R 1703-1:2020
(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 記号及び単位 ··················································································································· 3
5 原理······························································································································· 3
6 試験装置························································································································· 3
7 試薬······························································································································· 4
8 試験室の温度及び湿度 ······································································································· 4
9 試験片···························································································································· 4
10 試験方法 ······················································································································· 4
10.1 一般 ··························································································································· 4
10.2 試験片の前処理 ············································································································ 5
10.3 水接触角の測定 ············································································································ 5
11 試験結果の計算 ·············································································································· 6
11.1 数値の表し方 ··············································································································· 6
11.2 限界接触角の決定 ········································································································· 6
12 試験結果の報告 ·············································································································· 7
附属書A(参考)限界接触角の測定例 ······················································································ 8
附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································· 9
R 1703-1:2020
(2)
まえがき
この規格は,産業標準化法第16条において準用する同法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人
日本ファインセラミックス協会(JFCA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添
えて日本産業規格を改正すべきとの申出があり,日本産業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正
した日本産業規格である。これによって,JIS R 1703-1:2007は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS R 1703の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS R 1703-1 第1部:水接触角の測定
JIS R 1703-2 第2部:湿式分解性能
日本産業規格 JIS
R 1703-1:2020
ファインセラミックス−
光触媒材料のセルフクリーニング性能試験方法−
第1部:水接触角の測定
Fine ceramics (advanced ceramics, advanced technical ceramics)-
Test method for self-cleaning performance of photocatalytic materials-
Part 1: Measurement of water contact angle
序文
この規格は,2009年に第1版として発行されたISO 27448を基とし,技術的内容を変更して作成した日
本産業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,光触媒として主に酸化チタンなどの金属酸化物半導体が用いられる光触媒材料のセルフク
リーニング性能試験方法のうち,水接触角による試験方法について規定する。
なお,この規格は,水が染み込んで水滴を保持できないような透水性のある光触媒材料,水滴が隠れて
しまうような凹凸をもった光触媒材料,高いはっ(撥)水性をもつ光触媒材料,粉状及び粒状の光触媒材
料並びに可視光応答形光触媒材料には適用しない。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 27448:2009,Fine ceramics (advanced ceramics,advanced technical ceramics)−Test method for
self-cleaning performance of semiconducting photocatalytic materials−Measurement of water
contact angle(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0557 用水・排水の試験に用いる水
JIS K 7100 プラスチック−状態調節及び試験のための標準雰囲気
JIS K 9701 ヘプタン(試薬)
JIS R 1709 ファインセラミックス−紫外線励起形光触媒試験用光源
2
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JIS R 3257 基板ガラス表面のぬれ性試験方法
JIS Z 8101-1 統計−用語及び記号−第1部:一般統計用語及び確率で用いられる用語
注記 対応国際規格:ISO 3534-1,Statistics−Vocabulary and symbols−Part 1: General statistical terms
and terms used in probability
JIS Z 8401 数値の丸め方
JIS Z 8703 試験場所の標準状態
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1
光触媒(photocatalyst)
光照射下で,酸化・還元作用によって,空気浄化・脱臭,水質浄化,抗菌,抗かび,抗ウイルス,セル
フクリーニングなどの機能を発現する物質。機能性ファインセラミックスの一種である。
3.2
光触媒材料(photocatalytic materials)
光触媒の諸機能を利用するため,塗布,含浸,練り込み又は種々の製膜方法によって光触媒を建築材料
及びその他の材料の表面に担持させたもの。
3.3
親水性(hydrophilicity)
材料の表面において,水とのぬ(濡)れ性が良い性質。
3.4
疎水性(hydrophobicity)
材料の表面において,水とのぬれ性が悪い性質。
3.5
セルフクリーニング(self-cleaning)
建築材料などの表面に担持された光触媒が,光照射下で,酸化・還元によって表面に付着した汚染物質
を分解する現象,及び同時に光照射下で発現する親水性によって,雨水又は水を掛けたときに,汚れが洗
い流される現象のうち,少なくとも一つ以上の現象を利用して,表面を汚れにくくする機能。
3.6
接触角(contact angle)
固体上の液体の曲面に沿って,固体,液体及び気体(一般には空気を指す。以下,空気という。)とが接
する点から接線を引いたときの,この接線と固体表面とのなす液体側の角度。
3.7
水接触角(water contact angle)
水の接触角。
3.8
初期接触角(initial contact angle)
紫外光照射を開始する直前の接触角。
3.9
紫外光照射n時間後の接触角(contact angle after n h of UV irradiation)
3
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紫外光をn時間照射した後の接触角。
3.10
限界接触角(final contact angle)
光触媒材料に一定の放射照度の紫外光を照射し,最も親水化したときの接触角。
3.11
試験片の前処理(pretreatment of test piece)
試験片の準備として,紫外光照射後にオレイン酸などの有機物の汚れを付着させること。
3.12
暗条件(dark condition)
光源を点灯せず,外部の光も入射しない試験条件。
3.13
変動係数(coefficient of variation)
JIS Z 8101-1に規定されている標準偏差を測定値の算術平均で割ったもの。百分率で表す。
4
記号及び単位
この規格で用いる主な記号及び単位は,次による。
θi
:初期接触角(°)
θn
:紫外光照射n時間後の接触角(°)
x
:連続する3回のθnの平均(°)
s
:連続する3回のθnの標準偏差(°)
θf
:限界接触角(°)
5
原理
この規格の試験は,光触媒材料に関する開発,性能比較,品質管理,同定,信頼性評価及び設計データ
取得を目的とし,ばく(曝)露試験において発生する汚染と相関する性能の評価のために実施する。また,
この規格の試験方法は,平板状の光触媒材料のセルフクリーニング性能に影響を与える要因のうち,紫外
光照射下における水接触角を測定し,試験片の限界接触角を求めることによって,光触媒材料のセルフク
リーニング性能を評価する方法である。
光触媒材料の表面に屋外環境での汚れを想定した有機物の汚れを付着させた後に,紫外光を照射するこ
とで,光触媒材料表面の光触媒が酸化・還元作用を発現して有機物の汚れを分解する。これによって,有
機物の汚れを分解後の光触媒材料は,有機物の汚れを付着させた時点の状態と比較して,親水性が向上す
る。紫外光照射を更に継続すると,光触媒材料の親水性は,その材料に特有の限界接触角に達する。限界
接触角の値は,光触媒のセルフクリーニング性能と相関があるため,この試験方法によって光触媒材料の
セルフクリーニング性能を評価することができる。
6
試験装置
試験装置は,次による。
6.1
ブラックライトブルー形紫外線蛍光ランプ JIS R 1709の箇条4(光源)に規定する351 nmにピー
ク放射をもち,可視光を吸収する青色ガラスを使用したブラックライトブルー形紫外線蛍光ランプ。
6.2
紫外光照射装置 6.1に規定するランプからの光が,試験片に均一に照射され,周囲からの光を遮断
4
R 1703-1:2020
することができ,放射照度を調整できるように,試験片又はランプの位置を可動できるもの。ランプ反射
板を取り付ける場合は,紫外放射の吸収及び劣化の少ない材料を使用し,試験片位置で放射照度が測定で
きる構造とする。
6.3
紫外放射照度計 JIS R 1709の箇条5(紫外放射照度計)による。
6.4
接触角測定装置 測定範囲が0°〜180°であり,測定読取り精度0.1°及び測定精度±1°をもつ装
置。試験片に付着させた液滴形状の画像によって,JIS R 3257の6.1(試験原理)に従い着滴後,一定時間
経過した後の接触角を算出する。
7
試薬
試薬は,次による。
7.1
オレイン酸 キャピラリーカラムを用いるガスクロマトグラフ分析において純度60.0 %(質量分率)
以上のもの。
7.2
ヘプタン JIS K 9701に規定するもの。
7.3
水 JIS K 0557に規定する種別及び質がA3又はA4に適合するもの。
8
試験室の温度及び湿度
試験室の温度及び湿度は,JIS K 7100の4.(標準雰囲気)及び5.(標準雰囲気の級別)に規定する標準
状態とし,温度23 ℃±5 ℃,相対湿度(
20
10
50+
−)%が望ましい。ただし,JIS Z 8703の2.(標準状態)及
び3.(標準状態の許容差)に規定する標準状態とし,温度20 ℃±5 ℃,相対湿度(65±10)%としてもよ
い。
9
試験片
試験片は,次による。
a) 試験片は,光触媒材料の平らな部分を100 mm±2 mm角の大きさに切り取る。ただし,光触媒材料を
100 mm±2 mm角に切り取ることが困難な場合は,異なる5点で接触角を測定することが可能な試験
片の形状及び大きさである場合に限り,ここに規定する形状及び大きさ以外の試験片を使用してもよ
い。
試験片は,光触媒材料そのものから採取する。ただし,光触媒材料の形状から試験片の前処理が困
難な場合は,同じ原料及び加工方法で別途平板状に加工したものから試験片を調製してもよい。
b) 試験片を調製する場合は,試験結果に影響を与える油などの有機物汚染,光触媒材料間の相互汚染な
どは,あってはならない。
c) 試験片は,5個準備する。
10
試験方法
10.1
一般
試験方法一般は,次による。
a) 前処理として,試験片の表面にオレイン酸を付着させる。
b) 6.2によって紫外光を照射する。
c) 照射の過程での接触角を測定し,試験片表面でのオレイン酸の分解及び親水性の変化を同時に評価す
る。ただし,この前処理が困難であり,紫外光照射前の初期接触角が20°以上の場合は,前処理を省
5
R 1703-1:2020
略して限界接触角を求めてもよい。
10.2
試験片の前処理
10.2.1
一般
試験片の前処理は,10.2.2による。この前処理を実施した直後に試験を開始しない場合は,シリコーン
グリースを使わないガラス製密閉容器内に保管する。試験片を取り扱うときは,疎水性物質などからの汚
染を防ぐために,試験片表面に直接触れてはならず,手袋を着用する。手袋は,ポリエチレン製の手袋な
どがよい。
なお,10.2.2の操作を省いた場合は,10.3.3及び10.3.4に追加して,紫外光照射を行わない暗条件での試
験を実施しなければならない。暗条件の試験は,試験片の数を5個とし,紫外光照射を行わないこと以外
は,10.3.3及び10.3.4と同じ手順で行う。暗条件の試験を紫外光照射の試験と同時に行う場合は,進行中
の暗条件におけるn時間後の接触角を求めなくてもよい。
10.2.2
前処理の手順
10.2.2.1 有機物の除去
紫外放射照度計を用いて,試験片面での放射照度が2.0 mW/cm2となるように調整した紫外光照射装置を
用い,試験片に24時間以上の紫外光照射を行う。試験片の表面に汚れが付着している場合など,必要に応
じて,紫外光照射を行う前に水を用いて試験片の表面を洗浄してもよい。
10.2.2.2 オレイン酸の塗布
光触媒材料面に,次のa)又はb)によってオレイン酸を塗布する。
a) 手塗り 光触媒材料面を上にして置き,試験片の光触媒材料面中央付近に200 μLのオレイン酸を滴下
した後,不織布を用いて試験片の中央付近から放射状にオレイン酸が均一となるように塗り広げる。
その後,過剰なオレイン酸を拭き取り,試験片をひょう(秤)量して,オレイン酸の塗布量が100 cm2
当たり2.0 mg±0.2 mgとなるように調製する。
b) ディップ オレイン酸をヘプタンで希釈した体積分率0.5 %の溶液を準備し,試験片をその溶液に沈
め,60 cm/minの速度で引き上げた後,70 ℃で15分間乾燥する。
10.3
水接触角の測定
10.3.1
放射照度の測定及び紫外光照射装置の準備
紫外光照射装置の床面に紫外放射照度計の受光部を据え付け,試験片面での放射照度を測定する。この
とき,放射照度を安定化させるため,紫外光照射装置の光源を15分間以上予備点灯しておく。
放射照度は,紫外光照射装置の調整によって,10.2.2.2 a)の場合は2.0 mW/cm2±0.1 mW/cm2,10.2.2.2 b)
の場合は1.0 mW/cm2±0.1 mW/cm2とする。
10.3.2
初期接触角の測定
初期接触角の測定は,次による。ただし,初期接触角が20°未満の場合は,接触角の低減を判断するこ
とが困難となるため,試験を無効とする。
a) 前処理後のそれぞれの試験片について,各々5か所の接触角を測定する。
b) この各試験片ごとに測定された5点の接触角測定値の算術平均を,各試験片の初期接触角とする。
c) 滴下する水滴の量は,使用する接触角計の仕様書に従い,適切な量で測定を行う。
d) 接触角の測定は,滴下後,3秒間〜5秒間で行う。
10.3.3 紫外光照射n時間後の接触角の測定
紫外光照射n時間後の接触角の測定は,次による。測定例を,図1に示す。
a) 試験片に紫外光照射を開始した後,適切な照射時間の間隔を空けて,それぞれの試験片について,各々
6
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5か所の接触角を測定する。
b) この各試験片ごとに測定された5点の接触角測定値の算術平均を,各試験片の紫外光照射n時間後の
接触角とする。
10.3.4
限界接触角の測定
各試験片ごとに,時間的に連続する3回の紫外光照射n時間後の接触角の変動係数を求め,変動係数が
10 %以下となるまで測定する。10 %以下となった場合は,測定を終了し,11.2によって限界接触角を決定
する。
各試験片の紫外光照射n時間後の接触角が,5°以下となった場合には,その時点で測定を終了し,その
ときの接触角測定値を各試験片の“限界接触角”としてもよい。
限界接触角の測定例を,附属書Aに示す。
図1−水接触角の測定例
11 試験結果の計算
11.1
数値の表し方
接触角の数値は,JIS Z 8401の規則Bによって小数点以下1桁に丸めて表す。
11.2
限界接触角の決定
限界接触角は,式(1)〜式(4)によって計算する。
試験片ごとに,時間的に連続する3回の紫外光照射n1,n2,n3時間後の接触角を用いて平均及び標準偏
差を求め,この変動係数が,10 %以下である場合に,それら3回の接触角の算術平均を限界接触角とする。
(
)
1
2
3
3
n
n
n
x
θ
θ
θ
=
+
+
····································································· (1)
(
)
(
)
(
)
2
2
2
1
2
3
3
n
n
n
x
x
x
s
θ
θ
θ
−
+
−
+
−
=
············································· (2)
10%
s
x≦
·················································································· (3)
f
x
θ=
····················································································· (4)
7
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ここに,
θn1: 紫外光照射n1時間後の接触角(°)
θn2: 紫外光照射n2時間後の接触角(°)
θn3: 紫外光照射n3時間後の接触角(°)
x: 連続する3回のθnの平均(°)
s: 連続する3回のθnの標準偏差(°)
θf: 限界接触角(°)
紫外光照射n時間後の接触角が5°以下となった場合には,“5°以下”とするか,又は,JIS Z 8401の
規則Bによって小数点以下1桁に丸めて,括弧内にその数字を記載する(例参照)。
例 4.1°の場合は,“5°以下”と表記するか,又は,“(4°)”と記載する。
12
試験結果の報告
試験の結果は,次の項目について報告する。
a) この規格の番号(JIS R 1703-1)
b) 試験年月日
c) 試験室の温度及び相対湿度
d) 試験片の種類,大きさ,材質及び形状
e) 試薬の製造業者名,等級など
f)
ブラックライトブルー形紫外線蛍光ランプの製造業者名・形式・ランプ数,及びピーク放射の波長
g) 紫外放射照度計の製造業者名及び形式
h) 接触角測定装置の製造業者名及び形式
i)
有機物の除去方法及び紫外光照射時間
j)
オレイン酸の塗布方法
k) 各試験片の初期接触角
l)
各試験片の限界接触角及びそのときの照射時間
m) 暗条件の試験を行った場合は,各試験片の暗条件における限界接触角及びそのときの試験時間
n) 試験依頼者から要求がある場合は,各試験片の紫外光照射n時間後の接触角
o) 試験依頼者から要求がある場合は,各試験片の暗条件におけるn時間後の接触角
p) 試験状況及び試験後の試験片に関しての特記事項
q) 試験条件を変更した場合は,その変更点
8
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附属書A
(参考)
限界接触角の測定例
A.1 限界接触角の測定例
限界接触角の測定の例を,次に示す。
a) 水接触角の測定 測定結果の一例を,表A.1に示す。
表A.1−測定結果の一例
紫外光
照射時間
(h)
5点の測定値(°)
θn
(°)
sx
(%)
連続する3回の
平均値
(°)
1
2
3
4
5
0
54.8
55.2
60.6
55.9
47.7
54.8
−
−
2
55.9
60.3
60.9
59.2
59.4
59.1
−
−
4
57.8
60.2
60.9
62.3
59.3
60.1
4.9
58.0
6
57.4
55.7
58.7
54.9
61.3
57.6
2.1
58.9
24
45.5
27.1
14.8
19.8
16.1
24.7
41.6
47.5
28
48.5
34.2
19.7
23.6
35.0
32.2
45.2
38.2
48
12.8
8.3
9.8
10.0
10.8
10.3
49.7
22.4
72
8.3
7.4
8.2
8.8
7.6
8.1
79.0
16.9
74
7.3
8.2
9.8
7.9
7.5
8.1
14.4
8.8
76
9.8
9.7
9.5
8.6
9.3
9.4
8.8
8.5
この結果は,試験片の前処理(オレイン酸の塗布方法)を,“ディップ”で行った場合の例である。
b) 限界接触角の決定 表A.1に示す結果を用いて,11.2によって限界接触角を決定する。
紫外光照射72時間後の接触角,紫外光照射74時間後の接触角及び紫外光照射76時間後の接触角を,
時間的に連続する3回の紫外光照射n1,n2及びn3時間後の接触角とし,式(1)によって連続する3回
の平均xを算出した場合,8.5°となる。同様に,式(2)によって連続する3回の標準偏差sを算出した
場合,0.75°となる。式(3)における連続する3回の変動係数sxは,8.8 %となるため,式(3)の条件を
満たす。したがって,式(4)によって連続する3回の平均であるxが限界接触角θ fとなり,その値は
8.5°である。そのときの照射時間は,76時間である。
θn1
:紫外光照射72時間後の接触角=8.1°(n1=72)
θn2
:紫外光照射74時間後の接触角=8.1°(n2=74)
θn3
:紫外光照射76時間後の接触角=9.4°(n3=76)
x
:上記連続する3回の平均=8.5°
s
:上記連続する3回の標準偏差=0.75°
sx :上記連続する3回の変動係数=8.8 %
θ f
:限界接触角=8.5°
そのときの照射時間=76時間
9
R 1703-1:2020
附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS R 1703-1:2020 ファインセラミックス−光触媒材料のセルフクリーニング
性能試験方法−第1部:水接触角の測定
ISO 27448:2009,Fine ceramics (advanced ceramics, advanced technical ceramics)−Test
method for self-cleaning performance of semiconducting photocatalytic materials−
Measurement of water contact angle
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
1 適用範囲
1
JISと比較して水接触角
を測定し,光触媒材料の
セルフクリーニング性
能を評価する試験であ
る旨の原理に含まれる
内容も表記。
変更
原理に含まれる内容は,箇条5(原
理)に記載することとした。
規格としての構成を見直した。実
質的な技術的差異はない。
3 用語及び
定義
3.1 光触媒
3.1
JISとほぼ同じ
追加
JIS R 1701-1の規定内容と同一に
なるよう,機能に“抗ウイルス”及
び“抗かび”を追加し,機能性ファ
インセラミックスの一種であるこ
とを追加した。
ISO規格改正時に,改正提案を検
討する。
3.2 光触媒材料
… 光触媒を建築材料
及びその他の材料の
表面に担持させたも
の。
3.2
JISとほぼ同じ
変更
対応国際規格のNOTEに記載して
いる用途を定義に加えた。
ISO規格改正時に,改正提案を検
討する。
−
3.3
“蛍光UVランプ”を規
定
削除
同一の内容を6.1で規定しているた
め。
6.1(ブラックライトブルー蛍光ラ
ンプ)に規定している内容と同一
であり,重複規定となるため削除
した。ISO規格改正時に,改正提
案を検討する。
2
R
1
7
0
3
-1
:
2
0
2
0
10
R 1703-1:2020
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
3 用語及び
定義(続き)
3.7 水接触角
−
追加
用語として追加規定した。
規格使用者の理解のため,追加し
た。実質的な技術的な差異はない。
3.9 紫外光照射n時間
後の接触角
3.8
JISとほぼ同じだが,
NOTEに単位は時間以
外に日・分・秒を用いて
もよいことを記載
削除
NOTEの記載内容を削除した。
時間以外の単位を使用する意義が
乏しいため,NOTEの記載は不要
と判断して削除した。ISO規格改
正時に,改正提案を検討する。
3.12 暗条件
−
追加
用語として追加規定した。
規格使用者の理解のため,追加し
た。実質的な技術的な差異はない。
3.13 変動係数
3.11
JISとほぼ同じ
追加
引用規格の記載を追加した。
規格使用者の理解のため,追加し
た。実質的な技術的な差異はない。
5 原理
原理に関する記載内
容とした。
5
原理とともに,試験方法
についての内容を含む。
変更
試験方法についての内容は,箇条
10(試験方法)に規定しているため
削除した。また,対応国際規格では
Scopeに含まれていた原理に該当す
る部分の記載を追加した。
原理として記載すべき内容に修正
した。ISO規格改正時に,改正提
案を検討する。
6 試験装置 6.1 ブラックライト
ブルー蛍光ランプ
6.1
JISとほぼ同じ
追加
引用規格の記載を追加した。
規格使用者の理解のため,追加し
た。実質的な技術的な差異はない。
6.2 紫外光照射装置
6.2
JISとほぼ同じ
追加
ランプ反射板に関する規定を追加
した。
規格使用者の理解のため,追加し
た。ISO規格改正時に,改正提案
を検討する。
6.3 紫外放射照度計
6.3
紫外放射照度計につい
て,詳細に規定。
変更
この規格では,技術的内容が同一で
あるJISを引用した。
実質的な技術的な差異はない。
6.4 接触角測定装置
6.4
JISとほぼ同じ。θ/2法
の適用を記載。
追加
説明なしにθ/2法を規定しているた
め,この規格では,θ/2法を具体的
に規定しているJISを引用した。
規格使用者の理解のため,追加し
た。実質的な技術的な差異はない。
7 試薬
7.1 オレイン酸
7.1
JISとほぼ同じ
追加
対応国際規格では略号で示してい
る(cGC)について,キャピラリー
カラムを用いるガスクロマトグラ
フ分析であることを追加記載した。
規格使用者の理解のため,追加し
た。実質的な技術的な差異はない。
2
R
1
7
0
3
-1
:
2
0
2
0
11
R 1703-1:2020
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
7 試薬
(続き)
7.2 ヘプタン
7.2
JISとほぼ同じ
追加
この規格では,ヘプタンを規定した
JISを引用した。
規格使用者の理解のため,追加し
た。実質的な技術的な差異はない。
7.3 水
−
追加
対応国際規格では使用する水につ
いての規定がないので,要求事項を
追加した。
規格使用者の理解のため,追加し
た。ISO規格改正時に,改正提案
を検討する。
8 試験室の
温度及び湿
度
JIS Z 8703に規定す
る標準状態とし,温度
20 ℃±5 ℃かつ相対
湿度(65±10)%とし
てもよい。
8
ISOでは1条件だけを推
奨。
追加
この規格では,JIS K 7100に規定す
る標準状態であることを追加した。
さらに,JIS Z 8703に規定する条件
を許容した。
我が国の事情に配慮して追加し
た。この規格に基づく試験結果に
影響を与えるような差異ではな
い。
9 試験片
b) 試験結果に影響を
与える油などの有機
物汚染,光触媒材料間
の相互汚染などは,あ
ってはならない。
9
JISとほぼ同じ
追加
この規格では,あってはならない有
機物汚染の程度が分かるように,
“試験結果に影響を与える油など
の”という語句を追加した。
規格使用者の理解のため,追加し
た。ISO規格改正時に,改正提案
を検討する。
10 試験方
法
10.1 一般
10
技術的内容はJISとほ
ぼ同じ
変更
実質的な技術的内容は変更せず,箇
条の構成を変更して,試験方法の一
般事項を定めた。
実質的な技術的な差異はない。
10.2 試験片の前処理
10.2.1 一般
10.1.1
JISとほぼ同じ
追加
この規格では,保管にシリコーング
リースを使わないガラス製密閉容
器を用いることを追加した。また,
対応国際規格では10.1.2のNOTE
に記載されている汚染防止の方法
を,本文として規定した。
規格使用者の理解のため,追加し
た。ISO規格改正時に,改正提案
を検討する。
10.2.2 前処理の手順
10.2.2.1 有機物の除
去
10.1.2
JISとほぼ同じ
追加
この規格では,水による洗浄を行う
際の判断基準の例を追加した。
規格使用者の理解のため,追加し
た。ISO規格改正時に,改正提案
を検討する。
2
R
1
7
0
3
-1
:
2
0
2
0
12
R 1703-1:2020
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
10 試験方
法(続き)
10.3 水接触角の測定
10.3.1 放射照度の測
定及び紫外光照射装
置の準備
10.2.1
JISとほぼ同じ
追加
この規格では,放射照度測定の場合
の,照射装置の予備点灯について規
定を追加した。
規格使用者の理解のため,追加し
た。ISO規格改正時に,改正提案
を検討する。
10.3.2 初期接触角の
測定
10.2.2
JISとほぼ同じ
変更
対応国際規格では試験結果及び計
算の細分箇条に規定している初期
接触角に基づく試験成立の判定に
ついて,この細分箇条で規定した。
規格使用者の理解のため,は規格
の構成を変更した。実質的な技術
的な差異はない。
10.3.4 限界接触角の
測定
10.2.4
JISとほぼ同じ
変更
対応国際規格ではNOTEとして記
載している内容が,参考情報ではな
く規定であるため,この規格では本
文に記載した。また,測定例を附属
書Aに示すことを追記した。
規格使用者の理解のため,規格の
構成を変更した。ISO規格改正時
に,改正提案を検討する。
11 試験結
果の計算
11.2 限界接触角の決
定
11.3
JISとほぼ同じ
追加
この規格では,限界接触角の求め方
についての説明及び標準偏差を求
める式(2)を追加した。また,接触
角が5°以下となった場合の記載方
法を追加した。
規格使用者の理解のため,追加し
た。実質的な技術的な差異はない。
12 試験結
果の報告
12
JISとほぼ同じ
追加
“この規格の番号”を報告内容に追
加した。
“試験条件を変更した場合は,その
変更点”を報告内容に追加した。
改正前の2007年版JISでも規格番
号及び試験条件の変更点の報告を
求めており,従来からのJIS運用
と整合性を保つために追加した。
実質的な技術的な差異はない。
附属書A
A.1 限界接触角の測
定例
b) 限界接触角の決定
Annex A
JISとほぼ同じ
追加
JISでは,限界接触角の求め方を具
体的に追加した。
規格使用者の理解のため,JISに
追加した。実質的な技術的な差異
はない。
2
R
1
7
0
3
-1
:
2
0
2
0
13
R 1703-1:2020
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 27448:2009,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 削除 ················ 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ··············· 国際規格を修正している。
2
R
1
7
0
3
-1
:
2
0
2
0