R 7651:2007
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 1
4 X線回折図形の測定 ·········································································································· 2
4.1 X線回折装置 ················································································································ 2
4.2 試料及び調整方法 ·········································································································· 2
4.3 標準シリコン ················································································································ 2
4.4 X線回折測定用試料 ······································································································· 2
4.5 X線回折用試料の充てん(填) ························································································· 2
4.6 回折図形の計測 ············································································································· 2
5 回折ピークプロファイルの補正 ··························································································· 3
6 回折ピークプロファイルの解析 ··························································································· 8
6.1 ベースラインの決定 ······································································································· 8
6.2 格子定数の決定 ············································································································ 10
6.3 結晶子の大きさの決定 ··································································································· 15
7 測定結果の表記 ··············································································································· 17
7.1 格子定数 ····················································································································· 17
7.2 結晶子の大きさ ············································································································ 17
7.3 プロファイルフィッティング法の変数··············································································· 18
7.4 表記例 ························································································································ 18
7.5 測定結果の整理 ············································································································ 18
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まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,独立行政法人産業技術総合研究所(AIST)から,
工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経
済産業大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は
もたない。
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日本工業規格 JIS
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炭素材料の格子定数及び結晶子の大きさ測定方法
Measurement of lattice parameters and crystallite sizes of carbon materials
1
適用範囲
この規格は,X線回折装置を用いて炭素材料粉末サンプルのX線回折図形を計測し,得られた回折ピー
クプロファイルを解析することによって炭素材料の結晶構造パラメータである格子定数及び結晶子の大き
さの測定を行う場合の一般的事項について規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用
規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0131 X線回折分析通則
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS K 0131によるほか,次による。
3.1
回折線(diffraction line)
X線回折装置において結晶格子によるブラッグ(Bragg)回折現象によって検出されたX線。ある任意の結
晶においてミラー(Miller)指数hkl によって表現される結晶面の面間隔に起因する回折をhkl 回折線という。
3.2
回折図形(diffraction pattern)
Bragg回折現象を検出するX線回折装置を用いて得られる図形。縦軸:回折強度と横軸:ゴニオメータ
の回折角度(2θ)からなるグラフチャート。粉末試料について測定された回折図形の場合,粉末図形とも
呼ばれる。
3.3
回折ピークプロファイル(diffraction peak profile)
回折図形における回折ピークの形状。回折線は,実際には器械的誤差と結晶子の大きさ,構造ひずみな
どの影響とから,ある広がりをもったピークとして出現する。この回折ピークのプロファイルを解析する
ことによって,結晶構造に対するパラメータ(格子定数及び結晶子の大きさ)が評価できる。
3.4
プロファイルフィッティング(profile fitting)
回折ピークプロファイルを任意の変数による関数形で表現し,実際のプロファイルにできるだけ近い変
数の値を見出す手法。
2
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4
X線回折図形の測定
4.1
X線回折装置
X線回折装置の基本構成は,JIS K 0131による。
4.2
試料及び調整方法
供試炭素材料から適当量を採取し,めのう乳鉢などで全量が150メッシュ標準ふるい(100 µm)を通過
するように粉砕し試料とする。
注記 粉砕によって生じる構造変化,又は汚染の可能性については注意を要する。
4.3
標準シリコン
回折角度及び回折半価幅が保証されており,粒度分布などの技術データも公表されている市販のX線回
折標準用の高純度シリコン粉末を使用する。
4.4
X線回折測定用試料
試料に対して質量分率10 %又は20 %の標準シリコンを採取して混合し,X線回折測定用試料とする。
炭素試料と標準シリコンとの混合が充分均一であることが必要であって,そのためには試料板に充てん
(填)する前にめのう乳鉢中で充分混合することが必須である1)。
この手法が適用される炭素材料は,少なくともX線回折図形において明確な002回折線のピークプロフ
ァイルが得られることとする。
使用したシリコン粉末の妥当性の判定として,炭素試料と混合して測定したときのシリコン331及び422
回折線のピークプロファイルが,Cu Kα1及びCu Kα2回折線に分離されていること。さらに,シリコン
111回折線のピーク半価幅が0.2°以下であることが使用の必須条件である。
注1) 標準シリコン混合量は試料の黒鉛化の程度によって適宜変えることが望ましい。また,炭素の
回折強度及び標準シリコンの回折強度をほぼ同程度にすることが好ましい。
4.5
X線回折用試料の充てん(填)
測定用試料は,X線回折装置附属の試料窓の大きさが15〜18 mm×20 mm,深さ0.2 mmの試料板(ガラ
スホルダー)にできるだけ均一に試料面と基準面とが一致するように,高密度に充てん(填)する。
4.6
回折図形の計測
X線はCu Kα線を用い,Cu Kβ線はニッケルフィルター又は黒鉛結晶カウンターモノクロメータによ
って除く。X線源への印加電圧及び電流は30〜50 kV及び30 mA以上とする。炭素の002,004,006,110
及び112回折線のピークプロファイルをX線回折計にて測定する。各回折線のピークプロファイルの測定
のときのX線回折計におけるスリット系の標準的条件を表1に示す。
表1―標準的スリット条件
炭素の回折線 hkl
002
004
110,112,006
スリット系
発散スリット(DS) [角度(°)]
1/2
1
2
受光スリット(RS) (mm)
0.15
0.15
0.15
散乱スリット(SS) [角度(°)]
1/2
1
2
この表は,ゴニオ半径185 mmに限定する。
回折図形の計測は,ゴニオメータ計数管の走査速度を0.25°/minとした連続走査法,又は0.02°以下のサ
ンプリング間隔で2秒間以上の積算時間のステップスキャン法(FT法)によって測定する。
18 kWの回転対陰極タイプの場合は,積算時間は1秒間以上でよい。積算時間が短くても回折強度が強
3
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いときは,管電流値を低下させる。
注記1 ステップスキャン法の場合,精度高く測定する場合には積算時間をより長くすることが推奨
される。
注記2 連続走査法の場合は,チャート紙に記録,又は,デジタルデータとしてコンピュータに記録
する。ステップスキャン法の場合は,デジタルデータとしてコンピュータに記録する。
炭素の各回折線の標準として用いる標準シリコンの回折線の指数hkl及び回折角2θを表2に示す。その
一組の回折ピークプロファイルは,回折図形として必ず連続して,記録・測定しなければならない。
表2―標準シリコンの回折角度
炭素
標準シリコン
hkl
2θC
[角度(°)]
hkl
2θSi
[角度(°)]
002
25.9〜26.6
111
α1 28.441
αm 28.466
004
53.2〜54.7
311
α1 56.120
αm 56.171
110
77.6付近
331
α1 76.372
αm 76.448
112及び006
83.6及び87付近
422
α1 88.025
αm 88.119
注記 これら標準シリコンの回折角度は,NIST 640cの格子定数 a0
=0.543 119 46 nmを基準にして計算した。
波長は,λ1=0.154 06 nm,λm=0.154 19 nmを使用した。
5
回折ピークプロファイルの補正
炭素の各回折線のピークプロファイルについては,次のローレンツ因子(L),偏光因子(P),吸収因子(A)
及び炭素の原子散乱因子(fc)に関する補正を行う必要がある2)。
注2) 観測された002回折線のピークプロファイルの半価幅が0.5°以下の場合は,この補正を省略し
てもよい。
各補正因子は,次の式で計算する。
θ
θcos
sin
1
2×
=
L
········································································ (1)
ここに,
L: ローレンツ因子
θ: ゴニオメータの角度[角度(°)]
´
'
P
θ
θ
θ
2
cos
1
2
cos
2
cos
1
2
2
2
+
×
+
=
······························································ (2)
ここに,
P:偏光因子
θ:ゴニオメータの角度[角度(°)]
θ':カウンターモノクロメータを使用したときのモノクロメータ結
晶の回折角度[角度(°)]単色化の手法によって異なる。
θ'=13.28°:黒鉛モノクロメータを用いた場合
θ'=0°:カウンターモノクロメータを使わないとき(Niフィル
ター使用のとき)
4
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()
−
+
−
−
−
=
θ
μ
θ
θ
μ
μ
θ
sin
2
exp
cos
2
sin
2
exp
1
2
2
sin
1
r
r
t'
b
t
t'
b
'
A
······················ (3)
ここに,
A: 吸収因子
θ: ゴニオメータの角度[角度(°)]
µ': 試料の見かけの線吸収係数
µ' =100 (mm−1):シリコン添加量が質量分率10 %のとき
µ' =160 (mm−1):シリコン添加量が質量分率20 %のとき
t: サンプルフォルダーにおける試料深さ(0.2 mm)
br: 試料面におけるX線の照射幅(mm)
DS
gonio
r
b
β
sin
r=
········································································ (4)
ここに,
rgonio: ゴニオメータ半径(mm)
βDS: 発散スリット(DS)幅[角度(°)]
97
286
.0
)
949
555
.0
(
exp
259
839
.0
)
8
561
097
.0
(
exp
75
050
.1
)
65
566
006
.0
(
exp
65
561
.1
)
907
226
.0
(
exp
69
260
.2
2
2
2
2
+
−
+
−
+
−
+
−
=
s
s
s
s
fc
············· (5)
ここに,
fc: 原子散乱因子
s:
λ
θ
sin
ここに,θ:ゴニオメータの角度[角度(°)]
λ:CuKα線の波長(=0.154 19nm)
各測定角度における実測回折強度をローレンツ因子L[式(1)],偏光因子P[式(2)],吸収因子A[式(3)],
そして原子散乱因子式(5)の2乗(fc2)の補正値で除し,補正強度を求める。
簡便な補正については,各測定角度について事前に計算した補正因子の値で各回折線強度を割る方法を
実行する。又は,補正因子の近似式[式(6)]で求められる補正値FCT=L・P・A・fc2で回折線強度を割る方
法が利用できる。
002回折線に対しての補正因子の値及び近似式[式(6)]の係数を表3及び表4,004回折線に対するそれ
らを表5及び表6,そして110及び112回折線に対するそれらを表7及び表8に示す3)。
()
()
()
()4
5
3
4
2
3
2
1
2
2
2
2
θ
θ
θ
θ
×
+
×
+
×
+
×
+
=
C
C
C
C
C
FCT
······················ (6)
ここに,
FCT: 補正因子
θ: ゴニオメータの角度[角度(°)]
Ci: 係数
このようにして得られた回折線のピークプロファイルについて,箇条6以下の作業を行う。
注3) 110,112及び006回折線については,強度補正の格子定数及び結晶子の大きさへの影響は少な
く,省略することができる。ただし,回折ピークプロファイルの対称性を議論する場合及び結
晶子の大きさをより正確に求めたい場合などには,この補正が必要である。
5
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表3―002回折線に対する補正因子
2θ
[角度(°)]
Si 10 %
Si 20 %
2θ
[角度(°)]
Si 10 %
Si 20 %
Niフィル
ター
モノクロ
メータ
Niフィル
ター
モノクロ
メータ
Niフィル
ター
モノクロ
メータ
Niフィル
ター
モノクロ
メータ
20.0
3.52
3.49
3.52
3.49
26.0
1.60
1.60
1.60
1.60
20.2
3.43
3.40
3.42
3.39
26.2
1.57
1.56
1.56
1.56
20.4
3.33
3.30
3.32
3.30
26.4
1.53
1.52
1.53
1.52
20.6
3.24
3.21
3.23
3.21
26.6
1.49
1.49
1.49
1.49
20.8
3.15
3.13
3.15
3.12
26.8
1.46
1.45
1.45
1.45
21.0
3.07
3.04
3.06
3.04
27.0
1.42
1.42
1.42
1.42
21.2
2.98
2.96
2.98
2.95
27.2
1.39
1.38
1.39
1.38
21.4
2.90
2.88
2.90
2.88
27.4
1.35
1.35
1.35
1.35
21.6
2.83
2.80
2.82
2.80
27.6
1.32
1.32
1.32
1.32
21.8
2.75
2.73
2.75
2.73
27.8
1.29
1.29
1.29
1.29
22.0
2.68
2.66
2.67
2.65
28.0
1.26
1.26
1.26
1.26
22.2
2.61
2.59
2.60
2.58
28.2
1.23
1.23
1.23
1.23
22.4
2.54
2.52
2.53
2.52
28.4
1.20
1.20
1.20
1.20
22.6
2.47
2.46
2.47
2.45
28.6
1.18
1.17
1.17
1.17
22.8
2.41
2.39
2.40
2.39
28.8
1.15
1.15
1.15
1.15
23.0
2.35
2.33
2.34
2.33
29.0
1.12
1.12
1.12
1.12
23.2
2.29
2.27
2.28
2.27
29.2
1.10
1.10
1.10
1.10
23.4
2.23
2.21
2.22
2.21
29.4
1.07
1.07
1.07
1.07
23.6
2.17
2.16
2.17
2.15
29.6
1.05
1.05
1.05
1.05
23.8
2.11
2.10
2.11
2.10
29.8
1.02
1.02
1.02
1.02
24.0
2.06
2.05
2.06
2.05
30.0
1.00
1.00
1.00
1.00
24.2
2.01
2.00
2.01
2.00
30.2
0.98
0.98
0.98
0.98
24.4
1.96
1.95
1.96
1.95
30.4
0.96
0.96
0.96
0.96
24.6
1.91
1.90
1.91
1.90
30.6
0.93
0.93
0.93
0.93
24.8
1.86
1.85
1.86
1.85
30.8
0.91
0.91
0.91
0.91
25.0
1.82
1.81
1.81
1.81
31.0
0.89
0.89
0.89
0.89
25.2
1.77
1.76
1.77
1.76
31.2
0.87
0.87
0.87
0.87
25.4
1.73
1.72
1.73
1.72
31.4
0.85
0.86
0.85
0.86
25.6
1.69
1.68
1.68
1.68
31.6
0.84
0.84
0.84
0.84
25.8
1.64
1.64
1.64
1.64
31.8
0.82
0.82
0.82
0.82
32.0
0.80
0.80
0.80
0.80
この表は,スリット系:1/2°−0.15 mm−1/2°,ゴニオ半径185 mmに限定する。
表4―002回折線に対する式(6)の係数Ci
Si 10 %
Si 20 %
Niフィルター
モノクロメータ
Niフィルター
モノクロメータ
C1
49.685 004
48.946 431
49.484 622
48.748 923
C2
−5.511 528 9
−5.425 372 6
−5.487 170 4
−5.401 380 2
C3
2.458 294 5×10−1
2.419 215 5×10−1
2.446 883 9×10−1
2.407 981 7×10−1
C4
−5.102 357 9×10−3 −5.020 808 7×10−3
−5.077 999 1×10−3
−4.996 833 7×10−3
C5
4.095 982 4×10−5
4.030 448 2×10−5
4.076 092 8×10−5
4.010 874 7×10−5
この表は,スリット系:1/2°−0.15 mm−1/2°,ゴニオ半径185 mmに限定する。また,係数のけた
(桁)数は,厳守する。
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表5―004回折線に対する補正因子
2θ
[角度(°)]
Si 10 %
Si 20 %
2θ
[角度(°)]
Si 10 %
Si 20 %
Niフィル
ター
モノクロ
メータ
Niフィル
ター
モノクロ
メータ
Niフィル
ター
モノクロ
メータ
Niフィル
ター
モノクロ
メータ
50.0
1.67
1.65
1.67
1.65
56.0
1.07
1.07
1.07
1.07
50.2
1.65
1.62
1.64
1.62
56.2
1.06
1.05
1.06
1.05
50.4
1.62
1.60
1.62
1.60
56.4
1.04
1.04
1.04
1.04
50.6
1.59
1.58
1.59
1.57
56.6
1.03
1.03
1.03
1.03
50.8
1.57
1.55
1.57
1.55
56.8
1.01
1.01
1.01
1.01
51.0
1.55
1.53
1.55
1.53
57.0
1.00
1.00
1.00
1.00
51.2
1.52
1.51
1.52
1.50
57.2
0.99
0.99
0.99
0.99
51.4
1.50
1.48
1.50
1.48
57.4
0.97
0.97
0.97
0.97
51.6
1.48
1.46
1.48
1.46
57.6
0.96
0.96
0.96
0.96
51.8
1.45
1.44
1.45
1.44
57.8
0.95
0.95
0.95
0.95
52.0
1.43
1.42
1.43
1.42
58.0
0.94
0.94
0.94
0.94
52.2
1.41
1.40
1.41
1.40
58.2
0.92
0.92
0.92
0.93
52.4
1.39
1.38
1.39
1.38
58.4
0.91
0.91
0.91
0.91
52.6
1.37
1.36
1.37
1.36
58.6
0.90
0.90
0.90
0.90
52.8
1.35
1.34
1.35
1.34
58.8
0.89
0.89
0.89
0.89
53.0
1.33
1.32
1.33
1.32
59.0
0.88
0.88
0.88
0.88
53.2
1.31
1.30
1.31
1.30
59.2
0.86
0.87
0.86
0.87
53.4
1.29
1.28
1.29
1.28
59.4
0.85
0.86
0.85
0.86
53.6
1.27
1.26
1.27
1.26
59.6
0.84
0.85
0.84
0.85
53.8
1.25
1.24
1.25
1.24
59.8
0.83
0.84
0.83
0.84
54.0
1.23
1.23
1.23
1.23
60.0
0.82
0.83
0.82
0.83
54.2
1.22
1.21
1.22
1.21
60.2
0.81
0.82
0.81
0.82
54.4
1.20
1.19
1.20
1.19
60.4
0.80
0.81
0.80
0.81
54.6
1.18
1.18
1.18
1.18
60.6
0.79
0.80
0.79
0.80
54.8
1.17
1.16
1.17
1.16
60.8
0.78
0.79
0.78
0.79
55.0
1.15
1.14
1.15
1.14
61.0
0.77
0.78
0.77
0.78
55.2
1.13
1.13
1.13
1.13
61.2
0.76
0.77
0.76
0.77
55.4
1.12
1.11
1.12
1.11
61.4
0.75
0.76
0.75
0.76
55.6
1.10
1.10
1.10
1.10
61.6
0.74
0.75
0.74
0.75
55.8
1.09
1.08
1.09
1.08
61.8
0.73
0.74
0.73
0.74
62.0
0.73
0.73
0.73
0.73
この表は,スリット系:1°−0.15 mm−1°,ゴニオ半径185 mmに限定する。
表6―004回折線に対する式(6)の係数Ci
Si 10 %
Si 20 %
Niフィルター
モノクロメータ
Niフィルター
モノクロメータ
C1
72.439 651
68.973 946
72.263 707
68.805 429
C2
−4.108 553 5
−3.902 350 7
−4.097 834 1
−3.892 101 9
C3
9.095 156 2×10−2
8.626 909 1×10−2
9.070 284 5×10−2
8.603 159 4×10−2
C4
−9.197 352 4×10−4
−8.715 929 0×10−4
−9.171 317 3×10−4
−8.691 089 0×10−4
C5
3.559 570 5×10−6
3.371 039 5×10−6
3.549 231 8×10−6
3.361 182 0×10−6
この表は,スリット系:1°−0.15 mm−1°,ゴニオ半径185 mmに限定する。また,係数の桁数は,
厳守する。
7
R 7651:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表7―110,112回折線に対する補正因子
2θ
[角度(°)]
Si 10 %
Si 20 %
2θ
[角度(°)]
Si 10 %
Si 20 %
Niフィル
ター
モノクロ
メータ
Niフィル
ター
モノクロ
メータ
Niフィル
ター
モノクロ
メータ
Niフィル
ター
モノクロ
メータ
75.0
1.40
1.39
1.40
1.38
82.0
1.09
1.09
1.09
1.09
75.2
1.39
1.38
1.39
1.37
82.2
1.08
1.08
1.08
1.08
75.4
1.38
1.36
1.38
1.36
82.4
1.08
1.07
1.08
1.07
75.6
1.37
1.35
1.37
1.35
82.6
1.07
1.07
1.07
1.07
75.8
1.36
1.34
1.36
1.34
82.8
1.06
1.06
1.06
1.06
76.0
1.35
1.33
1.34
1.33
83.0
1.06
1.06
1.06
1.06
76.2
1.34
1.32
1.33
1.32
83.2
1.05
1.05
1.05
1.05
76.4
1.33
1.31
1.32
1.31
83.4
1.05
1.04
1.05
1.04
76.6
1.31
1.30
1.31
1.30
83.6
1.04
1.04
1.04
1.04
76.8
1.30
1.29
1.30
1.29
83.8
1.03
1.03
1.03
1.03
77.0
1.29
1.28
1.29
1.28
84.0
1.03
1.03
1.03
1.03
77.2
1.29
1.27
1.28
1.27
84.2
1.02
1.02
1.02
1.02
77.4
1.28
1.27
1.27
1.26
84.4
1.02
1.02
1.02
1.02
77.6
1.27
1.26
1.26
1.26
84.6
1.01
1.01
1.01
1.01
77.8
1.26
1.25
1.26
1.25
84.8
1.01
1.01
1.01
1.01
78.0
1.25
1.24
1.25
1.24
85.0
1.00
1.00
1.00
1.00
78.2
1.24
1.23
1.24
1.23
85.2
0.99
0.99
0.99
0.99
78.4
1.23
1.22
1.23
1.22
85.4
0.99
0.99
0.99
0.99
78.6
1.22
1.21
1.22
1.21
85.6
0.98
0.98
0.98
0.98
78.8
1.21
1.20
1.21
1.20
85.8
0.98
0.98
0.98
0.98
79.0
1.20
1.20
1.20
1.20
86.0
0.97
0.97
0.97
0.98
79.2
1.20
1.19
1.19
1.19
86.2
0.97
0.97
0.97
0.97
79.4
1.19
1.18
1.19
1.18
86.4
0.96
0.97
0.96
0.97
79.6
1.18
1.17
1.18
1.17
86.6
0.96
0.96
0.96
0.96
79.8
1.17
1.17
1.17
1.16
86.8
0.96
0.96
0.96
0.96
80.0
1.16
1.16
1.16
1.16
87.0
0.95
0.95
0.95
0.95
80.2
1.15
1.15
1.15
1.15
87.2
0.95
0.95
0.95
0.95
80.4
1.15
1.14
1.15
1.14
87.4
0.94
0.94
0.94
0.94
80.6
1.14
1.14
1.14
1.13
87.6
0.94
0.94
0.94
0.94
80.8
1.13
1.13
1.13
1.13
87.8
0.93
0.93
0.93
0.93
81.0
1.12
1.12
1.12
1.12
88.0
0.93
0.93
0.93
0.93
81.2
1.12
1.11
1.12
1.11
88.2
0.93
0.93
0.93
0.93
81.4
1.11
1.11
1.11
1.11
88.4
0.92
0.92
0.92
0.92
81.6
1.10
1.10
1.10
1.10
88.6
0.92
0.92
0.92
0.92
81.8
1.10
1.09
1.10
1.09
88.8
0.91
0.91
0.91
0.91
89.0
0.91
0.91
0.91
0.91
この表は,スリット系:2°−0.15 mm−2°,ゴニオ半径185 mmに限定する。
表8―110,112回折線に対する式(6)の係数Ci
Si 10 %
Si 20 %
Niフィルター
モノクロメータ
Niフィルター
モノクロメータ
C1
61.817 784
57.233 501
61.608 241
57.039 467
C2
−2.438 795 4
−2.249 110 8
−2.430 449 3
−2.241 411 9
C3
3.756 310 3×10−2
3.458 124 2×10−2
3.743 522 3×10−2
3.446 340 8×10−2
C4
−2.636 336 8×10−4
−2.424 578 7×10−4
−2.627 452 9×10−4
−2.416 381 7×10−4
C5
7.086 206 5×10−7
6.511 586 3×10−7
7.062 927 1×10−7
6.490 049 4×10−7
この表は,スリット系:2°−0.15 mm−2°,ゴニオ半径185 mmに限定する。また,係数の桁数は,厳守
する。
8
R 7651:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
6
回折ピークプロファイルの解析
強度補正した回折ピークプロファイルから次の手順で回折角2θを測定し,格子定数を決定する。
6.1
ベースラインの決定
ベースラインは,002回折線の場合は2θ=29°,004回折線の場合は57°,110回折線の場合は75°及
び112回折線の場合は89°を基準とする。強度補正及びベースラインを決定した例を図1に示す。
プロファイルフィッティング処理では,解析精度を上げるために,回折ピークプロファイルを必要に応
じてSavitsky-Golay 法などで平滑化した後にベースラインの決定を行うことが望ましい。
解析精度の向上のため,測定角度範囲においてベースラインの基点となる複数個の点を任意に選択し,
互いに隣接する二点間を3次スプライン関数で補間してベースラインを決定してもよい。
a) 002回折線の例
b) 004回折線の例
図1―各回折線の強度補正及びベースライン決定の例
9
R 7651:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
c) 110回折線の例
d) 112及び006回折線の例
図1―各回折線の強度補正及びベースライン決定の例(続き)
10
R 7651:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
6.2
格子定数の決定
回折角度は,図2に示すようにベースラインから図形の高さ2/3の位置でベースラインに平行線を引き,
その図形によって区切られる線分の中点とする。
なお,炭素及び標準シリコンの各回折線のピークプロファイルでは,図2の図中に示したように,Kα1
・Kα2回折線の分離がみられる場合がある。記録紙上で,Kα1・Kα2回折線の分離が非常に明確な場合は,
Kα1ピークの先端から高角度側のすそへ想定線を引き,回折角を求めてもよい[図2 c)参照]。
プロファイルフィッティング処理は,適当なフィッティング関数(例えば,Voigt関数,Pseudo-Voigt関
数,PearsonⅦ関数など)でピーク頂点を決定する。図3に各回折線における例を示す。
プロファイルフィッティングの信頼性は,次式のR因子によって評価する。
()
()
()
100
2
2
2
2
2
r
×
∑
∑
−
=
θ
θ
θ
θ
θ
I
P
I
R
·························································· (7)
ここに,
R: R因子
I (2θ): 実測ピークプロファイルの強度
Pr (2θ): フィッティングプロファイルの強度
R因子の値はできるだけ小さい値で,10以下になることが望ましい。
a) 002回折線の作図例
図2―各回折線の回折角度及び半価幅の決定作図例
11
R 7651:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
b) 004回折線の作図例
c) 110回折線の作図例
図2―各回折線の回折角度及び半価幅の決定作図例(続き)
12
R 7651:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
d) 112及び006回折線の作図例
図2―各回折線の回折角度及び半価幅の決定作図例(続き)
a) 002回折線の作図例
図3―プロファイルフィッティング処理による各回折線の作図例
13
R 7651:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
b) 004回折線の作図例
c) 110回折線の作図例
図3―プロファイルフィッティング処理による各回折線の作図例(続き)
14
R 7651:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
d) 112及び006回折線の作図例
図3―プロファイルフィッティング処理による各回折線の作図例(続き)
プロファイルフィッティング処理では,基本的にKα1・Kα2線二つのピークにてフィッティング処理を
行う。
決定された炭素及び標準シリコンについての回折角度の間隔δSi−Cを求める。そして,次の式によって
炭素試料についての正しい回折角を求める。
002,004,006及び112回折線の場合
C
C
Si
Si
2
2
θ
δ
θ
=
−
−
································· (8)
110回折線の場合
C
C
Si
Si
2
2
θ
δ
θ
=
+
−
································· (9)
ここに,
2θSi: 標準シリコンの回折角度[角度(°)]
表2において表記した4)。
δSi-C: 回折角度の間隔[角度(°)]
2θC: 炭素試料についての正しい回折角[角度(°)]
なお,回折角2θの有効数字は,小数点以下3けたとする。
注4) 標準シリコンの回折角度は、α1とαmの二種類があり,その選択には注意すること。例として,
シリコンの111回折線は,Kα1・Kα2回折線が分離することはほとんどないので,回折角度は表
2のαmの値を用いる。一方,他の331及び422回折線の場合は,図2にも示したようにKα1・
Kα2回折線が分離するので,表2におけるα1の回折角を2θSiの値とする。
炭素について測定された2θCを用いてBraggの式[式(10)]から面間隔を計算する。
C
sin
2
θ
λ
=
d
············································································ (10)
15
R 7651:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
ここに,
d: 間隔 (nm)。例えば,d002,d004,d110,d112及びd006
λ: Cu Kα線の波長
λ1=0.154 06 nm:炭素の回折線のKα1・Kα2回折線の
分離が非常に明確な場合
λm=0.154 19 nm:分離が不明確な場合
002,004及び006回折線から求めた面間隔dはd002,d004及びd006とする。それらを2,4及び6倍した
値は,黒鉛結晶のc軸方向の格子定数c0となる。ただし,c軸方向の場合は,格子定数c0の半分の値,す
なわち,炭素六角網面の面間隔で表記することが通例である。002,004及び006回折線からそれぞれ
d002 (002),d002 (004)及びd002 (006)を求める。110回折線からa軸方向の格子定数a0 (110)が求まる。換算は
以下のとおりである。
(
)
002
002002
d
d
=
·······································································(11)
(
)
004
002
2
004
d
d
=
····································································· (12)
(
)
006
002
3
006
d
d
=
····································································· (13)
(
)
110
0
2
110
d
a
=
········································································ (14)
ここに,
d002 (00l): 00 l 回折線からの炭素六角網面の面間隔
a0 (110): 110回折線からのa軸方向の格子定数
また,112回折線から求めた面間隔dはd112 (112)として記す。
6.3
結晶子の大きさの決定5)
強度補正した回折ピークプロファイルからその半価幅を測定し,結晶子の大きさを決定する。図2にて
示したように,ベースラインからピークの高さ1/2の位置でピークによって区切られる線分の長さ,すな
わち半価幅を角度単位[角度(°)]で測定する。
注5) 結晶子の大きさの定義又はその数値の意味するものについては,現在まだ定説はないが,ここ
では単に工学的なパラメータとして用い得る数値として結晶子の大きさを決定する方法を規定
した。
標準シリコン111回折線及び炭素の各回折線のKα1・Kα2回折線が分離していない場合,Kα1・Kα2二
重線を次の方法6)の重なり補正を行う必要がある。
注6) 参考文献:Rachinger WA, J. Sci. Instrum., 35, 1627 (1948)による。
炭素についての観測半価幅をB0,標準シリコンについての観測半価幅をb0とする。各回折線について
表9に示した⊿値から⊿/b0及び⊿/B0を計算し,補正関係7)を元に得られた補正式(15)を用いてb/b0及び
B/B0を求める。このb/b0及びB/B0から,Kα1・Kα2二重線の重なり補正を行った半価幅b及びBを計算す
る。
注7) 参考文献:Jones FW, Pro. Roy. Soc. Lond. A, 166, 16 (1938)及びAlexander LE, J. Appl. Phys., 25, 155
(1954)による。
5
4
3
2
0
0
5
918
165
.8
5
105
461
.9
36
975
966
.2
4
583
297
.1
34
374
014
.0
7
410
999
.0
/
/
u
u
u
u
u
B
B
b
b
×
+
×
−
×
+
×
−
×
+
=
又は
··················· (15)
16
R 7651:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
ここに,
B0: 炭素試料についての観測半価幅
B: 炭素試料についての重なり補正後半価幅
b0: 標準シリコンについての観測半価幅
b: 標準シリコンについての重なり補正後半価幅
u: ⊿/b0 又は ⊿/B0
表9―各回折線の⊿値
炭素
シリコン
hkl
⊿
[角度(°)]
hkl
⊿
[角度(°)]
002
0.067
111
0.072
004
0.147
311
0.152
110
0.229
311
0.224
112
0.255
422
0.275
006
0.271
なお,標準シリコンの331及び422回折線及び炭素の各回折線がKα1・Kα2回折線に分離した場合は,
実測したKα1回折線の半価幅をB及びbとし,式(15)の補正は実行しない。
図2のc)の炭素の110回折線のように,Kα1ピークの先端から高角度側に想定線を描き,その半価幅を
bとしてもよい。標準シリコンの331及び422回折線については,図2のc)及びd)を参照のこと。
次に,標準シリコン及び炭素試料の半価幅の相対値b/Bから補正関係8)を元に得られた補正式 (16)を用
いてβ/Bを求め,真の半価幅βを得る。
(
)
(
)
(
)
(
)
B
b
B
b
B
b
B
b
B
×
−
×
+
×
−
×
−
=
5
471
958
.0
163
621
.2
769
592
.2
2
153
068
.0
6
126
998
.0
/
3
2
β
····································· (16)
ここに,
β: 真の半価幅[角度(°)]
注8) 参考文献:Alexander LE, J. Appl. Phys., 25, 155 (1954)による。
各回折線について得られた真の半価幅β[角度(°)]を(radian)単位に換算しScherrerの式[式(17)]に
代入して結晶子の大きさを計算する。
17
R 7651:2007
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=
C
cosθ
β
λ
K
L
······································································· (17)
ここに,
L: 結晶子の大きさ(nm)
K: 形状因子(=1.00)9)
λ: Cu Kα線の波長(=0.154 06 nm)
β: 真の半価幅(radian)10)
θC: 式(8)又は式(9)で求められた回折角度
注9) この方法ではK=1.00とした。
10) 式(13)に代入する真の半価幅βの単位は,(radian)である。十分に注意されたい。
002,004及び006回折線から求めたLはともに結晶子のc軸方向の厚みLcを与え,110回折線から求め
たa軸方向の幅Laを与える。
7
測定結果の表記
7.1
格子定数
この方法における回折角度は,“ピーク高さ2/3のピーク幅の中点”とする。プロファイルフィッティン
グ処理の場合,解析結果から得られたピークトップの角度から算出された格子定数には,(ピークトップ)
と併記する。
一つの試料について,4.5から4.6の操作を繰り返して行い,得られた格子定数の算術平均値を表記する。
各面間隔及び格子定数は,有効数字を4けた(nm単位で,小数点以下4けた)とする11)。
注記 操作の繰返し回数は,3回以上が望ましい。
002,004及び006回折線からそれぞれd002 (002),d002 (004)及びd002 (006)として,110回折線からa0 (110)
として,また112回折線からの値はd112 (112)として記す。
注11) 低結晶性のサンプルの場合,例えば,平均面間隔d002が0.344 0 nmより大きい場合,誤差は小
数点以下3けた目まで及ぶ可能性がある。
7.2
結晶子の大きさ
一つの試料について4.5から4.6の操作を繰返して行い,得られた結晶子の大きさの算出平均値を表記す
る。結晶子の大きさの数値の有効数字は,整数2けたまでとする。ただし,小数点以下は表記しない。
注記
操作の繰返し回数は,5回以上が望ましい。
002,004及び006回折線から求めたLcはLc (002),Lc (004)及びLc (006)として12),110回折線から求めた
LaはLa (110)として,また112回折線から求めたLはL (112)として記す。
注12 Lc (002),Lc (004)及びLc (006)の値は一般には一致しないので,測定可能なときはそれぞれを表
記することが望ましい。
さらに,可能である場合は,参考として標準偏差値又は変動係数を測定平均値の後に括弧内の数値で付
記をする。そのときは,次の式(18)及び式(19)によって算出し,標準偏差値の有効数字は整数2けたとし,
変動係数は,小数点以下2けたに丸める。
(
)
1
2
−
∑
−
=
n
x
x
s
······································································· (18)
18
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100
×
=xs
CV
·········································································· (19)
ここに,
s: 標準偏差
CV: 変動係数(%)
x: 個々の測定値
n: 測定数
̲x: 平均値である。
そのほか,解析精度の保証のため,標準シリコンの回折ピーク半価幅は記録する。
7.3
プロファイルフィッティング法の変数
プロファイルフィッティング法による解析には,この手法独自の解析変数が存在する。そのなかでもフ
ィッティング結果のR因子及びKα1とKα2の強度比(分離係数)は,必ず記録する。
7.4
表記例
等方性黒鉛材料 G347
【机上法によって解析】
d002 (002): 0.336 7 nm,Lc (002): 47 nm (8 nm)
d002 (004): 0.336 5 nm,Lc (004): 30 nm (6 nm)
a0 (110): 0.246 1 nm,La (110): 65 nm (20 nm)
d112 (112): 0.115 6 nm,L (112): 11 nm (3 nm)
d002 (006): 0.336 5 nm,Lc (006): 15 nm (4 nm)
【プロファイルフィッティング法によって解析】
d002 (002): 0.336 2 nm(ピークトップ),Lc (002): 48 nm (9 nm)
d002 (004): 0.336 2 nm(ピークトップ),Lc (004): 26 nm (4 nm)
a0 (110): 0.246 2 nm(ピークトップ),La (110): 110 nm (28 nm)
d112 (112): 0.115 6 nm(ピークトップ),L (112): 11 nm (3 nm)
d002 (006): 0.336 1 nm(ピークトップ),Lc (006): 18 nm (4 nm)
7.5
測定結果の整理
測定結果には,上述した数値結果のほかに,次の事項のうちから必要なものを記載する。
a) 規格番号
b) 測定年月日
c) 測定者
d) 試料名
e) 標準シリコン粉末の試薬名
f)
装置の名称,形式
g) 試料調整方法
h) 測定方法とその条件
1) X線管球の作動条件(電流,電圧)
2) ゴニオメータの走査条件
19
R 7651:2007
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3) ゴニオ半径
4) スリット系
i)
解析方法及びその条件
j)
その他必要条件
1) シリコンの各回折線の半価幅及びその平均値
2) プロファイルフィッティング法による解析の場合,フィッティング結果のR因子及びKα1とKα2
の強度比(分離係数)
3) 附属装置の作動条件