R 3703 : 1998
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日
本工業規格である。これによってJIS R 3703-1980は改正され,この規格に置き換えられる。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
R 3703 : 1998
顕微鏡用スライドガラス
Slide glasses for microscope
序文 この規格は,1986年に第1版として発行されたISO 8037-1, Optics and optical instruments−
Microscopes−Slides−Part 1 : Dimensions optical properties and marking及びISO/DIS 8037-2, Optics and optical
instruments−Microscopes−Slides−Part 2 : Quality of material standards of finish mode of packagingを元に作成
した日本工業規格であるが,従来,日本工業規格で規定していた性能項目の一部,形状寸法と許容差につ
いては,規定内容を追加している以外は,技術内容を変更することなく作成している。
1. 適用範囲 この規格は,顕微鏡用スライドガラス(以下,スライドガラスという。)のうち,可視光領
域で使用されるスライドガラスについて規定する。
備考 ここでいう可視光とは,400nm以上760nm以下の波長の光をいう。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。
JIS B 0610 表面うねりの定義と表示
JIS B 0651 触針式表面粗さ測定器
ISO 11455 : 1995 Raw optical glass−Determination of birefringence
3. 形式 形式による区分は,次のとおりとする。
a) 標準形
b) 大形
c) 偏光形
4. 寸法,許容差及び屈折率
4.1
長さ及び幅 長さ及び幅は,表1のとおりとする。
表1 長さ及び幅
単位 mm
形式
長さ
許容差
幅
許容差
用途(参考)
標準形
76.0
0
−1
又は
±0.5(1)
26.0
0
−1
又は
±0.5(1)
主として生
物顕微鏡用
大形
76.0
39.0
52.0
偏光形
48.0
28.0
主として偏
光顕微鏡用
45.0
26.0
注(1) この許容差は,平成11年3月末日まで用いてもよい。
2
R 3703 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
4.2
厚さ 厚さは,形式にかかわらず
1.02.0
1.1
+−
mmとする。
4.3
屈折率 屈折率 (ne) は,以下のとおりとする。
ne=1.53±0.02
5. 品質 品質は,6.及び7.によって試験を行い以下の規定に適合しなければならない。
5.1
外観
5.1.1
色 色は,無色透明であること。ただし,切断面から見てわずかな青みはよしとする。
5.1.2
表面 表面は,清浄でくもりのないものとする。
5.1.3
欠点 泡,ピット,脈理,石,筋,砂目,すり傷,割れは,実用上有害なものがないものとする。
ただし,割れを除き長辺側の縁から3mm,短辺側の縁から6mmの範囲には適用しない。
5.1.4
切断面仕上げ ISO 8037-2による,ただし当面は,切断面は,すべてすり仕上げとし,四隅につい
て面取りを施すものとしてもよい。
5.2
平面度 平面度は,表2のとおりとする。
表2 平面度
単位 mm
形式
平面度
標準形
0.05以下
大形
偏光形 0.025以下
5.3
平行度 表面と裏面の平行度は,表3のとおりとする。ただし,フロスト付きの場合は,0.05×フロ
ストのない部分の長さ/スライドガラスの長さとする。
表3 平行度
単位 mm
形式
平行度
標準形
0.05以下
大形
偏光形
0.03以下
5.4
ひずみ 偏光形は,偏光2成分の光路差が5nm以下とする。
5.5
くっつき スライドガラスは,互いにくっつきがないものとする。
5.6
ぬれ性 スライドガラスは,十分なぬれ性を有しているものとする。
5.7
耐久性 6.9の耐久性試験にて表面の劣化のないものとする。
5.8
フロスト フロスト付きのスライドガラスにおいては,片端をフロストする場合は,端面から19±
3mm,又は15±3mm(2)の範囲とする。また,両端にフロストする場合は,各々端面から9±2mm(3)の範囲
とする。
注(2) 平成11年3月末日まで用いてもよい。
(3) 平成11年3月末日までは,任意の範囲でもよい。
5.9
包装 1包装中のスライドガラスの数は,ラベルに表示された数と同じとする。1包装中での厚さの
ばらつきは,スライドガラスのほぼ中央を測定し±0.1mm以内とする。
6. 試験方法
3
R 3703 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
6.1
寸法 スライドガラスの寸法は,長さ及び幅についてはノギスを用いて測定する。また,厚さは,
最小読取値が0.01mmのマイクロメータを用いて行う。
6.2
屈折率 屈折率の測定は,アッベの屈折計を用い水銀ランプのe線 (546.1nm) について測定する。
6.3
外観 外観は,1 500lxの照明下で,つや消し黒とつや消し白に2分された背景の黒白の境界部で,
裸眼で正面から約30cmの距離で観察する。
6.4
平面度 平面度は,JIS B 0610のろ波最大うねり (WCM) の方法によって,JIS B 0651に規定する表
面粗さ測定器を用いて測定する。
6.5
平行度 平行度は,最小読取値が0.001mmの測厚器を用いて,図1に示す4点についてそれぞれ厚
さを測定する。厚さの最大値と最小値の差をもって平行度とする。また,フロスト付きの場合は,図2に
示す4点について測定する。
図1
図2
6.6
ひずみ ひずみの測定は,セナルモン補償器を用いた偏光器を使用する。セナルモン補償器の偏光
板と1/4波長板の間にスライドガラスを挟み,ガラス内部の残留応力に起因する複屈折によって生じた互
いに直角な方向に振動する偏光2成分の光路差を,ガラスの厚さ1cm当たりについて測定する。詳細は,
ISO 11455による。
6.7
くっつき 開こん(梱)したばかりのスライドガラス束を,湿気や異物の影響を受けないようにゴ
ムや樹脂製の手袋をし,スライドガラス束に圧力を加えないように縁を持ち,スライドガラス束が1枚ず
つ分離することを確認する。
6.8
ぬれ性 スライドガラスを,試験する表面や縁にふれないように(ステンレスのピンセットを使用
することが好ましい),フロスト部及び保持部をぬらさないようにできるだけ素早くビーカーの蒸留水に漬
ける。引き上げた後,ぬれていない短辺側を上にし5秒間保持し,ぬれの状態を観察する。各端面から2mm
までを除き一様にぬれていなければならない。
6.9
耐久性 25枚のスライドガラスを,ほうけい酸ガラス製のビーカーを用い,蒸留水100mlに対し
0.2mlの割合で0.5%のフェノールフタレイン溶液を含む溶液に1時間浸せきし,溶液にピンク色の着色が
認められないこと。又は,スライドガラスを縁から観察しピンクの着色が認められないものとする。浸せ
き中は,空気中の二酸化炭素が溶液に溶け込まないよう注意する。また,使用する器具は,十分に洗浄し
たものとする。
6.10 フロスト フロスト部は,2Bの硬さの鉛筆で,高さ約5mmの数字 ”1” “2” “3” を書き込み,黒い背
景上に置いたとき,通常の室内光のもとで数字が明りょう(瞭)に読み取れるものとする。また,このス
ライドガラスを室温の水に10分間浸し,スライドガラスが十分ぬれているうちに黒の背景に置き,浸せき
前と同様に数字が明りょうに読み取れるものとする。
7. 検査 検査は,寸法及び品質について合理的な抜取方法によって行い,合否を決定する。
8. 製品の呼び方 製品の呼び方は,形式及び長さ×幅による。
4
R 3703 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
例 標準形 76×26mm
9. 表示 スライドガラスには,1包装ごとに,容易に消えない方法で次の事項を表示する。
a) 形式及び寸法
b) 厚さ
c) フロストの有無
d) 偏光用である場合は,偏光用であること
e) 包装数量
f)
包装年月
g) 製造業者名又はその略号及び原産国名
h) JIS適合品であること
10. 包装 防湿及び防じん(塵)のため樹脂フィルムに包み,ボール紙又はプラスティック製の箱にこん
包することが望ましい。
JIS R 3703顕微鏡用スライドガラス原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
三 宅 和 夫
筑波大学
矢 部 周 作
厚生省薬務局
本 間 正 雄
文部省教育局
永 山 純 弘
通商産業省産業政策局
青 柳 聖 治
日本写真機光学機器検査協会
岡 林 哲 夫
工業技術院標準部
池 川 澄 夫
工業技術院標準部
加 山 英 男
財団法人日本規格協会
辻 内 順 平
東京工業大学
太 田 次 郎
お茶の水女子大学
山 口 和 己
杏林大学
中 村 恭 一
東京医科歯科大学
嶋 昭 絋
東京大学
飯 山 敏 道
東京大学
瀬 谷 正 樹
ユニオン光学工業株式会社
遠 藤 到
オリンパス光学工業株式会社
阪 本 忍
株式会社ニコン
寺 尾 昌 男
東洋光学工業株式会社
黒 岩 秀 一
協和光学工業株式会社
和 田 計 二
サクラ精機株式会社
加 藤 幸 彦
カートン光学株式会社
小 林 享
株式会社トプコン
岡 崎 重 雄
株式会社清和光学
原 嶋 啓 好
和泉光学工業株式会社
余 吾 正 雄
松浪硝子工業株式会社
(事務局)
松 原 正 樹
日本顕微鏡工業会