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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 1
4 光源······························································································································· 2
4.1 一般 ···························································································································· 2
4.2 蛍光ランプ ··················································································································· 2
4.3 その他のランプ ············································································································· 3
4.4 シャープカットフィルタ ································································································· 3
5 光源の照度及び紫外放射照度の測定 ····················································································· 4
6 性能試験のための屋内照明環境条件及びシャープカットフィルタの選択方法 ······························· 4
7 測定及び使用条件 ············································································································· 4
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本ファインセラミックス協会
(JFCA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の
審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格 JIS
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ファインセラミックス−
屋内照明環境で用いる光触媒試験用光源
Fine ceramics-Light source for testing semiconducting photocatalytic
materials used under indoor lighting environment
序文
光触媒は,光照射下で防汚,防曇,抗菌,空気浄化,汚染物質の分解・除去などの機能を示し,近年そ
の応用が拡大している。この光触媒機能を応用した製品が多数上市されているが,光触媒の効果を適切に
評価し,判定する試験方法が必要である。このため,この規格は,屋内照明環境条件下において,光触媒
加工した製品の性能を,客観的に評価する目的で制定した。
1
適用範囲
この規格は,屋内照明環境で使用される光触媒材料の性能を実験室で試験するときに使用する光源,照
度及び紫外放射照度の測定方法について規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 1609-1 照度計 第一部:一般計量器
JIS C 7601 蛍光ランプ(一般照明用)
JIS R 1709 ファインセラミックス−紫外線励起形光触媒試験用光源
JIS Z 8113 照明用語
JIS Z 8120 光学用語
JIS Z 9112 蛍光ランプの光源色及び演色性による区分
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS C 1609-1,JIS C 7601,JIS R 1709,JIS Z 8113,JIS Z 8120
及びJIS Z 9112によるほか,次による。
3.1
光触媒(photocatalyst)
光照射下で,酸化・還元作用によって,空気浄化・脱臭,水質浄化,抗菌,防カビ,抗ウィルス,セル
フクリーニングなどの諸機能を発現する物質。機能性ファインセラミックスの一種。
3.2
紫外放射照度計(UV radiometer)
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400 nm未満の波長の紫外放射量を測定する放射照度計。
3.3
屋内照明環境(indoor lighting environment)
一般照明用光源で照明された屋内空間環境。太陽光は光源に含まない。
3.4
一般照明用光源(light source for general lighting service)
オフィス,店舗,家庭などで,一般的な照明に用いる光源。
4
光源
4.1
一般
屋内照明環境用光触媒の評価では,次の蛍光ランプ又はその他のランプと,シャープカットフィルタと
を組み合わせた光源を使用する。
4.2
蛍光ランプ
屋内照明環境で使用される光触媒材料の評価用光源は,JIS C 7601に規定する一般照明用蛍光ランプの
中で,JIS Z 9112で区分される広帯域発光形蛍光ランプの普通形白色(記号W)とする。ランプの相対分
光分布の一例を表1及び図1に示す。
なお,必要に応じて,JIS Z 9112で区分される3波長域発光形白色(記号EW又はEX-W)を光源とし
て加えてもよい。
表1−広帯域発光形普通形白色蛍光ランプの相対分光放射強度の一例a)
波長域
nm
相対強度
%
波長域
nm
相対強度
%
波長域
nm
相対強度
%
300以上 320未満
320以上 340未満
340以上 360未満
360以上 380未満
380以上 400未満
400以上 420未満
420以上 440未満
440以上 460未満
0.5
0.1
0.1
1.3
1.0
4.3
7.8
5.0
460以上 480未満
480以上 500未満
500以上 520未満
520以上 540未満
540以上 560未満
560以上 580未満
580以上 600未満
600以上 620未満
4.7
4.8
4.5
5.3
11.6
13.0
13.4
9.5
620以上 640未満
640以上 660未満
660以上 680未満
680以上 700未満
700以上 720未満
720以上 740未満
740以上 760未満
760以上 780未満
5.8
3.2
1.7
1.0
0.6
0.4
0.2
0.2
注a) 波長300 nm以上780 nm未満の分光放射強度を100 %としたときの波長分布
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図1−広帯域発光形普通形白色蛍光ランプの分光分布の一例
4.3
その他のランプ
受渡当事者間の協定又は励起用光源が特定されている場合は,広帯域発光形普通形白色蛍光ランプ又は
必要に応じて加える3波長域発光形白色蛍光ランプ以外の光源も使用できる。この場合は,光源の分光放
射分布のデータが必要である。
なお,分光放射分布のデータがない場合は光源の製造業者,光源の種類,品番などの詳細を結果に記載
する。
4.4
シャープカットフィルタ
シャープカットフィルタは,Type A及びType Bの2種類とし,次による。
a) Type A Type Aは次による。
− 波長400 nmより短波長側の透過率が0.1 %以下とする。
− 波長領域450 nmから780 nmにおいて透過率が80 %以上とする。
− 透過率が波長領域450 nmから780 nmの透過率の平均値の半値になる波長が417 nm±5 nmの範囲
とする。
b) Type B Type Bは次による。
− 波長380 nmより短波長側の透過率が0.1 %以下とする。
− 波長領域420 nmから780 nmにおいて透過率が80 %以上とする。
− 透過率が波長領域420 nmから780 nmの透過率の平均値の半値になる波長が392 nm±5 nmの範囲
とする。
注記 アクリル製シャープカットフィルタの分光透過率の例を図2に示す。
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図2−アクリル製シャープカットフィルタの分光透過率の例
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光源の照度及び紫外放射照度の測定
照度(lx)は,JIS C 1609-1に規定する一般形A級以上の階級の照度計を使用して,1 lxまで測定する。
紫外放射照度(W/m2)は,JIS R 1709に規定する紫外放射照度計を使用して,0.01 W/m2まで測定する。
6
性能試験のための屋内照明環境条件及びシャープカットフィルタの選択方法
3種類の屋内照明環境条件(条件A,条件B及び条件C)を試験条件として設定する。組み合わせるシ
ャープカットフィルタは屋内照明環境条件ごとに次に規定するものを用いる。
a) 条件A 屋内照明器具に,波長400 nmよりも長波長側の光を透過するカバーが取り付けられている場
合である。この条件では,4.4 a)に指定されたシャープカットフィルタを組み合わせる。
b) 条件B 屋内照明器具に,波長380 nmよりも長波長側の光を透過するカバーが取り付けられている場
合である。この条件では,4.4 b)に指定されたシャープカットフィルタを組み合わせる。
c) 条件C カバーが取り付けられていない屋内照明器具が使われている場合である。この条件では,蛍
光ランプから放射される僅かな紫外放射によって励起される光触媒作用を評価する可能性がある。こ
のため,屋内照明環境条件A又は屋内照明環境条件Bで指定したシャープカットフィルタを組み合わ
せた試験も実施しなければならない。選択する屋内照明環境条件は,光触媒の用途ごとに指定する。
7
測定及び使用条件
測定及び使用条件は,次による。
a) 光源から放射される光のスペクトルを変化させないため,光源の周辺には近紫外放射及び可視光の反
射率が十分に低い物体,又は近紫外放射及び可視光の分光反射率がほぼ一定の物体だけを設置できる。
照明器具の反射板も,同様の制約を受ける。
b) 蛍光ランプは,点灯後15分以上経過して出力が安定した状態で使用する。
c) 照度及び放射照度は,試験開始時及び終了後に測定する。照度が初期値の70 %以下になった場合はラ
ンプを交換する。
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d) シャープカットフィルタは,長時間の光照射によって分光透過率が変化する。よって,紫外放射照度
が初期値から変化した場合は,シャープカットフィルタを交換する。さらに,使用するシャープカッ
トフィルタを分光光度計などで測定できる場合は,シャープカットフィルタの透過率を定期的に測定
し,透過率が初期の特性から著しく変化している場合は交換する。
e) アクリル製のシャープカットフィルタを使用する場合は,長時間の光照射によって形状又は色が変化
する場合がある。試験前にシャープカットフィルタの形状及び色を目視で確認し,形状又は色が変化
している場合は交換する。
f)
紫外放射照度計が,波長400 nmよりも長波長の可視光又は赤外放射にも感度をもつ場合には,紫外
放射照度の測定値を補正する。
g) 照度計及び紫外放射照度計は,2年ごとに校正する。