T 0306:2002
(1)
著作権法により無断での複製,転載等は禁止されております。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,厚生労働大臣及び経済産業
大臣が制定した日本工業規格である。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。厚生労働大臣,経済産業大臣及び日本
工業標準調査会は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願
公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
JIS T 0306には,次に示す附属書がある。
附属書(規定) X線光電子分光法 (XPS) による状態分析
T 0306:2002
(2)
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目 次
ページ
1. 適用範囲 ················································································ 1
2. 引用規格 ················································································ 1
3. 定義 ···················································································· 1
4. 試験片 ·················································································· 2
4.1 形状 ··················································································· 2
4.2 表面仕上げ及び洗浄 ····································································· 2
5. 不動態皮膜の生成 ········································································ 2
6. 分析試料の洗浄及び保管 ·································································· 2
7. 不動態皮膜の状態分析 ···································································· 3
7.1 分析試料の設置 ········································································· 3
7.2 状態分析 ··············································································· 3
8. 測定回数 ················································································ 3
9. 結果の表示 ·············································································· 3
附属書(規定) X線光電子分光法 (XPS) による状態分析 ······································ 9
解 説 ···················································································· 13
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日本工業規格 JIS
T 0306:2002
金属系生体材料の不動態皮膜の
X線光電子分光法 (XPS) による状態分析
Analysis of state for passive film formed on metallic biomaterials by
X-ray photoelectron spectroscopy
1. 適用範囲 この規格は,金属系生体材料の表面に形成する不動態皮膜をX線光電子分光法(XPS又は
ESCAともいう。)を用いて,状態分析する方法について規定する。不動態皮膜は,材料表面から金属イオ
ンの溶出を防ぐ作用をする。この作用を解析するため,不動態皮膜を構成する元素の定性及び定量分析並
びに各元素の結合状態を分析する。さらに,深さ方向の分析によって,皮膜厚さ及び皮膜の構造を状態分
析する。ただし,この規格は,擬似体液中での不動態皮膜の状態を分析するもので,生体内での耐食性に
関しては,使用する環境に応じて適切な試験方法と併せて検討する必要がある。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS H 0211 ドライプロセス表面処理用語
JIS K 0119 蛍光X線分析方法通則
JIS K 0211 分析化学用語(基礎部門)
JIS K 0212 分析化学用語(光学部門)
JIS T 0302 金属系生体材料のアノード分極試験による耐食性の評価方法
JIS T 0304 金属系生体材料の溶出試験方法
ISO 12891-1:Retrieval and analysis of surgical implants−Part 1:Retrieval and handling
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS H 0211,JIS K 0119,JIS K 0211,JIS K 0212及びJIS
T 0302によるほか,次による。
a) 不動態皮膜 金属表面に生成し,腐食による金属の溶解反応を防ぐ安定な皮膜。
b) 光電子 X線を試料に照射したときに光電効果によって原子から放出される電子。
c) 光電効果 原子が光子(X線,紫外線,電子線,イオンなど)を吸収し,その結果,電子が放出され
る効果。
d) 結合エネルギー 各軌道の電子の結合(束縛)の強さを意味し,エネルギーの軸を目盛るために用い
られる量。eV単位で表す。
e) 化学シフト (chemical shift) 同一元素の同一軌道の結合エネルギーが,原子の周囲の状態によってわ
ずかに変化(シフト)する変化量。この変化量を測定することによって元素の結合状態の分析が可能
となる。一般に金属は,正にイオン化すると高結合エネルギー側に化学シフトする。
f)
ワイドスキャン (wide scan) 定性分析する場合のスキャンモード。幅の広いエネルギー範囲を比較的
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粗い間隔で測定する。サーベイスキャン (survey scan) ともいう。
g) ナロースキャン (narrow scan) 各元素の定量分析及び元素の結合状態を分析する場合のスキャンモ
ード。エネルギーの分解能を高くして測定する。
h) 角度分解測定 試料表面と検出器とのなす角度(光電子の脱出角度)を小さくすることによって,検
出深さ(脱出深度)を浅くして非破壊的に測定するモード。また,脱出角度を連続的に変化させて測
定することによって,深さ方向の状態分析ができる。
i)
イオンスパッタリング法 試料表面を加速したイオン(Ar+イオンなど)を用いてスパッタエッチング
し,このスパッタエッチングと測定を繰り返すことによって,深さ方向を分析するモード。角度分解
測定に比べ破壊的ではあるが,検出深さよりも内部までの分析が可能。
j)
デプスプロファイル (depth profile) 深さ方向の定量及び結合状態の変化を測定すること。
4. 試験片
4.1
形状 試験片の形状は,使用する装置の試料ホルダにセットできるような形状とする。
4.2
表面仕上げ及び洗浄 試験片の表面は,使用される環境を考慮し,X線光電子分光法に支障のない
平滑な表面(鏡面研磨など)とする。エタノール又は純水などで十分に洗浄して使用する。
5. 不動態皮膜の生成 不動態皮膜の生成は,次のいずれかによる。擬似体液の例は,JIS T 0302又はJIS
T 0304による。
a) 浸せき試験 擬似体液中に浸せきする。試験の方法は,JIS T 0304に準じ,試験前の試料を比較材と
する。ただし,浸せきの期間によって,腐食の程度が異なり不動態皮膜の膜厚などが変化するので,
試験目的に応じて最適な浸せき期間とする。
b) アノード分極試験 JIS T 0302に準じ,自然浸せき電位から不動態皮膜が生成する電位まで,アノー
ド分極試験を行う。自然浸せき条件での試料を比較材として用いる。この場合には,アノード分極試
験条件及び分極電位によって,膜厚などが変化するのでアノード分極試験条件及び分極電位を結果に
付記する。
c) 上記以外の方法の場合には,結果にその旨を付記する。
備考 動物などに埋入した試料である場合は,最適な方法で摘出後,洗浄し分析試料とする。また,
インプラントの摘出及び取扱方法に関しては,ISO 12891-1に準じるとよい。
6. 分析試料の洗浄及び保管
a) 擬似体液,洗浄液などが付着した状態で乾燥しないように純水などで十分に洗浄する。
b) 埋込用樹脂などで包埋した試料では,できるだけ測定表面が汚染しない条件で樹脂を除去する。
c) 試料の移動及び保管に際しては,可能な限り汚染しないようにする。そのためには,最終的な洗浄は,
装置導入の直前に行うことが望ましい。
備考 汚染及び不動態皮膜の変質の防止には,超高真空槽中での保管が理想的である。真空槽,ガス
置換した密閉容器などを使用することもできる。ただし,真空排気系にロータリーポンプを使
用する場合には,ロータリーポンプの油が真空槽内に進入して試料を汚染しないように途中に
オイルトラップなどを設ける必要がある。また,真空グリースなどによる汚染にも注意を要す
る。
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7. 不動態皮膜の状態分析 状態分析の測定方法の手順を一例として図1に示す。また,X線光電子分光
分析装置の原理,装置の構成,一般的な注意事項及び校正方法は,附属書による。
7.1
分析試料の設置
a) 分析試料を試料ホルダに取り付けた後,予備排気室で10分以上予備排気する。ガスの放出がある試料
の場合には,予備排気時間を長めにする。
b) 予備排気後,試料を測定室に移動させ,測定位置での三次元的な位置合わせを行う。
7.2
状態分析
a) 必要に応じて,大気などからの汚染層をAr+スパッタリングなどによって除去する。
備考 C1s(284.5 eV又は285 eV)の強度変化から汚染層の状態を確認する。ただし,スパッタリン
グによって,結合状態が変化する場合もあるので注意を要する。
b) ワイドスキャンによって,皮膜表面に存在する元素を定性分析する。
参考1. エネルギーの範囲は,例えば,0〜1 400 eVで,1 eV/ステップなどの条件で測定する。微量
元素に注目する場合又は微小領域を分析する場合には,スキャン回数を多くする。ただし,
この分析での検出下限は,数at %である。
2. 不動態皮膜表面のワイドスキャンスペクトルの例を,図2及び図3に示す。
c) ナロースキャンによって,不動態皮膜に存在する元素の定量分析及び結合状態を分析する。
備考1. ナロースキャン測定を行う元素は,ワイドスキャンスペクトルの測定結果などから決定する。
定量性を重視する場合には,ピークの面積を正確に測定する条件で測定する。ピーク位置を
正確に測定する場合には,エネルギー分解能を高くして測定し,スペクトルのピーク分離を
行う。
2. ナロースキャンスペクトルのピーク分離は,ハンドブック(1)又は表1及び表2に示した測定
例などを参考にする。
注(1) 例えば,Handbook of X-ray Photoelectron Spectroscopy,Published by Perkin-Elmer
Corporation,United States of America
3. バックグランドの除去,スムージング及びピーク分離については,最適な条件で行う。
d) 必要に応じて,角度分解測定又はイオンスパッタリング法によって,深さ方向の元素分布及び結合状
態の変化(デプスプロファイル)を測定する。光電子の脱出角度及びスパッタリングの条件は,不動
態皮膜の膜厚などを考慮して最適な条件とする。
参考 イオンスパッタリングには,一般的に0.5〜5 keVに加速されたAr+を使用し,スパッタリング
速度の調整には,シリコン基板上に蒸着されたSiO2,TiO2の薄膜などを用いる。
e) 実際に使用されている材料(参照材料)と比較する場合には,同様に試験し比較する。
8. 測定回数 可能な限り複数の試料で測定する。
9. 結果の表示 次の結果を表示する。
a) ワイドスキャンによる不動態皮膜の定性分析,ナロースキャンによる定量分析又は結合状態などの結
果,必要に応じて深さ方向の測定結果(デプスプロファイル)などを表示する。
参照材料又は皮膜生成前の試料の結果と比較した場合には,不動態皮膜の元素の結合状態,皮膜表
面から深さ方向の組成変化などを比較する。
b) 試験条件については,試験結果に付記する。
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1) 試験試料又は参照材料の化学組成,製造(鋳造,鍛造,熱処理及び加工)条件
2) 試験片の形状及び大きさ,表面仕上げ方法及び洗浄方法
3) 不動態皮膜の生成条件[生成方法,生成温度及び擬似体液を使用した場合には,種類(化学組成,
量,pHなど)],洗浄方法
4) 分析試料の保管方法及び分析するまでの時間
5) 汚染層の除去方法,ワイドスキャン及びナロースキャンの測定条件,スキャン回数,深さ方向の測
定条件など
分析試料の試料ホルダへの装着 → 予備排気室への移動 → 試料の測定室への移動
測定箇所の位置合わせ → ワイドスキャン測定 → ナロースキャン測定
デプスプロファイル測定
図 1 X線光電子分光法の測定手順の一例
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備考 子牛血清中でのアノード分極試験によって不動態皮膜を生成。
図 2 ワイドスキャンの測定例
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備考 歯科用合金を用い,人工唾液でのアノード分極試験によって不動態皮膜を生成。
図 3 歯科用合金のワイドスキャンスペクトルの測定例
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表 1 ナロースキャンによって得られた最大ピーク値の一例
a) ステンレス鋼及びCo-Cr合金
単位 eV
Fe
Cr
Ni
2p 3/2
2p 1/2
2p 3/2
2p 1/2
2p 3/2
2p 1/2
Fe
FeOx
Fe
Cr
Cr2O3
Cr
Cr2O3
Ni
706.8
708.2
719.9
574.0
576.4
583.4
586.2
852.8
870.0
Mo
Co
3d 5/2
3d 3/2
2p 3/2
2p 1/2
Mo
Mo
Co
CoO
Co
CoO
227.8
231.0
778.2
780.7
793.0
796.7
b) チタン合金
Ti
Al
V
2p 3/2
2p 1/2
2p
2p 3/2
Ti2O3
TiO2
TiO2
Al
Al2O3
V
V Oxide
457.5
459.1
464.8
72.1
74.6
512.8
515.7
Zr
Nb
Ta
3d 5/2
3d 3/2
3d 5/2
3d 3/2
4f 7/2
4f 5/2
ZrO2
ZrO2
Nb2O5
Ta2O5
182.9
185.3
207.8
210.5
26.6
28.5
c) 金合金,金銀パラジウム合金,銀合金
Au
Ag
Cu
Pd
4f 7/2
4f 5/2
3d 5/2
3d 3/2
2p 3/2
2p 2/1
3d 5/2
3d 3/2
83.9
87.5
368.0
374.0
932.5
952.2
335.2
340.5
Zn
Sn
In
2p
3d 5/2
3d 3/2
3d 5/2
3d 3/2
Sn
SnO2
Sn
SnO2
In
In2O3
In
In2O3
1 022.6
485.2
487.1
493.7
495.6
444.0
444.5
451.7
453.0
備考 アノード分極試験によって不動態皮膜表面を生成。
a),b):子牛血清中,c):人工唾液中
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表 2 歯科用合金を用いてナロースキャンによって得られた最大ピーク値の一例
単位 eV
Au
Ag
Cu
Pd
Zn
4f 7/2
4f 5/2
3d 5/2
3d 3/2
2p 3/2
2p 2/1
3d 5/2
3d 3/2
2p
83.9
87.5
368.0
374.0
932.5
952.2
335.2
340.5
1 022.6
Sn
In
3d 5/2
3d 3/2
3d 5/2
3d 3/2
Sn
SnO2
Sn
SnO2
In
In2O3
In
In2O3
485.2
487.1
493.7
495.6
444.0
444.5
451.7
453.0
備考 金合金,金銀パラジウム合金又は銀合金を用い,人工唾液中でのアノード分極試験によって不
動態皮膜を生成。
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附属書(規定) X線光電子分光法 (XPS) による状態分析
1. 適用範囲 この附属書は,X線光電子分光分析法 (XPS) を用いて状態分析する方法について規定す
る。
2. 要旨 超高真空条件下(例えば,10−7 Pa以下)で金属試料表面に軟X線(AlKα,MgKαなど)を照
射し,光電効果によって試料の極表面層から発生する光電子の運動エネルギーを測定する。この光電子の
結合エネルギーの強度から不動態皮膜を構成する元素を定性及び定量的に分析し,その化学シフトから元
素の結合状態を分析する。
3. 原理 X線の入射エネルギー (hν) と各軌道から真空中に放出された光電子の運動エネルギー (Ek)
の間には,次の関係が成り立つ。
b
k
E=h
E
ν
φ
−
−
ここに, Eb:検出された光電子の結合エネルギー
φ:分光器の仕事関数(装置に依存した定数)
また,光電子の強度Iは,次の式で示される。
X
cos
O
I=F(E)
N(E)
τ
θ
σ
ここに, F(E):装置に依存する透過関数
XO:励起X線の強度
N:電子の密度
τ(E):光電子の減衰長さ[非弾性平均自由行程 (λ) と相関]
σ:光イオン化の断面積
θ:光電子の脱出角度
装置及び測定条件が一定であれば,光電子の強度は,原子密度 (N),減衰長さ [τ(E)] 及び光イオン化
の断面積に比例するため,定量的な分析が可能となるが定量分析には感度係数による補正が必要である。
4. 状態分析 光電子スペクトルのピークの結合エネルギー値及びその化学シフトから不動態皮膜を構成
する元素(Li以上の原子番号の元素)の結合状態を分析する。この場合の分析深さは,表面から数ナノメ
ータ (nm) 以下となる。
5. 測定装置 X線光電子分光分析装置の構成の一例を附属書図1に示す。X線源,真空排気系,試料予
備排気室,測定室,エネルギー分光器,検出器,イオン銃,制御装置などからなる。
試料が導入室から搬送系によって予備排気室,測定室へと導入され,X線源によって軟X線が照射され
る。X線励起によって試料表面から放出された光電子は,エネルギー分光器によってエネルギー分離後,
検出器で電気信号に変換され光電子スペクトルとしてデータ処理される。データ処理部においては,装置
の制御,データの取込み,測定条件の設定,測定データの解析(ノイズ,バックグラウンドの除去,最大
ピーク値の決定,スムージング,ピーク分離など)が行われる。また,測定装置の操作は,装置製造業者
指定の取扱方法による。
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6. 一般的な注意事項
a) 試料の最表面(数ナノメータ)を分析するため,試料の取扱いには十分に注意する。
b) 測定試料,試料ホルダなど測定室に入れるものは,すべて汚染しないように取り扱わなければならな
い。分析試料の取扱いには,手袋(例えば,クリーンルーム用のものなど),ピンセットなどを利用し,
分析試料の測定面には,手,容器などが触れないようにし,息などもかからないようにする。
7. 装置の校正 次の項目に関して定期的又は必要に応じて装置を校正する。
a) X線銃及びイオン銃の軸調整
b) Au,Ag,Cuなどの純金属の主要ピーク (Au 4f7/2, Ag 3d5/2,Cu 2p3/2) の結合エネルギー値を用いてエ
ネルギー軸の校正。附属書表1に主要ピークの結合エネルギーを参考に示す。
c) 感度,S/N比及びエネルギー分解能
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附属書図 1 X線光電子分光装置の構成図の一例
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附属書表 1 校正用金属の結合エネルギーの一例
単位 eV
ピーク値
AlKα
MgKα
Au 4f7/2
Ag 3d5/2
Cu 2p3/2
83.98±0.02
368.27±0.02
932.67±0.02
84.00±0.01
368.29±0.01
932.67±0.02
日本工業標準調査会標準部会 医療用具技術専門委員会 構成表
氏名
所属
(委員会長)
菊 地 眞
防衛医科大学校医用電子工学講座
(委員)
相 川 直 樹
慶應義塾大学医学部
青 山 理恵子
社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会
石 谷 薫
日本歯科器械工業協同組合
井 上 政 昭
日本医療機器関係団体協議会
大 村 昭 人
帝京大学医学部附属溝口病院
小 倉 英 夫
日本歯科大学新潟歯学部
片 倉 健 男
日本医療器材工業会
亀 水 忠 茂
日本歯科材料工業協同組合
添 田 直 人
財団法人医療機器センター
田 中 良 明
日本大学医学部
土 屋 利 江
国立医薬品食品衛生研究所
堤 定 美
京都大学再生医科学研究所
豊 島 聰
医薬品医療機器審査センター
西 田 輝 夫
山口大学医学部
根 本 幾
東京電機大学情報環境学部
萩 原 敏 彦
社団法人電子情報技術産業協会
平 野 昌 弘
社団法人日本ファインセラミックス協会
堀 江 孝 至
日本大学医学部
村 上 文 男
社団法人日本画像医療システム工業会