施しなければならない。
IQの考慮事項には,次のことを含む。
a) 装置設計仕様
b) 配線,ユーティリティ,機能性などの設置状態
c) 安全性
d) 設計パラメータ内で動作する装置
e) 供給業者の文書,印刷物,図面及びマニュアル
f)
予備品リスト
g) ソフトウェアバリデーション
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h) 清浄度,温度,湿度などの設置場所の環境条件
i)
操作員の教育訓練文書
j)
操作マニュアル又は手順
5.2.2
工程管理項目を規定しなければならない。
5.2.3
工程管理項目を管理し,監視しなければならない。
5.2.4
工程管理値があらかじめ定めた値を超えた場合,アラーム,警報システム又は機械停止システムが
作動しなければならない。
5.2.5
重要なプロセス計器,センサ,表示器,コントローラなどは,校正し,その校正スケジュールを文
書化しなければならない。校正は,PQの前及び後に実施することが望ましい。
5.2.6
予防保全及び清掃スケジュールを文書化しなければならない。
5.2.7
プログラマブルロジックコントローラ(PLC),データ収集及び検査システムなどのソフトウェア
システムの使用は,バリデーションし,それらが意図するように機能することを確認しなければならない。
ソフトウェア及びハードウェア,特にインタフェースが正しく機能することを確認するために,機能試験
を実施しなければならない。データ又は記録の使用可能性,信頼性,同一性,精度及びトレーサビリティ
を明らかにするために,システムを点検しなければならない(例えば,正しいデータと誤ったデータとを
入力し,電力損失を模擬してバリデーションすることによって。)。
5.3
運転適格性の確認(OQ)
5.3.1 予測される全ての工程管理項目の条件下で,成形前無菌バリアシステム及び無菌バリアシステムが,
あらかじめ定めた全ての条件を満たして製造されることを確実にするための検証を行わなければならない。
5.3.2
成形前無菌バリアシステム及び無菌バリアシステムは,管理値の上限及び下限の範囲内で製造しな
ければならない。また,それらは,あらかじめ定めた要求事項を満たす特性を示さなければならない。次
の品質特性を考慮しなければならない。
a) 成形又は組立の場合
1) 完全な無菌バリアシステムが成形又は組み立てられている。
2) 製品が無菌バリアシステムに適合している。
3) 基本寸法を満たしている。
b) シールの場合
1) 規定したシール幅で,シールがされている。
2) シールの導通又は不完全なシールがない。
3) 破袋又は破れがない。
4) 材料層の剝離又は分離がない。
注記 シール幅の仕様の例については,EN 868-5:2009の4.3.2参照。
c) 他のクロージャシステムの場合
1) 連続したクロージャである。
2) 破袋又は破れがない。
3) 材料層の剝離又は分離がない。
5.4
稼働性能適格性の確認(PQ)
5.4.1
PQは,プロセスがあらかじめ定めた使用条件の下で,容認可能な成形前無菌バリアシステム及び
無菌バリアシステムを一貫して生産することを実証しなければならない。
5.4.2
PQには,次のものを含まなければならない。
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a) 実際の製品又はそれを模擬した製品
b) OQで確定した工程管理値
c) 製品,包装要求事項の検証
d) プロセス管理及び能力の保証
e) プロセスの繰返し性及び再現性
5.4.3
プロセスへの取組み(プロセス・チャレンジ)には,製造中に起こることが予測される条件を含ま
なければならない。
注記 これらの取組みは,機械設定及び切替え手順,プロセス始動及び再開手順,電源異常及び変動,
並びに該当する場合は複数のシフトを含めてもよいが,これらに限らない。
5.4.4
プロセスへの取組みは,1回の生産内の変動性及び異なる生産間の再現性を実証するために,適切
なサンプリングによる少なくとも3回の生産を含めなければならない。生産時間は,工程管理項目として
考慮することが望ましい。
注記 これらの管理項目は,機械の平衡,休止及びシフト変更,通常始動及び停止並びに材料ロット
間の差を含むが,これらに限らない。
5.4.5
成形,シール及び組立作業の手順及び仕様を文書化し,PQに組み込まなければならない。
5.4.6
プロセスの重要な管理項目を監視し,記録しなければならない。
5.4.7
プロセスは,管理下に置き,あらかじめ定めた要求事項に適合する製品を一貫して生産できなけれ
ばならない。
5.5
プロセスバリデーションの正式承認
5.5.1
バリデーションプログラムの最終段階として,プロセスバリデーション結果の審査及び承認を実施
し,文書化しなければならない。
5.5.2
文書は,全てのプロトコル及び結果を要約及び引用し,プロセスバリデーションに関する結論を明
記しなければならない。
5.6
プロセス管理及び監視
5.6.1
日常作業中に包装プロセスが管理下にあり,かつ,確立した管理値内にあることを保証するための
手順を確立しなければならない。
5.6.2
重要な工程管理項目は,日常的に監視し,その手順を文書化しなければならない。
5.7
プロセスの変更及び再バリデーション
5.7.1
包装及びシールプロセスに関する文書は,変更の文書化,検証,及び承認に関して変更管理手順に
よって取り扱わなければならない。
5.7.2
初期バリデーションを毀損し,滅菌医療機器の無菌性,安全性又は有効性に影響する変更を,装置,
製品,包装材料又は製造プロセスについて行う場合は,プロセスの再バリデーションを行わなければなら
ない。
注記 バリデーション済みプロセスの状態に影響を与えることがある変更のリストの例を,次に示す。
− 工程管理項目に影響を与えることのある原材料の変更
− 新しい部品が装置に据え付けられた場合
− ある施設又は場所から別のところへのプロセス及び/又は装置の移動
− 滅菌プロセスの変更
− 品質又はプロセス管理指標における悪化傾向
5.7.3
再バリデーションの必要性を評価して,文書化しなければならない。初期バリデーションの全ての
8
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側面を繰り返す必要がない状況の場合は,この再バリデーションは,変更箇所に限定してもよい。
5.7.4
複数の小さな変更が重なると,プロセスのバリデーション状態に影響を与えることがあるため,定
期的な再バリデーション又は再審査をすることが望ましい。
6
包装システムの組立
6.1
無菌バリアシステムは,医療機器に対して汚染によるリスクを最小限にするために,適切な環境条
件下で組み立てなければならない。
6.2
包装システムの組立プロセスは,誤ったラベル表示を防止するために,管理されたラベル表示及び
処理手順に従わなければならない。
注記 追加的な手引きについては,DIN 58953-7及びDIN 58953-8参照。
6.3
包装システムは,あらかじめ定めた滅菌プロセスで無菌性を保証する,バリデーションされたプロ
セスに基づいた指示に従って組立及び充塡をしなければならない。これらの指示は,内容物,内容物の配
置,全質量,内側ラッピング,緩衝材などを含むことが望ましい。
7
再使用可能無菌バリアシステムの使用
箇条6に規定した要求事項に加えて,JIS T 0841-1の5.1.10及び5.1.11に規定する,使用のための指示
及び制限事項に従わなければならない(例えば,組立,分解,保守,修理,保管)。
注記 再使用可能なコンテナの追加的な手引きについては,EN 868-8及びDIN 58953-9を参照。再使
用可能布の追加的な手引きについては,EN 13795-1及びANSI/AAMI ST65を参照。
8
無菌流体経路包装
8.1
無菌流体経路構成要素及びクロージャの組立は,箇条5及び箇条6の要求事項を満たさなければな
らない。
8.2
“無菌流体経路(sterile fluid-path)”とラベル表示した医療機器は,機器とクロージャとを組み合わ
せた構造で流体経路の無菌性を維持しなければならない。
注記1 微生物バリア特性及び無菌バリアシステムの完全性に関する要求事項は,JIS T 0841-1で規
定している。これらの要求事項は,機器自体に適用する。
注記2 この規格の要求事項の解釈では,機器及びクロージャは無菌バリアシステムを構成する。
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附属書A
(参考)
プロセス開発
プロセス開発
プロセス開発は,正式にはプロセスバリデーションの一環ではないが,成形及びシールの不可欠な部分
として考慮することが望ましい。プロセス開発及びプロセス設計には,重要な管理項目並びにその使用範
囲,設定値及び許容差を明らかにし,評価するための査定が必要である。
プロセス評価は,適切かつ必要な処理範囲の上限及び下限,並びに予測する通常使用条件を確立するた
めに実施する。これらのプロセス限界は,故障又は限界条件から確実に排除することが望ましい。一つの
方法として,最適プロセスの選定のときに助けとなるシール強度・温度曲線を作成することもできる。
プロセスに最大の影響をもつ潜在的故障モード及び対策レベルを明らかにして,それらに取り組むこと
が望ましい(故障モード影響分析,原因・結果分析)。
プロセスを最適化するためのスクリーニング実験などの,統計学的に有効な方法及び統計学的に設計し
た実験を用いることが望ましい。
評価する重要な管理項目には,次の事項を含めてもよいがこれらに限らない。
− 温度
− 変化率を含む加圧・減圧(真空)
− 滞留時間(ライン速度)
− エネルギーレベル・周波数(無線周波数・超音波)
− 蓋(リッド)及びキャップのクロージャシステムのトルク限界値
選択した重要な管理項目は,正常な管理下で,あらかじめ定めた設計仕様を満たす無菌バリアシステム
及び包装システムの製造プロセスを生み出す。
注記 クロージャとは,無菌バリアシステムを閉鎖するために用いる手段をいう。例えば,無菌バリ
アシステムでは,再使用可能なコンテナのガスケットによるか,又は曲線経路を作るための繰
返しの折畳みによって閉鎖することができる(JIS T 0841-1参照)。
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T 0841-2:2019 (ISO 11607-2:2006,Amd.1:2014)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
参考文献
[1] JIS P 8110 紙及び板紙−平均品質を測定するためのサンプリング方法
注記 対応国際規格:ISO 186:2002,Paper and board−Sampling to determine average quality
[2] JIS Q 9000:2006 品質マネジメントシステム−基本及び用語
注記 対応国際規格:ISO 9000:2005,Quality management systems−Fundamentals and vocabulary
なお,ISO 9000は,ISO 9000:2015が最新である。
[3] JIS Q 9001 品質マネジメントシステム−要求事項
注記 ISO 9001:2008,Quality management systems−Requirements
なお,ISO 9001は,ISO 9001:2015が最新である。
[4] JIS Q 13485 医療機器−品質マネジメントシステム−規制目的のための要求事項
注記 対応国際規格:ISO 13485:2003,Medical devices−Quality management systems−Requirements for
regulatory purposes
なお,ISO 13485は,ISO 13485:2016が最新である。
[5] JIS Z 9015-1 計数値検査に対する抜取検査手順−第1部:ロットごとの検査に対するAQL指標型抜
取検査方式
注記 対応国際規格:ISO 2859-1:1999,Sampling procedures for inspection by attributes−Part 1:
Sampling schemes indexed by acceptance quality limit (AQL) for lot-by-lot inspection,Corrigendum
1:2001及びAmendment 1:2011
[6] ISO/TS 11139:2006,Sterilization of health care products−Vocabulary
[7] EN 868-5:2009,Packaging for terminally sterilized medical devices−Part 5: Sealable pouches and reels of
porous materials and plastic film construction−Requirements and test methods
[8] EN 868-6:2009,Packaging for terminally sterilized medical devices−Part 6: Paper for low temperature
sterilization processes−Requirements and test methods
[9] EN 868-8:2009,Packaging for terminally sterilized medical devices−Part 8: Re-usable sterilization containers
for steam sterilizers conforming to EN 285−Requirements and test methods
[10] EN 13795-1+A1:2009,Surgical drapes, gowns and clean air suits, used as medical devices, for patients,
clinical staff and equipment−Part 1: General requirements for manufacturers, processors and products
[11] ANSI/AAMI ST65:2008,Processing of reusable surgical textiles for use in health care facilities
[12] DIN 58953-7:2010,Sterilization−Sterile supply−Part 7: Use of sterilization paper, nonwoven wrapping
material, textile materials, paper bags and sealable pouches and reels
[13] DIN 58953-8:2010,Sterilization−Sterile supply−Part 8: Logistics of sterile medical devices
[14] DIN 58953-9:2010,Sterilization−Sterile supply−Part 9: Use of sterilization container
[15] GHTF Study Group 3, Process validation guidance for medical device manufacturers
[16] International Vocabulary of Basic and General Terms in Metrology: 1993, BIPM, IEC, IFCC, ISO, IUPAC,
IUPAP, OIML