R 1703-2:2014
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 試験装置························································································································· 2
4.1 器具及び装置 ················································································································ 2
4.2 試薬 ···························································································································· 3
4.3 試験室の温度及び湿度 ···································································································· 3
4.4 試料の標準状態 ············································································································· 3
5 試験操作························································································································· 3
5.1 試験片の調製 ················································································································ 3
5.2 有機物の除去 ················································································································ 4
5.3 メチレンブルー吸着液及びメチレンブルー試験液の調製 ························································ 4
5.4 試験片の実験準備 ·········································································································· 4
5.5 放射照度の調整 ············································································································· 4
5.6 メチレンブルーの吸着 ···································································································· 5
5.7 初期吸光スペクトルの測定 ······························································································ 5
5.8 紫外光照射によるメチレンブルー分解················································································ 6
5.9 暗条件によるメチレンブルー吸着······················································································ 6
6 試験結果の計算 ················································································································ 6
7 試験結果の報告 ················································································································ 8
附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································· 9
R 1703-2:2014
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
ファインセラミックス協会(JFCA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して
日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した
日本工業規格である。
これによって,JIS R 1703-2:2007は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格に従うことは,次に示す特許権及び出願公開後の特許出願の使用に該当するおそれがあるので,
留意すること。
− 発明の名称
光触媒活性の測定方法及び光触媒活性評価フィルム
− 設定の登録年月日
2003年7月11日
− 発明の名称
光触媒活性の測定方法およびその装置
− 設定の登録年月日
2001年11月2日
上記の,特許権等の権利者は,非差別的かつ合理的な条件でいかなる者に対しても当該特許権等の実施
を許諾等する意思のあることを表明している。ただし,この規格に関連する他の特許権等の権利者に対し
ては,同様の条件でその実施が許諾されることを条件としている。
この規格に従うことが,必ずしも,特許権の無償公開を意味するものではないことに注意する必要があ
る。
この規格の一部が,上記に示す以外の特許権等に抵触する可能性がある。経済産業大臣及び日本工業標
準調査会は,このような特許権等に関わる確認について,責任はもたない。
なお,ここで“特許権等”とは,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権をいう。
JIS R 1703の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS R 1703-1 第1部:水接触角の測定
JIS R 1703-2 第2部:湿式分解性能
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日本工業規格 JIS
R 1703-2:2014
ファインセラミックス−
光触媒材料のセルフクリーニング性能試験方法−
第2部:湿式分解性能
Fine ceramics (advanced ceramics, advanced technical ceramics)-
Test method for self-cleaning performance of photocatalytic materials-
Part 2: Decomposition of wet methylene blue
序文
この規格は,2010年に第1版として発行されたISO 10678を基とし,このISO 10678の一部の内容を追
加し,整合させるため,技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,平板状の光触媒材料のセルフクリーニング性能に影響を与える指標のうち,湿式分解性能
の測定について規定する。
ただし,水が染み込んで保持できないような透水性のある光触媒材料には適用しない。
なお,この規格は,主として太陽光の照射下において波長300〜380 nmの紫外線領域で効果を示す光触
媒を対象としている。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 10678:2010,Fine ceramics (advanced ceramics, advanced technical ceramics)−Determination of
photocatalytic activity of surfaces in an aqueous medium by degradation of methylene blue(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0557 用水・排水の試験に用いる水
JIS K 0970 ピストン式ピペット
JIS K 7100 プラスチック−状態調節及び試験のための標準雰囲気
JIS K 8034 アセトン(試薬)
JIS K 8101 エタノール(99.5)(試薬)
2
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JIS K 8897 メチレンブルー(試薬)
JIS R 1702 ファインセラミックス−光触媒抗菌加工製品の抗菌性試験方法・抗菌効果
JIS R 1703-1 ファインセラミックス−光触媒材料のセルフクリーニング性能試験方法−第1部:水接
触角の測定
JIS R 1709 ファインセラミックス−紫外線励起形光触媒試験用光源
JIS R 3505 ガラス製体積計
JIS Z 8401 数値の丸め方
JIS Z 8703 試験場所の標準状態
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS R 1703-1によるほか,次による。
3.1
湿式分解性能(decomposition performance in an aqueous medium)
製品の表面において,溶液中の有機物を酸化分解する能力。
3.2
分解活性指数,R(decomposition activity index)
湿式分解性能を利用した光触媒材料のセルフクリーニング性能の尺度となる値。
注記 分解活性指数は,μmol/L/minで表す。
3.3
光照射下での分解活性指数,Rirr(decomposition activity index under UV irradiation)
湿式分解性能を利用した光触媒材料の光照射下でのセルフクリーニング性能の尺度となる値。
注記 光照射下での分解活性指数は,μmol/L/minで表す。
3.4
暗所吸着指数,Rdark(adsorption index in dark)
光触媒材料の暗所での吸着性能の尺度となる値。
注記 暗所吸着指数は,μmol/L/minで表す。
4
試験装置
4.1
器具及び装置
4.1.1
試験セル ポリエチレン,ポリプロピレン,PMMA,ガラスなどのメチレンブルーを吸着しない材
質で,内径が40 mm,高さが30 mmの円筒形とする。試験中に円筒底面と試験片の間から液漏れがないよ
う,底面の平滑性の高いものが望ましい。製品の形状によって,φ40 mmの試験セルを載せるのが困難な
場合は,同様の材質で,内側の断面積及び高さが同等のセルを用いてもよい。
4.1.2
ピペット JIS K 0970又はJIS R 3505のクラスA又はこれと同等の精度をもつものとする。
4.1.3
分光光度計 波長域600〜700 nmの吸光スペクトルが,バンド幅1 nmで,小数点以下3桁まで測
定できるものとする。
4.1.4
分光光度計用測定セル ガラス又は樹脂製で,光路長10 mmのもの。波長域600〜700 nmでの透
過率が80 %以上のものとする。
4.1.5
ブラックライトブルー蛍光ランプ JIS R 1709に規定するもの。
注記 一般に,UVAと呼ばれる紫外線を出すランプで351 nmにピーク放射をもつものであって,可
3
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視光を吸収する青色ガラスを使用した紫外線蛍光ランプを使用することを推奨する。
4.1.6
紫外光照射装置 ランプからの光が,試験片に均一に照射され,周囲からの光を遮断することがで
き,放射照度を調整できるように,試験片又はランプの位置を可動形とする。ランプ反射板を取り付ける
場合は,紫外放射の吸収及び劣化の少ない材料を使用し,試験片位置で放射照度が測定できる構造とする。
4.1.7
紫外放射照度計 JIS R 1709に規定するもの。
4.1.8
ガラス板試験片 厚みが2 mm以内の光触媒加工していないガラス板から切り取ったもので,表面
が平滑で,JIS R 1702の7.6(透過率の測定)に規定する方法で350〜360 nmの透過率が70 %以上のもの。
試験セルをシリコーングリースで固定してメチレンブルー吸着液及びメチレンブルー試験液が保持できる
もの。
4.1.9
カバーガラス 厚みが1.1 mm以内の光触媒加工していないガラス板から切り取ったもので,表面
が平滑で,JIS R 1702の7.6に規定する方法で350〜360 nmの透過率が70 %以上のもの。試験セルの上部
を塞ぎ,メチレンブルー吸着液及びメチレンブルー試験液の蒸発を防止することができるもの。
4.2
試薬
4.2.1
エタノール JIS K 8101に規定する1級以上のものとする。
4.2.2
アセトン JIS K 8034に規定する特級のものとする。
4.2.3
メチレンブルー JIS K 8897に規定するものとする。
4.2.4
精製水 JIS K 0557に規定のA3又はA4に適合するものとする。
4.2.5
シリコーングリース 高真空用で耐薬品性のものとする。
4.3
試験室の温度及び湿度
試験室は,JIS K 7100に規定する標準温度状態3級及び標準湿度状態3級[温度(23±5) ℃,相対湿度
(
20
10
50+−) %],又はJIS Z 8703に規定する標準温度状態20 ℃ 5級及び標準湿度状態65 % 10級[温度(20±
5) ℃,相対湿度(65±10) %]とすることが望ましい。試験結果の報告には,適用した試験室の温度及び湿
度を記録しなければならない。
4.4
試料の標準状態
試料は通常,製造後12時間以上経過したものであって,試験前1時間以上,4.3に規定する状態に置か
なければならない。
5
試験操作
5.1
試験片の調製
試験片の調製は,次による。
a) 光触媒材料の平らな部分を60±2 mm角の大きさに切り取り,これを標準の大きさの試験片とする。
これらを3個準備する。紫外光照射を行わない暗条件の試験を加える場合は,更に3個準備する。
b) 試験片と同じ大きさのガラス板試験片1個を準備する。紫外放射の351 nmにおける透過率Tglass(%)
をあらかじめ測定しておく。透過率が70 %以上であれば,ガラスの種類,厚みなどは特に規定しない。
c) 試験片の調製に当たっては,油などの有機物汚染,光触媒材料間の相互汚染などに十分注意する。試
験片は,光触媒材料そのものから採取することが望ましいが,光触媒材料の形状から試験片の調製が
困難な場合は,同じ原料及び加工方法で別途同一材質の平板基材状に加工したものから試験片を調製
してもよい。
d) 光触媒材料を60±2 mm角に切り取ることが困難又は不可能な場合,試験セルを載せることが可能な
試験片の形状及び大きさであれば,ここに規定する形状及び大きさ以外の試験片を使用してもよい。
4
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e) 試験セルを載せることができない小さな光触媒材料であっても,これらを複数個並べて貼り付けるな
どして,一定の面積が得られれば,これらを試験片とすることができる。
f)
フィルムのような平板状の試験片の場合,底を封じた試験セルにφ40 mmに切り出した試験片を沈め
て,評価をしてもよい。
5.2
有機物の除去
有機物の除去は,次による。
a) 試験片全面をエタノール,アセトンなどの溶剤で洗浄した後,精製水で洗浄し,試験室で24時間以上
乾燥させる。必要に応じて,界面活性剤による洗浄,超音波洗浄などを併用してもよい。これらの処
理によって,試験片の軟化,表面の塗装の溶解,成分の溶出などの変化を招き,これらが原因で試験
結果に影響を及ぼすと判断される場合においては,他の適切な方法を用いて清浄化してもよい。
b) このように準備した試験片に,ブラックライトブルー蛍光ランプで,放射照度が1 mW/cm2以上の紫
外光を24時間以上照射し,洗浄後も残留した有機物汚れを光触媒によって分解する。
c) 試験する光触媒材料が新しい場合など,このような清浄化工程を省略してもよい。
5.3
メチレンブルー吸着液及びメチレンブルー試験液の調製
メチレンブルーを,精製水に完全に溶解させ,希釈する。メチレンブルー吸着液は20±2 μmol/L,メチ
レンブルー試験液は10±1 μmol/Lの濃度とする。メチレンブルー試験液は試験の都度,使用する直前に調
製することが望ましいが,調製後すぐに使用できない場合は,光を遮断して冷蔵保存し,1週間以内に使
用する。
5.4
試験片の実験準備
試験セルの,試験片と接する試験セルの底面にシリコーングリースを塗布し,全ての試験片の試験面中
央に試験セルを置いて,上から押し付け,固定する。押し付けるときに試験面を汚染しないように注意す
る。試験面は,光触媒材料が担持されている基材の表面とする。内部まで光触媒が担持されている光触媒
材料であっても,切断面は試験面としない。
5.5
放射照度の調整
放射照度の調整は,次による。
a) メチレンブルー試験液35.0±0.3 mLを5.1で準備したガラス板試験片を底面とする試験セルに入れ,
乾燥を防ぐためにカバーガラスで蓋をする。カバーガラスは,紫外光を通しやすくするために薄いも
のが望ましく,大きさは50±2 mm角の正方形とする。メチレンブルー試験液の蒸発を防止すること
ができれば,大きさ,形などは適宜変更してもよい。試験前に溶剤などによる洗浄を行うことによっ
て,カバーガラス表面を曇りにくくしてから使用する。
b) 試験セルの中心と紫外放射照度計受光部の中心とが一致するように,紫外放射照度計を当てる。カバ
ーガラス,メチレンブルー試験液及びガラス板試験片を通過した紫外光の放射照度を紫外放射照度計
で測定し,試験片表面での紫外放射照度が1.00±0.05 mW/cm2となるように,式(1)を満たすようなブ
ラックライトブルー蛍光ランプと試験片との位置関係を決める。
0.05
00
.1
100
glass
±
=
×T
I
··································································· (1)
ここに,
I: 紫外放射照度計の読み(mW/cm2)
Tglass: ガラス板試験片の351 nmにおける透過率(%)
c) 照射装置の内面に反射材をもつものを使用した場合には,内面を反射した光が,ガラス板試験片と紫
外放射照度計のセンサー部との隙間から入射する可能性があるので,センサー部の側面を遮蔽するよ
5
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うな覆いを設けるなど,試験セルの内側を通過した照射光だけを導くようにする。
d) ブラックライトブルー蛍光ランプは,電源を入れた直後は出力が安定しないため,試験15分以上前に
電源を入れて,試験開始時には安定させておく。
5.6
メチレンブルーの吸着
メチレンブルーの吸着は,次による。
a) 5.4で準備した3個の試験片上の試験セルの中に,メチレンブルー吸着液35.0±0.3 mLを注入してカ
バーガラスで蓋をし,光が照射されないように注意を払いながら,12時間以上24時間以内静置する。
b) メチレンブルー吸着液を取り出し,吸光スペクトルを測定する。この吸光度がメチレンブルー試験液
の吸光度より高い場合は,吸着を完了とする。吸光度がメチレンブルー試験液の吸光度より低い場合
は,5.8に加えて5.9を行わなければならない。
c) 吸光スペクトルの測定は,試験片3個のうち1個について行えばよい。
d) 吸光スペクトルの測定は,対照セルに精製水を入れて,測定セルに必要な分量のメチレンブルー吸着
液又はメチレンブルー試験液をピペットで試験セルから採取し,600〜700 nmの波長域での吸光スペ
クトルを1 nm間隔で分光光度計で測定する。スペクトル測定が困難な場合は,測定波長を664 nmに
固定して,吸光度を測定してもよい。
e) 測定後,メチレンブルー吸着液は元の試験セルに戻す。メチレンブルー吸着液は,測定セルとピペッ
トへの残留を極力抑えるように注意する。また,試験セル内のメチレンブルー吸着液を採取する前に
ピペットでかくはんするなど,メチレンブルー吸着液の濃度に偏りを少なくするように,注意する。
5.7
初期吸光スペクトルの測定
メチレンブルーの吸着が終了したら,試験片にセットされた試験セル中のメチレンブルー吸着液を取り
出し,新しいメチレンブルー試験液35.0±0.3 mLを注入する。残ったメチレンブルー試験液の吸光スペク
トルを測定し,これを初期スペクトルとする。図1に吸光スペクトルの一例を示すように最大吸収の吸光
度Abs.(0)と,そのときの最大吸収波長を読み取る。又は,測定波長を664 nmに固定して吸光度を測定し
てもよい。
図1−吸光スペクトルの一例
6
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5.8
紫外光照射によるメチレンブルー分解
紫外光照射によるメチレンブルー分解は,次による。
a) 図2に示すような状態で,全ての試験片に,1.00±0.05 mW/cm2の紫外光を20分間照射する。照射後
直ちに,メチレンブルー試験液の吸光度を測定する。
b) 次に,測定に使用したメチレンブルー試験液を速やかに試験セルに戻し,再び紫外光を照射する。
c) このような手順で紫外光を20分間照射して吸光度を測定する作業を,照射時間の合計が3時間になる
まで(9回)繰り返す。
d) なお,初期吸光スペクトルを波長664 nmに固定して測定した場合は,20分ごとの吸光度測定を664 nm
に固定して全て(9回)測定しなければならない。
e) 照射時間の経過とともに,最大吸収波長が変化することがあるが,初期スペクトル(光照射0分後)
の最大吸収波長における吸光度を読み取る。スペクトル測定ごとの最大吸収の吸光度を読み取っては
ならない。
図2−実験方法の模式図
5.9
暗条件によるメチレンブルー吸着
紫外光照射を行わない暗条件によるメチレンブルーの吸着は,次による。
a) 図2に示すような状態で,暗幕,暗箱などを使用して,全ての試験片に紫外光を照射しない状態で20
分間放置する。その後直ちに,メチレンブルー試験液の吸光度を測定する。
b) 次に,測定に使用したメチレンブルー試験液を速やかに試験セルに戻し,再び暗条件で放置する。
c) このような手順で暗条件で20分間放置して吸光度を測定する作業を,放置時間の合計が3時間になる
まで(9回)繰り返す。
d) なお,初期吸光スペクトルを波長664 nmに固定して測定した場合は,20分ごとの吸光度測定を664 nm
に固定して全て(9回)測定しなければならない。
e) 放置時間の経過とともに,最大吸収波長が変化することがあるが,初期スペクトル(試験開始0分後)
の最大吸収波長における吸光度を読み取る。スペクトル測定ごとの最大吸収の吸光度を読み取っては
ならない。
6
試験結果の計算
次の手順によって分解活性指数を求める。
a) 式(2)によって,吸光度を濃度に換算するための換算係数Kを求める。
7
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()()0
0
Abs.
c
K=
············································································· (2)
ここに,
K: 換算係数(μmol/L)
Abs.(0): 光照射0分後の最大吸収波長の吸光度
c (0): 光照射0分後のメチレンブルー試験液濃度(10 μmol/L)
b) 換算係数Kを用いて,式(3)によって吸光度Abs.(t)を,t分後のメチレンブルー試験液濃度c(t)に換算す
る。
c(t)=K×Abs.(t) ········································································· (3)
ここに,
c(t): 光照射t分後のメチレンブルー試験液の濃度(μmol/L)
Abs.(t): 光照射t分後の吸光度
注記 一般に,吸光度は濃度に比例する(Beerの法則)ことから,この換算係数を用いて,吸光度
から濃度を算出することができる。
c) 縦軸にc(t)を,横軸に紫外光照射時間(分)をとり,1個の試験片に関するデータ9点を図3のように
プロットする(t=20,40,60,80,100,120,140,160,180)。
d) 試験片ごとに,プロットした9点から作られる直線の傾きを最小二乗法によって求める。3個の試験
片各々について求めた傾きを,an(n=1,2,3)とする。
注記 図3のデータでは,直線の傾きは0.005 3と求められる。
図3−anの導出
e) 式(4)によって,光照射下での分解活性指数Rirrを求める。計算の処理は,JIS Z 8401によって丸めの
幅:0.1として数値を丸める。
3
3
2
1
10
3
)
(
×
+
+
=
a
a
a
Rirr
······························································ (4)
ここに, Rirr: 光照射下での分解活性指数(nmol/L/min)
an: 3個の試験片各々について求めた傾き(n=1,2,3)
(μmol/L/min)
f)
暗条件の試験を行った場合は,a)〜e)において光照射の代わりに,暗所での放置として読替えて,暗
所吸着指数 Rdarkを求める。
8
R 1703-2:2014
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g) 分解活性指数Rは式(5)によって求める。暗条件の試験を行わない場合はRdark=0として計算する。
R=Rirr−Rdark············································································· (5)
ここに,
R: 分解活性指数(nmol /L/min)
Rirr: 光照射下での分解活性指数(nmol /L/min)
Rdark: 暗所吸着指数(nmol /L/min)
7
試験結果の報告
試験の結果は,次の項目について報告する。
a) 規格番号
b) 試験年月日
c) 試験片の種類,大きさ及び形状
d) 試験片の有機物の除去方法及び紫外光照射時間
e) 試験室の温度,湿度
f)
吸光度の測定波長
g) 分解活性指数
h) ブラックライトブルー蛍光ランプの製造業者名・形式・ランプ数・ピーク放射の波長
i)
紫外放射照度計の製造業者名・形式
j)
φ40 mmの円筒形以外の形状の試験セルを使用した場合,試験セルの形状及び寸法
k) メチレンブルーの吸着1回の吸着液の吸光度
l)
その他試験条件を必要に応じて変更した場合は変更点
9
R 1703-2:2014
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附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS R 1703-2:2014 ファインセラミックス−光触媒材料のセルフクリーニン
グ性能試験方法−第2部:湿式分解性能
ISO 10678:2010 Fine ceramics (advanced ceramics, advanced technical ceramics)−
Determination of photocatalytic activity of surfaces in an aqueous medium by degradation of
methylene blue
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごとの評
価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
1 適用範囲
光触媒材料のセル
フクリーニング性
能を試験する方法。
透水性材料,可視光
光触媒は適用外。
1
光触媒活性を試験する
方法でセルフクリーニ
ング性能も含まれる。
可視光,直接汚れ,ガ
ス分解及び抗微生物評
価は適用外。
追加
透水性材料は適用外を追加した。
ISO規格改正時に提案する。
2 引用規格
3 用語及び定
義
−
2
JISとほぼ同じ
削除
追加
ISO規格の2.2光子効率の用語はJISに
記載がないため削除した。
湿式分解性能を追加した。
暗所での試験方法を規定したことに伴
い,暗所吸着指数を追加。
実質的な技術的な差異はなし。
−
−
3
記号及び単位
削除
式の中で説明しており実質的には差異
はなし。
−
−
−
4
目的及び原理
削除
試験の目的及び原理を記載する必要性
はない。
−
4 試験装置
試験に使用する器
具,装置及び試薬を
4.1及び4.2で規定。
5
JISとほぼ同じ
追加
測定の精度向上を図るため具体的にJIS
を追加規定した。
実質的な技術的な差異はなし。
4.3 試験室の
温度及び湿度
10
JISとほぼ同じ
変更
JISは試験室の温湿度管理。ISO規格は
試験液(23±2℃)の温度管理。
実質的な技術的な差異はなし。
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R 1703-2:2014
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごとの評
価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
4.4 試料の標
準状態
−
−
追加
結果への精度向上のため追加規定した。 ISO規格改正時に提案を検討す
る。
5.1 試験片の
調製
試験片の要件を規
定。
8
JISとほぼ同じ
追加
JISは60±2 mm角,試験セルを載せる
ことが可能であれば規定外の大きさで
も可。
試験片の数は規定あり。
ISO規格は(100±1) mm2〜(1 500±15)
mm2,試験片の数は規定なし。
ISO規格改正時にJISを提案す
る。
5.2 有機物の
除去
溶剤で洗浄後ブラ
ックライトブルー
蛍光ランプで紫外
光照射。
8
JISとほぼ同じ
変更
JISは放射照度が1 mW/cm2以上の紫外
光を24時間以上照射。
ISO規格はUVライトでλ<400 nm以下,
UV強度E>10 W/m2の光源で24〜72時
間。
実質的な技術的な差異はなし。
5.3 メチレン
ブルー吸着液
及びメチレン
ブルー試験液
の調製
各液の濃度を規定。
7
JISとほぼ同じ
変更
JISは試験液濃度10±1 μmol/L。吸着液
濃度は20±2 μmol/L。
ISO規格は試験液濃度10±0.5 μmol/L。
吸着液濃度は20±1 μmol/L。
実質的な技術的な差異はなし。
5.4 試験片の
実験準備
シリコーングリー
スを規定
5.2
JISとほぼ同じ
変更
JISはシリコーングリースを使用。
ISO規格は適当な接着剤を使用。
実質的な技術的な差異はなし。
5.5 放射照度
の調整
a) カバーガラスの
大きさを規定
5.3
JISとほぼ同じ
追加
JISはカバーガラスの大きさは50±2
mm角の正方形と規定。
ISO規格は大きさが規定なし。
調整時の条件をISO規格改正時
に提案する。
d) ブラックライト
ブルー蛍光ラン
プの安定
−
JISは15分以上前に電源を入れて安定。
5.6 メチレン
ブルーの吸着
8
JISとほぼ同じ
追加
JISは予備吸着時間は12時間以上24時
間以内。
ISO規格は吸着時間は,12時間以上で条
件を満たさない場合は繰り返し。
暗所の実施判断基準をISO規格
改正時に提案する。
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R 1703-2:2014
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごとの評
価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
5.8 紫外光照
射によるメチ
レンブルー分
解
実験方法の模式図
を規定。
5.2,
解説
JISとほぼ同じ
削除
ISO規格は解説に2種類の試験方法の模
式図を規定。
JISでは1本のセルで問題なく試
験が可能のため,2本の試験セル
の方法は不要と判断。ISO規格改
正時にJISを提案する。
5.9 暗条件に
よるメチレン
ブルー吸着
10
JISとほぼ同じ
追加
JISは暗所での試験方法を規定。ISO規
格は暗条件の方法は規定なし。
ISO規格には暗所での試験方法
が記載されていないので,ISO規
格改正時にJISを提案する。
−
−
12
繰返し性及び再現性
削除
JISは規定はないが個々の試験方法で繰
返し性及び再現性を図る方法で規定。
ISO規格は繰返し性及び再現性を規定。
JISは実質的に問題はない。
6 試験結果の
計算
計算方法を規定。
10
11.1
11.2
JISとほぼ同じ
変更
JISは最小二乗法によって計算する。
ISO規格は微分法による特定分解速度
(分解活性指数)の計算方法を規定。
分解活性指数の計算方法は,微分
法で行う必要がないと判断,実質
的に問題なし。
−
−
11.3
光子UV照射強度の計
算方法
削除
JISは規定なし。ISO規格は光子UV照
射強度の計算方法を規定。
光子効率を求めるための過程で
あり,実質的に問題なし
−
−
11.4
平均UV照射強度の計
算方法
削除
JISは規定なし。
光子効率を求めるための過程で
あり,実質的に問題なし
−
−
11.5
平均光子UV照射強度
の計算方法
削除
JISは規定なし。
光子効率を求めるための過程で
あり,実質的に問題なし
−
−
11.7
光子効率の計算方法
削除
JISは規定なし。
光子効率はJISでは不要と判断。
7 試験結果の
報告
試験結果の報告事
項について規定。
13
JISとほぼ同じ
追加
暗所で行った場合についての規定を追
加した。
ISO規格改正時にJISを提案す
る。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 10678:2010,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 削除 ················ 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ··············· 国際規格を修正している。
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