R 1751-5:2013
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 1
4 試験装置························································································································· 2
5 試験片···························································································································· 2
6 試験方法························································································································· 3
6.1 一般事項 ······················································································································ 3
6.2 試験片の前処理 ············································································································· 3
6.3 メチルメルカプタン除去試験 ··························································································· 4
7 試験結果の計算 ················································································································ 4
8 除去量が小さい試験片の場合の試験方法 ··············································································· 5
9 報告書···························································································································· 5
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まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本ファインセラミックス協会
(JFCA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の
審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS R 1751の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS R 1751-1 第1部:窒素酸化物の除去性能
JIS R 1751-2 第2部:アセトアルデヒドの除去性能
JIS R 1751-3 第3部:トルエンの除去性能
JIS R 1751-4 第4部:ホルムアルデヒドの除去性能
JIS R 1751-5 第5部:メチルメルカプタンの除去性能
JIS R 1751-6 第6部:小形チャンバーを用いたホルムアルデヒドの除去性能
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日本工業規格 JIS
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ファインセラミックス−
可視光応答形光触媒材料の空気浄化性能試験方法−
第5部:メチルメルカプタンの除去性能
Fine ceramics (advanced ceramics, advanced technical ceramics)-
Test method for air purification performance of photocatalytic materials under
indoor lighting environment-Part 5: Removal of methylmercaptan
1
適用範囲
この規格は,可視光応答形光触媒を建築材料,その他の材料の表面に担持させた光触媒材料の空気浄化
性能のうち,室内環境など可視光が照射されている条件での,気体のメチルメルカプタン(CH3SH)の除
去性能を試験する方法について規定する。
なお,紫外線照射下におけるメチルメルカプタンの除去性能を試験する場合は,JIS R 1701-5を適用す
る。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0055 ガス分析装置校正方法通則
JIS K 0114 ガスクロマトグラフィー通則
JIS R 1600 ファインセラミックス関連用語
JIS R 1701-5 ファインセラミックス−光触媒材料の空気浄化性能試験方法−第5部:メチルメルカプ
タンの除去性能
JIS R 1751-1 ファインセラミックス−可視光応答形光触媒材料の空気浄化性能試験方法−第1部:窒
素酸化物の除去性能
JIS Z 8401 数値の丸め方
JIS Z 8806 湿度−測定方法
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS R 1600及びJIS R 1751-1によるほか,次による。
3.1
供給濃度
試験を行うために光照射容器に導入する試験用ガスの濃度。
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試験装置
4.1
装置の構成 試験装置は,JIS R 1751-1の4.1(装置の構成)による。低濃度のメチルメルカプタン
を含む空気を扱うことから,吸着などによる損失が最小となるように配慮したものでなければならない。
4.2
試験用ガス供給装置 試験用ガス供給装置は,JIS R 1751-1の4.2(試験用ガス供給装置)による。
高圧容器入りのメチルメルカプタン標準ガスを用いて,所定の濃度・温度・湿度の試験用ガスを調製し,
光照射容器に連続的に供給する。流量制御器,加湿器,ガス混合器などからなる。
4.3
光照射容器 光照射容器は,メチルメルカプタンの吸着が少ない材料で製作し,構造,形状などは
JIS R 1751-1の4.3(光照射容器)による。
4.4
光源 光源は,JIS R 1751-1の4.4(光源)による。
4.5
紫外線カットフィルタ 紫外線カットフィルタは,JIS R 1751-1の4.5(紫外線カットフィルタ)に
よる。屋内照明環境条件は,JIS R 1751-1の4.5(紫外線カットフィルタ)の条件A〜条件Cによる。
4.6
汚染物質濃度測定装置 メチルメルカプタン濃度の測定には,JIS K 0114に規定するガスクロマト
グラフ測定装置を用いる。装置の校正はJIS K 0055の規定に従い,測定濃度範囲に対応した濃度のゼロガ
ス及び標準ガスを用いて行う。カラムは,メチルメルカプタンが分離できるものであれば,充塡カラム又
はキャピラリーカラムのいずれのタイプでもよい。メチルメルカプタンの検出には,水素炎イオン化検出
器(FID),又は炎光光度検出器(FPD)を用いる。
サンプリングループを用いてガスクロマトグラフに試験用ガスを注入する場合,図1のように6方バル
ブを配し,試験用ガスを採取できるようにする。サンプリングループの容量は,濃度測定装置の性能に応
じて決める。ガスは比較的小さい流量の吸引ポンプを図1の7の位置に取り付け,採取する。分析時には
ポンプを止める。サンプリングループを用いない場合は,再現性よくガスが採取できるガスタイトシリン
ジなどを用意する。
1 試験用ガス入口
2 光照射容器
3 排出
4 キャリヤーガス
5 6方バルブ
6 サンプリングループ
7 吸引ポンプ
8 ガスクロマトグラフ
9 検出器
図1−ガスのサンプリング方法(例)
5
試験片
試験片は,平板状又はフィルタ状の光触媒材料で,幅49.0±1.0 mm,長さ99.0±1.0 mmとする。光照射
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容器内で補助板などとの間に隙間ができる場合は,試験片を上流側に寄せるとともに,必要に応じてスペ
ーサーなどを用いて調整する。平板状の場合には,光触媒面以外によるガス吸着を抑制するために,試験
片の厚さは5 mm以下とする。しかし,これを超えた厚さの材料でも,同じ試験条件が保たれるなら試験
できる。光照射容器の深さが十分にあれば,厚さが5 mm以上の試験片を用いることも可能であるが,厚
い試験片の場合には,側面による吸着が予想されるので,あらかじめ側面をシールしておく。フィルタ状
の場合には,厚さを20 mm以内にする。
6
試験方法
6.1
一般事項
メチルメルカプタン除去試験は6.2及び6.3に示す手順で実施し,光照射時の除去量を測定する。この過
程におけるメチルメルカプタン濃度の測定例を,図2に示す。また,メチルメルカプタン除去量が非常に
小さく,正確な測定が困難な場合は,箇条8によって試験条件を変更することができる。
図2−試験操作におけるメチルメルカプタン濃度の測定例
6.2
試験片の前処理
試験片に付着している有機物を完全に除去するため,次の手順で試験片の前処理を実施する。この操作
の直後に試験を開始しない場合には,密閉容器に入れて暗所に保管する。
a) 水洗 試験片を精製水に2時間以上浸せき(漬)した後,取り出して室温で風乾する。
なお,120 ℃を上限として,物理的・化学的な変化を生じさせない範囲で試験片を加熱乾燥しても
よいが,恒量になることを確認する。洗液に沈殿物などがあればその状況,乾燥の方法などを記録す
る。
b) 有機物の除去 紫外線ランプを用いて12時間以上24時間未満の光照射を行う。光触媒面での紫外線
照度は10〜20 W/m2の範囲とする。光照射はゼロガス中,又は清浄な密閉容器内で行う。親油性の汚
れが予想される場合には,b),a)の順で実施してもよい。また,水洗によって試験片の諸性状に悪影
響が出る場合は,a)を省略してもよい。
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6.3
メチルメルカプタン除去試験
メチルメルカプタン除去試験は,次の手順で実施し,暗条件での吸着量及び光照射下での除去量を調べ
る。
a) メチルメルカプタン濃度5.0±0.25体積分率ppm,水蒸気濃度1.56±0.16体積分率%,温度25.0±2.5 ℃
の試験用ガスが安定して発生できるように試験用ガス供給装置をあらかじめ調整しておく。光照射容
器入口で流量が0.500±0.025 L/min(0 ℃,101.3 kPaの標準状態において)となるように流量制御器
を設定する。このときの水蒸気濃度は25 ℃における相対湿度50±5 %に相当する。湿度の測定はJIS
Z 8806によって行う。また,試験片上表面における光源からの照度を測定し,記録する。
b) 光照射容器内のガス流路部分の中央に試験片を設置し,窓板までの空間の厚さを5.0±0.5 mmに調整
するとともに,試験片と前後のガス流路との段差が1 mm以内となるよう,必要に応じて補助板を置
く。その後,窓板を取り付け,密閉されていることを確認する。
c) 光源と光照射容器との間に紫外線カットフィルタを設置する。紫外線カットフィルタを通過しない光
が試験片に照射されないように位置を決める。
d) 光照射容器内に試験用ガスを導入する。光照射を行わない吸着過程を30分間継続し,暗条件でのメチ
ルメルカプタン濃度の変化を記録する。ただし,出口におけるメチルメルカプタン濃度が30分間以内
に供給濃度に一致したことを確認できる場合には,その時点で光照射を開始してもよい。30分間後も
メチルメルカプタン濃度が供給濃度の50 %を下回る場合には,メチルメルカプタン濃度の測定値が3
点連続して50 %を超えて安定となるまで継続する。90分経過してもメチルメルカプタン濃度が供給
濃度の50 %を超えない場合には,この試験方法を適用することができないため,ガスの供給を停止し
て試験を中止する。
e) 光源を点灯し(安定な点灯に時間を要する光源については,可視光が試験片に当たらないようにする
ための遮蔽物を設置した上であらかじめ点灯しておき,安定した後,遮蔽物を取り除く。),光照射下
での試験容器出口におけるメチルメルカプタン濃度を3時間記録する。メチルメルカプタンの光触媒
分解が起こると,図2のように濃度が低下して,やがて一定になる。計算に用いるメチルメルカプタ
ン濃度は,最後の1時間中に測定した濃度(3点以上)の平均値とする。
f)
光照射を停止し,再び暗条件で試験容器出口のメチルメルカプタン濃度を30分間記録し,測定濃度(3
点以上)の平均値を算出する。
g) 容器への試験用ガスの供給を停止し,試験片を容器から取り出す。
7
試験結果の計算
試験容器出口におけるメチルメルカプタン濃度Mが式(1)を満たさない場合は試験不成立とし,次の計算
は行わない。光触媒によるメチルメルカプタン除去率Rを式(2)によって計算する。計算値の処理は,JIS Z
8401によって小数点以下1桁に丸める。Rが5.0 %未満,又は95.0 %以上の場合は,それぞれ“5.0 %未満”,
又は,“95.0 %以上”とし,これを除去率とする。次に,1時間当たりのメチルメルカプタン除去量Qを式
(3)を用いて計算する。計算値の処理は,JIS Z 8401によって小数点以下2桁に丸める。計算に使用するメ
チルメルカプタン濃度は,水分補正を行わない実測値とする。また,試験用ガス流量fとしては0 ℃,101.3
kPa換算の実測値を用いる。除去率Rが5.0 %未満,又は95.0 %以上の場合はRに5.0,又は95.0を代入し,
得られた値に“未満”又は“以上”を付け,これを除去量とする。
なお,除去率Rが5.0 %未満の試験片については,箇条8によって試験条件を変更することができる。
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M
R
Q
················································· (3)
ここに,
R: 試験片によるメチルメルカプタンの除去率(%)
Q: 試験片による1時間当たりのメチルメルカプタン
の除去量(μmol/h)
[M]: 試験容器出口におけるメチルメルカプタン濃度
(体積分率ppm)
[M]d1: 暗条件のメチルメルカプタン濃度(体積分率ppm)
[M]d2: 光照射後の暗条件のメチルメルカプタン濃度
(体積分率ppm)
f: 標準状態(0 ℃,101.3 kPa)に換算した試験用ガ
ス流量(L/min)
8
除去量が小さい試験片の場合の試験方法
平板状の試験片の測定において,メチルメルカプタン除去率Rが5.0 %未満で除去量を正確に測定でき
ないことが予想される場合は,試験片の枚数を表1のとおり変更して測定することができる。この場合,
試験片の前にガス流路部分を100 mm以上確保する。
なお,試験条件を変更した場合,報告書に記載するメチルメルカプタン除去量は,式(3)から求められる
値の1/2とする。また,試験条件を変更した場合,変更した試験条件における暗条件の時間を確認する必
要がある。
表1−試験条件の変更
変更できる試験条件
変更後の値
試験片の枚数
2枚
9
報告書
試験報告書には,通常,次の内容を記載する。
a) 一般事項
− この規格の番号
− 試験年月日
b) 試験機関
− 試験機関の名称及び所在地
− 試験責任者名
− 気温・湿度
c) 試験片に関する情報
− 試験片の種類,製造番号,バッチ番号など
− 材質,形状及び寸法
− 試験片の選択プロセス(抜取り方法など)
− 試験機関到着日,包装から取り出した日時及び試験片を準備した日時
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d) 結果
− 試験片による1時間当たりのメチルメルカプタンの除去量
− 参考値として,メチルメルカプタン除去率
e) 試験条件
− メチルメルカプタンの供給濃度,試験ガス流量及び水蒸気濃度
− 箇条8適用の有無(試験片枚数の変更)
− 光照射条件(光源の種類,選択した屋内照明環境条件,紫外線カットフィルタの種類及び照度)
− 前処理条件(水洗及び乾燥の条件,紫外線照度・照射時間)
f)
試験装置
− 試験装置の形式及び仕様
− ガスクロマトグラフ,照度計,紫外線照度計などの種類
g) その他
− 試験状況及び試験後の試験片に関しての特記事項