R 5213
:2009
(1)
目 次
ページ
1
適用範囲
1
2
引用規格
1
3
種類及び構成
1
4
品質
2
5
原材料
2
5.1
クリンカー
2
5.2
ポルトランドセメント
2
5.3
フライアッシュ
2
5.4
せっこう
2
5.5
少量混合成分
2
5.6
粉砕助剤
3
6
試験方法
3
6.1
密度,比表面積,凝結,安定性及び圧縮強さ
3
6.2
化学成分
3
7
検査
3
8
包装
3
9
表示
3
10
報告
3
附属書 A(参考)技術上重要な改正に関する新旧対照表
7
R 5213
:2009
(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,社団法人セメント
協会(JCA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査
会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS R 5213:1997 は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責
任はもたない。
日本工業規格
JIS
R
5213
:2009
フライアッシュセメント
Portland fly-ash cement
1
適用範囲
この規格は,フライアッシュセメントについて規定する。
なお,技術上重要な改正に関する旧規格との対照を
附属書 A に記載する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。
)を適用する。
JIS A 6201
コンクリート用フライアッシュ
JIS M 8850
石灰石分析方法
JIS R 5201
セメントの物理試験方法
JIS R 5202
ポルトランドセメントの化学分析方法
JIS R 5204
セメントの蛍光 X 線分析方法
JIS R 5210
ポルトランドセメント
JIS R 5211
高炉セメント
JIS R 5212
シリカセメント
JIS R 9151
セメント用天然せっこう
JIS Z 1505
クラフト紙袋―セメント用
3
種類及び構成
フライアッシュセメントは,フライアッシュの分量によって,
表 1 の 3 種類とし,ポルトランドセメン
ト(5.2 参照)及びフライアッシュ(5.3 参照)で構成されるものと,クリンカー(5.1 参照)
,せっこう(5.4
参照)
,少量混合成分
1)
(5.5 参照)及びフライアッシュ(5.3 参照)で構成されるものとがある。
なお,前者の構成の場合,ポルトランドセメントに JIS R 5210 の 5.3(少量混合成分)に規定する少量
混合成分としてフライアッシュが含まれているときは,その量を
表 1 のフライアッシュの分量に含める。
後者の構成の場合,少量混合成分(5.5 参照)の量は,クリンカー,せっこう及び少量混合成分の合量に対
し,質量で 5 %以下でなければならない。また,粉砕助剤の使用量はフライアッシュセメントに対し,質
量で 1 %未満とする。
注
1)
ここでいう少量混合成分には,フライアッシュを含めない。
2
R 5213
:2009
表 1−フライアッシュセメントの種類及びフライアッシュの分量
種類
フライアッシュの分量
(質量%)
A
種
5
を超え 10 以下
B
種 10 を超え 20 以下
C
種 20 を超え 30 以下
4
品質
フライアッシュセメントの品質は,箇条 6 によって試験し,
表 2 の規定に適合しなければならない。
なお,安定性は,パット法又はルシャテリエ法のいずれかの規定に適合すればよい。
表 2−フライアッシュセメントの品質
品質
A
種
B
種
C
種
密度
a)
g/cm
3
−
−
−
比表面積 cm
2
/g 2
500
以上
2 500
以上
2 500
以上
始発 min 60 以上
60
以上
60
以上
凝結
終結 h 10 以下
10
以下
10
以下
パット法
良
良
良
安定性
ルシャテリエ法 mm
10
以下
10
以下
10
以下
3 d
12.5
以上
10.0
以上
7.5
以上
7 d
22.5
以上
17.5
以上
15.0
以上
圧縮
強さ
N/mm
2
28 d
42.5
以上
37.5
以上
32.5
以上
酸化マグネシウム 5.0 以下
5.0
以下
5.0
以下
三酸化硫黄 3.0 以下
3.0
以下
3.0
以下
化学
成分
%
強熱減量 5.0 以下
−
−
注
a)
測定値を報告する。
5
原材料
5.1
クリンカー
JIS R 5210
の 5.1(クリンカー)に規定するクリンカーとする。
5.2
ポルトランドセメント
JIS R 5210
に規定するポルトランドセメントとする。
5.3
フライアッシュ
JIS A 6201
に規定するフライアッシュ I 種又はフライアッシュ II 種とする。
5.4
せっこう
JIS R 9151
に規定するセメント用天然せっこう又はこれに準じるものとする。
5.5
少量混合成分
少量混合成分は,次に規定する 3 種類とする。
a) JIS R 5211
の 5.3(高炉スラグ)に規定する高炉スラグ。
b) JIS R 5212
の 5.3(シリカ質混合材)に規定するシリカ質混合材。
c)
炭酸カルシウムの含有率が 90 %以上,かつ,酸化アルミニウムの含有率が 1.0 %以下の品質をもつ石
灰石。石灰石中の酸化アルミニウム含有率は,JIS M 8850 又は JIS R 5204 によって求める。石灰石中
の炭酸カルシウム含有率は,JIS M 8850 又は JIS R 5204 によって酸化カルシウム含有率を求め,式(1)
3
R 5213
:2009
によって炭酸カルシウム含有率に換算する。
08
.
56
09
.
100
3
×
= CaO
CaCO
(1)
ここに,
CaCO
3
:
少量混合成分に用いる石灰石中の炭酸カルシウムの含有
率(
%
)
CaO
:
JIS M 8850
又は JIS R 5204 によって求めた石灰石中の酸化
カルシウム含有率(
%
)
5.6
粉砕助剤
セメントの品質に影響を及ぼさないことを確かめたものとする。
6
試験方法
6.1
密度,比表面積,凝結,安定性及び圧縮強さ
密度,比表面積,凝結,安定性及び圧縮強さの試験は,JIS R 5201 による。
6.2
化学成分
化学成分の試験は,JIS R 5202 による。
7
検査
フライアッシュセメントの検査は,合理的な抜取方式によって試料を採取し,箇条 4 については箇条 6
によって試験を行い,合否を決定する。
8
包装
フライアッシュセメントを包装する場合は,JIS Z 1505 に規定する紙袋を用いる。
9
表示
フライアッシュセメントを包装する場合は,袋の外面に次の事項を表示する。
なお,出荷日は,受渡当事者間の協定によって適切な形式の表示を記入することができる。
a)
名称
b)
種類
c)
正味質量
d)
製造業者名又はその略号
10
報告
生産者は,購入者から要求があった場合には,試験成績表を提出しなければならない。試験成績表の標
準様式は,
表 3〜表 5 による。これらの表は,必要に応じて合併してもよい。
なお,フライアッシュの分量の範囲は備考に示す。
4
R 5213
:2009
表 3−試験成績表の標準様式
セ メ ン ト 試 験 成 績 表
年 月度
生産者名
株式会社
フライアッシュセメント A 種
試験成績
品 質
JIS
規格値
平均値
標準偏差
最大値
(最小値)
密度 g/cm
3
−
−
−
比表面積 cm
2
/g 2
500
以上
−
水量 %
−
−
−
始発 min 60 以上
−
(最小値)
凝 結
終結 h 10 以下
−
最大値
パット法
良
−
−
安定性
ルシャテリエ法 mm 10 以下
−
最大値
3 d
12.5
以上
−
7 d
22.5
以上
−
圧縮強さ
N/mm
2
28 d
42.5
以上
−
酸化マグネシウム 5.0 以下
−
最大値
三酸化硫黄 3.0 以下
−
最大値
化学成分
%
強熱減量 5.0 以下
−
最大値
備考
連絡先
社 名 ・ 担 当
所
在
地
電 話 番 号
5
R 5213
:2009
表 4−試験成績表の標準様式
セ メ ン ト 試 験 成 績 表
年 月度
生産者名
株式会社
フライアッシュセメント B 種
試験成績
品 質
JIS
規格値
平均値
標準偏差
最大値
(最小値)
密度 g/cm
3
−
−
−
比表面積 cm
2
/g 2
500
以上
−
水量 %
−
−
−
始発 min 60 以上
−
(最小値)
凝 結
終結 h 10 以下
−
最大値
パット法
良
−
−
安定性
ルシャテリエ法 mm 10 以下
−
最大値
3 d
10.0
以上
−
7 d
17.5
以上
−
圧縮強さ
N/mm
2
28 d
37.5
以上
−
酸化マグネシウム 5.0 以下
−
最大値
化学成分
%
三酸化硫黄 3.0 以下
−
最大値
備考
連絡先
社 名 ・ 担 当
所
在
地
電 話 番 号
6
R 5213
:2009
表 5−試験成績表の標準様式
セ メ ン ト 試 験 成 績 表
年 月度
生産者名
株式会社
フライアッシュセメント C 種
試験成績
品 質
JIS
規格値
平均値
標準偏差
最大値
(最小値)
密度 g/cm
3
−
−
−
比表面積 cm
2
/g 2
500
以上
−
水量 %
−
−
−
始発 min 60 以上
−
(最小値)
凝 結
終結 h 10 以下
−
最大値
パット法
良
−
−
安定性
ルシャテリエ法 mm 10 以下
−
最大値
3 d
7.5
以上
−
7 d
15.0
以上
−
圧縮強さ
N/mm
2
28 d
32.5
以上
−
酸化マグネシウム 5.0 以下
−
最大値
化学成分
%
三酸化硫黄 3.0 以下
−
最大値
備考
連絡先
社 名 ・ 担 当
所
在
地
電 話 番 号
7
R 5213
:2009
附属書 A
(参考)
技術上重要な改正に関する新旧対照表
現行規格(JIS R 5213:2009)
旧規格(JIS R 5213:1997)
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
及び題名
内容
改正理由
3
種類及び
構成
フライアッシュセメントは,フライアッシュ
の分量によって,
表 1 の 3 種類とし,ポルト
ランドセメント(5.2 参照)及びフライアッシ
ュ(5.3 参照)で構成されるものと,クリンカ
ー(5.1 参照)
,せっこう(5.4 参照)
,少量混
合成分(5.5 参照)及びフライアッシュ(5.3
参照)で構成されるものとがある。
2.
種類
フライアッシュセメントの種類は,フライア
ッシュセメント中のフライアッシュの分量に
よって,
表 1 の 3 種類とする。
旧規格の 5.(製造方法)が削除されたため,
旧規格の 2.(種類)を箇条 3(種類及び構
成)に変更して,製造方法で規定されてい
たフライアッシュセメントの構成を,この
箇条に規定した。
4
品質
フライアッシュセメント A 種の強熱減量の規
格値を 5.0 %以下と規定。
3.
品質
フライアッシュセメント A 種の強熱減量の規
格値を 3.0 %以下と規定。
少量混合成分として石灰石を混合した場
合,強熱減量には石灰石の脱炭酸による減
量も含まれるため[箇条 3(種類及び構成)
及び 5.5(少量混合成分)参照]
。
5
原材料
原材料として,クリンカー,ポルトランドセ
メント,フライアッシュ,せっこう,少量混
合成分及び粉砕助剤を規定。
4.
原材料
原材料として,クリンカー,セメント,フラ
イアッシュ及びせっこうを規定。
箇条 3(種類及び構成)が規定され,フラ
イアッシュセメントの構成が明確になっ
たため,構成に規定されている材料を,原
材料として明確に規定した。
5.3
フ ラ イ
アッシュ
JIS A 6201
に規定するフライアッシュ I 種又
はフライアッシュ II 種とする。
4.3
フライ
アッシュ
フライアッシュは JIS A 6201 に規定するフラ
イアッシュを用いる。
JIS A 6201
(最新版として 2008 年版追補)
には I〜IV 種が規定されているが,フライ
アッシュセメントに用いるフライアッシ
ュは,品質の点から I 種又は II 種に限定し
た。
7
R
5213
:
2009
8
R 5213
:2009
現行規格(JIS R 5213:2009)
旧規格(JIS R 5213:1997)
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
及び題名
内容
改正理由
5.5
少 量 混
合成分
原材料として明確に 3 種類規定した。
−
−
5.5
少 量 混
合成分
a)
JIS R 5211
の 5.3(高炉スラグ)に規定する高
炉スラグ。
−
−
5.5
少 量 混
合成分
b)
JIS R 5212
の 5.3(シリカ質混合材)に規定す
るシリカ質混合材。
−
−
5.5
少 量 混
合成分
c)
炭酸カルシウムの含有率が 90 %以上,かつ,
酸化アルミニウムの含有率が 1.0 %以下の品
質をもつ石灰石。
石灰石中の酸化アルミニウムの含有率及び炭
酸カルシウムの含有率の求め方を規定。
−
−
箇条 3(種類及び構成)が規定され,フラ
イアッシュセメントの構成に少量混合成
分が規定されたため,原材料として明確に
規定した。a)〜c)の規定内容は,同時に改
正された JIS R 5210(ポルトランドセメン
ト)と同じである。
6
試験方法
6.1
密度,比表面積,凝結,安定性及び圧縮
強さの試験は,JIS R 5201 による。
6.2
化学成分の試験は,JIS R 5202 による。
6.
試験
フライアッシュセメントの試験は,JIS R
5201
及び JIS R 5202 による。
試験項目ごとに適用する規格を明確化し
た。
−
− 5.
製 造 方
法
フライアッシュセメントは,クリンカーとフ
ライアッシュに適量のせっこうを加え,混合
粉砕してつくるか,又はセメントとフライア
ッシュを均一に十分に混合してつくる。なお,
粉砕するときに粉砕助剤を用いる場合は,セ
メントの品質に悪影響を及ぼさないことを確
かめなければならない。その使用量はセメン
トの 1 %以下とする。
製造方法の多様化を阻害しない観点から
削除することとし,現行規格の箇条 3(種
類及び構成)の構成及び箇条 5(原材料)
において必要となる規定値を規定した。
10
報告
…。なお,フライアッシュの分量の範囲は備
考に示す。
10.
報告
−
フライアッシュの分量の範囲をユーザに
情報提供するために,試験成績表に記載す
ることとした。
8
R
5213
:
2009