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R 1801 : 2002 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日

本工業規格である。 

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1. 適用範囲 ························································································································ 1 

2. 引用規格 ························································································································ 1 

3. 定義 ······························································································································ 1 

4. 分光放射率の測定 ············································································································ 1 

4.1 試料 ···························································································································· 1 

4.2 測定装置 ······················································································································ 2 

4.2.1 概要 ·························································································································· 2 

4.2.2 測定装置を構成する要素 ······························································································· 2 

4.3 測定方法 ······················································································································ 2 

4.3.1 測定の準備 ················································································································· 2 

4.3.2 測定の手順と方法 ········································································································ 3 

4.3.3 分光放射率の算出法 ····································································································· 4 

4.4 分光放射率の表示法 ······································································································· 4 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

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日本工業規格          JIS 

R 1801 : 2002 

遠赤外ヒータに放射部材として 

用いられるセラミックスの 

FTIRによる分光放射率測定方法 

Method of measuring spectral emissivity of ceramic radiating materials  

for infrared heaters by using FTIR 

序文 遠赤外加熱装置・器具,遠赤外ヒータなどを製造又は利用している高温域分野の遠赤外線関連分野

においては,遠赤外放射材料の最も重要な評価手段として分光放射率測定がよく利用されている。分光放

射率測定としていくつか知られている方法のうち,測定装置の簡便性,費用などの面から関連業界又は公

立及び民間の測定機関において,最も普及しているのはFTIR(フーリエ変換赤外分光光度計)である。し

かし,この装置の使用に関しては測定法の標準化がなされておらず,測定者又は測定機関ごとに独自に定

めた測定方法に従って実施されており,相互に結果が一致しないことも多く,結果の信頼度の保証がなさ

れていない状況であった。したがって,これらの不都合を軽減し,相互理解を促進することを目的として

この規格を制定するものである。 

1. 適用範囲 この規格は,遠赤外ヒータに放射部材として用いられるセラミックスの表面の分光放射率

を,FTIR(フーリエ変換赤外分光光度計)を用いて,波長2.5μm程度から25μm程度までの範囲で測定す

る方法を規定する。ここで対象とするセラミックスは,平板形状をもち,波長2.5μmから25μmまでの範

囲において不透明であり,その波長範囲において放射率が0.2以上であるようなものとする。また,測定

時のセラミックスの表面温度は100℃以上を想定している。 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS C 1612 放射温度計の性能表示方法通則 

JIS Z 8117 遠赤外線用語 

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS Z 8117による。 

4. 分光放射率の測定 

4.1 

試料 測定されるセラミックス(試料)は,平板形状をもち,波長2.5μmから25μmまでの範囲に

おいて不透明であり,その波長範囲において放射率が0.2以上であるようなものとする。試料は,測定装

置の試料位置における測定光束の広がりの3倍以上の面積をもつものとする。分光放射率を測定する側を

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表面とし,裏面は試料加熱装置になるべく密着させて,試料加熱装置が試料表面の温度を安定的に制御で

きるようにするため,試料裏面を十分に平滑とする。 

4.2 

測定装置 

4.2.1 

概要 測定装置の基本構成は,赤外放射スペクトルを測定するFTIR,試料を裏面から加熱して試

料表面温度を制御する試料加熱装置,分光放射率を算出する際に参照スペクトルとして用いる黒体放射を

放射する黒体炉からなる。構成例を付図1及び付図2に示す。このほか,試料表面の温度と黒体炉の温度

を測定するための温度計を必要とする。また,測定装置を設置する環境や測定装置自体からの放射を測定

するための背景放射測定用ミラーが必要である。 

4.2.2 

測定装置を構成する要素 

a) FTIR 分光放射率測定には図1に示すような構成のFTIRを用いる。黒体炉又は試料加熱装置に設置

された試料表面から放射される赤外放射,又は背景放射測定用ミラーからの赤外放射は,導入光学系

を通って干渉計に導かれ,その後,検出器に入射して電気信号に変換される。検出器はTGS検出器な

どの熱型検出器とする。電気信号はAD変換器を経由してコンピュータに入力される。コンピュータ

は干渉計の制御,フーリエ変換,及び分光放射率の算出,データ処理等に用いられる。 

図1 測定装置の構成 

b) 試料加熱装置 測定する試料を加熱する装置は,熱容量の大きいブロックの中に電熱線ヒータを埋め

込んだものを用いる。熱媒体をブロックの中に循環して加熱する方法を用いてもよい。ブロックの表

面には放射率が低い材料を用いる。試料加熱装置の試料保持位置における温度の不確かさは±1℃とす

る。 

c) 黒体炉 黒体炉はJIS C 1612に規定される標準黒体炉を用いる。黒体炉の開口は,測定装置の試料位

置における測定光束の広がりの3倍以上の面積をもつものとする。 

d) 温度計 試料表面温度の測定は,正しく校正された熱電対又は測温抵抗体を用いて行う。黒体炉の温

度測定については,JIS C 1612に規定された基準温度計を用いる。 

参考 表面温度測定方法に関しては,TR R 0001(熱電対を用いた遠赤外線ヒータの表面温度測定方

法)が公表されている。 

e) 背景放射測定用ミラー 金蒸着膜又は金スパッタ膜をコートしたミラーを用いる。ミラーは,測定装

置の試料位置における測定光束の広がりの3倍以上の面積をもつものとする。 

4.3 

測定方法 

4.3.1 

測定の準備 

a) 測定装置を設置する環境 測定装置は20〜26℃の環境に置き,測定中の環境温度の変動は±1.5℃に制

御する。環境の湿度に関する規定は設けないが,相対湿度60%以下であることが望ましい。また,空

調等による気流が試料位置を通過しないようにする。 

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b) FTIRの光学系の雰囲気置換 FTIRの光学系(導入光学系,干渉計,検出器)は水蒸気やCO2による

吸収の影響を避けるため,露点−60℃以下の乾燥空気又はそれに匹敵する乾燥窒素ガスで置換する。

真空にした光学系を用いてもよい。黒体炉の温度を一定にして,黒体炉の赤外放射スペクトルを10

分の時間間隔で二度測定し,両者の比をとって求めた100%ラインに水蒸気やCO2による吸収の影響

が少ないことを確認する。 

c) FTIRの光学系の調整 試料と黒体炉が光学的に等価な位置に置かれていることを確認する。 

d) FTIRのパラメータの設定 分解能は16cm−1より高い値に設定する。サンプリングは100回以上とす

ることが望ましい。光束径,スムージング法は規定しない。 

e) FTIRの校正 横軸(波数)の校正はポリスチレン膜の赤外吸収スペクトル測定によって行う。透過

法によって得られたデータが,放射率測定に用いる分解能の範囲内で,日本薬局方 [B] 一般試験法

28赤外吸収スペクトル測定法に記載のポリスチレン膜の吸収位置と一致することを確認する。縦軸

(放射強度)の校正は以下に示すいずれかの方法を推奨する。 

1) 黒体炉の温度を一定にする。黒体炉からの赤外放射スペクトルを測定し,参照スペクトルとする。

再度,黒体炉からの赤外放射スペクトルを測定し,参照スペクトルとの比を取って100%ラインを

確認する。次に,導入光学系に透過率50%のニュートラルフィルタを挿入して,黒体炉からの赤外

放射スペクトルを測定し,参照スペクトルとの比を取って,50%ラインを確認する。次に,導入光

学系の光路を遮断して,黒体炉からの赤外放射スペクトルを測定し,参照スペクトルとの比を取っ

て0%ラインを確認する。これを月に一回程度実施するのが望ましい。 

2) 分光放射率が既知の標準物質(試料)を測定し,標準物質(試料)に添付するデータと同じ分光放

射率が得られることを確認する。これを測定ごとに実施することが望ましい。 

f) 

測定装置の安定性の確認 黒体炉からの赤外放射スペクトルを10分の時間間隔で二度測定し,両者の

比をとって求めた100%ラインが100±1%になることを確認する。 

g) 試料加熱装置への試料の取付け 試料の裏面と試料加熱装置の試料保持部の表面とが十分に接触する

ように試料を取り付ける。 

h) 試料表面温度の安定性の確認 試料からの赤外放射スペクトルを10分の時間間隔で二度測定し,両者

の比をとって求めた100%ラインが100±1%になることを確認する。 

4.3.2 

測定の手順と方法 

a) 背景放射測定用ミラーを測定装置の試料位置に設置する。試料位置での測定光束がミラーの中央にあ

り,ミラーの外にはみ出していないことを確認する。干渉計側からミラーに入射した放射がミラー表

面で反射して再び干渉計に戻らないように,ミラーの法線方向をミラーから干渉計への光軸に対して

ずらす。 

b) 背景放射のスペクトルを測定する。 

c) 黒体炉を,黒体炉の開口が測定装置の試料位置にくるように設置する。試料位置での測定光束が黒体

炉の開口の中央部にあり,開口の外にはみ出していないことを確認する。 

d) 黒体炉の温度を所定の値に調整する。 

e) 黒体炉からの赤外放射スペクトルを10分の時間間隔で二度測定し,両者の比を取って求めた100%ラ

インが100±1%になることを確認した上で,どちらかを参照スペクトルデータとする。 

f) 

試料を取り付けた試料加熱装置を,試料表面が測定装置の試料位置にくるように設置する。試料位置

での測定光束が試料の中央部にあり,試料の外にはみ出していないことを確認する。このとき,干渉

計測から試料に入射した放射が試料表面で反射して再び干渉計に戻らないよう,試料の法線方向を試

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料から干渉計への光軸に対してずらす。 

g) 試料表面の温度を先に測定した黒体炉の温度と同じ値に調整する。 

h) 試料からの赤外放射スペクトルを10分の時間間隔で二度測定し,両者の比をとって求めた100%ライ

ンが100±1%になることを確認した上で,どちらかを試料のスペクトルデータとする。 

i) 

次の項に示す算出法に従って,分光放射率を求める。 

4.3.3 

分光放射率の算出法 

)

(

)

(

)

(

)

(

)

(

a

m

b

a

m

s

s

T

V

T

V

T

V

T

V

T

λ

λ

λ

λ

λ

ε

ここに, 

εs (λ,T) : 温度Tにおける試料の分光放射率 

Vs (λ,T) : 温度Tにおける試料の赤外放射スペクトル測定値 

Vb (λ,T) : 温度Tにおける黒体炉の赤外放射スペクトル測定値 

Vm (λ,Ta) : 測定環境の室温Taにおける背景放射測定用ミラーの

放射スペクトル測定値 

λ: 波長 

4.4 

分光放射率の表示法 

a) 横軸 横軸はμm表示を用いることが望ましい。試料表面温度によって以下のように表示範囲を区分

する。 

試料表面温度100℃以上300℃未満 

4.5〜25μm (2 200〜400cm−1)  

試料表面温度300℃以上500℃未満 

3.3〜25μm (3 000〜400cm−1)  

試料表面温度500℃以上 

2.5〜25μm (4 000〜400cm−1)  

b) 縦軸 縦軸は小数表示が望ましい。やむなく%表示する場合は,%記号を明示する。 

c) その他 測定条件として,検出器,光束径,分解能,データポイント,積算回数,スムージング法を

測定データに記載する。 

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付図1 測定装置の構成例(1) 

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付図2 測定装置の構成例(2) 

関連規格 JIS A 1423 赤外線放射温度計による放射率の簡易測定方法 

JIS K 0117 赤外分光分析方法通則 

JIS Z 8710 温度測定方法通則 

日本薬局方  [B] 一般試験法28 赤外吸収スペクトル測定法 

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原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

清 水   賢 

東京農工大学名誉教授 

(委員) 

木 村 嘉 孝 

TKエンジニアリング株式会社 

中 野 幸 夫 

財団法人電力中央研究所狛江研究所 

長 沢 佳 克 

株式会社東レリサーチセンター 

加 藤 久 和 

日本アビオニクス株式会社 

石 井 順太郎 

工業技術院計量研究所 

中 島 利 誠 

昭和女子大学,お茶の水女子大学名誉教授 

佐 藤 倭 敏 

財団法人日本化学繊維検査協会 

平 松 憲 二 

株式会社クラレ 

高 田 紘 一 

高田技術事務所 

村 石 修 一 

日本電子ライオソニック株式会社 

平 瀬 隆 治 

通商産業省製品評価技術センター 

八 田   勲 

工業技術院標準部 

綱 脇 清 和 

西川産業株式会社 

(事務局) 

益 戸 保 男 

社団法人遠赤外線協会 

室   邦 彦 

社団法人遠赤外線協会 

丹 田 幸 孝 

社団法人遠赤外線協会 

日本工業標準調査会標準部会 窯業技術専門委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員会長) 

松 尾 陽太郎 

東京工業大学 

(委員) 

植 松 敬 三 

長岡技術科学大学 

井 田 全 彦 

板硝子協会 

小 田 喜 一 

独立行政法人産業技術総合研究所 

黒 木 俊 之 

東邦テナックス株式会社 

阪 井 博 明 

日本ガイシ株式会社 

佐 々   正 

石川島播磨重工業株式会社 

長   恵 祥 

株式会社大林組 

松 尾   晃 

品川白煉瓦株式会社 

松 田 邦 男 

川崎製鉄株式会社 

山 川 正 行 

株式会社マグ