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T 0311:2009  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 1 

4 骨ねじの種類 ··················································································································· 2 

5 試験装置························································································································· 2 

6 試験方法························································································································· 2 

6.1 一般 ···························································································································· 2 

6.2 ねじり破壊試験 ············································································································· 3 

6.3 ねじ込み試験及び引抜き試験 ··························································································· 4 

6.4 耐久性試験 ··················································································································· 4 

7 試験結果の表示 ················································································································ 4 

8 試験結果の報告 ················································································································ 5 

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(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,独立行政法人産業技術総合研究所(AIST)及び

独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申

出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,厚生労働大臣及び経済産業大臣が制定した日本工業規格で

ある。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。厚生労働大臣,経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,

このような特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確

認について,責任はもたない。 

  

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格 

      JIS 

T 0311:2009 

金属製骨ねじの機械的試験方法 

Mechanical testing methods for metallic bone screws 

序文 

我が国は,高齢化社会の入り口にさしかかり,身体機能を補うため,体内に医療材料を埋入する手術が

増加傾向にあり,性能のより優れた新製品の開発が期待されている。新製品開発には,製品の試験方法の

規格が必要となる。インプラント用骨ねじの破損は,手術時にねじ込むとき又は使用期間中に発生するた

め,骨ねじの力学的性能を評価することが重要で,試験方法を標準化することが不可欠である。この標準

化によって,我が国の医療産業を活性化するとともに,高性能の製品を提供することで,患者の社会復帰

の推進及び生活の質 (QOL) の向上を図ることができる。 

適用範囲 

この規格は,金属製骨ねじのねじり破壊試験方法,模擬骨などを用いたねじ込み試験方法及び引抜き試

験方法について規定する。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用

規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS T 0312 金属製骨接合用品の曲げ試験方法 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。 

3.1 

骨ねじ (screw) 

ねじ山を持った円筒形のもので,インプラントを骨に固定するねじ。 

注記 骨折部を直接固定するねじ,インプラント同士を固定するねじなど,用途に応じて様々なタイ

プがある(表1参照)。 

3.2 

模擬骨 (model bone) 

皮質骨及び海綿骨の力学特性を模擬した力学試験用の模擬骨。 

3.3 

ねじり破壊試験 (torsional rupture test) 

骨ねじの力学特性を評価するため,骨ねじが破壊するまで一定の回転速度でトルクを加える試験。 

3.4 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ねじ込み試験 (driving torque test) 

骨ねじのねじ込み特性を評価するため,骨ねじを一定の荷重及び回転速度で模擬骨などにねじ込む試験。 

3.5 

引抜き試験 (pullout test) 

骨ねじの固定性を評価するため,模擬骨などにねじ込まれた骨ねじを一定速度で引き抜く試験。 

骨ねじの種類 

骨ねじ(以下,ねじという。)の種類は,用途及び形状によって,表1のとおりに区分する。 

表1−ねじの種類 

試験装置 

試験機は,次による。 

a) ねじり破壊試験機 ねじをジグに固定した状態で,ねじを破壊するまで一定の回転速度でねじにトル

クを加える構造で,回転角度及びトルクを計測できる機能を備えたものとする。 

トルクの読取り誤差の範囲は,最大トルクの±1 %以下とする。回転角度の計測の最小目盛りは,

0.01°とする。 

b) ねじ込み試験機 ねじの頭に一定の荷重を負荷して,ジグに固定した模擬骨などにねじを押し付け,

ねじを一定の回転速度でねじ込むことができる構造で,必要に応じて,負荷荷重,ねじ込みトルク及

び回転角度を計測できる機能を備えたものとする。 

c) 引抜き試験機 ねじをねじ込んだ状態の模擬骨などのブロックをジグに固定し,ねじを引き抜くこと

ができる構造とし,そのときの引抜き荷重を測定できる機能を備えたものとする。 

d) 荷重及びトルク測定用ロードセルは,必要に応じて定期的(例えば,2年以内)に校正しなければな

らない。 

試験方法 

6.1 

一般 

試験は,皮質骨用ねじ,海綿骨用ねじ及びロッキングボルト,創外固定用ピンなどの製品に対して行う。

ねじり破壊試験,ねじ込み試験及び引抜き試験の例を,図1に示す。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

     a) ねじり破壊試験ジグ    b) ねじ込み試験ジグ     c) 引抜き試験ジグ 

図1−ねじり破壊試験,ねじ込み試験及び引抜き試験の例 

6.2 

ねじり破壊試験 

骨ねじの強度特性を評価するためのねじり破壊試験の手順は,次による。 

a) 通常,五つのねじ山をジグから出した状態で試験を行う。ねじ部が短い場合には,五つより少ない数

のねじ山をジグから出し,ジグに固定してもよい。専用のドライバーを上側のジグに固定し,荷重が

軸方向に負荷されないように注意して,ドライバーをねじ頭に差し込む。ねじ頭がないねじに対して

は,ピンなどをジグでつかむ。 

b) 1分間当たり1回転の速度で,破壊するまでねじり力を加え,図2に示したように,トルク−回転角

度曲線を測定する。 

c) 試験は,2個以上の試料を用いて行う。 

図2−トルク−回転角度曲線の例 

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6.3 

ねじ込み試験及び引抜き試験 

ねじ込み特性又は固定性などの試験手順は,次による。 

a) 模擬骨などへのねじ込み試験では,使用環境を考慮して,適切な力学試験用模擬骨又は類似の材料を

選択する。 

b) 模擬骨などを,例えば,4 cm角のブロックに切断し,試験機下側のジグに固定する。上側のジグに固

定したドライバーをねじの頭に差し込み,又はピンをつかみ,荷重は通常100〜200 Nの範囲で適切な

荷重を負荷し,ねじの先端を模擬骨などに押しつける。 

1分間当たり1回転の速度で,4〜5回転(360°×4=1 440°)までを目安に模擬骨などにねじ込む。

必要に応じて,回転角度とねじ込みトルクの関係を計測する。その場合には,最大トルクを記録する。 

c) 骨に下穴を開け,タッピング後にねじ込むプレタップタイプ,タッピングせずにねじをねじ込むセル

フタップタイプなどがあるが,通常,タッピングなしとする。硬い模擬骨を使用する場合には,試験

の目的に応じて,実際に臨床で使用する方法に従ってあらかじめタッピングを行ってもよい。 

d) ねじ込み試験終了後に,10 mm/minの移動速度でねじを引き抜き,最大引抜き荷重を測定する。 

e) 試験は,2個以上の試料を用いて行う。 

注記 力学的試験用模擬骨としては,ASTM F 1839に準じて作製されたSawbones社 (Pacific 

Research Laboratories, Inc, Vashon, WA, USA) 製がある。皮質骨の模擬骨としては,Solid Rigid 

polyurethane 15 又は20 pcfを,海綿骨の模擬骨としては,Cellular Rigid Polyurethane Foam 20 

pcfを目安に選択するとよい。 

6.4 

耐久性試験 

ねじの耐久性が重要な場合は,JIS T 0312の箇条5(耐久性試験)によって行う。 

試験結果の表示 

試験結果の表示内容は,次による。 

a) ねじり破壊試験では,トルク−回転角度曲線から,2°回転した時点での2°ねじり降伏トルク,及び

破壊した時点の最大トルクを計測する。必要に応じて破壊角度を計測する。ただし,測定精度を考慮

して2°よりも大きめの回転角度の方が望ましい場合には,20°回転した時点でのトルクを計測して

もよい。また,図3の測定例を参考に比較してもよい。 

b) 模擬骨などへのねじ込み試験での最大トルク及び引抜き試験での最大引抜き荷重は,必要に応じてね

じ高さ[(ねじの山径−ねじの谷径)/2]又はアスペクト比(ねじ高さ/ピッチ)を用いて比較しても

よい。 

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a) 2°ねじり降伏トルク 

b) 最大トルク 

図3−2°ねじり降伏トルク及び最大トルクの測定例 

試験結果の報告 

試験結果は,次の項目を報告する。 

a) 試験機の名称及び形式 

b) トルク−回転角度曲線,2°ねじり降伏トルク又は20°トルク,最大トルク。必要な場合には,破壊

角度 

c) 引抜き試験を行った場合には最大引抜き荷重。模擬骨などへのねじ込み試験を行った場合には,模擬

骨などの種類,最大トルク。必要な場合には,ねじ高さ又はアスペクト比 

d) ねじの製造業者名,ねじの種類及び形状(全長,ねじ頭及び先端の形状,ねじ部の長さ,山径,谷径

及びピッチ)並びに試料の数 

e) 温度,湿度などの試験環境条件 

f) 

試験年月日,試験場所及び試験者名 

参考文献 ASTM F 1839,Standard specification for rigid polyurethane foam for use as a standard material for 

testing orthopedic devices and instruments