T 0111-2 : 1997 (ISO 10328-2 : 1996)
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日
本工業規格である。
JIS T 0111は,共通タイトル“義肢−義足の構造強度試験”を付けて,次の8部構成である。
第1部 試験負荷原理
第2部 試験試料
第3部 主要構造強度試験方法
第4部 主要構造強度試験の試験負荷パラメータ
第5部 その他の構造強度試験方法
第6部 その他の構造強度試験の試験負荷パラメータ
第7部 試験依頼書
第8部 試験報告書
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
T 0111-2 : 1997
(ISO 10328-2 : 1996)
義肢−義足の構造強度試験
第2部 試験試料
Prosthetics−Structural testing of lower-limb prostheses
−Part 2:Test samples
序文 この規格は,1996年に第1版として発行されたISO 10328-2, Prosthetics−Structural testing of
lower-limb prostheses−Part 2:Test samplesを翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作
成した日本工業規格である。
1. 適用範囲 この規格は,一つの例外を除いて,単一の試験荷重によって複合負荷を得る単純化した静
的及び繰返し負荷試験について規定する。試験試料に生じる複合負荷は,歩行の立脚相中に生じる二つの
ピーク負荷にそれぞれ関連づけられるものである。
この規格は下たい(腿)義足,ひざ(膝)離断義足,大たい(腿)義足に適用する。
備考 この試験方法は,完全組立品,部分組立品又は部品の試験に適用する。
JIS T 0111のこの第2部*では以下の事項を規定する。
− 試験試料の種類
− 試験試料の選択
− 試験試料の準備
− 試験試料のアライメント
− 製造者・依頼者及び試験機関の分担
注*
JIS T 0111の各規格で第1部,第2部,…,第8部とある場合は,それぞれJIS T 0111-1,JIS T
0111-2,…,JIS T 0111-8を示す。
2. 引用規格 この規格の引用規格を,次に示す。
JIS T 0101 : 1997 福祉関連機器用語[義肢・装具部門]
備考 ISO 8549-1 : 1989, Prosthetics and orthotics−Vocabulary−Part 1:General terms for external limb
prosth-eses and extenal orthosesからの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
JIS T 0111-1 : 1997 義肢−義足の構造強度試験 第1部 試験負荷原理
備考 ISO 10328-1 : 1996, Prosthetics−Structural testing of lower-limb prostheses−Part 1:Test
configurationsからの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
JIS T 0111-3 : 1997 義肢−義足の構造強度試験 第3部 主要構造強度試験方法
備考 ISO 10328-3 : 1996, Prosthetics−Structural testing of lower-limb prostheses−Part 3:Principal
structural testsからの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
2
T 0111-2 : 1997 (ISO 10328-2 : 1996)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS T 0111-4 : 1997 義肢−義足の構造強度試験 第4部 主要構造強度試験の試験負荷パラメータ
備考 ISO 10328-4 : 1996, Prosthetics−Structural testing of lower-limb prostheses−Part 4:Loading
parameters of principal structural testsからの引用事項は,この規格の該当事項と同等であ
る。
JIS T 0111-5 : 1997 義肢−義足の構造強度試験 第5部 その他の構造強度試験方法
備考 ISO 10328-5 : 1996, Prosthetics−Structural testing of lower-limb prostheses−Part 5:Supplementary
structural testsからの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
JIS T 0111-6 : 1997 義肢−義足の構造強度試験 第6部 その他の構造強度試験の試験負荷パラメー
タ
備考 ISO 10328-6 : 1996, Prosthetics−Structural testing of lower-limb prostheses−Part 6:Loading
parameters of supplementary structural testsからの引用事項は,この規格の該当事項と同等
である。
JIS T 0111-7 : 1997 義肢−義足の構造強度試験 第7部 試験依頼書
備考 ISO 10328-7 : 1996, Prosthetics−Structural testing of lower-limb prostheses−Part 7:Test
submission documentからの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
JIS T 0111-8 : 1997 義肢−義足の構造強度試験 第8部 試験報告書
備考 ISO 10328-8 : 1996, Prosthetics−Structural testing of lower-limb prostheses−Part 8:Test reportか
らの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
3. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS T 0101による。
4. 試験試料の種類 試験試料は,4.1から4.3で規定する3種類とする。
4.1
完全組立品 ひざ(膝)離断義足及び大たい(腿)義足の完全組立品は,ひざ(膝)継手,足部・
足継手部及びその間のすべての部品で構成する。ソケットを取り付けたひざ(膝)上部品及び足部を取り
付けた足継手より下部の部品を含んでもよい。
下たい(腿)義足の完全組立品は,足部・足継手部,ソケット取付部品及びその間のすべての部品で構
成する。ソケットを取り付けたソケット取付ジグより上部の部品及び足部を取り付けた足継手より下部の
部品を含んでもよい。
左側大たい(腿)義足の完全組立品を,JIS T 0111-1に規定する座標系内に設置した位置関係の一例を
図1に示す。
4.2
部分組立品 部分組立品は,義足の種類に関係なく,完全組立品以外の組立品や単一部品及び足部
部品などとする。部分組立品を試験する場合には,両端の接続部品は通常使用される部品と同等の力学的
特性をもつこと。
4.3
その他の部品 足部と一体化した柔構造のプラスチック製の単一部品のように,構造上の理由によ
って4.1又は4.2に規定する試験試料を試験できない場合には,試験用の特別な組立を行ってもよい。
製造業者・試験依頼者と試験機関のそれぞれが,試験試料の仮想取付位置関係と試験負荷条件がJIS T
0111-3,-4,-5,-6のうちの必要な要件を満足することを試験依頼書と試験報告書に明記するときは,試験
を実施し特別の試験報告書をJIS T 0111-8によって発行することができる。その試験試料がこの規格の関
連部分の要件を満たすときは,その部品が規格を満足するものとする。このとき,その試験試料は4.3に
よることを明示すること。ただし,試験試料の取付位置関係を明らかにできないときは,この規格を適用
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T 0111-2 : 1997 (ISO 10328-2 : 1996)
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することはできない。
この規格を満足するためには,二つ以上の試験試料で試験を行うものとする。
図1 左側試料のuB=0を基準とした位置関係 (4.1)
5. 試験試料の選択
5.1
試験用の義肢構造部品は,製品から抜取検査を行う。選択の詳細は試験依頼書 (JIS T 0111-7) に記
録する。その試験試料が通常の製造過程からの製品であることを示す証明書を製造業者・依頼者が発行し
ている場合には,その証明書を,その試験試料の抜取方法の詳細とともに試験依頼書に含める。
5.2
足部付きの試験試料を試験する場合には,選択した足部・足継手部の寸法が,試験(図1,図2及び
JIS T 0111-4参照)で定義する下部基準面での合成オフセット量LBによって負荷できること。
LBは次の式で示す。
2
2
B
B
B
o
f
L
+
=
足部・足継手部構造物を試験する場合には,足部の寸法を以下のように選択する。
a) 下部基準面での正確な合成オフセットLBとなる寸法を選択する。
4
T 0111-2 : 1997 (ISO 10328-2 : 1996)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
b) 正確な寸法の足部がない場合には,一回り大きい寸法のものを用いる。
c) どの足部も短い場合には,荷重Fを次式に示すF'に増加させる。
=
′
合成オフセット量
下部基準面での実際の
合成オフセット量
下部基準面での規定の
F
F
6. 試験試料の準備
6.1
強度に関係しない外装部品は,試料から取り外すこと。
6.2
静的許容試験(JIS T 0111-3参照)に用いる試料は,通常使用するすべての部品を含むこと。
6.3
静的破壊試験(JIS T 0111-3参照)に用いる試料について,試験中の過度の変形を避けるために,製
造業者・依頼者と試験機関は協議のうえ,過伸展ストッパなどの軟らかい部品を硬い部品に交換して試験
を行ってもよい。試験のための部品の交換については,すべて試験報告書に記録すること(JIS T 0111-8
参照)。
6.4
1Hzを超える試験周波数で繰返し負荷試験(JIS T 0111-3参照)を行った場合に,軟らかい部品が劣
化して試験結果に影響を及ぼす場合には,製造業者・依頼者と試験機関が協議のうえ,軟らかい部品を硬
い部品に交換してもよい(ただし,JIS T 0111-3の7.1.8参照)。試験のための部品の交換については,す
べて試験報告書に記録すること(JIS T 0111-8参照)。
6.5
試験試料は,両端取付ジグを含めて,8.及び試験依頼書(JIS T 0111-7参照)によって組み立てるこ
と。
7. 試験試料のアライメント 所定の座標系(JIS T 0111-1参照)の中に試験試料を取り付けるために,
以下のものを定義する。
a) 仮想足継手中心線(7.1参照)
b) 仮想足継手中心(7.2参照)
c) 仮想ひざ(膝)継手中心線(7.3参照)
d) 仮想ひざ(膝)継手中心(7.4参照)
ここで,仮想継手中心線や仮想継手中心が明確でない試料の場合には,製造業者・依頼者が図や説明書
で取付位置関係を示すこと。
7.1
仮想足継手中心線 仮想足継手中心線は,足部・足継手部の中心線と交差する足継手中心を通る水
平線とする(7.2参照)。
7.2
仮想足継手中心 仮想足継手中心は7.2.1から7.2.3によって規定する。
7.2.1
足部・足継手中心線を以下のいずれかの方法で定義する。
a) 製造業者・依頼者のアライメントに関する説明書を用いる。
b) 説明書がない場合,足部・足継手中心線は,前足部の最大幅部の中心と,足部後縁部から足部長の1/4
のところで内外側の縁からの中点とを通るものとする(図2参照)。
7.2.2
足部を水平面上に置く。このとき,製造業者・依頼者の推奨するかかと(踵)高さhrのブロック
をかかと(踵)部の下に入れる(図2参照)。
7.2.3
仮想足継手中心は,以下のところに位置するものとする。
a) 足部・足継手中心線を通る鉛直面内
b) かかと(踵)ブロックから上方へ60mmにある足継手基準面内
c) 足部後縁から足部長の1/4
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T 0111-2 : 1997 (ISO 10328-2 : 1996)
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図2 仮想足継手中心線の決定方法
7.3
仮想ひざ(膝)継手中心線
7.3.1
ロック機構や立脚相制御のない単軸ひざ(膝)継手では,仮想ひざ(膝)継手中心線は継手軸と一
致するものとする[図3a),b),c)参照]。
7.3.2
7.3.1以外のすべてのひざ(膝)継手では,仮想ひざ(膝)継手中心線は,製造業者・依頼者によ
って作成されたひざ(膝)継手のアライメントに関する説明書によって決める[図3d),e)参照]。
7.4
仮想ひざ(膝)継手中心
7.4.1
対称性のあるひざ(膝)継手では,仮想ひざ(膝)継手中心は仮想ひざ(膝)継手中心線上の継手
の中央部とする。
7.4.2
非対称や左右の別のあるひざ(膝)継手では,仮想ひざ(膝)継手中心は,製造業者・依頼者によ
って作成されたひざ(膝)継手のアライメントに関する説明書によって決める。
7.5
最も厳しいアライメント すべての試験は,以下で述べる最も厳しいアライメントで実施する。
7.5.1
構造的に最も厳しいアライメントは,可能であれば,製造業者・依頼者が試験依頼書(JIS T 0111-7
参照)で定義する。それは,製造業者・依頼者が対象の部品ごとに添付しているアライメントに関する説
明書の制限範囲内とする。
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T 0111-2 : 1997 (ISO 10328-2 : 1996)
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7.5.2
構造的に最も厳しいアライメントが7.5.1で規定できない場合には,試験試料は中立位のアライメ
ントから最も極端なアライメントに対して90%に合わせる。仮想レバーアーム長が増加するように,荷重
線から遠ざかる方向にずらせる(JIS T 0111-3の3.3参照)。
図3 種々のひざ(膝)継手に対する仮想ひざ(膝)継手中心線の位置の例
8. 製造業者・依頼者及び試験機関の分担
8.1
製造業者・依頼者は,試験用の部品の選択と組立,及び試験中の交換部品の供給に責任をもつ(JIS
T 0111-3の6.2.8,7.1.6,7.2.2,7.2.12参照)。
8.2
製造業者・依頼者は,JIS T 0111-7によって試験依頼書を作成する。
8.3
試験機関は,試験試料に消去できない固有の識別記号をつける。
8.4
負荷をかけるためのレバーアーム部品(JIS T 0111-3の4.3.1参照)は,製造業者・依頼者又は試験
機関が取り付ける。それを取り付けた者が,試験試料の寸法と,JIS T 0111-4又はJIS T 0111-6,及び試験
依頼書(JIS T 0111-7参照)で指定するオフセット量とによって取付位置を定める責任をもつものとする。
8.5
試験機関は,試験中にJIS T 0111-4,JIS T 0111-6,又は試験依頼書(JIS T 0111-7参照)で規定する
正確なオフセット量と仮想レバーアーム長が維持できるように,アライメントを合わせる責任をもつもの
とする。
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T 0111-2 : 1997 (ISO 10328-2 : 1996)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS T 0111義足構造強度試験方法通則 構成表
氏名
所属
(委員長)
中 川 昭 夫
兵庫県立福祉のまちづくり工学研究所
相 川 孝 訓
国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所
秋 山 昌 英
株式会社小原工業
田 澤 泰 弘
社団法人日本義肢協会
久 保 茂
東京都補装具研究所
高 橋 一 史
株式会社啓愛義肢材料販売所
西 岡 研 一
株式会社今仙技術研究所
別 当 有 光
株式会社高崎義肢
森 本 正 治
労災リハビリテーション工学センター
後 藤 芳 一
通商産業省機械情報産業局
冨 岡 悟
厚生省社会・援護局
朝 倉 健太郎
東京大学工学部付属総合試験場
藤 井 隆 宏
通商産業省工業技術院標準部
因 幸二郎
財団法人日本規格協会
(事務局)
宮 地 壽 男
社団法人日本リハビリテーション医学会