R 2016-2:2009
(1)
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目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 1
4 一般事項························································································································· 1
5 試料······························································································································· 2
5.1 試料採取及び調製 ·········································································································· 2
5.2 試料のはかり方 ············································································································· 2
6 定量値のまとめ方 ············································································································· 2
6.1 分析回数 ······················································································································ 2
6.2 空試験 ························································································································· 2
6.3 定量値の表示 ················································································································ 2
6.4 定量値の検討・採択 ······································································································· 2
7 硫黄の定量方法 ················································································································ 3
7.1 定量方法の区分 ············································································································· 3
7.2 熱分解(電気抵抗加熱)−赤外線吸収法············································································· 3
7.3 熱分解(高周波誘導加熱)−赤外線吸収法 ·········································································· 5
8 試験報告························································································································· 7
附属書A(規定)硫黄分析装置校正用標準物質 ·········································································· 8
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(2)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,耐火物技術協会(TARJ)及び財団法人日本規格
協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の
審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責
任はもたない。
JIS R 2016の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS R 2016-1 第1部:重量法及び滴定法
JIS R 2016-2 第2部:機器分析法
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日本工業規格 JIS
R 2016-2:2009
耐火物製品及び耐火物原料中の硫黄の定量方法−
第2部:機器分析法
Methods for determination of sulfur in refractory products and
raw materials-Part 2: Instrumental analysis
1
適用範囲
この規格は,耐火物製品及び耐火物原料中の5 %(質量分率)以下の硫黄の定量方法について規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 1101 酸素
JIS K 8228 過塩素酸マグネシウム(試薬)
JIS K 8251 ガラスウール(試薬)
JIS M 8100 粉塊混合物−サンプリング方法通則
JIS Q 0034 標準物質生産者の能力に関する一般要求事項
JIS Q 0035 標準物質−認証のための一般的及び統計的な原則
JIS R 1306 化学分析用磁器燃焼ボート
JIS R 1307 化学分析用磁器燃焼管
JIS R 2001 耐火物用語
JIS R 2016-1 耐火物製品及び耐火物原料中の硫黄の定量方法−第1部:重量法及び滴定法
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
JIS Z 8401 数値の丸め方
JIS Z 8801-1 試験用ふるい−第1部:金属製網ふるい
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS R 2001及びJIS R 2016-1による。
4
一般事項
分析方法に共通な一般事項は,JIS K 0050の規定による。
2
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5
試料
5.1
試料採取及び調製
試料採取及び調製は,次による。
a) 耐火れんがは,ロットから受渡当事者間の協定に基づく数量の試料をランダムに採取する。採取した
試料は,全量を粉砕してJIS Z 8801-1に規定する目開き6.7 mmの網ふるいを通過させ,二分器を用い
るか,又は四分法によって約100 gになるまで縮分する。次に,この縮分した全量がJIS Z 8801-1に
規定する目開き300 μmの網ふるいを通過するまで粉砕する。
b) 不定形耐火物の場合は,その性状によって乾状と湿状とに区分し,次によって試料約100 gを調製す
る。
1) 乾状不定形耐火物の場合は,ロットからランダムに一袋又は約50 kgを採取し,二分器を用いるか,
又は四分法によって約100 gになるまで縮分する。次に,この縮分した全量がJIS Z 8801-1に規定
する目開き300 μmの網ふるいを通過するまで粉砕する。
2) 湿状不定形耐火物の場合は,ロット内のランダムな10か所から各々約50 gを採取し,250 ℃での
加熱減量を測定後,試料の全量を粉砕してJIS Z 8801-1に規定する目開き6.7 mmの網ふるいを通過
させ,二分器を用いるか,又は四分法によって約100 gになるまで縮分する。次に,この縮分した
全量がJIS Z 8801-1に規定する目開き300 μmの網ふるいを通過するまで粉砕する。
c) 耐火物原料の場合は,JIS M 8100によるか,又は受渡当事者間の協定に基づいて試料を採取し,a) に
よって試料を粉砕する。
d) a),b) 又はc) によって調製した試料を,四分法によって縮分して約10 gとする。これをJIS Z 8801-1
に規定する目開き106 μmの網ふるいを通過する程度まで微粉砕し,JIS R 3503に規定する平形はかり
瓶50 mm×30 mmに薄く広げ,110±5 ℃の空気浴中で2時間以上加熱した後,デシケーター中で放
冷し,保存する。これを,分析用試料とする。
5.2
試料のはかり方
分析試料は,電子天びんを用いて0.01 mgのけたまではかる。
6
定量値のまとめ方
6.1
分析回数
分析は,同一分析所において連続して2回繰り返す。
6.2
空試験
分析に当たっては,空試験を行い,測定値を補正する。
6.3
定量値の表示
定量値は,乾燥ベースの質量百分率で表し,JIS Z 8401によって小数点以下2けたに丸める。
6.4
定量値の検討・採択
定量値の検討・採択は,次による。
a) 連続して2回実施して得られた2個の定量値の差が,表1の許容差を超えないときは,その平均を報
告値とする。
b) 連続して2回実施して得られた2個の定量値の差が,表1の許容差を超えるときは,更に連続して2
回の定量を繰り返し,その差が表1の許容差を超えないときは,その平均を報告値とする。これも許
容差を超えるときは,4個の定量値のメディアンを報告値とする。
3
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表1−定量値の許容差
単位 %(質量分率)
硫黄含有率の範囲
定量値の差
0.01以上 0.10未満
0.01
0.10以上 0.50未満
0.03
0.50以上 2.00未満
0.05
2.00以上 5.00未満
0.10
7
硫黄の定量方法
7.1
定量方法の区分
硫黄の定量方法は,次のいずれかによる。
a) 熱分解(電気抵抗加熱)−赤外線吸収法
b) 熱分解(高周波誘導加熱)−赤外線吸収法
7.2
熱分解(電気抵抗加熱)−赤外線吸収法
7.2.1
要旨
試料を熱分解助剤とともに電気抵抗加熱炉内の酸素気流中で加熱して熱分解させ,生成した二酸化硫黄
を,酸素とともに赤外線分析計に送り,赤外線吸収量の変化を測定する。
7.2.2
試薬,材料及び器具
試薬,材料及び器具は,次による。
7.2.2.1
酸素 JIS K 1101に規定するもの。
7.2.2.2
熱分解助剤 粉末状の鉄[平均粒径が106 μm以下で,硫黄含有率が0.002 %(質量分率)以下の
ものを用いる。],すず[平均粒径が106 μm以下で,硫黄含有率が0.002 %(質量分率)以下のものを用い
る。]又は三酸化タングステン (Ⅵ) [平均粒径が106 μm以下で,硫黄含有率が0.002 %(質量分率)以下
のものを用いる。]。
7.2.2.3
燃焼ボート 通常,JIS R 1306に規定する化学分析用磁器燃焼ボート(例えば,13.5 mm×10 mm
×80 mm)を用いる。あらかじめ,1 050 ℃以上で空焼きしておく。
注記 6種Aの通称で販売されている。
7.2.2.4
燃焼ボートカバー 通常,JIS R 1306に規定する化学分析用磁器燃焼ボートカバー(例えば,16
mm×9 mm×60 mm)を用いる。あらかじめ,1 050 ℃以上で空焼きしておく。
7.2.2.5
磁器燃焼管 JIS R 1307に規定する磁器燃焼管(例えば,2種25 mm×20 mm×600 mm)を用い
る。
7.2.2.6
検量用試料 硫黄含有率既知の試料を用いる。附属書Aに硫黄分析装置校正用標準物質を示す。
7.2.3
装置
装置は,硫黄定量装置を用いる。装置は,次のa)〜d)に示す酸素精製部,試料熱分解部,熱分解ガス精
製部,硫黄定量部などで構成する。装置の概念図の一例を,図1に示す。
4
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
a:酸素ボンベ
b:電気炉付き酸化管
c:二酸化硫黄吸収管
d:脱水管
e:管状電気炉及び磁器燃焼管
f:集じん管
g:圧力調節器
h:二酸化硫黄用赤外線分析計
i:流量計
i
図1−硫黄定量装置の概念図[熱分解(電気抵抗加熱)−赤外線吸収法]
a) 酸素精製部 電気炉付き酸化管[酸化銅(Ⅱ)又は白金系触媒],二酸化硫黄吸収管(ガス分析用水酸化
ナトリウム粒),脱水管[JIS K 8228に規定する過塩素酸マグネシウム(乾燥用)]などで構成する。
注記 酸素精製部を用いない装置もある。
b) 試料熱分解部 管状電気炉,磁器燃焼管(7.2.2.5)などで構成する。
管状電気炉は,磁器燃焼管の中央部150 mm以上を1 450 ℃に保つことができるものとする。
c) 熱分解ガス精製部 集じん管(JIS K 8251に規定するガラスウール),電気炉付き酸化管[酸化銅(Ⅱ)],
脱水管[JIS K 8228に規定する過塩素酸マグネシウム(乾燥用)]などで構成する。
d) 硫黄定量部 二酸化硫黄用赤外線分析計,その他で構成する。
二酸化硫黄用赤外線分析計は,二酸化硫黄による試料セルと参照セルとの間の赤外線吸収量の差を
検出器によって電気信号として取り出し,直線化回路及び積分回路によって硫黄量に対応する値に変
換し,積算計に表示する。
注記 参照セルなしで二酸化硫黄による赤外線吸収量の変化を検出し,演算処理機構によって硫黄
量に変換して表示する装置もある。
7.2.4
試料のはかりとり量
試料のはかりとり量は,試料中の硫黄含有率に応じて表2による。ただし,試料のはかりとり量は,装
置の性能などによって変更してもよい。
表2−試料のはかりとり量
硫黄含有率
%(質量分率)
試料のはかりとり量
g
0.01以上 0.10未満
0.2
0.10以上 3.00未満
0.1
3.00以上 5.00未満
0.05
7.2.5
準備操作
準備操作は,次の手順によって行う。
a) 装置の準備 硫黄定量装置の電源を入れ,磁器燃焼管を1 450±25 ℃に昇温して,硫黄定量部が安定
するのを待つ。酸素(7.2.2.1)を所定の圧力及び流量で流し,気密試験を行う。
なお,気密試験,その他の細かい操作手順は,使用する装置の取扱説明書の指示に従う。
b) 検量係数の算出 検量用試料(7.2.2.6)を硫黄含有量が1〜5 mgの一定量になるようにとり,試料の
h
i
a
b
c
d
e
f
g
5
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
代わりに用いて7.2.6の操作を行う。この操作を3〜5回(検量用試料のはかりとり量は,同量とする。)
繰り返し,得た積算計の値(以下,積算値という。)の平均値を求め,次の式によって検量係数を算出
する。
100
1
0
P
A
A
G
K
×
−
=
ここに,
K: 検量係数(g / 積算値)
G: 検量用試料のはかりとり量 (g)
P: 検量用試料中の硫黄含有率[%(質量分率)]
A0: 検量用試料を用いて得た積算値の平均値
A1: 7.2.7で得た空試験の積算値の平均値
7.2.6
定量操作
定量操作は,次の手順によって行う。
a) 試料を燃焼ボート(7.2.2.3)にはかりとって均一に広げ,その上を熱分解助剤(7.2.2.2)で均一に覆う
か,試料と熱分解助剤とを混合して均一に広げるか,又は試料を熱分解助剤でサンドイッチ状に挟む
ように広げる。熱分解助剤の材質及び使用量は,使用する装置によって最適なものを単独で又は組み
合わせて,その最適量を用いる。また,熱分解助剤の種類に応じて,燃焼ボートに燃焼ボートカバー
(7.2.2.4)をかぶせる。
注記 熱分解助剤の材質及び使用量は,装置の製造業者が推奨する条件によるとよい。例えば,粉
末状の鉄1 gとすず2 gとが用いられる。
b) 磁器燃焼管の入口の栓を開き,試料及び熱分解助剤が入った燃焼ボートを磁器燃焼管の中央部まで挿
入し,直ちに密栓をして酸素(7.2.2.1)を流す。所定時間後に積算値を読み取る。
7.2.7
空試験
試料を用いないで,7.2.6の操作を3〜5回繰り返し,得た積算値の平均値を求める。
なお,7.2.5,7.2.6及び7.2.7は,一連の操作として連続して実施する。
7.2.8
計算
試料中の硫黄含有率を,次の式によって算出する。
(
)
100
1
2
×
×
−
=
m
K
A
A
S
ここに,
S: 試料中の硫黄含有率[%(質量分率)]
A2: 7.2.6 b)で得た試料の積算値の平均値
A1: 7.2.7で得た空試験の積算値の平均値
K: 7.2.5 b)で得た検量係数(g / 積算値)
m: 7.2.6 a)の試料はかりとり量 (g)
注記 市販の装置は,空試験値,検量係数などを自動的に記憶し,試料のはかりとり量を登録してお
くと,積算値から硫黄含有率を直接表示する。
7.3
熱分解(高周波誘導加熱)−赤外線吸収法
7.3.1
要旨
試料を熱分解助剤とともに高周波誘導加熱炉内の酸素気流中で加熱して熱分解させ,生成した二酸化硫
黄を,酸素とともに赤外線分析計に送り,赤外線吸収量の変化を測定する。
7.3.2
試薬,材料及び器具
試薬,材料及び器具は,次による。
7.3.2.1
酸素 7.2.2.1による。
6
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7.3.2.2
熱分解助剤 鉄,すず,タングステン(空試験値の低いものを用いる。)などを一定の比率に混
ぜ合わせる。
7.3.2.3
燃焼るつぼ及び受台 磁器製の高周波燃焼るつぼ及び高周波燃焼るつぼ受台を用いる。燃焼るつ
ぼは,あらかじめ,1 050 ℃以上で30分間以上空焼きしておく。
7.3.2.4
燃焼るつぼカバー あらかじめ,1 050 ℃以上で30分間以上空焼きしておく。
7.3.2.5
検量用試料 7.2.2.6による。
7.3.3
装置
装置は,硫黄定量装置を用いる。装置は,次のa)〜d)に示す酸素精製部,試料熱分解部,熱分解ガス精
製部,硫黄定量部などで構成する。装置の概念図の一例を,図2に示す。
a:酸素ボンベ
b:電気炉付き酸化管
c:二酸化硫黄吸収管
d:脱水管
e:高周波誘導加熱炉及び高周波発振機
f:集じん管
g:圧力調節器
h:二酸化硫黄用赤外線分析計
i:流量計
i
図2−硫黄定量装置の概念図[熱分解(高周波誘導加熱)−赤外線吸収法]
a) 酸素精製部 7.2.3 a)による。
b) 試料熱分解部 高周波誘導加熱炉,高周波発振機などで構成する。高周波誘導加熱炉は,高周波誘導
コイル,石英ガラス燃焼管などで構成する。
c) 熱分解ガス精製部 7.2.3 c)による。
d) 硫黄定量部 7.2.3 d)による。
7.3.4
試料のはかりとり量
試料のはかりとり量は,7.2.4による。
7.3.5
準備操作
準備操作は,次の手順によって行う。
a) 装置の準備 硫黄定量装置の電源を入れ,磁器燃焼管を1 450±25 ℃に昇温して,硫黄定量部が安定
するのを待つ。酸素(7.3.2.1)を所定の圧力及び流量で流し,気密試験を行う。
なお,気密試験,その他の細かい操作手順は,使用する装置の取扱説明書の指示に従う。
b) 検量係数の算出 検量用試料(7.3.2.5)を硫黄含有量が1〜5 mgの一定量になるようにとり,試料の
代わりに用いて7.3.6の操作を行う。この操作を3〜5回(検量用試料のはかりとり量は,同量とする。)
繰り返し,得た積算値の平均値を求め,次の式によって検量係数を算出する。
h
i
a
b
c
d
e
f
g
7
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
100
1
0
P
A
A
G
K
×
−
=
ここに,
K: 検量係数(g / 積算値)
G: 検量用試料のはかりとり量 (g)
P: 検量用試料中の硫黄含有率[%(質量分率)]
A0: 検量用試料を用いて得た積算値の平均値
A1: 7.3.7で得た空試験の積算値の平均値
7.3.6
定量操作
定量操作は,次の手順によって行う。
a) 試料を燃焼るつぼ(7.3.2.3)にはかりとり,その上に熱分解助剤(7.3.2.2)を加える。燃焼るつぼを受
台(7.3.2.3)の上に置き,高周波誘導コイルの中央に設置し,酸素(7.3.2.1)を所定の圧力及び流量で
流す。
b) 高周波誘導加熱炉を所定の時間作動させて硫黄を二酸化硫黄とし,酸素とともに赤外線分析計に送り,
積算値を読み取る。熱分解助剤の材質及び使用量は,使用する装置によって最適なものを単独で又は
組み合わせて,その最適量を用いる。また,熱分解助剤の種類に応じて,燃焼るつぼに燃焼るつぼカ
バー(7.3.2.4)をかぶせる。
注記 熱分解助剤の材質及び使用量は,装置の製造業者が推奨する条件によるとよい。例えば,粉
末状の鉄1 gとタングステン3 gとが用いられる。
7.3.7
空試験
試料を用いないで,7.3.6の操作を3〜5回繰り返し,得た積算値の平均値を求める。
なお,7.3.5,7.3.6及び7.3.7は,一連の操作として連続して実施する。
7.3.8
計算
試料中の硫黄含有率を,次の式によって算出する。
(
)
100
1
2
×
×
−
=
m
K
A
A
S
ここに,
S: 試料中の硫黄含有率[%(質量分率)]
A2: 7.3.6 b)で得た試料の積算値の平均値
A1: 7.3.7で得た空試験の積算値の平均値
K: 7.3.5 b)で得た検量係数(g / 積算値)
m: 7.3.6 a)の試料はかりとり量 (g)
注記 7.2.8の注記に同じ。
8
試験報告
試験報告には,次の事項を記録する。
a) 分析所名
b) 試験年月日
c) 規格番号(JIS R 2016-2)及び定量方法
d) 試料名及び試料に関する情報(入手先など)
e) 定量成分名及び定量値(報告値)
f)
その他特記事項
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附属書A
(規定)
硫黄分析装置校正用標準物質
A.1 適用範囲
この附属書は,耐火物製品及び耐火物原料中の硫黄定量用硫黄分析装置の校正用標準物質について規定
する。
A.2 硫黄分析装置校正用標準物質の満たすべき条件
JIS Q 0034に準じて調製されたもので,次のa)〜f)のすべての条件を満たすものとする。
a) 耐火物及びその原料中の硫黄定量用硫黄分析装置の校正用に調製されたもので,硫黄含有率に標準値
が与えられたものとする。
b) 標準値は,JIS R 2016-1及びこれに準じる化学分析方法によって正確に決定されたものを,JIS Q 0035
に準じて統計処理され,認証されたものとする。
c) 一定量(例えば,50 kg/試料)を1ロットとして5時間以上かけて粉砕及び/又は混合して粒径106 μm
以下に調製した偏析のない粉末状試料とする。
d) 温度,湿度,直射日光及び振動の影響を受けない場所に標準物質名を明示して,乾燥状態下で保存す
る。
e) 管理者を定め,定期的に保存状況を確認し,安定して供給できるものとする。
f)
表示は,A.3の要件を表示する。
A.3 表示
標準物質は,密栓付きガラス容器に入れ,次の事項を表示しなければならない。ただし,b)〜h)につい
ては,取扱説明書に明記することができる。
a) 名称及び種類
b) 成分及び標準値
c) 標準共同実験に参加した分析所
d) 標準値の確定に用いた分析方法
e) 分析機関名
f)
作製日
g) 取扱い上の注意事項
h) 調製・頒布機関名
A.4 標準物質の例
次の表A.1に示す標準物質系列の全部又はその一部を用いることができる。
9
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表A.1−硫黄分析用標準物質系列第1種の記号及び標準値a)
単位 %(質量分率)
記号
JRRM
化学成分
硫黄
1101
0.106
1102
0.293
1103
1.02
1104
1.48
1105
2.89
1106
4.93
注a) 110±5 ℃で2時間乾燥後の試料における硫黄含有率を示す。