R 9301-3-2 : 1999 (ISO 806 : 1976)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日
本工業規格である。
JIS R 9301は,次に示す部編成となっている。
第1部:試料−1:サンプリング
第1部:試料−2:調製及び保存
第2部:物性測定方法−1:ピクノメーター法による真密度
第2部:物性測定方法−2:安息角
第2部:物性測定方法−3:軽装かさ密度及び重装かさ密度
第3部:化学分析方法−1:乾燥減量の定量
第3部:化学分析方法−2:強熱減量の定量
第3部:化学分析方法−3:アルカリ融解
第3部:化学分析方法−4:加圧酸分解
第3部:化学分析方法−5:酸化けい素 (Ⅳ) の定量
第3部:化学分析方法−6:酸化鉄 (Ⅲ) の定量
第3部:化学分析方法−7:酸化チタン (Ⅳ) の定量
第3部:化学分析方法−8:酸化カルシウムの定量
第3部:化学分析方法−9:酸化ナトリウムの定量
第3部:化学分析方法−10:酸化ほう素の定量
第3部:化学分析方法−11:ふっ素の定量
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
R 9301-3-2 : 1999
(ISO 806 : 1976)
アルミナ粉末−
第3部:化学分析方法−2:
強熱減量の定量
Alumina powder−Part 3 : Methods of chemical analysis−2 :
Determination of loss of mass by ignition
序文 この規格は,1976年第1版として発行されたISO 806, Aluminium oxide primarily used for the
production of aluminium−Determination of loss of mass at 1 000℃ and 1 200℃を基に,対応する部分について
は技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格であるが,対応国際規格に規定されていない適用
範囲の内容及び規定項目(110℃乾燥減量法及び乾燥剤の種類)を日本工業規格として追加した。
なお,点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格にはない事項である。
1. 適用範囲 この規格は,アルミナ粉末の1 000℃及び1 200℃の強熱減量の定量方法について規定する。
備考1. 工業用アルミナは加熱によって質量が減少する。300℃までの質量減少は,多孔性アルミナの
吸着水分によるものである。高温の質量減少は,一部は残留する構造水によるもので,ある
種の不純物(炭酸塩,硫酸塩等)の分解によって著しく増加する。全質量減少は,試料の加
熱温度と保持時間,水分及び不純物の含有量,更に不純物の性質に依存する。水分減少が急
にしかも定量的に起こるような,定まった温度はないので,1 000℃及び1 200℃という温度を,
加熱による質量減少の定量のための強熱温度として任意に選定した。したがって,これらの
二つの定量方法のいずれも,工業用酸化アルミニウムの仮焼状態の基準と考えることはでき
ない。これらは,別々に又は同時に測定することができる。
2. この規格の対応国際規格を,次に示す。
ISO 806 : 1976 Aluminium oxide primarily used for the production of aluminium−Determination of
loss of mass at 1 000℃ and 1 200℃
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。
JIS R 9301-1-2 アルミナ粉末−第1部:試料−2:調製及び保存
備考 ISO 802, Aluminium oxide primarily used for the production of aluminium−Preparation and storage
of test samplesからの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
JIS R 9301-3-1 アルミナ粉末−第3部:化学分析方法−1:乾燥減量の定量
JIS Z 8401 数値の丸め方
2
R 9301-3-2 : 1999 (ISO 806 : 1976)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3. 原理 あらかじめ300℃又は110℃で加熱した同一の試料から,二つの測定試料をはかりとり,一つは
1 000℃で,他方は1 200℃で2時間強熱する。乾燥後の試料の質量と強熱後の試料の質量の差を求める。
300℃乾燥に基づく方法をH法,110℃乾燥に基づく方法をL法とする。
高温仮焼のアルミナ粉末の乾燥減量の定量にはL法を,低温仮焼のアルミナ粉末又は仮焼条件が分から
ないアルミナ粉末の乾燥減量の定量にはH法を使用する(JIS R 9301-3-1の1.適用範囲の備考1.参照)。
4. H法による定量
4.1
装置 通常の装置,器具及び次に示すもの。
4.1.1
白金るつぼ 直径約30mm及び深さ約40mmで,ふた付きのもの。
4.1.2
電気乾燥器 300±10℃に調節可能なもの。
4.1.3
電気炉 1 000±10℃に調節可能なもの。
4.1.4
電気炉 1 200±10℃に調節可能なもの。
4.1.5
デシケーター 新しい活性化アルミナ,酸化りん (Ⅴ) 又は過塩素酸マグネシウムの入ったもの
(塩化カルシウムを使用しない。)。
4.2
操作
4.2.1
試料のはかり取り量 1200±10℃に調節した電気炉(4.1.4)中で,るつぼとそのふた(4.1.1)を15分間
強熱する。炉から取り出し,デシケーター(4.1.5)に入れる。冷却後,0.0001gのけたまではかる(質量m4)。
次に,JIS R 9301-1-2によるなま(生)試料約5gをるつぼに入れ,0.0001gのけたまではかる。測定試
料の入ったるつぼをふたをせず,ふたと共に300±10℃の電気乾燥器(4.1.2)に入れ,2時間加熱する。るつ
ぼにふたをして,乾燥器からデシケーターに移す。冷却後,0.0001gのけたまではかる(質量m1)。
300℃で加熱した試料の質量は,差 (m1−m4) によって算出する。
4.2.2
測定
4.2.2.1
1 000℃の強熱減量 1 000±10℃に調節した電気炉(4.1.3)に,4.2.1によって調製した測定試料を
入れたるつぼ及びふたを,ふたをしないで入れ,2時間加熱する。るつぼにふたをして,炉から出し,デ
シケーターに移す。冷却後,直ちに0.0001gのけたまではかる(質量m2)。
4.2.2.2
1 200℃の強熱減量 1 200±10℃に調節した電気炉(4.1.4)に,4.2.1によって調製した測定試料を
入れたるつぼ及びそのふたを,ふたをしないで入れ,2時間加熱する。るつぼにふたをして,炉から出し,
デシケーターに移す。冷却後,直ちに0.0001gのけたまではかる(質量m3)。
4.2.3
ブランクテスト
4.2.3.1
原理 白金るつぼ及びそのふた(4.1.1)の質量変化の定量。
4.2.3.2
操作 るつぼを注意深くから(空)にし,ふたとともにその質量をはかる(質量m5)。
4.3
H法の強熱減量の計算
4.3.1
300〜1 000℃間の強熱減量は,次の式によって計算する。
(
)(
)100
0
5
4
2
1
300
1000
×
m
m
m
m
m
LOI
−
−
−
=
−
4.3.2
300〜1 200℃間の強熱減量は,次の式によって算出する。
(
)(
)100
0
5
4
3
1
300
1200
×
m
m
m
m
m
LOI
−
−
−
=
−
3
R 9301-3-2 : 1999 (ISO 806 : 1976)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
ここに,
LOI1000−300: 300℃〜1 000℃の強熱減量 (mass%)
LOI1200−300: 300℃〜1 200℃の強熱減量 (mass%)
m0: 300℃乾燥の測定試料の質量[ (m1−m4) に等しい] (g)
m1: 300℃乾燥後の試料の入ったるつぼとふたの合計質量
(g)
m2: 1 000℃強熱後の試料の入ったるつぼとふたの合計質
量 (g)
m3: 1 200℃強熱後の試料の入ったるつぼとふたの合計質
量 (g)
m4: 定量の前の1 200℃強熱後の空のるつぼとふたの合計
質量 (g)
m5: 定量後の空のるつぼとふたの合計質量 (g)
計算結果は,JIS Z 8401によって小数点以下第2位に丸める。
5. L法による定量
5.1
装置 通常の装置,器具及び次に示すもの。
5.1.1
白金るつぼ 4.1.1による。
5.1.2
電気乾燥器 110±5℃に調節可能なもの。
5.1.3
電気炉 4.1.3による。
5.1.4
電気炉 4.1.4による。
5.1.5
デシケーター 4.1.5による。
5.2
操作
5.2.1
試料のはかり取り量 1 200±10℃に調節した電気炉(5.1.4)中で,るつぼとそのふた(5.1.1)を15分間
強熱する。炉から取り出し,デシケーター(5.1.5)に入れる。冷却後,0.0001gのけたまではかる(質量m4)。
次に,JIS R 9301-1-2によるなま試料約5gをるつぼに入れ,0.0001gまではかる。測定試料の入ったる
つぼをふたをせず,ふたとともに110±5℃の電気乾燥器(5.1.2)に入れ,2時間加熱する。るつぼにふたを
して,乾燥器からデシケーターに移す。冷却後,0.0001gのけたまではかる(質量m1)。
110℃で加熱した試料の質量は,差 (m4−m1) によって算出する。
5.2.2
測定
5.2.2.1
1 000℃の強熱減量 1 000±10℃に調節した電気炉(5.1.3)に,5.2.1によって調製した測定試料を
入れたるつぼ及びそのふたを,ふたをしないで入れ,2時間加熱する。るつぼにふたをして,炉から出し,
デシケーターに移す。冷却後,直ちに0.0001gまではかる(重量m2)。
5.2.2.2
1 200℃の強熱減量 1 200±10℃に調節した電気炉(5.1.4)に,5.2.1によって調製した測定試料を
入れたるつぼ及びそのふたを,ふたをしないで入れ,2時間加熱する。るつぼにふたをして,炉から出し,
デシケーターに移す。冷却後,直ちに0.0001gまではかる(質量m3)。
5.2.3
ブランクテスト
5.2.3.1
原理 白金るつぼ及びそのふた(5.1.1)の質量変化の定量。
5.2.3.2
操作 るつぼを注意深く空にし,ふたとともにその質量をはかる(質量m5)。
5.3
L法の強熱減量の計算
5.3.l
110〜1 000℃の強熱減量は,次の式によって計算する。
(
)(
)100
0
5
4
2
1
110
1000
×
m
m
m
m
m
LOI
−
−
−
=
−
4
R 9301-3-2 : 1999 (ISO 806 : 1976)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
5.3.2
110〜1 200℃の強熱減量は,次の式によって計算する。
(
)(
)100
0
5
4
3
1
110
1200
×
m
m
m
m
m
LOI
−
−
−
=
−
ここに,
LOI1000−110: 110〜1 000℃の強熱減量 (mass%)
LOI1200−110: 110〜1 200℃の強熱減量 (mass%)
m0: 110℃乾燥の測定試料の質量[ (m1−m4) に等しい。](g)
m1: 110℃乾燥後の試料の入ったるつぼとふたの合計質量
(g)
m2: 1 000℃強熱後の試料の入ったるつぼとふたの合計質量
(g)
m3: 1 200℃強熱後の試料の入ったるつぼとふたの合計質量
(g)
m4: 定量の前の1 200℃強熱後の空のるつぼとふたの合計質
量 (g)
m5: 定量後の空のるつぼとふたの合計質量 (g)
計算結果は,JIS Z 8401によって小数点以下第2位に丸める。
6. 試験報告 試験報告書には,次の事項を含む。
a) 使用した規格
b) 乾燥条件
e) 結果及び計算方法
d) 定量中の特記事項
e) この規格又は引用規格に規定していない操作
5
R 9301-3-2 : 1999 (ISO 806 : 1976)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
アルミナ粉末改正原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
岡 田 清
東京工業大学
伊 藤 敏
通商産業省生活産業局
大 嶋 清 治
工業技術院標準部
橋 本 繁 晴
財団法人日本規格協会
芝 崎 靖 雄
名古屋工業技術研究所
多 田 格 三
元株式会社東芝
船 戸 巳知雄
前サンパウロ技術研究所
橋 本 邦 男
昭和電工株式会社
毛 利 正 英
住友化学工業株式会社
石 川 秀 徳
日本軽金属株式会社清水工場
金 野 正 幸
日本ガイシ株式会社
長 峯 義 展
東芝セラミックス株式会社開発研究所
篠 原 伸 広
旭硝子株式会社中央研究所
林 均
研削材工業協会
早 川 恭 弘
株式会社ノリタケカンパニーリミテド
和 田 弘
日立化成工業株式会社山崎工場
鈴 木 由 郎
社団法人日本セラミックス協会
分析分科会
氏名
所属
(主査)
船 戸 巳知雄
前サンパウロ技術研究所
岡 本 英 俊
昭和電工株式会社横浜工場
野 網 靖 雄
住友化学工業株式会社基礎化学品研究所
榎 貴 志
日本軽金属株式会社清水工場
生 川 章
日本ガイシ株式会社
長 峯 義 展
東芝セラミックス株式会社開発研究所
竹 内 光 男
鳴海製陶株式会社
物性分科会
氏名
所属
(主査)
毛 利 正 英
住友化学工業株式会社
岡 本 英 俊
昭和電工株式会社横浜工場
榎 貴 志
日本軽金属株式会社清水工場
金 野 正 幸
日本ガイシ株式会社
篠 原 伸 広
旭硝子株式会社中央研究所
早 川 恭 弘
株式会社ノリタケカンパニーリミテド
和 田 弘
日立化成工業株式会社山崎工場