R 1711:2019
(1)
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 1
4 試験装置及び器具 ············································································································· 2
4.1 試験装置 ······················································································································ 2
4.2 試験試料水供給装置及び使用器具······················································································ 3
4.3 試験容器 ······················································································································ 3
4.4 試験試料水槽 ················································································································ 4
4.5 通気器具 ······················································································································ 5
4.6 TOC測定機器 ··············································································································· 5
4.7 光源 ···························································································································· 5
4.8 紫外光照射装置 ············································································································· 5
4.9 紫外放射照度 ················································································································ 5
4.10 pH計 ························································································································· 6
5 試薬······························································································································· 6
6 試験片の準備 ··················································································································· 6
6.1 試験片 ························································································································· 6
6.2 試験片の前処理 ············································································································· 6
7 試験条件,準備及び手順 ···································································································· 6
7.1 試験条件 ······················································································································ 6
7.2 試験準備 ······················································································································ 7
7.3 試験手順 ······················································································································ 7
8 試験結果の表し方 ············································································································· 7
8.1 数値の丸め方 ················································································································ 7
8.2 暗条件 ························································································································· 7
8.3 明条件 ························································································································· 8
8.4 試験片のフェノールの酸化分解性能··················································································· 8
8.5 試験成立条件 ················································································································ 8
9 試験結果の報告 ················································································································ 8
10 試験結果の例 ················································································································· 9
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まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本ファインセラミックス協会
(JFCA)及び国立研究開発法人産業技術総合研究所(AIST)から,工業標準原案を具して日本工業規格
を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格
である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本工業規格 JIS
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ファインセラミックス−
全有機体炭素(TOC)試験による光触媒材料の
フェノール酸化分解性能試験方法
Fine ceramics (Advanced ceramics, advanced technical ceramics)-
Test method for determination of phenol oxidative decomposition
performance of photocatalytic materials by total organic carbon analysis
1
適用範囲
この規格は,全有機体炭素(Total Organic Carbon: TOC)試験による,光触媒機能を利用し水中の汚濁物
質を分解して浄化することを目的とした光触媒材料の,水中におけるフェノールの酸化分解性能試験方法
について規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 7414 ガラス製温度計
JIS K 0551 超純水中の有機体炭素(TOC)試験方法
JIS K 0557 用水・排水の試験に用いる水
JIS K 0805 有機体炭素(TOC)自動計測器
JIS K 8798 フェノール(試薬)
JIS R 1600 ファインセラミックス関連用語
JIS R 1701-1 ファインセラミックス−光触媒材料の空気浄化性能試験方法−第1部:窒素酸化物の除
去性能
JIS R 1708 ファインセラミックス−半導体光触媒材料の溶存酸素消費量による光触媒活性測定方法
JIS R 1709 ファインセラミックス−紫外線励起形光触媒試験用光源
JIS Z 8401 数値の丸め方
JIS Z 8704 温度測定方法−電気的方法
JIS Z 8802 pH測定方法
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS R 1600及びJIS R 1708によるほか,次による。
3.1
試験片
2
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JIS R 1600に規定する光触媒材料を用いた板状,球状,フレーク状,ブロック状などの水質浄化用光触
媒材料。
3.2
精製水
JIS K 0557に規定するA3又はA4の水。
3.3
溶存酸素飽和水
JIS R 1708に規定する溶存酸素飽和水の調製手順によって,試験試料水の水温±1.0 ℃の精製水に溶存
酸素を飽和させた精製水。
3.4
溶存酸素供給空気
大気中の空気をフィルタなどによってほこり,揮発性有機化合物などを除去した空気,又はJIS R 1701-1
に規定する高圧容器入りの合成空気。
3.5
明条件
光源を点灯しながら行う試験条件。
3.6
暗条件
光源を点灯せず,外部の光も入射しない試験条件で,明条件の結果と対比させるための測定条件。
4
試験装置及び器具
4.1
試験装置
試験装置は,光触媒材料の機能発現に必要な光を試験片に入射させながら,試験試料水を連続的に供給・
循環し,試験片による試験試料水中のフェノールの減少をTOC計測することによって,光触媒材料による
フェノールの酸化分解性能を評価するもので,次に示す試験容器,光源,試験試料水槽,液送ポンプ及び
恒温槽で構成する。
この試験は,試験容器を傾斜させることから,試験試料水が漏れないように窓板ガラスを固定する蓋を
設ける。また,試験試料水の気化を制限するために蓋が試験試料水槽に設けてあるが,通気のための排気
口を設けた準閉鎖系となる。
試験装置の構成例を図1に示す。
3
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図1−試験装置構成例
4.2
試験試料水供給装置及び使用器具
試験装置は,図1に示すように,試験試料水槽から試験容器に試料試験水を一定の速度で連続的に循環
するための流量を制御する液送ポンプ及びその配管から構成される。
配管は,フェノールに対する耐薬品性及び耐紫外光特性をもつ材質を用いる。例えば,熱可塑性エラス
トマーなどの材質の配管を用いる。液送ポンプは,一定量の試験試料水を長時間一定速度で試験容器内に
送液・循環できて,フェノールに対する耐薬品性があり,液送ポンプ構造内にフェノールによって浸食さ
れる素材又はフェノールが吸着するような素材が使用されていないものを用いる。例えば,フェノールに
対する耐薬品性及び耐紫外光特性をもつ材質で構成された液送チューブをローラーによって圧迫移動させ
ることによって,試験試料水を液送するペリスタティック式の構造のものを用いる。
4.3
試験容器
試験容器の窓板は,石英ガラスとする。また,試験容器本体及びOリングは,近紫外線の照射に耐え,
フェノールに対する耐薬品性がなくてはならない。Oリングの素材は,ふっ素ゴム製,その他の部品は,
ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)製が望ましい。
試験容器は,図1に示すように傾斜をさせる。したがって,傾斜しても試験片が試験試料水に浸る構造
にする。また,試験片がずり落ちたり,試験試料水の循環によって試験片が流されないようにせき(堰)
を設ける。せきの高さは,窓板ガラスと試験片の表面との隙間が
01
5− mmになるように設ける。試験容器
の構成例を図2に示す。
4
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単位 mm
図2−試験容器構成例
4.4
試験試料水槽
試験容器に供給する試験試料水の状態を安定に保持し,かつ,採水が可能にした試験試料水槽を設ける
(図3参照)。試験試料水槽は,容積が300〜500 mLでフェノールに対して耐薬品性があるほうけい酸ガ
ラス製が望ましい。試験中は,試験試料水槽内の試験試料水をかくはんするため,かくはん子が回転でき
る容量・構造とする。また,試験中に試験試料水の温度を一定範囲内にするために,恒温水が循環できて,
試験試料水槽を固定できる恒温水筒を用意する。
試験試料水槽には気密性を保持するためにOリングをもつ蓋を設ける。Oリングにはふっ素ゴム製のも
のが望ましい。この蓋には,配管用貫通口,通気用貫通口,排気用通気口及び温度計が固定できる貫通口
を設ける。排気用通気口の口径については,試験を実施する環境下において試験片を導入しない試験を暗
条件で実施し,TOC計測によるフェノールの濃度の変動が1.5 %以下であればよい。例えば,直径が3 mm
程度の排気用通気口があればよい。
なお,試験試料水槽,蓋及び恒温水筒は,ここに示した条件を満たした素材及び構成であれば,例示し
た仕様に限定されない。
5
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図3−試験試料水槽及び恒温水筒の構成例
4.5
通気器具
溶存酸素供給空気の通気には,フェノールの吸着がなく,不純物が溶出しない素材の中空の管状の器具
を用いる。例えば,試験ごとに交換できるほうけい酸ガラス製のディスポーザブルピペット(内容量3±1
mL)及び噴射部の寸法が直径10±1 mm,高さ18±1 mmの円筒状ガス噴射管が挙げられる。
通気流量は,試験実施の水温において,溶存酸素濃度を維持できる流量であればよい。通気流量は400
〜600 mL/minの範囲で制御できるものがよい。
なお,溶存酸素供給空気の供給のためのポンプは,有機物などの汚染を防ぐために機械油が用いられて
いないダイヤフラム式のポンプなどを用いることが望ましい。
4.6
TOC測定機器
JIS K 0551に規定する燃焼酸化−赤外線式TOC分析法[不揮発性有機体炭素分析法:Non-Purgeable
Organic Carbon(NPOC)]に従って,JIS K 0805に規定するTOC自動計測器によって全有機体炭素を計測
する。
なお,JIS K 0551に規定する酸性化処理によるpHは,2である必要はなく,無機炭素が除去できれば3
〜4でもよい。また,JIS K 0805に規定する計測精度をもつ装置の場合は,計測応答時間はJIS K 0805に
規定する時間範囲内でなくてもよい。
4.7
光源
光源は,JIS R 1709による。
なお,一般にUVAと呼ばれる紫外線を放射するランプで351 nmに最大の光強度をもつ紫外線蛍光ラン
プ(ブラックライトブルー蛍光ランプ)を使用することが望ましい。
4.8
紫外光照射装置
試験片に均一に紫外線が照射されるように,直管形蛍光ランプ2本を平行に取り付けたものを用いる。
4.9
紫外放射照度
放射強度は,JIS R 1709に規定される紫外光照度計を用いて計測する。
6
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4.10 pH計
試験試料水のpHは,JIS Z 8802に規定するpH計を用いて計測する。
5
試薬
フェノールは,JIS K 8798に規定するものを用いる。
6
試験片の準備
6.1
試験片
板状試験片は,幅4901
− mm,長さ19901
− mmのもので,図1に示した試験片設置箇所に収まればよい。
厚さは,試験片設置箇所に収まり,試験片の最上の表面から窓板ガラスの内側の表面の間に5±1 mmの間
隔を設けられればよく,特に規定しない。異なる厚さの試験片を用いる場合は,その間隔を補助板によっ
て調整する。
なお,補助板の素材は,近紫外線の照射に耐え,フェノールに対する耐薬品性があるPTFEを用いるこ
とが望ましい。
球状,フレーク状などの形状の試験片については,試験容器の試験片設置箇所に収め,平らにならした
後,試験片の最上表面から窓板ガラスの内側の表面の間に501
− mmの間隔を設けるように設置する。試験
容器の傾斜又は試験試料水の循環によって,試験片がずり落ちる場合は,ずれ防止構造を試験片設置箇所
に設ける。
6.2
試験片の前処理
次のいずれかの可能性がある場合には,適切な前処理を実施する。
なお,試験片は,前処理後に十分に乾燥させる。この場合,有機物の吸着などの影響が小さくなるよう
にする。
a) 暗条件の試験において,試験終了後にpHが5〜8の範囲を超えて変化する場合には,試験片は精製水
を用いて流水洗浄する。洗浄前後のpHを計測し,pHが5〜8の範囲に収まるまで,精製水を用いて
流水洗浄する。
b) 暗条件の試験において,試験片からの有機物の溶出が疑われる場合には,試験片は精製水を用いて流
水洗浄する。または,JIS R 1701-1に規定されている紫外線蛍光ランプによって,連続5時間以上の
光照射を大気中又は水中で実施する。試験片からの有機物の溶出については,7.3のa)〜d)及びf)に規
定する試験を実施し,暗条件で6時間目の濃度計測用試料水から計測されたフェノールの濃度CDfが
暗条件の初期濃度計測用試料水から計測されたフェノールの濃度CDiの値の95 %以上であればよい。
なお,400 ℃以上の高温で処理しており,水中に有機物等の溶出がなく,十分な洗浄によってpH
が大きく変化するような無機塩の残留がないことが明らかと判断される試験片に関しては,前処理を
省略してもよい。
7
試験条件,準備及び手順
7.1
試験条件
光強度は,紫外光照度計の受光部を試験片の中心の位置に来るようにして,窓板ガラス越しで2±0.1
mW/cm2になるように調整する。この場合,紫外光照度計の受光部と窓板ガラスとの間には,501
− mmの間
隔をあける。
なお,紫外光照度は,紫外線蛍光ランプをあらかじめ10分以上点灯させてから計測する(JIS R 1709
7
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参照)。
試験容器の傾斜角度は,5°〜10°の間とする。紫外光蛍光ランプの中心と,試験片設置箇所の中心とを
合わせ,平行に配置する。
通気流量は,約500 mL/minとする。
試験容器への試験試料水の流量は,200±2 mL/minとする。
試験試料水の水温は,23±2 ℃とする。室温は,23±5 ℃とする。水温及び室温は,温度計器具JIS B 7414
又はJIS Z 8704に規定する温度計で測定する。
7.2
試験準備
試験試料水を採水するバイアル瓶は,ほうけい酸ガラス製とする。バイアル瓶を含め,この規格で使用
するガラス器具は,試験試料水への不純物の混入を避けるために,中性又はアルカリ洗剤を用いて洗浄し,
精製水で十分に洗浄したものを用いる。
7.3
試験手順
暗条件及び明条件の二つの試験を実施する。暗条件によって試験片へのフェノールの吸着を計測し,明
条件によって試験片の光触媒作用によるフェノールの酸化分解を計測する。次に示す手順a)〜c)を実施後,
暗条件はd)及びf)を実施し,明条件はe)及びf)を実施する。
なお,試験試料水槽にTOC測定機器を直接つなぐ場合は,手順c)の実施後にTOCを計測して初期濃度
とし,手順d)及びe)においては,2時間ごとにTOCを計測する。
a) 溶存酸素飽和水を用いて,フェノールの濃度が5.0±0.5 mg/Lの試験試料水を1 000±5 mLに調製する。
調製した試験試料水は,暗条件で500±2 mL,明条件で残りを使用する。ここで,暗条件の初期濃度
計測用試料水として試験試料水の20±1 mLをバイアル瓶に採水する。明条件の試験においても,同
様に同量を採水する。調製した試験試料水のpHを計測する。この規格で調製した試験試料水は,密
閉して試験実施温度又は冷暗所で保管する。
b) 試験片を暗所で試験容器に設置する。
c) 試験試料水槽にかくはん子及び試験試料水を入れ,蓋をして恒温水筒に設置する。試験試料水槽と試
験容器の配管とを接続して温度計等を設置する。かくはん及び通気を開始する。試験試料水のかくは
ん及び通気は,試験中継続して行う。温調水を恒温水筒に循環させる。
d) 試験試料水の循環開始と同時に,暗所における吸着の測定を開始する。試験試料水の循環は6時間実
施する。試験試料水は,2時間ごとに試験試料水槽から20±1 mLをバイアル瓶に濃度計測用試料水と
して採水し,TOCを計測する。
e) 試験試料水の循環開始後1分以内に,光照射を開始する。光照射は6時間実施し,2時間ごとに試験
試料水槽から試験試料水を濃度計測用試料水として20±1 mLをバイアル瓶に採水し,TOC計測する。
f)
試験試料水槽内の試験試料水のpHを計測する。
8
試験結果の表し方
8.1
数値の丸め方
この規格の試験で算出された数値は,JIS Z 8401規則Aに規定する数値の丸め方によって表記し,小数
点第2位まで求める。
8.2
暗条件
暗条件で採水した初期濃度計測用試料水及び濃度計測用試料水から計測したTOCの変化量を用いて,
ΔTOCD(mg/L)を式(1)によって算出する。
8
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ΔTOCD=CDi−CDf······································································· (1)
ここに, ΔTOCD: 試験片に吸着したフェノールの濃度(mg/L)
CDi: 暗条件の初期濃度計測用試料水から計測されたフェノール
の濃度(mg/L)
CDf: 暗条件で6時間目の濃度計測用試料水から計測されたフェ
ノールの濃度(mg/L)
CDfが試験時間範囲内で0になる場合は,0になった時間及びΔTOCDを明記する。ただし,ΔTOCDがマ
イナスになり,かつ,その値がCDiの5 %を超える場合は,6.2のb)を実施後,再試験する。
8.3
明条件
明条件で採水した初期濃度計測用試料水及び濃度計測用試料水から計測されたTOCの変化量を用いて,
ΔTOCL(mg/L)を式(2)によって算出する。
ΔTOCL=CLi−CLf ······································································· (2)
ここに, ΔTOCL: 試験片に吸着及び光触媒作用で分解されたフェノールの濃
度(mg/L)
CLi: 明条件の初期濃度計測用試料水から計測されたフェノール
の濃度(mg/L)
CLf: 明条件で6時間後の濃度計測用試料水から計測された残存
フェノール及び生成された副生成物の濃度(mg/L)
CLfが試験時間範囲内で0になる場合には,0になった時間及びΔTOCLを明記する。ただし,暗条件下
でΔTOCDの値が適切であったにもかかわらず明条件下でΔTOCLがマイナスになる場合は,光照射中に光
触媒などの作用の影響を受けて,試験片自体が分解されている可能性が高く,正確な値を計測できなくな
るため,試験は不成立とする。
8.4
試験片のフェノールの酸化分解性能
ΔTOCL及びΔTOCDを用いて,式(3)によってフェノールの酸化分解性能としてのΔTOCを算出する。
ΔTOC=ΔTOCL−ΔTOCD ······························································ (3)
ここに, ΔTOC: 試験片の光触媒作用で分解されたフェノールの濃度(mg/L)
8.5
試験成立条件
試験は,式(4)の関係を満たした場合に成立とする。
ΔTOCL>ΔTOCD ········································································· (4)
また,試験時間範囲内でCLf及びCDfが0になる場合には,CLfがCDfよりも0になる時間が早い場合を
成立とする。
9
試験結果の報告
試験報告書には,次の事項を報告する。ただし,受渡当事者間の協定によって記載事項を省略すること
ができる。
a) この規格の番号
b) 試験実施日
c) 試験時間
d) 試薬の製造業者名,純度及び等級
e) 光源(製造業者名,形式及びランプ数)
f)
放射照度計の製造業者名及び形式
g) TOC測定機器の形式及び製造業者名
9
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h) 試験片の名前及びロット番号
i)
試験片の形状(板状,フレーク状,球状など)
j)
試験片の寸法(面積,枚数,直径,質量など)
k) 試験片の試験容器への設置,装塡方法及び状態
l)
試験片の前処理実施の有無,必要となった原因(pH及び/又はTOC)
m) 前処理前後のpH又はTOCの値(前処理を実施した場合)
n) 試験容器の傾斜角度
o) 室温
p) 試験試料水の水温(試験開始時及び試験終了後)
q) 試験試料水の流量
r) 試験前後の試験試料水のpH
s)
通気流量及び使用した器具(器具名,形状及び製造業者名)
t)
TOCの変化量[CDi,CDf,ΔTOCD(mg/L),CLi,CLf,ΔTOCL(mg/L)及びΔTOC(mg/L)]
u) その他必要な事項(暗・明条件の試験時間内にフェノールの濃度が0になった場合の条件,時間など)
10 試験結果の例
暗条件・明条件によるTOCの変化量の試験結果の例を,例1及び例2に示す。
例1 板状試験片。暗・明条件によるTOCの変化を図4に示し,得られたΔTOCD,ΔTOCL及びΔTOC
を表1に示す。
記号 TOC:全有機体炭素
◇:暗条件で計測されたTOC値
○:明条件で計測されたTOC値
図4−板状試験片の試験結果
表1−板状試験片の試験結果
単位 mg/L
ΔTOCD
0.03
ΔTOCL
0.80
ΔTOC
0.77
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例2 球状試験片。暗・明条件によるTOCの変化を図5に示し,得られたΔTOCD,ΔTOCL及びΔTOC
を表2に示す。
記号 TOC:全有機体炭素
◇:暗条件で計測されたTOC値
○:明条件で計測されたTOC値
図5−球状試験片の試験結果
表2−球状試験片の試験結果
単位 mg/L
ΔTOCD
−0.09
ΔTOCL
2.61
ΔTOC
2.70