T 0111-3 : 1997 (ISO 10328-3 : 1996)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日
本工業規格である。
JIS T 0111は,共通タイトル“義肢−義足の構造強度試験”を付けて,次の8部構成である。
第1部 試験負荷原理
第2部 試験試料
第3部 主要構造強度試験方法
第4部 主要構造強度試験の試験負荷パラメータ
第5部 その他の構造強度試験方法
第6部 その他の構造強度試験の試験負荷パラメータ
第7部 試験依頼書
第8部 試験報告書
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
T 0111-3 : 1997
(ISO 10328-3 : 1996)
義肢−義足の構造強度試験
第3部 主要構造強度
試験方法
Prosthetics−Structural testing of lower-limb prostheses
−Part 3 : Principal structural tests
序文 この規格は,1996年に第1版として発行されたISO 10328-3, Prosthetics−Structural testing of
lower-limb prostheses−Part 3 : Principal structural testsを翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更するこ
となく作成した日本工業規格である。
1. 適用範囲 この規格は,一つの例外を除いて,単一の試験荷重によって複合負荷を得る単純化した静
的及び繰返し負荷試験について規定する。試験試料に生じる複合負荷は,歩行の立脚相中に生じる二つの
ピーク負荷にそれぞれ関連付けられるものである。
この規格は下たい(腿)義足,ひざ(膝)離断義足,大たい(腿)義足に適用する。
備考 この試験方法は,完全組立品,部分組立品又は部品の試験に適用する。
JIS T 0111のこの第3部*では以下の事項を規定する。
− 主要静的強度試験の方法
− 主要繰返し負荷試験の方法
− 試験の精度に関する必要事項
− 規格に合致するための基準
注*
JIS T 0111の各規格で第1部,第2部,…,第8部とある場合は,それぞれJIS T 0111-1,JIS T
0111-2,…,JIS T 0111-8を示す。
2. 引用規格 この規格の引用規格を,次に示す。
JIS T 0101 : 1997 福祉関連機器用語[義肢・装具部門]
備考 ISO 8549-1 : 1989, Prosthetics and orthotics−Vocabulary−Part 1 : General terms for external limb
prostheses and external orthosesからの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
JIS T 0111-1 : 1997 義肢−義足の構造強度試験 第1部 試験負荷原理
備考 ISO 10328-1 : 1996, Prosthetics−Structural testing of lower-limb prostheses−Part 1 : Test
configurationsからの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
JIS T 01112 : 1997 義肢−義足の構造強度試験 第2部 試験試料
備考 ISO 10328-2 : 1996, Prosthetics−Structural testing of lower-limb prostheses−Part 2 : Test samples
2
T 0111-3 : 1997 (ISO 10328-3 : 1996)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
からの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
JIS T 0111-4 : 1997 義肢−義足の構造強度試験 第4部 主要構造強度試験の試験負荷パラメータ
備考 ISO 10328-4 : 1996, Prosthetics−Strnctural testing of lower-limb prostheses−Part 4 : Loading
parameters ofprincipal structural testsからの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
JIS T 0111-5 : 1997 義肢−義足の構造強度試験 第5部 その他の構造強度試験方法
備考 ISO 10328-5 : 1996, Prosthetics−Structural testing of lower-limb prostheses−Part 5 :
Supplementary structural testsからの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
JIS T 0111-6 : 1997義肢−義足の構造強度試験 第6部 その他の構造強度試験の試験負荷パラメータ
備考 ISO 10328-6 : 1996, Prosthetics−Structural testing of lower-limb prostheses−Part 6 : Loading
parameters of supplementary structural testsからの引用事項は,この規格の該当事項と同等
である。
JIS T 0111-7 : 1997 義肢−義足の構造強度試験 第7部 試験依頼書
備考 ISO 10328-7 : 1996, Prosthetics−Structural testing of lower-limb prostheses−Part 7 : Test
submission documentからの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
JIS T 0111-8 : 1997 義肢−義足の構造強度試験 第8部 試験報告書
備考 ISO 10328-8 : 1996, Prosthetics−Structural testing of lower-limb prostheses−Part 8 : Test reportか
らの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
3. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS T 0101によるほか,次による。
3.1
ぜい(脆)性破壊 破壊時に,いずれの部品に対しても大きな塑性変形を伴わない破壊。
3.2
延性破壊
1) 破壊時に,いずれかの部品に対して大きな塑性変形を伴う破壊。
2) 試験試料全体の大きな塑性変形。
仮想レバーアーム長(3.3参照)及び下部負荷作用点PBと上部負荷作用点PT間の距離(4.1.1参照)は,
次のように定義する。
3.3
仮想レバーアーム 仮想レバーアームは,荷重線から仮想継手中心までの垂直距離とする。ここで,
LAは足継手部での仮想レバーアーム長,LKはひざ(膝)部での仮想レバーアーム長である。
3.4
下部負荷作用点と上部負荷作用点間の距離 LBTは下部負荷作用点PBと上部負荷作用点PT間の距離
とする。
3.5
試験装置 試験装置とは,この規格の条件を満足するように特別に設計又は適合させた試験機や装
置をいう。
4. 一般的事項 試験機関はこの規格の試験方法の中の適切な試験方法と試験依頼書(JIS T 0111-7参照)
によって試験を行う。
4.1
試験試料
3
T 0111-3 : 1997 (ISO 10328-3 : 1996)
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4.1.1
試験試料の全長 試験を行う際,JIS T 0111-2の4.(試験試料の種類)で規定するすべての種類の
試験試料は,JIS T 0111-2の7.(試験試料のアライメント)と試験依頼書(JIS T 0111-7参照)の規定を満
足するように取り付けること。その際,延長部品と負荷をかけるためのレバーアームからなる取付ジグを
用い,その試験試料の全長が一定となるよう,3.4で規定する長さLBTとする。LBTは下部負荷作用点PBと
上部負荷作用点PT間の距離で,必要な延長部品と負荷をかけるためのレバーアームによって構成される取
付ジグを取り付けて計測する。
この長さは,種々の試験試料(JIS T 0111-2の4.参照)から選択するか,4.4の表1とJIS T 0111-4に規
定する試験負荷条件と試験荷重より選択するか,又は他の適切な組合せによって決定する。
試験方法の記述の中ではこのuT-uBをuBTと表す。
4.1.2
足部の長さ 足部・足継手部を含む試験試料(JIS T 0111-2の4.参照)では,JIS T 0111-2の5.2を
参照して足部の長さを選ぶ。
4.2
試験方法 静的負荷試験と繰返し負荷試験の2種類の試験方法について示す。
4.2.1
許容負荷試験と破壊試験を各1回ずつ行う静的試験は,義足を使用中に単発的に起こりうる大きな
負荷に対して,構造物が強度的に耐えることができるか否かを判定するために行う。
静的試験は,静的許容負荷試験における条件を満足し,また,静的破壊試験における条件を満足したと
きに完了したものとする。
4.2.2
繰返し負荷試験は,規定の負荷を繰り返しかける試験方法である。通常の歩行時に生じる代表的な
負荷を規定値として試験した後,最終的な静的試験を通過したものを,繰返し負荷試験を満足したものと
する(7.参照)。
繰返し負荷試験は次のいずれかの条件で終了する。
a) 試験試料が破損したとき。
b) 試験試料が規定の回数の繰返し負荷に破損せずに耐え,かつ,最終的な静的試験の条件を満足したと
き。
4.3
試験負荷の条件
4.3.1
試験負荷の原理 負荷をかけるときの荷重線の座標系内での位置は3次元的であること(図1と
JIS T 0111-1を参照)。負荷の原理を以下に示す。
a) 試験試料は,必要な延長部品と負荷をかけるためのレバーアームによって構成される取付ジグを用い
て,一定の長さになるように組み立てる。
b) 試験試料は,試験装置に対して前後方向及び内外側方向のオフセットを構成するような取付ジグを,
試料の下部及び上部に取り付けて組み立てる。図2は左側試料の位置関係と,理論的オフセットを計
算するための式を示す。
c) 4.3.2で規定する条件での負荷時に試験試料が変形しても,レバーアーム長には修正を加えない。
4.3.2
試験負荷条件 4.3.1に記述する負荷は,通常の歩行時の立脚相に生じる二つのピーク値のタイミ
ングに関係する,二つの異なった条件でかける。
試験負荷条件Iは立脚相の前期に発生する最大負荷に関係する。
試験負荷条件IIは立脚相の後期に発生する最大負荷に関係する。
注 ある種の設計の義足では,これらの条件に適合するように組み立てることは不可能である。その
ような場合には,特別な組立条件とすることができる。
4
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注 本図は通常の歩行中に起こる負荷を代表する試験
負荷を示し,JIS T 0111-3の,4.3に規定する試験
負荷条件Iと試験負荷条件IIを示すものではない。
図1 取付ジグを取り付けたひざ(膝)継手に適用する試験負荷原理(左側試験試料の例)
5
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図2 任意の高さにおけるオフセット量の計算方法
4.4
試験負荷レベル
4.4.1
義足が実際に受ける負荷は,個々の切断者の身体条件や,歩行の特性他の要素によって異なる。そ
こで,負荷に対応するいくつかの試験負荷レベルを規定する。
4.4.2
義足を使用する成人や小児の切断者の特性の差に対応して,異なった系列の試験負荷レベルを規定
する。
ここに,A系列は成人の義足のための試験負荷レベルで表1に示す(JIS T 0111-4参照)。
表1 成人の試験負荷レベルの表示
試験負荷レベル
A100
A80
A60
注 この規格の出版時に規定することができた,主要構造強度試験についての試験負荷の大きさや寸
法関係を,JIS T 0111-4の各表に示す。
4.5
規格を満足する条件 この規格の試験条件を満足するためには,試験試料はJIS T 0111-3の条件と
JIS T 0111-5の関連部分をすべて満足し,また,JIS T 0111-4とJIS T 0111-6に規定する負荷条件を満足し
なければならない。規格を満足したことを製品に表示する場合は,試験を行った試験負荷レベルを明記す
ること。
4.6
試験機関の役割
4.6.1
試験機関は表2によって試験を行う。
6
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表2 完全組立品,部分組立品,個別の部品がJIS T 0111の規格を満足するために必要な試験
試験試料
主要構造
強度試験
その他の構造強度試験
ねじり試験
足部試験
ひざ最大屈曲
止めの試験
ひざロック
機構の試験
大腿義足完全組立品
×
×
×
×
×
足部を含まない大腿
義足完全組立品
×
×
×
×
ひざ部を含む部分組
立品(足部なし)
×
×
×
×
ひざ部と足部を含む
部分組立品
×
×
×
×
×
足部のみ
×
×
足部を含む部分組立
品(ひざ部なし)
(下腿義足)
×
×
×
ひざ部と足部を含ま
ない部分組立品
×
×
×:試験を必要とする。
4.6.2
試験機関はJIS T 0111-8に規定する試験報告書によって試験結果を記録し,試験依頼者に対して試
験報告書を1部送付すること。
4.6.3
様々な義足の構成に使用することができる部分組立品(JIS T 0111-2の4.2参照)を含む試験試料
の場合には,製造業者・依頼者の提出する試験依頼書によって,最も厳しい条件になるように組み立てて
試験を行う。
5. すべての試験に共通な条件
5.1
試験に用いる試験試料と取付ジグの寸法,負荷の大きさはJIS T 0111-4で規定する。それぞれの試験
に必要な注意事項は,JIS T 0111-7で規定する各々の試験試料に添えて提出する試験依頼書に記述する。
5.2
必要な記録は試験機関において記録を残す。JIS T 0111-8に規定する試験報告書にも記述する。
5.3
試験装置は試験試料の変形を制限しないように,運動の自由度を十分にもつこと。
5.4
取付ジグの確認試験
5.4.1
取付ジグは,試験中に試験試料に対する規定の試験負荷が増加も減少もしないこと。
5.4.2
取付ジグの確認試験は以下の手順で行う。負荷をかけるためのレバーアームと延長部品で構成する
取付ジグの剛性を以下のように計測する。
5.4.2.1
義足部品でない部材を使って取付ジグの確認試験用の試料を組み立てる負荷をかけるためのレ
バーアームをf-u平面内で組み立てる。すなわち,oB=0で,かつ,oT=0とする。
5.4.2.2
負荷をかけるためのレバーアームが調節可能であれば,レバー長は120mmとする。
5.4.2.3
試験装置に取り付ける。予備荷重Fset=0.8×Fcをかける。Fsetの荷重を30秒を超えない時間負荷
し,除荷する。Fcは,JIS T 0111-4の表6に示す試験負荷条件と試験負荷レベルで規定する繰返し負荷試
験荷重とする。
5.4.2.4
初期荷重Fstab=50Nを下部負荷作用点と上部負荷作用点にかけ,LBTの計測が終了するまで維持
する。
LBTを計測し,L1として記録する。
7
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5.4.2.5
許容試験荷重Fpa=1.2×Fsuをかけ,LBTの計測が終了するまで維持する。FsuはJIS T 0111-4の表
6に示す試験負荷条件と試験負荷レベルで規定する静的ぜい(脆)性破壊試験荷重とする。
LBTを計測し,L2として記録する。
5.4.2.6
試験荷重Fを減少してFstab=50Nとし,LBTの計測が終了するまで維持する。
LBTを計測し,L3として記録する。
5.4.2.7
Fpaのときの変位D1と永久変形D2を下記のように計算する。
D1=L1−L2
D2=L1−L3
5.4.3
変位と永久変形の許容値は次のとおりとする。
Fpa時の最大変位
D1=2mm
50N時の最大永久変形
D2=0.5mm
これらの許容値を超える取付ジグは使用しないこと。
5.4.4
この剛性の計測は試験ごとに繰り返す必要はなく,既に行った取付ジグの試験結果を適用してもよ
い。その試験結果を用いる場合には,その時の結果を書き写す。
6. 静的試験手順
6.1
静的許容試験
6.1.1
試験試料を準備し,JIS T 0111-2と試験依頼書(JIS T 0111-7参照)によって組み立て,JIS T 0111-4
の4.の表3と表5を用いてすべての寸法を設定する。
6.1.2
試験試料を試験装置に取り付ける。
6.1.3
予備荷重FをFset=0.8×Fcとしてかける。この荷重Fsetを30秒を超えない時間負荷し,除荷する。
FcはJIS T 0111-4の表6に示す試験負荷条件と試験負荷レベルで規定する繰返し負荷試験荷重とする。
6.1.4
初期荷重Fstab=50Nをかけ,6.1.5と6.1.6の調節と計測が終了するまで維持する。
6.1.5
JIS T 0111-4の表5に示す試験負荷条件と試験負荷レベルによって,下部負荷レバーアームと上部
負荷レバーアームを調節し,正しい足継手,ひざ(膝)継手オフセット(fAとfK,及びoAとoK)を得る。
LAとLKを計測し,記録する。
LBTを計測し,L4として記録する。
6.1.6
試験荷重をなめらかに増加し,JIS T 0111-4の表6に示す試験負荷条件と試験負荷レベルで規定す
る静的許容試験荷重Fspをかける。このときの荷重速度は100N/sと250N/sの間とする。規定の試験荷重
Fspを30秒間維持する。
6.1.7
Fstab=50Nまで試験荷重を除荷する。
6.1.8
下記の計測が終了するまで,初期荷重Fstabを維持する。この計測は15分以内に終了させること。
LAとLKを計測し,記録する。
LBTを計測し,L5として記録する。
6.1.9
下部及び上部負荷作用点間の永久変形D3を下記のように計算し,記録する。
D3=L4−L5
6.1.10 永久変形D3が15mmを超えるときは,試験試料はJIS T 0111-3とJIS T 0111-4を満足しなかった
ものとする。
6.1.11 この試験の後,試験試料に使われたいずれかの部品が安全に働かなくなった場合は,JIS T 0111-3
とJIS T 0111-4を満足しなかったものと記録する。
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T 0111-3 : 1997 (ISO 10328-3 : 1996)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
6.1.12 もし,試験試料がJIS T 0111-4の条件を満足しなかった場合,破壊が発生した荷重とその状態を試
験報告書に記録する(JIS T 0111-8参照)。
6.2
静的破壊試験
注 静的許容試験を完了した試験試料をこの試験に用いてもよい。
6.2.1
試験試料を準備し,JIS T 0111-2と試験依頼書(JIS T 0111-7参照)によって組み立て,JIS T 0111-4
の4.の表3と表4を用いてすべての寸法を設定する。
6.2.2
試験試料を試験装置に取り付ける。
6.2.3
予備荷重FをFset=0.8×Fcとしてかける。この荷重Fsetを30秒を超えない時間負荷し,除荷する。
FcはJIS T 0111-4の表6に示す試験負荷条件と試験負荷レベルで規定する繰返し負荷試験荷重とする。
6.2.4
初期荷重Fstab=50Nをかけ,6.2.5の調節と計測が終了するまで維持する。
6.2.5
JIS T 0111-4の4.の表4における試験負荷条件と試験負荷レベルによって,下部負荷レバーアーム
と上部負荷レバーアームを調節し,正しい足継手,ひざ(膝)継手オフセット(fAとfK,及びoAとoK)
を得る。
LAとLKを計測し,記録する。
6.2.6
試験荷重Fを初期荷重速度100N/sと250N/sの間でなめらかに増加し,破壊が起こるか又は6.2.7
で規定するぜい(脆)性破壊の最大試験荷重に耐えるかを確認する。この間の最大の荷重Fsuを記録する。
6.2.7
JIS T 0111-3とJIS T 0111-4を満足するための静的試験荷重は,破壊のモードによって異なる(3.1
と3.2参照)。
ぜい(脆)性破壊に対する最大試験荷重Fsuに耐えるか又は延性破壊に対する最大試験荷重Fsuを超える
負荷において破壊が起こったときに,JIS T 0111-3とJIS T 0111-4を満足したものと見なす。
JIS T 0111-4の4.の表6で,試験負荷条件と試験負荷レベルに対するFsuの値を規定する。
注 6.2.7で規定するぜい(脆)性破壊に対する試験荷重に耐えることができた試験試料について,製
造業者・依頼者が試験依頼書によって要請すれば,実際に破壊が生じるまで静的破壊試験を継続
してもよい。この場合,取付ジグは5.4に規定するものよりも大きな剛性を必要とする。
6.2.8
軟らかい部品に変形があって,JIS T 0111-4に規定する負荷をかけることができないときは,軟ら
かい部品を硬い部品に置き換えて試験を繰り返す。このような交換については記録する。
6.2.9
破壊が起こったときは,試料を検査して破壊のモードを調べ,結果を記録する(JIS T 0111-8参照)。
7. 繰返し負荷試験の手順
7.1
主要繰返し負荷試験を行うに当たっての一般的要求事項
7.1.1
試験装置は図3に示すような繰返し波形の試験荷重Fを生成できること。この繰返し波形は,最
小試験荷重FminからFcの振幅で変動して,最大試験荷重Fmax=Fmin+Fcであること。
7.1.2
試験装置が発生する繰返し試験荷重の望ましい波形は正弦波(図3参照)であるが,正弦波を発生
することが不可能なときは,波形の乱れの少ないなめらかな波形であること。
9
T 0111-3 : 1997 (ISO 10328-3 : 1996)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図3 繰返し試験の負荷のパラメータ
7.1.3
試験装置は,試験荷重の振幅Fcが変化して,最大試験荷重Fmaxが10%を超えて変化するときには,
停止できること。
試験装置は,試験中Fmaxがかけられたときに下部負荷作用点PBと上部負荷作用点PTの間の変位が5mm
を超えたときには,停止できること。
7.1.4
もし,1Hzより高い周波数で試験を行うとき,最大周波数は慣性の影響を受けない周波数であるこ
と。
7.1.5
破壊を起こさずに試験を終了した試験試料については,試験依頼者が要請した場合,4倍又はそれ
以上の倍率のレンズによって,割れの存在や状態を検査し,試験報告書に記録する。
破壊を起こさずに繰返し負荷試験を終了したすべての試験試料については,JIS T 0111-4の表6で規定
する最終の静的許容試験荷重Ff=Fspを,100N/sから250N/sの荷重速度でかける。この荷重で破壊せずに
30秒間維持できること。
7.1.6
より高い周波数で試験を行うために,軟らかい部品を硬い部品に交換して試験を行った結果,硬い
部品に隣接する部品に破壊が起こった場合には,その部品に対する試験としては適当でなかったと判断す
る。このときは,元の軟らかい部品に交換して,1Hzで試験を繰り返す。このようなすべての交換と破壊
は試験報告書に記録する。
7.2
繰返し負荷試験
7.2.1
試験試料を準備し,JIS T 0111-2と試験依頼書(JIS T 0111-7参照)によって組み立て,JIS T 0111-4
の表3と表5によってすべての寸法を設定する。
7.2.2
試験前又は試験中に軟らかい部品(JIS T 0111-2参照)を交換した場合には,すべて記録をとる。
7.2.3
試験試料を試験装置に取り付ける。
7.2.4
予備荷重FをFset=0.8×Fcとしてかける。この荷重Fsetを30秒を超えない時間負荷し,除荷する。
FcはJIS T 0111-4の表6に示す試験負荷条件と試験負荷レベルで規定する繰返し負荷試験荷重とする。
7.2.5
初期荷重Fstab=50Nをかけ,7.2.6の調節と計測が終了するまで維持する。
7.2.6
JIS T 0111-4の表5における試験負荷条件と試験負荷レベルによって,下部負荷レバーアームと上
部負荷レバーアームを調節し,正しい足継手,ひざ(膝)継手オフセット(fAとfK,及びoAとoK)を得
る。
LA,LKとLBTを計測し記録する。
7.2.7
JIS T 0111-4の表6における試験負荷条件と試験負荷レベルによって,最大試験荷重Fmaxをかけ,
次の計測が終了するまで維持する。
LA,LKとLBTを計測し記録する。
7.2.8
試験荷重を減少し,Fmin=50Nとする。
10
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7.2.9
JIS T 0111-4の表6に規定する試験負荷条件と試験負荷レベルによって繰返し試験荷重Fcを,JIS T
0111-7の試験依頼書(7.1.4も同時に参照)で規定する周波数でかける。
試験荷重Fcの波形を観察する。その波形が7.1.2を満足しないときは,試験を中止する。
7.2.10 下記の条件が発生したときには,LBTとLA及びLKを計測し,記録する。これらの計測はFmaxとFmin
をかけて持続したときのそれぞれに対して行う。
a) 過剰な変位が生じて試験装置が停止したとき。
b) 製造業者・依頼者の保守取扱説明書に指示のある交換の回数に,繰返し負荷の回数が到達したとき。
c) 規定の回数が終了したとき。
7.2.11 試験装置が停止したときは,それまでの繰返し回数と停止の理由をすべて試験報告書に記録する。
7.2.12 通常の使用時に定期的に部品交換を行うものについては,繰返し負荷試験を行うときに,製造業
者・依頼者の保守取扱説明書によって交換を行う(JIS T 0111-7,試験依頼書参照)。
7.2.13 破壊が起こるまで又はJIS T 0111-4の表6に規定する回数まで試験を継続する。破壊の起こった回
数又は試験を終了した回数を記録する(JIS T 0111-8参照)。
7.2.14 破壊が起こった試験試料については,破壊の状態を試験報告書に記録する(JIS T 0111-8参照)。
7.3
繰返し負荷試験の破壊についての基準
7.3.1
3Hz未満の周波数での試験において,試験試料のうち1本でもJIS T 0111-4の表6に規定する最低
の耐久規格を満足しなかった場合は,その部品はJIS T 0111-3とJIS T 0111-4の条件を満足することがで
きなかったものとする。
7.3.2
3Hz以上の周波数での試験で破壊が起こった場合は,試験試料に新たに1本を加えて3Hz未満の周
波数で試験を行う。その後に試験試料に破壊が起こった場合には,その部品はJIS T 0111-3とJIS T 0111-4
の条件を満足することができなかったものとする。
8. 必要とする試験試料の数 JIS T 0111-3とJIS T 0111-4を満足するための必要な試験試料の最低数を表
3に示す。試験は最も厳しいアライメントで行う(JIS T 0111-2の7.5参照)。
表3 必要とする試験試料の数
試験の種類
行うべき試験試料の最低数
静的許容試験
試験負荷条件Iで2本,及び試験
負荷条件IIで2本
静的破壊試験
試験負荷条件Iで2本,及び試験
負荷条件IIで2本
繰返し負荷試験
試験負荷条件Iで2本,及び試験
負荷条件IIで2本
静的許容試験や静的破壊試験を終えた試験試料を繰返し負荷試験に用いないこと。繰返し負荷試験を終
えた試験試料は静的許容試験に用いてもよい。各繰返し負荷試験の後に,最終の静的許容試験として,静
的許容試験荷重まで負荷をかける(7.1.5参照)。繰返し負荷試験で破損が起こらなかった試験試料を静的
破壊試験に用いてもよい。
9. 精度
9.1
試験装置の精度 試験装置(3.5で定義)は少なくとも年1回以上キャリブレーションを行い,キャ
リブレーションの記録は保存する。
9.2
試験装置の最大の試験荷重Fは±1%以内に制御できること。
11
T 0111-3 : 1997 (ISO 10328-3 : 1996)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
9.3
繰返し負荷試験では,試験装置はその周波数を±10%以内に制御できること。
9.4
それぞれのオフセットは±1mm以内に設定できること。
9.5
記録 精度の計測に用いられた方法の詳細はJIS T 0111-8によって,試験報告書に記録する。
12
T 0111-3 : 1997 (ISO 10328-3 : 1996)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書A(規定) 内部に作用する負荷とその影響に関する記述
A1. 一般 JIS T 0111-3及びJIS T 0111-4又はJIS T 0111-5及びJIS T 0111-6で規定する試験負荷条件は,
A3.に示す軸力(軸圧縮力),曲げモーメント,ねじりモーメント(2次的に発生するトルク)など内部に
作用する基準負荷に基づくものである。
基準負荷とモーメントは,基準線に沿って作用するか又はその回りに作用する。モーメント基準線はA2.
で規定する。
A2. モーメント基準線 モーメント基準線は,その回りにA3.で規定するモーメントが作用する線であり,
JIS T 0111-1に規定する位置関係を用いて次のように定義する。
A2.1 足継手モーメント基準線
A2.1.1 足継手モーメント基準線Afは,足継手基準面Aとf-u平面との交線とする。
A2.1.2 足継手モーメント基準線Aoは,足継手基準面Aとo-u平面との交線とする。
A2.2 ひざ(膝)継手モーメント基準線
A2.2.1 ひざ(膝)継手モーメント基準線Kfは,ひざ(膝)継手基準面Kとf-u平面との交線とする。
A2.2.2 ひざ(膝)継手モーメント基準線Koは,ひざ(膝)継手基準面Kとo-u平面との交線とする。
A3. 内部に作用する負荷
A3.1 一般 内部に作用する力とモーメントは,それらの効果の解剖学的な記述と併せ,次節以降に示す。
表A1に,それらと,正方向の力とモーメントがどの方向の運動を引き起こすかを示す。
左脚の場合,図A1及び図A2に示す軸力と全モーメントを正とする。
右脚の場合,鏡面対象に作用する(JIS T 0111-1の4.1,4.2及び図1,図2,図3参照)。したがって,
モーメントMAf,MKf,Muは反対方向を正とする。
表A1 正方向の内部に作用する力及びモーメントとその影響
内部に作用する負荷
解剖学的記述
臨床的記述
正方向の負荷の効果
軸力
Fu
義足の長軸方向の圧縮
足継手曲げモーメントMAo 足部・足継手部の背屈
つま先を持ち上げる
足継手曲げモーメントMAf 足部・足継手部の内反
足部の内側を持ち上げる
ひざ(膝)継手
曲げモーメントMko
ひざ(膝)継手の伸展
ひざ(膝)継手をまっ直ぐに
する
ひざ(膝)継手
曲げモーメントMkf
ひざ(膝)継手を足部と
こ(股)継手に対して,
外側へ動かす(内反変形
を生じさせようとする)
ひざ(膝)継手を足部とこ(股)
継手に対して外方向へ動かす
ねじりモーメント
Mu 義足の遠位を近位に対し
て内旋させる
前足部を内側へ回すように義
足をねじる
A3.2 軸力Fu(軸圧縮力) 軸力Fuは,Fのu軸方向の成分で,義足の長軸方向に圧縮する方向を正とす
る。
A3.3 モーメント
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T 0111-3 : 1997 (ISO 10328-3 : 1996)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
A3.3.1 足継手曲げモーメントMAo 足継手曲げモーメントMAoは,足継手モーメント基準線Aoまわりの
モーメントで,足部・足継手部を背屈させる方向を正とする。
A3.3.2 足継手曲げモーメントMAf 足継手曲げモーメントMAfは,足継手モーメント基準線Afまわりのモ
ーメントで,足部・足継手部を内反させる方向を正とする。
A3.3.3 ひざ(膝)継手曲げモーメントMKo ひざ(膝)継手曲げモーメントMKoは,ひざ(膝)継手モー
メント基準線Koまわりのモーメントで,ひざ(膝)継手を伸展させる方向を正とする。
A3.3.4 ひざ(膝)継手曲げモーメントMKf ひざ(膝)継手曲げモーメントMKfは,ひざ(膝)継手モー
メント基準線Kfまわりのモーメントで,ひざ(膝)継手を足部・足継手部及びこ(股)継手に対して外側
へ動かす(内反変形を生じさせようとする)方向を正とする。
A3.3.5 ねじりモーメント(トルク)Mu ねじりモーメントMuは,u軸まわりのモーメントで,義足の遠
位にある部位を,近位の部位に対して内旋させる方向を正とする。
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T 0111-3 : 1997 (ISO 10328-3 : 1996)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図A1 試験負荷条件I(4.3.2参照)
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T 0111-3 : 1997 (ISO 10328-3 : 1996)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図A2 試験負荷条件II(4.3.2参照)
16
T 0111-3 : 1997 (ISO 10328-3 : 1996)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS T 0111義足構造強度試験方法通則 構成表
氏名
所属
(委員長)
中 川 昭 夫
兵庫県立福祉のまちづくり工学研究所
相 川 孝 訓
国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所
秋 山 昌 英
株式会社小原工業
田 澤 泰 弘
社団法人日本義肢協会
久 保 茂
東京都補装具研究所
高 橋 一 史
株式会社啓愛義肢材料販売所
西 岡 研 一
株式会社今仙技術研究所
別 当 有 光
株式会社高崎義肢
森 本 正 治
労災リハビリテーション工学センター
後 藤 芳 一
通商産業省機械情報産業局
冨 岡 悟
厚生省社会・援護局
朝 倉 建太郎
東京大学工学部付属総合試験場
藤 井 隆 宏
通商産業省工業技術院標準部
因 幸二郎
財団法人日本規格協会
(事務局)
宮 地 壽 男
社団法人日本リハビリテーション医学会