サイトトップへこのカテゴリの一覧へ

T 0313:2009  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 用語及び定義 ··················································································································· 1 

3 試験装置························································································································· 3 

3.1 試験機 ························································································································· 3 

3.2 試験ジグ ······················································································································ 3 

4 圧縮曲げ強度及び圧縮曲げ剛性の試験方法 ············································································ 4 

4.1 一般 ···························································································································· 4 

4.2 圧縮曲げ強度及び圧縮曲げ剛性の試験手順 ·········································································· 4 

4.3 圧縮曲げ強度及び圧縮曲げ剛性の計算················································································ 5 

5 耐久性試験 ······················································································································ 5 

5.1 一般 ···························································································································· 5 

5.2 耐久性試験の手順 ·········································································································· 5 

5.3 耐久性試験結果の表し方 ································································································· 6 

6 試験結果の報告 ················································································································ 6 

T 0313:2009  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,独立行政法人産業技術総合研究所(AIST)及び

独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申

出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,厚生労働大臣及び経済産業大臣が制定した日本工業規格で

ある。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。厚生労働大臣,経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,

このような特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確

認について,責任はもたない。 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格 

      JIS 

T 0313:2009 

金属製骨接合用品の圧縮曲げ試験方法 

Testing methods for compression bending properties of metallic 

osteosynthesis devices 

序文 

我が国は,高齢化社会の入り口にさしかかり,身体機能を補うため,体内に医療材料を埋入する手術が

増加傾向にあり,性能のより優れた新製品の開発が期待されている。新製品開発には,製品の試験方法を

標準化することが必要であり,特に,骨接合用品については,力学的性能の試験方法を標準化することが

不可欠である。この標準化によって,我が国の医療産業を活性化するとともに,高性能の製品を提供する

ことで,患者の社会復帰の推進及び生活の質 (QOL) の向上を図ることができる。 

適用範囲 

この規格は,圧縮曲げモーメントが作用する部位に使用される金属製骨接合用品の圧縮曲げ強度,圧縮

曲げ剛性及び耐久性の試験方法について規定する。 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。 

2.1 

金属製骨接合用品 (metallic osteosynthesis devices) 

骨折の固定などに用いる金属製インプラントで,骨癒合が得られるまでの期間使用されるもの。体内に

埋め込む内固定材として,骨幹端プレート,コンプレッションヒップスクリュー,ショートフェモラルネ

イル,髄内てい(釘)(2.6参照)などがある。 

2.2 

骨幹端プレート (metaphyseal plate) 

長管状骨骨幹端部の骨折治療に使用される板状(T字形,L字形など)の金属製インプラント。骨端プ

レートともいう。 

2.3 

有角プレート (angle plate) 

長管状骨骨幹端部の骨折の固定又は矯正骨切りの固定に使用される金属製インプラント。骨皮質表面に

設置される板状部と,それに対して角度をもって骨内に刺入される部分とから構成される。 

2.4 

コンプレッションヒップスクリュー [compression hip screw (CHS)] 

大たい(腿)骨転子部骨折などの治療に用いられる金属製インプラント。大たい(腿)骨頭内に挿入さ

れるラグスクリューと,骨皮質表面に設置される板状部(サイドプレート)とを組み合わせて使用する。

T 0313:2009  

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

板状部の近位端には筒状構造があり,ここに挿入されたラグスクリューが滑動する機能をもつ。板状部に

は,骨を固定するためのねじを挿入する穴が複数ある。 

2.5 

ショートフェモラルネイル (short femoral nail) 

大たい(腿)骨転子部骨折などの治療に用いられる金属製インプラント。大転子部から大たい(腿)骨

骨髄内に挿入されるロッドと,ロッドの近位部にある斜めの穴を通過して大たい(腿)骨頭内に挿入する

ラグスクリューとを組み合わせて使用する。骨頭内に挿入されたラグスクリューは,滑動する機能をもつ。

また,ロッドの遠位部には,横止めスクリューが通過する穴が設置されている。 

2.6 

髄内てい(釘)(intramedullary nail) 

長管状骨の髄くう(腔)内に挿入して,骨折部を固定するための金属製インプラント。金属製ロッドの

近位又は遠位端に複数の穴があり,ねじと組み合わせて使用するタイプもある。 

2.7 

模擬骨 (model bone) 

インプラントの力学試験のために開発され,複合材料で構成された大たい(腿)骨,けい(脛)骨など

の強度を模擬した骨。 

2.8 

圧縮曲げ強度 (compression bending strength) 

指定したオフセット荷重点での曲げモーメントの値。通常,単位は,N・mを用いる。 

2.9 

圧縮曲げ剛性 (compression bending stiffness) 

荷重−変位曲線から測定された弾性域での傾き。通常,単位は,N・m−1を用いる。 

2.10 

繰返し波形 (cyclic wave shape) 

最大荷重と最小荷重との間を一定の振幅で周期的に変動する波形。正弦(サイン)波が一般的である。 

2.11 

繰返し荷重 (cyclic load) 

最大荷重と最小荷重との間を一定の振幅で周期的に変動する荷重。 

2.12 

荷重比 (load ratio) 

試料に作用する最小荷重と最大荷重との比(最小荷重/最大荷重)。 

2.13 

繰返し周波数 (cyclic frequency) 

1秒間当たりの繰返し数。通常,単位は,ヘルツ (Hz) を用いる。 

2.14 

繰返し数 (number of cycles) 

試料に一定の振幅で繰返し荷重を加えたときに積算される繰返し回数。 

2.15 

L-N曲線 (L-N curve) 

縦軸に最大荷重 (L) を等間隔目盛で,横軸に破断までの繰返し数 (N) を対数目盛で描いた曲線。 

T 0313:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記 最大荷重の代わりにモーメント (N・m) を用いる場合には,M-N曲線とする。 

2.16 

耐久限 (durability limit) 

L-N曲線が横軸に水平となる場合の最大荷重の値。L-N曲線が横軸に水平にならない場合には,L-N曲線

において指定する繰返し数での最大荷重を耐久限とする。 

2.17 

レバーアーム (lever arm) 

試料を固定したときの荷重点と支点(固定部)との間の水平距離。通常,単位はmを用いる。 

試験装置 

3.1 

試験機 

試験機は,次による。 

a) 圧縮曲げ試験機は,荷重負荷部及び試料保持部(ジグ)からなる。 

b) 圧縮曲げ試験では,荷重負荷部(クロスヘッド)の移動速度を制御して,試料に圧縮曲げ荷重を与え

ることができ,圧縮曲げ以外のモーメントが,試料に作用しない構造のものでなければならない。ま

た,過負荷防止機能及びクロスヘッドの移動量(変位量)の測定機能を備えるものとする。 

荷重の読取り誤差の範囲は,最大荷重の±1 %以下とする。変位の計測器は,0.01 mmまで読み取

ることができるものとする。 

c) 耐久性試験では,前記に加え,正弦(サイン)波などの関数発生機能及び破断までの繰返し数(107

回程度)の計測機能を備え,繰返し荷重及び繰返し周波数を一定に保ち,連続して耐久性試験ができ

る機能を備えなければならない。 

d) ロードセルは,必要に応じて定期的(例えば,2年以内)に校正しなければならない。 

3.2 

試験ジグ 

試験ジグは,次による。 

試料の固定方法の例を,図1に示す。 

a) 骨幹端プレート用ジグの底部には,台座の上を転がるように,ころを附属した構造とする。骨幹端プ

レートは,ねじなどを用いてジグに取り付ける。 

b) CHS及びショートフェモラルネイルについては,ラグスクリュー先端のねじ部の中央に荷重がかかる

ように,ラグスクリューの動きに追従してジグの角度が変化する構造とする。ラグスクリュー先端の

ねじ部をジグで挟み込むように固定するとよい。また,ラグスクリュー先端のねじ部の中央に荷重を

負荷し,台座が動く構造でもよい。 

CHSは,試料ごとにサイドプレートの内側の曲がり(カーブ)及びねじ穴の位置に合わせた状態で

ねじなどによってジグに取り付ける構造とし,ショートフェモラルネイルは,ネイルのてい(釘)の

下部を挟み込んで固定する構造とする。ただし,形状によってねじなどで十分固定できない製品では,

サイドプレートを挟んで固定してもよい。また,ねじなどを用いずに製品が固定できる場合には,類

似の固定法でもよい。 

background image

T 0313:2009  

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

       a) 骨幹端プレート 

b) CHS 

     c) ショートフェモラルネイル 

図1−圧縮曲げ試験ジグの例 

圧縮曲げ強度及び圧縮曲げ剛性の試験方法 

4.1 

一般 

圧縮曲げ強度及び圧縮曲げ剛性の試験は,骨幹端プレート,有角プレート,CHS,ショートフェモラル

ネイル及び試験可能な類似の製品に対して行う。 

4.2 

圧縮曲げ強度及び圧縮曲げ剛性の試験手順 

圧縮曲げ強度及び圧縮曲げ剛性の試験手順は,次による。 

a) 試験ジグを試験機に取り付ける。 

b) レバーアーム距離(図1でのLに相当)を計測し,骨幹端プレート,CHSなどでサイドプレート部に

ねじ穴がある構造では,プレート最上部の穴を一つ(以下,1穴という)あけて,試料をジグに固定

することが望ましい。 

ショートフェモラルネイルは,ネイルのロッド部分を挟み込み,ねじなどで固定する。固定する長

さは,60〜70 mmを目安に,ネイルの形状に応じて適切な長さで固定する。ただし,ねじ穴が少ない

などの理由で1穴をあけて固定できない場合には,すべての穴を固定してもよい。 

なお,ラグスクリューの固定は,臨床で使用する条件に近い位置で,ねじなどを用いた押さえによ

って固定する。 

有角プレートは,CHSと同様に固定する。 

c) 骨幹端プレートなどで,製品単体に比べ,骨折部と一体で試験した方が試験しやすい製品では,骨折

部を設けた模擬骨などを用いて,圧縮曲げ試験を行ってもよい。 

注記 力学的試験用模擬骨としては,ASTM F 1839に準じて作製されたSawbones社 (Pacific 

Research Laboratories, Inc, Vashon, WA, USA) 製がある。 

d) 荷重点の移動速度は,10 mm/minの速度で一定にし,十分に永久変形するまで圧縮曲げ荷重を負荷し,

図2のような荷重−変位曲線を求める。そのとき,試験前に試料に余分な荷重を負荷しないよう注意

する。 

background image

T 0313:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

e) 荷重を負荷する前のレバーアーム距離の0.2 %変位量に相当するオフセット変位に対する荷重を,荷

重−変位曲線から測定し,オフセット荷重とする。ただし,0.2 %変位量が小さすぎて測定できない

場合には,レバーアーム距離の2 %変位量をオフセット変位とする。また,模擬骨折部を設けた模擬

骨を用いた試験では,骨片(模擬骨折部)間の距離の2 %変位量又は模擬骨折部の上下ねじ間の距離

の2 %変位量をオフセット変位とする。 

f) 

試験環境条件は,通常,室温・常湿の大気雰囲気とする。 

g) 試料は,2個以上の試料を用いて行う。 

図2−荷重−変位曲線 

4.3 

圧縮曲げ強度及び圧縮曲げ剛性の計算 

圧縮曲げ強度は,個々の試料の荷重−変位曲線から,次の式によって算出する。 

P

L

M

×

=

ここに, 

M: 圧縮曲げ強度 (N・m) 

L: 荷重が負荷される前のレバーアーム距離 (m) 

P: オフセット荷重 (N) 

圧縮曲げ剛性は,個々の試料の荷重−変位曲線の傾き(図2参照)から求める。 

耐久性試験 

5.1 

一般 

耐久性については,比較的大きな荷重が長期間作用し,製品の耐久性試験が必要な場合に行う。 

5.2 

耐久性試験の手順 

試験の手順は,次による。 

a) 試料は,4.2によって圧縮曲げ試験機に取り付ける。 

b) 正弦(サイン)波を用い,荷重比0.1の条件で,最大荷重及び最小荷重を試験機に設定する。試験荷

重の設定については,図3の測定例を参考にするとよい。 

c) 繰返し周波数は,通常,1〜3 Hzとする。試料の変形量が大きい場合には,変形が戻る前に次の負荷

がかからない周波数で行う。骨幹端プレートの試験では,1 Hzとすることが望ましい。 

d) 製品単体に比べ,骨折部と一体で試験した方が試験しやすい製品又はねじと一体で試験した方が試験

しやすい製品では,模擬骨などを用いて,耐久性試験を行ってもよい。 

background image

T 0313:2009  

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

e) 荷重を負荷するときは,設定した荷重に速やかに,かつ,衝撃がなく達するようにする。また,試験

中は,最大荷重及び最小荷重を,それぞれ可能な限り一定に保つようにする。 

f) 

繰返し数は,試料が破壊するまでの繰返し数とする。繰返し数が所定の回数以上に達しても破壊しな

い場合には,試験を中止してもよい。繰返し数は,例えば,1×106のように,10nの倍数で表し,有効

数字3けたに丸める。 

g) 試料の数は,8個以上を目安に,L-N曲線(又はM-N曲線)を作成するのに必要な数とする。 

h) 試験環境条件は,通常,室温・常湿の大気雰囲気とする。 

i) 

試験に用いた試料は,再利用してはならない。 

a) CHS 

b) ショートフェモラルネイル 

図3−L-N曲線の測定例 

5.3 

耐久性試験結果の表し方 

L-N曲線による試験結果の表し方は,次による。 

a) 縦軸に最大荷重,横軸に破断までの繰返し数を示し,L-N曲線を作成する。破壊しなかった試料に対

する試験結果を表す点には,横向きの矢印を付ける。また,最大荷重の代わりに,最大モーメント(最

大荷重×レバーアーム距離,M-N曲線)を用いてもよい。 

なお,L-N曲線を作成する必要がない製品では,試験結果に耐久限だけを表示してもよい。 

b) L-N曲線において横軸に水平となる場合の最大荷重,又は1×106回以上の繰返し数での最大荷重を求

めて耐久限とする。 

試験結果の報告 

試験結果は,次の各項目を報告する。 

a) 試験機の名称及び形式,並びにジグの種類 

b) オフセット変位及び負荷条件(レバーアーム距離,繰返し波形,繰返し周波数など) 

c) 圧縮曲げ強度,圧縮曲げ剛性,該当する場合は,L-N曲線(又はM-N曲線)の図及び耐久限 

d) 試料の種類,数,寸法及び製造業者名 

e) 温度,湿度などの試験環境条件 

f) 

試験年月日,試験場所及び試験者名 

T 0313:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

参考文献 ASTM F 1839,Standard specification for rigid polyurethane foam for use as a standard material for 

testing orthopedic devices and instruments