T 0601-1-1:2005 (IEC 60601-1-1:2000)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)から,
工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,厚
生労働大臣及び経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS T 0601-1-1:1999は改正され,この規格に置き換えられる。
今回の改正は,日本工業規格を国際規格に整合させるため,IEC 60601-1-1:2000,Medical electrical
equipment−Part 1-1: General requirements for safety−Collateral standard: Safety requirements for medical
electrical systemsを基礎として用いた。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。厚生労働大臣,経済産業大臣及び日本
工業標準調査会は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願
公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
JIS T 0601-1-1には,次に示す附属書がある。
附属書AAA(参考)概説
附属書BBB(参考)医用電気機器と非医用電気機器との組合せの例
附属書CCC(規定)引用規格
附属書DDD(参考)参考規格
附属書EEE(規定)マルチタップに関する要求事項
附属書FFF(参考)マルチタップの使用例
JIS T 0601-1の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS T 0601-1 第1部:安全に関する一般的要求事項
JIS T 0601-1-1 第1部:安全に関する一般的要求事項−第1節:副通則−医用電気システムの安全要
求事項
JIS T 0601-1-2 第1部:安全に関する一般的要求事項−第2節:副通則−電磁両立性−要求事項及び
試験
JIS T 0601-1-3 第1部:安全に関する一般的要求事項−第3節:副通則−診断用X線装置における放
射線防護に関する一般的要求事項
T 0601-1-1:2005 (IEC 60601-1-1:2000)
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
第1章 一般 ······················································································································· 1
1. 適用範囲及び目的 ············································································································ 1
2. 定義 ······························································································································ 1
3. 一般的要求事項 ··············································································································· 2
6. 標識,表示及び文書 ········································································································· 3
第2章 環境条件 ················································································································· 3
10. 環境条件 ······················································································································ 4
第3章 電撃の危険に対する保護 ···························································································· 4
16. 外装及び保護カバー ······································································································· 4
17. 分離 ···························································································································· 4
19. 連続漏れ電流及び患者測定電流 ························································································· 4
第4章 機械的危険に対する保護 ···························································································· 5
22. 動く部分 ······················································································································ 5
第5章 不要又は過度の放射による危険に対する保護·································································· 5
第6章 可燃性麻酔剤の点火の危険に対する保護 ······································································· 5
第7章 過度の温度及びその他の危害に対する保護····································································· 5
44. あふれ,こぼれ,漏れ,湿気,液体の浸入,清掃,滅菌,消毒及び適合性 ································ 5
49. 電源の遮断 ··················································································································· 5
第8章 作動データの正確度及び危険な出力に対する保護 ···························································· 5
第9章 異常作動及び故障状態;環境試験 ················································································ 5
52. 異常作動及び故障状態····································································································· 6
第10章 構造上の要求事項 ···································································································· 6
56. 部品及び組立一般 ·········································································································· 6
57. 電源部:部品及び配置····································································································· 6
58. 保護接地:端子及び接続·································································································· 7
59. 構造及び配置 ················································································································ 7
附属書AAA(参考)概説 ······································································································· 8
附属書BBB(参考)医用電気機器と非医用電気機器との組合せの例 ·············································· 12
附属書CCC(規定)引用規格 ································································································ 14
附属書DDD(参考)参考規格 ································································································ 15
附属書EEE(規定)マルチタップに関する要求事項 ··································································· 16
附属書FFF(参考)マルチタップの使用例 ··············································································· 18
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
T 0601-1-1:2005
(IEC 60601-1-1:2000)
医用電気機器−
第1部:安全に関する一般的要求事項−
第1節:副通則−医用電気システムの安全要求事項
Medical electrical equipment-
Part 1-1: General requirements for safety-
Collateral standard: Safety requirements for medical electrical systems
序文 この規格は,2000年に第2版として発行されたIEC 60601-1-1,Medical electrical equipment−Part 1-1:
General requirements for safety−Collateral standard: Safety requirements for medical electrical systemsを翻訳し,
技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。
この規格は,JIS T 0601-1を併読して用いる。
項目番号の左上の*印は,附属書AAA(参考)の概説に説明があることを示す。
なお,この規格で点線の下線を施した箇所は,原国際規格にはない事項である。
第1章 一般
1. 適用範囲及び目的
*1.201 適用範囲 この規格は,2.201に規定した医用電気システムの安全について規定する。この規格は,
患者,操作者及び環境を保護するために必要な安全の要求事項を規定する。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD
(修正している),NEQ(同等でない)とする。
IEC 60601-1-1,Medical electrical equipment−Part 1-1: General requirements for safety−Collateral
standard: Safety requirements for medical electrical systems (IDT)
2. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS T 0601-1によるほか,次による。この規格の文中で
用いた太字は,この規格及び JIS T 0601-1の定義で規定した用語であることを示す。
“電圧”及び“電流”という用語を用いている場合,それらは交流,直流又は合成の電圧及び電流の実
効値を意味する。
*2.201 医用電気システム(MEDICAL ELECTRICAL SYSTEM)(以下,システムという。) 少なくとも
一つは,機能的接続又はマルチタップで接続した医用電気機器を含む複数の機器の組合せ。
備考 機器という用語は,システムと関連して言及する場合,機器を含むよう解釈することが望まし
2
T 0601-1-1:2005 (IEC 60601-1-1:2000)
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い(附属書BBB及び附属書FFFの例参照)。
*2.202 患者環境(PATIENT ENVIRONMENT) 患者とシステムの部分間又は患者とシステムの部分に接
触している他の人との間に意図的な又は意図しない接触が生じる可能性がある空間領域(図201参照)。
*2.203 分離装置(SEPARATION DEVICE) 安全のために,システムの部分間における好ましくない電
圧又は電流の伝導を防止する入力部及び出力部をもつ部品又は部品の組合せ。
*2.204 マルチタップ(MULTIPLE PORTABLE SOCKET-OUTLET) 電源に接続したままある場所から他
の場所まで容易に移動することができる可とうコード若しくはケーブルに接続することを意図するか,又
は取り付けた複数の電源ソケットの組合せ。
備考 マルチタップは,単独でもよいし,又は医用電気機器若しくは非医用電気機器の一体部分でも
よい。
*2.205 機能的接続(FUNCTIONAL CONNECTION) 電気的又はその他の方法で,信号及び/又は電力
及び/又は物質の伝達を意図する接続。
3. 一般的要求事項
*3.201 システムに関する一般的要求事項 システムは,設置後又はその後の組合せ変更を行った後に危
害の原因になってはならない。
システムは,次による。
− 患者環境においては,JIS T 0601-1又はIEC 60601-1に適合する医用電気機器と同等の安全性を備え
る。及び,
− 患者環境の外においては,他のIEC又はISOの安全規格に適合した非医用電気機器の安全性を備え
る。
なお,患者環境の外の非医用電気機器は,該当するJIS,電気用品安全法の技術基準などに適合す
るか,又はそれらと同等の安全性を備えるものでもよい。
(試験)3.201.1〜3.201.4の要求事項を満足している場合,上記に適合しているとみなす。3.201.1及び3.201.2
で規定した該当する規格の詳細を規定しているものと異なる材料又は構造をもつ機器若しくは部分を組み
込むシステムは,同等の安全性が得られていることが証明できる場合には,上記を受け入れられるものと
する。
3.201.1 医用電気機器 医用電気機器は,JIS T 0601-1又はIEC 60601-1及びそれらの該当する個別規格
の要求事項に適合しなければならない。また,JIS T 1001,JIS T 1002及び該当する個別規格に適合するも
のでもよい。
(試験)適合性は,適切な文書又は証明書の調査によって確認する。
3.201.2 非医用電気機器 非医用電気機器は,その機器に関連するIEC又はISOの安全規格に適合しな
ければならない。附属書DDDも参照。
電撃に対する保護が基礎絶縁だけに依存する非医用電気機器は,システムで用いてはならない。
ただし,安全性が確保できる手段,例えば分離変圧器(二重絶縁又は強化絶縁)と組み合わせる場合は,
基礎絶縁だけに依存する機器を用いてもよい。
(試験)適合性は,適切な文書又は証明書の調査によって調べる。
*3.201.3 指定電源 10.2.2.201に従う指定電源は,JIS T 0601-1若しくはIEC 60601-1に従うか,又は同等
の安全性を証明しなければならない。
備考 システムを組み立てたり組合せを変更したりする当事者は,システムの消費電力を計算してマ
3
T 0601-1-1:2005 (IEC 60601-1-1:2000)
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ルチタップの許容容量を超えないことを確認し,かつ,文書化しておくことが望ましい。
(試験)適合性は,適切な文書又は証明書の調査によって調べる。
*3.201.4 システム システムは,設置後又はその後の組合せ変更を行った後に,この規格の要求事項に適
合しなければならない。
(試験)関連する項に規定したように,適合性は,調査,試験又は解析によって調べる。
システムを構成する各機器間の接続によって生じる危害についてだけ考慮する。
システムを構成する各機器について該当する規格に従って既に実施した安全試験は繰り返さない。
試験は,次による。
・この規格で指定していない限り,試験は正常状態及び
・システムの製造業者が指定する作動状態とする。
6. 標識,表示及び文書
*6.8.201 システムの附属文書 システム(組合せ変更を行ったシステムを含む。)には,安全及び意図し
た用途のために必要なすべてのデータを含んだ文書を附属する。
文書は,次を含む。
a) 各医用電気機器の附属文書(JIS T 0601-1の6.8参照)
b) 各非医用電気機器の附属文書と同等な文書
c) 次の情報
− システムを構成している機器の清掃並びに該当する場合は消毒及び滅菌に関する指示。
− システムの据付け中に使用することが望ましい追加の安全手段。
− 患者環境での使用に適しているシステムの部分。
− 予防的保守のときに使用することが望ましい追加の安全手段。
− マルチタップを床に置いてはならないという警告。
− 追加のマルチタップ又は延長コードをシステムに接続してはならないという警告。
− システムとして指定していない機器を接続してはならないという警告。
− システムに用いるマルチタップの最大許容負荷。
− システムに附属したマルチタップは,システムの部分を構成することを意図する機器に電力を供給
するためにだけ使用するという指示。
− 非医用電気機器が分離変圧器付きのマルチタップから給電を意図する場合には,システムの部分と
して提供した非医用電気機器を直接壁コンセントに接続することの危険に関する説明。
− システムとして提供しない電気機器をマルチタップに接続することの危険に関する説明。
− 安全性を保証するための環境条件における制限事項(JIS T 0601-1の10. 参照)。
− 16.201で規定する部分と患者を同時に触れてはならないという操作者への指示。
d) 助言
− システムを使用者が最適に使用できるように据え付けるという設置業者への助言。及び
− ここで規定するすべての洗浄,調整,消毒及び滅菌を実行するという使用者への助言。
(試験)適合性は,調査によって確認する。
第2章 環境条件
4
T 0601-1-1:2005 (IEC 60601-1-1:2000)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
10. 環境条件
*10.2.2.201 電源 システム内の機器が非医用電気機器から電源を供給される場合は,製造業者はその電源
を指定する。
第3章 電撃の危険に対する保護
16. 外装及び保護カバー
16.201 外装 工具を使用しないで外せるカバー,コネクタなどを取り去った後に行う保守,調整などの
場合には,操作者が接触するかもしれない患者環境における非医用電気機器の部分は,JIS T 0601-1の17.
g) 1) 〜 5) に規定した方法の一つによって電源(商用)から分離した交流25 V,直流60 V又はピーク値
60 Vを超えない電圧によって作動させる。
(試験)適合性は,調査によって確認する。
17. 分離
*17.201 電気的分離 システムが緊急呼出システム又はデータ処理システムのような他のシステムと機
能的接続することによって,漏れ電流の許容値を超える可能性がある場合には,分離装置を組み込んだ安
全手段を適用する。
このような安全手段は,機器間及び/又はシステムと他のシステム間の適切な電気的分離を備える。ま
た,故障時に分離装置に加わる最も高い電圧に対して適切な耐電圧,沿面距離及び空間距離を備える。
(試験)適合性は,次によって調べる。
分離装置は,入力部及び出力部との間は,JIS T 0601-1の20. に従って基礎絶縁の耐電圧試験に耐えな
ければならない。これらの各部分の端子は,試験中に一括して接続しておく。
試験電圧は,JIS T 0601-1の表5から選ぶ。
基準電圧(U)は,最高定格供給電圧,又は多相電源機器においては中性線に対する位相線の電圧とす
る。内部電源機器については,基準電圧(U)を交流250 Vとする。
19. 連続漏れ電流及び患者測定電流
*19.201 漏れ電流
19.201.1 外装漏れ電流 正常状態で患者環境においてシステムの部分からの又は部分間の外装漏れ電流
は,0.1 mAを超えてはならない。
備考 この規格の目的上,機器の接触可能外面からの漏れ電流も外装漏れ電流とみなす。
非永久設置の保護接地線又はマルチタップ若しくは機器の同等の導線の断線時における,患者環境での
システムの部分からの又は部分間の外装漏れ電流は,0.5 mAを超えてはならない。
システム又はシステムの部分がマルチタップから供給される場合,マルチタップの保護接地線の電流は,
0.5 mAを超えてはならない。
19.201.2 患者漏れ電流 正常状態における患者漏れ電流は,B形装着部及びBF形装着部では0.1 mA,
CF形装着部では0.01 mAを超えてはならない。
(試験)19.201.1及び19.201.2の要求事項に対する適合性は,検査及びJIS T 0601-1の19.4 e) で規定した
測定用器具を用い漏れ電流の測定によって確認する。
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T 0601-1-1:2005 (IEC 60601-1-1:2000)
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19.201.3 信号入力部及び信号出力部の接続 JIS T 0601-1の19.2 b) の第一ダッシュ及び/又は19.2 c) に
対する医用電気機器の適合性が,信号入力部及び/又は信号出力部を附属文書に指定した機器に限って接
続することによって達成される場合には,信号入力部及び/又は信号出力部は,指定した機器に接続する。
しかし,クラスⅠ機器については,指定した機器をシステムの共通の保護接地に接続しない場合,分離装
置を使用する(附属書BBBの表BBB.201の3参照)。
(試験)適合性は,調査によって確認する。
第4章 機械的危険に対する保護
22. 動く部分
22.7.201 保護手段 システムの部分の動きによって危害が生じる可能性がある場合には,システムは,JIS
T 0601-1の22.7に従う保護手段,例えば,緊急停止装置を備える。
(試験)適合性は,調査によって確認する。
第5章 不要又は過度の放射による危険に対する保護
第6章 可燃性麻酔剤の点火の危険に対する保護
備考 44.7.201参照。
第7章 過度の温度及びその他の危害に対する保護
44. あふれ,こぼれ,漏れ,湿気,液体の浸入,清掃,滅菌,消毒及び適合性
*44.7.201 清掃,滅菌及び消毒 附属書AAA参照。
49. 電源の遮断
*49.201 電源の遮断 システムは,システムの医用電気機器又は非医用電気機器の遮断及び復帰が,意図
した機能の中断又は停止以外の危害を生じないように設計する。
(試験)適合性は,一つずつ関連する電源の遮断及び復帰によって確認する。
第8章 作動データの正確度及び危険な出力に対する保護
第9章 異常作動及び故障状態;環境試験
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T 0601-1-1:2005 (IEC 60601-1-1:2000)
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52. 異常作動及び故障状態
52.1.201
備考 プログラマブル電気医用システムから生じる機能的危険の予防に対する要求事項は,IEC
60601-1-4で規定している。
第10章 構造上の要求事項
56. 部品及び組立一般
56.3.201 接続 電気,水圧,圧搾空気及びガスの接続末端部と接続器の設計及び構造は,工具を使用しな
いで取外しのできる接触可能な接続器の誤接続が危害を生じるおそれがある場合には,次によってそのよ
うな誤接続を防止する。
− 接続器は,JIS T 0601-1の17. g) に適合するものとする。
− 患者回路導線の接続用プラグは,危害を生じるおそれがないことが証明できない限り,患者環境に
置かれる可能性が高い同一システムの他の出力ソケットに接続ができないように設計する。
(試験)適合性は,可能な場合には接続器の差換えによって,危害(正常状態における値を超える漏れ電
流,動き,温度,放射など)を生じないことを確定するための調査によって確認する。
57. 電源部:部品及び配置
57.2 電源コネクタ,電源ソケットなど
備考 システムの安全性に悪影響を与える可能性がある他の機器の意図しない接続を防止することを
目的とするために,電源コネクタの固定は要求しない。システムの結線の変更は危険であり,
この規格の適用範囲外である。警告が6.8.201に規定してある。
*57.2.201 マルチタップ 機器とマルチタップとの接続は,工具を使用しなければ接続できないか,又は
マルチタップは分離変圧器を介して給電する。
(試験)適合性は,調査によって確認する。
分離変圧器及びマルチタップは,附属書EEEの要求事項に適合しなければならない。
57.10 沿面距離及び空間距離
57.10.201 分離装置 分離装置の沿面距離及び空間距離は,表201による。
基準電圧(U)は,最高定格供給電圧,又は多相電源機器においては中性線に対する位相線の電圧とす
る。内部電源機器については,基準電圧(U)を交流250 Vとする。
表 201 分離装置の沿面距離及び空間距離
単位 mm
U 直流(電圧)
15
36
75
150
300
450
600
800
900
1 200
交流(電圧)
12
30
60
125
250
400
500
660
750
1 000
空間距離
0.8
1
1.2
1.6
2.5
3.5
4.5
6
6.5
9
沿面距離
1.7
2
2.3
3
4
6
8
10.5
12
16
備考 この表は,JIS T 0601-1の表16の基礎絶縁又は補強絶縁をもとにしたものである。
(試験)適合性は,調査によって確認する。
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T 0601-1-1:2005 (IEC 60601-1-1:2000)
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58. 保護接地:端子及び接続
*58.201 システムの保護接地 保護接地の接続は,システムの一つの機器を取り外したときにシステムの
いずれの部分の保護接地を遮断することがなく,かつ,電気エネルギーの供給も遮断しない方法とする。
すべての保護接地線及び電源コードは,一緒に配線する。
追加保護接地線は,システムの非移動形機器に永久的に接続し,かつ,工具を使用しなければ着脱でき
ないようにする。
(試験)適合性は,調査によって確認する。
59. 構造及び配置
59.201 配線の保護 システムの個々の機器を接続する導線は,機械的損傷に対して保護をしなければな
らない。
(試験)適合性は,調査によって確認する。
備考 記載寸法は,参考である。
図 201 患者環境の例
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T 0601-1-1:2005 (IEC 60601-1-1:2000)
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附属書AAA(参考)概説
この附属書は,本体及び附属書(規定)に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。
適用範囲 この規格は,一つ以上の医用電気機器を含む電気機器の組合せを組立て及び販売する製造業者
が使用することを意図したものである。機器は分離してもよいし,又は単独若しくはそれらを組み合わせ
たものでもよい。
この規格は,同様なシステムを組み合わせる医療施設の従事者が使うことも意図している。この場合,
電気機器の設計規格を扱う専門技術者は,そのシステムがこの規格のすべての要求事項に適合することを
確実にする必要があるかもしれない。
医療における最近の電子及び生体工学の急速な発展と利用は,1台の医用電気機器よりもむしろ複雑で
大規模な電気機器のシステムを患者の診断,治療及び監視に適用するという状況になっている。
このようなシステムは,互いが直接又は間接的な方法で接続されている。そして,これらの機器は必ず
しも医用のために製造されたものだけではなく,もともとは他の分野で使用するために製造された機器(非
医用電気機器)が多く組み合わされるようになってきた。JIS T 0601-1に適合する医用電気機器は,他の
非医用電気機器と接続してもよい。また,非医用電気機器の各々がそれらの分野で適用する安全規格で規
定した要求事項に完全に適合すればよい。しかし,それらは,医用電気機器の安全要求事項に必ずしも適
合するとは限らないので,システム全体の安全に影響を与えるかもしれない。
電気機器は,患者の診断,治療又は監視を意図する診療室か若しくは医療が行われない非診療室に設置
してもよい。電気機器は,診療室内において,患者環境として定義した領域の内部又はその外側に置かれ
るかもしれない。
医療においては,次の二つの状態が存在する。
a) この規格を適用しない場合。
同時に作動する医用電気機器,例えば,異なった医用電気機器が同時に一人の患者に接続されてい
るが,それらの機器は互いに接続していない。このような医用電気機器は,互いに影響を及ぼすこと
がある。例えば,手術室における高周波手術器は,患者監視に影響を与えるかもしれない。
備考 それぞれの医用電気機器には,取扱説明書に説明があるであろう。
b) この規格を適用する場合。
患者の診断又は治療のような目的で医用電気機器及び非医用電気機器とで構成する機器間を永久的
か又は一時的に接続したシステムがある。例えば,診断用X線検査,ビデオカメラと組み合わせた内
視鏡,患者監視,パーソナルコンピュータと接続した超音波機器,CT(コンピュータ断層装置)又は
MRI(磁気共鳴画像装置)のシステムがある。
このようなシステムのさまざまな部分は,患者環境又はその外側ではあるが診療室の内部に置いて
あるかもしれない,又は例えば,電源装置若しくはデータ処理機器が置いてある非診療室に配置され
るかもしれない。
2.201 医用電気システム システムでのマルチタップの使用を許容した理由。
JIS T 0601-1の安全レベルを損なうことを最小限にするため,マルチタップを電源に接続するには,特
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T 0601-1-1:2005 (IEC 60601-1-1:2000)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
定の条件に従わなければならない。追加の57.2.201では,マルチタップは,医用電気機器に適用するJIS T
0601-1の要求事項に適合させた構造とするように要求している。
2.202 患者環境 診断,監視又は治療を行う空間領域に対して,唯一の寸法を当てはめることは困難であ
る。しかし,参考として示した図201の患者環境の寸法は,現実的な値である。
2.203 分離装置 システムへの機器の組み込みは,電力の搬送及び/又は信号の伝送をするため,接続を
伴うことがある。このような場合,同様の分離要求事項が必要である。
2.204 マルチタップ 定義は,IEC 60884-1から引用した。
マルチタップは,ときには必要なものであるが利点も欠点もある。それらの利点と欠点のバランスをと
るため調査することが必要である。
次の理由によって,マルチタップは必要となるかもしれない。
− 床の上の電源コードの数を最小限にする。
− 不十分な数の固定電源ソケットでも,適切な治療又は診断のために必要なすべての機器が使える。
− 一つのトロリ上にすべての機器を乗せて移動性を改善する。
− 幾つかの固定設備の保護接地線の中で生じる電位差を減少させる。
次の理由によって,マルチタップの使用は可能な限り避けることが望ましい。
− 複合した接地漏れ電流は,次の結果を生じるかもしれない。
・正常状態における過度の接地漏れ電流
・マルチタップの供給ケーブルの保護接地線が断線する単一故障状態における過度の外装漏れ電流
− 電源(商用)の供給可否は,単一の固定電源ソケットの信頼性に依存している。
− 電源が完全に遮断する可能性があり,かつ,完全なシステムの再起動のために長いセットアップ時
間が必要となることがある。
− 電気設備に対し,たった一つの保護接地しかない。これは,システムの各部分を直接接地した場合
よりも信頼性に欠ける。
− 保護接地抵抗が増加する。
最適な解決方法は,明らかに,該当する設置基準に従って十分な数の固定電源ソケットを設置すること
である。
2.205 機能的接続 医用電気システムの定義では,非医用電気機器が医用電気機器に電源を供給できるよ
う機能的接続を含めている。電源を,この規格の要求事項によって限定している(3.201.3及び10.2.2.201
参照)。
“又はその他の方法で”の表現は,例えば,機械的接続,光学的接続又は無線を含むことがある。
3.201 システムに関する一般的要求事項 規格への適合に関する適切な文書は,製造業者による適合宣言
書でもよい。又は試験機関の証明書でもよい。
3.201.3 指定電源 組立て後の安全は,例えば,次の一つ以上の手段で確保される。
− 例えば,関連する回路の分離のような,医用電気機器に組み込んだ手段。
− 医用電気機器の附属品として用意した分離装置(17.201参照)。
− システムの附属品として用意した分離装置。
− 分離変圧器。
− 追加保護接地線。
非医用電気機器は,JIS T 0601-1の4.7 g),6.8.2 h),19.1 c) 及び図17に従って,医用電気機器のための
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T 0601-1-1:2005 (IEC 60601-1-1:2000)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
指定電源を備えてもよい。指定電源は,JIS T 0601-1の要求事項を満たすか,又はJIS T 0601-1の3.4で許
容されるものと同等の安全性が得られることを証明しなければならない(IEC 60513参照)。
3.201.4 システム システムは,本来,頻繁に組合せが変更される。ただし,この規格は,システムの個々
の機器の交換については言及しない。
6.8.201 システムの附属文書 心臓への直接使用を意図するシステムに附属する文書は,次の項目に関す
る情報を提供することが望ましい。
− ゴム手袋の使用
− 絶縁材料製の活栓(例えば,三方活栓など)の使用
− 患者とシステムを構成する機器との間の最小距離(患者環境)
− 代表的な使用例における医用電気機器の使用方法に関する説明,例えば,カテーテルの使用
患者環境で電極又は他の身体センサが,心臓への直接接続を含め体外又は体内で患者に使用される場合
には,安全上の理由で危険のレベルが異なることに対して特別な注意を払うことが望ましい。
患者の心臓への接続が生じるかもしれない部分は機器から離しておくことが望ましい。
マルチタップを床に置かないように警告することは液体の侵入及び機械的損傷を防ぐためである。
マルチタップを組み込んだシステムを組み立てたり又は組合せを変更する場合には,更に正常状態及び
輸送時における液体の侵入及び機械的損傷を防ぐための手段を備えることが望ましい。
非医用電気機器の該当する安全規格では,JIS T 0601-1の10.2で規定した環境条件範囲よりも狭い範囲
を要求しているかもしれない。システムの中の非医用電気機器をその環境条件範囲よりも広い10.2で規定
した環境下で作動させる場合,危害が生じる可能性があるので,JIS T 0601-1と比較してシステム又はシ
ステムの部分の環境条件に対する制限をシステムの附属文書に記述することが望ましい。
10.2.2.201 電源 この要求事項は,システムのレベルでJIS T 0601-1に従った安全レベルを保証するため
のものである。
17.201 電気的分離 幾つかの医用電気機器の安全は,いかなる信号入力部又は信号出力部もこの目的の
ために指定した機器にだけ接続するという前提条件によっている。そうしなければ,信号線を経由して流
れてくる不要な電流によって漏れ電流が増加してしまうことがある。
医用電気機器の信号入力部又は信号出力部が,診療室の外で,もし他の建物内のほかの電源(商用)の
分岐回路に接続されている機器に接続した場合には,危険な状態が生じるかもしれない。
分離装置は,患者及び操作者への危険を防止する。それは,できる限り医用電気機器に近づけて配置す
ることが望ましい。それに加えて分離装置があるということは,ケーブルを経由して流れる好ましくない
電流に起因して生じる機器の故障による危険を防止するのにも役立つ。
分離装置の必要性はシステムの構成に依存する。
19.201 漏れ電流 幾つかの非医用電気機器の該当する規格は,この規格の要求より大きい外装漏れ電流
の制限値を許容しているかもしれない。これらの大きい制限値は患者環境の外でだけ許容される。非医用
電気機器を患者環境で使用する場合,外装漏れ電流を減少させることが必要である。漏れ電流を減少させ
る手段は,次のいずれかを含んでいればよい。
・追加の保護接地した部分
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T 0601-1-1:2005 (IEC 60601-1-1:2000)
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・分離変圧器
・追加の非導電性の外装
接続ケーブル及びそれらの接続器のケースは外装部分なので,19.201.1が要求する患者環境での漏れ電
流制限値を適用する。
分離変圧器をも備えていないマルチタップを使用すると,その保護接地の断線によって外装漏れ電流が
個々の接地漏れ電流の和になるかもしれない。
44.7.201 清掃,滅菌及び消毒 システムは,システムの附属文書で規定された必要な洗浄及び,該当する
場合,消毒及び滅菌手段を使用者が行うことができるような方法で設置することが望ましい。国家当局は,
確実な消毒又は滅菌方法の使用及び可燃性麻酔剤の点火の危険に対する保護手段を要求してもよい。
49.201 電源の遮断 遮断が引き起こす予期しない動き,圧迫力の解除及び危険な状態が起きたときに患
者環境から患者を安全に退避させることに注意を払うようにすることが望ましい。
57.2.201 マルチタップ システム外機器の追加接続を阻止又は防止しなければ,過度の外装漏れ電流が生
じる可能性がある。
58.201 システムの保護接地 患者環境において,システムの異なった部分間の電位差を制限することは
重要なことであり,かつ,保護接地系への適切な接続は電位差の制限において重要な役割を果たす。した
がって,システムのいかなる部分においても保護手段の遮断を防ぐことは重要なことである。
− 単一故障状態で外装漏れ電流が許容限界を超える場合,追加保護接地を用いることができる。
− 追加保護接地は,JIS T 0601-1に適合した医用電気機器には必要ない。しかし,非医用電気機器の
場合,これは外装漏れ電流が許容限界を超えることを防止する。
− 電源プラグは,電源と保護接地の両方を外すので電源プラグを外すために工具の使用は必要ない。
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T 0601-1-1:2005 (IEC 60601-1-1:2000)
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附属書BBB(参考)医用電気機器と非医用電気機器との組合せの例
この附属書は,本体及び附属書(規定)に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。
BBB.1 序文 異なった機器の組合せが,様々な医用環境下において使用する場合に生じるかもしれない
組合せ状態の概要を示す。この概要をわかりやすくするため,各組合せ状態ごとに二つの機器(A及びB)
で説明する。
BBB.2 医療環境内の場所 次の場所を想定することができる(表 BBB.201も参照)。
− 診療用に使う部屋の一部分としての患者環境,
− 患者環境を除く診療用に使う部屋,
− 診療用以外に使う部屋(診療用として設計していない部屋,例えば,事務又は保管室)。
各々の場所ごとに保護接地をすることができる。
備考 異なった場所における保護接地間に電位差(V)が存在することがある。患者環境内の機器の
保護接地線の断線(故障状態)が生じたとき,操作者,操作者が機器と患者を同時に触れてい
るときの患者か又はその機器がB形装着部をもつ場合は患者に危害を与えるような電位差が機
器の外装に現われるかもしれない。
BBB.3 基本的考え方
− 患者は,JIS T 0601-1又はIEC 60601-1に適合する機器の装着部だけに接続することが望ましい。そ
の他の機器は,関連するIEC又はISO規格に適合するか,又は関連するJISの安全規格,電気用品
安全法の技術基準か,若しくはそれらと同等の安全性をもつことが望ましい。
− 故障状態における外装漏れ電流の許容値は,0.5 mAである。
− もともと非医療用に適用される安全規格(ここでは,IEC XXXXXと表現した)に適合し,かつ患
者環境に置かれるすべての機器は19.201.1で規定した値を超える場合,外装漏れ電流を制限する手
段が必要である。
BBB.4 例 患者環境内に二つの機器が置かれている(表BBB.201の状態No. 1参照)。
1a,1b及び1cに示したように三つの可能性がある。
1a: JIS T 0601-1又はIEC 60601-1に適合したA及びBの二つの機器がある。問題は何もない。
1b: JIS T 0601-1又はIEC 60601-1に適合したAとIEC XXXXXに適合したBの機器がある。いかな
る単一の保護接地線又は機器の同等の導線が断線した場合,機器Bの外装漏れ電流に関してだけ
制限する。必要に応じて追加保護接地又は分離変圧器を機器Bに適用する。
1c: 機器Aは,機器Bの指定電源から電力の供給を受ける。機器Bは,製造業者が規定した指定電源
に対する手段を必要とし,かつ,3.201.3の要求事項を満たす。必要に応じて追加保護接地又は分
離変圧器を機器Bに適用する。
備考 状態2及び状態3は,表BBB.201による。
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T 0601-1-1:2005 (IEC 60601-1-1:2000)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表 BBB.201 医用電気機器及び非医用電気機器の組合せ
状態No.
診療用に使われる部屋
診療用以外に
使われる部屋
可能な解決方法
患者環境
患者環境外
1 1a
機器A及びBは,
患者環境内
A
JIS T
0601
B
JIS T
0601
1b
機器A及びBは,
患者環境内
機器B:追加保護
接地又は分離変圧
器
A
JIS T
0601
B
IEC
XXXXX
1c
患者環境で,機器
Aは,機器Bの
指定電源から電
力の供給を受け
る
機器B:追加保護
接地又は分離変圧
器
A
JIS T 0601
B
IEC XXXXX
2 2a
機器Aは患者環
境内,機器Bは
診療室内
A
JIS T
0601
B
JIS T
0601
2b
機器Aは患者環
境内,機器Bは
診療室内
機器B:19.201及
びその理論的説明
参照
A
JIS T
0601
B
IEC
XXXXX
3 3a
機器Aは患者環
境内,機器Bは
非診療室内
機器B:19.201及
びその理論的説明
参照
A
JIS T
0601
B
JIS T 0601又は
IEC XXXXX
共通保護接地
3b
機器Aは患者環
境内,機器Bは
非診療室内
機器B:追加保護
接地又は分離装置
A
JIS T
0601
B
JIS T 0601又は
IEC XXXXX
保護接地
電位差をもつ保護接地
表の要点
・追加保護接地:必要に応じ,永久的に接続された追加保護接地を設ける(58.201も参照)。
備考 機器の改造が必要かもしれない。
・分離変圧器:必要に応じ,附属書EEEに従って,追加分離変圧器を用いて外装漏れ電流を制限する。
備考1. 機器の改造は必要ない。
2. 分離変圧器とは,少なくとも基礎絶縁によって出力巻線から分離された一つ以上の入力巻線をもつ変圧
器である[IEC 60989]。
・分離装置:必要に応じ,分離装置を適用する。
・JIS T 0601:JIS T 0601-1又はIEC 60601-1に適合した医用電気機器
・IEC XXXXX:関連するIEC安全規格に適合した非医用電気機器又は関連するJISの安全規格,電気用品安全法の
技術基準か若しくはそれらと同等の安全性をもつ非医用電気機器
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T 0601-1-1:2005 (IEC 60601-1-1:2000)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書CCC(規定)引用規格
次の規格は,この規格の本文に引用されることによって,このJIS T 0601の部分の規定を構成する。年
号のある参考規格に関しては,これら参考規格への修正又は改正は適用しない。しかし,このJIS T 0601
の部分に基づいて同意した関係団体は,次に示した引用規格の最新版を適用する可能性を調査するように
薦められている。IEC及びISOの委員は現時点で有効な国際規格の登録簿(刊行表)の維持管理をしてい
る。
JIS T 0601-1:1999 医用電気機器−第1部:安全に関する一般的要求事項
IEC/TR3 60083:1997 Plugs and socket-outlets for domestic and similar general use standardized in member
countries of IEC
IEC 60529:1989 Degrees of protection provided by enclosures(IP Code)
IEC 60601-1:1988 Medical electrical equipment−Part 1: General requirements for safety
Amendment 1(1991)
Amendment 2(1995)
IEC 60884-1:1994 Plugs and socket-outlets for household and similar purposes−Part 1: General
requirements
Amendment 1(1994)
Amendment 2(1995)
IEC 60989:1991 Separating transformers, autotransformers, variable transformers and reactors
備考1. 参考規格は,附属書DDDを参照。
2. 機器又はシステムにおいて,医療施設の電気設備は考慮すべき重要な点がある。幾つかの国
では特別な要求事項が適用される。
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T 0601-1-1:2005 (IEC 60601-1-1:2000)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書DDD(参考)参考規格
この附属書は,本体及び附属書(規定)に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。
IEC 60065:1998 Audio, video and similar electronic apparatus−Safety requirements
IEC 60335-1:1991 Safety of household and similar electrical appliances−Part 1: General requirements
Amendment 1((1994)
IEC 60601-1-4:1996 Medical electrical equipment−Part 1: General requirements for safety−4. Collateral
standard: Programmable electrical medical systems
Amendment 1(1997)
IEC 60825-1:1993 Safety of laser products−Part 1: Equipment classification, requirements and user's guide
Amendment 1(1997)*
IEC 60950:1999 Safety of information technology equipment
IEC 61010-1:1990 Safety requirements for electrical equipment for measurement, control, and laboratory use
−Part 1: General requirements
Amendment 1(1992)
Amendment 2(1995)
ISO 7767:1997 Oxygen monitors for monitoring patient breathing mixtures−Safety requirements
ISO 8185:1997 Humidifiers for medical use−General requirements for humidification systems
ISO 8359:1996 Oxygen concentrators for medical use−Safety requirements
ISO 9918:1993 Capnometers for use with humans−Requirements
ISO 10079-1:1991 Medical suction equipment−Part 1: Electrically powered suction equipment−Safety
requirements
注* IEC 60825-1及びその追補1(1997)を含む改正版1.1(1998)がある。
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T 0601-1-1:2005 (IEC 60601-1-1:2000)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書EEE(規定)マルチタップに関する要求事項
EEE.1 分離変圧器付きマルチタップ マルチタップは,機器又は非医用電気機器から独立していてもよい
し,又はその一体部分でもよい。
分離変圧器は,IEC 60989の要求事項に適合しなければならない。ただし,最大定格出力(1 kVA)及び
保護の程度(IPX4)を除く。
備考 単一故障状態におけるシステムの外装漏れ電流が0.5 mA以下であるので,絶縁変圧器(例
えば,IEC 60742)の要求として二重絶縁又は強化絶縁を要求しない。したがって,分離変
圧器で十分である。
分離変圧器装置は,クラスⅠとする。
備考 この要求は,保護接地線をもつ機器を接続するためのものである。
分離変圧器装置は,必要な場合,IEC 60529:1976で詳細に規定した水の侵入に対して指定の保護の程
度をもたなければならない。
IEC 60989で規定した変圧器に対する1 kVAの定格出力電力の制限は適用しない。
備考 IEC 60989では出力電力の制限は説明していないが,定格出力電力は設備のヒューズ及び
許容できる電源コードの使用によって規定されている。しかし,JIS T 0601-1の10.2.2で
規定した制限内にあるシステムの種々の機器に対する電源電圧を確保するために,システ
ムの負荷電流の変化を考慮し,注意して変圧器の特性を選定する。
IEC 60989の要求に加えて,分離変圧器装置はJIS T 0601-1の6.1及び6.2の要求事項に従った表示をす
る。
マルチタップは,最大許容出力を表示する。
マルチタップは,変圧器に永久的に固定するか,又は分離変圧器装置の出力ソケットは,IEC/TR3 60083
に従った電源プラグが接続できないタイプとする(附属書FFF参照)。
備考 分離変圧器の絶縁状態は監視する必要はない。単一故障状態は,日常の保守管理で検知で
きることであり,二重故障については取り扱わない。変圧器の二次巻線の中点を保護接地
した構造を認めるが,これは要求ではない。
マルチタップは,JIS T 0601-1の附属書Dの表D1の図記号14の表示をしなければならない。
(試験)適合性は,調査及びJIS T 0601-1の関連する要求事項によって確認する。
EEE.2 マルチタップ マルチタップは,IEC 60884-1及び次による。
− 沿面距離及び空間距離は,JIS T 0601-1の57.10に適合する。
− マルチタップはクラスⅠで,かつ,保護接地線はソケットの接地刃に接続する。
− 保護接地端子及び保護接地接続は,JIS T 0601-1の58. に適合する。
− 外装は,JIS T 0601-1の16. に適合する。
− 電源端子盤は,もしあるのならば,JIS T 0601-1の57.5に適合する。
− 部品の定格は,使用の条件と矛盾しない[JIS T 0601-1の56.1 b) 参照]。
− JIS T 0601-1の56.3に規定した接続に関する要求事項に適合する。
− JIS T 0601-1の57.3及び57.4で規定した電源コードに関する要求事項を満たす。
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T 0601-1-1:2005 (IEC 60601-1-1:2000)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
− 保護接地は,JIS T 0601-1の18. に適合する。
備考 システムの保護接地の合計インピーダンスは,0.4 Ωまで又はJIS T 0601-1の18. g) の条
件を満たす場合はそれ以上の値も許容する。
− JIS T 0601-1の附属書Dの表D1の図記号14の表示をする。
(試験)適合性は,調査及びJIS T 0601-1の関連する要求事項によって確認する。
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T 0601-1-1:2005 (IEC 60601-1-1:2000)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書FFF(参考)マルチタップの使用例
この附属書は,本体及び附属書(規定)に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。
A
工具を使用しなければ着脱できないマルチタップ
A方向から見た図
(電源プラグを接続した状態)
マルチタップ
マルチタップの固定板
スペーサ
カバー
機器の電源プラグ
19
T 0601-1-1:2005 (IEC 60601-1-1:2000)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
マルチタップ
特別のソケットをもつ分離変圧器
マルチタップ
永久接続したマルチタップをもつ分離変圧器
マルチタップを組み込んだ分離変圧器
基本回路
アウトレット
1:1
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。