S 6026:2007
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 色名······························································································································· 1
4 品質······························································································································· 2
5 形状及び寸法 ··················································································································· 4
6 容器・包装の材料 ············································································································· 4
7 試験方法························································································································· 4
7.1 試験条件 ······················································································································ 4
7.2 数値の丸め方 ················································································································ 4
7.3 色度試験 ······················································································································ 4
7.4 耐光性試験 ··················································································································· 5
7.5 曲げ強度試験 ················································································································ 5
7.6 有害物質試験 ················································································································ 5
7.7 粒子試験 ······················································································································ 6
8 検査······························································································································· 6
8.1 形式検査 ······················································································································ 6
8.2 製品検査 ······················································································································ 7
9 表示······························································································································· 7
9.1 巻紙の表示 ··················································································································· 7
9.2 セット箱10)の表示 ········································································································· 7
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,日本絵具クレヨン
工業協同組合及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの
申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS S 6026:2001は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は
もたない。
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日本工業規格 JIS
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クレヨン及びパス
Crayons and oil pastels
1
適用範囲
この規格は,顔料,油脂,ろうなどを混合して,練り固めた一般に使用するクレヨン及びパス(以下,
クレヨン及びパスという。)の品質,試験方法及び表示について規定する。ただし,専門家用のクレヨン及
びパス,水溶性クレヨン,樹脂クレヨン,油脂・ろうを含まないパステルなどは除く。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0116 発光分光分析通則
JIS K 0121 原子吸光分析通則
JIS L 0801 染色堅ろう度試験方法通則
JIS L 0804 変退色用グレースケール
JIS L 0841 日光に対する染色堅ろう度試験方法
JIS L 0842 紫外線カーボンアーク灯光に対する染色堅ろう度試験方法
JIS L 0843 キセノンアーク灯光に対する染色堅ろう度試験方法
JIS Z 8102 物体色の色名
JIS Z 8401 数値の丸め方
JIS Z 8703 試験場所の標準状態
JIS Z 8722 色の測定方法−反射及び透過物体色
JIS Z 8723 表面色の視感比較方法
3
色名
クレヨン及びパスの色名は,表1の54色及びその他の色とする。ただし,その他の色の色名は,通常
JIS Z 8102による。
2
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表1−色名
色名
対応英語(参考)
色名
対応英語(参考)
こうばいいろ
rose madder
エメラルドグリーン
emerald green
えんじいろ
Crimson
コバルトグリーン
cobalt green
あか
Red
ふかみどり
deep green
しゅいろ
Vermilion
ビリジアン
viridian
べにえびちゃ
dark carmine
あおみどり
blue green
うすちゃ
pale brown
くらいあおみどり
dark blue green
ちゃいろ
Brown
みずいろ
pale blue
はいちゃ
grayish brown
そらいろ
sky blue
こげちゃ
vandyke brown
あかるいあお
light blue
きちゃ
raw sienna
あお
cobalt blue
だいだいいろ
Orange
あいいろ
prussian blue
バーントアンバー
burnt umber
うすぐんじょう
ultramarine light
みかんいろ
yellow orange
ぐんじょう
ultramarine
おうどいろ
yellow ochre
ふじいろ
lavender
くちばいろ
olive brown
あおむらさき
violet
やまぶきいろ
chrome yellow
あかるいむらさき
light purple
ぞうげいろ
naples yellow
むらさき
purple
きいろ
Yellow
あかむらさき
red purple
オリーブいろ
Olive
はいあかむらさき
old rose
レモンいろ
lemon yellow
ももいろ
pink
うぐいすいろ
olive green
しろ
white
きみどり
yellow green
あかるいはいいろ
light gray
こけいろ
oxide green
はいいろ
gray
くさいろ
grass green
くらいはいいろ
dark gray
うすみどり
pale green
くろ
black
はいみどり
green gray
きんいろ
gold
みどり
Green
ぎんいろ
silver
4
品質
クレヨン及びパスの品質は,箇条7によって試験したとき,表2に適合しなければならない。
表2−品質
項 目
品 質
試験方法
色度
表1の54色は表3に適合しなければならない。ただし,表3に規定されて
いない色(例えば,JIS Z 8102 による色)については,受渡当事者間の協定
による。
7.3
耐光性
検色紙の変退色がJIS L 0804の3号以上とする。
7.4
曲げ強度
折損してはならない。
7.5
有害物質
アンチモンが60 mg/kg以下,ひ素が25 mg/kg以下,バリウムが1 000 mg/kg
以下,カドミウムが75 mg/kg以下,クロムが60 mg/kg以下,鉛が90 mg/kg
以下,水銀が60 mg/kg以下及びセレンが500 mg/kg以下とする。
7.6
粒子
微細で,かつ,均質なものとする。
7.7
3
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表3−色度
色名
H V/C
許容範囲
H
V
C
こうばいいろ
9RP
6.0/13
±1.5
±0.5
±2.0
えんじいろ
3R
4.0/ 9
±2.0
あか
5R
4.5/14
±1.0
13以上
しゅいろ
7R
5.0/14
べにえびちゃ
7.5R
3.0/ 5
±2.5
±2.0
うすちゃ
4YR
7.0/ 4
ちゃいろ
8R
4.0/ 7
はいちゃ
5YR
4.5/ 3
±3.0
こげちゃ
5.5YR
3.0/ 3
±1.5
きちゃ
4YR
5.0/ 9
±2.0
だいだいいろ
10R
6.5/13
±1.0
12以上
バーントアンバー
2.5YR
3.0/ 3
±1.5
±2.0
みかんいろ
5YR
7.0/13
±1.0
12以上
おうどいろ
9YR
6.0/ 9
±2.0
±2.0
くちばいろ
10YR
5.5/ 4
±2.5
やまぶきいろ
3Y
8.0/14
±1.0
13以上
ぞうげいろ
1.5Y
8.5/ 7
±2.5
±2.0
きいろ
5Y
8.5/14
±1.0
13以上
オリーブいろ
9Y
5.0/ 6
±2.0
±2.0
レモンいろ
10Y
9.0/12
±1.0
11以上
うぐいすいろ
6GY
4.0/ 5
±2.5
±2.0
きみどり
8.5GY
7.0/11
±1.0
10以上
こけいろ
7.5GY
5.0/ 4
±2.5
±2.0
くさいろ
7.5GY
5.5/ 8
±2.0
うすみどり
1.5G
8.5/ 4
はいみどり
1.5G
5.0/ 3
±3.0
みどり
2.5G
5.0/10
±1.0
9以上
エメラルドグリーン
3.5G
6.0/10
±2.0
±2.0
コバルトグリーン
7.5G
6.0/ 8
ふかみどり
5G
3.0/ 4
ビリジアン
8.5G
3.5/ 9
あおみどり
6.5BG
4.5/ 8
±2.5
くらいあおみどり
3.5BG
3.0/ 4
みずいろ
7.5B
6.5/10
±1.5
そらいろ
10B
6.0/ 9
±2.0
あかるいあお
10B
5.0/10
あお
5PB
4.0/12
±1.0
11以上
あいいろ
6PB
2.5/ 6
±2.5
±2.0
うすぐんじょう
7PB
5.0/12
±1.5
ぐんじょう
8PB
3.0/14
±1.0
13以上
ふじいろ
3P
6.0/ 8
±2.0
±2.0
あおむらさき
10PB
3.0/11
±1.0
10以上
あかるいむらさき
6P
5.0/12
±1.5
±2.0
むらさき
5P
3.0/10
±2.5
9以上
あかむらさき
5RP
4.5/14
±1.0
13以上
はいあかむらさき
5RP
7.0/ 4
±2.5
±2.0
4
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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表3−色度(続き)
色名
H V/C
許容範囲
H
V
C
ももいろ
3RP
6.5/11
±1.5
±0.5
±2.0
しろ
N9.3
−
N9.0以上
1.0以下
あかるいはいいろ
N8.0
±0.5
はいいろ
N6.5
くらいはいいろ
N4.5
くろ
N2.0
N2.5以下
きんいろa)
(参考) 5Y 7.0/ 4
−
−
−
ぎんいろa)
(参考) N7.0
注記 色の表示記号H及びV/Cの定め方は, JIS Z 8721の6.(1) (Yc,xc,ycの値から定める方法)に規定す
る方法による。
注a) 測定条件が定まっていないので,7.3(色度試験)の試験条件による測色結果を参考値とする。
5
形状及び寸法
クレヨン及びパスの形状及び寸法は,表4 に適合しなければならない。
表4−形状及び寸法
種類
直径 a)
mm
全長 b)
mm
体積
cm3
形状
クレヨン及びパス
8 以上
55 以上
3 以上
棒状
注a) 直径は,断面が円形の場合は,胴部の最小直径とする。断面が円形でない場合は,
胴部に内接する円の最小直径とする。
b) 全長は,先端部分を含む。
6
容器・包装の材料
クレヨン及びパスの容器・包装の材料は,環境面及び安全性について配慮する。
7
試験方法
7.1
試験条件
試験条件は,特に規定がない限りJIS Z 8703に規定する温度20±15 ℃,相対湿度(65±20) %とする。
また,化学分析に共通する一般事項は,JIS K 0050による。
7.2
数値の丸め方
試験結果は,規定の数値よりも一けた下の位まで求めてJIS Z 8401 によって丸める。
7.3
色度試験
色度試験は,ろ紙1)に手塗りして作成した検色紙2)をJIS Z 8722によって測定するか,又は標準見本3)
とJIS Z 8723とによって目視で比較する。
注1) ろ紙は,JIS P 3801に規定する2種ろ紙を使用する。
2) 検色紙は,ろ紙1)に試料を左右方向,上下方向に塗り,その塗面が均一になるように反復して
行い作成する。この場合,紙面の下敷きに平らなガラス板などを用いるとよい。
3) 標準見本は,検色紙と同様な方法で作成したものを,JIS Z 8722に規定する分光測光器又は同
5
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等以上の性能がある測光器によって測定し,JIS Z 8721の6.(1)( Yc,xc,ycの値から定める方法)
によって色の表示記号H 及びV/Cを算出し,箇条4の表3に適合するものでなければならない。
7.4
耐光性試験
耐光性試験は,検色紙2) をJIS L 0841,JIS L 0842又はJIS L 0843に従って露光する。ただし,露光方
法は,JIS L 0841に規定する第3露光法によってブルースケールの2級が標準退色(JIS L 0804の変退色用
グレースケールの4号)するまで露光する。露光した検色紙は,JIS L 0801の10. a) 1) (観察及び照明条件) の
方法で観察し,JIS L 0804の変退色用グレースケールによって判定する。JIS L 0842及びJIS L 0843にお
ける露光の条件としては,ブラックパネル温度37±5 ℃,相対湿度50 %以下とする。
7.5
曲げ強度試験
曲げ強度試験は,巻紙を取り除いた試料を37±2 ℃の恒温槽中に1時間放置した後,直ちに図1のよう
に二つの支点を台ばかりの上に置き,その上に試料を渡し,台ばかりの目盛が400 gになるまで荷重を加
えたとき折損するかどうかを調べる。曲げ強度試験機などの試験機を用いてもよい。この場合には速度1
〜3 mm/sで4 Nになるまで力を加えたとき折損するかどうかを調べる。
単位 mm
図1−曲げ強度試験装置
7.6
有害物質試験
有害物質試験は,次による。
a) 試料を加圧しない状態で長さ及び直径が6 mmを超えない寸法で小片に裁断し,その 1 g以上を0.1 mg
まで正しくはかり,これを試験片とする。
b) 試験片を硬質ろ紙4)で包み,グリース,オイル,ワックス又は類似材料の成分を適切な溶剤による抽
出によって除去する。この場合,グリース,オイル,ワックス又は類似材料の成分の除去が定量的で
あることが確実にされる分析方法をとる。
注4) 硬質ろ紙は,JIS P 3801に規定する4種ろ紙を使用する。
c) 硬質ろ紙4)に残った試験片残留物を用いて,a) で採取した試験片の質量の25倍質量の水(温度37±
2 ℃)で浸せきし,よくかき混ぜて混合液を均一にして,適切な大きさの容器5) に定量的に移す。そ
の混合液にa) で採取した質量の25倍質量の0.14 mol/l塩酸溶液6) (温度37±2 ℃)を加え,1分間振り
混ぜる。
注5) 適切な大きさの容器とは,総容量が塩酸抽出液の1.6〜5.0倍の容器。
6
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6) JIS K 8180に規定する塩酸を用いて調製する。
d) 混合液の酸性度をpH計7)で調べ,pH が1.5を超えるときは2 mol/l 塩酸溶液6) をpH が1.0〜1.5に
なるまで振り混ぜながら滴加する。
注7) pH計は,最小目盛0.2 pHの目盛をもつ計器を使用する。
e) 混合液に光が当たらないようにして混合液を37±2 ℃で1時間連続して振り混ぜた後,その温度状態
で1時間放置する。
f)
混合液をろ過し,得られた溶液を原子吸光光度計又は誘導結合プラズマ発光分析法(以下,ICP発光分
析法という。) の試験装置を用いて,原子吸光法はJIS K 0121に,ICP発光分析法はJIS K 0116によ
って分析する。
なお,ろ過する場合は,0.45 µm孔サイズの膜フィルターを用いてろ過し,必要によって加速度
49 000 m/s2 以下の遠心力で固形物を効率よく分離し除去する。
g) 分析結果は,表5の補正値を用い,次の式によって補正する。
100
E2
E1
E1
E
ρ
ρ
ρ
ρ
×
−
=
ここに,
E
ρ: 分析結果の補正後の値 (mg/kg)
E1
ρ: 分析結果 (mg/kg)
E2
ρ: 分析元素の補正値(%)
表5−補正値
単位 %
元素
アンチモン
ひ素
バリウム
カドミウム
クロム
鉛
水銀
セレン
補正値
60
60
30
30
30
30
50
60
7.7
粒子試験
粒子試験は,図画用紙8) に描画したとき塗面上の粒子が微細で,かつ,異物及び試料以外の色のない均
質なものであるかどうかを目視で調べる。
注8) 図画用紙は,JIS P 8124に規定する坪量が73.3〜210 g/m2で,かつ,JIS P 8148に規定するISO
白色度が75 %以上のものを使用する。
8
検査
8.1
形式検査
8.1.1
検査の条件
クレヨン及びパスは,次の場合には形式検査を行わなければならない。
a) 新しい配合原料を使用したとき
b) 配合原料の製造業者を変更したとき
c) 配合原料の生産技術条件が変更されたとき9)
d) 少なくとも5年に一度
ただし,a),b) 及びc)において,その配合原料を多くの色に共通して使用する場合は,3色以上の色で
行った形式検査が合格であるなら,その他の色の形式検査を省略することができる。
注9) 配合時使用する顔料などの原料を変更したときを含む。
7
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8.1.2
検査方法
形式検査の方法は次による。
a) 試料の採取方法及び大きさ 最初の製造ロットからランダムに1本以上の試料をとる。
b) 試験方法 箇条5及び箇条7による。
c) 合否の判定基準 試料のすべてが箇条4の表2の規定及び箇条5に適合したとき合格とする。
8.2
製品検査
クレヨン及びパスの製品検査は,各製品ごとに箇条7の7.3,7.5及び7.7によって試験を行い,箇条4
の表2の色度,曲げ強度及び粒子の規定に適合しなければならない。
ただし,受渡し時のロットに対する抜取検査方式は,受渡当事者間の協定による。
9
表示
9.1
巻紙の表示
クレヨン及びパスの巻紙には,次の事項を表示しなければならない。
a) 色名
b) 製造業者名又はその略号
9.2
セット箱10)の表示
クレヨン及びパスのセット箱には,次の事項を表示しなければならない。
注10) セット箱とは,複数又は異なる色を詰め合わせた箱のことをいう。
a) 名称及び規格番号
b) 色の数
c) 色名
d) 製造業者名又はその略号
e) 製造年月又はその略号
参考文献 JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS P 3801 ろ紙(化学分析用)
JIS P 8124 紙及び板紙−坪量測定方法
JIS P 8148 紙,板紙及びパルプ−ISO白色度(拡散青色光反射率)の測定方法
JIS Z 8721 色の表示方法−三属性による表示