R 6124 : 1998
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日
本工業規格である。これによってJIS R 6124 : 1987は改正され,この規格に置き換えられる。
今回の改正では,対応国際規格との整合を図った。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
R 6124 : 1998
炭化けい素質研削材の
化学分析方法
Method for chemical analysis of silicon carbide abrasives
序文 この規格は,1997年に第1版として発行されたISO 9286, Abrasive grains and crude−Chemical analysis
of silicon carbideが規定している炭化けい素質研削材の化学分析方法について,その技術的内容を変更する
ことなく作成した日本工業規格であるが,対応国際規格には規定されていない分析方法についても日本工
業規格として追加している。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格には規定されていない事項である。
1. 適用範囲 この規格は,炭化けい素質研削材の化学分析方法及び蛍光X線分析方法について規定する。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
ISO 9286 : 1997 Abrasive grains and crude−Chemical analysis of silicon carbide
2. 引用規格 付表2に示す規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成
する。これらの引用規格は,その最新版を適用する。
3. 化学分析方法 化学分析方法による分析項目は,次のとおりとする。
a) 表面鉄
b) 表面酸化アルミニウム
c) 表面酸化カルシウム
d) 表面酸化マグネシウム
e) 全炭素
f)
遊離炭素(表面炭素)
g) 炭化けい素
h) 表面けい酸
i)
表面けい素
j)
全けい素
4. 蛍光X線分析方法 蛍光X線分析方法による分析項目は,次のとおりとする。
a) 鉄
b) アルミニウム
c) カルシウム
2
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d) マグネシウム
5. 一般事項 分析について共通する一般事項は,化学分析については,JIS K 0050,吸光光度分析につ
いては,JIS K 0115,原子吸光分析については,JIS K 0121及び蛍光X線分析については,JIS K 0119に
よる。
炭化けい素質研削材の種類の記号は,JIS R 6111の表1による。
6. 試料 試料は,一検査単位の中からJIS R 6003の規定によって採取し,約20gを平形はかり瓶 (60×
30mm) に採り105±5℃の空気浴中で1時間乾燥し,これを密閉してデシケーター中で保存し,試料とす
る。
なお,試料は,通常,原粒のまま処理するが,全炭素と遊離炭素を定量する試料でF80又はP80より粗
い粗粒については粉砕を行う。粉砕は鋼製乳鉢を用い,150μmふるいを通過する程度に粉砕する。
7. 分析結果のまとめ方 分析結果は,百分率で表し,JIS Z 8401の規定によって小数点以下第2位まで
に丸める。
8. 表面鉄の定量方法
8.1
要旨 試料をふっ化硝酸で処理して,表面の金属類を溶出させた溶液に,アンモニア水と塩化アン
モニウムとを加え,鉄及びアルミニウムを沈殿させ,これを温塩酸に溶解し,塩化ヒドロキシルアンモニ
ウム溶液を加え,第二鉄イオンを第一鉄イオンに還元し,1,10−フェナントロリン溶液を加えて発色させ,
その吸光度を測定し表面鉄を定量する。
8.2
試薬 試薬は,次のものを用いる。
a) 硫酸 (1+1)
b) 塩酸 (1+1,1+2,1+3,1+25,1+100)
c) ふっ化水素酸
d) 硝酸
e) アンモニア水 (1+1)
f)
二硫酸カリウム
g) 塩化アンモニウム
h) 硝酸アンモニウム溶液 (20g/l)
i)
硝酸ナトリウム溶液 (500g/l)
j)
塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液 (5g/l)
k) 1,10−フェナントロリン溶液 (2g/l)
l)
メチルレッド溶液 (2g/l) メチルレッド0.2gをエチルアルコール90mlに溶かし,水を加えて100ml
とする。
m) 鉄標準液 (0.1mgFe/ml) 鉄(99.5%以上)0.100gをビーカー300mlにはかり採り,硝酸 (1+1) 5ml及
び硫酸 (1+1) 5mlを加えて溶かし,硫酸の白煙が発生するまで加熱する。これに硝酸 (1+6) 10ml及
び水を加えて溶かし,全量フラスコ1lに移し,標線まで水で薄める。
8.3
光度計 光度計は,分光光度計又は光電光度計を用いる。
8.4
操作 定量操作は,次の手順によって行う。
a) 白金るつぼ (30ml) に試料約1gを0.1mgのけたまではかり採り,ふっ化水素酸20ml,硝酸3ml,硫酸
3
R 6124 : 1998
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(1+1) 3mlを加え砂浴上で加熱して蒸発濃縮し,硫酸の白煙が出始めてから約10分間発生させる。加
熱を止め室温まで放冷する。るつぼを塩酸 (1+1) 20mlと温水約80mlを入れたビーカー300mlに移し,
約10分間煮沸してるつぼを洗い出す。しばらく静置して残さを沈降させる。ろ紙(5種C)を用いて
残さをろ過し,最初は塩酸 (1+3) で数回,次に塩酸 (1+25) 及び塩酸 (1+100) で数回ずつ洗う。残
さは,炭化けい素の簡便な定量に使用し,ろ液は,鉄の定量に使用する。
b) a)で得た溶液に,塩化アンモニウム約1gと硝酸2,3滴を加えて数分間煮沸する。これにメチルレッ
ド溶液を1,2滴加え,アンモニア水 (1+1) を加えて中和し,さらに,2,3滴過剰に加える。引き続
き約1分間煮沸した後,水浴上に移して沈殿が凝集して沈降するのを待つ。
c) ろ紙(5種B)を用いて,直ちに沈殿をろ過し,温硝酸アンモニウム溶液 (20g/l) で数回洗う。
d) 沈殿は,洗瓶で元のビーカーに吹き落とし,ろ紙上から温塩酸 (1+2) 10mlを加えて沈殿を溶解し,
ろ紙を温水で2,3回洗う。塩酸と洗液は,沈殿の入ったビーカーに受け,加熱して沈殿を完全に溶解
する。
e) 溶液は冷却後,全量フラスコ250mlに移し,標線まで水を加えて振り混ぜる。この溶液の一部を用い
て次の操作を行い,残りは,保存して表面酸化アルミニウムの定量に使用する。
f)
この溶液5〜50mlを,ビーカー100mlにはかり採る。
g) この溶液のpH(1)が3.5になるように酢酸ナトリウム溶液 (500g/l) を加えてから全量フラスコ100ml
に移す。
h) 塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液 (5g/l) 5mlを加えて振り混ぜる(2)。
i)
1,10−フェナントロリン溶液 (2g/l) 5mlを加え,更に標線まで水を加えて振り混ぜる(2)。
j)
15分後に10mmの吸収セルに移し,500nm付近の波長で空試験の溶液を対照にして吸光度を測定し,
あらかじめ作成してある検量線から鉄の量を求める。
k) 表面鉄の含有率は,次の式によって算出する。
100
250
1
2
×
×
=
v
m
m
FeS
ここに, Fes: 表面鉄の含有率 (%)
m1: 試料の採取量 (g)
m2: 分取試料溶液中の全鉄検出量 (g)
v: 試料溶液の分取量 (ml)
注(1) pHの調節には,pH計又はpH試験紙ブロモフェノールブルー (BPB) を用いる。
(2) 塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液と1,10−フェナントロリン溶液は,あらかじめ混合して
おいて10mlを加えてもよい。
8.5
検量線の作り方 鉄標準液0〜10ml(Feとして0〜1.0mg)をビーカー100mlに段階的に採り,それ
ぞれに水50mlを加えて8.4g)以降の操作を行い,鉄量と吸光度との関係線を作成し,検量線とする。
備考 表面鉄を簡便に分析する場合には,試料を塩酸で加熱煮沸し,溶出した鉄を吸光光度法によっ
て塩酸可溶鉄として定量することもできる。その定量操作は,次の手順による。
ビーカー300mlに試料約1.0gを0.1mgのけたまではかり採り,塩酸 (1+1) 50mlを加え,10
分間加熱煮沸する。
冷却後,ろ紙(5種B)を用いてろ過する。残さを塩酸 (2+100) で数回洗う。ろ液及び洗液
は全量フラスコ250mlに集め,標線まで水を加えて振り混ぜる。
4
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この溶液25mlをビーカー100mlに正しく採る。
8.4g)〜k)によって表面鉄の量を求める。
9. 表面酸化アルミニウムの定量方法
9.1
定量方法の区分 表面酸化アルミニウムの定量方法は,次のいずれかによる。
a) 吸光光度法
b) EDTA滴定法
9.2
吸光光度法による表面酸化アルミニウムの定量方法
9.2.1
要旨 8.4 e)で保存した溶液に,クペロンとクロロホルムを用いて鉄などを分離し,クロムアズロ
ールSと塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液を加えて発色させ,その吸光度を測定し,表面酸化アルミニ
ウムを定量する。
9.2.2
試薬 試薬は,次のものを用いる。
a) 硫酸 (1+1)
b) アンモニア水 (1+1)
c) 塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液 (100g/l)
d) クペロン溶液 (60g/l) クペロン6gを水100mlに溶解し,分解生成物が生じた場合はろ紙(5種A)
を用いてろ別する。この溶液は,使用の都度調製する。
e) クロムアズロールS溶液 (1g/l)
f)
クロロホルム
g) アルミニウム標準液 (0.1mgAl/ml) アルミニウム(99.9%以上)0.100gをビーカー300mlにはかり採
り,塩酸 (1+1) 50mlを加え加熱溶解し,冷却後,全量フラスコ1lに移し,標線まで水で薄める。こ
の溶液1mlは,0.1mgのアルミニウムを含む。
h) アルミニウム標準液 (0.01mgAl/ml) アルミニウム標準液 (0.1mgAl/ml) 10mlを全量フラスコ100ml
に採り,標線まで水で薄める。
9.2.3
操作 定量操作は,次の手順によって行う。
a) 8.4 e)で保存した溶液から50mlを分液漏斗100mlに正しく採る。
b) 硫酸 (1+1) 5ml(3),クペロン溶液 (60g/l) 10ml,クロロホルム15mlを加えて約1分間激しく振り混ぜ,
鉄などを分離する。
c) 約1分間静置した後,有機層を捨て,水層にクロロホルム10mlを加え約30秒間激しく振り混ぜ,再
び分離を行う。
d) さらに,c)の操作を繰り返し,有機層を捨て,水層をビーカー200mlに採り加熱してクロロホルムを
揮散除去した後,さらに,硫酸の白煙が発生するまで加熱を続ける。
e) 冷却後少量の水を加え全量フラスコ100mlに移し,標線まで水で薄める。
f)
一定量(4)をビーカー200mlに採り,水を加えて全容を50mlとする。
g) クロムアズロールS溶液 (1g/l) 2ml(5),塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液 (100g/l) 5mlを加えた後,
アンモニア水 (1+1) を用いてpHを5.9〜6.1に調節する(6)。
h) 直ちに全量フラスコ100mlに移し,標線まで水を加えて振り混ぜる。
i)
約10分間静置後(7)10mmの吸収セルに移し,550nm付近の波長で空試験の溶液を対照にして吸光度を
測り,あらかじめ作成してある検量線からアルミニウム量を求める。
j)
表面酸化アルミニウムの含有率は,次の式によって算出する。
5
R 6124 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
100
5
889
.1
100
250
50
1
2
,3
2
×
×
×
×
=
v
m
m
O
Al
S
ここに, Al2O3, s: 表面酸化アルミニウムの含有率 (%)
m1: 試料採取量 (g)
m2: 分取試料溶液中のアルミニウム検出量 (g)
v: f)で分取した試料溶液の量 (ml)
注(3) 抽出時の硫酸濃度は,約0.5mol/l以上であることが必要である。この場合は,約0.9mol/lとなる。
(4) 緑色炭化けい素研削材 (GC) の場合は50ml,黒色炭化けい素研削材 (C) の場合は,5〜10ml
を分取する。
(5) 発色試薬自体が550nm付近で吸光度を示すので,正確に加えることが必要である。
(6) pHの調節にはpH計又はpH試験紙ブロモクレゾールパープル (BCP) を用いる。
(7) pH調節後,約5分間で最大の吸光度に達し,約20分間は安定である。
9.2.4
検量線の作り方 アルミニウム標準液 (0.01mgAl/ml) 0〜3.0ml(Alとして0〜0.03mg)をビーカー
200mlに段階的に採り,それぞれに硫酸 (1+1) 10滴及び水を加えて全容を50mlとし,9.2.3 g)以降の操作
を行い,アルミニウム量と吸光度との関係線を作成し,検量線とする。
9.3
EDTA滴定法による表面酸化アルミニウムの定量方法
9.3.1
要旨 8.4 e)で保存した溶液にエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム溶液(EDTA溶液)を過剰に
加えてpHを調節し,煮沸してアルミニウム−EDTAキレートを完成させ,冷却後キシレノールオレンジ
を指示薬として亜鉛標準液で滴定し,表面酸化アルミニウムを定量する。
9.3.2
試薬 試薬は,次のものを用いる。
a) 塩酸 (1+1)
b) アンモニア水 (1+1)
c) ヘキサミン
d) パラニトロフェノール溶液 (2g/l)
e) キシレノールオレンジ溶液 (1g/l)
f)
酢酸アンモニウム溶液 (250g/l)
g) 0.01mol/l亜鉛標準液 JIS K 8005に規定する亜鉛0.653 7g(亜鉛の表面が酸化しているおそれのある
場合は6mol/l塩酸,水,アセトンで順次に洗い,110℃で5分間乾燥して用いる。)を正確にビーカー
200mlにはかり採り,水約50ml,塩酸 (2+1) 15ml,臭素水5滴を加え加熱して溶解し,更に煮沸し
て臭素を除き全量フラスコ1lに移し,水で標線まで薄める。
h) 0.01mol/lEDTA溶液 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム (EDTA) 3.75gを全量フラスコ1lにはかり
採り,水で溶かして標線まで水で薄める。
9.3.3
操作 定量操作は,次の手順によって行う。
a) 8.4 e)で保存した溶液から100mlをビーカー300mlにはかり採る。
b) 0.01mol/lEDTA溶液10mlを正確に加えた後,水で約150mlに薄める。
c) これに指示薬としてパラニトロフェノール溶液 (2g/l) 2,3滴を加え,溶液が黄色を呈するまでアンモ
ニア水 (1+1) で中和し,直ちに塩酸 (1+1) 5mlを加える。
d) 酢酸アンモニウム溶液 (250g/l) を加え,溶液のpHを3.0〜3.5に調節し(8),約10分間煮沸する。
e) 冷却後ヘキサミン約10gを加え,溶液のpHを5〜8に調節する(9)。
6
R 6124 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
f)
これに指示薬としてキシレノールオレンジ溶液 (1g/l) 4,5滴を加え,0.01mol/l亜鉛標準液で滴定し,
黄から赤となった点を終点とする。同一操作によって空試験を行う。
g) 表面酸化アルミニウムの含有率は,次の式によって算出する。
5
889
.1
1
483
.0
100
250
100
)
(
8
269
000
.0
,3
2
×
×
−
×
×
−
×
=
s
S
Fe
m
b
a
O
Al
ここに,
Al2O3, s: 表面酸化アルミニウムの含有率 (%)
Fes: 表面鉄の含有率 (%)
m: 試料の採取量 (g)
a: 0.01mol/lEDTA溶液10mlに対する0.01mol/l亜鉛標準液の
使用量 (ml)
b: 過剰のEDTA溶液の滴定に使用した0.01mol/l亜鉛標準液の
使用量 (ml)
注(8) pHの調節にはpH計又はpH試験紙ブロモフェノールブルー (BPB) を用いる。
(9) pHの調節にはpH計又はpH試験紙ブロモクレゾールグリーン (BCG) を用いる。
10. 表面酸化カルシウムの定量方法
10.1 要旨 試料をるつぼに採り,ふっ化水素酸,硝酸及び過塩素酸を加えて蒸発乾固するまで加熱し,
塩酸と温水とで可溶性塩を溶解し,不溶解物を分離する。溶液に塩化アンモニウム及びアンモニア水を加
え,鉄及びアルミニウムを分離し,ろ液に指示薬として2−ヒドロキシ−1−(2'−ヒドロキシ−4'−スル
ホ−1'−ナフチルアゾ)−3−ナフトエ酸 (NN) を加えEDTA溶液で滴定し,表面酸化カルシウムを定量す
る。
10.2 試薬 試薬は,次のものを用いる。
a) 硝酸
b) 過塩素酸
c) ふっ化水素酸
d) 塩酸 (1+1,2+1,1+100)
e) 塩化アンモニウム溶液 (200g/l)
f)
アンモニア水 (1+1,1+100)
g) 水酸化カリウム溶液 (100g/l)
h) 塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液 (10g/l)
i)
シアン化カリウム溶液 (100g/l)
j)
NN希釈粉末 2−ヒドロキシ−1−(2'−ヒドロキシ−4'−スルホ−1'−ナフチルアゾ)−3−ナフトエ
酸指示薬1.0gに硫酸カリウム50gを加え,乳鉢中で粉砕し混合する。
k) 0.01mol/lEDTA溶液 EDTA3.75gを全量フラスコ1lにはかり採り,水を加えて溶かし,標線まで水で
薄める。この溶液の標定方法は,0.01mol/l亜鉛標準液を用いてJIS K 8001の4.4(5.3)に準じて行う。
10.3 るつぼ るつぼは,例えば,30番を用いる。
10.4 試料の採取量 試料は,約1.0gを採取する。
10.5 操作 定量操作は,次の手順によって行う。
a) るつぼに試料約1.0gを0.1mgのけたまではかり採り,ふっ化水素酸10ml,硝酸1ml,過塩素酸3ml
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を加え,過塩素酸の白煙が発生しなくなるまで砂浴上で加熱する。
b) 冷却後試料は,るつぼと共に塩酸 (1+1) 5mlと温水150mlとを入れたビーカー300mlに移し,加熱し
てるつぼ中の可溶性塩を溶解する。
c) ビーカー中のるつぼを十分に水で洗って取り除いた後,ろ紙(5種B)を用いてろ過する。残さは塩
酸 (1+100) で数回,次いで塩化物イオンの反応が認められなくなるまで温水で洗う。ろ液及び洗液
は,ビーカー300mlに受ける。
d) 溶液に塩化アンモニウム溶液 (200g/l) 5ml及びアンモニア水 (1+1) を加えてわずかにアルカリ性と
する。穏やかに加熱して鉄,アルミニウムの水酸化物の沈殿を生成させる。全量フラスコ250mlに,
ろ紙(5種B)を用いてろ過し,アンモニア水 (1+100) で数回洗う。全量フラスコ中のろ液及び洗液
は,標線まで水を加えて振り混ぜ,その一部を採って次の操作を行い,残りは保存して酸化マグネシ
ウムの定量に使用する。
e) 100mlをビーカー300mlに正しく採り,水酸化カリウム溶液 (200g/l) を滴加して,pHを12.6〜13.3に
調節する(10)。
f)
塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液 (10g/l) 5ml及びシアン化カリウム溶液 (100g/l) 5mlを加える。
g) これに指示薬としてNN希釈粉末約0.1gを加えて0.01mol/lEDTA溶液で滴定し,赤から完全に青とな
った点を終点とする。同一操作によって空試験を行う。
h) 表面酸化カルシウムの含有率は,次の式によって算出する。
100
250
100
561
000
.0
)
(
×
×
×
×
−
=
m
f
b
a
CaOS
ここに, CaOs: 表面酸化カルシウムの含有率 (%)
f: 0.01mol/lEDTA溶液のファクター
a: 試料の滴定に用いた0.01mol/lEDTA溶液の使用量 (ml)
b: 空試験に用いた0.01mol/lEDTA溶液の使用量 (ml)
m: 試料採取量 (g)
注(10) pHの調節には,pH計又はpH試験紙アルカリブルー (ALB) 若しくはポイラーブルー (POB) を
用いる。
11. 表面酸化マグネシウムの定量方法
11.1 要旨 10.5 d)で保存した溶液に指示薬としてエリオクロムブラックTを加え,EDTA溶液で滴定し,
表面酸化マグネシウムを定量する。
11.2 試薬 試薬は,次のものを用いる。
a) 塩化アンモニウム−アンモニア緩衝液 (pH10) 塩化アンモニウム70gにアンモニア水570mlと水約
200mlを加えて溶かし,水で1lに薄める。
b) 塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液 (10g/l)
c) シアン化カリウム溶液 (100g/l)
d) エリオクロムブラックT溶液 (5g/l) エリオクロムブラックT0.5gをメチルアルコール100mlに溶か
し,塩化ヒドロキシルアンモニウム0.5gを加える。この溶液は,褐色瓶に入れ密栓して保存する。
e) 0.01mol/lEDTA溶液 10.2 k)による。
11.3 操作 定量操作は,次の手順によって行う。
a) 10.5 d)で保存した溶液から100mlをビーカー300mlにはかり採る。
8
R 6124 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
b) 塩化アンモニウム−アンモニア緩衝液を加えてpH10に調節する(11)。
c) 塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液 (10g/l) 5ml及びシアン化カリウム溶液 (100g/l) 5mlを加える。
d) これに指示薬としてエリオクロムブラックT溶液 (5g/l) 2,3滴を加えて0.01mol/lEDTA溶液で滴定し,
赤から完全に青になった点を終点とする。同一操作によって空試験を行う。
e) 表面酸化マグネシウムの含有率は,次の式によって算出する。
100
250
100
403
000
.0
)
(
×
×
×
×
−
=
m
f
B
A
MgOS
ここに, MgOs: 表面酸化マグネシウムの含有率 (%)
f: 0.01mol/lEDTA溶液のファクター
A: 試料の滴定に用いた0.01mol/lEDTA溶液の使用量 (ml) から空
試験に用いた0.01mol/lEDTA溶液の使用量 (ml) を減じた値
B: 酸化カルシウム滴定における (a−b) の値
m: 試料採取量 (g)
注(11) pHの調節には,pH計又はpH試験紙アリザリンエロー (AZY) を用いる。
12. 全炭素の定量方法
12.1 方法の区分 全炭素の定量は,次のいずれかによる。
a) 燃焼容量法(燃焼重量法)
b) 電量測定法
12.2 燃焼容量法(燃焼重量法)による全炭素の定量
12.2.1 要旨 試料に助燃剤を加え酸素気流中で燃焼させ,炭素分を完全に酸化して二酸化炭素とし,これ
を酸素と共にビュレットに捕集して全ガスの体積を測定し,次に,二酸化炭素を吸収除去した後,残留ガ
スの体積を測定し,その体積の減少量から全炭素を定量する。
12.2.2 試薬 試薬は,次のものを用いる。
a) 酸素 JIS K 1101に規定するもの。
b) 助燃剤(12)
c) 塩化ナトリウム溶液 (260g/l)
d) 水酸化カリウム溶液 (330g/l)
e) 硫酸 (1+1)
f)
過マンガン酸カリウム溶液 (50g/l)
g) メチルレッド溶液 (2g/l) 8.2 1)による。
注(12) すず,鉛の合金 (1+13) 2gと銅線1gとを混ぜたもの,四酸化三鉛2gと生石灰0.2gとを混ぜたも
の,銅にすずをコーティングしたもの,又は金属すず粉末1gのいずれかを使用する。
12.2.3 器具及び装置 器具及び装置は,次のものを用いる(付図1参照)。
a) 酸素供給装置 容量20l程度のものとする。
b) 酸素清浄装置 酸素中に含有する二酸化炭素,有機性ガスなどを除去し,かつ,酸素を清浄乾燥する
ことを目的とするもので,クロム酸飽和硫酸(13)を入れた洗瓶 (c),ソーダ石灰,ソーダ石綿又は水酸
化ナトリウムを詰めた管又は塔 (d),硫酸又は活性アルミナを入れた洗瓶又は塔 (e) を順次連結(14)す
るものとする。
c) 燃焼炉 燃焼炉は,内径約30mm,長さ300〜350mmの管状電気炉 (g) を用い,その中央部で長さ約
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150mmを1 350℃以上に保つことのできるものを用いる。
d) 磁器燃焼管 (h) 磁器燃焼管は,JIS R 1307に規定するCT1又はCT2を用い,磁器燃焼ボートが挿
入される中央部の後方に石綿を詰めるものとする。
e) 磁器燃焼ボート 磁器燃焼ボートは,JIS R 1306に規定するCB1を用い,あらかじめ酸素気流中で使
用燃焼温度で空焼きしてから用いる。
f)
温度計 (i) 1 300〜1 400℃の範囲で温度が測定できる熱電温度計を用いる。
g) ガス分析装置 ガス分析装置は,次のものを順次連結する。
1) 二酸化硫黄吸収瓶 (j) 過マンガン酸カリウム溶液 (50g/l) 10mlに硫酸 (1+1) 1mlを加えて酸性と
した溶液約5mlを入れておく。
2) 冷却管 (k)
3) 三方コック (l) 一方は,外気に向けて開けるようにしておく。
4) 三方コック (m)
5) ビュレット (n) 塩化ナトリウム溶液 (260g/l) にメチルレッド溶液を加えて,これが赤になるまで
硫酸を滴加して微酸性としたものを入れ,全容800ml,目盛部分90ml,目盛刻み0.2mlとする。こ
の場合,この目盛は,16℃,101.3kPaを標準として刻むものとする。
6) 水準瓶 (o) 容量850mlのもの。
7) 二酸化炭素吸収瓶 (p) 水酸化カリウム溶液 (330g/l) を入れておく。
8) 温度計 (q) ビュレット内のガス温度を測定するために取り付ける。0.1℃まで読み取れるものとす
る。
注(13) クロム酸飽和硫酸は,緑になると酸化力を失うから,作り替えなければならない。
(14) ゴム管は二酸化炭素を吸収するおそれがあるから,装置の各接続にはガラス管を用いてその両
端を密接させ,ゴム管又はビニル管でこれを保持するようにする。
12.2.4 試料の採取量 試料は,約0.1gを採取する。
12.2.5 操作 定量操作は,次の手順によって行う。
a) 12.2.3の装置を連結し(15),燃焼管を熱し,その管内温度を1 300〜1 350℃とする。装置の気密を確認
した後(16),三方コック (l) 及び (m) を閉じておく。
b) あらかじめ空焼きしてある磁器燃焼ボートに試料約0.1gを0.1mgのけたまではかり採り,助燃剤(12)
を試料に加えてよくかき混ぜる。
c) 次に,燃焼管の酸素の入口部を開き,試料を入れた磁器燃焼ボートをピンセットで挟み,挿入棒で燃
焼管内の中央部に挿入し,直ちに気密に栓をした後コック (f) を開いて酸素を送入するとともに三方
コック (l) 及び (m) をわずかに炉側に開く。
d) 水準瓶 (o) をビュレット (n) の球部の位置に置き,三方コック (l) 及び (m) を調節しながら約20分
間で二酸化炭素と酸素との混合ガスを二酸化硫黄吸収瓶 (j)(17)及び冷却管 (k) を通じてビュレット
(n) の球部の約半分まで導き,試料の燃焼を完了させる。
e) 次に,水準瓶 (o) をビュレット (n) の下部目盛以下の位置に置き,さらに,三方コック (l) 及び (m)
を炉側に開き,約30秒間で混合ガスをビュレット (n) の目盛の下部近くまで捕集した後,三方コッ
ク (l) 及び (m) を閉じ,コック (f) を閉じて酸素の送入を止めて約1分間放置する。その間に燃焼管
の栓を外して磁器燃焼ボートを取り出す(18)。
f)
水準瓶 (o) をビュレットに沿って上下に動かして,ビュレット (n) と水準瓶 (o) 内の液の水準を合わ
せてビュレット (n) の目盛を読み,混合ガスの体積とする。このときの混合ガスの温度を,温度計 (q)
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によって測定しておく(19)。
g) 三方コック (m) を二酸化炭素吸収瓶 (p) 側に開き,水準瓶 (o) をビュレット (n) を越えた位置に上
げ,ビュレット (n) の内部に溶液を満たして混合ガスを二酸化炭素吸収瓶 (p) に送り込んで,二酸化
炭素を水酸化カリウム溶液 (330g/l) に吸収させる。次に水準瓶 (o) をビュレット (n) の下部目盛以
下の位置に下げて残留ガスをビュレット (n) に戻し,三方コック (m) を閉じ約1分間放置した後,
水準瓶 (o) を動かしてビュレット (n) と水準瓶 (o) 内の溶液の水準を合わせてビュレット (n) の目
盛を読み,残留ガスの体積とする。このときの残留ガスの温度を温度計 (q) によって測定しておく(19)。
h) g)の操作を繰り返して,残留ガスの容積と空試験値とを差し引いて,試料による二酸化炭素の体積を
求める。
i)
全炭素の含有率は,次の式によって算出する。
100
7
502
000
.0
×
×
×
=
f
m
A
CT
ここに,
CT: 全炭素の含有率 (%)
A: 二酸化炭素の体積 (ml)
m: 試料採取量 (g)
f: 補正係数(付表1)
t
b
B
f
+
−
×
=
273
8
385
.0
B: 気圧の読取り値に温度及び重力の補正を行った値(20)(kPa)
B=B' (1−0.000 163t'−0.002 6cos2φ−0.000 000 2H)
B'´: 気圧計の読み (kPa)
t'´: 気圧計に付いている温度計の読み (℃)
φ: 気圧計のある場所の緯度 (°)
H: 海面からの高さ (m)
b: t℃における塩化ナトリウム溶液 (260g/l) の水蒸気圧 (kPa)
t: ビュレット内のガスの温度 (℃)
注(15) 燃焼炉の磁器燃焼管と酸素清浄装置及びガス吸収装置との接続部のゴム栓には,耐熱性の大き
いシリコーンゴムを使用するのがよい。
(16) 気密試験は,次のように行う。コック (f) を閉じ水準瓶 (o) をビュレット (n) の下部目盛以下
の位置に置き,三方コック (l) 及び (m) を炉側に開く。次に,コック (f) を徐々に開いて酸素
をビュレット (n) 内の目盛部の10〜20mlの位置まで捕集し,コック (f) を閉じ,しばらく放
置してビュレット (n) 内の液面の変化のないことを確かめる。もし,この際液面が下がるよう
なことがあれば,コック (f) からビュレット (n) までの間に気密の悪いところがあることを示
す。次に,三方コック (m) を炉側に,三方コック (l) を外気側に開き,水準瓶 (o) をビュレッ
ト (n) を越えた位置に上げて,ビュレット (n) 内の酸素を外気に放出させ,三方コック (l) 及
び (m) を閉じる。
(17) この吸収瓶の中の溶液に濁りを認めたときは,新しい溶液と取り替えなければならない。
(18) 磁器燃焼ボート内の融解物の表面が滑らかで内部に気泡及び試料が残っていないことを確認す
る。
(19) 混合ガスの温度と残留ガスの温度とに差があってはならない。冬期においてビュレット内の溶
液及び二酸化炭素吸収瓶内の溶液の温度が低い場合には,温度差を生じないように,あらかじ
め酸素の空通し及び標準試料による試験を行っておく必要がある。
(20) B=B' (1−0.000 163t'−0.002 6cos2φ−0.000 000 2H) ……………………………………………(1)
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=B'−B' (0.000 163 t'+0.002 6cos2φ+0.000 000 2H) ………………………………………(2)
分析者は,あらかじめその土地の緯度,各種の気圧及び温度について
B' (0.000 163t'+0.002 6cos2φ+0.000 000 2H) の値を求めて表にしておけば便利である。
高さの項は,微少であるので省いてもよい。
例えば,東京におけるBを求めてみると
φ35°39'
0.002 6cos2φ=0.000 834
高さの項は,微少であるので無視すると式(1)は,次のようになる。
B=B' (1−0.000 163t'−0.008 34) =B'−B' (0.000 163t'+0.000 834)
すなわちB' (0.000 163t'+0.000 834) が補正値である。
備考 定量操作は,燃焼容量法と同じであるが,二酸化炭素を吸収させる前と後との二酸化炭素吸収
瓶の質量の差から,次の式によって全炭素の含有率を求めることもできる(燃焼重量法)。
100
9
272
.0
)
(
0
1
2
×
×
−
=
m
m
m
CT
ここに, CT: 全炭素の含有率 (%)
m0: 試料採取料 (g)
m1: 燃焼前の二酸化炭素吸収瓶の質量 (g)
m2: 燃焼後の二酸化炭素吸収瓶の質量 (g)
12.3 電量測定法による全炭素の定量
12.3.1 要旨 試料に助燃剤を加え酸素気流中で燃焼させ,炭素分を完全に酸化して二酸化炭素とし,あら
かじめ一定のpH値に設定した過塩素酸バリウム溶液に吸収させる。このとき増加した水素イオンの量を
中和するのに必要な当量のアルカリを電気分解によって作るために消費する電気量から全炭素を定量する。
12.3.2 試薬 試薬は,次のものを用いる。
a) 過塩素酸バリウム吸収液 使用する装置によって適切な濃度のものを調製する。一般に過塩素酸バリ
ウム25gを水約100mlに溶解し,イソプロピルアルコール10〜15mlを加え,水で500mlに薄めたも
のを使用する。
b) 過塩素酸バリウム電解液 使用する装置によって適切な濃度のものを調製する。一般に過塩素酸バリ
ウム15〜20gを水に溶解し,水で100mlに薄めたものを使用する。
c) 比較電極槽液 使用する装置によって適切な溶液を用いる。一般に過塩素酸バリウム25g及び塩化ナ
トリウム10〜20gを水約200mlに溶解し,イソプロピルアルコール10〜15mlを加え,水で500mlに
薄めたものを使用する。
d) 炭酸バリウム
e) 酸素 12.2.2 a)による。
f)
助燃剤(12)
12.3.3 器具及び装置 器具及び装置は,次のものを用いる(付図2参照)。
a) 酸素清浄装置 使用する酸素中に含まれる二酸化炭素,有機性ガスなどを除去し,かつ,酸素を清浄
乾燥することを目的とするもので,白金石綿,粒状酸化銅などを詰めた管を約800℃に加熱する小形
電気炉と,ソーダ石灰又は水酸化ナトリウムを詰めた管若しくは塔を連結したもの。
b) 酸素圧力調節装置 酸素不足による試料の不完全燃焼を避けるためのもので,燃焼管内の酸素の圧力
を常に一定に保つもの。
c) 燃焼炉 12.2.3 c)の燃焼炉に準じるものとする。ただし,燃焼管の後方に石英ウール又はガラスウー
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ルを詰めたものとする。
d) 二酸化硫黄除去装置 試料の燃焼によって生成した二酸化硫黄を除去するために二酸化マンガンを詰
めた管又はガス乾燥塔を燃焼管の後方に接続したもの。二酸化マンガンは粒状で,粒径710〜1 190μm
の元素分析用のものを使用する。
e) 燃焼ガス分流装置(21) 試料の炭素含有率が多い場合,迅速に分析を行う場合などに燃焼管から出た燃
焼ガスから一定量を分流できるもの。
f)
二酸化炭素吸収槽及び電量滴定槽 燃焼管から出た二酸化炭素を吸収させるための過塩素酸バリウム
吸収液(22)のほぼ一定量を入れる陰極槽と,炭酸バリウム(23)及び過塩素酸バリウム電解液のほぼ一定
量(24)を入れる陽極槽とを多孔質の隔膜を隔てて結合し,両槽には電量滴定のための白金電極(25)を挿
入したものとする。さらに,陰極槽吸収液のpHを測定するため,比較電極槽液を入れる比較電極槽
を多孔質の隔膜を隔てて陰極槽に結合し,ガラス電極を陰極槽に,比較電極(26)を比較電極槽に挿入す
るもの。
なお,陰極槽は,分析操作時に吸収液が大気中の二酸化炭素を吸収しないように,吸収液の表面を
酸素でシールできるようにするのが好ましい。
g) 計測装置 計測装置は,pH検出増幅回路,電気分解信号発生回路,制御回路及び表示回路を備えたも
の。
1) pH検出増幅回路 ガラス電極及び比較電極から成る検出部[f)二酸化炭素吸収槽及び電量滴定槽内
に挿入]と増幅部から成るもの。
2) 電気分解信号発生回路 一定の大きさの電気分解用電流を発生させる回路で,電気分解に使用した
電気量を正確に測定できるもの。
3) 制御回路 電気分解の制御を行う回路で,陰極吸収液のpHが設定値から酸性側に移動すれば,そ
の移動量に比例して電気分解量は多くなり,pHが設定値に近づくと電気分解量は少なくなり,設定
値と一致するとき,電気分解が行われないように作動するもの。
4) 表示回路 電気分解に使用した電気量を分析結果として表示する回路で,電磁カウンターなどを使
用し,デジタルに少なくとも4けた表示のものがよい。また,表示の1カウントの電気量を8×10
−3C(クーロン),すなわち,炭素量の0.5×10−6gに対応するように設計されているものが望ましい。
h) 磁器燃焼管 12.2.3 d)による。
i)
磁器燃焼ボート 12.2.3 e)による。
j)
温度計 12.2.3 f)による。
注(21) 分流ポンフは,正確に11,101,251,501に分流できるものが好ましい。
(22) 過塩素酸バリウム吸収液は,汚染された場合は交換しなければならない。
(23) 炭酸バリウムは,隔膜が隠れるまで加える。長期間使用して炭酸バリウムが減少した場合は,
減少した分を追加しなければならない。
(24) 過塩素酸バリウム電解液は,白金電極の10mm上まで加える。
(25) 白金電極の大きさは,少なくとも2cm2以上あるものが望ましい。
(26) 比較電極には,一般に銀−塩化銀電極が使用される。
12.3.4 試料の採取量 試料は,約0.1gを採取する。
12.3.5 操作 定量操作は,次の手順によって行う。
a) 燃焼管内の温度を1 300〜1 350℃に上昇させ,電量滴定槽の陰極槽に過塩素酸バリウム吸収液のほぼ
一定量を,陽極槽に炭酸バリウムと過塩素酸バリウム電解液のほぼ一定量を,比較電極槽に比較電極
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槽液の所要量をそれぞれ入れ,装置内に酸素を通す。陰極槽の過塩素酸バリウム吸収液を電気分解に
よってpHを一定値の9に設定し,ガス分流装置(27)及び計数装置の諸条件を調整する。
b) あらかじめ空焼きしてある磁器燃焼ボートに試料約0.1gを0.1mgのけたまではかり採り,助燃剤(12)
を試料に加えてよくかき混ぜる。
c) 次に,燃焼管の酸素の入口部を開き,試料を入れた磁器燃焼ボートをピンセットで支え,挿入棒で燃
焼管内の中央部に挿入し,直ちに気密に栓をする。試料が燃焼し,二酸化炭素が過塩素酸バリウム吸
収液に吸収され始めると表示回路のカウンターを始動する。初めは次第に早く,終点近くで次第に緩
やかになり,ついに停止状態となる。この停止状態になった点を終点とし,カウント数を読み取り,
炭素含有率を求める(28)(29)(30)(31)。
d) 全炭素の含有率は,次の式によって算出する。
100
×
×
=mRF
C
CT
ここに
CT: 全炭素の含有率 (%)
C: カウント数
F: 1カウントに対する炭素相当量 (g)
m: 試料採取量 (g)
R: 分流比
注(27) 通常の場合,分流比は501とする。
(28) あらかじめ炭素含有率既知の標準試料を同一操作で分析し,表示回路のカウンターの読みと炭
素含有率が一致するように1カウントの電気量を調整する。
(29) 操作後に融成物の表面が滑らかで内部に気泡及び試料が残っていないことを確認する。
(30) 日常作業にあっては,作業時間の初期,中期及び終期に必ず炭素含有率既知の試料を用いて分
析し,その日の装置,その他の調子を試験する。
(31) 空試験は,試料に添加すると同量の助燃剤をはかり採った磁器燃焼ボートを用いて行う。
備考 全炭素を定量する場合は,熱伝導法又は赤外線吸収法を使用してもよい。熱伝導法又は赤外線
吸収法について共通する一般事項,装置についてはJIS Z 2615の規定による。この操作方法は,
次のとおりとする。
あらかじめ空焼きしてある磁器るつぼに試料約0.1gを0.1mgのけたまではかり採り,助燃剤
(12)を試料に加えてよくかき混ぜ,規定の圧力,流量で酸素を送入した高周波誘導加熱炉に挿入
する。あらかじめ設定した条件で試料を燃焼させ,指示計が一定値を示したとき,指示値を読
み取る。
全炭素の含有率は,次の式によって算出する。
100
)
(
×
×
−
=
m
K
E
D
CT
ここに, CT: 全炭素の含有率 (%)
D: 試料の指示値
E: 空試験(32)の指示値
m: 試料採取量 (g)
K: 予備操作で得られた係数
100
0
0
0
0
S
E
D
m
K
×
−
=
ここに, D0: 標準試料(33)での指示値
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E0: 空試験(32)での指示値
S0: 標準試料(33)の炭素含有量
m0: 標準試料(33)採取量 (g)
注(32) 空試験は,試料に添加すると同量の助燃剤をはかり採った磁器るつぼを用いて行う。
(33) 標準試料は,NBS112b炭化けい素が好ましい。
13. 遊離炭素の定量方法
13.1 方法の区分 遊離炭素の定量は,次のいずれかによる。
a) 燃焼容量法(燃料重量法)
b) 電量測定法
c) 重量補正法
備考1. 試料を原粒のまま処理すれば,表面炭素が定量される。
2. #4000〜#8000の微粉については,重量補正法による。
13.2 燃焼容量法(燃料重量法)による遊離炭素の定量
13.2.1 要旨 試料中の遊離炭素を酸素気流中で燃焼させ,二酸化炭素とし,以下12.2の燃焼容量法(燃
焼重量法)による全炭素の定量に準じて遊離炭素を定量する。
13.2.2 試薬 試薬は,12.2.2による。ただし,助燃剤は,必要としない。
13.2.3 器具及び装置 器具及び装置は,12.2.3による。ただし,ビュレットは,全容約350ml,目盛部分
50ml,目盛刻みを0.1mlとする。水準瓶の容量は,400mlとする。
13.2.4 試料の採取量 試料は,約1.0gを採取する。
13.2.5 操作 定量操作は,次の手順によって行う。
a) 13.2.3の装置を連結し,燃焼管を熱し,その管内温度を850±10℃とする。装置の気密を確認した後(16),
三方コック (l) 及び (m) を閉じておく。
b) あらかじめ空焼きしてある磁器燃焼ボートに試料約1.0gを約0.1mgのけたまではかり採り,12.2.5 c)
以下によって遊離炭素を定量する。ただし,燃焼時間は,5分間とする。
c) 遊離炭素の含有率は,次の式によって算出する。
100
7
502
000
.0
×
×
×
=
f
m
A
CF
ここに,
CF: 遊離炭素の含有率 (%)
A: 二酸化炭素の体積 (ml)
m: 試料採取量 (g)
f: 補正係数(付表1)
備考 定量操作は,燃焼容量法と同じであるが,二酸化炭素を吸収させる前と後との二酸化炭素吸収
瓶の質量の差及び燃焼後の試料の質量から,次の式によって遊離炭素の含有率を求めることも
できる(燃焼重量法)。
100
)4
375
.0
(
)9
272
.0
(
0
3
2
×
×
−
×
=
m
m
m
CF
ここに,
CF: 遊離炭素の含有率 (%)
m0: 試料採取料 (g)
m1: 燃焼後の試料の質量 (g)
m2: 燃焼後の二酸化炭素吸収瓶の質量増 (g)
m3=m1−m0+m2×0.272 9
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
13.3 電量測定法による遊離炭素の定量
13.3.1 要旨 試料中の遊離炭素を酸素気流中で燃焼させ,二酸化炭素とし,以下12.3の電量測定法によ
る全炭素の定量に準じて,遊離炭素を定量する。
13.3.2 試薬 試薬は,12.3.2による。ただし,助燃剤は,必要としない。
13.3.3 器具及び装置 器具及び装置は,12.3.3による。
13.3.4 試料の採取量 試料は,約0.5gを採取する。
13.3.5 操作 定量操作は,次の手順によって行う。
a) 燃焼管内の温度を850±10℃に上昇させ,以下12.3.5 a)による。
b) あらかじめ空焼きしてある磁器燃焼ボートに試料約0.5gを0.1mgのけたまではかり採り,12.3.5 c)以
下によって,遊離炭素を定量する(34)。
c) 遊離炭素の含有率は,次の式によって算出する。
100
×
×
=mRF
C
CF
ここに, CF: 遊離炭素の含有率 (%)
C: カウント数
F: 1カウントに対する炭素相当量 (g)
m: 試料採取量 (g)
R: 分流比
注(34) 分流比は,次の基準による。
遊離炭素含有率 (%)
分流比
0.005〜0.15
1
1
0.15〜1.5
10
1
13.4 重量補正法による遊離炭素の定量
13.4.1 要旨 13.2の燃焼容量法又は13.3の電量測定法によって遊離炭素量を定量し,燃焼後の試料質量
の変化量から,炭化けい素の燃焼量を補正する。
13.4.2 試薬 試薬は,13.2.2又は13.3.3による。
13.4.3 器具及び装置 器具及び装置は,13.2.3又は13.3.3による。ただし,磁器燃焼ボートの代わりに石
英ボートを用いる。
13.4.4 試料の採取量 試料の採取量は,13.2.4又は13.3.4による。
13.4.5 操作 定量操作は,次の手順によって行う。
a) あらかじめ恒量にした石英ボートに試料を13.2.4又は13.3.4によって0.1mgのけたまではかり採る。
b) 13.2.5 a)・b)又は13.3.5 a)・b)と同様に操作を行う。
c) 13.2.5 c)又は13.3.5 c)によって遊離炭酸量を定量する。
d) 試料を燃焼管から取り出し,デシケーター内で室温まで冷却して燃焼後の質量をはかる。
e) 遊離炭酸の含有率は,次の式によって算出する。
CF=C−0.375 2×G
ここに, CF: 遊離炭酸の含有率 (%)
C: 補正前の遊離炭酸の含有率 (%)
G:
C
m
m
m
G
+
×
−
=
100
1
1
2
m1: 試料採取量 (g)
m2: 燃焼後の質量 (g)
16
R 6124 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
備考 遊離炭素を定量する場合は,熱伝導法又は赤外線吸収法を使用してもよい(35)。
熱伝導法又は赤外線吸収法について共通する一般事項,装置については,JIS Z 2615の6.8
(熱伝導度法)による。ただし,高周波誘導加熱炉の代わりに管状電気炉を用いる(付図3参
照)。
この操作方法は,次のとおりとする。
あらかじめ空焼きしてある磁器燃焼ボートに試料0.5gを0.1mgのけたまではかり採り,規定
の圧力,流量で酸素を送入した850±10℃の燃焼炉に挿入する。あらかじめ設定した条件で試
料を燃焼させ,指示計が一定値を示したとき,指示値を読み取る。
遊離炭素の含有率は,次の式によって算出する(35)。
100
)
(
×
×
−
=
m
K
E
D
CF
ここに, CF: 遊離炭素の含有率 (%)
D: 試料の指示値
E: 空試験(36)の指示値
m: 試料採取量 (g)
K: 予備操作で得られた係数
100
0
0
0
0
S
E
D
m
K
×
−
=
ここに, D0: 標準試料(33)での指示値
E0: 空試験(36)での指示値
S0: 標準試料の遊離炭素含有率 (%)
m0: 標準試料採取量 (g)
注(35) #4000〜#8000については,13.4による。
(36) 空試験は,磁器燃焼ボートを用いて行う。ただし,重量補正法では石英ボートを用いて行
う。
14. 炭化けい素の定量方法
14.1 要旨 12.で求めた全炭素から13.で求めた遊離炭素を減じて化合炭素を求め,これを炭化けい素の量
に換算する。
14.2 炭化けい素の含有率は,次の式によって算出する。
SiC= [CT−CF] ×3.338 4
ここに, SiC: 炭化けい素の含有率 (%)
CT: 全炭素の含有率 (%)
CF: 遊離炭素の含有率 (%)
備考 炭化けい素(#4000〜#8000の微粉を除く。)を簡便に定量する場合は,ふっ化水素酸処理残さ
法を使用してもよい。この操作は,次のとおりである。
8.4 a)で保存した残さをろ紙と共に磁器るつぼに移し,電気炉の低温部で乾燥灰化し,次に
780〜800℃で40分間強熱する。るつぼをデシケーター中で放冷し,残さ量をはかる。炭化けい
素の含有率は,次の式によって算出する。
100
1
2×
=m
m
SiC
ここに, SiC: 炭化けい素の含有率 (%)
m1: 試料採取量 (g)
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R 6124 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
m2: 残さ量 (g)
15. 表面けい酸の定量方法
15.1 方法の区分 表面けい酸の定量は,次のいずれかによる。
a) 吸光光度法
b) 中和滴定法
15.2 吸光光度法による表面けい酸の定量
15.2.1 要旨 試料をプラスチック製ビーカーに採り,塩化ナトリウム,塩酸及びふっ化水素酸を加えて加
熱し,塩化アルミニウム,モリブデン酸アンモニウム,酒石酸及び1−アミノ−2−ナフトール−4−スル
ホン酸 (ANS) を加えて発色したモリブデン青の吸光度を測定し,表面けい酸を定量する。
15.2.2 試薬 試薬は,次のものを用いる。
a) 塩酸 (1+1,1+4)
b) アンモニア水 (1+4)
c) ふっ化水素酸 (1+1)
d) 塩化ナトリウム溶液 (100g/l)
e) 塩化アルミニウム溶液 (450g/l) 塩化アルミニウム溶液(六水和物)90gを水に溶かして200mlとす
る。
f)
モリブデン酸アンモニウム溶液 (100g/l)
g) 酒石酸溶液 (100g/l)
h) ANS溶液 1−アミノ−2−ナフトール−4−スルホン酸0.3gを亜硫酸ナトリウム溶液 (70g/l) 20mlに
溶かし,亜硫酸水素ナトリウム溶液 (100g/l) 180mlと混合する。調製後2週間以上経過したものは使
用しない。
i)
パラニトロフェノール溶液 (2g/l)
j)
水(37)
k) 二酸化けい素標準液 (0.1mgSiO2/ml) 二酸化けい素(99.9%以上)0.100gを,るつぼに採り,無水炭
酸ナトリウム2gを加えて加熱して融解し,プラスチック製ビーカー300ml中で水に溶かし,全量フラ
スコ1lに移し標線まで水を加え,プラスチック製瓶に保存する。
注(37) 脱塩水(イオン交換樹脂を用いて精製した水)には二酸化けい素が含まれているおそれがある
ので,蒸留水を用いる。
15.2.3 器具及び装置 器具及び装置は,次のものを用いる。
a) るつぼ るつぼは,例えば,30番
b) 光度計 分光光度計又は光電光度計
15.2.4 試料の採取量 試料は,約0.2gを採取する。
15.2.5 操作 定量操作は,次の手順によって行う。
a) プラスチック製ビーカー100mlに試料約0.2gを0.1mgのけたまではかり採り,塩化ナトリウム溶液
(100g/l) 1ml,塩酸 (1+1) 2ml及びふっ化水素酸 (1+1) 2mlを加える。
b) 80〜90℃の水浴中で,ときどきプラスチック棒を用いてかき混ぜながら15〜20分間加熱する。
c) 冷却後,塩化アルミニウム溶液 (450g/l) 12mlを加えてかき混ぜ,全量フラスコ100mlに移し,標線ま
で水を加えて振り混ぜる。
d) 静置後,上澄液10mlを全量フラスコ100mlに採り,水を加えて液量を50mlとする。指示薬としてパ
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R 6124 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
ラニトロフェノール溶液 (2g/l) 2,3滴を加え,溶液が黄色になるまでアンモニア水 (1+4) で中和し,
直ちに塩酸 (1+4) 5mlを加える。
e) モリブデン酸アンモニウム溶液 (100g/l) 5mlを加えて10分間放置する。
f)
酒石酸溶液 (100g/l) 5ml,ANS溶液1mlを加え,更に標線まで水を加えて振り混ぜる。
g) 30分間放置後,溶液の一部を10mmの吸収セルに移し,650nm付近の波長で空試験の溶液を対照にし
て吸光度を測定し,あらかじめ作成してある検量線から表面けい酸の量を求める。
h) 表面けい酸の含有率は,次の式によって算出する。
100
100
10
1
2
,2
×
×
=
m
m
SiOS
ここに,
SiO2, s: 表面けい酸の含有率 (%)
m1: 試料採取量 (g)
m2: 分取試料溶液中の表面けい酸の検出量 (g)
15.2.6 検量線の作り方 二酸化けい素標準液 (0.1mgSiO2/ml) 0〜10.0ml(SiO2として0〜1mg)をプラスチ
ック製ビーカー100mlに段階的に採り,それぞれに水を加えて20mlとし,塩化ナトリウム溶液 (100g/l) 1ml,
塩酸 (1+1) 2ml及びふっ化水素酸 (1+1) 2mlを加えてから15.2.5 b)以降の操作を行い,二酸化けい素量と
吸光度との関係線を作成し,検量線とする。
15.3 中和滴定法による表面けい酸の定量
15.3.1 要旨 試料にふっ化水素酸(ふっ化カリウム含有)と塩酸とを加えて加熱し,遊離けい酸をけいふ
っ化カリウムとして沈殿させ,これを熱水で溶解し,0.1mol/l水酸化ナトリウム溶液で滴定して表面けい
酸を定量する。
15.3.2 試薬 試薬は,次のものを用いる。
a) 塩酸 (1+1)
b) ふっ化水素酸 ふっ化水素酸約100mlにふっ化カリウム約10gを加えてかき混ぜ,1夜静置した後こ
したものを用いる。
c) 塩化カリウム溶液 (100g/l)
d) フェノールフタレイン溶液 (10g/l)
e) 0.1mol/l水酸化ナトリウム溶液
15.3.3 試料採取量 試料は,約1gを採取する。
15.3.4 操作 操作は,次の手順によって行う。
a) プラスチック製ビーカー100mlに試料約1gを0.1mgのけたまではかり採り,ふっ化水素酸約5ml及び
塩酸 (1+1) 約5mlを加え,80〜90℃の湯浴上で約15分間加熱する。
b) 冷却後(38),プラスチック漏斗を用いて,少量のろ紙パルプを底部に詰めたろ紙(5種B)でろ過し,
塩化カリウム溶液で約15回洗う。洗液は,メチルオレンジで赤に変色しないことを確かめる。
c) 沈殿は,ろ紙と共に三角フラスコ300mlに入れ,熱水約100mlを加え煮沸してろ紙を破壊する。
d) フェノールフタレイン溶液 (10g/l) 7,8滴を加え,0.1mol/l水酸化ナトリウム溶液で薄紅色を呈するま
で滴定する。同一操作によって空試駿を行う。
e) 表面けい酸の含有率は,次の式によって算出する。
100
502
001
.0
)
(
,2
×
×
×
−
=
m
f
b
a
SiOS
19
R 6124 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
ここに, SiO2, s: 表面けい酸の含有率 (%)
m: 試料採取量 (g)
a: 試料の滴定に用いた0.1mol/l水酸化ナトリウム溶液の使用量
(ml)
b: 空試験に用いた0.1mol/l水酸化ナトリウム溶液の使用量 (ml)
f: 0.1mol/l水酸化ナトリウム溶液のファクター
注(38) 冷却温度は,12℃以下が好ましい。
16. 表面けい素の定量方法
16.1 方法の区分 表面けい素の定量は,次のいずれかによる。
a) 吸光光度法
b) 中和滴定法
c) ガス容量法
16.2 吸光光度法による表面けい素の定量
16.2.1 要旨 試料をプラスチック製ビーカーに採り,硝酸ナトリウム,硝酸及びふっ化水素酸を加えて加
熱し,塩化アルミニウム,モリブデン酸アンモニウム,酒石酸及びANSを加えて発色したモリブデン青の
吸光度を測定し,遊離けい酸を減じて遊離けい素を定量する。
16.2.2 試薬 試薬は,15.2.2による。ただし,塩酸 (1+1) の代わりに硝酸 (1+1),塩化ナトリウム溶液
(100g/l) の代わりに硝酸ナトリウム溶液 (100g/l) を用いる。
16.2.3 器具及び装置 器具及び装置は,15.2.3による。
16.2.4 試料の採取量 試料の採取量は,15.2.4による。
16.2.5 操作 定量操作は,次の手順によって行う。
a) プラスチック製ビーカー100mlに試料約0.2gを0.1mgのけたまではかり採り,硝酸ナトリウム溶液
(100g/l) 1ml,硝酸 (1+1) 2ml及びふっ化水素酸(1+1)2mlを加える。
b) 15.2.5 b)〜g)と同様に操作を行う。
c) 表面けい素の含有率は,次の式によって算出する。
4
467
.0
100
100
10
,2
1
2
×
−
×
×
=
S
S
SiO
m
m
Si
ここに,
Sis: 表面けい素の含有率 (%)
m1: 試料採取量 (g)
m2: 分取試料溶液中の全けい酸の検出量 (g)
SiO2, S: 表面けい酸の含有率 (%)
16.2.6 検量線の作り方 15.2.6による。
16.3 中和滴定法による表面けい素の定量
16.3.1 要旨 試料にふっ化水素酸(ふっ化カリウム含有)と硝酸とを加えて加熱し,表面けい酸と表面け
い素とをけいふっ化カリウムとして沈殿させ,これを熱水で溶解し,0.1mol/l水酸化ナトリウム溶液で滴
定して,表面けい酸を減じて表面けい素を定量する。
16.3.2 試薬 試薬は,15.3.2による。ただし塩酸 (1+1) の代わりに硝酸 (1+1),塩化カリウム溶液
(100g/l) の代わりに硝酸カリウム溶液 (100g/l) を用いる。
16.3.3 試料の採取量 試料の採取量は,15.3.3による。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
16.3.4 操作 定量操作は,次の手順によって行う。
a) プラスチック製ビーカー100mlに試料約1gを0.1mgのけたまではかり採り,ふっ化水素酸約5mlと硝
酸 (1+1) 約5mlを加え,80〜90℃の水浴上で約15分間加熱する。
b) 15.3.4 b)〜d)と同様の操作を行う。
c) 表面けい素の含有率は,次の式によって算出する。
4
467
.0
100
2
702
000
.0
)
(
,2
×
−
×
×
×
−
=
S
S
SiO
m
f
b
a
Si
ここに,
SiS: 表面けい素の含有率 (%)
m: 試料採取量 (g)
a: 試料の滴定に用いた0.1mol/l水酸化ナトリウム溶液の使用
量 (ml)
b: 空試験に用いた0.1mol/l水酸化ナトリウム溶液の使用量
(ml)
f: 0.1mol/l水酸化ナトリウム溶液のファクター
SiO2, S: 表面けい酸の含有率 (%)
16.4 ガス容量法による表面けい素の定量
16.4.1 要旨 けい素と熱水酸化ナトリウム溶液との反応によって発生する水素ガスの体積を測定するこ
とによって,表面けい素を定量する(付図4参照)。
16.4.2 操作 定量操作は,次の手順によって行う。
a) 冷却管に少なくとも10分間冷却水を通して,温度を±1℃以内で一定にしておく。
b) 試料約5gを1mgのけたまではかり採り,水酸化ナトリウム溶液(約250g/l)40mlと共に蒸留フラス
コに入れ,直ちに,水準瓶でレベルを合わせてガスビュレットの初期値を0.1mlまで読み取る。
c) 蒸留フラスコを加熱し,90分間沸騰させる。加熱器を取り除いて蒸留フラスコを冷却する。初めの温
度との差を3℃以内とする。
d) 水準瓶でレベルを合わせてガスビュレットの値を読み取る。温度と気圧とを測定する。
e) 表面けい素の含有率は、次の式によって算出する。
100
627
000
.0
×
×
×
=
m
f
V
SiS
ここに,
Sis: 表面けい素の含有率 (%)
V: ガスビュレットから読み取った水素ガスの体積 (ml)
f: 測定時の温度と気圧でのガス体積を0℃,1 013hPaに換算する
係数
m: 試料採取量 (g)
17. 全けい素の定量方法
17.1 要旨 試料を水酸化ナトリウムと硝酸カリウムとで加熱して融解し,塩酸に溶かし,加熱蒸発乾固
して不溶性二酸化けい素とした後,ふっ化水素酸を加えて蒸発揮散させ,その減量から全けい素を定量す
る。
17.2 試薬 試薬は,次のものを用いる。
a) 塩酸
b) 塩酸 (1+1)
c) 硫酸 (1+1)
d) ふっ化水素酸
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R 6124 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
e) 水酸化ナトリウム
f)
硝酸カリウム
17.3 器具及び装置 器具及び装置は,次のものを用いる。
a) ふた付き白金るつぼ 例えば,JIS H 6201に規定する30番(以下,るつぼという。)。
b) ふた付きニッケルるつぼ 30mlのもの。
c) ニッケルビーカー 500mlのもの。
d) 電気炉 1 000℃程度に保つことができるもの。
e) 温度計 d)電気炉の温度を測定できるもの。
f)
磁器蒸発皿 JIS R 1302に規定する丸底形150mmのもの。
17.4 試料の採取量 試料は,約0.5gを採取する。
17.5 操作 定量操作は,次の手順によって行う。
a) 水酸化ナトリウム約10gをニッケルるつぼに入れ,バーナーで静かに加熱して脱水する。
b) これに試料約0.5gを0.1mgのけたまではかり採り,更に硝酸カリウム4gを加えてふたをし,暗赤色
程度に加熱融解する。
c) 冷却後,融成物は,ニッケルるつぼとそのふたと共に水約150mlを入れたニッケルビーカー500mlに
移し加熱して,るつぼの中の融成物を完全に溶解する。
d) ビーカー中のニッケルるつぼとそのふたは,水で十分洗ってから取り除き,ビーカー中の溶液を塩酸
30mlを入れた磁器蒸発皿に徐々に移し入れる。
e) この溶液を水浴上で加熱して,最後にかき混ぜながら蒸発乾固する。これを少量の塩酸で潤し,塩酸
ガスがほとんど発散しなくなるまで乾固する。
f)
塩酸 (1+1) 10mlと熱水100mlを加え,加熱して可溶性塩類を完全に溶解し,直ちにろ紙(5種B)を
用いてろ過する。沈殿は,塩化物イオンの反応が認められなくなるまで温水で洗う。
g) ろ液を磁器蒸発皿に移し,e)と同様にして蒸発乾固し,最後に空気浴中で115±5℃に1時間加熱した
後,f)の操作を行う。
h) f)及びg)の沈殿を,ろ紙と共にるつぼに入れ徐々に乾燥し,十分に脱水した後,低温でろ紙を灰化す
る。
i)
次に約1 000℃の電気炉で1時間強熱し,デシケーター中で十分に放冷した後,その質量をはかる。
j)
これに硫酸 (1+1) 数滴を加えて湿した後,ふっ化水素酸2,3mlを加え,砂浴上で内容物が飛散しな
いように十分に注意して加熱する。
k) 硫酸の白煙が認められなくなったら約1 000℃の電気炉で15分間強熱し,デシケーター中で十分に放
冷した後,その質量をはかる。この操作は,恒量になるまで繰り返す。
l)
全けい素の含有率は,次の式によって算出する。
100
4
467
.0
)
(
1
3
2
×
×
−
=
m
m
m
SiT
ここに, SiT: 全けい素の含有率 (%)
m1: 試料採取量 (g)
m2: i)ではかった量 (g)
m3: k)ではかった量 (g)
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R 6124 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
18. 表面鉄,表面酸化アルミニウム,表面酸化カルシウム及び表面酸化マグネシウムの原子吸光分析方法
表面鉄,表面酸化アルミニウム,表面酸化カルシウム及び表面酸化マグネシウムは,原子吸光分析方法に
よって定量することもできる。
19. 鉄,アルミニウム,カルシウム及びマグネシウムの蛍光X線分析方法
19.1 要旨 指頭に感じない程度に粉砕した試料を適切な方法で加圧成型し,強力な一次X線を照射して
元素を励起し,発生した被検元素の蛍光X線を検出器に導き,その強度を測定して標準試料比較法によっ
て,被検元素の含有率を定量する。
19.2 器具及び装置 器具及び装置は,次のものを用いる。
a) タングステンカーバイド乳鉢
b) 粉末試料加圧成型機
c) 蛍光X線分析装置
19.3 試料の採取量 試料は,約15g(39)を採取する。
19.4 操作 定量操作は,次の手順によって行う。
a) 試料を約15g採取し,タングステンカーバイド乳鉢で指頭に感じない程度まで粉砕する。
b) 粉砕した試料を加圧成型機を用いて,蛍光X線分析装置の試料ホルダーの大きさに成型する(40)。
c) 試料を試料ホルダーを用いて試料室に正しく装着し,X線照射面積は試料マスク及びX線管の絞りに
よって規制する。必要ならばX線通路を真空又はヘリウムで置換した後,あらかじめ設定した条件に
よって試料にX線を照射して,発生する被検元素の蛍光X線強度を測定する。
d) 分析に使用するスペクトル線及び分光結晶は,全鉄ではFeKa1, 2,波長0.193 7nm,分光結晶LiF,アル
ミニウムではAlKa1, 2,波長0.834 0nm,分光結晶EDDTとする。
e) 測定値と被検元素の含有率との関係を標準試料によって求めて検量線を作成し,これを用いて分析試
料の測定値から被検元素を定量する。標準試料と分析試料との成分元素の含有率の差が大きく,それ
による影響が被検元素の定量値に許容し得ない誤差を与える場合は,組成の近似した別の標準試料群
を用いて定量するか,又は適切な方法で結果を補正する。
注(39) 試料採取量は,加圧成型したときの試料成型厚さが5mm程度になるような採取量とする。
(40) 加圧成型圧力は,100MPa程度が好ましい。必要に応じてバインダーを用いてもよい。
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R 6124 : 1998
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付図1(その1) 全炭素及び遊離炭素定量装置(燃焼容量法)の一例
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
付図1(その2) 全炭素定量装置(燃焼容量法)の詳細図の一例
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
付図1(その3) 全炭素定量装置(燃焼容量法)の詳細図の一例
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
付図1(その4) 遊離炭素定量装置(燃焼容量法)の詳細図の一例
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
付図1(その5) 遊離炭素定量装置(燃焼容量法)の詳細図の一例
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付図2(その1) 全炭素及び遊離炭素定量装置
(電量測定法のブロックダイヤグラム)
2
9
R
6
1
2
4
:
1
9
9
8
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
付図2(その2) 電量測定法による全炭素及び遊離炭素定量装置の一例
30
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
付図3(その1) 熱伝導法による全炭素及び遊離炭素定量装置の一例
31
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
付図3(その2) 熱伝導法による全炭素及び遊離炭素定量装置の一例
32
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
付図4 表面けい素分析装置の一例
33
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付図5 蛍光X線分析装置の一例
34
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付表1 全炭素及び遊離炭素定量値補正係数 (f) 表[本表は,塩化ナトリウム溶液 (26%) を用いた場合に使用する。]
補正気圧 (B)
(kPa)
ガスの温度 ℃
補正気圧 (B)
kPa
5
6
7
8
9
10
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103.06
103.19
1.067 1.062 1.058 1.054 1.049 1.045 1.041 1.036 1.032 1.028 1.023 1.019 1.014 1.010 1.006 1.001 0.996 0.992 0.987 0.983 0.978 0.973 0.969 0.964 0.959 0.954 0.949 0.944 0.939 0.934 0.929 0.924 0.918 0.913 0.908 0.902
103.19
35
R 6124 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
備考1. 表中の気圧は,水銀気圧計の読取値に温度及び重力補正を行った値である。
例えば,温度及び重力の補正は,次の式によって行う。
B=B' (1−0.000 163t−0.002 6cos2φ−0.000 000 2H)
ここに,B:補正した気圧の値 (kPa),t:気圧計に付いている温度計の読み (℃),B':気圧計の読み (kPa),φ:気圧計のある場所の緯度 (°),H:海面からの高さ (m)
分析者は,あらかじめB' (0.000 163t+0.002 6cos2φ−0.000 000 2H) の値を各種の気圧・温度について求めて表にしておけば,使用に便利である。ただし,高さの項は,微少であるから省いてもよい。
2. この表使用例 試料のはかり採り量を1gとすれば,1mlCO2=0.050 27%C
例えば,ビュレットの読取値=14.3ml,ガスの温度=29℃,気圧計に付いている温度計の読み (t) =25℃,気圧計の読み (B') =101.72kPaであった場合は,東京では気圧の温度及び重力補正値は−0.53kPaとなるから,補正した気圧の値 (B) =101.72−0.53=101.19 (763
−4=759)
したがって,補正気圧101.19kPa,ガスの温度29℃のときの補正係数は付表から0.940であるから,求める炭素値 (%) は次のようになる。
(%)
676
.0
1
940
.0
27
050
.0
3.
14
=
×
×
36
R 6124 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
付表2 引用規格
JIS H 6201 化学分析用白金るつぼ
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0115 吸光光度分析通則
JIS K 0119 蛍光X線分析方法通則
JIS K 0121 原子吸光分析通則
JIS K 1101 酸素
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8005 容量分析用標準物質
JIS R 1302 化学分析用磁器蒸発ざら
JIS R 1306 化学分析用磁器燃焼ボート
JIS R 1307 化学分析用磁器燃焼管
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
JIS R 6003 研磨材のサンプリング方法
JIS R 6111 人造研削材
JIS Z 2615 金属材料の炭素定量方法通則
JIS Z 8401 数値の丸め方
原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
遠 藤 幸 雄
社団法人日本セラミックス協会
(委員)
桑 原 好 孝
名古屋工業技術研究所
富 田 育 男
通商産業省生活産業局窯業建材課
岡 林 哲 夫
工業技術院標準部繊維化学規格課
加 山 英 男
財団法人日本規格協会
中 岡 義 朗
クレノートン株式会社
村 上 峯 明
株式会社テイケン
堀 禎 之
研削砥石工業会
鈴 木 睦 郎
研磨布紙協会
佐 藤 完 司
昭和電工株式会社
嶋 田 脩 造
大平洋ランダム株式会社
久 保 昌 昭
株式会社フジミインコーポレーテッド
(事務局)
林 均
研削材工業協会
技術委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
佐 藤 完 司
昭和電工株式会社
(副委員長)
勝 男 正 克
大平洋ランダム株式会社
(委員)
関 一 郎
日本カーリット株式会社
本 多 一 紀
信濃電気製錬株式会社
新 井 一 正
日本軽金属株式会社
川 沢 直 通
宇治電化学工業株式会社
杉 田 正 義
屋久島電工株式会社
久 保 昌 昭
株式会社フジミインコーポレーテッド
(事務局)
林 均
研削材工業協会