R 3256 : 1998
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日
本工業規格である。
この規格は,液晶ディスプレイ,プラズマディスプレイなどの先端技術を利用した製品の性能に大きな
影響を及ぼすことが予想される基板ガラス表面の性能を評価する技術に関連をもっている。
したがって,この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は
出願公開後の実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。通商産業大臣及び日本工
業標準調査会は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公
開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
R 3256 : 1998
基板ガラス表面の電気抵抗率の
測定方法
Measuring methods of surface resistivity for glass substrates
序文 液晶ディスプレイ,プラズマディスプレイなどの基板に基板ガラスが広く用いられるようになって
おり,基板ガラス表面の電気抵抗率は,ディスプレイ素子などの性能に大きな影響を及ぼすので,この規
格を制定してその測定方法の標準化を行い,ディスプレイ素子などの性能の向上を図ることとした。
1. 適用範囲 この規格は,基板ガラス表面の電気抵抗率の測定方法について規定する。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の一部を構成する。こ
の引用規格は,その最新版を適用する。
JIS B 7507 ノギス
JIS C 2141 電気絶縁用セラミック材料試験方法
3. 常温における測定方法
3.1
測定の原理 図1に示したような,電極−試験片系X,直流電源E,直流電圧計V及び電流計Aで
構成される測定回路を用いて試験片表面に電圧を印加し,この印加電圧を試験片表面に流れる電流で除し
て得られた表面抵抗の値から,3.5に定められた計算式によって表面抵抗率を算出する。
図1 表面抵抗測定方法
参考 図1に示した機器類を一つにまとめた表面抵抗の簡易測定装置として,高絶縁抵抗計が市販さ
れている。
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3.2
測定条件及び印加電圧 試験片を温度20±2℃,相対湿度 (50±5) %の空調室内に16時間以上放置
した後,測定を行う。
試験片への印加電圧は1 000V以下とし,500Vを標準電圧とする。
電圧印加時間は,1分間を標準とし,基板ガラスの材質によって変化させる。
3.3
試験片の調製方法 試験片の調製方法は,次による。
a) 形状及び寸法 試験片は,一辺が50mm以上の長方形又は直径50mm以上の円板とする。
b) 試験片の表面状態 試験片は,鏡面研磨又はそれに準ずる表面状態のものを使用する。
c) 洗浄及び乾燥 試験片の洗浄は,まず中性洗剤を用いてこすり洗いをした後水道水によるすすぎを行
い,更に超純水,アセトン,エタノールなどの溶剤中で超音波洗浄を行う。
乾燥は,オーブンを用いて行っても自然乾燥によってもよい。
d) 試験片への電極形成方法 試験片への電極形成は,導電材料を蒸着,スパッタリングなどの方法を用
いて行う。導電材料としては金や白金などがあるが,この測定方法の場合は,金を用いることが望ま
しい。
また,この測定方法では,高絶縁抵抗を測定するので,電極−試験片系の迷走電流を除くためにガ
ード電極を形成することが必要である。
e) 電極の寸法 図2に示したような同心円状に配置された電極を用いる。この場合,測定装置の感度を
考慮して主電極の寸法を約26〜36mmの範囲で変化させ,ギャップの大きさを調節することができる。
図2 試験片への電極付与方法の一例
3.4
測定の手順
a) 図2に示した方法によって試験片に電極を形成し,主電極の直径D1及び対電極の内径D2をJIS B 7507
に規定するノギス又はこれと同等以上の精度をもつ測定装置を用いて0.05mmの精度で測定する。
b) 試験片を約120℃で2時間以上乾燥した後,デシケーター内で冷却する。
c) 3.2に定めた測定条件と印加電圧で,図1の表面抵抗測定方法によって表面抵抗を測定する。また,測
定装置は,シールドされた超高抵抗測定箱中に保持することが望ましい。
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3.5
計算と測定回数 基板ガラス表面の電気抵抗率は,次の式によって計算する。
S
m
S
R
g
Dπ
ρ
=
Ω)
(
ここに,
ρs: 表面抵抗率 (Ω)
Rs: 表面抵抗 (Ω)
Dm: 平均直径
2
2
1D
D+
(mm)
D1: 主電極の直径 (mm)
D2: 対電極の内径 (mm)
g: ギャップ
2
1
2
D
D−
(mm)
測定は,2回行いその平均値をもって表面抵抗率測定値とする。
4. 高温における測定方法
4.1
測定の原理 高温における測定ができるようJIS C 2141に規定する図12(加熱用電気炉及び接続回
路例)及び図14(表面抵抗測定回路)に従って測定回路を加熱用電気炉内に構成させる。これ以外につい
ては3.1による。
4.2
装置及び器具
a) 加熱用電気炉 加熱用電気炉は,試験片全体を均一に加熱することが可能で,誘導を避ける構造とし,
外周の金属部分には接地用端子を付け,測定用炉内電極及び温度検出端子を設置できるようになって
いなければならない。
4.3
測定条件及び印加電圧 電気炉の昇温は,ステップ昇温によって行うこととし,測定温度は,400℃
以下の3〜4点,例えば,約120℃,200℃及び300℃とする。
印加電圧については,3.2に規定した条件を用いる。
4.4
試験片の調製方法 試験片の調製は,3.3による。
4.5
測定の手順
a) 3.4a)によって試験片に電極を形成する。
b) 電気炉内に試験片をセットし,測定温度に昇温後試験片の温度が安定したら4.3に定めた測定条件及
び印加電圧で測定を行う。
測定終了後,次の測定温度に昇温し,同様の測定を繰り返す。
4.6
計算,測定回数及び表示 計算及び測定回数は,3.5による。
さらに,縦軸に表面抵抗率 (ρs) の対数値を,横軸に絶対温度による測定温度の逆数をとってプロットし
て直線で結び,120℃,200℃及び300℃における表面抵抗率を読み取り,表示する。この際,外挿値は括
弧付きとする。
5. 報告 常温及び高温における測定結果の報告は,次による。
a) 常温における測定結果
1) 基板ガラスの製造業者及び種別
2) 試験片の形状,大きさ及び厚さ
3) 試験片の洗浄方法及び乾燥方法
4) 電極の形,材質及び寸法
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
5) 測定条件(温度と相対湿度)
6) 印加電圧及び電圧印加時間
7) 表面抵抗の測定値
8) 表面抵抗率の計算値
b) 高温における測定結果 a)の項目以外に,次の項目についても報告する。
1) 測定温度範囲
2) logρs−1/Tのプロット
3) 120℃,200℃及び300℃の表面抵抗率計算値
関連規格 JIS C 1303 高絶縁抵抗計
JIS K 6911 熱硬化性プラスチック一般試験方法
JEC-6148 電気絶縁材料の絶縁抵抗試験方法通則
ASTM D257-93 Standard Test Methods for D-C Resistance or Conductance of Insulating Materials
原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
小 松 高 行
長岡技術科学大学
福 水 健 文
通商産業省生活産業局
大 嶋 清 治
工業技術院標準部
山 下 勝
工業技術院大阪工業技術研究所
山 村 修 蔵
財団法人日本規格協会
中 尾 泰 昌
旭硝子株式会社中央研究所
菊 月 康 二
岡本硝子株式会社マルチコート部
赤 塚 實
オプトレックス株式会社生産・技術本部開発部
峰 松 健 一
コーニングジャパン株式会社静岡テクニカルセンター
上 村 宏
セントラル硝子株式会社硝子技術開発部
西 井 俊 文
株式会社ダイアインスツルメンツ東日本営業一部
竹 村 和 夫
日本板硝子株式会社研究所技術企画部
佐々木 侯 勝
HOYA株式会社エレクトロオプティクスディビジョン昭
島工場
(事務局)
森 川 武
社団法人ニューガラスフォーラム