T 0601-1
:2012
(1)
目 次
ページ
序文
1
1
適用範囲,目的及び関連規格
1
1.1
適用範囲
1
1.2
目的
2
1.3
副通則
2
1.4
個別規格
2
2
引用規格
2
3
用語及び定義
8
4
一般要求事項
27
4.1
ME 機器又は ME システムへの適用のための条件
27
4.2
ME 機器又は ME システムのためのリスクマネジメントプロセス
27
4.3
基本性能
28
4.4
予測耐用期間
28
4.5
ME 機器又は ME システムと同等な安全性
28
4.6
患者が接触する ME 機器又は ME システムの部分
28
4.7
ME 機器の単一故障状態
28
4.8
ME 機器の部品
29
4.9
ME 機器における高信頼性部品の使用
31
4.10
電源
31
4.11
電源入力
31
5
ME 機器の試験に対する一般要求事項
32
5.1
形式試験
32
5.2
サンプルの数
32
5.3
周囲温度,湿度及び気圧
32
5.4
その他の条件
32
5.5
供給電圧,電流の種類,電源の特性及び周波数
33
5.6
修理及び改良
33
5.7
湿度前処理
33
5.8
試験の順序
34
5.9
装着部及び接触可能部分の決定
34
6
ME 機器及び ME システムの分類
36
6.1
一般
36
6.2
電撃に対する保護
36
6.3
水の有害な浸入又は微粒子状物質の有害な侵入に対する保護
37
6.4
滅菌の方法
37
T 0601-1
:2012 目次
(2)
ページ
6.5
高酸素濃度雰囲気での使用の適性
37
6.6
作動モード
37
7
ME 機器の標識,表示及び文書
37
7.1
一般
37
7.2
ME 機器又は ME 機器の部分の外側の表示(表 C.1 も参照)
38
7.3
ME 機器又は ME 機器の部分の内側の表示(表 C.2 も参照)
41
7.4
制御及び計器の表示(表 C.3 も参照)
42
7.5
安全標識
44
7.6
記号
45
7.7
導線の絶縁被覆の色
45
7.8
表示光及び制御
46
7.9
附属文書
46
8
ME 機器の電気的ハザードに関する保護
51
8.1
電撃に対する保護の基本規則
51
8.2
電源に対する要求事項
52
8.3
装着部の分類
52
8.4
電圧,電流又はエネルギーの制限
53
8.5
分離
55
8.6
ME 機器の保護接地,機能接地及び等電位化
63
8.7
漏れ電流及び患者測定電流
65
8.8
絶縁
81
8.9
沿面距離及び空間距離
86
8.10
部品及び配線
97
8.11
電源部,部品及び配置
99
9
ME 機器及び ME システムの機械的ハザードに関する保護
104
9.1
ME 機器の機械的ハザード
104
9.2
動く部分に関わるハザード
104
9.3
表面,角及び縁に関わるハザード
109
9.4
不安定性に関わるハザード
109
9.5
飛散物に関わるハザード
113
9.6
音響エネルギー(超低周波音及び超音波を含む)及び振動
114
9.7
圧力容器及び空気圧又は水圧(油圧)を受ける部分
115
9.8
支持機構に関わるハザード
117
10
不要又は過度の放射のハザードに関する保護
122
10.1
X 線放射
122
10.2
アルファ線,ベータ線,ガンマ線,中性子線及びその他の粒子線
123
10.3
マイクロ波放射線
123
10.4
レーザ及び発光ダイオード(LED)
123
10.5
他の可視の電磁放射線
123
T 0601-1
:2012 目次
(3)
ページ
10.6
赤外線
123
10.7
紫外線
123
11
過度の温度及び他のハザードに関する保護
124
11.1
ME 機器の過度の温度
124
11.2
火事の防止
127
11.3
ME 機器の防火用外装に対する構造上の要求事項
132
11.4
可燃性麻酔剤が使われる環境での使用を意図する ME 機器及び ME システム
134
11.5
可燃性の薬品とともに使用することを意図する ME 機器及び ME システム
134
11.6
あふれ,こぼれ,漏れ,水の浸入又は微粒子状物質の侵入,清掃,消毒,滅菌,及び
ME 機器とともに使用する物質との適合性
134
11.7
ME 機器及び ME システムの生体適合性
136
11.8
ME 機器への電源供給又は電源(商用)の中断
136
12
制御及び計器の精度並びに危険な出力に対する保護
136
12.1
制御及び計器の精度
136
12.2
ユーザビリティ
136
12.3
アラームシステム
137
12.4
危険な出力に対する保護
137
13
危険状態及び故障状態
138
13.1
特定の危険状態
138
13.2
単一故障状態
139
14
プログラマブル電気医用システム(PEMS)
144
14.1
一般
144
14.2
文書化
144
14.3
リスクマネジメント計画
144
14.4
PEMS 開発ライフサイクル
144
14.5
問題解決
145
14.6
リスクマネジメントプロセス
145
14.7
要求仕様
146
14.8
アーキテクチャ
146
14.9
設計及び実装
146
14.10
検証
147
14.11
PEMS 妥当性確認
147
14.12
変更管理
147
14.13
ネットワーク・データ結合による PEMS の他の機器への接続
147
15
ME 機器の構造
148
15.1
ME 機器の制御器及び表示器の配置
148
15.2
サービス性
148
15.3
機械的強度
148
15.4
ME 機器の部品及び組立一般
152
T 0601-1
:2012 目次
(4)
ページ
15.5
ME 機器の電源変圧器及び 8.5 に従った分離を備えたその他の変圧器
156
16
ME システム
159
16.1
ME システムに対する一般要求事項
159
16.2
ME システムの附属文書
160
16.3
電源
161
16.4
外装
161
16.5
分離装置
161
16.6
漏れ電流
162
16.7
機械的ハザードに関する保護
163
16.8
ME システムの部分への電源供給の中断
163
16.9
ME システムの接続及び配線
163
17
ME 機器及び ME システムの電磁両立性
165
附属書 A(参考)指針及び根拠
166
附属書 B(参考)試験の順序
259
附属書 C(参考)ME 機器及び ME システムの表示及びラベリングに対する要求事項の指針
263
附属書 D(参考)表示における図記号
266
附属書 E(参考)患者漏れ電流及び患者測定電流の測定用器具(MD)の接続の例
273
附属書 F(参考)適切な測定用電源回路
276
附属書 G(規定)可燃性麻酔剤の発火を引き起こすハザードに関する保護
279
附属書 H(参考)PEMS 構造,PEMS 開発ライフサイクル及び文書化
294
附属書 I(参考)ME システム概要
307
附属書 J(参考)絶縁経路の調査
312
附属書 K(参考)簡略化した患者漏れ電流回路図
315
附属書 L(規定)介在物絶縁なしで用いる絶縁巻線ワイヤ
318
参考文献
321
附属書 JA(参考)定義した用語の索引
324
附属書 JB(参考)この規格で使われている略語及び頭文字の索引
328
附属書 JC(参考)JIS と対応国際規格との対比表
329
T 0601-1
:2012 目次
(5)
まえがき
この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,一般社団法人電子
情報技術産業協会(JEITA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日
本工業標準調査会の審議を経て,厚生労働大臣及び経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS T 0601-1:1999 は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。厚生労働大臣,経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の
特許出願及び実用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
T 0601-1
:2012
日本工業規格
JIS
T
0601-1
:2012
医用電気機器−第 1 部:基礎安全及び
基本性能に関する一般要求事項
Medical electrical equipment-
Part 1: General requirements for basic safety and essential performance
序文
この規格は,2005 年に第 3 版として発行された IEC 60601-1 を基とし,我が国の事情などを考慮し,技
術的内容を変更して作成した日本工業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,
附属書 JC に示す。
この規格で箇条,細分箇条などにアスタリスク(*)がある箇所は,その根拠についての説明を
附属書 A
に記載している。
この規格の本文中の太字は,この規格の箇条 3 で定義した用語である。この規格で定義した用語を,太
字で表記していない場合,定義は適用せず,意味は文脈にそって解釈する。
1
適用範囲,目的及び関連規格
1.1
*適用範囲
この規格は,
医用電気機器(以下,ME 機器という。)及び医用電気システム(以下,ME システムとい
う。
)の
基礎安全及び基本性能について適用する。
ある箇条又は細分箇条が ME
機器だけか又は ME システムだけに限定して適用することを意図している
場合は,それらの表題及び内容にその旨を記載している。その記載がない場合には,その箇条又は細分箇
条は,ME
機器及び ME システムの両方に適用する。
この規格が適用する ME
機器又は ME システムの意図する生理学的機能に関係するハザードは,7.2.13
及び 8.4.1 を除いて,取り扱わない。
注記 1 4.2 参照。
この規格は,疾病,負傷又は障害の補助若しくは緩和に使用する機器にも適用できる。
ME
機器の定義に当てはまらない体外診断機器は,IEC 61010 規格群で扱う。この規格は,ISO 14708-1
規格群で扱う能動植込形医療機器の植込み部分には適用しない。
注記 2 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
IEC 60601-1:2005
,Medical electrical equipment−Part 1: General requirements for basic safety and
essential performance(MOD)
なお,対応の程度を表す記号 MOD は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき, 修正している
ことを示す。
なお,平成 29 年 5 月 31 日まで JIS T 0601-1:1999 は適用することができる。
2
T 0601-1
:2012
1.2
目的
この規格の目的は,一般要求事項を規定し,個別規格に対する基礎を与えることである。
1.3
*副通則
この規格の副通則は,次の ME
機器の基礎安全及び基本性能に関する一般要求事項を規定する。
− ME
機器の一部のグループ(例えば,放射線機器)。
− この規格で完全には取り扱っていない全ての ME
機器の固有の特性。
適用可能な副通則は,それらの発行日,制定日又は改正日から規定となり,この規格と併せて適用する。
注記 1 この規格への適合性を評価する場合,副通則への適合性を独立して評価することは,許され
る。
注記 2 この規格への適合を宣言する場合は,適用した副通則を特定して示すことが望ましい。これ
によって,どの副通則を評価に用いたか宣言書を読む人が理解できるようになる。
注記 3 IEC の加盟機関は,有効な国際規格の登録簿を維持している。この規格の使用者は,どのよ
うな副通則が発行されているかを判断するためにこの登録簿を調べるのがよい。我が国にお
いては,対応日本工業規格も調べることが必要である。
個別規格が存在する ME
機器に副通則を適用する場合は,個別規格が,副通則に優先する。
1.4
*個別規格
この規格の規格群において,ME 機器の個別規格では,該当する場合は,この規格で規定する要求事項
の修正,置換え又は削除をしてもよい。また,その他の基礎安全及び基本性能に関する要求事項を加えて
もよい。
注記 IEC 及び ISO の加盟機関は,有効な国際規格の登録簿を維持している。この規格の使用者は,
どのような個別規格が発行されているかを判断するためにこれらの登録簿を調べるのがよい。
我が国においては,対応日本工業規格も調べることが必要である。
個別規格の要求事項は,この規格に優先する。
2
*引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。
)
は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。
)を適用する。
この規格の改正後に制定又は改正されるこの規格に対する新たな副通則は,それらの制定日又は改正日
から規定となる。それらの副通則は,次の引用規格に含まれるとみなす(1.3 参照)
。
注記 参考文献は,この規格の末尾に記載した。
JIS B 7761-3
手腕系振動−第 3 部:測定及び評価に関する一般要求事項
注記 対応国際規格:ISO 5349-1,Mechanical vibration−Measurement and evaluation of human exposure
to hand-transmitted vibration−Part 1: General requirements(IDT)
JIS B 9707
機械類の安全性−危険区域に上肢が到達することを防止するための安全距離
注記 対応国際規格:ISO 13852,Safety of machinery−Safety distances to prevent danger zones being
reached by the upper limbs(IDT)
JIS B 9711
機械類の安全性−人体部位が押しつぶされることを回避するための最小すきま
注記 対応国際規格:ISO 13854,Safety of machinery−Minimum gaps to avoid crushing of parts of the
human body(IDT)
3
T 0601-1
:2012
なお,IEC 60601-1:2005 では,ISO 13852,Safety of machinery−Safety distances to prevent danger
zones being reached by the upper limbs を引用規格としていたが,この規格は,上肢,手のひら
及び指が危険な領域に到達する距離を規定した規格であり,つぶされることを防止する幅を
規定した規格ではない。
JIS C 0445
文字数字の表記に関する一般則を含む機器の端子及び識別指定された電線端末の識別法
注記 対応国際規格:IEC 60445,Basic and safety principles for man-machine interface, marking and
identification−Identification of equipment terminals and of terminations of certain designated
conductors, including general rules for an alphanumeric system(IDT)
JIS C 0447
マンマシンインタフェース(MMI)−操作の基準
注記 対応国際規格:IEC 60447,Basic and safety principles for man-machine interface, marking and
identification−Actuating principles(IDT)
JIS C 0920:2003
電気機械器具の外郭による保護等級(IP コード)
注記 1
対応国際規格:IEC 60529:2001,Degrees of protection provided by enclosures (IP Code)(IDT)
注記 2 IEC 60601-1: 2005 では,IEC 60529:1989 及び Amendment 1:1999 を引用規格としているが,
現在は 2001 年に発行された 2.1 版なので,その対応日本工業規格を引用規格とした。
JIS C 1509-1
電気音響−サウンドレベルメータ(騒音計)−第 1 部:仕様
注記 対応国際規格:IEC 61672-1,Electroacoustics−Sound level meters−Part 1: Specifications(IDT)
JIS C 1509-2
電気音響−サウンドレベルメータ(騒音計)−第 2 部:型式評価試験
注記 対応国際規格:IEC 61672-2,Electroacoustics−Sound level meters−Part 2: Pattern evaluation tests
(IDT)
JIS C 2134
固体絶縁材料の保証及び比較トラッキング指数の測定方法
注記 対応国際規格:IEC 60112,Method for the determination of the proof and the comparative tracking
indices of solid insulating materials(IDT)
JIS C 3301:2000
ゴムコード
注記 対応国際規格:IEC 60245-4:1994,Rubber insulated cables of rated voltages up to and including
450/750 V−Part 4: Cords and flexible cables,Amendment 1:1997(NEQ)
JIS C 3306:2000
ビニルコード
注記 対応国際規格:IEC 60227-5:1997,Polyvinyl chloride insulated cables of rated voltages up to and
including 450/750 V−Part 5: Flexible cables (cords)(NEQ)
JIS C 4003
電気絶縁−熱的耐久性評価及び呼び方
注記 対応国際規格:IEC 60085,Electrical insulation−Thermal evaluation and designation(MOD)
JIS C 5101-14:2009
電子機器用固定コンデンサ−第 14 部:品種別通則:電源用電磁障害防止固定コ
ンデンサ
注記 対応国際規格:IEC 60384-14:2005,Fixed capacitors for use in electronic equipment−Part 14:
Sectional specification: Fixed capacitors for electromagnetic interference suppression and connection
to the supply mains(IDT)
JIS C 6065:2007
オーディオ,ビデオ及び類似の電子機器−安全性要求事項
注記 対 応 国 際 規 格 : IEC 60065:2001 , Audio, video and similar electronic apparatus − Safety
requirements(MOD)
JIS C 6802:2005
レーザ製品の安全基準
4
T 0601-1
:2012
注記 対応国際規格:IEC 60825-1:1993,Safety of laser products−Part 1: Equipment classification,
requirements and user's guide,Amendment 1:1997 及び Amendment 2 :2001(IDT)
JIS C 6965
ブラウン管の機械的安全性
注記 対応国際規格:IEC 61965,Mechanical safety of cathode ray tubes(IDT)
JIS C 8282-1
家庭用及びこれに類する用途のプラグ及びコンセント−第 1 部:一般要求事項
注記 対応国際規格:IEC 60884-1,Plugs and socket-outlets for household and similar purposes−Part 1:
General requirements(MOD)
JIS C 8303
配線用差込接続器
注記 対応国際規格:なし。IEC 60601-1:2005 の引用規格 IEC 60083,Plugs and socket-outlets for
domestic and similar general use standardized in member countries of IEC に相当する引用規格と
して採用した。JIS T 1021 [55]も参照。
JIS C 60068-2-2:1995
環境試験方法−電気・電子−高温(耐熱性)−試験方法
注記 対応国際規格:IEC 60068-2-2:1974,Environmental testing−Part 2: Tests. Tests B: Dry heat,
Amendment 1:1993 及び Amendment 2:1994(IDT)
JIS C 60079-0
爆発性雰囲気−第 0 部:電気機器−一般要件
注記 対応国際規格:IEC 60079-0,Electrical apparatus for explosive gas atmospheres−Part 0: General
requirements(IDT)
JIS C 60079-2
爆発性雰囲気で使用する電気機械器具−第 2 部:内圧防爆構造
p
注記 対 応 国 際規格 : IEC 60079-2 , Electrical apparatus for explosive gas atmospheres− Part 2:
Pressurized enclosures “p”(IDT)
JIS C 60079-6
爆発性雰囲気で使用する電気機械器具−第 6 部:油入防爆構造
o
注記 対 応 国 際規格 : IEC 60079-6 , Electrical apparatus for explosive gas atmospheres− Part 6:
Oil-immersion “o”(IDT)
JIS C 60364-4-41
低圧電気設備−第 4-41 部:安全保護−感電保護
注記 対応国際規格:IEC 60364-4-41,Electrical installations of buildings−Part 4-41: Protection for
safety−Protection against electric shock(IDT)
JIS C 60664-1:2009
低圧系統内機器の絶縁協調−第 1 部:基本原則,要求事項及び試験
注記 1
対応国際規格:IEC 60664-1:2007,Insulation coordination for equipment within low-voltage
systems−Part 1: Principles, requirements and tests(IDT)
注記 2 IEC 60601-1:2005 では,IEC 60664-1:1992,Amendment 1:2000 及び Amendment 2:2002 を引
用規格としているが,これに対応する JIS がないので,最新の国際規格に対応した JIS を
引用規格とした。
JIS C 60695-11-10
耐火性試験−電気・電子−第 11-10 部:試験炎−50 W 試験炎による水平及び垂直
燃焼試験方法
注記 対応国際規格:IEC 60695-11-10,Fire hazard testing−Part 11-10: Test flames−50 W horizontal
and vertical flame test methods(IDT)
JIS T 0307
医療機器−医療機器のラベル,ラベリング及び供給される情報に用いる図記号
注記 対応国際規格:ISO 15223,Medical devices−Symbols to be used with medical device labels,
labelling and information to be supplied(IDT)
JIS T 0601-1-3
医用電気機器−第 1 部:安全に関する一般的要求事項−第 3 節:副通則−診断用 X 線
5
T 0601-1
:2012
装置における放射線防護に関する一般的要求事項
注記 対応国際規格:IEC 60601-1-3,Medical electrical equipment−Part 1: General requirements for
safety−3. Collateral standard: General requirements for radiation protection in diagnostic X-ray
equipment(IDT)
JIS T 14971:2003
医療機器−リスクマネジメントの医療機器への適用
注記 対応国際規格:ISO 14971:2000,Medical devices−Application of risk management to medical
devices(IDT)
JIS Z 8202
規格群 量及び単位
注記 上記 JIS Z 8202 規格群の対応国際規格:ISO 31 (all parts),Quantities and units(IDT)
JIS Z 8203
国際単位系(SI)及びその使い方
注記 対応国際規格:ISO 1000,SI units and recommendations for the use of their multiples and of certain
other units(IDT)
JIS Z 8736-1
音響−音響インテンシティによる騒音源の音響パワーレベルの測定方法−第 1 部:離散
点による測定
注記 対応国際規格:ISO 9614-1,Acoustics−Determination of sound power levels of noise sources using
sound intensity−Part 1: Measurement at discrete points(IDT)
JIS Z 9101:2005
安全色及び安全標識−産業環境及び案内用安全標識のデザイン通則
注記 対応国際規格:ISO 3864-1:2002,Graphical symbols−Safety colours and safety signs−Part 1:
Design principles for safety signs in workplaces and public areas(IDT)
ISO 780
,Packaging−Pictorial marking for handling of goods
注記 対応日本工業規格:JIS Z 0150 包装−包装貨物の荷扱い指示マーク(MOD)
ISO 1853
,Conducting and dissipative rubbers, vulcanized or thermoplastic−Measurement of resistivity
注記 対応日本工業規格:JIS K 6271 加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−体積抵抗率及び表面抵抗率の
求め方(MOD)
ISO 2878
,Rubber−Antistatic and conductive products−Determination of electrical resistance
ISO 2882
,Rubber, vulcanized−Antistatic and conductive products for hospital use−Electrical resistance
limits
ISO 3746
,Acoustics−Determination of sound power levels of noise sources using sound pressure−Survey
method using an enveloping measurement surface over a reflecting plane
ISO 7000-DB:2004
,Graphical symbols for use on equipment−Index and synopsis
注記
DB とは合同 ISO-IEC オンラインデータベースを指す。
ISO 7010:2003
,Graphical symbols−Safety colours and safety signs−Safety signs used in workplaces and
public areas
ISO 10993 (all parts)
,Biological evaluation of medical devices
注記 対応日本工業規格:JIS T 0993-1 医療機器の生物学的評価−第 1 部:リスクマネジメントプ
ロセスにおける評価及び試験(MOD)
。ただし,この規格群で第 1 部及び第 7 部(エチレン
オキサイド滅菌残留物)を除きその他の部の JIS は,制定されていない。
ISO 11134
,Sterilization of health care products−Requirements for validation and routine control−Industrial
moist heat sterilization
注記 対応日本工業規格:現時点で相当する JIS とその対応国際規格として次がある。
6
T 0601-1
:2012
JIS T 0816-1:2010
ヘルスケア製品の滅菌−湿熱−第 1 部:医療機器の滅菌プロセスの開発,
バリデーション及び日常管理の要求事項
ISO 17665-1:2006
,Sterilization of health care products−Moist heat−Part 1: Requirements for the
development, validation and routine control of a sterilization process for medical devices(IDT)
ISO 11135
,Medical devices−Validation and routine control of ethylene oxide sterilization
注記 対応日本工業規格:現時点で相当する JIS とその対応国際規格として次がある。
JIS T 0801-1:2010
ヘルスケア製品の滅菌−エチレンオキサイド−第 1 部:医療機器の滅菌
プロセスの開発,バリデーション及び日常管理の要求事項
ISO 11135-1:2007
,Sterilization of health care products−Ethylene oxide−Part 1: Requirements for
development, validation and routine control of a sterilization process for medical devices(IDT)
ISO 11137
,Sterilization of health care products−Requirements for validation and routine control−Radiation
sterilization
注記 対応日本工業規格:現時点で相当する JIS とその対応国際規格として次がある。
JIS T 0806-1:2010
ヘルスケア製品の滅菌−放射線−第 1 部:医療機器の滅菌プロセスの開
発,バリデーション及び日常管理の要求事項
ISO 11137-1:2006
,Sterilization of health care products−Radiation−Part 1: Requirements for
development, validation and routine control of a sterilization process for medical devices(IDT)
ISO 23529
,Rubber−General procedures for preparing and conditioning test pieces for physical test methods
注記 対応日本工業規格:JIS K 6250 ゴム−物理試験方法通則(MOD)
IEC 60079-5
,Explosive gas atmospheres−Part 5: Equipment protection by powder filling “q”
IEC/TR 60083
,Plugs and socket-outlets for domestic and similar general use standardized in member countries
of IEC
IEC 60086-4
,Primary batteries−Part 4: Safety of lithium batteries
注記 対応日本工業規格:JIS C 8513 リチウム一次電池の安全性(MOD)
IEC 60127-1
,Miniature fuses−Part 1: Definitions for miniature fuses and general requirements for miniature
fuse-links
注記 対応日本工業規格:JIS C 6575-1 ミニチュアヒューズ−第 1 部:ミニチュアヒューズに関
する用語及びミニチュアヒューズリンクに対する通則(MOD)
IEC 60227-1:1993
,Polyvinyl chloride insulated cables of rated voltages up to and including 450/750 V−Part
1: General requirements,Amendment 1:1995 及び Amendment 2:1998
注記 対応日本工業規格:JIS C 3662-1:2009 定格電圧 450/750 V 以下の塩化ビニル絶縁ケーブル
−第 1 部:通則(MOD)
IEC 60245-1:2003
,Rubber insulated cables−Rated voltages up to and including 450/750 V−Part 1: General
requirements
注記 対応日本工業規格:JIS C 3663-1:2007 定格電圧 450/750 V 以下のゴム絶縁ケーブル−第 1
部:一般的要求事項(MOD)
IEC 60252-1
,AC motor capacitors−Part 1: General−Performance, testing and rating−Safety requirements
−Guide for installation and operation
IEC 60320-1
,Appliance couplers for household and similar general purposes−Part 1: General requirements
注記 対応日本工業規格:JIS C 8283-1 家庭用及びこれに類する用途の機器用カプラ−第 1 部:
7
T 0601-1
:2012
一般要求事項(MOD)
IEC 60335-1:2001
,Household and similar electrical appliances−Safety−Part 1: General requirements
注記 対応日本工業規格:JIS C 9335-1:2003 家庭用及びこれに類する電気機器の安全性−第 1
部:一般要求事項(MOD)
IEC 60417-DB:2002
,Graphical symbols for use on equipment
注記 DB(データベース)とは,ISO-IEC のオンラインで入手できるシステムである。
IEC 60601-1-2
,Medical electrical equipment−Part 1-2: General requirements for basic safety and essential
performance−Collateral standard: Electromagnetic compatibility−Requirements and tests
注記 1 現行の対応日本工業規格 JIS T 0601-1-2:2012 医用電気機器−第 1-2 部:安全に関する一
般的要求事項−電磁両立性−要求事項及び試験
は,IEC 60601-1-2:2001 及び Amendment
1:2004 に対応した JIS である。
注記 2 諸外国では現時点,IEC 60601-1-2 Ed2.1:2004,及び同内容で IEC 60601-1:2005 の構成に対
応した IEC 60601-1-2 Ed3:2007 が用いられている。
IEC 60601-1-6
,Medical electrical equipment−Part 1-6: General requirements for basic safety and essential
performance−Collateral standard: Usability
注記 対応する国際規格として IEC 62336 を適用してもよい。
IEC 60601-1-8
,Medical electrical equipment−Part 1-8: General requirements for basic safety and essential
performance−Collateral standard: General requirements, tests and guidance for alarm systems in medical
electrical equipment and medical electrical systems
注記 対応日本工業規格:現在,原案作成中。
IEC 60730-1:1999
,Automatic electrical controls for household and similar use−Part 1: General requirements,
Amendment 1:2003 及び Amendment 2:2007
注記 対応日本工業規格:JIS C 9730-1:2010 家庭用及びこれに類する用途の自動電気制御装置−
第 1 部:一般要求事項(MOD)
IEC 60851-3:1996
,Winding wires−Test methods−Part 3: Mechanical properties,Amendment 1:1997 及び
Amendment 2:2003
IEC 60851-5:1996
,Winding wires−Test methods−Part 5: Electrical properties,Amendment 1:1997 及び
Amendment 2:2004
IEC 60851-6:1996
,Winding wires−Test methods−Part 6: Thermal properties 及び Amendment 1:1997
IEC 60878:2003
,Graphical symbols for electrical equipment in medical practice
IEC 60884-1
,Plugs and socket-outlets for household and similar purposes−Part 1: General requirements
IEC 60950-1:2001
,Information technology equipment−Safety−Part 1: General requirements
注記 対応日本工業規格:JIS C 6950-1:2009 情報技術機器−安全性−第 1 部:一般要求事項(MOD)
IEC 61058-1:2000
,Switches for appliances−Part 1: General requirements 及び Amendment 1:2001
注記 対応日本工業規格:JIS C 4526-1:2005 機器用スイッチ−第 1 部:一般要求事項(MOD)
IEC 61558-1:1997
,Safety of power transformers, power supply units and similar products−Part 1: General
requirements and tests 及び Amendment 1:1998
注記 対応日本工業規格は,制定されていないが,IEC 61558-1:2005 の対応日本工業規格としては,
JIS C 61558-1:2008
変圧器,電源装置,リアクトル及びこれに類する装置の安全性−第 1 部:
通則及び試験(MOD)がある。
8
T 0601-1
:2012
IEC 61558-2-1
,Safety of power transformers, power supplies, reactors and similar products−Part 2-1:
Particular requirements and tests for separating transformers and power supplies incorporating separating
transformers for general applications
注記 対応日本工業規格:JIS C 61558-2-1 変圧器,電源装置,リアクトル及びこれに類する装置
の安全性−第 2-1 部:一般用の複巻変圧器及び複巻変圧器を組み込んだ電源装置の個別要求
事項及び試験(MOD)
3
*用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
注記 1
電圧
及び
電流
という用語をこの規格で用いている場合は,特に規定がない限り,そ
れらは,交流,直流又は合成の電圧及び電流の実効値を意味している。
注記 2
電気機器
という用語は,ME
機器(3.63 参照)又は他の電気機器を意味するために使用
している。この規格は,ME
システム(3.64 参照)の文脈において
機器
という用語を
ME
機器又は他の電気機器若しくは非電気機器を意味するために使用している。
注記 3 附属書 JA に,索引を記載した。
3.1
開閉カバー(ACCESS COVER)
調節,検査,交換又は修理の目的で電気機器の部分に接近できるように設けた
外装又はガードの一部。
3.2
接触可能部分(ACCESSIBLE PART)
標準テストフィンガによって接触できる,
装着部以外の電気機器の一部。
注記 5.9.2.1 参照
3.3
附属品(ACCESSORY)
次のいずれかの目的で,機器と併用する付加的な部品。
−
意図する使用を可能にする。
− 特別な用途に使えるようにする。
− 使いやすくする。
− その性能を高める。
− 機器の機能を他の機器の機能と統合できるようにする。
(IEC 60788:2004 修正)
3.4
附属文書(ACCOMPANYING DOCUMENT)
ME
機器,ME システム,機器又は附属品に附属し,責任部門又は操作者のために,特に基礎安全及び
基本性能に関する情報を記載した文書。
3.5
空間距離(AIR CLEARANCE)
二つの導電性部分間の空気中の最短距離。
注記 JIS C 60664-1,定義 3.2 参照
9
T 0601-1
:2012
3.6
電源接続器(APPLIANCE COUPLER)
電源コネクタ及び機器電源ソケットの二つの部品で構成し,工具を使わないで可とう(撓)コードを電
気機器に接続することができる器具。
注記 図 1 参照
3.7
機器電源ソケット(APPLIANCE INLET)
電気機器に組み込むか又は
固定した電源接続器の部品。
注記 図 1 及び図 2 参照
3.8
*装着部(APPLIED PART)
正常な使用において,ME 機器又は ME システムの機能を遂行するために,患者と物理的に接触させる
必要がある ME
機器の部分。
注記 1 図 3,図 4 及び図 A.1〜図 A.7 を参照する。
注記 2 装着部の定義に入らないが,リスクマネジメントプロセスを適用した結果,装着部として扱
う必要がある部分の扱いについては,4.6 も参照する。
注記 3 関連する用語 患者接続部 の定義については,3.78 も参照する。
3.9
*基礎絶縁(BASIC INSULATION)
電撃に対する基礎的な保護のために備える絶縁。
(IEV 826-12-14,修正)
注記 1 基礎絶縁は,一つの保護手段である。
注記 2 IEV とは,International Electrotechnical Vocabulary(国際電気標準用語集)である。
10
T 0601-1
:2012
①
電源接続器
②
機器電源ソケット
③
着脱電源コード
④ ME
機器
⑤
固定電源ソケット又は
マルチタップ(MSO)
⑥
電源コネクタ
⑦
電源プラグ
図 1−着脱可能な電源接続
(定義参照)
1
4
11
16
14
10
15
9
2
7
8
18
17
5
3
14
13
12
15
6
14
12
15
2
①
機器電源ソケット(図 1 も参照)
②
患者接続部
③ コンジット
④
着脱電源コード
⑤
外装
⑥
固定配線
⑦
機能接地線
⑧
機能接地端子
⑨
信号入出力部
⑩
電源コネクタ
⑪
電源部
⑫
電源端子盤
⑬
電源コード
⑭
保護接地線
⑮
保護接地端子
⑯
電源プラグ
⑰
等電位化導線
⑱
等電位化導線の接続
図 2−定義した端子及び導線の例
(定義参照)
11
T 0601-1
:2012
M
2
3
9
8
1
4
6
7
11
5
10
13
12
14
① 保護接地接点をもつ
電源プラグ
②
着脱電源コード
③
電源接続器
④ 保護接地接点及びピン
⑤
機能接地端子
⑥
基礎絶縁
⑦
外装
⑧
二次回路
⑨
電源部
⑩
装着部
⑪ モータ
⑫
保護接地したシールド
⑬
補強絶縁
⑭
接触可能部分の軸
図 3−クラス I の ME 機器の例
(定義参照)
M
1
3
4
5
10
2
9
7
4
6
8
8
3
①
電源プラグ
②
電源コード
③
基礎絶縁
④
補強絶縁
⑤
外装
⑥
機能接地端子
⑦
電源部
⑧
装着部
⑨
強化絶縁
⑩ モータ
図 4−金属外装をもつクラス II の ME 機器の例
(定義参照)
3.10
*基礎安全(BASIC SAFETY)
ME
機器を正常状態及び単一故障状態で使用するとき,物理的ハザードに直接起因する受容できないリ
スクがないこと。
3.11
AP
類(CATEGORY AP)
空気・可燃性麻酔ガス内において発火源とならないように,構造,表示及び文書化についてこの規格の
要求事項に適合する ME
機器又は ME 機器の部分の分類。
3.12
APG
類(CATEGORY APG)
酸素又は亜酸化窒素・可燃性麻酔ガス内において発火源とならないように,構造,表示及び文書化につ
いて規格の要求事項に適合する ME
機器又は ME 機器の部分の分類。
②
⑨
⑦
①
③
④
⑤
⑩③④
⑧ ⑥ ⑧
④
⑥
⑦
⑪ ⑬ ⑭
⑫
⑤ ⑩
①
②
③
⑨
⑧
12
T 0601-1
:2012
3.13
クラス I(CLASS I)
電撃に対する保護を
基礎絶縁だけに依存しないで,追加安全策として,金属の接触可能部分又は内部の
金属部分を
保護接地した電気機器を意味する用語。
注記 図 3 参照
3.14
クラス II(CLASS II)
電撃に対する保護を
基礎絶縁だけに依存しないで,二重絶縁又は強化絶縁のような追加安全策を備える
ことによって,保護接地又は設置の条件に依存しない電気機器を意味する用語。
注記 1 図 4 参照
注記 2 クラス II の機器は,機能接地端子又は機能接地線を備えることができる。8.6.8 及び 8.6.9 も
参照。
3.15
明瞭に見える(CLEARLY LEGIBLE)
正常な視力をもった人が読み取れること。
注記 7.1.2 参照
3.16
冷状態(COLD CONDITION)
周囲温度に達するほど十分長い時間,電気機器に電力を供給しない場合に得られる状態。
3.17
*高信頼性部品(COMPONENT WITH HIGH-INTEGRITY CHARACTERISTICS)
予測耐用期間の間に ME 機器が正常な使用又は合理的に予見可能な誤使用において,この規格の安全要
求事項について機能を失わないことを確実にする特性をもった部品。
3.18
*連続作動(運転)(CONTINUOUS OPERATION)
指定した制限温度を超えることなく,時間に制限のない
正常な使用での作動(運転)。
3.19
沿面距離(CREEPAGE DISTANCE)
二つの導電性部分間の絶縁物の表面に沿った最短距離。
(IEV 151-15-50,修正)
3.20
*耐除細動形装着部(DEFIBRILLATION-PROOF APPLIED PART)
患者への除細動器の放電が,他の人へ与える影響に対して保護した装着部。
3.21
*着脱電源コード(DETACHABLE POWER SUPPLY CORD)
電源供給の目的で,適切な
電源接続器によって電気機器への接続を意図する可とうコード。
注記 図 1,図 2 及び図 3 参照
3.22
*心臓への直接使用(DIRECT CARDIAC APPLICATION)
患者の心臓に直接接触することが可能な装着部の使用。
13
T 0601-1
:2012
3.23
*二重絶縁(DOUBLE INSULATION)
基礎絶縁及び補強絶縁の両方で構成した絶縁。
(IEV 195-06-08)
注記 二重絶縁は,二つの保護手段を備える。
3.24
*デューティサイクル(DUTY CYCLE)
ME
機器の安全な作動のために必要な最大作動時間(入)及びそれに続く最小休止時間(切)。
3.25
接地漏れ電流(EARTH LEAKAGE CURRENT)
電源部から,絶縁の内部又は表面を通って保護接地線に流れる電流。
3.26
*外装(ENCLOSURE)
電気機器の外側の表面又はその部分。
注記 この規格に対する試験の目的のために,低導電性の材料又は絶縁材料で作られた外側の表面に,
規定の寸法の金属はく(箔)を接触させることは,
外装の一部とみなす(図 2,図 3 及び図 4
参照)
。
3.27
*基本性能(ESSENTIAL PERFORMANCE)
受容できない
リスクがない状態を達成することが必要な性能。
注記 その性能が欠如又は低下したことによって,受容できないリスクが生じるかどうかを考えてみ
ると,
基本性能が最も容易に理解できる。
3.28
予測耐用期間(EXPECTED SERVICE LIFE)
製造業者が指定した使用可能な最長期間。
3.29
F
形絶縁(浮いた)装着部[F-TYPE ISOLATED (FLOATING) APPLIED PART]
F
形装着部(F-TYPE APPLIED PART)
外部の発生源から意図しない電圧が
患者に接続され,患者接続部と大地との間に電圧が加わったときに,
許容
患者漏れ電流よりも大きい電流が流れないように患者接続部を ME 機器の他の部分から分離した装着
部。
注記 F 形装着部は,BF 形装着部又は CF 形装着部のいずれかである。
3.30
固定形,固定(した)(FIXED)
特定の場所に,恒久的に取り付けるか又は
工具を使わなければ取り外せないように,機械的に又は他の
方法で留めることを意味する用語。
例 1 溶接などで恒久的に取り付ける。
例 2 固定具(ねじ,ナットなど)によって取り付け,工具を使わなければ取外し又は開くことがで
きないようにする。
14
T 0601-1
:2012
3.31
空気・可燃性麻酔ガス(FLAMMABLE ANAESTHETIC MIXTURE WITH AIR)
規定の条件下で発火の可能性がある濃度の
可燃性麻酔ガスと空気との混合物 。
3.32
酸素又は亜酸化窒素・可燃性麻酔ガス(FLAMMABLE ANAESTHETIC MIXTURE WITH OXYGEN OR
NITROUS OXIDE)
規定の条件下で発火の可能性がある濃度の
酸素又は亜酸化窒素と可燃性麻酔ガスとの混合物 。
3.33
*機能接続(FUNCTIONAL CONNECTION)
電気的又はその他の方法で,信号,データ,電力又は物質の伝達を意図する接続。
注記 壁に固定した電源ソケットが単一か複数かにかかわらず,それに接続することは,機能接続で
はない。
3.34
機能接地線(FUNCTIONAL EARTH CONDUCTOR)
機能接地端子に接続する導線。
注記 図 2 参照
3.35
*機能接地端子(FUNCTIONAL EARTH TERMINAL)
機能上の目的で接地することを意図する回路又は遮蔽に直接接続した端子。
注記 図 2,図 3 及び図 4 参照
3.36
ガード(GUARD)
物理的隔壁によって防護するために特に設けた機器の部分。
注記 ガードは,その構造によって,ケーシング,カバー,遮蔽,ドア,包囲ガードなどと呼ばれて
いる。
ガードは,次の働きをしている。
− 単独の場合:所定の場所にあるときだけ有効である。
− ガードのロックの有無にかかわらずインターロック装置と併用した場合:
ガードがどの位
置にあっても防護が確実に行われる。
3.37
手持形(HAND-HELD)
正常な使用時に手で保持することを意図する電気機器を意味する用語。
3.38
*危害(HARM)
人又は動物の受ける身体的傷害若しくは健康障害,又は財産若しくは環境の受ける害。
(JIS T 14971:2003,定義 2.2 修正)
3.39
ハザード(HAZARD)
危害の潜在的な源。
(JIS T 14971:2003,定義 2.3)
15
T 0601-1
:2012
3.40
*危険状態(HAZARDOUS SITUATION)
人,財産又は環境が一つ又は複数の
ハザードにさらされる状況。
(ISO/IEC Guide 51:1999 定義 3.6)
3.41
高電圧(HIGH VOLTAGE)
1 000 V を超える交流,1 500 V を超える直流又は 1 500 V のピーク値を超える電圧。
3.42
試験水圧(HYDRAULIC TEST PRESSURE)
容器又はその部分を試験するために加える圧力。
注記 9.7.5 参照
3.43
絶縁協調(INSULATION CO-ORDINATION)
予期される微小環境及びその他の影響を与えるストレスを考慮した電気機器の絶縁特性の相互関係。
3.44
*意図する使用(INTENDED USE)
意図する目的(INTENDED PURPOSE)
製造業者が供給する仕様,説明及び情報に従った製品,プロセス又はサービスの使用。
(JIS T 14971:2003,定義 2.5 修正)
注記 意図する使用は,正常な使用と混同しないことが望ましい。両方とも製造業者の意図する使用
の概念を含んでいる。
正常な使用は,医療目的だけでなく保守,サービス,輸送なども含んで
いるが,
意図する使用は医療目的に焦点を合わせている。
3.45
内部電源(INTERNAL ELECTRICAL POWER SOURCE)
電気以外の形態のエネルギーから電流を発生する機器の部分で,かつ,機器を作動させるための電源。
例 電気以外の形態のエネルギーには,化学的,機械的,太陽,原子力などがある。
注記 内部電源は,機器の主要部の中に置くか,機器の外側に取り付けるか,又は別の外装内に入れ
てもよい。
3.46
内部電源(の)(INTERNALLY POWERED)
内部電源によって作動させることができる電気機器を意味する用語。
3.47
漏れ電流(LEAKAGE CURRENT)
機能とは関係のない電流。
注記 次の漏れ電流が定義されている。接地漏れ電流,接触電流及び患者漏れ電流。
3.48
電源コネクタ(MAINS CONNECTOR)
電源(商用)に接続することを意図する可とうコードと一体とするか又はこれに取り付けることを意図
する
電源接続器の部品。
注記 電源コネクタは,電気機器の機器電源ソケットに差し込むことを意図している(図 1 及び図 2
16
T 0601-1
:2012
参照)
。
3.49
*電源部(MAINS PART)
電源(商用)に接続することを意図する電気回路。
注記 1 電源部は,電源(商用)から一つの保護手段によっても分離されていない全ての導電性部分
を含んでいる。
注記 2 この定義において,保護接地線は,電源部の一部とみなしていない(図 2 及び図 3 参照)。
3.50
*電源プラグ(MAINS PLUG)
電気機器の
電源コードと一体とするか又はこれに取り付けることを意図する,電源ソケットに差し込む
部品。
注記 1 図 1 参照
注記 2 IEC 60083 及び IEC 60309-1 並びに JIS T 1021 も参照する。
3.51
電源変圧器(MAINS SUPPLY TRANSFORMER)
電磁誘導によって,
電源(商用)からの交流の電圧及び電流を同じ周波数で,通常,異なる値の電圧及
び電流に変換する二つ以上の巻線を備えた機器の部品。
3.52
電源端子盤(MAINS TERMINAL DEVICE)
電源(商用)への電気的接続をする端子盤。
注記 図 2 参照
3.53
電源過渡電圧(MAINS TRANSIENT VOLTAGE)
電源(商用)の外部の過渡現象によって発生し,電気機器の電力入力端で予期した最高ピーク電圧。
3.54
電源電圧(MAINS VOLTAGE)
電源(商用)において,多相系の場合は二つの位相線の間の電圧,単相系の場合は位相線と中性線との
間の電圧。
3.55
製造業者(MANUFACTURER)
次のいずれかに責任を負う個人又は法人。
− ME
機器の設計,製造,こん(梱)包又はラベリング
− ME
システムの組合せ
− ME
機器又は ME システムの変更
なお,その業務がその個人若しくは法人又は代理を受けた第三者によって行われるか否かを問わない。
注記 1 JIS Q 13485 では,ラベリングを次のように定義している。
文章,印刷物又は図表示であって,
− 医療機器又は全ての容器若しくは包装に貼付され,
− 又は医療機器に添付され,
医療機器の識別,技術解説及び使用に関係するものをいう。ただし,出荷用の文書は除く。
17
T 0601-1
:2012
この規格では,そのような資料は表示又は
附属文書として記載する。
注記 2
変更
とは,既に使用中の ME
機器又は ME システムを部分変更することを含んでいる。
注記 3 一部の法規制では,上記活動に関与する責任部門は,製造業者とみなしている。
注記 4 JIS T 14971:2003,定義 2.6 を修正
3.56
*最高電源電圧(MAXIMUM MAINS VOLTAGE)
電源(商用)に関係する試験目的のために使用する ME 機器の部分に接続する電圧。
注記 最高電源電圧の値は,8.5.3 によって決定する。
3.57
*最大許容動作圧力(MAXIMUM PERMISSIBLE WORKING PRESSURE)
部品の製造業者の指定によってその部品にかけることができる最大許容圧力。
3.58
*操作者保護手段(MEANS OF OPERATOR PROTECTION)
MOOP
患者以外の人への電撃のリスクを減らすための保護手段。
3.59
*患者保護手段(MEANS OF PATIENT PROTECTION)
MOPP
患者への電撃のリスクを減らすための保護手段。
3.60
*保護手段(MEANS OF PROTECTION)
MOP
この規格の要求事項に従って,電撃の
リスクを減らすための手段。
注記 保護手段は,絶縁,空間距離,沿面距離,インピーダンス及び保護接地接続を含む。
3.61
機械的ハザード(MECHANICAL HAZARD)
物理的な力が存在している状態又は物理的な力によって生じる
ハザード。
注記 この規格の要求事項では, 機械的ハザードが発生してはならない という使われ方をしてい
る。この用語,定義及びその使い方もリスクマネジメントの原理から逸脱している。しかし,
国際一致規格という観点からもこの用語と定義を変更することは,現時点で困難なので,その
ままにした。
なお,この規格で用いている
機械的ハザード は, 機械的なハザード , 機械的な危険状
態 , 危害 又は 受容できないリスク のいずれかと置き換えて読めば,内容的に筋が通っ
た理解が可能である。
3.62
機械的保護装置(MECHANICAL PROTECTIVE DEVICE)
単一故障状態で作動し,機械的なリスクを除去するか又は受容できるレベルまで減少させる装置。
3.63
*医用電気機器(MEDICAL ELECTRICAL EQUIPMENT)
ME
機器(ME EQUIPMENT)
18
T 0601-1
:2012
装着部をもつか,患者との間でエネルギーを授受するか,又は患者に与えるか若しくは患者からのエネ
ルギーを検出する次の電気機器。
a)
特定の
電源(商用)への接続をする場合は,一か所で行う。
b)
製造業者が意図する次のいずれかの用途をもつ。
1)
患者の診断,治療又は監視
2)
疾病,負傷又は障害の補助若しくは緩和
注記 1 ME 機器には,製造業者が指定した ME 機器の正常な使用を可能にするのに必要な附属品も
含まれる。
注記 2 医用に供する電気機器が全てこの定義に入るとは限らない。例えば,ある種の体外診断機器。
注記 3 能動植込形医療機器の植込み部分は,この定義に該当するようにみえるが,箇条 1 で規定し
たようにこの規格の適用範囲外である。
注記 4 この規格では, 電気機器 という用語を用いているが,これは,ME 機器又は他の電気機器
を意味している。
注記 5 4.10.1,8.2.1 及び 16.3 参照
3.64
*医用電気システム(MEDICAL ELECTRICAL SYSTEM)
ME
システム(ME SYSTEM)
製造業者が指定した,機能接続によって又はマルチタップを用いて相互接続をした少なくとも一つの
ME
機器を含む機器の組合せ。
注記 この規格で 機器 と表現した場合は,ME 機器を含むと解釈をしている。
3.65
移動形(MOBILE)
機器自体の車輪又は同様な手段によって支持した状態で,ある場所から他の場所へ移動させることを意
図する
可搬形機器を意味する用語。
3.66
*形式名称(MODEL OR TYPE REFERENCE)
機器又は
附属品のある特定の形式を識別するために使用する,数字若しくは文字又は両者の組合せ。
3.67
*マルチタップ(MULTIPLE SOCKET-OUTLET)
MSO
電源(商用)又は同じ電圧に接続することを意図する一つ又は複数の電源ソケットで,可とうケーブル
若しくはコード又は ME
機器に接続するか若しくは一体化したもの。
注記 マルチタップは,機器と分離した構造でも又は機器と一体化した構造でもよい。
3.68
*ネットワーク・データ結合(NETWORK/DATA COUPLING)
製造業者の仕様に従って他の機器と情報を送受信する手段。
3.69
公称(値)[NOMINAL (value)]
許容差を含む基準値として引合いにする値。
例 公称電源電圧又はねじの公称直径
19
T 0601-1
:2012
3.70
正常状態(NORMAL CONDITION)
危険状態又は危害に対する保護のために備えた全ての手段が機能している状態。
3.71
正常な使用(NORMAL USE)
取扱説明書に従った
操作者が行う日常の点検及び調整を含む操作並びに事前準備。
注記 正常な使用と意図する使用とを混同しないことが望ましい。両方とも製造業者の意図する使用
という概念を含んでいるが,
意図する使用は,医療目的に着目した用語である一方,正常な使
用は,医療目的だけでなく保守,サービス,輸送なども同様に含んでいる。
3.72
客観的証拠(OBJECTIVE EVIDENCE)
観察,測定,試験又は他の手段によって得られた事実に基づいて,真実であると証明できる情報。
(JIS T 14971:2003,定義 2.8)
3.73
*操作者(OPERATOR)
機器を取り扱う人。
注記 3.101 参照
3.74
過電流開放器(OVER-CURRENT RELEASE)
その器具に流れる電流があらかじめ設定した値を超えたとき,瞬時に又は時間遅れをもって回路を開放
する保護器具。
(IEV 441-16-33,修正)
3.75
*高酸素濃度雰囲気(OXYGEN RICH ENVIRONMENT)
酸素の状態が次のいずれかの環境。
a)
周囲圧力が 110 kPa 以下のとき,酸素濃度が 25 %を超える。
b)
周囲圧力が 110 kPa を超えるとき,酸素分圧が 27.5 kPa を超える。
3.76
患者(PATIENT)
医科又は歯科の診療の対象となっている生物(人又は動物)
。
3.77
*患者測定電流(PATIENT AUXILIARY CURRENT)
正常な使用時に,患者を介してある患者接続部と他のあらゆる患者接続部との間に流す生理的な効果を
意図しない電流。
3.78
*患者接続部(PATIENT CONNECTION)
正常状態又は単一故障状態で,電流が患者と ME 機器との間に流れることができる装着部上の個々の部
分。
3.79
*患者環境(PATIENT ENVIRONMENT)
20
T 0601-1
:2012
患者と ME 機器若しくは ME システムの部分との間 に又は 患者と ME 機器若しくは ME システム
の部分に接触している他の人との間
に意図的な又は意図しない接触が生じる可能性がある領域。
3.80
患者漏れ電流(PATIENT LEAKAGE CURRENT)
次のいずれかの電流。
−
患者接続部から患者を経由して大地へ流れる電流。
− 外部の電源から
患者に意図しない電圧が現れることに起因し,患者から F 形装着部の患者接続部を経
由して大地に流れる電流。
3.81
*ピーク動作電圧(PEAK WORKING VOLTAGE)
電気機器の内部で発生する繰返しピークインパルスを含み,外部の過渡現象を含めない
動作電圧の最高
ピーク値又は直流値。
(IEC 60950-1:2001,定義 1.2.9.7 修正)
3.82
PEMS
開発ライフサイクル(PEMS DEVELOPMENT LIFE-CYCLE)
プロジェクトの構想段階から始まり,PEMS
妥当性確認が完了した時点で終了する期間内に発生する必
要なアクティビティ。
注記 3.90 参照
3.83
PEMS
妥当性確認(PEMS VALIDATION)
開発
プロセスの間及び終了時に,PEMS 又は PEMS のコンポーネントが意図する使用のための要求事項
を満たすかどうか決めるための評価
プロセス。
注記 3.90 参照
3.84
永久設置形(PERMANENTLY INSTALLED)
工具を使わなければ取り外せない永久的な接続の方法で,電源(商用)に電気的に接続することを意味
する用語。
3.85
携帯形(PORTABLE)
一人又は複数の人によって運搬し,ある場所から他の場所へ移動することを意図する
可搬形機器を意味
する用語。
3.86
等電位化導線(POTENTIAL EQUALIZATION CONDUCTOR)
保護接地線又は中性線以外の導線で,電気機器と電気設備の等電位化母線との間を直接接続する導線。
注記 図 2 参照
3.87
電源コード(POWER SUPPLY CORD)
電源(商用)に接続するために,電気機器に固定するか又は取り付ける可とう(撓)コード。
注記 図 1〜図 4 参照
21
T 0601-1
:2012
3.88
手順(PROCEDURE)
ある活動を実施するために規定した方法。
(JIS T 14971:2003,定義 2.9)
3.89
プロセス(PROCESS)
インプットをアウトプットに変換する相互に関連する資源及び活動のまとまり。
(JIS T 14971:2003,定義 2.10)
3.90
プログラマブル電気医用システム(PROGRAMMABLE ELECTRICAL MEDICAL SYSTEM)
PEMS
一つ又は複数の
プログラマブル電子サブシステム(PESS)を含む ME 機器又は ME システム。
3.91
プログラマブル電子サブシステム(PROGRAMMABLE ELECTRONIC SUBSYSTEM)
PESS
ソフトウェア及びインタフェースを含む一つ又は複数の中央演算処理装置に基づいたシステム。
3.92
正しく設置する(した)(PROPERLY INSTALLED)
附属文書に従って設置する(した)。
3.93
保護接地線(PROTECTIVE EARTH CONDUCTOR)
保護接地端子と外部の保護接地系との間を接続する導線。
注記 図 2 参照
3.94
保護接地接続(PROTECTIVE EARTH CONNECTION)
保護の目的で,かつ,この規格の要求事項に適合させるために備えた
保護接地端子への接続。
3.95
保護接地端子(PROTECTIVE EARTH TERMINAL)
安全の目的で
クラス I の機器の導電性部分を接続した端子。この端子は,保護接地線によって外部の保
護接地系に接続することを意図している。
注記 図 2 参照
3.96
保護接地する(した)(PROTECTIVELY EARTHED)
保護の目的で,この規格の要求事項に適合する手段によって
保護接地端子に接続する(した)。
3.97
定格(値)[RATED (value)]
指定した作動条件に対し
製造業者が定めた値を意味する用語。
3.98
記録(RECORD)
実施した活動又は達成した結果についての
客観的証拠を示す文書。
22
T 0601-1
:2012
(JIS T 14971:2003,定義 2.11)
3.99
*強化絶縁(REINFORCED INSULATION)
二つの
保護手段を備えた単一の絶縁システム。
3.100
残留リスク(RESIDUAL RISK)
防護手段を講じた後にも残る
リスク。
(JIS T 14971:2003,定義 2.12)
3.101
責任部門(RESPONSIBLE ORGANIZATION)
ME
機器又は ME システムの使用及び保守に責任をもつ実体。
注記 1 責任をもつ実体とは,例えば,病院,個々の臨床医又は非医療従事者である。家庭用では,
患者,操作者及び責任部門は,全く同一の人であってもよい。
注記 2
使用
には,教育及び訓練を含んでいる。
3.102
リスク(RISK)
危害の発生確率とその危害の重大さとの組合せ。
(JIS T 14971:2003,定義 2.13)
3.103
リスク分析(RISK ANALYSIS)
利用可能な情報を体系的に用いて
ハザードを特定し,リスクを推定すること。
(JIS T 14971:2003,定義 2.14)
3.104
リスクアセスメント(RISK ASSESSMENT)
リスク分析及びリスク評価からなる全てのプロセス。
(JIS T 14971:2003,定義 2.15)
3.105
リスクコントロール(RISK CONTROL)
指定したレベルまで
リスクを低減するか又はそのレベルでリスクを維持するという決定に到達し,かつ,
防護手段を実施する一貫した
プロセス。
(JIS T 14971:2003,定義 2.16)
3.106
リスク評価(RISK EVALUATION)
社会の現在の価値観に基づく状況で,
リスクが受容可能なレベルにあるかどうかをリスク分析に基づい
て判断すること。
(JIS T 14971:2003,定義 2.17)
3.107
リスクマネジメント(RISK MANAGEMENT)
リスクの分析,評価及びコントロールに対して管理方針,手順及び実施を体系的に適用すること。
(JIS T 14971:2003,定義 2.18)
23
T 0601-1
:2012
3.108
リスクマネジメントファイル(RISK MANAGEMENT FILE)
リスクマネジメントプロセスによって作成した記録及び他の文書のまとまり。必ずしも物理的に連続し
ていなくてもよい。
(JIS T 14971:2003,定義 2.19)
注記 安全に関わる全ての情報,例えば,製造業者の計算,試験結果などは,リスクマネジメントフ
ァイルの一部であるとみなす(4.2 も参照)。
3.109
安全動作荷重(SAFE WORKING LOAD)
機器又は機器の部分に外部から加わる,
正常な使用時に許容される最大の機械的負荷(質量)。
3.110
*二次回路(SECONDARY CIRCUIT)
電源部から少なくとも一つの保護手段によって分離し,変圧器,変換器若しくは同等な絶縁装置から又
は
内部電源から電力を得る回路。
注記 8.9.1.12 参照。
3.111
自己復帰形感熱遮断器(SELF-RESETTING THERMAL CUT-OUT)
電気機器の関連する部分が冷却した後,自動的に電流を復帰する
感熱遮断器。
3.112
*分離装置(SEPARATION DEVICE)
安全のために,ME
システムの部分間における好ましくない電圧又は電流の伝導を防止する入力部及び
出力部をもつ部品又は部品の組合せ。
3.113
サービス要員(SERVICE PERSONNEL)
ME
機器,ME システム又は機器についての設置,組立,保守又は修理を行い,責任部門に対して責任
をもつ個人又は実体。
3.114
重大さ(SEVERITY)
ハザードから生じる可能性がある結果(危害)に対する尺度。
(JIS T 14971:2003,定義 2.21)
3.115
*信号入出力部(SIGNAL INPUT/OUTPUT PART)
SIP/SOP
例えば,画面表示,記録又はデータ処理のために,他の電気機器との信号の授受を意図する
装着部以外
の ME
機器の部分。
注記 図 2 参照
3.116
単一故障状態(SINGLE FAULT CONDITION)
リスクを低減させる手段の一つが故障しているか,又は一つの異常状態が存在する状態。
注記 4.7 及び 13.2 参照
24
T 0601-1
:2012
3.117
単一故障安全(SINGLE FAULT SAFE)
予測耐用期間中の単一故障状態においても受容できないリスクを生じない ME 機器又はその部分の特性。
注記 4.7 参照
3.118
据置形(STATIONARY)
ある場所から他の場所へ移動させることを意図しない機器を意味する用語。
3.119
補強絶縁(SUPPLEMENTARY INSULATION)
基礎絶縁の不良時における電撃に対する保護のために,基礎絶縁に追加して使用する独立した絶縁。
(IEV 826-12-15,修正)
注記 補強絶縁は,一つの保護手段を提供する。
3.120
*
電源(商用)(SUPPLY MAINS)
ME
機器又は ME システムの一部を構成しない電気エネルギーの源。
注記 電源(商用)には,救急車などの中の電池システム及び変換器システムも含まれる。
3.121
(
引張り強さの)安全率(TENSILE SAFETY FACTOR)
総荷重による応力に対する引張り強さの比率。
3.122
引張り強さ(TENSILE STRENGTH)
試験片が破断に耐える最大引張応力。
3.123
端子盤(TERMINAL DEVICE)
電気的な接続をする電気機器の部分。
注記 端子盤は,数個の独立した接点があってもよい。
3.124
感熱遮断器(THERMAL CUT-OUT)
異常状態の間に,自動的に回路を開放するか又は電流を減少させて,電気機器又はその部分の温度を制
限するもので,認められた
サービス要員以外には交換,変更などの設定が変えられない構造になっている
器具。
3.125
熱安定(THERMAL STABILITY)
物体の温度上昇が 1 時間当たり 2 ℃を超えない状態。
3.126
サーモスタット(THERMOSTAT)
温度を特定の範囲内に維持するか又はあらかじめ設定した値を超えるか若しくは下回るように維持する
ことを意図する感温制御器。
3.127
工具(TOOL)
25
T 0601-1
:2012
緊締部品を締め付けたり緩めたりするために,又は調整するために使用することができる機器に組み込
まれていない器具。
注記 硬貨及び鍵は,この規格では工具とみなす。
3.128
総荷重(TOTAL LOAD)
ある部分における最大
安全動作荷重を含んだ最大の合計負荷で,正常な使用で発生する静的及び動的な
力の合計。
注記 1 動的な力とは,例えば,質量の加速又は減速に起因する力である。
注記 2 一つの荷重が幾つかの並列支持部に分割され,これらの部分にわたる分布が明白には決まら
ない場合は,最も不利な条件の可能性を考慮することになっている。
3.129
接触電流(TOUCH CURRENT)
操作者又は患者が正常な使用時に接触できる患者接続部を除く外装又は外装の部分から,保護接地線以
外の外部の経路を通して,大地へ又は
外装の他の部分に流れる漏れ電流。
注記 この用語の意味は,JIS T 0601-1:1999 の 外装漏れ電流 の意味と同じである。IEC 60950-1
と整合させるため,及び
保護接地した部分に対しても適用して測定することを反映するために,
この用語に変更した。
3.130
可搬形(TRANSPORTABLE)
電源に接続した状態か又は切り離した状態で,範囲にあまり制限がなく,ある場所から他の場所へ移動
させることを意図する機器を意味する用語。
例 移動形機器及び携帯形機器。
3.131
トラッピングゾーン(TRAPPING ZONE)
ME
機器,ME システム又は機器の環境において,接近できる場所で身体又は身体の一部に,挟込み,
押し潰し,せん断,衝撃,切傷,巻込み,引き込み,突刺し又は擦りむきを生じる可能性がある領域。
3.132
*B 形装着部(TYPE B APPLIED PART)
特に許容
患者漏れ電流及び患者測定電流について,電撃に対する保護を備えるためにこの規格の要求事
項に適合した
装着部。
注記 1 B 形装着部には,表 D.1 の図記号 19,又は該当する場合は,表 D.1 の図記号 25 の表示が必
要である(3.20 参照)
。
注記 2 B 形装着部は,心臓への直接使用には適さない。
注記 3 装着部の定義には入らないが,リスクマネジメントプロセスの適用の結果,装着部とみなす
必要のある部分の取扱いについては,4.6 も参照する。
3.133
*BF 形装着部(TYPE BF APPLIED PART)
電撃に対して B
形装着部よりも高い保護の程度を備えるために,この規格の要求事項に適合する F 形装
着部。
注記 1 BF 形装着部には,表 D.1 の図記号 20,又は該当する場合は,表 D.1 の図記号 26 の表示が必
26
T 0601-1
:2012
要である(3.20 参照)
。
注記 2 BF 形装着部は,心臓への直接使用には適さない。
注記 3 装着部の定義には含まれないが,リスクマネジメントプロセスの適用の結果,装着部とみな
す必要のある部分の取扱いについては,4.6 も参照する。
3.134
* CF 形装着部(TYPE CF APPLIED PART)
電撃に対して BF
形装着部よりも高い保護の程度を備えるために,この規格の規定する要求事項に適合
する F
形装着部。
注記 1 CF 形装着部には,表 D.1 の図記号 21,又は該当する場合は,表 D.1 の図記号 27 の表示が必
要である(3.20 参照)
。
注記 2 装着部の定義には入らないが,リスクマネジメントプロセスの適用の結果,装着部とみなす
必要のある部分の取扱いについては,4.6 も参照する。
3.135
形式試験(TYPE TEST)
設計及び製造された機器がこの規格の要求事項に適合することができるかどうかを判定するための,機
器の代表的なサンプルでの試験。
3.136
ユーザビリティ(USABILITY)
有効さ,効率,
操作者の学習しやすさ及び満足度を確立する特性。
(IEC 60601-1-6,定義 3.11)
3.137
ユーザビリティエンジニアリング(USABILITY ENGINEERING)
人間の振る舞い,能力,限界及び他の特性に対する知識を,工具,機械,機器,装置,システム,タス
ク,作業及び環境の設計に応用し,適切な
ユーザビリティを達成すること。
(IEC 60601-1-6,定義 3.12)
3.138
検証(VERIFICATION)
規定した要求事項に適合したことを試験及び
客観的証拠の提供によって確認すること。
注記 設計及び開発において,検証は,その活動について規定した要求事項に適合しているか判定す
るために与えた活動結果を調査する
プロセスに関係する。
(JIS T 14971:2003,定義 2.22)
3.139
*動作電圧(WORKING VOLTAGE)
電気機器が
正常な使用の条件下で作動しているときに,対象となる絶縁又は部品が受ける若しくは受け
る可能性がある最高電圧。
(IEC 60950-1,定義 1.2.9.6)
27
T 0601-1
:2012
4
一般要求事項
4.1
* ME 機器又は ME システムへの適用のための条件
特に規定がない場合は,
この規格の要求事項は,
正常な使用及び合理的に予見できる誤使用に適用する。
疾病,負傷又は障害の補償若しくは緩和を意図する ME
機器又は ME システムにこの規格を適用する場
合は,
患者 という用語を用いている定義及び要求事項は,その ME 機器又は ME システムが意図する
対象者に適用するとみなす。
4.2
* ME 機器又は ME システムのためのリスクマネジメントプロセス
JIS T 14971
に適合する
リスクマネジメントプロセスを実施する。
その場合,JIS T 14971 は,次のように適用する。
− 用語
医療機器
は,ME
機器又は ME システムと同じ意味とする。
− JIS T 14971 で規定している 故障状態 は,この規格で規定した
単一故障状態を含むが,それだけに
限定してはならない。
−
製造業者は,受容できるリスクを判定するための方針及び残留リスクが受容できるかどうかの方針を
確立する。
− この規格又はその副通則若しくは個別規格が,特定の
リスクに関して検証可能な要求事項を規定し,
それらの要求事項に適合した場合は,それらの要求事項が明らかにした
残留リスクは,それを覆す客
観的証拠がない限り受容できるものとする。
注記 1 この規格は,ME 機器又は ME システムに関連するリスクに一般に適用可能な要求事項を規
定し,
リスクマネジメントプロセスにおけるツールとして役立つことを意図している。リス
クマネジメントプロセスは,この規格によって取り組むそれらハザードだけでなく,全ての
ハザード,それらの関連するリスク,及びリスクコントロール手段も識別するのがよい。
注記 2 危険状態を生じさせる状態又は故障は,この規格の箇条の中で特定している。これらは,リ
スクマネジメントプロセスを実施する必要がある場合が多い。これは,実際の危険状態が何
であるかを明らかにするためである。また,特定した
危険状態が,指定した状況では発生し
ないことを示すために,実施する必要のある試験は何かを明らかにするためである。
注記 3 製造業者が,ME 機器又は ME システムの個々の構成部品についてこの規格で特定した全て
の
プロセスに漏れなく従うことは不可能であると認められる。例えば,所有権のある部品,
本来医療用でないサブシステム及び古い装置などである。この場合は,
製造業者は,追加の
リスクコントロール手段の必要性を特に考慮することが望ましい。
注記 4 この規格の要求事項が受容できないリスクがないことに言及する場合は,リスクが受容でき
るかできないかは,受容できる
リスクを判定する製造業者の方針に従って製造業者が決定す
る。
注記 5 ME 機器及び ME システムに関連する全てのリスクが,この規格の特定の要求事項で規定さ
れているとは限らない(1.1 参照)
。
注記 6 上記の注記 2 の 3 か所の 危険状態 は,対応国際規格では ハザード であるが,これは
明らかな誤りである。この部分は,
リスクマネジメントの考え方を示した重要な部分であり,
単純な誤りではないので,あえて点線の下線で修正した。この規格全体を通して同様の誤り
が多々あるので,それらにも点線の下線を施したが,注記は省いた。
(
試験)
適合性は,
リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。箇条 4 の要求事項,及びリスクマネ
28
T 0601-1
:2012
ジメントファイルの調査に関わるこの規格の全ての要求事項は,製造業者が次の事項を実施していれば適
合するとみなす。
−
リスクマネジメントプロセスの確立。
−
リスクの受容できるレベルの確立。
−
残留リスクが受容できることの(受容できるリスクを決定するための方針に従った)実証。
4.3
*基本性能
製造業者は,ME 機器及び ME システムのどの機能が基本性能を含んでいるかを特定する。この規格が,
特定の試験後も
基本性能を維持することを規定している場合は,その特定した機能を用いて,必要であれ
ば機能試験によって,適合性確認をする。
注記 この規格の要求事項が基本性能に言及する場合は,製造業者は,受容できるリスクを決定する
ための方針に従って
基本性能を決定することが必要である。
(
試験)
適合性は,
リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
4.4
*予測耐用期間
製造業者は,ME 機器又は ME システムの予測耐用期間をリスクマネジメントファイルに記載する。
(
試験)
適合性は,
リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
4.5
* ME 機器又は ME システムと同等な安全性
この規格が特定の
リスクに対する要求事項を規定している場合は,これらのリスクに対する代替の手段
を適用した結果の
残留リスクが,この規格の要求事項を適用した結果の残留リスク以下であることを製造
業者が正当化できれば,その要求事項に代わる手段を用いてもよい。
(
試験)
適合性は,
リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
4.6
*患者が接触する ME 機器又は ME システムの部分
リスクマネジメントプロセスには,装着部の定義から外れる患者と接触する部分が,装着部の要求事項
に従うかどうかの評価を含める。ここで規定する部分が
装着部の要求事項に従うことをリスクマネジメン
トプロセスにおいて決定した場合は,この規格の関連する要求事項及び試験を全て適用する。ただし,7.2.10
に規定する
装着部には,この細分箇条を適用しない。
(
試験)
適合性は,
リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
4.7
* ME 機器の単一故障状態
ME
機器は,単一故障安全を確保できるように設計し製造するか,又は 4.2 を適用して決定したように
リスクが受容できる状態にする。
注記 1 8.1 a)で特定した正常状態は,それらが影響するこの規格の要求事項への適合性を評価すると
きに,考慮する。
ME
機器は,次のいずれかの場合,単一故障安全とみなす。
a)
故障する確率を無視できるレベルに減らして
リスクを低減させる単一の手段を用いる場合(例えば,
強化絶縁,機械的保護装置のない懸垂質量には 8 倍の安全率,高信頼性部品などの採用)。
b)
単一故障状態は起きても,次のいずれかの場合,
− 最初の故障が ME
機器の予測耐用期間中に検知でき,かつ,リスクを低減させる第二の手段も故障
29
T 0601-1
:2012
する前に検知できる(例えば,懸垂質量に
機械的保護装置を備える。)。
−
リスクを低減させる第二の手段が,ME 機器の予測耐用期間中に故障する確率を無視できるほど低
くする。
ある
単一故障状態がもう一つの単一故障状態を引き起こす場合は,その二つの故障を一つの単一故障状
態とみなす。
単一故障状態の試験は,一度に適用する故障は一つだけとする。
注記 2 故障は,一般に次の三つの確率カテゴリに分類される。
a)
故障の確率が非常に低いので無視できる。これらの故障から発生する
リスクは,受容で
きるとみなす。
b)
故障の確率が a)よりも高いので考慮する必要があるが,まだそれほど高くないので一度
に一つ考慮するだけでよい(単一故障)
。このカテゴリの故障に含まれるのは,この規格
で
単一故障状態であると特定した全ての故障,及び JIS T 14971 を適用して特定した単
一故障状態の基準を満たす全ての故障である。
c)
故障の確率が高く,予測も検出もできないので,それらの故障(複数の
単一故障状態)
は
正常状態とみなすが,それらの故障を個別に,かつ,組み合わせて全体的に考慮する
必要がある。
リスク分析の結果は,どの故障について試験しなければならないかを決定するために使用する。13.1 に
規定したとおり
危険状態になる可能性がある一度に一つの部品の故障は,物理的に又は理論的に模擬する。
部品の故障を模擬するかかどうかの評価は,ME
機器の予測耐用期間中に起きる部品の故障に関連したリ
スクを考慮する。リスクマネジメントの原則を適用して,この評価を行う。この評価では,部品の信頼度,
安全率及び定格のような問題を考慮する。さらに,単一故障状態の模擬試験中に,確率が非常に高いか又
は検出できない部品の故障を模擬する。
注記 3 4.2 の注記 2 も参照
この要求事項及び関連する試験は,
二重絶縁若しくは強化絶縁又は高信頼性部品の故障に適用してはな
らない。
(
試験)
適合性は,13.2 で規定した
単一故障状態に関連する要求事項及び試験,並びにリスク分析の結果から特
定した故障に対する試験を適用して確認する。適合性は,13.2 で規定した
単一故障状態を一度に一つずつ
導入し,13.1 で規定した
危険状態に直接結びつかないか,又は受容できないリスクになるその他の結果に
直接結びつかないかを確認する。
4.8
ME
機器の部品
この規格で規定した例外があるか,又は
リスクマネジメントプロセスを通して例外が認められる場合を
除き,故障すれば
危険状態になる可能性がある配線を含む全ての部品は,その定格に従って使用する。保
護手段として使用する部品の信頼性は,ME 機器でその部品が使われている条件を評価する。それらは,
次のいずれかによる(4.5 も参照)
。
a)
関連する JIS,IEC 規格又は ISO 規格の適用可能な安全要求事項に適合するものとする。
注記 1 部品の場合は,部品の規格への適合性を調べるために既に行われた試験と同一又は同等の
試験をする必要はない。
b)
関連する JIS,IEC 規格又は ISO 規格がない場合は,この規格の要求事項に適合するものとする。
注記 2 この規格にも他の JIS,IEC 規格又は ISO 規格にも要求事項がない場合は,他の適用可能
30
T 0601-1
:2012
な出版物(例えば,他の種類の装置に対する規格)を使用して
リスクマネジメントプロセ
スによって適合性を実証することができる。
上記 a)及び b)の流れ図を
図 5 に示す。
(
試験)
適合性は,調査によって,必要な場合は,試験によって確認する。この規格のモータ(13.2.8 及び 13.2.13.3
参照)及び変圧器(15.5.3 参照)の試験は,包括的な評価が必要であるので,
表 22 によるモータ又は変圧
器の絶縁システムの評価と合わせて,この規格の要求する全ての試験を行う。非 ME
機器からの分離を備
えた ME
システムの部品は,箇条 16 によって評価する。
図 5−部品の適合性を示す流れ図
(4.8 参照)
関連する部品規格の追加
安全要求事項を試験する
部品
JIS T 0601
規格群,IEC
60601
規格群などに従っ
て試験する
適合
関連する JIS,IEC
又は ISO の部品規
格があるか
関連する安全要求
事項が JIS,IEC 又
は ISO の部品規格
の中にあるか
はい
[a)の場合]
いいえ
[b)の場合]
はい
部品が,関連する
安全要求事項に適
合する証拠がある
か
はい
JIS T 0601
規格群,
IEC 60601
規格群な
どからの追加の安全
要求事項は必要か
いいえ
いいえ
いいえ
はい
31
T 0601-1
:2012
4.9
* ME 機器における高信頼性部品の使用
特定の部品の故障が受容できない
リスクを生じる場合は,高信頼性部品を使用する。高信頼性部品は,
その ME
機器の予測耐用期間中における使用の条件及び合理的に予見可能な誤使用の条件に一致するよう
に選択し評価する。
(
試験)
適合性は,
リスクマネジメントファイルの調査,及び高信頼性部品の選択基準の調査によって確認する。
4.10 *
電源
4.10.1 ME
機器の電源
ME
機器は,電源(商用)への接続に適しているか,別の電源(例えば,他の機器の電源など)への接
続を指定しているか,又は
内部電源から電力を受けるものとする。また,これらの電源を組み合わせて使
用してもよい。
(
試験)
適合性は,
附属文書の調査によって確認する。
4.10.2 ME
機器及び ME システムのための電源(商用)
電源(商用)への接続を意図する ME 機器の場合は,次の定格電圧を超えてはならない。
−
手持形 ME 機器は,250 V。
−
定格入力が 4 kVA 以下の ME 機器及び ME システムは,直流 250 V 若しくは単相交流 250 V,又は多
相交流 500 V。
− その他の全ての ME
機器及び ME システムは,500 V。
この規格の中の
電源(商用)は,次の特性をもつと想定する。
−
製造業者が,更に高いカテゴリを指定しない場合は,電源(商用)の過渡現象の過電圧は,カテゴリ
II
。
− 電源系の導線間の電圧,又はそれらの導線と大地との間の電圧は,
公称電圧の 110 %を超えず 90 %未
満でない(7.9.3.1 参照)
。
注記 1 IEC 60601-1-2 は,電源(商用)の電圧ディップ,短時間停電及び電圧変化に対する要求事
項及び試験を含んでいる(1.3 参照)
。
− 実質的に正弦波形の電圧。また,多相系の場合は,実質的に対称な電源系の電圧。
− 周波数は,1 kHz 以下。
− 周波数の変動は,100 Hz 以下では,
公称周波数から 1 Hz を超えない。100 Hz を超え 1 kHz までは公
称周波数の 1 %を超えない。
− JIS C 60364-4-41 で規定した保護対策。
注記 2 ME 機器又は ME システムが,この細分箇条に規定した電源(商用)と異なる特性を備え
た
電源(商用)で作動するように意図している場合は,追加の安全対策が必要となる。
− 直流電圧(可動コイル形メータ又は同等な方法によって測定した)のピーク対ピークリップルは,平
均値の 10 %を超えない。
ピーク対ピークリップルが平均値の 10 %を超える場合は,ピーク電圧を適用する。
4.11
電源入力
ME
機器又は ME システムを,定格電圧において取扱説明書に示した運転条件で測定したときの定常状
態の入力は,表示した定格(電源入力)に対し 10 %を超えてはならない(7.2.7 参照)
。
32
T 0601-1
:2012
(
試験)
適合性は,調査及び次の試験によって確認する。
− ME
機器又は ME システムを,取扱説明書で指定したように入力が安定した値に達するまで運転する。
入力を測定し,表示及び技術解説の内容と比較する。
− 一つ以上の
定格電圧範囲を表示している ME 機器又は ME システムについては,その範囲の上限及び
下限の両方で試験する。ただし,
定格入力を関連する電圧範囲の平均値で表示している場合は,その
範囲の平均値に等しい電圧で試験する。
− 定常状態の電流は,真の実効値が読み取れる計器で測定する。
電源入力をボルトアンペアで示している場合には,ボルトアンペア計で測定するか,又は定常状態の電
流(上記の規定に従って測定した)と供給電圧との積で求める。
定常状態の電流又は電源入力の仕様の根拠として,上記の測定の代わりに供給業者の証明を使用しても
よい。
5
*ME 機器の試験に対する一般要求事項
5.1
*形式試験
この規格に記載した試験は,
形式試験である。実施する試験は,箇条 4,特に 4.2 の要求事項を考慮して
決定する。
試験する条件が他の試験又は方法で十分に評価したことを分析によって示した場合は,試験を行う必要
はない。
同時故障のどの組合せを試験する必要があるかを決めるために
リスク分析の結果を使用する。
注記 試験結果によっては,リスク分析の修正が必要な場合もある。
5.2
*サンプルの数
試験する機器の代表的なサンプルを使用して
形式試験を行う。
注記 結果の妥当性に著しく影響しない場合は,複数のサンプルを同時に利用してもよい。
5.3
周囲温度,湿度及び気圧
周囲温度,湿度及び気圧は,次による。
a)
試験する ME
機器を正常な使用状態に設定し(5.7 によって),技術解説(7.9.3.1 参照)で示した環境
条件の範囲内で試験を行う。
b) ME
機器は,試験の妥当性に影響する可能性のあるその他の影響(例えば,隙間風)から遮蔽する。
c)
周囲温度を一定に維持できない場合には,試験条件をそれに合わせて変更し,かつ,試験結果をそれ
に従って修正する。
5.4
その他の条件
その他の条件は,次による。
a)
この規格に特に規定がない限り,ME
機器は,取扱説明書で指定され,更にリスク分析の中で特定さ
れた最も不利な使用条件下で試験する。
b)
サービス要員以外の人によって調整又は制御ができる動作値をもつ ME 機器は,試験中,取扱説明書
に従った最も不利な値に,試験の一部として調整しておく。
c)
試験結果が,冷却液の流入圧力及び流量又は化学成分に影響される場合は,技術解説で指定した特性
の制限内で試験を実施する。
d)
冷却水が必要な場合には,飲用水を使用する。
33
T 0601-1
:2012
5.5
供給電圧,電流の種類,電源の特性及び周波数
供給電圧,電流の種類,電源の特性及び周波数は,次による。
a)
試験結果が,その
定格値を超える供給電圧の変動に影響される場合には,このような変動の影響を考
慮する。
試験中の供給電圧は,4.10 によるか,又は ME
機器(7.2.6 参照)に表示した値か,いずれか不利な
値にする。
b)
交流の
電源(商用)への接続を意図する電源部をもつ ME 機器は,定格周波数(表示がある場合)が,
100 Hz 以下のときは定格周波数±1 Hz,及び 100 Hz を超えるときは定格周波数±1 %の交流で試験す
る。
定格周波数の範囲を表示した ME 機器は,その範囲内の最も不利な周波数で試験する。
c)
二つ以上の
定格電圧又は交直両用に設計した ME 機器は,最も不利な電圧及び電源の特性,例えば,
相数(単相電源を除く)及び電流の種類を与える条件(5.4 に規定した)において試験する。どの電源
条件が最も不利であるか確定するために,一部の試験は,二度以上行うことが必要な場合がある。
d)
直流の
電源(商用)へ接続を意図する電源部をもつ ME 機器は,直流だけで試験する。試験を行う場
合は,ME
機器の作動に対する可能性がある極性の影響を,取扱説明書に従って考慮する(8.2.2 も参
照)
。
e)
附属文書(7.9.2.14 及び 7.9.3.2 参照)で指定した代替の附属品又は部品が利用可能な ME 機器は,最
も不利な条件を与える
附属品又は部品を使用して試験する。
f)
ME
機器が別の電源から電力供給を受けることを意図していると取扱説明書で指定している場合は,
機器をそのような電源に接続する(7.2.5 及び 8.2.1 参照)
。
注記 この規格では,JIS T 0601-1:1999 で規定した 指定の電源 を 別の電源 と表現し,それ
は,同じ ME
機器の別の部分であるか,又は ME システムの中の他の機器の部分である。
5.6
修理及び改良
一連の試験中に故障が発生するか又は故障発生が予測でき,修理又は改良が必要になった場合には,新
しいサンプルを準備して結果に影響する試験を全て再度行うか,又は必要な修理若しくは改良を行った後
に,関連する試験だけを行う。いずれにするかについては,後者の方が望ましいが,試験機関と試験を依
頼する ME
機器の供給者とで協議してもよい。
5.7
*湿度前処理
8.7.4
及び 8.8.3 の試験に先立って,ME
機器又はその部分は,湿度前処理を行う。
ME
機器又はその部分は,完全に組み立てる(必要な場合には,部分ごとに)。輸送中又は保管中に使用
するカバーは,取り外しておく。
この処理は,この試験で模擬する気候条件によって影響する可能性がある ME
機器の部分にだけ適用す
る。
工具を使わないで取り外すことができる部分は,取り外して本体と一緒に扱う。
工具を使わないで開けるか又は取り外すことができる開閉カバーは,開けるか又は取り外す。
湿度前処理は,相対湿度 93 %±3 %の空気の加湿槽内で行う。槽内の空気の温度は,ME
機器を置く全
ての場所において,+20 ℃〜+32 ℃(T)の範囲内の,適切な温度 T±2 ℃以内に維持する。加湿槽に入
れる前に,ME
機器の温度を T と T+4 ℃との間になるようにし,湿度処理に先立って少なくとも 4 時間
この温度に保つ。
ME
機器及びその部分は,加湿槽内に 48 時間放置する。
リスクマネジメントプロセスの結果から,ME 機器が高湿度に長期間さらされると分かった場合には(例
34
T 0601-1
:2012
えば,屋外使用を意図する ME
機器),放置時間を適切に延長する。
この処理後,必要な場合は,その ME
機器を再度組み立てる。
5.8
試験の順序
特に指定がない限り,この規格の試験は,試験結果がいずれもその後に続く試験結果に影響を及ぼさな
いような順序で行う。
注記 試験は,全て附属書 B に示す順序で行うこと推奨する。
5.9
*装着部及び接触可能部分の決定
5.9.1
装着部
装着部は,検査及び附属文書の参照によって識別する(4.6 参照)。
5.9.2
接触可能部分
5.9.2.1
*テストフィンガ
接触可能部分と考えられる ME 機器の部分は,検査し,かつ,必要な場合は,試験をして識別する。疑
わしい場合には,
図 6 に示す標準テストフィンガを曲げたり伸ばしたりして,次について調べて,接触可
能かどうかを決定する。
− ME
機器の正常な使用時の全ての姿勢。
−
工具を使わないか又は取扱説明書に従った方法で,開閉カバーを開きランプ,ヒューズ,ヒューズホ
ルダなどを含む部品を取り外した状態。
(
試験)
標準テストフィンガは,ME
機器を予想できるあらゆる姿勢にし,無理な力を加えないで適用する。た
だし,床上での使用を意図し,どのような作動状態においても質量が 45 kg を超える ME
機器は,傾斜さ
せない。技術解説に従ってキャビネット内に組み込むことを意図する ME
機器は,それらを最終的に組み
立てた状態で試験する。
図 6 の標準テストフィンガを挿入できない開口は,同じ寸法の関節のない真っすぐなテストフィンガを
用い,30 N の力を加えて機械的に試験する。このテストフィンガが挿入できた場合は,
図 6 の標準テスト
フィンガをその開口に押し込んで試験する。
35
T 0601-1
:2012
単位 mm
規定の許容差以外の寸法許容差
− 角度 14°及び 37°に対して: ±15′
− 半径上の場合:
±0.1 mm
− 直線寸法上の場合:
15
mm 以下:
0
0.1
−
mm
15
mm を超え,25 mm 以下: ±0.1 mm
25
mm を超える:
±0.3 mm
フィンガの材料:例えば,熱処理した鋼。
このフィンガの二つの間接部は,一つの同じ方向にだけ,90
10
0
+
°の角度まで曲がればよい。
注記 1 ピン及び溝の使用は,曲げ角度を 90°に制限する手段の一つである。したがって,この部分の詳細図には,
寸法及び許容差を示していない。実際の設計に当たっては,0〜+10°の許容差で曲げ角度 90°を確保する。
注記 2 括弧内の寸法は参考である。
注記 3 テストフィンガは,IEC 60950-1 の図 2A の引用である。そのテストフィンガは,IEC 61032 の図 2,テストプ
ローブ B に基づく。幾つかの部分は,許容差が異なっている。
図 6−標準テストフィンガ
(5.9.2.1 参照)
5.9.2.2
テストフック
テストフックが挿入できる場合には,ME
機器の開口をテストフック(図 7 参照)によって機械的に試
験する。
36
T 0601-1
:2012
(
試験)
問題とする全ての開口にテストフックを挿入し,その開口のある表面に対して,ほぼ直角の方向に 20 N
の力で 10 秒間引っ張る。さらに,接触可能になった部分がある場合は,
図 6 の標準テストフィンガを使っ
て,かつ,検査によってその部分を特定する。
単位 mm
758/88
5
18
0
1
90°
8
材料:鋼
図 7−テストフック
(5.9.2.2 参照)
5.9.2.3
操作機構
ハンドル,ノブ,レバーなどを取り外した後に,接触可能になる電気制御器の操作機構の導電性部分は,
接触可能部分とみなす。ハンドル,ノブなどの取外しに工具の使用が必要であり,かつ,ME 機器の予測
耐用期間中に関連部分が意図しないで外れることは起こりそうもないとリスクマネジメントファイルを調
査して実証できれば,操作機構の導電性部分は,
接触可能部分とはみなさない。15.4.6.1 も参照する。
6
* ME 機器及び ME システムの分類
6.1
一般
この規格の目的のために,
装着部を含め ME 機器又はその部分は,次のように分類する。
6.2
*電撃に対する保護
外部電源から電力を受ける ME
機器は,クラス I の ME 機器又はクラス II の ME 機器(7.2.6 参照)に
分類する。その他の ME
機器は,内部電源 ME 機器に分類する。
電源(商用)への接続手段をもつ内部電源 ME 機器は,電源(商用)へ接続する場合は,クラス I の
ME
機器又はクラス II の ME 機器の要求事項に適合し,接続しない場合は内部電源 ME 機器の要求事項に
適合するものとする。
装着部は,B 形装着部,BF 形装着部又は CF 形装着部(7.2.10 及び 8.3 参照)に分類する。装着部は,
37
T 0601-1
:2012
耐除細動形装着部(8.5.5 参照)に分類してもよい。
6.3
*水の有害な浸入又は微粒子状物質の有害な侵入に対する保護
外装は,水の有害な浸入及び微粒子状物質の有害な侵入に対する保護等級に従って分類する。詳細は,
JIS C 0920
で規定している(7.2.9 及び 11.6.5 参照)
。
注記 1 この分類は,IPN
1
N
2
で表している。
− N
1
は,微粒子状物質に対する保護の程度を示す整数とし,該当しない場合は文字
X
である。
− N
2
は,水の浸入に対する保護の程度を示す整数とし,該当しない場合は文字
X であ
る。
注記 2 表 D.3 も参照する。
6.4
滅菌の方法
滅菌することを意図する ME
機器又はその部分は,取扱説明書に記載した滅菌の方法によって分類する
(7.9.2.12 及び 11.6.7 参照)
。
例 1 エチレンオキサイドガス
例 2 ガンマ線などによる照射
例 3 オートクレーブなどによる湿式加熱
例 4 製造業者が妥当性確認し,指定した他の方法
6.5
高酸素濃度雰囲気での使用の適性
高酸素濃度雰囲気での使用を意図する ME 機器及び ME システムは,そのような使用に応じた分類とす
る(11.2.2 参照)
。
6.6
*作動モード
ME
機器は,連続作動(運転)か又は非連続作動(運転)のいずれかに分類する(7.2.11 参照)。
7
ME
機器の標識,表示及び文書
注記 附属書 C には,この規格の他の箇条も含め ME 機器及び ME システムの表示及びラベリングの
要求事項の箇所を読者が見付けやすいようにした一覧(指針)を記載している。
7.1
一般
7.1.1
*標識,表示及び文書のユーザビリティ
製造業者は,ユーザビリティエンジニアリングプロセスにおいて,ME 機器の標識,表示及び文書の設
計に関連した
ユーザビリティが低いことによるリスクを扱う。1.3 及び 12.2 並びに IEC 60601-1-6 も参照す
る。
(
試験)
適合性は,
ユーザビリティエンジニアリングプロセスの結果の調査によって確認する。
7.1.2
*表示の見やすさ
次の 7.2,7.3,7.4,7.5 及び 7.6 で要求する表示は,次の全ての条件で
明瞭に見えるものとする。
− ME
機器の外側に表示する注意書き,説明書き,安全標識及び説明図については,関連する機能を操
作する人が意図する位置から。
−
固定形 ME 機器については,その ME 機器を正常な使用での位置に取り付けたとき。
−
可搬形 ME 機器及び固定していない据置形 ME 機器については,正常な使用時の状態で,又は壁面近
くにある機器をそこから移動するか若しくは ME
機器を正常な使用時から向きを変えた状態で,及び
38
T 0601-1
:2012
取外し可能なラックに組み込まれているときはそのラックから取り出した状態で。
− ME
機器又は ME 機器の部分の内部の表示については,関連する機能を操作する人が意図する位置か
ら。
(
試験)
明瞭な見やすさの適合性は,次の試験によって確認する。
ME
機器又はその部分は,操作者の意図する視点の位置に置くか,又は軸が表示面の中心において面に
垂直で頂角が 30°の表示面の中心を頂点とする円すい(錐)体を考え頂点から 1 m 離れた底面内に視点が
ある位置に置く。周囲の照度は,100 lx〜1 500 lx の範囲で最も不利なレベルとする。観察者は,1.0 の視
力とし,必要な場合は,矯正した視力とする。
観察者は,その視点から正しく表示を読む。
7.1.3
*表示の耐久性
次の 7.2,7.3,7.4,7.5 及び 7.6 で要求する表示は,
工具を用いるか又は相当な強い力でなければ取り外
せないものとする。ME
機器の予測耐用期間中は,十分に耐久性があり明瞭に見えるものとする。表示の
耐久性を考慮するときに,
正常な使用による影響を考慮する。
(
試験)
適合性は,調査及び次の試験によって調べる。
a)
この規格の試験を全て行った(
附属書 B で推奨した試験の順序を参照)後に,
− 7.1.2 の要求事項に対し表示を試験する。
− 貼り付け銘板は,剝れたり端部がめくれたりしていないことを確認する。
b) 7.2
,7.4,7.5 及び 7.6 で要求する表示については,耐久性に対する追加の試験を行う。最初の 15 秒間
は蒸留水を含ませた布で,
次の 15 秒間は変性アルコール
(メタノールを加えた非飲料用のエタノール)
を含ませた布で,最後の 15 秒間はイソプロパノールを含ませた布で,強すぎる圧力を加えないで手で
こする。
7.2
ME
機器又は ME 機器の部分の外側の表示(表 C.1 も参照)
7.2.1
ME
機器及び交換可能部分の表示に対する最小限の要求事項
ME
機器,ME 機器の部分若しくは附属品の寸法又は外装の性質上,7.2.2〜7.2.20 に規定した全てを表示
できない場合は,少なくとも 7.2.2,7.2.5,7.2.6(
永久設置形 ME 機器を除く),7.2.10 及び 7.2.13(該当す
る場合)を表示し,残りの表示は全て
附属文書に記載する。ME 機器の表示が困難な場合には,これらの
表示は,個別の包装に表示してもよい。
単回使用を意図する材料,部品,
附属品若しくは ME 機器又はその包装は, 再使用しないこと と表
示するか,又は
表 D.1 の図記号 28 を表示する。
7.2.2
*識別
ME
機器及びその着脱可能な部分は,製造業者の名称又は商標を表示し,かつ,誤認によって受容でき
ない
リスクが生じる場合は,形式名称も表示する。
PEMS
の一部を構成するソフトウェアは,固有の識別名,例えば,改版レベル又は公開若しくは発行日
付で識別する。識別は,指定した者,例えば,
サービス要員に利用可能であるものとする。識別は,ME
機器の外側にある必要はない。
7.2.3
*附属文書の参照
該当する場合は,
附属文書を調べるように操作者に助言するために表 D.1 の図記号 11 を使用してもよい。
39
T 0601-1
:2012
附属文書を調べることが義務的な行為である場合は,表 D.2 の安全標識 10 を使用する。
7.2.4
*附属品
附属品は,それらの製造業者又は供給業者の名称若しくは商標,及び形式名称を表示する。附属品の表
示が困難な場合には,個別の包装にこれらの表示をしてもよい。
7.2.5
他の機器から電力を受けることを意図する ME 機器
ME
機器が,ME システムの他の ME 機器又は機器から電力を受けることを意図し,かつ,別の電源へ
接続することによって受容できない
リスクを生じる可能性がある場合は,指定した他の ME 機器又は機器
の
形式名称を関連する接続点の近くに表示する。7.9.2.3,8.2.1 及び 16.3 も参照する。
7.2.6
電源(商用)への接続
ME
機器は,次の情報を表示する。
− 機器が接続される
定格電源電圧又は定格電源電圧範囲。定格電源電圧範囲は,最低電圧と最高電圧と
の間にハイフン(−)を入れる。複数の
定格電源電圧又は複数の定格電源電圧範囲を示す場合は,斜
線( / )でそれらを分離する。
例 1 定格電源電圧範囲:100−240 V。これは,この ME 機器は,公称電圧が 100 V と 240 V との
間の
電源(商用)に接続できるように設計していることを意味する。
例 2 複数の定格電源電圧:120/ 220/ 240 V。これは,この ME 機器は,公称電圧が 120 V,220 V
又は 240 V の
電源(商用)に接続するため切替えができるように設計していることを意味す
る。
注記 1 定格電源電圧の表示は,IEC 61293 に従った。
− 電源の特性,例えば,相数(単相電源を除く)及び電流の種類。
表 D.1 の図記号 1〜図記号 5 をこの
目的のために使用してもよい。
注記 2 交流の場合は,ヘルツで表した定格周波数は,電流の種類を識別するのに十分である。
− ヘルツで表した
定格電源周波数又は定格電源周波数範囲。
例 3 定格電源周波数範囲:50−60 Hz。これは,この ME 機器は,50 Hz と 60 Hz との間の公称周
波数をもつ
電源(商用)に接続できるように設計していることを意味する。
−
クラス II の ME 機器の場合は,表 D.1 の図記号 9。
永久設置形 ME 機器を除き,これらの表示は,電源(商用)への接続を含んでいる部分の外側,可能な
場合は,接続点の近傍に付ける。
永久設置形 ME 機器では,機器を接続する公称電源電圧又は電圧範囲は,
ME
機器の内部又は外側,可能な場合は,電源接続端子の近傍に表示する。
7.2.7
電源(商用)からの入力
定格入力は,アンペア又はボルトアンペアで表示する。ただし,力率が 0.9 を超える場合は,ワットで
表示してもよい。
一つ又は幾つかの
定格電圧の範囲をもち,その範囲が与えられた範囲の平均値の±10 %を超える ME 機
器の場合は,常に入力の定格をその範囲の上限及び下限値で表示する。
その平均値に対して 10 %を超える差がない制限範囲の場合には,その範囲の平均値で入力を表示すれば
十分である。
ME
機器の定格に,長時間及び瞬時の両方の電流定格又はボルトアンペア定格を含んでいる場合は,長
時間及び最も適切な瞬時の電流
定格又はボルトアンペア定格をそれぞれ明瞭に識別できるように表示し,
かつ,
附属文書に記載する。
40
T 0601-1
:2012
他の電気機器への電源導線の接続手段を備えた ME
機器の入力表示には,その接続手段の定格出力(及
び表示)も含める。
7.2.8
出力コネクタ
7.2.8.1
電源出力
ME
機器に組み込んだマルチタップに対する表示は,16.9.2.1 b)による。
7.2.8.2
他への電源
指定した機器,機器の部分若しくは
附属品に接続することを意図するマルチタップ又はコネクタを除い
て,電力を供給することを意図する ME
機器の出力コネクタは,次の全ての情報を表示する。
−
定格出力電圧
−
定格電流又は電力(該当する場合)
− 出力周波数(該当する場合)
7.2.9
IP
分類
ME
機器又はその部分は,文字 IP の後に表 D.3 のコード 2(JIS C 0920 で規定した表示の符号参照)を
用いて,6.3 の分類に従って表示する。IPX0 又は IP0X と分類した ME
機器は,その IP 分類表示をする必
要はない。
7.2.10 *
装着部
この要求事項は,4.6 で識別した部分には,適用しない。
全ての
装着部について,6.2 で分類した電撃に対する保護の程度は,該当する図記号,例えば,B 形装着
部は表 D.1 の図記号 19,BF 形装着部は表 D.1 の図記号 20,及び CF 形装着部は表 D.1 の図記号 21 を用い
て表示する。
耐除細動形装着部については,適用可能なものとして,表 D.1 の図記号 25,図記号 26 及び図記号 27 を
使用する。
次のいずれかの場合を除いて,適切な記号を
装着部用のコネクタの近傍に又はコネクタ上に表示する。
− 該当するコネクタがない場合は,
装着部に表示する。
− 一つのコネクタを複数の
装着部に使用し,かつ,装着部が異なる分類をもつ場合には,各々の装着部
に適切な記号を表示する。
表 D.1 の図記号 20 を他と明瞭に区別するために,図記号 19 は,正方形で囲んだような印象を与える使
い方をしてはならない。
除細動器の放電の影響に対する保護が,
患者ケーブルの部分にある場合は,表 D.2 の安全標識 2 を該当
する出力端子の近くに表示する。取扱説明書には, 除細動器の放電の影響に対する ME
機器の保護は,
適切なケーブルの使用に依存する。 ことを説明する。
7.2.11
作動モード
表示がない場合は,ME
機器は,連続作動(運転)とみなす。非連続作動(運転)を意図する ME 機器
の場合は,最大作動時間(入)及び最小休止時間(切)を示した適切な表示を用いて
デューティサイクルを表示
する。
7.2.12 *
ヒューズ
ヒューズホルダが
接触可能部分である場合は,ヒューズの種類及び全ての定格(電圧,電流,動作速度
及び遮断容量)をヒューズホルダの近傍に表示する。
7.2.13
生理的影響(安全標識及び警告文)
41
T 0601-1
:2012
操作者に気づかれず,かつ,患者又は操作者に危害を及ぼす生理的影響を与える ME 機器には,適切な
安全標識(7.5 参照)を表示する。安全標識は,ME
機器を正しく設置した後,正常な使用時に明瞭に見え
るように目立つ場所に表示する。
取扱説明書には,
ハザードの性質及び関連するリスクを回避するか又は最小限にするための注意事項を
記載する。
7.2.14
高電圧端子盤
工具を使わないで接近できる ME 機器の外側の高電圧端子盤は,表 D.1 の図記号 24 を表示する。
7.2.15
冷却条件
ME
機器の冷却設備に対する要求事項(例えば,水又は空気の供給)を表示する。
7.2.16
機械的安定性
安定性に制限がある ME
機器に対する要求事項は,9.4 を参照する。
7.2.17
保護包装
輸送又は保管時に特別な方法が必要な場合には,包装にそれぞれの方法を表示する(ISO 780 を参照)
。
輸送及び保管時の許容環境条件は,包装の外側に表示する(7.9.3.1 及び JIS T 0307 参照)
。
ME
機器又はその部分を早まって開こん(梱)すると,その結果受容できないリスクが生じる可能性の
ある場合には,そのこん(梱)包に適切な安全標識(7.5 を参照)を表示する。
例 1 湿度に敏感な ME 機器。
例 2 危険な物質及び材料を含んでいる ME 機器。
滅菌して供給する ME
機器又は附属品の包装は, 滅菌済み と表示する(JIS T 0307 参照)。
7.2.18
外部の圧力源
外部の供給源からの
定格最大供給圧力は,ME 機器の各入力コネクタの近傍に表示する。
7.2.19
機能接地端子
機能接地端子には,表 D.1 の図記号 7 を表示する。
7.2.20
取外し可能な保護手段
複数の用途をもつ ME
機器で,ある一つの機能を使うとき保護手段の取外しが必要な場合には,その機
能を使用しなくなったとき,その保護手段をもとに戻すことが必要であることを表示する。ただし,イン
ターロックを備えている場合は,表示する必要はない。
(
試験)
7.2
の要求事項に対する適合性は,調査によって,並びに 7.1.2 及び 7.1.3 の試験及び基準の適用によって
確認する。
7.3
ME
機器又は ME 機器の部分の内側の表示(表 C.2 も参照)
7.3.1
加熱素子又は加熱用ランプのホルダ
加熱素子又は加熱用ランプのホルダの最大負荷電力は,ヒータの近傍又はヒータ自体に表示する。
サービス要員だけが工具を使用して交換する加熱素子又は加熱用ランプのホルダの場合は,附属文書に
記載した情報を参照する識別表示で十分である。
7.3.2
*高電圧部分
高電圧部分があることを,表 D.1 の図記号 24 又は表 D.2 の安全標識 3 で表示する。7.5 も参照する。
7.3.3
電池
電池の形式及び挿入方向(極性)
(該当すれば)を表示する(15.4.3.2 参照)
。
42
T 0601-1
:2012
サービス要員だけが工具を使って交換する電池の場合は,附属文書に記載した情報を参照せよという識
別表示で十分である。
リチウム電池又は燃料電池を組み込み,かつ,正しくない交換によって受容できない
リスクを生じる場
合は,
附属文書に記載した情報を参照という識別表示に加えて,訓練不足の要員が交換すると危険状態(例
えば,過度の温度,火災又は爆発にさらされる)が生じる可能性があることを示す警告を記載する。
7.3.4
*ヒューズ,感熱遮断器及び過電流開放器
工具を使った場合だけ接触可能なヒューズ,感熱遮断器及び過電流開放器は,その近傍に種類及び全て
の定格(電圧,電流,動作速度及び遮断容量)を表示するか又は
附属文書に情報を記載する。
7.3.5
保護接地端子
保護接地端子が,IEC 60320-1 に適合する機器電源ソケット内にある場合を除いて,保護接地端子は,
表 D.1 の図記号 6 を用いて表示する。
保護接地端子の表面又はその近傍の表示は,接続を行うため取り外さなければならない部分に取り付け
てはならない。これらの表示は,接続後も
明瞭に見えるものとする。
7.3.6
機能接地端子
機能接地端子は,表 D.1 の図記号 7 で表示する。
7.3.7
電源端子
電源導線の端子には,接続が入れ替わっても
危険状態が生じない場合を除き,その端子の近傍に表示す
る。
ME
機器が端子の表示を取り付けられないほど小さい場合は,その接続方法を附属文書に記載する。
永久設置形 ME 機器の中性線の接続専用端子は,JIS C 0445(この規格の表 D.3 のコード 1 参照)の適
切な記号で表示する。
三相電源への接続の表示が必要な場合には,JIS C 0445 による。
電気的接続点又はその近傍の表示は,接続のため取り外さなければならない部分に取り付けてはならな
い。これらの表示は,接続後も
明瞭に見えるものとする。
7.3.8
電源端子の温度
永久設置形 ME 機器の電源導線の接続を意図する端子箱又は配電盤のどこか(導線自体も含む)が,技
術解説(7.9.3.1 参照)に示す最高周囲作動温度で,
正常な使用で,かつ,正常状態において 75 ℃を超え
る温度になる場合には,ME
機器に次の文章又は同様の記載を表示する。
電源接続には,少なくとも X ℃に耐える配線材料を使用してください。
ここで
X は,正常な使用及び正常状態において端子箱又は配電盤内で測定した最高温度値よりも高
い数値。この記載は,電源接続を行う点又はその近傍に取り付け,接続のために取り外す必要がある部分
には取り付けてはならない。それは,接続後も
明瞭に見えるものとする。
(
試験)
7.3
の要求事項に対する適合性は,
調査並びに 7.1.2 及び 7.1.3 に規定した試験及び基準の適用によって確
認する。
7.4
制御及び計器の表示(表 C.3 も参照)
7.4.1
電源スイッチ
ME
機器又はその部分に対する電力制御に使用するスイッチは,電源スイッチも含め, 入 及び 切
の位置(状態)を,次のいずれかで表示する。
−
表 D.1 の図記号 12 及び図記号 13
43
T 0601-1
:2012
− 近傍の表示灯
− 他のまぎらわしくない手段
双安定位置を備えた押しボタンを使用する場合は,次による。
−
表 D.1 の図記号 14 を用いて表示する。
− 近傍の隣接した表示灯によって,又は他のまぎらわしくない手段によって状態を表示する。
モメンタリー押しボタンを使用する場合は,次のいずれかによる。
−
表 D.1 の図記号 15 を用いて表示する。
− 近傍の表示灯によって状態を表示する。
− 他のまぎらわしくない手段によって状態を表示する。
7.4.2
制御器
ME
機器に取り付けた制御器及びスイッチの各位置は,数字,文字又は他の視覚的方法,例えば,表 D.1
の図記号 16 及び図記号 17 を用いて表示する。
正常な使用時における制御の設定の変更が,患者に受容できないリスクを与える可能性がある場合には,
そのような制御は,次のいずれかを備える。
− 表示器(例えば,計器又は目盛)と組み合わせる。
− 機能の大きさが変化する方向を表示する。15.4.6.2 も参照する。
7.4.3
計測の単位
ME
機器のパラメータの数字による表示は,JIS Z 8202 規格群による SI 単位で表現する。ただし,表 1
に記載した基本量は,ここに示す単位,すなわち SI 単位系と併用する又は併用が認められている単位で表
現してもよい。
SI 単位,それらの倍数及びその他の単位を適用する場合は,JIS Z 8203 を適用する。
(
試験)
7.4
の要求事項への適合性は,調査並びに 7.1.2 及び 7.1.3 の試験及び基準の適用によって確認する。
44
T 0601-1
:2012
表 1−SI 単位系と併用する又は併用が認められている単位
基本量
単位
名称
記号
平面角
回転 r
ゴン(グラッド) gon 又は grade
角度
°
角度の分
′
角度の秒
″
時間
分 min
時間 h
日 d
エネルギー
エレクトロンボルト eV
容積
リットル l
†)
呼吸ガス圧,血圧及び
他の体液の圧力
ミリメートル水銀柱 mmHg
センチメートル水柱 cmH
2
O
ガスの圧力
バール bar
ミリバール mbar
注
†)
一貫性を保つため,国際規格では記号 l だけをリットルに使用して
いる。ただし,JIS Z 8202 規格群には,記号
L が記載されている。
7.5
安全標識
この細分箇条の目的において,
操作者にとって明らかでないリスクを緩和する警告,禁止又は義務的(強
制的)な対処を伝えるために使用する表示は,ISO 7010 から選んだ安全標識とする。
注記 1 この文脈で,警告は 何らかの危険がある ことを意味するために使っている。禁止は, し
てはならない
を意味するために使用する。義務的な処置は
しなければならない
を意味
するために使っている。
安全標識が特定の望ましい意味を表示できない場合は,次の方法のいずれかによって意味を表示しても
よい。
a)
表 D.2 の安全標識 1,安全標識 4 及び安全標識 8 を基にして安全標識を作る。
b)
一般的な警告標識
表 D.2 の安全標識 2 と補足する記号又は文章とを併記する。一般的な警告標識に関
連した文章(すなわち安全上の注意)は肯定文とし,予測可能な
危険状態又は危害を記載する(例え
ば, 火傷をする , 爆発の危険がある )
。
c)
一般的な禁止標識
表 D.2 の安全標識 4 と補足する記号又は文章とを併記する。一般的な禁止標識に関
連した文章(すなわち安全上の注意)は,何が禁止されるかを記載する(例えば, 開放禁止 , 落下
禁止 )
。
d)
一般的な義務的処置の標識表,
表 D.2 の安全標識 8 と補足する記号又は文章とを併記する。一般的な
義務的処置の標識に関連した文章(すなわち安全上の注意)は,命令文とし,要求する処置を記載す
る(例えば, 防護手袋を着用すること , 入室前に手を洗うこと )
。
ME
機器に安全標識と肯定文とを併記するのに十分なスペースがない場合には,取扱説明書にそれを記
載してもよい。
注記 2 安全標識の色は,JIS Z 9101 で規定しているので,規定した色を使用することが重要である。
45
T 0601-1
:2012
注記 3 安全上の注意は,適切な注意事項を含むか,又はリスクを減らす方法に対する指示事項を含
むのがよい(例えば, 何々には使用しないでください。, 何々に近づかないでください。)
。
安全標識は,取扱説明書で説明する。補足する記号又は文章がある場合は,それも説明する(7.9.2 参照)
。
(
試験)
適合性は,調査によって確認する。
7.6
記号
7.6.1
記号の説明
表示に使用した記号の意味は,取扱説明書で説明する。
7.6.2
附属書 D からの記号
この規格で要求する記号は,引用した IEC 規格又は ISO 規格の中の要求事項に適合するものとする。
附
属書 D は,これらの記号の図及び説明の早見表である。
7.6.3
制御及び性能の記号
制御及び性能に使用する記号は,該当する場合は,記号を定義した IEC 規格又は ISO 規格の要求事項に
適合するものとする(7.2.13 参照)
。
注記 IEC 60878 は,医用に供する電気機器に使用する記号のタイトル,説明及び図式表現をまとめ
たものである。
(
試験)
7.6
の要求事項への適合性は,調査によって確認する。
7.7
導線の絶縁被覆の色
7.7.1
保護接地線
保護接地線は,全長にわたって緑と黄との絶縁被覆で識別する。
7.7.2
保護接地接続
保護接地接続を構成する ME 機器内部の導線の絶縁被覆は,少なくとも端末部を緑と黄との絶縁被覆で
識別する。
例 多芯コードの緑と黄の絶縁被覆の導線だけしか用いないと保護接地接続の最大許容抵抗を超える
場合は,例えば,多芯コードの導体を並列に接続するとよい。
7.7.3
緑と黄との絶縁被覆
緑と黄との絶縁被覆による識別は,次に限って使用する。
−
保護接地線(8.6.2 参照)
− 7.7.2 に規定した導線
−
等電位化導線(8.6.7 参照)
−
機能接地線(8.6.9 参照)
7.7.4
中性線
電源系の中性線に接続することを意図する
電源コード内の導線は,IEC 60227-1 又は IEC 60245-1 の規定
によって, うすい青
の絶縁被覆とする。
なお,JIS C 3306 のビニルコード,又は JIS C 3301 のゴムコードを使用する場合,絶縁被覆は
白
で
もよい。
46
T 0601-1
:2012
7.7.5
電源コードの導線
電源コード中の導線の絶縁被覆の色は,IEC 60227-1 又は IEC 60245-1 による。
なお,JIS C 3306 のビニルコード又は JIS C 3301 のゴムコードを使用する場合,絶縁被覆の色は,それ
らの JIS によってもよい。
(
試験)
7.7
の要求事項への適合性は,調査によって確認する。
7.8
*表示光及び制御
7.8.1
表示光の色
表示光の色及びそれらの意味は,
表 2 に適合するものとする。
注記 IEC 60601-1-8 は,警報表示光の色,点滅周期及びデューティサイクルに対する要求事項を含ん
でいる。
ドットマトリックス及びその他の文字・数字表示は,表示光とは考えない。
表 2−ME 機器の表示光の色及びそれらの意味
色
意味
赤
警告−
操作者による即時に対処が必要
黄
注意−
操作者による速やかな対処が必要
緑
使用の準備が完了
その他の色
赤,黄又は緑の意味以外の意味
7.8.2
制御の色
赤は,緊急時に機能を停止するための制御だけに使用する。
(
試験)
7.8
の要求事項への適合性は,調査によって確認する。15.4.4 も参照する。
7.9
附属文書
7.9.1
*一般(表 C.4 も参照)
ME
機器には,少なくとも取扱説明書及び技術解説を記載した文書を附属させる。附属文書は,ME 機
器の一部分とみなす。
注記 附属文書の目的は,ME 機器をその予測耐用期間中に安全に使用するためである。
附属文書は,該当する場合は,次の情報を含めることによって ME 機器を識別する。
−
責任部門が問合せができる住所,及び製造業者の名称又は商標名
−
形式名称(7.2.2 参照)
附属文書を電子的に,例えば,CD-ROM などの電子媒体で提供してもよい。附属文書を電子的に提供す
る場合は,ハードコピーとしても提供する必要がある情報,又は ME
機器上の表示,例えば,緊急時の操
作のために提供する必要な情報について
リスクマネジメントプロセスで考慮する。
附属文書は,意図する操作者又は責任部門に要求する特殊技能,訓練及び知識,並びに ME 機器を使用
する場所又は環境に対する制限がある場合は,それを記載する。
附属文書は,教育,訓練及び意図する関係者が求めるニーズに合わせて記載する。
(
試験)
47
T 0601-1
:2012
適合性は,調査によって確認する。
7.9.2
取扱説明書(表 C.5 も参照)
7.9.2.1
*一般
取扱説明書は,次を含める。
−
製造業者が意図する ME 機器の用途
− 頻繁に用いる機能
− ME
機器の使用に対する既知の禁止事項
取扱説明書は,箇条 6 で規定した該当する全ての分類,7.2 で規定した全ての表示,及び安全標識及び記
号(ME
機器上に表示したもの)の説明を含む。
注記 1 取扱説明書は,操作者及び責任部門を対象にしているので,操作者又は責任部門にとって有
用と思われる情報だけを含めるのがよい。追加の詳細事項は,技術解説に含めることができ
る。7.9.3 も参照する。
注記 2 取扱説明書を作成するための指針は,IEC 62079 [25]に記載されている。ME 機器の教育資料
を作成するための指針は,IEC 61258 [24]に記載されている。
取扱説明書は,意図する
操作者に受け入れられる言語とする。
7.9.2.2
*警告及び安全上の注意
取扱説明書は,警告及び安全上の注意を全て含める。
注記 一般的な警告及び安全上の注意は,取扱説明書の中の特に識別したセクションに記載するのが
よい。特定の操作又は対処だけに該当する警告若しくは安全上の注意は,操作説明よりも前に
記載することが望ましい。
クラス I の ME 機器の場合,取扱説明書は,次のような意味の警告文を含める。 警告:電撃の危険を回
避するために,この機器は保護接地を備えた
電源(商用)だけに接続すること。
取扱説明書は,
操作者又は責任部門に対し,特定の診断又は治療の間に ME 機器が存在することによっ
て引き起こす相互干渉の著しい
リスクがある場合は,その警告文を提供する。
取扱説明書は,ME
機器と他の装置との間の,可能性のある電磁気的又は他の干渉に関わる情報を含む。
また,そのような干渉を回避するか最小限にする方法についての助言も含む。
ME
機器が一体化したマルチタップを備えている場合は,取扱説明書には このマルチタップ(MSO)
に電気機器を接続すると ME
システムが構成され,その結果安全性のレベルが低下することがあります。
という警告文を含める。ME
システムに適用可能な要求事項については,責任部門は,この規格を参照す
る。
7.9.2.3
別の電源への接続を指定した ME 機器
ME
機器が別の電源への接続を意図する場合は,電源は,ME 機器の一部として指定するか,又は組み
合わせたものを ME
システムとして指定する。取扱説明書は,これについての仕様を述べる。
7.9.2.4
電源
電源(商用)で作動する ME 機器が,十分に使用可能な状態を自動的には維持しない追加の電源を内蔵
している場合,取扱説明書には, 追加の電源は,定期的な点検又は交換が必要です。 という警告文を含
める。
48
T 0601-1
:2012
電池からの漏出が受容できない
リスクを生じる場合,取扱説明書には ME 機器をある期間使用しない
場合は,電池を取り外すこと。 という警告文を含める。
内部電源が交換可能な場合は,取扱説明書には,その仕様を記載する。
電源の低下などが受容できない
リスクを生じる場合,取扱説明書には ME 機器を適切な電源に接続し
なければならない。 という警告文を含める。
例 上記の電源としては,内部の電池又は外部の電池,無停電電源装置(UPS)又は施設の予備の発
電機がある。
7.9.2.5
ME
機器の説明
取扱説明書には,次を含める。
− その ME
機器についての簡潔な説明。
− どのようにその ME
機器は機能するか。
− その ME
機器の重要な物理的特性及び性能特性。
該当する場合は,
操作者,患者及び他の人が正常な使用時に安全距離を確保するために ME 機器の近傍
のどこに位置すればよいか記載する(9.2.2.3 参照)
。
取扱説明書は,
患者又は操作者が材料又は成分にさらされ,それによって受容できないリスクを生じる
場合は,その情報を含める(11.7 参照)
。
取扱説明書は,
信号入出力部を接続する相手の機器又はネットワーク・データ結合(ME システムの一
部を形成するものを除く。
)に対し制限がある場合は,それを指定する。
取扱説明書は,
装着部がある場合は,それを示す。
7.9.2.6
*設置
ME
機器又はその部分の設置が必要な場合,取扱説明書には,次のいずれかを含める。
− 設置指示はどこに(例えば,技術解説)あるか。
−
製造業者が設置を行う資格を与えた要員の連絡先。
7.9.2.7
*電源(商用)からの切離し
8.11.1 a)
を満たす切離し手段として
電源接続器又は分離可能なプラグを使用している場合,取扱説明書
は,切離し器具(手段)の操作の妨げになる場所に ME
機器を置いてはならないという指示を含める。
7.9.2.8
始動手順
取扱説明書は,
操作者が ME 機器を始動するのに必要な情報を含むものとする。例えば,初期制御設定,
患者への接続,患者の位置決めなど。
取扱説明書は,ME
機器,その部分又は附属品を使用する前に必要とする処置又は取扱いの詳細を記載
する。
例 使用前の点検表。
7.9.2.9
操作説明
取扱説明書は,ME
機器をその仕様に従って操作するのに必要な全ての情報を含める。それは,制御器
の機能,ディスプレイ及び信号,操作の手順,着脱可能部品及び
附属品の着脱方法,並びに操作中に消耗
する材料の交換を記載する。
ME
機器に使用した数字,記号,警告文,略語及び表示光の意味を取扱説明書の中で記載する。
7.9.2.10
メッセージ
取扱説明書は,
発生するシステムメッセージ,
エラーメッセージ及び故障メッセージを全て一覧にする。
49
T 0601-1
:2012
ただし,これらのメッセージが自明である場合は,この限りでない。
注記 1 これらの一覧は,グループ別に特定してもよい。
その一覧は,メッセージを説明し,例えば,重要な原因及びメッセージの示す状況を解決するのに必要
な
操作者による可能な処置を記載する。
注記 2 警報システムが発するメッセージに対する要求事項及び指針は,IEC 60601-1-8 に記載されて
いる。
7.9.2.11
停止手順
取扱説明書は,
操作者が安全に ME 機器の作動を終了するのに必要な情報を含む。
7.9.2.12
清掃,消毒及び滅菌
正常な使用中に患者,体液又は呼気との接触によって ME 機器の部分又は附属品を汚染することがある
場合,取扱説明書には,次を含める。
− 使用してもよい清掃,消毒又は滅菌の方法についての詳細。
− ME
機器の部分又は附属品が耐えられる温度,圧力,湿度,時間制限及びサイクル数のような適用で
きるパラメータの一覧。
11.6.6
及び 11.6.7 も参照する。
この要求事項は,
製造業者が材料,部品,附属品又は ME 機器に使用前の清掃,消毒又は滅菌を指定し
た場合を除き,それらを単回使用であると表示した場合には適用しない(7.2.1 参照)
。
7.9.2.13
保守
取扱説明書は,
操作者又は責任部門に対し,実施すべき予防検査,保守及び校正について,それらの頻
度を含めて十分な詳細を記載する。
取扱説明書は,ME
機器の継続的な安全な使用を確保するために必要な日常的保守の安全な実施につい
ての情報を提供する。
さらに,取扱説明書は,
サービス要員が予防的検査及び保守を行う部分を特定する。これには適用する
期間を含むが,そのような保守の実施要領の詳細を必ずしも含める必要はない。
サービス要員以外の人が保守することを意図する充電可能な電池を内蔵する ME 機器の場合,取扱説明
書には,適切な保守を確実にする指示を含める。
7.9.2.14
附属品,組合せ機器及び使用材料
取扱説明書は,
製造業者が ME 機器に使用すると指定した附属品,着脱部分及び材料のリストを含む。
ME
機器が ME システムの他の機器から電力を受ける場合,取扱説明書には,この規格の要求事項(例
えば,部品番号,定格電圧,最大又は最小電力,保護分類,間欠的又は連続的な使用)への適合性を確実
にするために,そのような他の機器を正確に指定する。
注記 この規格では,JIS T 0601-1:1999 で規定した 指定の電源 を 別の電源 と表現し,それは,
同じ ME
機器の別の部分であるか,又は ME システムの中の他の機器の部分である。同様に,
電池の充電器は,ME
機器の別の部分であるか,又は ME システムの中の他の機器の部分であ
る。
7.9.2.15
環境保護
取扱説明書は,次を含める。
− 廃棄物,残留物など,並びに ME
機器及び附属品の予測耐用期間の終わったときの処分に関連するリ
50
T 0601-1
:2012
スクを特定する。
− これらの
リスクを最小限にするための方法を記載する。
7.9.2.16
技術解説の引用
取扱説明書は,7.9.3 に規定した情報を含めるか,又は 7.9.3 に規定した情報がどこに(例えば,サービ
スマニュアル中に)あるかを記載する。
(
試験)
7.9.2
の要求事項への適合性は,意図する
操作者の言語による取扱説明書の調査によって確認する。
7.9.3
技術解説(表 C.6 参照)
7.9.3.1
*一般
技術解説は,ME
機器の安全な操作,輸送,保管,設置及び使用準備の方法と条件に対する必要なデー
タ全てを提供する。これには,次を含める。
− 7.2 で要求した情報。
− 輸送及び保管の条件を含む使用上の許容環境条件(7.2.17 参照)
。
− ME
機器の全ての特性。これには,表示した値の範囲,精度及び精密度,又はどこを参照するかを示
す情報を含める。
− 特別の設置条件,これには
電源(商用)の最大許容皮相インピーダンスを含める。
注記 1 電源(商用)の皮相インピーダンスとは,配電網のインピーダンスと電源のインピーダン
スとの和である。
− 冷却に液体を使用する場合は,入口の圧力及び流量の値の許容範囲,並びに冷却液の化学成分。
− ME
機器を電源(商用)から切り離す手段の記載。切離し手段が ME 機器に組み込まれている場合は,
記載する必要はない[8.11.1 b)参照]
。
− 該当する場合は,部分的に密封した油入り ME
機器又はその部分の油面を点検する手段の記載(15.4.9
参照)
。
− ME
機器の無許可の改造に関わるハザードを扱う警告文,例えば,次のような文章である。
警告:この機器の改造は許可しない。
警告:製造業者の認可を得ずにこの機器を改造しないこと。
警告:ME システムの機器を変更する場合は,必要な検査及び試験を行わなければならないので,
継続的で安全な使用は確保できない。
技術解説が取扱説明書と別の分冊になっている場合は,それには,次を含める。
− 7.2 で要求する情報。
− 箇条 6 で規定した該当する全ての分類,警告,安全上の注意及び安全標識の説明(ME
機器上に表示
したもの。
)
。
− ME
機器の概要,どのように ME 機器が機能するか,並びにその重要な性能及び物理的特性(形状,
寸法,質量など)
。
注記 2 技術解説は,責任部門及びサービス要員用を意図している。
製造業者は,サービス要員に必要な最低限の資格を指定してもよい。これらの要求事項が既にある場合
は,技術解説に文書化する。
51
T 0601-1
:2012
注記 3 一部の規制当局は,サービス要員の認定に対して追加の要求事項を課している。
7.9.3.2
ヒューズ,電源コード及びその他の部分の交換
技術解説は,該当する場合は,次を含める。
−
永久設置形 ME 機器の外部の電源(商用)に使用するヒューズの種類及び全ての定格。これらのヒュ
ーズの種類及び全ての定格が,ME
機器の定格電流及び作動モードについての情報から明らかである
場合は,記載する必要はない。
−
非着脱電源コードをもつ ME 機器の場合は,電源コードがサービス要員によって交換可能かどうかの
説明。交換可能な場合は,8.11.3 の要求事項に適合させるための正確な接続及び固定の指示。
−
製造業者がサービス要員によって交換が可能であると指定した交換可能又は着脱可能な部分の正確な
交換の指示。
− 部品の交換によって受容できない
リスクの可能性がある場合は,どのような危険状態になるか,適切
な警告。また,
製造業者がその部品はサービス要員によって交換が可能であると指定した場合は,そ
の部品を安全に交換するのに必要な全ての情報。
7.9.3.3
回路図,部品リストなど
技術解説には,
製造業者によってサービス要員が修理してもよいと指定している ME 機器のこれらの部
分を,
サービス要員が修理するための補助となる回路図,部品リスト,解説,校正の説明,又はその他の
情報を
製造業者は要求に応じて提供できるという旨の記載を含める。
7.9.3.4
*電源の切離し
技術解説は,8.11.1 の要求事項に適合する手段を明記する。
(
試験)
7.9.3.1
〜7.9.3.4 の要求事項への適合性は,技術解説の調査によって確認する。
8
* ME 機器の電気的ハザードに関する保護
8.1
電撃に対する保護の基本規則
正常状態又は単一故障状態において,装着部及び接触可能部分は,8.4 に規定した限度を超えてはならな
い。その他の
単一故障状態における危険状態は,13.1 を参照する。
a) *
正常状態では,次の全てが同時に発生することを含む。
− 7.9 で規定したように
附属文書に従って接続することによって信号入出力部に他の電気機器からの
電圧又は電流が存在するか,又は
附属文書でそのような他の電気機器との接続を制限していない場
合は,8.5.3 で規定した
最高電源電圧が存在する。
−
電源プラグによって電源(商用)への接続を意図する ME 機器の場合の電源接続の極性の切り替わ
り。
− 8.8 の要求事項に適合しないいずれか又は全ての絶縁の短絡。
− 8.9 の要求事項に適合しないいずれか又は全ての
沿面距離又は空間距離 の短絡。
− 8.6 の要求事項に適合しない接地(機能接地接続も含めて)のいずれか又は全ての開路。
b) *
単一故障状態には,次を含む。
− 8.8 に規定した一つの
保護手段に対する要求事項に適合する絶縁のいずれか一つの短絡。
注記 これは,8.8 に適合する二重絶縁の一方の構成部分の短絡を含んでいる。
− 8.9 に規定した一つの
保護手段に対する要求事項に適合する沿面距離又は空間距離のいずれか一つ
52
T 0601-1
:2012
の短絡。
− 絶縁,
空間距離又は沿面距離と並列に接続している高信頼性部品以外の部品の短絡及び開路。ただ
し,短絡が部品の故障モードでないと示すことができる場合は除く(4.8 及び 4.9 も参照)
。
− 8.6 の要求事項に適合した
保護接地線又は内部保護接地接続のいずれかの開路。ただし,外れること
がほとんどないとみなすことができる
永久接地形 ME 機器の保護接地線には適用しない。
− 電源導線のいずれか 1 本の断線。ただし,多相 ME
機器又は永久設置形 ME 機器の中性線を除く。
− 許容限度を超えることが
リスク分析で分かっている場合は,分離した外装をもつ ME 機器の部分間
の電源を供給する線のいずれかの断線。
− 部品の意図しない移動。ただし,
リスクマネジメントプロセスによって,その部品の移動が ME 機
器の予測耐用期間中にまれにしか起こらないと結論づけるには十分に固定されていない場合に限る
(8.10.1 も参照)
。
−
危険状態に結びつく導線及びコネクタの偶然の外れによる破損。8.10.2 も参照。
どの部分が
接触可能部分であるか,5.9 に従って決定する。
漏れ電流は,8.7 に従って測定する。
8.2
電源に対する要求事項
8.2.1
別の電源への接続
ME
機器を,電源(商用)以外の別の電源への接続を指定した場合,その別の電源は,ME 機器の一部
とみなし,
この規格の全ての関連する要求事項を適用するか,
又はその組合せを ME
システムとして扱う。
7.2.5
,7.9.2.14,5.5 f)及び箇条 16 も参照する。
注記 JIS T 0601-1:1999 の中で表現していた 指定の電源 は,この規格では 別の電源 と扱い,
同じ ME
機器の他の電源であるか又は ME システムの中の他の電気機器の電源である。
(
試験)
適合性は,検査によって,及び 5.5 f)で規定した試験によって確認する。特定の別の電源を指定した場合,
関連する試験は,ME
機器をそれに接続した状態で行う。汎用の別の電源を指定した場合は,附属文書中
の仕様を調査する。
8.2.2
外部直流電源への接続
ME
機器が外部直流電源からの給電を指定した場合には,間違った極性に接続したとき,意図する機能
は作動しなくてもよいが,
危険状態が生じてはならない。その後,その ME 機器を正しい極性に接続した
とき,受容できない
リスクが生じてはならない。工具を使わないで誰でもリセットできる保護装置は,リ
セットによって正確な作動が回復する場合は,許容する。
注記 外部直流電源は,電源(商用)であっても又は他の電気機器の電源であってもよい。後者との
組合せは,8.2.1 で規定した ME
システムとして扱っている。
(
試験)
適合性は,調査によって,及び必要な場合は,機能試験によって確認する。
8.3
装着部の分類
装着部の分類は,次による。
a) *
附属文書の中で心臓への直接使用に適していると指定した装着部は,CF 形装着部とする。
注記 心臓への適用には,他の制限を受ける場合もある。
53
T 0601-1
:2012
(
試験)
適合性は,調査によって確認する。
b) *
電気エネルギー又は電気生理的信号を
患者と授受することを意図する患者接続部を含む装着部は,
BF
形装着部又は CF 形装着部とする。
(
試験)
適合性は,調査によって確認する。
c)
上記 a)又は b)に該当しない
装着部は,B 形装着部,BF 形装着部又は CF 形装着部とする。
(
試験)
適合性は,調査によって確認する。
d) *
4.6
によって特定し,
リスクマネジメントプロセスにおいて,BF 形装着部又は CF 形装着部の要求
事項が必要であると特定した場合を除いて,
装着部に対する要求事項(表示を除く)の対象になる部
分には,B
形装着部の要求事項を適用する。
8.4
電圧,電流又はエネルギーの制限
8.4.1
*電流の供給を意図する患者接続部
8.4.2
で規定した限度は,
正常な使用中に生理的効果を生むために患者の体に流すことを意図する電流に
は適用しない。
8.4.2
装着部を含む接触可能部分
装着部を含む接触可能部分は,次による。
a)
患者接続部からの電流又は患者接続部間の電流は,表 3 及び表 4 で規定した患者漏れ電流及び患者測
定電流の限度を超えてはならない。測定は,8.7.4 による。
(
試験)
適合性は,8.7.4 の測定によって確認する。
b) *
患者接続部を除き,ある接触可能部分からの又は接触可能部分間の漏れ電流は,8.7.4 によって測定
したとき 8.7.3 c)で規定した
接触電流の限度を超えてはならない。
(
試験)
適合性は,8.7.4 の測定によって確認する。
c) *
上記 b)で規定した限度は,
正常な使用時に直接又は操作者の体を経由して接触電流の限度を超える
電流が
患者へ流れ込む接続の可能性が無視でき,かつ,取扱説明書で操作者に次の部分と患者に同時
に触れないように指示している場合は,次の部分には適用しない。
− コネクタの接触可能な接点。
− ヒューズの交換中に接触可能なヒューズホルダの接点。
− ランプを取り外した後に接触可能なランプホルダーの接点。
−
工具を使わないで開けられる開閉カバーの内部の部分,又は工具が必要であるが取扱説明書でサー
ビス要員以外の操作者が関連する開閉カバーを開けるように指示している部分。
例 1 照光押しボタン
例 2 表示ランプ
例 3 レコーダ・ペン
例 4 プラグ・インのモジュールの部品
例 5 電池
54
T 0601-1
:2012
上記の部分は,対地電圧又は他の
接触可能部分との電圧が,正常状態又は単一故障状態で交流のピ
ーク電圧 42.4 V 又は直流 60 V を超えてはならない。直流 60 V の限度は,ピーク対ピークリップルが
10 %を超えない直流に適用する。リップルがその量を超える場合には,42.4 V のピーク限度を適用す
る。その電力は,60 秒よりも長い時間 240 VA を超えないか,又は蓄積したエネルギーは,2 V 以上に
おいて 20 J を超えてはならない。
注記 1 8.4.2 c)で規定した限度よりも高い電圧が存在する場合には,8.4.2 b)で示した漏れ電流の限
度を適用する。
注記 2 対応国際規格では, 2 V 未満で 20 J を超えてはならない と規定しているが,それが引用
した規格 IEC 60950-1 の 1.2.8.9 では
2 V 以上 と規定しているので,それに合わせた。
(
試験)
適合性は,
リスクマネジメントファイルの検査,取扱説明書の参照及び測定によって確認する。
d) *
上記 c)で規定した電圧及びエネルギーの限度は,次にも適用する。
− プラグ,コネクタ及びソケットの接点を除いて,
外装の開口から図 8 に示すテストピンを挿入して
接触する内部の部分。
− 直径 4 mm で長さ 100 mm の金属製テストロッドを
外装の上面カバーのあらゆる開口から挿入して
接触できる内部の部分,又は
責任部門が正常な使用時に工具を使って調整する事前設定調整用の開
口から挿入して接触できる内部の部分。
外側の部分のスロット又は開口を通して標準テストフィンガまでの
沿面距離及び空間距離の測定は,
8.9.4
も参照する。
(
試験)
最小の力(1 N 以下)であらゆる位置に挿入する。
疑わしい場合は,
責任部門が正常な使用時に調整する事前設定調整用の開口を通して,テストロッドを
あらゆる可能な位置に 10 N の力で挿入する。特定の
工具の使用を取扱説明書で指定している場合は,その
工具で試験を繰り返す。
テストロッドは,
外装の上部カバーのあらゆる開口から力を加えずに垂直につるす。
単位 mm
図 8−テストピン
[8.4.2 d)参照]
55
T 0601-1
:2012
e)
開閉カバーが工具を使わないで開けることができ,かつ,開閉カバーを開けると自動的に電源の切離
しができる場合は,この細分箇条で許容したレベル以上の電圧の部分に接近できてもよい。ただし,
その部分の電源の切離しに用いる器具は,電源の切離しスイッチを規定した 8.11.1 の要求事項に適合
し,かつ,
単一故障状態においても機能するものとする。その器具の作動をさせないようにする場合
には,
工具を必要とする。
(
試験)
適合性は,調査によって確認する。
8.4.3
*プラグによって電源に接続することを意図する ME 機器
プラグによって電源に接続することを意図する ME
機器又はその部分は,プラグを引き抜いてから 1 秒
後に,プラグのピン相互間及び電源ピンと
外装との間の電圧が 60 V を超えないようにするか,又はこの値
を超える場合には,電荷の蓄積は 45 μC を超えないように設計する。
(
試験)
適合性は,次の試験によって確認する。
ME
機器を,定格電圧で又は定格電圧範囲の上限で作動させる。
ME
機器を,関連するスイッチ(電源スイッチなど)を 入 及び 切 位置にしたまま電源から外す。
ME
機器は,プラグによって電源から切り離す。試験は,最悪の状態が測定できるまで必要な回数行う
か,又は供給電圧波形のピークで確実に切り離しができるトリガ回路を使用する。
プラグの両刃間,及びその任意の刃と
外装との間の電圧は,切離しの 1 秒後に,試験に影響しない内部
インピーダンスをもつ計器で測定する。
蓄積した電荷は,任意の便利な方法で測定又は計算してもよい。
8.4.4
*内部の容量性回路
ME
機器の電源を切り,その直後に正常な使用時に取り付いている開閉カバーを開けると接触できる容
量性回路の導電性部分は,60 V を超える残留電圧がないか又はこの値を超える場合は,45 μC を超える蓄
積電荷があってはならない。
自動放電が合理的に可能でなく,
開閉カバーが工具を使わなければ開けられない場合は,手動放電がで
きる手段でもよい。コンデンサ又はその接続した回路は,
表 D.1 の図記号 24 で表示し,また,手動放電の
手段は,技術解説で説明する。
(
試験)
適合性は,次の試験によって確認する。
ME
機器を定格電圧で作動させ,次に電源を切る。正常な使用時に取り付いている開閉カバーをできる
だけ迅速に開ける。その直後,接近可能なコンデンサ又はその回路部分の残留電圧を測定し,かつ,蓄積
電荷を計算する。
手動放電の手段を技術解説で説明している場合は,
それを含んでいる部分及び表示を調査して確認する。
8.5
分離
8.5.1
*保護手段(MOP)
8.5.1.1
一般
ME
機器は,装着部及び他の接触可能部分が 8.4 で規定した限度を超えることを防ぐために,二つの保
護手段をもつ。
保護手段は,それぞれ 4.6 を考慮して,患者保護手段又は操作者保護手段として分類する(図 A.12 参照)。
56
T 0601-1
:2012
ワニス含浸,エナメル被膜,酸化被膜及び同様な保護仕上げ並びに作動中に予想する温度(滅菌工程を
含む。
)で熱変形する密封用コンパウンドによるカバーは,
保護手段とはみなさない。
注記 保護手段として意図する被膜及び他の絶縁で,IEC 60950-1 に適合するものは,操作者保護手
段として認めるが,そのまま患者保護手段としては認めていない。患者保護手段については,
リスクマネジメントプロセスの結果を考慮する必要がある。
保護手段を構成する部品及び配線は,8.10 の該当する要求事項に適合するものとする。
8.5.1.2
及び 8.5.1.3 の要求事項に適合しない絶縁,
沿面距離,空間距離,部品又は接地接続は,いずれも
保護手段とはみなさない。それらの幾つか又は全ての故障は,正常状態とみなす。
8.5.1.2
患者保護手段(MOPP)
患者保護手段を構成する固体絶縁は,表 6 で規定した試験電圧で,8.8 の耐電圧試験に適合するものとす
る。
患者保護手段を構成する沿面距離及び空間距離は,表 12 で規定した限度に適合するものとする。
患者保護手段を構成する保護接地接続は,8.6 の要求事項及び試験に適合するものとする。
JIS C 5101-14
に適合する 1 個の Y1 コンデンサが,二つの
患者保護手段についての耐電圧試験に合格す
れば,一つの
患者保護手段と同等であるとみなす。患者保護手段を二つのコンデンサの直列で構成する場
合は,それぞれの定格電圧は,その二つにかかる合計の
動作電圧とし,かつ,それらは同じ公称静電容量
とする。
8.5.1.3
操作者保護手段(MOOP)
操作者保護手段を構成する固体絶縁は,次のいずれかによる。
−
表 6 で規定した試験電圧で,8.8 による耐電圧試験に適合する。
− IEC 60950-1 の
絶縁協調の要求事項に適合する。
操作者保護手段を構成する沿面距離及び空間距離は,次のいずれかによる。
−
表 13〜表 16 で規定した限度に適合する。
− IEC 60950-1 の
絶縁協調の要求事項に適合する。
操作者保護手段を構成する保護接地接続は,次のいずれかによる。
− 8.6 の要求事項に適合する。
− IEC 60950-1 の保護接地の要求事項及び試験に適合する。
JIS C 5101-14
に適合する 1 個の Y2 コンデンサは,一つの
操作者保護手段についての耐電圧試験に合格
すれば,
一つの
操作者保護手段と同等であるとみなす。JIS C 5101-14 に適合する 1 個の Y1 コンデンサは,
二つの
操作者保護手段用の耐電圧試験に合格すれば,二つの操作者保護手段と同等であるとみなす。操作
者保護手段を二つのコンデンサの直列で構成する場合,それぞれの定格電圧は,その二つにかかる合計の
動作電圧とし,かつ,それらは同じ公称静電容量とする。
(
試験)
8.5.1.1
〜8.5.1.3 の適合性は,ME
機器の物理的及び電気的な構成を調査し,接触可能部分が 8.4 で規定し
た限度を超えることを防ぐ手段は,絶縁,
沿面距離,空間距離,部品のインピーダンス又は保護接地接続
57
T 0601-1
:2012
のいずれかであるかを特定して,確認する。
注記 そのような箇所は,一般的には大地電位と異なる部分と接触可能部分との間の絶縁を含んでい
る。しかし,例えば,浮いた回路と大地又は他の回路との間の絶縁をも含むことができる。 絶
縁経路の調査
は,
附属書 J に記載してある。
そのような箇所は,次のいずれかによって決定する。
− 固体絶縁は,
操作者保護手段に対し 8.8 の耐電圧試験に合格するか,又は IEC 60950-1 の絶縁協調の
要求事項に適合する。
−
沿面距離及び空間距離は,操作者保護手段に対し 8.9 の規定に従っているか,又は IEC 60950-1 の絶
縁協調の要求事項に適合する。
− 絶縁,
空間距離又は沿面距離と並列に接続した部品は,4.8 及び 8.10.1 に適合する。
−
保護接地接続は,操作者保護手段に対し 8.6 の要求事項に適合するか,又は IEC 60950-1 の保護接地
の要求事項に適合する。
さらに,上記の各々に適合する場合の故障は
単一故障状態とみなし,適合しない場合の故障は正常状態
とみなす。
保護手段は,許容限度からの超過を保護する ME 機器の部分との関係から分類する。装着部又は 4.6 に
よって
装着部と同じ要求事項に従う必要があると特定した部分の保護は,患者保護手段である。その必要
がないと判断した場合は,
操作者保護手段である。
動作電圧は,8.5.4 に従って,検査,計算又は測定によって決定する。
正常状態及び単一故障状態において,接触可能部分と他の接触可能部分又は大地との間に現われる電圧,
電流又はエネルギーは,検査若しくは計算によって,又は必要な場合には,適切な条件での測定によって
決定する。
8.5.2
患者接続部の分離
8.5.2.1
* F 形装着部
F
形装着部の患者接続部は,他の装着部の患者接続部を含め,全ての部分から最高電源電圧と等しい動
作電圧に対する一つの患者保護手段と同等な手段によって分離し,かつ,最高電源電圧の 110 %を加えた
状態で規定した
患者漏れ電流の限度値に適合するものとする。
単一の F
形装着部は,複数の機能を含んでいる可能性があるが,その場合,その機能間の分離は,要求
しない。
同じ又は別の機能の
患者接続部の相互間(例えば,心電図電極と血圧カテーテルとの間)で電気的な分
離がない場合には,これらの
患者接続部は一つの装着部として扱う。
複数の機能が全て一つの
装着部内にあるとみなすか,又は複数の装着部であるとみなすかは,製造業者
が定義する。
BF
形装着部,CF 形装着部又は耐除細動形装着部としての分類は,一つの装着部の全体に適用する。
(
試験)
適合性は,検査,8.7.4 の
漏れ電流試験,8.8.3 の耐電圧試験,並びに関係する沿面距離及び空間距離の測
定によって確認する。
注記 F 形装着部と他の部分との間の分離手段は,最高電源電圧に対するこれらの試験,及び 8.5.4 で
規定したそれぞれの回路内に存在する電圧に対する試験の両方を実施する。後者の電圧の大き
58
T 0601-1
:2012
さによって,いずれの試験セットの方が,より厳しいかが決まる。
過度の電圧からの保護を備える目的で,F
形装着部の患者接続部と外装との間に接続する保護装置は,
実効値 500 V 以下で作動してはならない。
(
試験)
適合性は,保護装置の動作電圧の試験によって確認する。
8.5.2.2
* B 形装着部
保護接地していない B 形装着部の患者接続部は,保護接地していない金属の接触可能部分から一つの患
者保護手段によって分離する。ただし,次の場合は除く。
− 金属の
接触可能部分が,装着部に物理的に接触していて,装着部の一部とみなすことができ,かつ,
− 金属の
接触可能部分が電圧の発生源又は許容限度を超える漏れ電流源と接触する可能性が無視できる
ほど小さい。
(
試験)
適合性は,検査,8.7.4 の
漏れ電流試験,8.8.3 の耐電圧試験,適切な沿面距離及び空間距離の測定,及び
リスクマネジメントファイルへの調査によって確認する。
8.5.2.3
*患者リード線
患者リード線上の電気的接続用のコネクタが,
−
患者から離れた側のリード線の端末にあり,かつ,
−
最高電源電圧に等しい動作電圧に対して,全ての患者接続部から一つの患者保護手段によって分離さ
れていない導電性部分を含んでいる場合は,
患者接続部が患者と接触している間,その部分が大地又
は危険の可能性のある電圧と接続できない構造とする。
注記 この細分箇条の中の その部分 という表現は, 全ての患者接続部から分離していないコネク
タの導電性部分
を指している。
そのコネクタは,特に,該当するコネクタは,次による。
− その部分は,直径 100 mm 以上の平らな導電性の板に接触できてはならない。
− コネクタピンと上記の平らな表面との間の
空間距離は,少なくとも 0.5 mm とする。
− 電源ソケットに差し込むことができる場合には,その部分は,少なくとも 1.0 mm の
沿面距離,1 500 V
の耐電圧及び 8.8.4.1 に適合する絶縁手段で,
電源電圧の部分と接触しないように保護する。
−
図 6 の標準テストフィンガと同じ寸法の関節のない真っすぐなテストフィンガを,10 N の力で接近で
きる開口に対して最も不利な位置で挿入したとき,
その部分と電気的に接触してはならない。
ただし,
電源ソケット又は平らな表面以外(例えば,角又は端)と接触しても,受容できない
リスクが生じな
いことを
リスクマネジメントプロセスにおいて実証した場合は除く。
(
試験)
適合性は,上記の試験及び調査によって確認する。
8.5.3
*最高電源電圧
最高電源電圧は,次によって決定する。
59
T 0601-1
:2012
−
電源(商用)への接続手段をもつ内部電源 ME 機器,及び単相又は直流の電源(商用)から給電する
ME
機器の最高電源電圧は,最高定格電圧である。ただし,定格供給電圧が 100 V 未満の場合は,最
高電源電圧は,250 V である。
− 多相 ME
機器の場合は,最高電源電圧は,中性線電圧に対する最高定格の相である。
− その他の
内部電源 ME 機器の場合,最高電源電圧は,250 V とする。
8.5.4
*動作電圧
各
保護手段の動作電圧は,次によって決定する。
− ME
機器への入力供給電圧は,定格電圧とするか,又は該当する絶縁若しくは部品が受ける電圧の測
定値が最も高くなる
定格電圧範囲内の電圧とする。
− リップルをもった直流電圧の場合は,
動作電圧は,ピーク対ピークリップルが平均値の 10 %を超えな
い場合は平均値とし,10 %を超える場合はピーク電圧とする。
−
二重絶縁を構成する各保護手段の動作電圧は,二重絶縁の全体にかかる電圧である。
− 大地に接続しない
患者接続部の動作電圧は,患者を(故意又は偶然を問わず)接地する状況を正常状
態とする。
− F
形装着部の患者接続部と外装との間の動作電圧は,装着部の任意の部分の接地を含め,正常な使用
時に絶縁の両端に現われる最高電圧とする。8.5.2.1 も参照する。
−
耐除細動形装着部の場合,動作電圧は,除細動電圧が存在する可能性があるが,それを考慮しないで
決定する。8.5.5 及び 8.9.1.15 も参照する。
− コンデンサをもつモータで,巻線とコンデンサとを接続した点と外部導線用端子との間に共振電圧が
生じる場合,
動作電圧は,共振電圧に等しいものとする。
8.5.5
*耐除細動形装着部
8.5.5.1
*除細動保護
耐除細動形装着部の分類は,一つの装着部の全体に適用する。
注記 1 この要求事項は,同じ装着部の別の機能には適用していない。しかし,このような部分から
操作者が電撃を受ける可能性は,リスクマネジメントプロセスで考慮することが望ましい。
耐除細動形装着部に関連した沿面距離及び空間距離用の要求事項は,8.9.1.15 を参照する。
耐除細動形装着部の患者接続部を ME 機器の他の部分から分離するために,次のように設計する。
a)
耐除細動形装着部を接続した患者に除細動器を放電する間,図 9 及び図 10 の Y
1
点と Y
2
点との間で測
定したピーク電圧によって決定した 1 V を超える危険な電気エネルギーが,次の箇所に現れてはなら
ない。
−
外装,並びに ME 機器に接続した患者リード及びケーブルのコネクタ。
注記 2 この要求事項は,耐除細動形装着部からの接続リード又はそのコネクタを ME 機器に接
続していない場合は,適用しない。
−
信号入出力部
− 試験のために ME
機器を置いたとき,少なくとも ME 機器の底面と等しい面積をもつ試験用の金属
はく(箔)
。
− 他の
装着部の患者接続部(耐除細動形装着部として分類したかを問わない。)。
b)
除細動電圧を加えた後,
附属文書中に記載した必要な回復時間の経過後,ME 機器はこの規格の関連
要求事項に適合し,
基礎安全及び基本性能を維持し続ける。
60
T 0601-1
:2012
(
試験)
適合性は,次の同相モード及び差動モードの試験によって個々の
耐除細動形装着部を順次確認する。
同相モード試験
ME
機器を図 9 に示す試験回路に接続する。試験電圧を,耐除細動形装着部の全ての患者接続部を一緒
に接続して印加する。ただし,
保護接地した又は機能接地した部分は除外する。
R
2
100 k
Ω
R
1
1 k
Ω
C
2
1 µF
C
1
1 µF
D
1
D
1
Y
1
Y
2
S
IGNAL INPUT/OUTPUT PARTS
M
AINS
PART
P
ATIENT CONNECTIONS
Foil at base of
ME EQUIPMENT
Protective earth
CLASS I ME EQUIPMENT
FE
R
50
Ω
R
100
Ω
S
L 500 µH
R
≤
10
Ω
C
32 µF
5 kV d.c.
V
T
Foil in contact with non-conductive
parts of
ENCLOSURE
R
R
R
R
R
Display
device
Z
in
> 1 M
Ω
FE
3
3
4
Unearthed
ACCESSIBLE PARTS
5
1
Mains
R
CL
記号の説明は,
表 5 参照。
V
T
試験電圧
S
試験電圧の印加用スイッチ
R
1
,R
2
許容差±2 %の抵抗器,耐電圧 2 kV 以上
R
CL
電流制限抵抗器
D
1
,D
2
小信号シリコンダイオード
その他の部品の許容差は,±5 %である。
図 9−耐除細動形装着部の一括した患者接続部への試験電圧の加え方
(8.5.5.1 参照)
オ シ ロ ス
コープ
⑤ 接地しない接触可能部分
外装の非導電性部分と
接触する金属はく(箔)
信号入出力部
ME
機器の底面に敷いた
金属はく(箔)
保護接地
クラス I の ME
機器
の場合
電源部
④
患者接続部
電源
D
2
①
③
③
61
T 0601-1
:2012
差動モード試験
ME
機器を,図 10 に示す試験回路に接続する。耐除細動形装着部の個々の患者接続部に順次試験電圧を
印加する。同じ
耐除細動形装着部の残りの患者接続部は,全て接地しておく。
注記 装着部が単一の患者接続部から成る場合には,差動モード試験は,適用しない。
R
2
100 k
Ω
R
1
1 k
Ω
C
2
1 µF
C
1
1 µF
D
1
D
1
Y
1
Y
2
S
IGNAL INPUT/OUTPUT PARTS
M
AINS
PART
Foil at base of
ME EQUIPMENT
Protective earth
CLASS I ME EQUIPMENT
FE
R
50
Ω
R
100
Ω
S
L 500 µH
R
≤ 10 Ω
C
32 µF
5 kV d.c.
V
T
Unearthed
ACCESSIBLE PARTS
Foil in contact with non-conductive
parts of
ENCLOSURE
R
R
R
R
R
R
R
Display
device
Z
in
> 1 M
Ω
R
FE
3
3
P
ATIENT CONNECTIONS
4
5
1
Mains
R
CL
記号の説明は,
表 5 参照。
V
T
試験電圧
S
試験電圧の印加用スイッチ
R
1
,R
2
,R
CL
耐電圧 2 kV 以上,許容差±2 %の電流制限抵抗器
D
1
,D
2
小信号シリコンダイオード
その他の部品の許容差は,±5 %である。
図 10−耐除細動形装着部の個々の患者接続部への試験電圧の加え方
(8.5.5.1 参照)
同相モード試験及び差動モード試験の詳細は,次による。
−
永久設置形 ME 機器を除いて,ME 機器の試験は,保護接地線に接続した状態及び保護接地線に接続
しない状態で行う(つまり,二つの別の試験をする。
)
。
−
装着部の表面の絶縁部分を金属はくで覆うか,必要な場合は,0.9 %の食塩水に浸す。
−
機能接地端子への外部接続を外す。
− 8.5.5.1 a)で指定した
保護接地していない部分を,オシロスコープに順次接続する。
− ME
機器を電源に接続し,取扱説明書に従って操作する。
表示装置
⑤ 非接地
接触可能部分
外装の非導電部分と
接触するはく(箔)
④
患者接続部
保護接地
クラス I の ME 機器
の場合
ME
機器の底面に敷いた
金属はく(箔)
電源部
電源
信号入出力部
D
2
D
1
①
③
③
62
T 0601-1
:2012
S を操作した後,Y
1
点と Y
2
点との間のピーク電圧を測定する。試験は,それぞれ V
T
の極性を変えて繰
り返す。
附属文書で記載した回復時間の経過後,ME 機器が基礎安全及び基本性能を維持し続けていることを判
定する。
8.5.5.2
エネルギー減衰試験
耐除細動形装着部又は患者接続部は,100 Ω の負荷に供給した除細動器エネルギーが,ME 機器を切り
離した状態でのその負荷に供給したエネルギーの 90 %以上になるような手段を組み込む。
(
試験)
適合性は,次の試験によって確認する。
試験回路を
図 11 に示す。この試験では,附属品,例えば,ケーブル,電極及び変換器は,取扱説明書(7.9.2.14
参照)で推奨したものを使用する。個々の
患者接続部又は装着部に試験電圧を順番に印加し,同じ装着部
の残りの
患者接続部は,全て接地しておく。
その
手順は,次による。
a)
装着部又は患者接続部を試験回路に接続する。
b)
スイッチ S を位置 A の状態でコンデンサ C を直流 5 kV まで,充電する。
c)
スイッチ S を位置 B に切り替えてコンデンサ C を放電する。100 Ω の負荷に供給したエネルギーE
1
を
測定する。
d)
試験する ME
機器を試験回路から外し,b)及び c)を繰り返し,100 Ω の負荷に供給したエネルギーE
2
を測定する。
e)
エネルギーE
1
が,E
2
の 90 %以上であることを確認する。
63
T 0601-1
:2012
FE
R
400
Ω
R
100
Ω
(non inductive)
S
L 25 mH
C
32 µF
5 kV d.c.
V
T
FE
P
ATIENT CONNECTIONS
4
1
R
CL
A
B
1
Ω - R
L
,
where R
L
is the
d.c. resistance of
the inductor L
記号の説明は,
表 5 参照。
S
試験電圧の印加用スイッチ
A,B
スイッチ位置
R
CL
電流制限抵抗器
D
1
,D
2
小信号シリコンダイオード
指定していない部品の許容差は,±5 %である。
図 11−除細動放電エネルギー試験の試験電圧の加え方
(8.5.5.2 参照)
8.6
* ME 機器の保護接地,機能接地及び等電位化
8.6.1
*要求事項の適用
該当する部分が,
患者保護手段ではなく操作者保護手段で,かつ,IEC 60950-1 の保護接地の要求事項
及び試験に適合している場合を除いて,8.6.2〜8.6.8 の要求事項を適用する。
8.6.2
*保護接地端子
ME
機器の保護接地端子は,電源コードの保護接地線及び必要に応じ適切なプラグによるか,又は固定
した保護接地線のいずれかによって,外部の保護接地系への接続に適切なものとする。
ME
機器の保護接地端子に固定した電源導線又は電源コードを締め付ける手段は,8.11.4.3 の要求事項に
適合するものとする。締め付け手段は,
工具を用いなければ緩められないものとする。
内部の
保護接地接続のねじは,完全に覆うか,又は ME 機器の外部から不用意に緩められないように保
護する。
機器電源ソケットが ME 機器への電源接続を構成する場合は,機器電源ソケットの接地刃を保護接地端
子とみなす。
保護接地端子は,ME 機器の 異なる部分間の機械的接続 ,又は 保護接地若しくは機能接地と関係し
ない部品との固定
に使用してはならない。
(
試験)
適合性は,材料及び構造の調査,手動試験及び 8.11.4.3 の試験によって確認する。
(無誘導)
R(11 Ω−R
L
)
R
L
は,イン
ダクタ L の
直流抵抗
④
患者接続部
①
64
T 0601-1
:2012
8.6.3
*動く部分の保護接地
保護接地接続は,ME 機器の予測耐用期間中にその接続が信頼できることを製造業者が実証した場合を
除いて,動く部分に使用してはならない。
(
試験)
適合性は,ME
機器の検査,及び必要な場合は,リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
8.6.4
インピーダンス及び通電能力
インピーダンス及び通電能力は,次による。
a) *
保護接地接続は,故障電流を過度の電圧降下なしに確実に流すことができるものとする。
永久設置形 ME 機器の場合,保護接地端子と保護接地した全ての部分との間のインピーダンスは,
b)
で許容した場合を除き,100 mΩ を超えてはならない。
機器電源ソケットを備えた ME 機器の場合,機器電源ソケットの保護接地刃と保護接地した全ての
部分との間のインピーダンスは,b)で許容した場合を除き,100 mΩ を超えてはならない。
非
着脱電源コードを備えた ME 機器の場合,電源プラグの保護接地刃と保護接地した全ての部分と
の間のインピーダンスは,b)で許容した場合を除き,200 mΩ を超えてはならない。
(
試験)
適合性は,次の試験によって調べる。
無負荷時の電圧が 6 V を超えない周波数 50 Hz 又は 60 Hz の電流源から, 25 A
又は
ME
機器若
しくは関連する回路の最大
定格電流の 1.5 倍 のいずれか大きい方(±10 %)の電流を 5 秒〜10 秒間,
保護接地端子,機器電源ソケットの保護接地刃又は電源プラグの保護接地刃と保護接地した部分との
間に流す。
上記の部分間の電圧降下を測定して,電流及び電圧降下からインピーダンスを決定する。
上記の試験電流と合計インピーダンス(例えば,測定しているインピーダンス,テストリードのイ
ンピーダンス及び接触インピーダンスの合計)との積が 6 V を超えると予測できる場合でも,まずは
6 V を超えない無負荷電圧でインピーダンスを測定する。
測定したインピーダンスが許容範囲内の場合は,規定の電流を合計インピーダンスに流すのに十分
な無負荷電圧を備えた電流源を使用してインピーダンス測定を繰り返すか,又は
保護接地線及び保護
接地接続部の断面積が関連する電源導線の断面積と少なくとも等しいことを調べて,これらの電流通
電能力を確認する。
b) *
保護接地接続のインピーダンスは,関連する絶縁を短絡したとき単一故障状態における接触電流及び
患者漏れ電流の許容値を超えないように関連する回路の通電能力が制限されている場合は,上記 a)の
規定値を超えてもよい。
(
試験)
適合性は,検査によって,また必要な場合には,関連する
単一故障状態での漏れ電流の測定によっ
て確認する。短絡後の最初の 50 ミリ秒間に生じる過渡電流は,無視する。
8.6.5
表面被膜
ME
機器の導電性部分が,塗料などの導電性の低い材料で表面処理がされ,更に保護接地接続のために
その部分の電気的接触が重要な場合は,その部分の表面被膜を剝がす。ただし,その接合部の構造及び製
造
プロセスにおいて,その表面被膜を剝がさなくてもインピーダンス及び電流容量の要求事項に適合して
いることが実証されれば,その表面被膜は,剝がさなくてもよい。
65
T 0601-1
:2012
(
試験)
適合性は,調査によって確認する。
8.6.6
プラグ及びソケット
電源(商用)と ME 機器との間の接続,又は ME 機器の部分相互間の接続がサービス要員以外の人によ
って可能な場合,プラグ及びソケットを介して行う
保護接地接続は電源接続に先立って行われ,かつ,保
護接地の切り離しは電源接続の切り離し後に行われる。これは,
保護接地した交換可能な部分にも適用す
る。
(
試験)
適合性は,調査によって確認する。
8.6.7
*等電位化導線
ME
機器が等電位化導線の接続端子をもつ場合は,次による。
− 端子は,
正常な使用のどのような姿勢においても,ME 機器の操作者が接近できる。
−
正常な使用において,等電位化導線の偶然の外れがないようにする。
− 端子は,
工具を使わないで導線を外せる。
− 端子は,
保護接地接続に使用しない。
− 端子は,
表 D.1 の図記号 8 で表示する。
− 取扱説明書は,
等電位化導線の機能及び使用についての情報並びに ME システムに対するこの規格の
要求事項への説明を含める。
電源コードは,等電位化導線を組み込んではならない。
(
試験)
適合性は,検査によって調べる。
8.6.8
機能接地端子
ME
機器の機能接地端子は,保護接地接続を提供するために使用してはならない。
(
試験)
適合性は,検査によって調べる。
8.6.9
*クラス II の ME 機器
クラス II の ME 機器が内部に絶縁した遮蔽をもち,3 芯の電源コードで給電する場合は,第 3 線(電源
プラグの保護接地刃に接続した)は,その遮蔽のための機能接地端子への機能接地接続としてだけ使用し,
かつ,その色は緑及び黄とする。
そのような内部の遮蔽及びそれらに接続した全ての内部配線の絶縁は,二つの
保護手段を備え,かつ,
技術解説で説明する。
(
試験)
適合性は,検査及び測定によって確認する。絶縁は,8.8 によって試験する。
8.7
漏れ電流及び患者測定電流
8.7.1
一般要求事項
一般要求事項は,次による。
a)
電撃に対する保護を備えた電気的な分離は,
それを通して流れる電流を 8.7.3 に規定した値以下になる
ように制限する。
b)
接地漏れ電流,接触電流,患者漏れ電流及び患者測定電流の規定値は,次の条件の全ての組合せに適
66
T 0601-1
:2012
用する。
− 作動温度,及び 5.7 の湿度前処理の後。
−
正常状態,及び 8.7.2 の単一故障状態。
− ME
機器の待機状態で給電して,全負荷で作動させた状態,及び電源部のあらゆるスイッチをあら
ゆる位置にした状態。
− 最高
定格電源周波数。
− 最高
定格電源電圧の 110 %と等しい電源の供給。
8.7.2
*単一故障状態
8.7.3
に規定した許容値は,8.1 b)に規定した
単一故障状態に適用する。ただし,次も考慮する。
− 絶縁を
保護接地接続とともに使用する場合,絶縁の短絡は,8.6.4 b)で規定した状況だけに適用する。
−
接地漏れ電流に対する唯一の単一故障状態は,一度に電源導線の 1 本の断線である。
−
漏れ電流及び患者測定電流は,二重絶縁の一方の構成部分の短絡という単一故障状態においては,測
定しない。
装着部へ最高電源電圧を印加するという特別の試験条件[8.7.4.7 b)],及び外装の保護接地していない部
分へ
最高電源電圧を印加するという特別の試験条件[8.7.4.7 d)]と単一故障状態とを同時に適用してはな
らない。
8.7.3
*許容値
a)
8.7.3
の b),c)及び d)に規定した許容値は,
図 12 a)の測定用器具を通して[又は図 12 b)に規定した電
流の周波数特性をもつ回路網によって]測定する電流に適用する。それらの値は,直流並びに交流及
び合成波形に適用する。特に規定しない限り,それらは,直流又は実効値とする。
b)
患者漏れ電流及び患者測定電流の許容値は,表 3 及び表 4 に示す。交流の値は,0.1 Hz 以上の周波数
をもっている電流に適用する。
c)
接触電流の許容値は,正常状態で 100 μA とし,単一故障状態で 500 μA とする。
d)
接地漏れ電流の許容値は,正常状態で 5 mA とし,単一故障状態で 10 mA とする。永久設置形 ME 機
器が,その ME 機器だけに給電する電源回路に接続している場合には,更に高い値の接地漏れ電流を
許容する。
注記 地域の法規,条例などは,設備の保護接地電流の限度を決めることができる。IEC 60364-7-710
[10]も参照。
e)
さらに,波形と周波数にかかわらず,
漏れ電流は,周波数に依存しない測定用器具で測定したとき,
正常状態でも単一故障状態でも実効値 10 mA を超えてはならない。
67
T 0601-1
:2012
V
C
1
+20
0
-20
-40
-60
10
10
2
10
3
10
4
10
5
10
6
Relativ
e
magnitude
(db): 20
log
(f
)
Z (
f = 10)
R
1
R
2
Z
Voltage
measuring
instrument
b)
1
= 10 k ± 5 %
R
2
= 1 k ± 5 %
C
1
= 0,015 µF ± 5 %
Ω
Ω
a)
a)
c)
周波数(f)Hz
a)
測定用器具
b)
周波数特性
注記 上記の回路網及び電圧測定器を以降の図では,記号―MD―に置き換える。
注
†)
無誘導抵抗器
††)
入力の抵抗は 1 MΩ 以上,容量は 150 pF 以下
†††)
Z(f)は,回路網の伝達インピーダンス,すなわち,周波数 f における V
out
/I
in
である。
図 12−測定用器具の一例及びその周波数特性
(8.7.3 参照)
表 3−*正常状態及び単一故障状態での患者漏れ電流及び患者測定電流の許容値
単位 μA
電流
説明
参照
測定
回路
B
形装着部
BF
形装着部 CF 形装着部
NC
SFC
NC SFC NC SFC
患者測定
電流
8.7.4.8
図 19
直流 10
50
10 50
10 50
交流 100
500
100 500 10 50
患者漏れ
電流
患者接続部から大地へ
の電流
8.7.4.7 a)
図 15
直流 10
50
10 50
10 50
交流 100
500
100 500 10 50
SIP/SOP
へ外部電圧を
印加した場合の電流
8.7.4.7 c)
図 17
直流 10
50
10 50
10 50
交流 100
500
100 500 10 50
合計
患者漏れ
電流
†
一緒に接続した同一形
装着部からの電流
8.7.4.7 a)
及び
8.7.4.7 h)
図 15
及び
図 20
直流 50
100
50 100
50
100
交流
500
1 000
500
1 000
50
100
SIP/SOP
へ外部電圧を
印加した場合の電流
8.7.4.7 c)
及び
8.7.4.7 h)
図 17
及び
図 20
直流 50
100
50 100
50
100
交流
500
1 000
500
1 000
50
100
NC:正常状態
SFC:単一故障状態
注記 1 接地漏れ電流については,8.7.3 d)を参照する。
注記 2 接触電流については,8.7.3 c)を参照する。
注
†)
合計患者漏れ電流は,複数の装着部をもつ機器だけに適用できる[8.7.4.7 h)を参照]。この場合,個々の装
着部は,患者漏れ電流の許容値を超えることは許されない。
相対的な大き
さ
†††)
電圧
測定器
††)
R
1
= 10 kΩ±5 %
†)
R
2
= 1 kΩ±5 %
†)
C
1
=0.015 μF±5 %
Z
Z
68
T 0601-1
:2012
表 4−* 8.7.4.7 で規定した特別の試験条件下の患者漏れ電流の許容値
単位 μA
電流
説明
†
参照
測定回路
B
形装着部
BF
形装着部 CF 形装着部
患者漏れ
電流
F
形装着部の患者接続部へ外
部電圧を印加した場合の電流
8.7.4.7 b)
図 16
非該当 5 000
50
保護接地していない金属の接
触可能部分へ外部電圧を印加
した場合の電流
8.7.4.7 d)
図 18
500 500
−
†††
合計
患者漏れ
電流
††
F
形装着部の患者接続部へ外
部電圧を印加した場合の電流
8.7.4.7 b)
及び
8.7.4.7 h)
図 16
及び
図 20
非該当 5 000 100
保護接地していない金属の接
触可能部分へ外部電圧を印加
した場合の電流
8.7.4.7 d)
及び
8.7.4.7 h)
図 18
及び
図 20
1 000 1 000 −
†††
注
†)
JIS T 0601-1:1999 の表 4 では, 装着部に電源電圧が現れた ことを単一故障状態として扱ってきたが,こ
の規格では特別の試験条件として扱っている。さらに,
保護接地していない接触可能部分に最高電源電圧
を印加する試験も,特別の試験条件である。しかし,その許容値は,
単一故障状態の許容値と同じである。
8.5.2.2
及び 8.7.4.7 d)については,更に
附属書 A も参照する。
††)
合計患者漏れ電流は,複数の装着部をもつ機器だけに適用可能である。8.7.4.7 h)を参照。個々の装着部は,
患者漏れ電流の許容値を超えてはならない。
†††)
この条件は,装着部に最高電源電圧を印加する試験で扱っているので,CF 形装着部では試験しない。8.7.4.7
d)
については,更に,
附属書 A も参照する。
8.7.4
測定
(
試験)
8.7.4.1
一般
8.7.4.5
〜8.7.4.8 に引用した
漏れ電流及び患者測定電流の試験の図(図 13〜図 19)は,これらの細分箇条
で規定した試験
手順と併用するのに適した試験配置を示す。他の試験の図でも正確な結果を得られること
があると認識されている。しかし,試験結果が許容値に近い値の場合は,又は試験結果の有効性に関して
疑義がある場合は,上記の適用可能な試験の図を使用する。
a)
接地漏れ電流,接触電流,患者漏れ電流及び患者測定電流は,ME 機器が 11.1.3 c)の要求事項に従っ
て作動温度に達した後に測定する。
b)
回路並びに ME
機器の部品の配置及び材料を調べ,危険状態の可能性がない場合は,試験の数を減ら
すことができる。