S 1204 : 1998 (ISO 7174-1 : 1988)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日
本工業規格である。
今回の制定は,対応国際規格であるISO 7174-1に整合を図り,国際一致規格にすることを目的として行
われた。
JIS S 1204には,次に示す附属書がある。
附属書 力を加えたときの,座面の高さに基づく成人用いすの最小転倒力の提案値
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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日本工業規格 JIS
S 1204 : 1998
(ISO 7174-1 : 1988)
家具−いす−直立形のいす及び
スツールの安定性の試験方法
Furniture−Chairs−Determination of stability Part 1
: Upright chairs and stools
序文
この規格は,1988年に第1版として発行されたISO 7174-1,Furniture−Chairs−Determination of stability Part
1 : Upright chairs and stoolsを翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業
規格である。
1. 適用範囲
この規格は,あらゆる種類の直立形のいす,スツール及びプーフ(円形のクッションのようなスツール)
について,その安定性を求める試験方法を規定する。この規格で規定する試験方法は,長いす及びその他
の2人掛け以上のいす,傾斜した状態のリクライニングいす,傾けた状態の可傾機構をもついす及び回転
いす,又はロッキング用いすには適用しない。しかし,ここに規定する方法は,リクライニング機構,可
傾機構及び背当て角度調節機構が付いたいすを直立形のいすとして使用する場合の試験に用いることはで
きる。
ISO 7174の第2部は,完全に傾斜した可傾機構又はリクライニング機構をもついすの安定性について規
定する。
試験結果は試験された製品についてだけ有効とする。試験結果を他の類似製品にも適用することを目的
とする場合には,試験体は類似製品を代表するものが望ましい。
製品の設計がこの規格で規定する試験手順に適していない場合でも,試験は可能な範囲でこの規格の規
定どおりに実施することが望ましいが,この規格と異なる手順で試験を行った場合には,その内容を試験
報告書にまとめて記述しなければならない。
附属書は,この規格の一部を構成するものではない。附属書の表は,この規格が成人用のいすのどのよ
うな形式又は構造に適用できるかを示すものである。そこに含まれる安定性の要求事項は,参考である。
2. 引用規格
ISO 7173 Furniture−Chairs and stools−Determination of strength and durability
3. 定義
安定性 家具を転倒させようとする力に耐える能力
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S 1204 : 1998 (ISO 7174-1 : 1988)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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4. 試験装置
4.1
当て板
直径が200mmの剛性の円盤で,表面が半径300mmの球状で,縁を半径12mmに丸めてあるもの。この
当て板は,いすが転倒することを妨げることなく定位置に留まるように設計されていなければならない。
備考 この当て板は,ISO 7173に規定する小形座面当て板と同じものであり,その全寸法はISO 7173
の図に示されている。
4.2
力を加える装置
力を加える装置は,一定の大きさの力を加えるか又は力を徐々に増大しながら加えることができるもの
とする。この装置は,試験体の動きを妨げるものであってはならない。一定の大きさの力を加える場合に
は,その装置として,おもり,例えば1枚の鋼板を用いることができる。装置の精度は±1Nでなければな
らない。
備考 ここに規定する試験は,力を加えることを基本としているが,場合によっては,おもりを用い
てもよい。その場合には,10N=1kgfとして換算する。
4.3
ストッパ
ストッパは,試験体が移動しないようにするためのもので,転倒するのを防止するものであってはなら
ない。ストッパの高さは12mm以下とするが,試験体の構造によって,12mmより高いストッパを必要と
する場合には,試験体が移動するのを防止するために必要な最小限の高さでなければならない。
4.4
床面
床面は,水平で平たん(坦)な面とする。
5. 状態調節
試験体を,事前に状態調節する必要はない。
6. 一般試験要求事項
6.1
設置
いすを床面に設置し,いすが移動しないように脚をストッパに当てる。ただし,このストッパはいすが
転倒するのを妨げるものであってはならない。
回転式の基部をもついすを試験する場合には,回転式基部が座に対して,転倒が最も起こりやすい向き
に回転して位置決めする。
組立用結合金具は,すべて締め付ける。
高さ調節が可能ないすは,転倒が最も起こりやすい高さに設定しなければならない。
底部が円形であるいすの場合には,4本脚の試験体と想定して,4本脚のストッパの位置と同様な位置に
おいて,それぞれの底部の縁をそれぞれストッパに当てる。
3本脚又は5本脚の試験体の場合には,2つの脚をストッパに当てる。
6.2
許容差
特に規定がない限り,力の許容差は±5%,質量の許容差は±0.5%,寸法の許容差は±0.5mmとする。
7. 試験手順
7.1
実験による方法−いす
7.1.1
前方安定性及びひじ無しいすの側方安定性
いすの試験体を設置し,試験に応じて妥当な前脚又は片側の脚をストッパに当てる。当て板を用いて座
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S 1204 : 1998 (ISO 7174-1 : 1988)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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面の前縁又は側縁から50mmの最も不安定と考えられる位置に600Nの力を垂直に加える(通常は中心線
上に垂直力を加えれば十分である。)。当て板の底部が座面に接触する点から前方又は側方に延びる水平線
に沿って,附属書の参考値又は受渡当事者間の協定などによって定めた力Fを水平に加える(図1参照)。
このときの試験体の転倒の有無及び用いた水平力の大きさを記録する。
調節可能な背もたれがあるいす並びにリクライニングいす及び可傾いすは,背もたれを垂直位置から後
方に15±5度傾斜させた位置に設定又は固定して試験しなければならない。自由に旋回する背もたれにつ
いては,その回転の軸が上述の要求事項に合わせて調節することができない場合でも,その回転の軸に力
を加える。
7.1.2
後方安定性
いすの試験体を設置し,後脚をストッパに当てる。当て板を用いて,座面と背もたれの表面が交差する
線の中心から175mm前方の位置に600Nの垂直力を,座面に加える。水平基準線と当て板の底面との距離
を測定し,それを水平基準線と床面との距離から差し引くことによって,力を加えた座面の高さ位置と床
面との距離を求める。
垂直力を加えない状態の座面から300mmの高さ又は背もたれの上端のどちらか低い方の位置に,附属
書の参考値又は受渡当事者間の協定などによって定めた力Fを,いすの背もたれに水平に加える(図2参
照)。このときの試験体の転倒の有無及び用いた力の大きさを記録する。
角度調節が可能な背もたれは,実用上の調節範囲内で最も後ろの位置に設定しなければならない。自由
に旋回する背もたれについては,その回転の軸に水平力を加えなければならない。
7.1.3
ひじ付きいすの側方安定性
ひじ付きいすの試験体を設置し,片側の脚をストッパに当てる。座面の左右中心線から片側に100mm
寄った位置で,座面の後縁から前方に175〜250mm離れた位置に250Nの垂直力を加える。当て板を用い,
ひじ部の外側の縁から37.5mm内側の位置で,ひじ部の長さ方向で最も条件の悪い位置に350Nの垂直力
を加える。ひじ部に垂直力を加えた位置に,附属書の参考値又は受渡当事者間の協定などによって定めた
水平力を,脚をストッパに当てた方向に外向きに加える(図3参照)。
このときの試験体の転倒の有無及び用いた力の大きさを記録する。
7.2
実験による方法−スツール:全方向
スツールの試験体を設置し,2つの脚をストッパに当てる。
当て板を用い,ストッパを当てた脚に最も近い座面の縁から50mmの位置に600Nの垂直力を加える。
さらに,附属書の参考値又は受渡当事者間の協定などによって定めた水平力を,座面の中心を通ってスト
ッパを当てた脚の方向に加える(図4参照)。このときの試験体の転倒の有無及び用いた力の大きさを記録
する。
7.3
計算による方法−いす
7.3.1
一般原則
安定性の試験を計算による方法で行う場合には,当て板は用いない。計算による方法では,荷重によっ
て起こり得る転倒に対する抵抗力を,拘束された足に関するモーメントに基づいて考慮する。この計算の
ために,距離a, b及びhを測定する。
− 距離aは,ストッパを当てた脚を結ぶ線から座荷重Wを加える点の垂直投影点までの最小水平距離で
ある。
− 距離bは,ストッパを当てた脚からひじ部荷重点までの水平距離である。
− 距離hは,水平方向の転倒力を加える点の水平面からの垂直高さである。
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S 1204 : 1998 (ISO 7174-1 : 1988)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
この方法は,ばね懸架式の座面をもついすには適さない。
7.3.2
前方安定性及びひじ無しいすの側方安定性
いすの試験体を設置し,まず前脚をストッパに当てる。座面と背もたれの表面が交差する位置に,スト
ッパに当てた脚の方に傾くように,作用する力Foを徐々に増大させながら水平に加える。ストッパの当た
っていない脚が床から浮き上がるときのFoの値を記録する。距離h及びaを測定する。
600 Nの大きさの座面に加える力Wが加えられた試験体を,転倒させるのに必要な力Fcは,次の式によ
って算出する。
Fc=Fo+ (Wa/h)
7.3.3
後方安定性
いすの試験体を設置し,後脚をストッパに当てる。力を加えていない状態の座面から300mmの高さ又
は背もたれの上端のどちらか低い方の位置に,背もたれの中心線上で後方に向かって作用する力を,試験
体の前脚が床から浮き上がる瞬間まで,徐々に増大させながら加える。
力Fo(ニュートン)を記録し,距離a及びhを測定する。
角度調節可能な背もたれは,垂直位置から15±5度後方の位置に設定する。自由に旋回する背もたれに
ついては,その回転の軸が上述の要求事項に合わせて調節することができない場合でも,その回転の軸に
力を加える。600Nの大きさの座面に加える力Wを加えた試験体を,転倒させるのに必要な力Fcは,7.3.2
の式によって算出する。
7.3.4
ひじ付きいすの側方安定性
力を加えていないひじ付きいすの試験体を設置し,片側の脚をストッパに当てる。ひじ部の最上部で,
ひじ部の長さ方向で最も条件の悪い位置に,ストッパに当てた脚の側の転倒軸に対し直角の力を外向きに,
徐々に増大させながら加える。
ストッパの当たっていない側の脚が床から浮き上がるときのFoの値を記録する。距離a,b及びhを測
定する。600Nの座面に加える力Wを加えた試験体を転倒させるのに必要な力Fcは,次の式によって算出
する。
Fc=Fo+ (250a/h±350b/h)
7.4
計算による方法−スツール:全方向安定性
スツールの安定性は,7.3.2に規定する方法によって求める。ただし,ストッパに当てる脚は,安定性が
最も悪い脚とする。
8. 試験報告書
試験報告書には,少なくとも次の事項を記載しなければならない。
a) 規格番号
b) 試験したいす及びスツール(関係データ)
c) 用いた安定性試験の方法(実験による方法又は計算による方法)
d) 7.による試験結果及び試験体が試験中に転倒したかどうか
e) 当該規格と異なる手順で試験を行った場合には,その手順
f)
試験場所の名称及び所在地
g) 試験年月日
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S 1204 : 1998 (ISO 7174-1 : 1988)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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図1 前方安定性及びひじ無しいすの側方安定性
図2 後方安定性
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S 1204 : 1998 (ISO 7174-1 : 1988)
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図3 ひじ付きいすの側方安定性
図4 スツールの全方向安定性
1) 特に規定がない限り
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S 1204 : 1998 (ISO 7174-1 : 1988)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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附属書 力を加えたときの,座面の高さに基づく
成人用いすの最小転倒力の提案値
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S 1204 : 1998 (ISO 7174-1 : 1988)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS S 1204原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
○ 坂 田 種 男
坂田研究室
(小委員長)
○ 岩 井 一 幸
東京家政学院大学
○ 高 橋 牧 人
通商産業省生活産業局
○ 西 出 徹 雄
工業技術院標準部消費生活規格課
○ 上 野 義 雪
千葉工業大学
○ 古 澤 富志雄
職業能力開発大学校
○ 田 山 茂 夫
千葉大学
山 村 修 蔵
財団法人日本規格協会
○ 小 杉 健一郎
株式会社イトーキ
○ 金 井 博
株式会社内田洋行
○ 小 熊 誠 次
株式会社岡村製作所
○ 石 原 俊 彦
コクヨ株式会社
○ 加 藤 博
株式会杜ホウトク
○ 青 木 恒太郎
株式会社コスガ
○ 桜 井 久 喜
株式会社天童木工
○ 森 章
社団法人全国家具工業連合会
○ 松 岡 寿 人
財団法人日本文化用品安全試験所
○ 藤 村 盛 造
F&Fデザインオフィス
○ 吉 沢 晴 行
文部省文教施設部
池 浜 静 夫
製品安全協会
村 井 敬
株式会社日建設計
○ 佐 分 正 雄
社団法人用度需要者協会
○ 篠 崎 輝 紀
社団法人ニューオフィス推進協議会
武 井 孝 純
住友海上火災保険株式会社
(事務局)
辻 村 照 哉
社団法人日本オフィス家具協会
西 山 栄 一
社団法人日本オフィス家具協会
備考 ○印は,小委員会委員も兼ねる。