R 7609:2007
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 1
4 原理······························································································································· 2
5 状態調節及び試験の雰囲気 ································································································· 2
6 単繊維の試験 ··················································································································· 2
6.1 装置及び器具 ················································································································ 2
6.2 試験片 ························································································································· 2
6.3 試験方法 ······················································································································ 3
7 ストランドの試験 ············································································································· 3
7.1 装置及び器具 ················································································································ 3
7.2 試験片 ························································································································· 3
7.3 試験方法 ······················································································································ 3
8 試験結果の数値の表し方 ···································································································· 4
9 報告書···························································································································· 5
R 7609:2007
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,炭素繊維協会(JCMA),日本プラスチック工
業連盟(JPIF)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの
申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,1986年に制定したJIS R 7601の一部である体積抵抗率の求め方を分離し,作成した日本工
業規格である。これによって,JIS R 7601:2006は廃止され,その一部を分離して制定したこの規格に置き
換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は
もたない。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
R 7609:2007
炭素繊維−体積抵抗率の求め方
Carbon fibre-Determination of volume resistivity
序文
この規格は,1986年に制定したJIS R 7601の一部である“体積抵抗率の求め方”を分離し,作成した日
本工業規格である。
なお,対応国際規格は,現時点で制定されていない。
1
適用範囲
この規格は,炭素繊維(単繊維及びストランド)の体積抵抗率の求め方について規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 7100 プラスチック−状態調節及び試験のための標準雰囲気
JIS L 0101 テックス方式
JIS R 7603 炭素繊維−密度の試験方法
JIS R 7605 炭素繊維−線密度の試験方法
JIS R 7607 炭素繊維−単繊維の直径及び断面積の試験方法
JIS Z 8401 数値の丸め方
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1
体積抵抗率(volume resistivity)
炭素繊維を立方体として考え,繊維の長さ方向に相対する両面間に電圧を加えた場合の両面間の電気抵
抗。単位は,(Ω・m)を用いる。
3.2
線密度(linear density)
JIS L 0101によって表した炭素繊維1 km当たりの質量。単位は,(tex:g/km)を用いる。
3.3
単繊維(single filament)
より合わせ又は引きそろえてない単一の繊維。
2
R 7609:2007
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3.4
ストランド(strand)
多数の単繊維から構成される糸。フィラメント糸ともいう。
4
原理
試験片の抵抗,長さ及び断面積から体積抵抗率を求める。抵抗及び長さは,測定して求める。単繊維の
断面積は,測定した試験片の直径を用いて試験片の断面形状が真円であるとして算出する。ストランドの
断面積は,測定した試験片の密度及び線密度を用いて任意の断面形状であるとして算出する。
5
状態調節及び試験の雰囲気
状態調節及び試験の雰囲気は,JIS K 7100の3級による(温度:23±5 ℃,相対湿度:50+20
−10 %)。
6
単繊維の試験
6.1
装置及び器具
装置及び器具は,次による。
a) 長さ計 長さ計は,最小0.1 mmまで測定できるものを用いる。
b) 抵抗測定器 抵抗測定器は,0.5 %以上の精度が保証されるものを用いる。
6.2
試験片
試験片は,次による。
a) 試料から長さ40〜50 mmの繊維を取り出し,適切な方法で開繊して,単繊維を一本ずつ抜き取り,試
験片の作製に用いる。
b) 図1に例示する台紙を用い,単繊維を台紙の中央線に沿ってまっすぐに張り,試験長が,台紙の孔長
になるように,2か所を導電塗料で固定する。同時に銅線を試験片と共に導電塗料で固定し,リード
線として用いてもよい。導電塗料に含まれる溶剤が残っていると抵抗値が安定しないので,塗料を十
分乾燥し,これを抵抗値測定の試験片とする。
c) 試験片は,最少3個用意する。
単位 mm
図1−台紙の例
3
R 7609:2007
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6.3
試験方法
試験方法は,次による。
a) 試験片を台紙には(貼)り付けた状態で,長さ計を用いて試験長をミリメートル(mm)の単位で小数点
1位まで測定する。
b) JIS R 7607のB法又はD法に規定された方法で,試験片の直径を求める。
c) 試験長間の抵抗値を,抵抗測定器を用いて測定する。
d) 体積抵抗率は,次の式によって算出する。
9
f
f
2
f
10
4
=
−
×
L
R
D
S
π
ここに,
Sf: 体積抵抗率(Ω・m)
D: 単繊維の直径(μm)
Rf: 試験長の抵抗値(Ω)
Lf: 試験長(mm)
e) 試験は,3個の試験片について行う。
7
ストランドの試験
7.1
装置及び器具
装置及び器具は,次による。
a) 長さ計 長さ計は,最小1 mmまで測定できるものを用いる。
b) 抵抗測定器 抵抗測定器は,6.1 b)に規定するものを用いる。
c) 電極 清浄で,平滑な表面の銅板を用い,試験する炭素繊維と電極との間で十分通電可能となる固定
装置を用いる(図2参照)。
7.2
試験片
繊維の束から,必要な試験長に固定用の長さを加えたストランドを採取する。
なお,水分が高い試料又はサイジング剤が多量に付着している試料など繊維自体の性質の測定に影響す
る因子の存在が懸念される場合には,試料の乾燥又はサイジング剤の除去のような前処理を行う。
7.3
試験方法
試験方法は,次による。
a) 線密度を,JIS R 7605に規定された方法によって測定する。
b) 密度を,JIS R 7603に示された方法のうちの一つに従って測定する。
c) 絶縁板上に2個の電極を,試験長が50〜2 000 mmとなるよう離して設置し,電極間の距離を長さ計
によって1 mmまで測定して試験長とする。一例を図2に示す。
注記 試験長は,長い程測定精度が向上する傾向にあるが,ストランドの種類によって短くする場
合もあり,その長さに幅をもたせている。
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R 7609:2007
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単位 mm
図2−ストランドの体積抵抗率測定例
d) 試験片の一端を電極に固定し,試験片が湾曲しない状態にしてもう一方の電極に固定する。
なお,あらかじめ試験長を変更して抵抗値を測定し,抵抗値が試験長に比例すること及び試験長ゼ
ロのときの外挿抵抗値が1 %以下になるように試験片を固定する。
e) 通電後,約30秒間経過してから,電極間の抵抗値を読みとる。
f)
体積抵抗率は,次の式によって算出する。
6
t
s
s
s
10
=
−
×
×ρ
T
L
R
S
ここに,
SS: 体積抵抗率(Ω・m)
RS: 試験長の抵抗値(Ω)
LS: 試験長(mm)
Tt: ストランドの線密度(tex)
ρ: 炭素繊維の密度(g/cm3)
g) 試験は,3個の試験片について行う。
8
試験結果の数値の表し方
試験結果の数値の表し方は,次による。
a) 試験結果は,3個の試験片による測定値の平均値を,有効数字3けたまで求め,JIS Z 8401によって
有効数字2けたの位に丸める。
b) 平均値は,次の式によって求める。
n
x
x
n
i
i
∑
=1
=
ここに,
x: 平均値
xi: 個々の測定値
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R 7609:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
n: 測定数
9
報告書
報告書には,次の事項を記載する。
a) この規格番号(JIS R 7609)
b) 試験年月日
c) 試料の明細
d) 用いた試験片の種類(単繊維又はストランド)
e) 体積抵抗率の平均値
f)
状態調節及び試験雰囲気
g) その他特記すべき事項
なお,次の事項を記載するのが望ましい。
h) 試験長
i)
単繊維の場合 単繊維の直径
j)
ストランドの場合 ストランドの線密度及び炭素繊維の密度