R 9301-3-10 : 1999 (ISO 2865 : 1973)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日
本工業規格である。
JIS R 9301は,次に示す部編成となっている。
第1部:試料−1:サンプリング
第1部:試料−2:調製及び保存
第2部:物性測定方法−1:ピクノメーター法による真密度
第2部:物性測定方法−2:安息角
第2部:物性測定方法−3:軽装かさ密度及び重装かさ密度
第3部:化学分析方法−1:乾燥減量の定量
第3部:化学分析方法−2:強熱減量の定量
第3部:化学分析方法−3:アルカリ融解
第3部:化学分析方法−4:加圧酸分解
第3部:化学分析方法−5:酸化けい素(IV)の定量
第3部:化学分析方法−6:酸化鉄(III)の定量
第3部:化学分析方法−7:酸化チタン(IV)の定量
第3部:化学分析方法−8:酸化カルシウムの定量
第3部:化学分析方法−9:酸化ナトリウムの定量
第3部:化学分析方法−10:酸化ほう素の定量
第3部:化学分析方法−11:ふっ素の定量
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
R 9301-3-10 : 1999
(ISO 2865 : 1973)
アルミナ粉末−
第3部:化学分析方法−
10:酸化ほう素の定量
Alumina powder−Part 3 : Methods of chemical analysis−
10 : Determination of boric oxide content
序文 この規格は,1973年に第1版として発行されたISO 2865, Aluminium oxide primarily used for the
production of aluminium−Determination of boron content−Curcumin spectrophotometric methodを基に,対応す
る部分については技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格であるが,対応国際規格に規定さ
れていない適用範囲の内容及び規定項目(加圧硫酸分解−ICP発光分光分析法)を日本工業規格として追
加した。
なお,点線の下線を施してある箇所は対応国際規格にはない事項である。
1. 適用範囲 この規格は,化学分析によるアルミナ粉末のほう素の定量方法について規定する。
1.1
クルクミン吸光光度法(A法) この方法は,ほう素の酸化ほう素 (B2O3) としての含有率0.000
6mass%以上に適用する。
1.2
加圧硫酸分解−ICP発光分光分析法(B法) この方法は,ほう素が酸化ほう素 (B2O3) として含有
率0.000 5mass%以上に適用する。
備考 この規格の対応国際規格を次に示す。
ISO 2865 Aluminium oxide primarily used for the production of aluminium−Determination of boron
content−Curcumin spectrophotometric method
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。
JIS R 9301-1-2 アルミナ粉末−第1部:試料−2:調製及び保存
備考 ISO 802, Aluminium oxide primarily used for the production of aluminium−Preparation and storage
of test samplesからの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
JIS R 9301-3-4 アルミナ粉末−第3部:化学分析方法−4:加圧酸分解
備考 ISO 2073, Aluminium oxide primarily used for the production of aluminium−Preparation of soluti
on for analysis−Method by hydrochloric acid attack under pressureからの引用事項は,この規
格の該当事項と同等である。
JIS K 0557 用水・排水の試験に用いる水
2
R 9301-3-10 : 1999 (ISO 2865 : 1973)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS K 8102 エタノール (95) (試薬)
JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8295 グリセリン(試薬)
JIS K 8297 クルクミン(試薬)
JIS K 8519 しゅう酸二水和物(試薬)
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
JIS K 8643 チモールブルー(試薬)
JIS K 8863 ほう酸(試薬)
JIS K 8891 メタノール(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS K 9005 りん酸(試薬)
JIS Z 8401 数値の丸め方
3. クルクミン吸光光度法(A法)
3.1
原理 試料をりん酸に溶かし,メチルほう素として蒸留分離する。pH7において,ほう素とクルク
ミンの赤色錯体を生成させる。この呈色錯体の波長約550nmにおける吸光度を測定する。
3.2
試薬 この分析に使用する試薬は,化学分析用とし,水は,JIS K 0557に規定するA3による。
a) りん酸 JIS K 9005による。
b) メタノール JIS K 8891による。
c) エタノール (95) JIS K 8102による。
d) グリセリンアルカリ溶液 JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム1g及びJIS K 8150に規定する塩
化ナトリウム0.1gを,JIS K 8295に規定するグリセリン3mlを溶かした水100mlに溶かす。この溶液
は,石英ガラス製容器に保存する。
e) クルクミン溶液 250mlの石英ガラス製全量フラスコに次のものを加える。
− エタノール [3.2c)] 175ml
− しゅう酸二水和物 [(COOH) 2・2H2O] JIS K 8519に規定するしゅう酸二水和物3.75g
− 塩酸 JIS K 8180に規定する塩酸6.25ml
− 水 19ml
− クルクミン JIS K 8297に規定するクルクミン0.087g
完全に溶けるまで振とうした後,メタノールで標線まで薄め,振り混ぜる。
この溶液は,20℃の暗所で保存する。少なくとも2週間は安定である。
f)
ほう素標準原液 (0.08gB2O3/l) ほう酸 (H3BO3) 0.142gを0.000 1gのけたまではかり取り,石英ガラ
ス製ビーカー200mlに入れ,水を加えて溶かす。石英ガラス製全量フラスコ1 000mlに移し入れ,水
で標線まで薄め,振り混ぜる。
この標準原液1mlは,B2O3を0.08mg含む。
g) ほう素標準液 (0.000 8gB2O3/l) ほう素標準原液 [3.2f)] 10.0mlを石英ガラス製全量フラスコ1 000ml
に採取し,水で標線まで薄め,振り混ぜる。
この標準溶液1m1中に,0.8μgのB2O3を含む。
この標準溶液は,使用の都度調製する。
3
R 9301-3-10 : 1999 (ISO 2865 : 1973)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
h) チモールブルー溶液 (0.5g/l) JIS K 8643に規定するチモールブルー0.05gを水に溶かし,100mlに薄
める。
3.3
装置及び器具 通常の装置,器具及び次に示すもの。
a) 石英ガラス製ほう素蒸留装置 この装置は,(一例として,図1及び図2参照)次のもので構成する。
1) 丸底フラスコ250ml 首部すり合わせ接続部付
2) 曲げ形連結管 湾曲型,すり合わせ接続部付
3) トの字形連結管 三方向すり合わせ接続部付
4) 円筒形滴下形漏斗 すり合わせ接続部付
5) 曲げ形連結管 上下すり合わせ接続部付
6) リービッヒ冷却器(外筒の長さ約400mm) すり合わせ接続部付
7) マグネチックスターラー
備考 次の蒸留には,それぞれ別の装置を使用する。
− 空試験
− B2O3含有量が13μg未満の測定試料。
− B2O3含有量が13μg以上の測定試料。
装置を使用する前に,約10mol/lの塩酸100mlを加えて加熱煮沸させて,注意深く洗浄する。
その後,塩酸洗液を除去し,メタノール [3.2 b)] 100mlを加え,塩酸酸性にして蒸留する。
4
R 9301-3-10 : 1999 (ISO 2865 : 1973)
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図1 試験溶液調製ガラス器具例
図2 石英ガラス製ほう素蒸留装置例
b) 石英ガラス製ビーカー 250ml
c) 恒温水槽 55±1℃に調節可能なもの(図3参照)
d) 温度計 20〜140℃目盛り付
e) かき混ぜ棒 プラスチック又は金属製
f)
白金皿 径約75mm,深さ約35mm
備考 使用する前に皿を注意深く,塩酸約10mol/lで洗い,次に,メタノール [3.2 b)] で洗浄する。
次の操作には,専用の皿を使用する。
− 空試験
− B2O3含有量が13μg未満の試料
5
R 9301-3-10 : 1999 (ISO 2865 : 1973)
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− B2O3含有量が13μg以上の試料
g) グリセリン又はシリコン油浴
h) 分光光度計
3.4
操作
3.4.1
試料のはかり取り量 JIS R 9301-1-2の3.のH法に規定した300℃で2時間乾燥した試料1gを
0.001gのけたまではかり取る。
3.4.2
空試験 高純度アルミナを添加せずに,全操作の試薬及びその量,操作時間などを同一にして,空
試験を行う。
3.4.3
検量線の作成 検量線の作成は次による。
a) 検量線用標準呈色溶液の調製 吸光度の測定に使用するセルの光路長は,20mmとする。5個の白金
皿 [3.3 f)] を一組とし,ほう素標準液 [3.2 g)] を表1に示す量を加える。
各皿に,グリセリンアルカリ溶液 [3.2 d)] 3.0mlを加える。
備考1. もし,グリセリンアルカリ溶液 [3.2 d)] 4mlを使用して定量[3.4.4 b)参照]した場合は,検
量線の作成及び空試験も同量を使用する。
各皿を恒温水槽 [3.3 c)] 上に置いて,水を完全に蒸発させる。次いで,130℃に調節した乾燥器で,
残留物を乾固する。各皿に,内壁を伝わらせるようにクルクミン溶液 [3.2 e)] 5.0mlを滴下し,内容物
を洗い落とす。恒温水槽 [3.3 c)] 上で加熱して呈色させ,恒温水槽の温度が55±1℃に調節してある
ことを温度計 [3.3 d)] で確認して,完全に蒸発させる。
完全に蒸発してから,さらに,20分間加熱を続ける。
備考2. 呈色反応は,皿上の湿度雰囲気によって影響されるので,恒温水槽 [3.3 c)] の水位は,上か
ら15cmの位置に自動的に保つようにする。各皿の位置間隔は,互いにほぼその直径程度離す。
各皿を水浴から取り出し,デシケーター中で放冷する。
かき混ぜ棒 [3.3 e)] でかき混ぜて,内容物をエタノール [3.2 c)] 25mlに溶かす。溶液を全量フラス
コ50mlに移し入れ,標線までエタノール [3.2 c)] で薄め,振り混ぜる。溶液を乾燥したろ紙(5種C)
を用いて,直接,光路長20mmのセル中にろ過する。
新たにクルクミン溶液 [3.2 e)] を調製するたびに,検量線も作成し直す。
表1 検量線用溶液量と酸化ほう素の質量との関係
ほう素標準液 [3.2 g)]
ml
B2O3の質量
mg
0*
0
1.0
0.8
4.0
3.2
8.0
6.4
12.0
9.6
注*
補償溶液
b) 吸光度の測定 補償溶液を対照液として,分光光度計 [3.3h)] 波長約550nmにおけるゼロ調整を行っ
た後に,吸光度の測定をする。
c) 検量線の作成 例えば,横軸に検量線用標準呈色溶液50ml中のB2O3mg量を,縦軸に対応する吸光度
を取り,検量線を作成する。
3.4.4
定量
a) 試料溶液の調製 試料 (3.4.1) を丸底フラスコ [3.3 a)1)] に採取し,りん酸 [3.2 a)] 20.0mlを加え,磁
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R 9301-3-10 : 1999 (ISO 2865 : 1973)
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気かくはん(撹拌)子を入れる。試料の溶解中に溶液が汚染されないような位置(図1参照)に曲げ
形連結管 [3.3 a)2)] をつなぎ,注意しながらりん酸溶液を加熱,かき混ぜて完全に溶かす。50〜60℃
まで放冷し,曲げ形連結管 [3.3 a)2)] をトの字形連結管 [3.3 a)3)] に取換えて,円筒形滴下形漏斗 [3.3
a)4)],曲げ形連結管 [3.3 a)5)] 及びリービッヒ冷却器 [3.3 a)6)] を取り付ける(図3参照)。
円筒形滴下形漏斗 [3.3 a)4)] からメタノール [3.2 b)] 35mlを加え,注意してかき混ぜてから,丸底
フラスコ [3.3 a)1)] 中にある溶液の液面を記録する。
7
R 9301-3-10 : 1999 (ISO 2865 : 1973)
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図3 恒温水槽例
b) 蒸留 グリセリンアルカリ溶液 [3.2 d)] 3.0mlを石英ガラス製ビーカー [3.3 b)] に入れ,チモールブル
ー溶液 [3.2 h)] 1〜3滴を加え,更に水35.0mlを加える。冷却器 [3.3 a)6)] の下端がこの吸収溶液に浸
るようにビーカーを置く。
丸底フラスコ中の試料溶液 [3.4.4 a)] を,グリセリン又はシリコン油浴 [3.3 g)] で100℃に加熱する。
8
R 9301-3-10 : 1999 (ISO 2865 : 1973)
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円筒形滴下形漏斗 [3.3 a)4)] から,メタノール [3.2 b)] 55.0mlを1回に10mlずつ,最後に15mlを滴
下する。各分量を滴下した後,フラスコを加熱浴から外さず,マグネチックスターラーで溶液をかき
混ぜ,先の液量面まで蒸留する。メタノールの蒸留が完全に終了したならば,温度を120〜130℃まで
上げる。
ビーカー中にある溶液の色を,決して黄色にしてはならない。もし,黄色になったらグリセリンア
ルカリ溶液 [3.2 d)] 1mlを更に追加する[3.4.3 a)備考1.参照]。冷却器 [3.3 a)6)] を水ですすぎ,その
液を蒸留液に加える。添加する水の全量は,少なくとも蒸留されたメタノールの半量とする。
c) 呈色 ビーカー内の溶液全量を白金皿 [3.3 f)] に移し入れる。55±1℃に調節した恒温水槽 [3.3 c)] 上
で,水分が完全になくなるまで注意して加熱する。次いで,130℃の電気乾燥器中で,残留物が乾固す
るまで加熱する。
温度を600℃にした電気炉中に乾固した残留物を入れて,チモールブルーを分解する。残留物が完
全に白色となるまでこの温度を維持する。もし,残留物が融解し始めたり,皿の表面が一様な層にな
らなければ,少量の水を加えて,再び溶かしてから,既に記した操作に従って,再度乾固する。
クルクミン溶液 [3.2 e)] 5.0mlを,内壁を洗うように滴下して,内容物を洗い落とす。恒温水槽 [3.3
c)] 上で加熱して呈色させ,恒温水槽の温度が温度計で55±1℃になっていることを確認しながら,蒸
発させる。蒸発が終了した後,更に20分間加熱を続ける。皿を恒温水槽上からはずし,デシケーター
中で放冷する。
残留物にエタノール [3.2 c)] 25mlを加え,かきまぜ棒でかき混ぜて溶かす。溶液を全量フラスコ
50mlに移し入れ,エタノール [3.2 c)] で標線まで薄め,振り混ぜる。乾燥したろ紙(5種C)を用い
て,溶液をろ過し,乾燥した光路長2cmのセルに直接入れる。
d) 吸光度の測定 空試験溶液を対照液として,波長約550nmにおけるゼロ調整を行った後に,吸光度を
測定する。
3.5
計算 検量線 [3.4.3 c)] を用いて,得られた吸光度から酸化ほう素の質量を求める。
試料中の酸化ほう素の含有率は,次の式によって算出する。
10
000
1
100
3
2
m
m
O
B
=
=×
ここに, B2O3: 酸化ほう素の含有率 (mass%)
m: 試料溶液に含まれるB2O3の量 (mg)
4. 加圧硫酸分解−ICP発光分光分析法(B法)
4.1
原理 JIS R 9301-3-4に規定する加圧硫酸分解法によって得られた試料溶液 (B) の一部をICP発光
分光分析装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,ほう素の発光強度を測定する。
4.2
試薬 試薬(1)は,次による。
a) 水 JIS K 0557に規定するA3による。
b) 硫酸 (1+9, 1+180) JIS K 8951によって規定する硫酸を用いて調製する。
c) 塩酸 (1+1, 1+4) JIS K 8180によって規定する塩酸を用いて調製する。
d) コバルト溶液 (0.5g/100ml) コバルト(99.9mass%以上)0.500gを石英ガラス製ビーカー300mlに取
り,硫酸(1+9)50mlを加え,石英ガラス製時計皿でふたをして加熱して溶かす。冷却後ポリエチレン
製全量フラスコ100mlに移し入れ,水で標線まで薄め,振り混ぜる。
e) アルミニウム溶液 塩酸(1+4)で洗浄したアルミニウム(99.999mass%以上)5.30gを四ふっ化エチレ
9
R 9301-3-10 : 1999 (ISO 2865 : 1973)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
ン樹脂製ビーカー300mlに取り,硫酸(1+9)70ml,水150ml,塩酸(1+1)30ml及びコバルト溶液 [4.2 d)]
6.0mlを順次加え,四ふっ化エチレン樹脂製時計皿でふたをして加熱して溶かす。冷却後,ポリエチ
レン製全量フラスコ500mlに移し入れ,水で標線まで薄め,振り混ぜる。
f)
ほう素標準液 (0.1mgB/ml) (2) あらかじめ,110℃で乾燥し,デシケーター中で放冷した,JIS K 8863
に規定するほう酸0.286gを石英ガラス製ビーカー300mlに取り,水を加えて溶かす。ポリエチレン製
全量フラスコ500mlに移し入れ,水で標線まで薄め,振り混ぜる。これを使用の都度,硫酸 (1+180)
で正確に10倍に薄める。
注(1) この規格で使用する試薬は,入手できる市販の最高純度品とする。
(2) この規格に適合した市販の標準溶液を使用してもよい。
4.3
装置及び器具 通常の装置,器具及び次に示すもの。
4.3.1
ICP発光分光分析装置
4.3.2
容器類 各種操作に用いる容器類は,石英ガラス製又はポリエチレン製品を使用する。ポリエチレ
ン製容器は,塩酸及びふつ化水素酸で,石英ガラス製製品は,塩酸で洗浄して汚染物質を除去し,水で十
分に洗浄した後,水を満たしておく。
ガラス製品は,使用しない。
4.4
操作 定量操作は,次の手順によって行う。
4.4.1
試料溶液 (B) の調製 JIS R 9301-3-4の4.に規定する加圧硫酸分解法(B法)の試料溶液 (B) の
調製法による。
4.4.2
ICP発光強度の測定 試料溶液 (B) (4.4.1) の一部をICP発光分光分析装置のアルゴンプラズマ中
に噴霧し,例えば,波長249.77nmにおけるほう素の発光強度を測定する。
4.4.3
空試験
a) 空試験溶液 (B-B) の調製 試料を用いないで,JIS R 9301-3-4に規定する加圧硫酸分解法(B法)の
空試験溶液 (B-B) の調製法による。
b) ICP発光強度の測定 4.4.2による。
c) 検量線の作成 100mlのポリエチレン製全量フラスコ数個を一組とし,アルミニウム溶液 [4.2 e)] 50ml
を全量ピペットを用いてそれぞれに採取する。次いで,ほう素標準液 [4.2 f)] 0〜10mlを段階的に加え,
硫酸 [4.2 b)] (1+180) で標線まで薄め,振り混ぜて検量線用標準溶液(3)を調製する。
この検量線用溶液は,ほう素を0〜1.0mg含む。
以降 (4.4.2) と同様に操作を行い,発光強度とほう素の添加量との関係線を作成し,検量線とする。
注(3) 必要があれば,妨害しない限り,他の測定成分の標準溶液を加えて,2成分以上の混合検量線用
溶液を調製することができる。
4.5
計算 4.4.2で得た発光強度と4.4.3で得た検量線とから,試料中の酸化ほう素の含有率を,次の式に
よって算出する。
100
220
.3
)
(
0
1
3
2
×
×
m
A
A
O
B
−
=
ここに,
B2O3: 酸化ほう素の含有率 (mass%)
A1: 試料溶液 (B) に含まれるほう素の量 (g)
A0: 空試験溶液 (B-B) に含まれるほう素の量 (g)
m: はかり取った試料の質量 (g)
3.220: ほう素の原子量に対する,酸化ほう素の分子量の比
数値は,JIS Z 8401によって小数点以下3けたに丸める。
10
R 9301-3-10 : 1999 (ISO 2865 : 1973)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
5. 試験報告 試験報告書には,次の事項を含む。
a) 使用した規格
b) 分析方法,結果及び計算方法
c) 定量中の特記事項
d) この規格又は引用規格に規定していない操作
アルミナ粉末改正原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
岡 田 清
東京工業大学
伊 藤 敏
通商産業省生活産業局
大 嶋 清 治
工業技術院
橋 本 繁 晴
財団法人日本規格協会
芝 崎 靖 雄
名古屋工業技術研究所
多 田 格 三
元株式会社東芝
船 戸 巳知雄
前サンパウロ技術研究所
橋 本 邦 男
昭和電工株式会社
毛 利 正 英
住友化学工業株式会社
石 川 秀 徳
日本軽金属株式会社清水工場
金 野 正 幸
日本ガイシ株式会社
長 峯 義 展
東芝セラミックス株式会社開発研究所
篠 原 伸 広
旭硝子株式会社中央研究所
林 均
研削材工業協会
早 川 恭 弘
株式会社ノリタケカンパニーリミテド
和 田 弘
日立化成工業株式会社山崎工場
鈴 木 由 郎
社団法人セラミックス協会
分析分科会
氏名
所属
(主査)
船 戸 巳知雄
前サンパウロ技術研究所
岡 本 英 俊
昭和電工株式会社横浜工場
野 網 靖 雄
住友化学工業株式会社基礎化学品研究所
榎 貴 志
日本軽金属株式会社清水工場
生 川 章
日本ガイシ株式会社
長 峯 義 展
東芝セラミックス株式会社開発研究所
竹 内 光 男
鳴海製陶株式会社
物性分科会
氏名
所属
(主査)
毛 利 正 英
住友化学工業株式会社
岡 本 英 俊
昭和電工株式会社横浜工場
榎 貴 志
日本軽金属株式会社清水工場
金 野 正 幸
日本ガイシ株式会社
篠 原 伸 広
旭硝子株式会社中央研究所
早 川 恭 弘
株式会社ノリタケカンパニーリミテド
和 田 弘
日立化成工業株式会社山崎工場