S 0101 : 2000
(1)
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日
本工業規格である。
この規格の附属書(参考)の一部が商標登録されている可能性があることに注意を喚起する。通商産業
大臣及び日本工業標準調査会は,このような商標登録などの知的財産権にかかわる確認について責任はも
たない。
JIS S 0101には,次に示す附属書がある。
附属書(参考) この規格で規定したもの以外の消費者用警告図記号の例
日本工業規格 JIS
S 0101 : 2000
消費者用警告図記号
Graphical warning symbols for consumers
序文 この規格は,危険防止の目的で付けられる警告用図記号が,消費者に誤解なく理解される目的で制
定された。
1. 適用範囲 この規格は,日常生活で使用する消費者用製品(以下,“製品”という。),その取扱説明書
などに用いる図記号のうち,人体への危害及び財物への損害を未然に防止するため,禁止,注意,指示事
項などを消費者へ視覚的に伝える警告図記号について規定する。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。この引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 0139 複写機−図記号
JIS Z 0152 包装物品の取扱い注意マーク
3. 定義 この規格に用いる主な用語の定義は,次による。
a) 消費者用警告図記号 (Graphical warning symbols for consumers) 消費者に注意,指示事項などの情報
を与えることを意図した図記号であって,通常,専門家又は職業的訓練に頼らないで理解できるもの。
b) 危険 (Danger) 消費者が製品の取扱いを誤った場合,死亡又は重傷を負うことがあり,かつその切
迫の度合いが高い危害の程度。
c) 警告 (Warning) 消費者が製品の取扱いを誤った場合,死亡又は重傷を負うことが想定される危害の
程度。
d) 注意 (Caution) 消費者が製品の取扱いを誤った場合,傷害を負うことが想定されるか又は物的損害
の発生が想定される危害・損害の程度。
4. 消費者用警告図記号の分類 消費者用警告図記号の分類は,表1による。
表1 消費者用警告図記号の分類
分類
適用
禁止図記号
製品の取扱いにおいて,その行為を禁止する図記号。
注意図記号
製品の取扱いにおいて,発火,破裂,高温等に対する注意を喚起するための図記号。
指示図記号
製品の取扱いにおいて,指示に基づく行為を強制する図記号。
2
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5. 消費者用警告図記号に用いる基本形状,色及び使い方
5.1
禁止図記号に用いる基本形状,色及び使い方 禁止図記号に用いる基本形状,色及び使い方は表2
による。
表2 禁止図記号に用いる基本形状,色及び使い方
5.2
注意図記号に用いる基本形状,色及び使い方 注意図記号に用いる基本形状,色及び使い方は表3
による。
表3 注意図記号に用いる基本形状,色及び使い方
5.3
指示図記号に用いる基本形状,色及び使い方 指示図記号に用いる基本形状,色及び使い方は表4
による。
表4 指示図記号に用いる基本形状,色及び使い方
6. 消費者用警告図記号の種類
6.1
禁止図記号 禁止図記号は,表5による。
3
S 0101 : 2000
表5 消費者用警告図記号(禁止図記号)
番号
名称
図記号
意味
6.1.1
火気禁止
外部の火気によって製品が発火する可能性
を示す。
6.1.2
接触禁止
JIS B 0139の3.(図記号の種類)の11によ
る。
(参考) 製品の特定の場所に触れることに
よって傷害が起こる可能性を示す。
6.1.3
風呂,シャワー
室での使用禁止
防水処理のない製品を風呂,シャワー室で使
用すると漏電によって感電や発火の可能性
を示す。
6.1.4
分解禁止
製品を分解することで感電などの傷害が起
こる可能性を示す。
4
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番号
名称
図記号
意味
6.1.5
水ぬれ禁止
防水処理のない製品を水がかかる場所で使
用したり水にぬらすなどして使用すると漏
電によって感電や発火の可能性を示す。
6.1.6
ぬれ手禁止
製品をぬれた手で扱うと感電する可能性を
示す。
参考1
6.1.1の図記号は,ISO 3864 Annex Bに規定されている。
2 6.1.3の図記号は,IEC 60417 5582に規定されている。
3 6.1.4〜6.1.6の図記号は,現在ISO 3864に提案中である。
6.2
注意図記号 注意図記号は,表6による。
表6 消費者用警告図記号(注意図記号)
番号
名称
図記号
意味
6.2.1
一般注意
JIS Z 0152の4.1(注意度合いの表示語)に
よる。
(参考) 特定しない一般的な注意を示す。
5
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番号
名称
図記号
意味
6.2.2
発火注意
特定の条件において,発火の可能性を示す。
6.2.3
破裂注意
特定の条件において,破裂の可能性を示す。
6.2.4
感電注意
特定の条件において,感電の可能性を示す。
6.2.5
高温注意
特定の条件において,高温による傷害の可能
性を示す。
6
S 0101 : 2000
番号
名称
図記号
意味
6.2.6
回転物注意
モータ,ファンなど回転物のガードを取り外
すことによって起こる傷害の可能性を示す。
参考1
6.2.2〜6.2.4の図記号はISO 3864 Annex Bに記述されている。
2 6.2.5の図記号はIEC 60417 5041に規定されている。
3 6.2.6の図記号は現在ISO 3864に提案中である。
6.3
指示図記号 指示図記号は,表7による。
表7 消費者用警告図記号(指示図記号)
番号
名称
図記号
意味
6.3.1
一般指示
使用者に対し指示に基づく行為を強制する。
6.3.2
電源プラグをコ
ンセントから抜
け
使用者に電源プラグをコンセントから抜く
ように指示する。
参考1
6.3.1の図記号はISO 3864 Annex Bに記述されている。
2 6.3.2の図記号は現在ISO 3864に提案中である。
7. 危害・損害の程度の表示方法 危害・損害の程度は,危険,警告及び注意の3水準とし,その表示方
法は,一般注意図記号と危険,警告及び注意を組み合わせて使用することとし,表8による。また,書体
は,ゴシックとする。表示方法の作図については,解説2.2を参照。
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S 0101 : 2000
表8 危害・損害の程度の表示方法
8. 表示方法
8.1
製品本体への表示 消費者用警告図記号を製品本体に表示する場合は,図1に示す例に基づき,危
害・損害の程度を示す表示及び説明文とともに表示するのがよい。また,表示する場所は,目に付きやす
い場所とする。高齢者でも分かりやすい大きさを考慮し,次のとおりとする。
a) 図記号の最小の大きさは,1辺が8mmの基本正方形とする(解説参照)。
b) 危険の種類を表す図記号の大きさは,警告用図記号より大きく強調して用いる。
c) 図記号と背景色とのコントラスト(明度差)は,4.0以上(マンセル値)とする(解説参照)。
備考 背景色は,白系統色が望ましい。
d) 説明文に使用する文字の大きさ(高さ)は,3.0mm以上とする。
e) 説明文の書体は,ゴシックが望ましい。
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図1 製品本体への表示例
8.2
取扱説明書及び包装への表示 消費者用警告図記号を取扱説明書及び包装に表示する場合は,図2
に示す例に基づき,危害・損害の程度を示す表示及び消費者用警告図記号の説明文とともに表示するのが
よい。
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S 0101 : 2000
図2 取扱説明書及び包装への表示例
関連規格 JIS L 0217 繊維製品の取扱いに関する表示記号及びその表示方法
JIS S 0102 消費者用警告図記号−試験の手順(平成12年5月20日付け制定予定)
JIS Z 8250 図記号通則
JIS Z 8721 色の表示方法−三属性による表示
JIS Z 9101 安全色及び安全標識
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S 0101 : 2000
附属書(参考) この規格で規定したもの以外の消費者用警告図記号の例
この附属書は,本体に規定した事柄を補足するもので,規定の一部ではない。
この附属書は,本体で規定した消費者用警告図記号以外のもので,現在使われているものの例を示す。
これらの例の中には,本体の規定に適合しないものも含まれている。
1. 禁止図記号
1.1
一般用 消費者用警告図記号(禁止図記号)として使われているものの中で一般用の例を附属書表1
に示す。
附属書表1 禁止図記号の例(一般用)
番号
名称
図記号
意味
備考
1.1
火気厳禁
(1)
特定の条件において,発火の可能性を
示す
1.2
可燃物の
近くで使
用禁止
(2)
燃えやすいものの近くで使用すると,
発火の可能性を示す。
1.3
ガソリン
使用禁止
(3)
ガソリンを使用すると火災の可能性を
示す。
が黒の例もある。
1.4
手を触れ
ない
(脱水槽)
(2)
手に触れると洗濯物が指に巻き付くな
どによって傷害が起こる可能性を示
す。
脱水槽が逆回転の例もある。
1.5
手を触れ
ない
(扇風機)
(4)
手に触れると羽根によって傷害が起こ
る可能性を示す。
注(1) 日本科学機器団体連合会で規定されている。
(2) 社団法人日本電機工業会で規定されている。
(3) 社団法人日本ガス石油機器工業会で規定されている。
(4) 電気用品取締法で規定されている。
1.2
子供用 消費者用警告図記号(禁止図記号)として使われているものの中で子供用玩具の例を附属
書表2に示す。
11
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附属書表2 禁止図記号の例(子供用)
番号
名称
図記号
意味
備考
2.1
火に近づ
けない
(5)
特定の条件において,発火の可能性を
示す。
“ひにちかづけない”を併用す
る。
2.2
口に入れ
ない
(5)
製品を口の中に入れると窒息,中毒な
どの危害が起こる可能性を示す。
“くちにいれない”を併用する。
2.3
水にぬら
さない
(5)
製品を水にぬらすと漏電によって感電
や発火の可能性を示す。
“みずにぬらさない”を併用す
る。
2.4
人に向け
ない
(5)
製品を人に向けて使用すると失明等の
傷害が起こる可能性を示す。
“ひとにむけない”を併用する。
2.5
巻き付け
ない
(5)
製品を巻き付けると窒息等の危害が起
こる可能性を示す。
“まきつけない”を併用する。
2.6
上に乗ら
ない
(5)
製品の上に乗ると傷害が起こる可能性
を示す。
“うえにのらない”を併用する。
注(5) 社団法人日本玩具協会で規定されている。また,これらの禁止図記号は商標登録されている。
2. 注意図記号 消費者用警告図記号(注意図記号)として使われているものの例を附属書表3に示す。
附属書表3 注意図記号
番号
名称
図記号
意味
備考
3.1
一般注意
(6)
特定しない一般的な注意を示す。
反転表示
3.2
手のやけ
どに注意
(1)
特定の条件において,高温による手の
火傷等の傷害が起こる可能性を示す。
3.3
感電注意
(6)
特定の条件において,感電の可能性を
示す。
反転表示
3.4
指を挟ま
れないよ
うに注意
(6) (7)
ドアー,挿入口などで指が挟まれるこ
とによって起こる傷害の可能性を示
す。
注(6) 社団法人日本事務機械工業会で規定されている。
(7) 財団法人家電製品協会で規定されている。
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S 0101 : 2000
3. 指示図記号 消費者用警告図記号(指示図記号)として使われているものの例を附属書表4に示す。
附属書表4 指示図記号
番号
名称
図記号
意味
備考
4.1
必ずアー
ス線を接
続せよ
(6) (7)
安全アース端子付の製品の場合,使用
者に必ずアース線を接続するように指
示する。
4.2
換気が必
要
(3)
換気することを指示する。
4.3
換気が必
要
(8)
使用中は,必ず換気することを指示す
る。
注(8) 石鹸洗剤工業組合で規定されている。また,この指示図記号は商標登録されている。
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S 0101 : 2000
“図記号−消費者用図記号”JIS原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
加 藤 久 明
日本デザイン学会
天 野 洋 右
社団法人日本電子機械工業会(アイワ株式会社)
井 村 五 郎
千葉工業大学 工業デザイン学科
加 藤 茂
社団法人日本電機工業会
児 山 啓 一
社団法人日本インダストリアルデザイナー協会(株式会社
アイ・デザイン)
斎 田 真 也
工業技術院生命工学工業技術研究所
佐 野 真理子
主婦連合会
田 辺 仁
財団法人家電製品協会(ソニー株式会社)
中 田 誠
社団法人日本玩具協会
平 瀬 隆 治
通商産業省製品評価技術センター技術部
広 橋 桂 子
社団法人日本パッケージデザイン協会(ヒロハシデザイン)
古 川 哲 夫
財団法人日本消費者協会
堀 江 右 吉
キヤノン株式会社総合デザインセンタービジュアルデザイ
ン部
松 本 秀 男
社団法人日本冷凍空調協会企画部
丸 山 昭 巳
社団法人日本ガス石油機器工業会
三 村 光 代
社団法人日本消費生活アドバイザーコンサルタント協会
山 元 敏 晴
社団法人日本電子機械工業会(日本ビクター株式会社)
(関係者)
西 川 泰 蔵
工業技術院標準部
渡 邊 武 夫
工業技術院標準部
(事務局)
橋 本 進
財団法人日本規格協会技術部
石 垣 正 夫
財団法人日本規格協会技術部
“図記号−消費者用図記号”JIS原案作成ワーキンググループ 構成表
氏名
所属
(委員長)
加 藤 久 明
日本デザイン学会
井 村 五 郎
千葉工業大学 工業デザイン学科
小 野 清
株式会社東芝デザインセンター
川 野 和 弘
通商産業省製品評価技術センター技術部
児 山 啓 一
社団法人日本インダストリアルデザイナー協会(株式会社
アイ・デザイン)
田 辺 仁
財団法人家電製品協会(ソニー株式会社)
中 田 誠
社団法人日本玩具協会
古 川 哲 夫
財団法人日本消費者協会
堀 江 右 吉
キヤノン株式会社総合デザインセンタービジュアルデザイ
ン部
(関係者)
渡 邊 武 夫
工業技術院標準部
(事務局)
橋 本 進
財団法人日本規格協会技術部
石 垣 正 夫
財団法人日本規格協会技術部